JP2020155354A - 導電性ペーストおよびセラミック電子部品 - Google Patents

導電性ペーストおよびセラミック電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】スクリーン印刷による連続印刷において、平滑な塗膜の形成に優れた導電性ペーストおよび、この導電性ペーストを用いることにより、電気的特性の良好なセラミック電子部品を提供する。【解決手段】本発明にかかる導電性ペーストは、導電性金属粉末と、酸化物と、分散剤と、有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストである。この導電性ペーストは、温度25℃において、ズリ速度0.1s-1のときの粘度と、ズリ速度1000s-1のせん断を5秒間与えた後、さらにズリ速度0.1s-1のせん断を5秒間与えた後の粘度との比率が、0.3以下である。また、本発明にかかる導電性ペースト用いて導体パターンが作製されたセラミック電子部品である。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ペーストおよびセラミック電子部品に関する。
近年、電子機器の小型化・高機能化が急速に進んでおり、電子機器に搭載される積層セラミックコンデンサについても、小型化が要求されている。たとえば、積層セラミックコンデンサの場合、薄層化技術および多層化技術の進展により、アルミ電解コンデンサに代替できる高静電容量を有するものが商品化されるようになった。
このような、積層セラミックコンデンサの内部電極パターンを形成するために、セラミックグリーンシートにスクリーン印刷を行うが、印刷後の図形にニジミが発生する問題が生じていた。
上述の問題に対応するため、特許文献1に記載の導電性ペーストでは、導電性金属粉末と、有機ビヒクルとを含む導電性ペーストであって、温度25℃において、ズリ速度500s-1のときの粘度が1.0Pa・s〜10.0Pa・s、ズリ速度10s-1のときの粘度が5.0Pa・s〜20.0Pa・sであり、かつ、周波数1Hzにて、導電性ペーストヘ与える歪みをその導電性ペーストの線形領域内で変化させて測定した貯蔵弾性率と損失弾性率との比(tanδ)が2.0以上8.0以下とした導電性ペーストが開示されている。
特開2003−124052号公報
しかしながら、特許文献1の導電性ペーストでは、近年のように、より小型化された電子部品を製造する場合に、内部電極パターンを形成するために印刷すると、ニジミや塗膜のダレ等の印刷不良が発生するという問題を有していた。
それゆえに、本発明の目的は、スクリーン印刷による連続印刷において、平滑な塗膜の形成に優れた導電性ペーストを提供することである。また、本発明にかかる導電性ペーストを用いることにより、電気的特性の良好な電子部品を提供することである。
この発明にかかる導電性ペーストは、導電性金属粉末と、酸化物と、分散剤と、有機ビヒクルとを含み、温度25℃において、ズリ速度0.1s-1のときの粘度と、ズリ速度1000s-1のせん断を5秒間与えた後、さらにズリ速度0.1s-1のせん断を5秒間与えた後の粘度との比率が、0.3以下であること、を特徴とする、導電性ペーストである。
また、この発明にかかるセラミック電子部品は、前述の導電性ペーストを用いて導体パターンが作製されたこと、を特徴とする、セラミック電子部品である。
この発明にかかる導電性ペーストは、温度25℃において、ズリ速度0.1s-1のときの粘度と、ズリ速度1000s-1のせん断を5秒間与えた後にズリ速度0.1s-1のせん断を5秒間与えた後の粘度との比率が、0.3以下であるので、スクリーン印刷による連続印刷において、ペーストの流動性がよく、塗膜形状の凹凸がなく、平滑な塗膜が形成に優れた導電性ペーストを得ることができる。
また、この発明にかかるセラミック電子部品では、内部電極がセラミック本体に埋設されたセラミック電子部品において、前記内部電極が、本発明の導電性ペーストを使用して形成されているので、良好な印刷性を確保することが可能となり、電気的特性の良好なセラミック電子部品を高効率で得ることができる。
本発明によれば、スクリーン印刷による連続印刷において、平滑な塗膜の形成に優れた導電性ペーストを得ることができる。
また、本発明にかかる導電性ペーストを用いることにより、電気的特性の良好なセラミック電子部品を得ることができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明にかかるセラミック電子部品の一実施の形態を示す断面図である。
本発明にかかる導電性ペーストおよびその導電性ペーストを用いて導体パターンが形成されたセラミック電子部品の一実施の形態を、その製造方法と共に説明する。セラミック電子部品は、たとえば、積層セラミックコンデンサまたは積層セラミックインダクタのような受動素子や、素子間を電気的に接続する配線導体が形成されている多層セラミック基板などである。本実施の形態では、セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを例にして説明する。
1.導電性ペースト
本発明にかかる導電性ペーストは、導電性金属粉末と、共材であるペロブスカイト型酸化物と、分散剤と、有機ビヒクルとを含む。
有機ビヒクルは、バインダと、ペースト溶剤とを含む。
本発明にかかる導電性ペーストは、ズリ速度0.1s-1のときの粘度と、ズリ速度1000s-1のせん断を5秒間この導電性ペーストに与えた後、その導電性ペーストに対して、さらにズリ速度0.1s-1のせん断を5秒間与えた後の粘度との比率が、0.3以下である。
本発明にかかる導電性ペーストは、25℃の一定の温度下で、導電性ペーストに与える歪みを10%とし、周波数0.1Hzから10Hzまで変化させ貯蔵弾性率および損失弾性率を測定し、その周波数範囲内における貯蔵弾性率と損失弾性率との比(tanδ)が、0.5以上2.0以下である。これにより、導電性ペーストによるスクリーン印刷時におけるカスレやニジミの発生を抑制することができる。
一方、tanδが0.5より小さいと導電性ペーストの弾性が強くなり、流動性が悪いためにカスレの発生する可能性が高くなる。tanδが2.0より大きくなると導電性ペーストの粘性が強くなり、流動しすぎるためにニジミの発生する可能性が高くなる。
また、本発明にかかる導電性ペーストは、温度25℃の一定の温度下で、ズリ速度0.1s-1のときの粘度が100Pa・s以上600Pa・s以下であり、ズリ速度1000s-1のときの粘度が1.0Pa・s以上3.0Pa・s以下である。すなわち、本発明にかかる導電性ペーストは、低ズリ粘度が高く、高ズリ粘度が低い、いわゆるチクソ性が高いことにより、ニジミやカスレの発生を抑制することができる。
なお、粘度の測定条件は、ズリ速度0s-1以上1000s-1以下を60秒で変化させた際の0.1s-1と1000s-1時点での粘度を用いる。
導電性金属粉末は、たとえば、Ni粉末が用いられる。Ni粉末は、ペースト重量に対して、40重量%以上55重量%以下、含有される。
なお、導電性ペーストに含有される導電性粒子の材料としては、Niの他に、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の1種を含む合金(たとえば、Ag−Pd合金)などの導電材料も用いることができる。
また、導電性金属粉末の平均粒径は、100nm以上400nm以下の範囲であることが好ましく、これらの間で適宜選択することができる。セラミック電子部品の内部電極の薄層化・多層化の要求に対応するためである。
また、共材であるペロブスカイト型酸化物は、セラミックグリーンシートに用いられる誘電体材料に応じて、BaTiO3、CaZrO3、SrZrO3から選ばれる少なくとも1種を主成分とされる。このペロブスカイト型酸化物は、ペースト重量に対して、2.8重量%以上9.0重量%以下の範囲で含有される。
共材であるペロブスカイト型酸化物の平均粒径は、10nm以上100nm以下の範囲であることが好ましく、これらの間で適宜選択することができる。セラミック電子部品の内部電極の薄層化・多層化の要求に対応するためである。
分散剤は、アニオン性高分子分散剤である。そして、分散剤は、1.2重量%以上1.6重量%以下の範囲で含有される。また、分散剤は、導電性金属粉末とペロブスカイト型酸化物との合計重量に対して、2.1重量%以上3.7重量%以下の範囲で含有される。さらに、分散剤は、導電性金属粉末とペロブスカイト型酸化物との合計の比表面積に対して、3.6mg/m2以上6.3mg/m2以下の範囲で含有される。
なお、アニオン性高分子分散剤としては、スチレン/無水マレイン酸共重合物、オレフィン/無水マレイン酸共重合物、またはポリスチレンスルホン酸塩を用いることができる。
バインダは、たとえば、エチルセルロースが用いられる。そして、エチルセルロースは、1.4重量%以上2.2重量%以下の範囲で含有される。また、エチルセルロースは、Ni重量に対して、2.8重量%以上4.5重量%以下の範囲で含有される。
なお、バインダとしては、エチルセルロースの他に、メチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂を用いることができる。
ペースト溶剤は、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピニルアセテート、ジヒドロターピニルアセテートなどが用いられる。
本発明にかかる導電性ペーストによれば、ズリ速度0.1s-1のときの粘度と、ズリ速度1000s-1のせん断を5秒間この導電性ペーストに与えた後、その導電性ペースとに対して、さらにズリ速度0.1s-1を5秒間与えた後の粘度との比率が、0.3以下であるので、粘度の回復が遅いことから、スクリーン印刷による連続印刷において、ペーストの流動性がよく、塗膜形状の凹凸がなく、平滑な塗膜を形成しうる導電性ペーストを得ることができる。したがって、比較的小型の電子部品の内部電極パターンをスクリーン印刷する際に、良好な印刷性を得ることができる。
2.積層セラミックコンデンサ
図1は、前述の導電性ペーストを用いて内部電極が形成された積層セラミックコンデンサ1を示す長さ方向の垂直断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、セラミック本体10と、セラミック本体10の左右の端部に形成された外部電極20,22とを備えている。
セラミック本体10は、複数の内層用セラミック層11と、複数の内層用セラミック層11同士の界面に配設された複数の内部電極12,13と、複数の内層用セラミック層11を挟むように上下に配設された外層用セラミック層15a,15bとで構成された直方体形状の積層体構造を有している。
内部電極12と内部電極13とは、厚み方向において、内層用セラミック層11を介して対向している。この内部電極12と内部電極13とが、内層用セラミック層11を介して対向している部分に静電容量が形成されている。内部電極12,13は、前述の導電性ペーストを用いて作製されている。内部電極12,13は、Niからなる卑金属電極である。なお、内部電極12,13は、たとえば、Niの他に、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の1種を含む合金(たとえば、Ag−Pd合金)などの導電材料も用いることができる。
内部電極12の左側端部は、セラミック本体10の左側の端面に引き出されて外部電極20に電気的に接続されている。内部電極13の右側端部は、セラミック本体10の右側の端面に引き出されて外部電極22に電気的に接続されている。
内層用セラミック層11は、Sr、Zrを主たる成分とするペロブスカイト型酸化物などの誘電体材料からなる。上下に配設された外層用セラミック層15a,15bも、それぞれ、内層用セラミック層11と同じ誘電体材料が用いられている。なお、この誘電体材料は、Ba、Tiを主たる成分とするペロブスカイト型酸化物でもよいし、Ca、Zrを主たる成分とするペロブスカイト型酸化物でもよい。
また、外部電極20,22は、Cuを含む電極層と、その電極層の表面に形成されるはんだ食われを防止するためのNiを含む第1のめっき層と、第1のめっき層の表面に形成されるSnを含む第2のめっき層とにより構成された3層構造で構成されている。
以上の構成からなる積層セラミックコンデンサ1は、内部電極12,13に対して、ズリ速度0.1s-1のときの粘度と、ズリ速度1000s-1のせん断を5秒間この導電性ペーストに与えた後、その導電性ペーストに対して、さらにズリ速度0.1s-1を5秒間与えた後の粘度との比率が、0.3以下である導電性ペーストを用いているため、導電性ペーストの粘度回復が遅く、スクリーン印刷による連続印刷において、ペーストの流動性がよいことから、平滑な塗膜を形成することができる。したがって、この発明にかかる導電性ペーストを使用することによって、良好な印刷性を確保することが可能となり、電気的特性の良好な積層セラミック電子部品を高効率で得ることができる。
3.積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、前述の積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する。
(内層もしくは外層用セラミックグリーンシートの作製)
まず、誘電体材料として、Sr、Zrを主たる成分とするペロブスカイト型酸化物が準備される。この誘電体材料から得られた誘電体粉末に有機バインダ、有機溶剤、可塑剤および分散剤を所定の割合で混合し、セラミックスラリーが作製される。このセラミックスラリーは、樹脂フィルム上に、内層もしくは外層用セラミックグリーンシートに成形される。
(導電性ペーストの作製)
次に、内部電極を形成するための導電性ペーストを作製するために、導電性金属粉末であるNi粉末と、共材であるペロブスカイト型酸化物と、アニオン性高分子分散剤と、有機ビヒクルとが準備される。ここで、有機ビヒクルを準備するために、バインダとペースト溶剤とが準備される。
導電性金属粉末は、たとえば、Ni粉末が用いられる。Ni粉末は、ペースト重量に対して、40重量%以上55重量%以下、含有される。
なお、導電性ペーストに含有される導電性金属粉末の材料としては、Niの他に、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の1種を含む合金(たとえば、Ag−Pd合金)などの導電材料を用いることができる。
また、導電性金属粉末の平均粒径は、100nm以上400nm以下の範囲であることが好ましく、これらの間で適宜選択することができる。
また、共材であるペロブスカイト型酸化物として、たとえば、SrZrO3が準備される。このペロブスカイト型酸化物は、ペースト重量に対して、2.8重量%以上9.0重量%以下の範囲で含有される。
なお、共材であるペロブスカイト型酸化物は、セラミックグリーンシートに用いられる誘電体材料に応じて、BaTiO3、CaZrO3、SrZrO3から選ばれる少なくとも1種を主成分とされる。
また、共材であるペロブスカイト型酸化物の平均粒径は、10nm以上100nm以下の範囲であることが好ましい。
分散剤は、アニオン性高分子分散剤である。そして、分散剤は、1.2重量%以上1.6重量%以下の範囲で含有される。また、分散剤は、導電性金属粉末とペロブスカイト型酸化物との合計重量に対して、2.1重量%以上3.7重量%以下の範囲で含有される。さらに、分散剤は、導電性金属粉末とペロブスカイト型酸化物との合計の比表面積に対して、3.6mg/m2以上6.3mg/m2以下の範囲で含有される。
なお、アニオン性高分子分散剤としては、スチレン/無水マレイン酸共重合物、オレフィン/無水マレイン酸共重合物、またはポリスチレンスルホン酸塩を用いることができる。
バインダは、たとえば、エチルセルロースが用いられる。そして、エチルセルロースは、1.4重量%以上2.2重量%以下の範囲で含有される。また、エチルセルロースは、Ni重量に対して、2.8重量%以上4.5重量%以下の範囲で含有される。
なお、バインダとしては、エチルセルロースの他に、メチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂を用いることができる。
ペースト溶剤は、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピニルアセテート、ジヒドロターピニルアセテートなどが用いられる。
そして、準備されたバインダとペーストとが混合され、有機ビヒクルが作製される。
続いて、上記に示した材料である導電性金属粉末、共材であるペロブスカイト型酸化物、アニオン性高分子分散剤、有機ビヒクルが調合され、3本ロールミル等で分散され、35℃以上45℃以下の範囲で、72時間以上密閉状態で保管されることにより、導電性ペーストが作製される。
(積層セラミックコンデンサの作製)
次に、内層用セラミックグリーンシート上に、本発明にかかる導電性ペーストがスクリーン印刷され、内部電極12,13となる導電性ペースト膜(焼成前の導体パターン)が形成される。
次に、導電性ペースト膜が形成された内層用セラミックグリーンシートは、導電性ペースト膜の端部の引き出し方向が互い違いになるように、複数枚積層される。さらに、外層用セラミックグリーンシート層が、積層された内層用セラミックグリーンシートを挟むように上下に積層される。すなわち、内層用セラミックグリーンシートと同じ材料からなり、かつ、導電性ペースト膜が形成されていない外層用セラミックグリーンシートが、所定の厚みになるように複数枚積層されて圧着され、積層体が形成される。そして、この積層体は、所定の製品サイズに切り分けられ、未焼成のセラミック本体10が得られる。
次に、切り分けられた未焼成のセラミック本体10は、窒素雰囲気中、400℃、10時間の条件で脱脂処理された後、窒素−水素−水蒸気混合雰囲気中、トップ温度1200℃、酸素分圧10-9〜10-10MPaの条件で焼成され、焼結したセラミック本体10とされる。
内層用および外層用セラミックグリーンシートと導電性ペースト膜とは同時焼成され、内層用セラミックグリーンシートは内層用セラミック層11となり、外層用セラミックグリーンシートは外層用セラミック層15a,15bとなり、導電性ペースト膜は内部電極12,13となる。
次に、焼結したセラミック本体10の両端部に、それぞれ、Cuを主成分とする外部電極ペーストが塗布されて焼き付けられ、内部電極12,13に電気的に接続された電極層が形成される。さらに、電極層の表層に、NiめっきおよびSnめっきが施され、外部電極20,22が形成される。こうして、所望の積層セラミックコンデンサ1が得られる。
(実験例)
1.実験例
以下、実験例の試料が作製され、導電性ペーストの特性評価(塗膜欠陥の有無)が行われた。
(内層用もしくは外層用セラミックグリーンシートの作製)
まず、内層用および外層用セラミック層の主成分は、誘電体材料として、Sr、Zrを含むペロブスカイト型酸化物を使用した。上記セラミックス誘電体粉末を有機バインダ、有機溶剤、可塑剤、分散剤を所定の割合で混合し、セラミックスラリーを調整した。それから、このセラミックスラリーを樹脂フィルム上に、内層用セラミックグリーンシートを作製した。
(導電性ペーストの作製)
次に、実験例の試料である導電性ペーストを作製した。
試料である導電性ペーストを作製するために、導電性金属粉末と、共材であるペロブスカイト型酸化物と、分散剤と、有機ビヒクルとを準備した。
導電性金属粉末としては、Ni粉末を準備し、ペースト重量に対して、40重量%以上55重量%以下となるようにした。
共材である酸化物としては、ペロブスカイト型酸化物であるSrZrO3を準備し、ペースト重量に対して、2.8重量%以上9.0重量%以下となるようにした。
分散剤としては、アニオン性高分子分散剤を準備した。そして、分散剤は、0.9重量%以上1.8重量%以下の範囲内で準備した。また、分散剤は、導電性金属粉末とペロブスカイト型酸化物との合計重量に対して、1.8重量%以上3.7重量%以下の範囲内で準備した。さらに、分散剤は、Niと共材である酸化物との合計の比表面積に対して、2.8mg/m2以上6.3mg/m2以下の範囲内で準備した(表1を参照)。なお、比表面積は、BET法により求めた。
バインダとしては、エチルセルロースを準備し、Ni重量に対して、2.8重量%以上4.5重量%以下とした。
ペースト溶剤としては、ジヒドロターピニルアセテートを準備した。
なお、Ni粉末の平均粒径は、200nmのものを用いた。また、Sr、Zrを含むペロブスカイト型酸化物の平均粒径は、30nmのものを用いた。なお、平均粒径は、メジアン径(D50)である。
そして、準備されたバインダとペースト溶剤とが混合され、有機ビヒクルを作製した。
続いて、Ni粉末、共材であるペロブスカイト型酸化物、アニオン性高分子分散剤および有機ビヒクルが調合され、3本ロールミル等で分散することにより、導電性ペーストを作製した。さらに、導電性ペーストを35℃以上45℃以下の範囲で、72時間以上密閉状態で保管し、各試料の導電性ペーストを得た。
表1は、Ni粉末、酸化物、分散剤、バインダ、ペースト溶剤の各含有量、Ni粉末の重量に対するバインダの含有量、Ni粉末と酸化物の合計重量に対する分散剤の含有量、およびNi粉末と酸化物の合計の比表面積に対する含有量のそれぞれを示す。なお、表中の*印を付した試料番号の試料は、本発明の範囲外である。
Figure 2020155354
2.各試料の特性評価の方法
まず、導電性ペーストの粘度の測定方法および内層用セラミックグリーンシートに対する印刷条件は、以下の通りとした。
(ペースト粘度の測定方法)
各試料である導電性ペーストの粘度の測定方法は以下の通りとした。すなわち、粘度の測定には、アントンパール社製のレオメーターMCR−302を用いた。そして、ズリ速度を連続的に変化させた際のペースト粘度を測定した。ズリ速度0s-1から1000s-1を60秒で変化させ、続いて、ズリ速度1000s-1から0s-1を60秒で変化させた。粘度の測定条件は、ズリ速度1000s-1から0s-1を60秒で変化させた際の0.1s-1と1000s-1時点での粘度を用いた。温度は、25℃とした。
(印刷条件)
各試料である導電性ペーストを内層用セラミックグリーンシート上に印刷した。開口部の厚みが4μm、メッシュ孔部厚みが10μmであり、開口率が48%の印刷パターン、およびゴム硬度90度の樹脂製スキージを用いてスクリーン印刷により内部電極パターン(導電性ペースト膜)を形成した。内部電極パターンの図形は、0.4mm×0.7mmの長方形パターンとした。印刷方向は図形パターンに対して長手方向とした。試料数は、各試料につき30個の内部電極パターンを準備した。
また、導電性ペーストの評価のための指標として、粘度回復率および粘弾性を用い、塗膜欠陥の有無により評価した。
(粘度回復率)
導電性ペーストの粘度回復率は、アントンパール社製レオメーターMCR−302を用いて、ズリ速度を不連続に変化させた際のペースト粘度を測定し、ペーストの粘度回復率を算出した。ズリ速度0.1s-1で30秒間せん断を与えた際の粘度を測定し(粘度の測定値A)、その後、ズリ速度1000s-1として、せん断を5秒間この導電性ペーストに与えた後、その導電性ペーストに対して、さらにズリ速度0.1s-1に変化させて、せん断を5秒間与えた後(回復処理後)の粘度を測定した(粘度の測定値B)。そして、粘度回復率として、粘度の測定値Aと粘度の測定値Bとの比率(粘度の測定値B)/(粘度の測定値A)を算出した。
(粘弾性)
各試料である導電性ペーストの動的粘弾性は、アントンパール社製レオメーターMCR−302を用いて、測定した。動的粘弾性の測定条件は、25℃において、導電性ペーストへ与える歪みを10%とし、周波数:0.1Hz以上10Hz以下まで変化させ、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)とそれぞれ測定した。そして、動的粘弾性は、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)との比tanδ(G’/G’’)により算出した。
(塗膜欠陥の有無)
導電性ペーストの評価は、スクリーン印刷後の塗膜欠陥の有無を観察することにより行った。すなわち、上述した印刷条件に基づいて印刷された内部電極パターンの塗膜に対して、レーザー顕微鏡(キーエンス社製)により3D形状の画像として撮影した。そして、塗膜の設計厚みに対して、1/2以下の厚みとなっている箇所を凹部と認定し、その凹部が発見された場合は、塗膜欠陥ありと判断した。
3.各試料に対する特性評価の結果
表2は、ズリ速度0.1s-1としたときの粘度、1000s-1としたときの粘度、および再度0.1s-1としたときの粘度(回復処理後の粘度)、粘度回復率、およびtanδ、ならびに塗膜欠陥の発生数を示す。なお、表中の*印を付した試料番号の試料は、本発明の範囲外である。
Figure 2020155354
表2から、本発明の範囲内である、試料番号2ないし試料番号6、および試料番号9の導電性ペーストを用いた場合、粘度回復率が0.3以下の範囲であるので、粘度の回復が遅いことにより、スクリーン印刷による連続印刷において、ペーストの流動性がよく、塗膜形状の凹凸がなく、平滑な塗膜が形成されていることが確認された。
また、塗膜欠陥が発生しない試料番号2ないし試料番号6、および試料番号9の導電性ペーストは、分散剤は、導電性金属粉末とペロブスカイト型酸化物との合計の比表面積に対して、3.6mg/m2以上6.3mg/m2以下の範囲で含有されると、平滑な塗膜が形成されていることが確認された。
一方、試料番号1、試料番号7、試料番号8、および試料番号10の導電性ペーストを用いた場合、粘度回復率が0.3より大きい範囲であるので、塗膜欠陥が発生した。
なお、試料番号1ないし試料番号10の導電性ペーストは、25℃の一定の温度下で、導電性ペーストに与える歪みを10%とし、周波数0.1Hzから10Hzまで変化させ貯蔵弾性率および損失弾性率を測定し、その周波数範囲内における貯蔵弾性率と損失弾性率との比(tanδ)が、0.5以上2.0以下であるので、導電性ペーストによるスクリーン印刷時におけるカスレやニジミの発生を抑制されていることが確認された。なお、導電性ペーストに与える歪みが0.1%から50%において、貯蔵弾性率が一定値であり、線形応答を示すことを確認して、歪みを10%とした。
また、試料番号1ないし試料番号10の導電性ペーストは、温度25℃の一定の温度下で、ズリ速度0.1s-1のときの粘度が100Pa・s以上600Pa・s以下であり、ズリ速度1000s-1のときの粘度が1.0Pa・s以上3.0Pa・s以下であるので、低ズリ粘度が高く、高ズリ粘度が低い、いわゆるチクソ性が高いことにより、ニジミやカスレの発生を抑制されていることが確認された。
ここで、ニジミは、1つの内部電極パターンの図形のエッジから、ニジんでいる最大のニジミ箇所をニジミ距離とし、ニジミ距離が10μm以上の場合、それをニジミありと判断した。
また、カスレは、1つの内部電極パターンの図形中に白抜けがある場合、または図形のエッジが欠けている場合、それをカスレありと判断した。
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
1 セラミック電子部品(積層セラミックコンデンサ)
10 セラミック本体
11 内層用セラミック層
12,13 内部電極
15a,15b 外層用セラミック層
20,22 外部電極

Claims (5)

  1. 導電性金属粉末と、酸化物と、分散剤と、有機ビヒクルとを含み、
    温度25℃において、ズリ速度0.1s-1のときの粘度と、
    ズリ速度1000s-1のせん断を5秒間与えた後、さらにズリ速度0.1s-1のせん断を5秒間与えた後の粘度との比率が、0.3以下であること、
    を特徴とする、導電性ペースト。
  2. 温度25℃において、
    周波数0.1Hz以上10Hz以下にて、導電性ペーストへ与える歪みを10%とし、かつ、周波数0.1Hzから10Hzまで変化させ、その導電性ペーストの線形領域内で測定した貯蔵弾性率と損失弾性率との比(tanδ)が、0.5以上2.0以下である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 温度25℃において、
    ズリ速度0.1s-1のときの粘度が100Pa・s以上600Pa・s以下であり、
    ズリ速度1000s-1のときの粘度が1.0Pa・s以上3.0Pa・s以下であること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記分散剤は、アニオン性高分子分散剤であり、
    前記分散剤の添加量が、前記導電性金属粉末と前記酸化物の比表面積の合計に対して、3.6mg/m2以上6.3mg/m2以下であること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の導電性ペースト。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて導体パターンが作製されたこと、を特徴とする、セラミック電子部品。
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