JP2020156411A - 細胞回収用ウェルプレートセット - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェルプレートで培養された細胞および培地を、培養後に容易に回収することができる細胞回収用ウェルプレートセットを提供する。【解決手段】上面側に開口する複数のウェル部が配列して形成されたウェルプレートと、前記ウェルプレートとともに用いられて前記ウェル部において培養された細胞を前記ウェル部から回収するための容器であって、前記ウェルプレートの前記上面側に嵌合する凹状部を有し、前記凹状部の内面に低吸着処理が施されている細胞回収用容器と、を備える、細胞回収用ウェルプレートセット。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞培養および培養した細胞の回収に使用される細胞回収用ウェルプレートセットに関する。
再生医療の分野やその試験研究などにおいて、多数の試料を同時に収容することができる複数のウェル部を備えた細胞培養用ウェルプレートを用いて、胚性幹細胞(ES細胞)などの細胞培養や細胞凝集塊の作製およびそれらの回収が行われている。このような培養細胞および細胞凝集塊は、近年さらに進展している再生医療分野などを鑑みると、より需要が高まると予想される。
そして、例えば特許文献1には、プレート上面に、開口面を有するウェルを具備する細胞培養用ウェルプレートであって、このプレート上面に、ウェルの開口面の周縁を囲いつつ、当該開口面と接しない凸状の堤部を具備する細胞培養用ウェルプレートが開示されている。そして、このような細胞培養用ウェルプレートにより、細胞の観測時に、ウェル内部の培養液の液面における凹状又は凸状の屈曲の影響が排除されるまで培養液を追加することができるとされている。
特開2017−176073号公報
しかしながら、このような細胞培養用ウェルプレートにより培養した細胞は、個々のウェル部が小さいことから、ピペットによって回収することが難しい場合が多い。さらに、このようなウェル部に対しては、径の細いピペットを使用すれば一応細胞を回収することは可能であるが、目視による細胞回収の確認が困難であり、また、径の細いピペットの使用は、細胞凝集塊を破壊してしまったり、細胞自体にダメージを与えたりしてしまう可能性がある。
なお、このような細胞培養用ウェルプレートにより培養した細胞の別の回収方法として、細胞培養用ウェルプレートに蓋を取り付け、遠心分離などによってウェル部にある細胞を培地ごと蓋側に落とす方法が考えられる。しかし、市販されている一般的な細胞培養用ウェルプレートの蓋は側壁の高さが低いため、細胞を培地ごと回収したときにこぼれる可能性がある。また、この蓋の内面は、通常、低吸着処理などの表面処理がなされていないため、回収した細胞や細胞凝集塊がこの蓋の内面に接着してしまい、細胞や細胞凝集塊の回収ができない恐れもある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ウェルプレートで培養された細胞および培地を、培養後に容易に回収することができる細胞回収用ウェルプレートセット、ならびにこの細胞回収用ウェルプレートセットに用いる細胞回収用容器を提供することを目的とする。
本発明に係る細胞回収用ウェルプレートセットは、上面側に開口する複数のウェル部が配列して形成されたウェルプレートと、前記ウェルプレートとともに用いられて前記ウェル部において培養された細胞を前記ウェル部から回収するための容器であって、前記ウェルプレートの前記上面側に嵌合する凹状部を有し、前記凹状部の内面に低吸着処理が施されている細胞回収用容器と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る細胞回収用ウェルプレートセットは、ウェルプレートで培養された細胞および培地を、培養後に容易に回収することができる。特に、培養により細胞凝集塊を得た場合であっても、この細胞凝集塊を破壊することなく、径の大きなピペットなどを使用して容易に回収することができる。
本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセット(ウェルプレートおよび細胞回収用容器)の斜視図である。 本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの、細胞回収用容器をウェルプレートに嵌合した状態を示す断面図である。 本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットにより、培養細胞を回収する状態を示した断面図である。(a)はウェルプレートにおけるウェル部の培養細胞および培地を嵌合した細胞回収用容器に落とす状態を、(b)は細胞回収用容器に落とした培養細胞を広口ピペットにより回収する状態を示す。 本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの、細胞回収用容器をウェルプレートに嵌合した状態を示す拡大断面図である。 本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの、細胞回収用容器をウェルプレートに嵌合した状態において、ウェルプレートのウェル部と細胞回収用容器の凹状部の各体積部分を示す断面図である。 本実施形態に係る、凹状部が隔壁により互いに仕切られた複数個の区画領域を有する細胞回収用容器を示す斜視図である。
以下、本発明に係る細胞回収用ウェルプレートセットの実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。なお、いずれの図面についても、便宜上、符号を付していない(省略している)箇所がある。
<概要>
まず、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの概要について、図1から図6の符号を参照して説明する。なお、図1は本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセット(ウェルプレートおよび細胞回収用容器)の斜視図であり、図2、図4および図5は、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの、細胞回収用容器をウェルプレートに嵌合した状態を示す断面図である。また、図3は、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットを用いて細胞を回収している状態を示す断面図であり、図6は、本実施形態に係る細胞回収用容器の斜視図である。
本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットは、上面側に開口する複数のウェル部5が配列して形成されたウェルプレート1と、このウェルプレート1の上面側に嵌合する凹状部7を有し、この凹状部7の内面に低吸着処理11が施されている細胞回収用容器3とを備える。
そして、このウェルプレート1と細胞回収用容器3とが用いられて、ウェルプレート1のウェル部5において培養された細胞や細胞凝集塊を回収する。
<全体構成について>
本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの全体構成について、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットを示した図であり、図1の下側に示しているのが、上面側に開口する複数のウェル部5が配列して形成されたウェルプレート1の図であり、図1の上側に示しているのが細胞回収用容器3の図である。そして、図2に示すように、例えば嵌合部21などにおいて、細胞回収用容器3をウェルプレート1の上面側に嵌合させて使用する。
そして、図3(a)に示すように、細胞回収用容器3をウェルプレート1の上面側に嵌合させた状態で、例えば遠心分離操作などの物理的手段によってウェルプレート1のウェル部5に収容された細胞または細胞凝集塊ならびに培地を落下させて細胞回収用容器3の凹状部7に回収し、さらに、図3(b)に示すようにピペットなどを使用してこの凹状部7から細胞や細胞凝集塊を回収する。なお、この細胞回収用容器3の内面側(ウェルプレート1に嵌合したときに内部となる側)実体部分が凹状部7である。そして、ウェル部5および凹状部7の内面に、つまりウェルプレート1においてウェル部5の内面に選択的に、且つ細胞回収用容器3において嵌合部21を除く内面に選択的に、培養細胞や細胞凝集塊が接着しにくい処理である低吸着処理11が施されている。
ここで、本実施形態において「低吸着処理11」とは、ウェルプレート1や細胞回収用容器3の母材(例えば樹脂材)よりも培養細胞や細胞凝集塊の吸着性(接着性)が低くなる処理を意味する。そして、低吸着処理11としては、例えば、水溶性樹脂、親水性ポリマーなどを母材表面に固定化する親水化処理等が挙げられる。なお、本実施形態においては、この低吸着処理11には、母材表面の物理的処理(研磨材等による表面粗さの調整など)は包含されず、上記したような母材表面の化学的処理によって低吸着処理11が行われる。
また、上記した「水溶性樹脂」とは、水分子とのイオン結合または水素結合により水和して水に溶解する樹脂であって、25℃の水100gに対して1.0g以上溶解可能なものをいう。水溶性樹脂としては、水に溶解するために分子内の主鎖に対して必要充分な量のイオン性または極性の側鎖を有するものが例示され、具体的には、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ポリペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリジエチレングリコールジアクリレート、およびこれらを構成するモノマー同士の共重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと他のモノマー(例えばブチルメタクリレートなど)との共重合体などが好適例として示される。特に、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルピロリドン、およびポリエチレングリコールの中から選ばれる1種以上であるのが好ましい。
ポリ酢酸ビニルのケン化物としては、例えば、ポリビニルアルコールまたはビニルアルコールと他の化合物との共重合体、親水基変性、疎水基変性、アニオン変性、カチオン変性、アミド基変性またはアセトアセチル基のような反応基変性させた変性酢酸ビニルとビニルアルコールとのケン化物などが示される。重合体の平均重合度は、特に限定されないが、細胞回収用容器の内面に均一な被膜が形成しやすく、かつ作業性が良好となる点から100〜10,000が好ましく、200〜5,000がより好ましい。なお、この平均重合度は、クロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度として求める。また、ポリ酢酸ビニルのケン化物のケン化度は、特に限定されないが、ポリ酢酸ビニル全体の20〜100mol%が好ましく、50〜95mol%がより好ましい。なお、このケン化度は、JIS−K6726に記載の方法に準じて測定する。
また、この水溶性樹脂は、硬化させるための官能基を側鎖に有する水溶性樹脂が好ましい。硬化させるための官能基としては、例えば、放射線反応性、感光性、熱反応性の官能基等が示され、感光性の官能基としては、例えば、ジアゾ基、アジド基、シンナモイル基等が示される。熱反応性及び放射線反応性の官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基等を示すことができる。これらのうち、硬化処理を迅速におこなうことができ、簡易な設備で硬化させることができる点から、感光性の官能基を有する水溶性樹脂がより好ましく、アジド基を有する水溶性樹脂が非常に好ましい。
そして、上記した親水性ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(ポリ−HEMA)、ホスホリルコリン基含有高分子化合物、ポリエチレングリコール鎖含有高分子化合物、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン含有ポリマー等が好適例として示される。特に超親水性ポリマーを固定化すると、細胞の低吸着性という点において非常に好適である。
なお、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットにおいては、ウェルプレート1におけるウェル部5の内面に、この細胞回収用容器3における凹状部7内面に施された低吸着処理11と同種である低吸着処理が施されているのが好ましく、同じ低吸着処理が施されているのが特に好ましい。培養細胞が暴露される材料が1種類となり、培養細胞への影響をより少なくすることができるからである。
ここで、本実施形態において「同種」とは、化学的な性質として同じものであると許容される範囲内の化合物からなる群に包含されるものであることを意味し、「同種である低吸着処理」とは、そのような化合物からなる群に包含される化合物の少なくとも1つにより低吸着処理されていることを意味する。
この低吸着処理11は、例えば、国際公開第2013/183777号に記載の方法により行うことができる。また、その厚みは、例えば100〜5,000nm、好ましくは150〜1,000nm程度が例示される。
そして、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットのウェルプレート1および細胞回収用容器3は、成形性や視認性などの観点から、樹脂を材料(母材)として作製されたものであることが好ましい。この樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)等のポリオレフィン系樹脂または環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂等のメタクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等のフッ素系樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂等のアクリル系樹脂、プロピオネート樹脂等の繊維素系樹脂などが示される。
このような樹脂を材料として用いた場合、ウェルプレート1および細胞回収用容器3は射出成形、つまり樹脂原料を金型に流し込み、一定時間冷却して固める方法によって成形されるのが好ましい。また、ウェルプレート1のウェル部5の個数、開口径、底面形状等は特段限定されないが、例えば、平底やU底、V底などのウェル部が6、12、24、48、96、384ウェル配列して形成されているものなどが好適例として示される。なお、同じウェルプレート内においては、ウェル部5の底面形状は全て同じであることが好ましい。
そして、このウェルプレート1および細胞回収用容器3は、γ線照射滅菌、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌、低温プラズマ滅菌、蒸気滅菌などによって全体が滅菌処理される。
なお、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットのウェルプレート1には、従来公知の培地をいずれも使用することが可能であり、特段の制限はない。したがって、培養する細胞の種類などに応じて、培地を適宜選択して培養を行うことが可能である。
<細胞回収用容器の構成について>
本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの細胞回収用容器について、図1から図6を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの細胞回収用容器3は、ウェルプレート1のウェル部5に収容されていた細胞および培地を細胞回収用容器3の凹状部7に落下させたときに容易に回収可能であるようにするため、例えば図4に示すように、ウェルプレート1の上面側に細胞回収用容器3を嵌合装着した状態において、ウェルプレート1の上面と細胞回収用容器3の内底面との距離H0が、ウェル部5における底面部の深さH2より大きい構成であるのが好ましい。
ここで、ウェル部5における「底面部」とは、ウェル部5の内径の縮径がはじまる部分からウェル部5の最下面(底)までの部分であり、よって「底面部の深さH2」とは、図4に示すような、ウェル部5の内径の縮径がはじまる部分からウェル部5の最下面までの最短直線距離である。また、「ウェルプレート1の上面と細胞回収用容器3の内底面との距離H0」とは、ウェルプレート1の上面(ウェル部5の開口側の端部)から細胞回収用容器3の内底面までの最短直線距離である。
さらに、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの細胞回収用容器は、ウェルプレート1のウェル部5が細胞および培地により満たされていたとしても全量を容器内(凹状部7の内部)に回収可能であるようにするため、例えば図4に示すような、ウェルプレート1の上面側に細胞回収用容器3を嵌合装着した状態において、ウェルプレート1の上面と細胞回収用容器3の内底面との距離H0が、ウェル部5の上面から底面までの高さH1より大きい構成であるのがより好ましい。ここで、「ウェル部5の上面から底面までの高さH1」とは、ウェル部5の上面から最下面までの最短直線距離である。
同様に、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの細胞回収用容器は、ウェルプレート1のウェル部5が細胞および培地により満たされていたとしても全量を容器内(凹状部7の内部)に回収可能であるようにするため、例えば図5に示すような、ウェルプレート1の上面側に細胞回収用容器3を嵌合装着した状態において、ウェルプレート1の上面と細胞回収用容器3の凹状部7とにより形成された中空部の体積V(図5の細胞回収用容器3における網掛け部分の体積)が、ウェルプレート1における1つのウェル部5の内部体積v(1つのウェル部5における細胞や培地を収容可能な内部空間全体の体積であり、図5のウェル部5における網掛け部分の体積)とウェルプレート1におけるウェル部5の個数nとの積(v×n)よりも大きい構成、つまりV>v×nであるのがより好ましい。なお、図5は断面図であるため、Vおよびvはいずれも便宜的に面として記載しているが、これらはいずれも上記した体積を意味するものである。
また、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットの細胞回収用容器は、例えば図6に示すような、凹状部7が隔壁9により互いに仕切られた複数個の区画領域を有し、この隔壁9は、ウェルプレート1の上面側に細胞回収用容器3を嵌合装着した状態において、隣接するウェル部5どうしを隔てる位置に設けられている構成であるのがより好ましい。なお、この隔壁9の表面全体にも、凹状部7の内面と同様に、低吸着処理11が施されている。
このような構成であると、細胞回収用容器3に回収した細胞および培地が区画領域外のものと混合しないため、1枚のウェルプレート1において、複数種の細胞をウェル部5で培養して回収したり、同種の細胞を異なる培地によって培養して回収したりすることが可能となる。
なお、この隔壁9の高さ(隔壁9における、細胞回収用容器3の主面(ウェルプレート1と嵌合したときの天面)と垂直な方向の長さ)は、前述したウェル部5における底面部の深さH2超であり且つウェルプレート1の上面と細胞回収用容器3の内底面との距離H0未満である。
また、この隔壁9は、例えば図6に示すような、ウェルプレート1のウェル部5を長手方向あるいは短手方向の列を隔てるように区画領域を形成する構成(図6に示しているのは、1列8個のウェル部5を有しこの列が12列備わる96穴ウェルプレート1に嵌合して用いる、この12列を列毎に隔てる12の区画領域を有する細胞回収用容器3である)が例示される。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、例えば、上記した96穴ウェルプレート1のウェル部5を2個ずつ隔てるように細かく区画領域を形成した構成(48の区画領域を有する構成)などであっても良い。なお、この隔壁9は、ウェルプレート1のウェル部5を隔てることができない位置、例えば、ウェル部5の開口と重なる位置や、ウェルプレート1の端部(嵌合部21と、この嵌合部21と最も近いウェル部5との間など)には形成されない。
<変形例について>
本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットのさらなる変形例について説明する。
本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットにおいて、ウェルプレート1と細胞回収用容器3は、前述したように嵌合可能なものであるが、この嵌合において、図2から図5に示すような細胞回収用容器3がウェルプレート1の外側に嵌合する様式(嵌合部21)ではなく、ウェルプレート1が細胞回収用容器3の外側に嵌合する様式であっても良い。さらに、このような嵌合様式に加えて、ウェルプレート1あるいは細胞回収用容器3の少なくとも一方に、もう一方を掛止して嵌合状態を安定化させる部材である掛止部が備わっていても良い。
また、本実施形態に係る細胞回収用ウェルプレートセットは、細胞などの視認性を妨げない範囲内において、ウェルプレート1または細胞回収用容器3が着色、文字、マークまたは図形の少なくとも1つである標識体を示す標識部を備えていても良い。例えば、細胞回収用容器3の少なくとも一部が着色されたものであると、細胞培養する際などに使用する低吸着処理がされていない蓋との区別がし易いため非常に好ましい。
以上のような実施形態を含む本発明に係る細胞回収用ウェルプレートセットは、ウェルプレート1のウェル部5において培養した細胞や細胞凝集塊を、このウェルプレート1に嵌合する細胞回収用容器3によって容易に回収することができるものである。特に、ウェル部5から細胞回収用容器3の凹状部7に細胞を移してから回収を行うため、前述したように、細胞凝集塊であっても容易に回収することができる。したがって、本発明に係る細胞回収用ウェルプレートセットは、細胞凝集塊の回収するためのセットとすることもできる。そして、このウェルプレート1と細胞回収用容器3とを、いずれも滅菌包装して流通、販売することが可能である。
さらに、本実施形態においては、このような細胞回収用ウェルプレートセットに使用する細胞回収用容器3が単体として滅菌包装され、流通、販売されていても良い。あるいは、ウェルプレート1と、細胞回収用容器3と、細胞培養する際などに使用する低吸着処理がされていない蓋との3つをセットとして、滅菌包装されて流通、販売されていても良い。なお、上記した滅菌包装における滅菌方法は、前述した方法と同様にして行うことができる。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)上面側に開口する複数のウェル部が配列して形成されたウェルプレートと、前記ウェルプレートとともに用いられて前記ウェル部において培養された細胞を前記ウェル部から回収するための容器であって、前記ウェルプレートの前記上面側に嵌合する凹状部を有し、前記凹状部の内面に低吸着処理が施されている細胞回収用容器と、を備える、細胞回収用ウェルプレートセット。
(2)前記ウェルプレートにおける前記ウェル部の内面に、前記細胞回収用容器における前記凹状部の内面に施された低吸着処理と同種である低吸着処理が施されている、(1)に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
(3)前記ウェルプレートの前記上面側に前記細胞回収用容器を嵌合装着した状態において、前記ウェルプレートの上面と前記細胞回収用容器の内底面との距離H0が、前記ウェル部における底面部の深さH2より大きい、(1)または(2)に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
(4)前記距離H0が前記ウェル部の上面から底面までの高さH1より大きい、(3)に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
(5)前記ウェルプレートの前記上面側に前記細胞回収用容器を嵌合装着した状態において、前記ウェルプレートの上面と前記細胞回収用容器の前記凹状部とにより形成された中空部の体積Vが、前記ウェルプレートにおける前記ウェル部の1つの内部体積vと前記ウェルプレートにおける前記ウェル部の個数nとの積(v×n)よりも大きい、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
(6)前記細胞回収用容器の前記凹状部が隔壁により互いに仕切られた複数個の区画領域を有し、前記隔壁は、前記ウェルプレートの前記上面側に前記細胞回収用容器を嵌合装着した状態において隣接する前記ウェル部どうしを隔てる位置に設けられている、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
(7)細胞凝集塊を回収するためのセットである、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
(8)(1)〜(7)のいずれか1つに記載の細胞回収用ウェルプレートセットにおける前記ウェルプレートとともに用いられる、細胞回収用容器。
1 ウェルプレート
3 細胞回収用容器
5 ウェル部
7 凹状部
9 隔壁
11 低吸着処理
21 嵌合部
31 細胞
41 ピペット

Claims (8)

  1. 上面側に開口する複数のウェル部が配列して形成されたウェルプレートと、
    前記ウェルプレートとともに用いられて前記ウェル部において培養された細胞を前記ウェル部から回収するための容器であって、前記ウェルプレートの前記上面側に嵌合する凹状部を有し、前記凹状部の内面に低吸着処理が施されている細胞回収用容器と、を備える、
    細胞回収用ウェルプレートセット。
  2. 前記ウェルプレートにおける前記ウェル部の内面に、前記細胞回収用容器における前記凹状部の内面に施された低吸着処理と同種である低吸着処理が施されている、請求項1に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
  3. 前記ウェルプレートの前記上面側に前記細胞回収用容器を嵌合装着した状態において、前記ウェルプレートの上面と前記細胞回収用容器の内底面との距離H0が、前記ウェル部における底面部の深さH2より大きい、請求項1または2に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
  4. 前記距離H0が前記ウェル部の上面から底面までの高さH1より大きい、請求項3に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
  5. 前記ウェルプレートの前記上面側に前記細胞回収用容器を嵌合装着した状態において、前記ウェルプレートの上面と前記細胞回収用容器の前記凹状部とにより形成された中空部の体積Vが、前記ウェルプレートにおける前記ウェル部の1つの内部体積vと前記ウェルプレートにおける前記ウェル部の個数nとの積(v×n)よりも大きい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
  6. 前記細胞回収用容器の前記凹状部が隔壁により互いに仕切られた複数個の区画領域を有し、前記隔壁は、前記ウェルプレートの前記上面側に前記細胞回収用容器を嵌合装着した状態において隣接する前記ウェル部どうしを隔てる位置に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
  7. 細胞凝集塊を回収するためのセットである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の細胞回収用ウェルプレートセット。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の細胞回収用ウェルプレートセットにおける前記ウェルプレートとともに用いられる、細胞回収用容器。
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