JP2020157575A - 木質積層材 - Google Patents

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Hirohito Nagaoka
浩仁 長岡
克仁 大島
Katsuto Oshima
克仁 大島
森平 安井
Morihei Yasui
森平 安井
淳裕 岩竹
Atsuhiro Iwatake
淳裕 岩竹
涼 岩本
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Abstract

【課題】木質積層材Aを別の部材に接合する際の接合強度を良好に確保できかつ施工性を高める。【解決手段】複数の板状の木質板材が積層されて一体化された複数の木質材層1,1,…を有する木質積層材Aにおいて、その木質材層1,1,…の積層方向外側に位置する外側の木質材層1,1となる木質板材を単板とし、積層方向の内側に位置する2層の木質材層1,1は、積層方向の外側に位置する外側の木質材層1,1よりも密度の高い木質板材からなる高密度木質材層1aとする。【選択図】図1

Description

本発明は、木質積層材に関するものである。
従来、この種の木質積層材は複数の木質板材が積層されて一体化されたものであり、積層方向に隣接する木質板材としての単板の繊維方向を交差させた合板や、同繊維方向を同じ方向としたLVL等が知られている。
このような木質積層材の一例として、例えば特許文献1に示されるように、複数の単板を同じ繊維方向に配置して積層したものをコア部とし、そのコア部の積層方向両側にそれぞれ単板からなる中間層を介して単板からなる表面層を積層し、表面層の単板の比重(密度)をコア部及び中間層よりも高くしたものが提案されている。
特開2010−99942号公報
上記提案のものは、表面の単板の比重が高いので、裁断面から吸水し難く、裁断や加工の際にバリや欠け等の欠点が生じ難い効果を有する。
しかし、その反面、木質積層材を別の部材である例えば構造材等に釘やビス等の締結具で締結するとき、その締結具を木質積層材に貫通させて構造材等に進入させる打ち込みの際の打ち込み圧力が低いと、表面の単板の比重が高い分だけ打ち込みが不十分となる。これを避けるために、締結具の打ち込み圧力を高くする必要があるが、その打ち込み圧力が高くなり過ぎると、今度は締結具が木質積層材に過度にめり込んでしまうことになる。いずれの場合にも所望の接合強度を得るのが難しくなり、締結具の打ち込み圧力を適正範囲に保つ必要があって施工の手間か掛かるという問題がある。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、木質積層材における木質板材の密度の分布を特定することにより、その別の部材に接合する際の接合強度を良好に確保できかつ施工性を高めるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、木質積層材において木質板材の積層方向内側に位置する木質板材の密度を外側の木質板材よりも高くするようにした。
具体的には、第1の発明は、複数枚の板状の木質板材が積層されて一体化された複数の木質材層を有する木質積層材であって、上記木質材層の少なくとも積層方向外側(積層方向表側)に位置する外側の木質材層の木質板材は単板からなり、上記木質材層の積層方向内側(積層方向中間側)に位置する少なくとも1層の木質材層は、上記積層方向外側に位置する外側の木質材層よりも密度の高い木質板材からなる高密度木質材層であることを特徴とする。
この第1の発明では、木質材層の積層方向内側に位置する少なくとも1層の木質材層が高密度木質材層であり、その高密度木質材層の密度は積層方向外側に位置する木質材層よりも高いので、木質積層材表面の木質材層は低密度となる。そのため、木質積層材を構造材等に釘やビス等の締結具で締結するとき、表面の低密度の木質材層に締結具を打ち込み易くなり、所望の接合強度を容易に得ることができるとともに、締結具の打ち込み圧力を適正範囲に保つ施工の手間をなくして施工性を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明において、木質積層材は、高密度木質材層の密度は500kg/m以上であることを特徴とする。
この第2の発明では、高密度木質材層の密度が500kg/m以上であるので、木質積層材を構造材に締結具により締結したとき、その剪断方向の接合強度を例えば1000N以上として、高い接合強度を容易に得ることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、複数枚の木質板材は全て単板であることを特徴とする。
この第3の発明では、木質積層材における複数の木質材層となる木質板材は全て単板であり、そのうちの積層方向内側の少なくとも1層の木質材層が高密度木質材層であるので、単板で構成された木質積層材の構造材等に対する接合強度を容易に得ることができ、締結具の打ち込み圧力を適正範囲に保つ施工の手間をなくして施工性を高めることができる。すなわち、例えば、木質積層材を面材とし、その面材を釘打ち機による釘(締結具)を用いて柱・間柱等の構造材に打ち付ける場合、柱・間柱等の構造材のばらつきに由来する面材への過剰な釘のめり込みをなくし、接合強度を維持することができるとともに、施工性を高めることができる。
第4の発明は、第3の発明において、高密度木質材層となる単板は、高密度化処理された単板であることを特徴とする。
この第4の発明では、木質積層材における複数の木質材層となる木質板材は全て単板であり、そのうちの積層方向内側の高密度木質材層は、高密度化処理された単板からなるので、単板により内部に高密度木質材層を有する木質積層材を得ることができる。
以上説明したように、本発明によると、複数の木質板材を積層して一体化した木質材層を有する木質積層材の少なくとも積層方向の外側に位置する木質材層の木質板材を単板とし、内側に位置する少なくとも1層の木質材層を外側の木質材層よりも密度の高い木質板材からなる高密度木質材層としたことにより、木質積層材を構造材等に釘やビス等の締結具で締結するときに表面の低密度の木質材層に締結具を打ち込み易くし、所望の接合強度を容易に得ることができるとともに、締結具の打ち込み時の施工性を高めることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る木質積層材を概略的に示す断面図である。 図2は、木質積層材の他の例を示す図1相当図である。 図3は、本発明の実施形態に係る木質積層材が構造材に釘打ちされた状態で剪断方向に力が加わったときの挙動を示す模式図である。 図4は、低密度木質板材のみの合板が構造材に釘打ちされた状態で剪断方向に力が加わったときの挙動を示す模式図である。 図5は、実施例及び比較例についての内部単板密度、全体密度及び釘一面剪断試験での最大接合強度を示す図である。 図6は、実施例1〜6及び比較例1〜4についての釘一面剪断試験での剪断方向移動量と接合強度との関係を示す図である。 図7は、実施例7〜12及び比較例1〜4についての釘一面剪断試験での剪断方向移動量と接合強度との関係を示す図6相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
図1は本発明の実施形態に係る木質積層材Aを示す。この木質積層材Aは、例えば5枚の板状の木質板材が接着剤を介して積層されて圧締により接着一体化された5層の木質材層1,1,…を有する。この各木質材層1は、元の木質板材と同様に板状のものである。木質積層材Aは5層の木質材層1,1,…を有する構造に限定されず、その他、例えば図2(a)に示すように3枚の木質板材の積層一体化による3層の木質材層1,1,…を有する3層構造、図2(b)及び(c)に示すように7枚の木質板材の積層一体化による7層の木質材層1,1,…を有する7層構造、図2(d)に示すように4枚の木質板材の積層一体化による4層の木質材層1,1,…を有する4層構造、図2(e)に示すように5枚の木質板材の積層一体化による5層の木質材層1,1,…を有する5層構造等であってもよく、複数枚の板状の木質板材が積層されて一体化された複数層の木質材層1,1,…を有していればよい。
図1に例示するように、上記複数層の板状の木質材層1,1,…のうち、その積層方向外側(積層方向両側)に位置する外側(表側)の2枚の木質材層1,1の木質板材は単板からなっている。一方、これら外側の2層の木質材層1,1以外であり、木質材層1,1,…の積層方向内側(積層方向中間側)に位置する内側の木質材層1,1,…の木質板材は、表側の木質材層1,1と同様の単板であるか、或いはMDF(中密度繊維板)、HDF(高密度繊維板)、ハードボード、パーティクルボード等の木質板材である。
外側(表側)及び内側の木質材層1,1,…となる木質板材を全て単板とする場合、外側の木質板層1,1となる単板と内側の木質板層となる単板とを含む全ての単板が互いに異なる複数の樹種であってもよく、或いは同一の樹種であってもよい。
具体的に、この単板の樹種としては、例えばスギ、ヒノキ、ベイマツ等のファー材、アカシア、アスペン、ポプラ、パイン系(ハードパイン、ソフトパイン、アタパイン、ラジアータパイン等)、バーチ、ゴム(ゴムの木)等が好適である。また、これらの樹種に限定されず、さらに様々な樹種を用いることができる。その様々な樹種としては、サワラ、ヒバ、カヤ、栂、槙、種々の松、桐、楓、樺(白樺)、椎、ブナ、樫、樅、櫟、楢、楠、ケヤキ等の国産材、米ヒノキ、米ヒバ、米杉、米樅、スプルース、米栂、レッドウッド等の北米材、アガチス、ターミナリア、ラワン、メランチ、センゴンラウト、ジュンコン、カメレレ、カランパヤン、アンベロイ、メリナ、チーク、アピトン、センゴンラウト等の南洋材、バルサ、セドロ、マホガニー、リグナムバイタ、アカシアマンギューム、地中海松、竹、コウリャン、カメレレのような外材等があり、これらはどのような材料でも使用可能である。
本発明の特徴は、外側(表側)の木質材層1,1と内側の木質板材1,1,…との間の密度差にある。すなわち、木質材層1,1,…の積層方向内側(中間側)に位置する少なくとも1層の木質材層1は、同積層方向外側(表側)に位置する外側の木質材層1,1よりも密度の高い(比重の大きい)木質板材からなる高密度木質材層1aとされ、この高密度木質材層の密度は望ましくは500kg/m以上とされている。換言すると、外側の木質材層1,1の密度は、内側に位置する少なくとも1層の木質材層1(高密度木質層1a)よりも低くなっている。図1及び図2では、内部の高密度木質材層1aは点集合の記載で表しており、図1に示す5層構造の木質積層材Aでは、外側(表側)の木質材層1,1の内側にそれぞれ隣接して木質積層材Aの厚さ方向中間部に位置する2層の木質材層1,1がいずれも高密度木質材層1aとされ、同厚さ方向中央部に位置する残り1層の内部の木質材層1、及び外側の2層の木質材層1,1の密度はいずれも高密度木質材層1aよりも低くなっている。また、図2(a)に示す3層構造の木質積層材Aでは、外側(表側)の木質材層1,1の内側にそれぞれ隣接して木質積層材Aの厚さ方向中央部に位置する内側1層の木質材層1が高密度木質材層1aとされ、表側2層の木質材層1,1の密度は高密度木質材層1aよりも低くなっている。さらに、図2(b)に示す7層構造の木質積層材Aでは、外側(表側)の2層の木質材層1,1の内側にそれぞれ隣接して木質積層材Aの厚さ方向中間部に位置する2層の木質材層1,1がいずれも高密度木質材層1aとされ、同厚さ方向中央部に位置する残り3層の内部の木質材層1,1,…、及び表側の2層の木質材層1,1の密度は高密度木質材層1aよりも低くなっている。一方、図2(c)に示す7層構造の木質積層材Aでは、外側(表側)の2層の木質材層1,1の内側にそれぞれ隣接して木質積層材Aの厚さ方向中間部に位置する2層の木質材層1,1と、同厚さ方向中央部に位置する1層の内側の木質材層1との3層が高密度木質材層1aとされ、同厚さ方向中間部に位置する残り2層の木質材層1,1、及び外側の2層の木質材層1,1の密度は高密度木質材層1aよりも低くなっている。さらに、図2(d)に示す4層構造の木質積層材Aでは、外側(表側)の2層の木質材層1,1の内側にそれぞれ隣接して木質積層材Aの厚さ方向中間部に位置する2層の木質材層1,1がいずれも高密度木質材層1aとされ、外側の2層の木質材層1,1の密度は高密度木質材層1aよりも低くなっている。また、図2(e)に示す5層構造の木質積層材Aでは、一方の外側(表側)の1層の木質材層1の内側に隣接して木質積層材Aの厚さ方向中間部に位置する1層の木質材層1が高密度木質材層1aとされ、残り4層、つまり上記一方の外側(表側)の1層の木質材層1と、他方の外側(表側)の1層の木質材層1と、高密度木質材層1aを除いた厚さ方向中間部に位置する2層の木質材層1,1との密度はいずれも高密度木質材層1aよりも低くなっている。要は、木質材層1,1,…の積層方向内側に位置する少なくとも1層の木質材層1が、積層方向外側に位置する外側(表側)の木質材層1,1よりも密度の高い高密度木質材層1aであればよい。
単板のみの木質板材を用いて木質積層材Aを構成する場合には、高密度木質材層1aとなる木質板材の密度(比重)と、他の木質材層1となる木質板材の密度(比重)とを単板の樹種により異ならせ、高密度木質材層1aとなる単板は、他の木質板材層1となる単板よりも高密度(高比重)の樹種を用いればよい。
また、単板のみの木質板材を用いて木質積層材Aを構成する場合には、内側に配置される高密度木質材層1aには、高密度化処理が加えられた単板を用いることもできる。
上記高密度化処理は、単板からなる木質板材を軟化させ、圧縮し又は潰す処理である。具体的には、例えば木質板材を物理的に圧縮処理する物理的処理、木質板材を高周波の照射により内部から誘電加熱して軟化させる高周波処理、木質板材に高温度及び高圧力を加える高温高圧処理、高圧水により木質板材の表面に微細な傷を形成する高水圧処理、木質板材を飽水状態にしてから真空条件下において木質板材から水分を放出させる脱気・脱水繰り返し処理、木質板材をアルカリ処理する化学処理があり、それらのうちの少なくとも1つの処理を行えばよく、当該処理により木質板材(単板)を軟化させ、圧縮し又は潰して高密度化することができる。
そして、このような高密度化処理により、積層方向内側に位置する高密度木質材層1aとなる木質板材の密度は例えば500kg/m以上となり、この高密度の木質板材により木質積層材Aの高耐力化を図ることができる。
上記複数枚の木質板材を接着する接着剤としては、通常の合板やLVLにおいて木質板材を接着するものと同じ接着剤を用いることができ、例えばユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂接着剤、水性高分子−イソシアネート系接着剤等の接着剤が用いられる。
また、木質積層材Aを製造する方法も通常の合板やLVL等と同様であり、木質板材の密度を選定することや、同一樹種単板の木質板材を用いる場合に一部を高密度化する高密度化処理等が異なるだけで、複数枚の木質板材を接着剤を介在させて積層し、圧締しながら接着剤を硬化させて一体化すればよい。
本実施形態に係る木質積層材Aは、図3に示すように、例えば家屋における構造材Cに釘Naにより固定されて耐力壁となる構造用面材等として好適に用いられる。その場合、木質積層材Aは、一例として木質板材であるスギ材からなる合板であり、構造材Cは一例としてSPF材からなる柱や、根太、梁等の横架材であり、釘Naは、一例として枠組工法用CN50釘である。釘Naに代えて、その他、ビス等の締結具であってもよい。そして、この木質積層材Aは、内側に位置する少なくとも1層の高密度木質層材1aの存在により、該木質積層材Aを構造材Cに対し釘Na等の締結具により締結した状態では、該構造材Cに対し1000N以上の接合強度(剪断力)を有するようになっている。
上記実施形態の作用効果について説明する。今、図4(a)に示すように、例えば通常の低密度樹種の単板(密度400kg/m以下)からなる例えば5枚の木質板材を積層して接着した5層の木質材層1,1,…を有する5プライ合板Bを釘打ち機による釘Naで構造材Cに釘打ち施工したとき、釘打ち機の釘打ち圧力が適切でなくて高過ぎると、その釘Naが木質材層1の表面にめり込んでしまう。その場合、地震等の外力が合板Bと構造材Cとの間に作用して、両者が剪断方向(図4の矢印方向)に相対的にずれようとすると、合板Bの密度が低いので、釘Naが構造材Cから抜けるのではなく、図4(b)に示すように、その釘Naは構造材Cに残ったままで頭部が合板Bを抜けるパンチングアウト状態となる。図4(b)の合板Bにおける破線は、釘Naの抜けた後の孔を示している。この場合には、パンチングアウト状態に至るまでの抵抗力が殆ど生じず、所定の接合強度を殆ど発揮できなくなる。そこで、合板Bの最外表面層の単板の比重(密度)を高くしたり、表面に塗装をしたりして、その表面を強化してもよいが、その場合には、今度は釘打ち圧力を高くしないと釘Naが合板Bを貫通し難くなり、また、強化層を貫通すると木質層1に深くめり込む可能性もあり、その施工性能が低下する。
これに対し、本実施形態に係る木質積層材Aにおいては、同様に例えば5層の木質材層1,1,…の積層方向内側に位置する少なくとも1層(図示例では2層)の木質材層1が、積層方向外側に位置する木質材層1,1よりも密度の高い高密度木質材層1aとなっており、この高密度木質材層1aは、積層方向の内側に位置する強化層として機能する。そのため、図3(a)に示すように、木質積層材Aを釘打ち機による釘Naで構造材Cに釘打ち施工したとき、釘打ち機の釘打ち圧力が高過ぎたとしても、その釘Naは強化層としての高密度木質材層1aの抵抗を受けることになり、木質積層材Aの表面に過度にめり込んでしまうことはなくなる。そして、地震等の外力により木質積層材Aと構造材Cとが剪断方向(図3の矢印方向)にずれようするとき、図3(b)に示すように、その釘Naは木質積層材Aを抜けるパンチングアウト状態に至ることなく構造材Cに残ったままとなって曲がりながら、その構造材Cから抜け出そうとし、この釘Naが構造材Cから抜けるまでの抵抗力が大きくなり、このことで所定の接合強度を発揮することができる。
すなわち、このように、釘打ち機による釘Naのめり込みを抑制しつつ、低密度樹種を使用する際の問題であった変形時の釘Naのパンチングアウト状態での強度低下の発生を抑え、釘Naと構造材Cとの接合強度を向上することが可能になる。
そのとき、構造用合板として一般的なスギ合板Bの構造材Cに対する剪断力が概ね850N以上で1000N未満であるのに対し、内部に高密度木質材層1aが配置され、その密度が望ましくは500kg/m以上である本実施形態に係る木質積層材Aの剪断力は1000N以上に増大している。そのため、合板Bのようなパンチングアウト状態を招くことなく、釘Naの引き抜きによる耐力の向上を図ることができる。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。5枚の木質板材を積層して接着剤により一体化した図1に示す5層構造のものを木質積層材とした。
(実施例1〜6)
実施例1〜6では、5枚の木質板材はいずれも厚さ3〜4mmのスギの単板からなり、それらを接着剤を介して積層して圧締一体化した。外側(表側)の木質材層の内側にそれぞれ隣接して木質積層材の厚さ方向中間部に位置する2層の木質材層は、通常のスギ単板に高密度化処理を施して密度を高くしたスギ単板からなる高密度木質材層とし、同厚さ方向中央部に位置する残り1層の木質材層、及び外側の2層の木質材層は、高密度処理を行わない(従って高密度木質材層よりも密度の低い)通常のスギ単板をそのまま用いた(図1参照)。また、そのときに上記高密度木質材層(高密度化処理したスギ単板)の密度を種々に異ならせたものを実施例1〜6としている。各例における高密度木質材層の密度(図5で「内部単板密度」と記載している)と、木質積層材全体の密度(同「試験片密度」と記載している)とを図5に示す。
(比較例1〜4)
実施例1〜6と同様に、5枚の木質板材はいずれも厚さ3〜4mmのスギの単板からなり、それらを接着剤を介して積層して圧締一体化した。実施例1〜6と異なるのは、木質積層材の積層方向の内部に高密度木質材層がなく、5層全ての木質材層は、高密度処理を行わない通常のスギ単板をそのまま用いた。この通常のスギ単板自体の密度が互いに異なっているものを比較例1〜4としている。各例における木質積層材全体の密度(試験片密度)を図5に示す。
(実施例7〜10)
実施例7,8は、3枚の木質板材のうち外側の2層の木質材層にはいずれも厚さ3〜4mmのスギの単板とし、外側(表側)の木質材層の内側にそれぞれ隣接して木質積層材の厚さ方向中間部に位置する1層の木質材層は、通常のバーチ単板に高密度化処理を施して密度を高くしたバーチ単板からなる高密度木質材層とした。外側の2層の木質材層は、高密度処理を行わない(従って高密度木質材層よりも密度の低い)通常のスギ単板をそのまま用いた。それらを接着剤を介して積層して圧締一体化したものである。また、高密度木質材層(高密度化処理したバーチ単板)の密度を異ならせたものを実施例7,8としている。
実施例9,10は、3枚の木質板材をいずれも厚さ3〜4mmのスギの単板とし、外側(表側)の木質材層の内側にそれぞれ隣接して木質積層材の厚さ方向中間部に位置する1層の木質材層は、通常のラジアータパイン単板に高密度化処理を施して密度を高くしたラジアータパイン単板からなる高密度木質材層とした。外側の木質材層は、高密度処理を行わない(従って高密度木質材層よりも密度の低い)通常のスギ単板をそのまま用いた。それらを接着剤を介して積層して圧締一体化したものである。また、高密度木質材層(高密度化処理したラジアータパイン単板)の密度を異ならせたものを実施例9,10としている。
実施例7〜10の各々における高密度木質材層の密度(内部単板密度)と、木質積層材全体の密度(試験片密度)とを図5に示す。
(実施例11,12)
実施例11,12は、3枚の木質板材を接着剤を介して積層して圧締一体化したものである。それらのうち、外側(表側)の2層の木質材層は厚さ3〜4mmのスギ単板とし、厚さ方向中央部に位置する残り1層の木質材層は厚さ2.7mmのMDFからなし、そのMDFはスギ単板よりも高い密度のものを用いることで、その木質材層を密度の高い高密度木質材層とした。また、高密度木質材層(MDF)の密度を異ならせたものを実施例11,12としている。実施例11,12の各々における高密度木質材層の密度(内部単板密度)と、木質積層材全体の密度(試験片密度)とを図5に示す。
(釘一面剪断試験)
上記各実施例及び各比較例について釘一面剪断試験を行った。この試験は、先に図3及び図4に示して説明したように、木質積層材A及び合板Bと構造材Cとの間に地震等の外力が働いたときの挙動を再現するものであり、実施例及び比較例の木質積層材を釘により構造材に固定し、その状態で木質積層材に構造材と剪断方向にずれるように荷重を加えて、両者の分離までの各数値を測定した。具体的には、実施例及び比較例としての木質積層材から試験片をカットにより作製し、その試験片をいわゆる2×4材(実寸法38×89mmの角材)からなる構造材の側面に対し、試験片の厚さ方向(木質積層材の積層方向)に貫通する締結具としての釘(2×4用鉄丸釘「CN50」)により打ち付けて固定した。その状態で、構造材を固定して試験片に板厚と直交方向に一定速度(2mm/分)で引張荷重を加え、試験片が構造材と分離するまでの変位量(移動量)と引張荷重Pとの関係を求めた。その結果を実施例1〜6及び比較例1〜4については図6に、また実施例7〜12及び比較例1〜4については図7にそれぞれ示す。また、各実施例及び各比較例における引張荷重の最大値Pmaxを図5に示している。
この図5〜図7の結果について考察する。比較例1〜4では、引張荷重の最大値Pmaxがいずれも1000Nよりも低く、木質積層材からなる面材の強度自体となっている。それに対し、実施例1〜6では、引張荷重の最大値Pmaxが1000N以上となり、構造材と釘との接合強度となっており、特に、内側の高密度木質材層の密度が比較的低くても引張荷重の最大値Pmaxは増大している。また、樹種がスギと異なるバーチやラジアータパインであっても(実施例7〜10)、或いは内側の高密度木質材層が単板と異なるMDFであっても(実施例11,12)、実施例1〜6と同様に、引張荷重の最大値Pmaxは1000N以上となっている。これらのことから、木質積層材は、その木質材層の積層方向の内側に少なくとも1層の高密度木質材層が積層配置されていれば、構造材と締結具(釘)により締結した状態では、構造材に対し1000N以上の接合強度を有し、構造用の面材として十分な性能が得られていることが明らかとなった。
本発明は、木質積層材を構造材等に釘等の締結具で締結するときに低密度の木質板材に締結具を打ち込み易くし、所望の接合強度を容易に得ることができるとともに、締結具の打ち込み時の施工性を高めることができ、構造用面材等の用途で極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
A 木質積層材
1 木質板材
1a 高密度木質材層
C 構造材
Na 釘(締結具)

Claims (4)

  1. 複数枚の板状の木質板材が積層されて一体化された複数の木質材層を有する木質積層材であって、
    上記木質材層の少なくとも積層方向外側に位置する外側の木質材層の木質板材は単板からなり、
    上記木質材層の積層方向内側に位置する少なくとも1層の木質材層は、上記積層方向外側に位置する外側の木質材層よりも密度の高い木質板材からなる高密度木質材層であることを特徴とする木質積層材。
  2. 請求項1において、
    高密度木質材層の密度は500kg/m以上であることを特徴とする木質積層材。
  3. 請求項1又は2において、
    複数枚の木質板材は全て単板であることを特徴とする木質積層材。
  4. 請求項3において、
    高密度木質材層となる単板は、高密度化処理された単板であることを特徴とする木質積層材。
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