JP7255263B2 - 導電性ペーストおよびセラミック電子部品 - Google Patents
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Description
また、この発明にかかるセラミック電子部品は、前述の導電性ペーストを用いて導体パターンが作製されたこと、を特徴とする、セラミック電子部品である。
また、この発明にかかるセラミック電子部品では、内部電極がセラミック本体に埋設されたセラミック電子部品において、前記内部電極が、本発明の導電性ペーストを使用して形成されているので、良好な印刷性を確保することが可能となり、電気的特性の良好なセラミック電子部品を高効率で得ることができる。
また、本発明にかかる導電性ペーストを用いることにより、電気的特性の良好なセラミック電子部品を得ることができる。
本発明にかかる導電性ペーストは、導電性金属粉末と、共材であるペロブスカイト型酸化物と、バインダと、分散剤と、ペースト溶剤とを含む。
図1は、前述の導電性ペーストを用いて内部電極が形成された積層セラミックコンデンサ1を示す長さ方向の垂直断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、セラミック本体10と、セラミック本体10の左右の端部に形成された外部電極20,22とを備えている。
次に、前述の積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する。
まず、誘電体材料として、Sr、Zrを主たる成分とするペロブスカイト型酸化物が準備される。この誘電体材料から得られた誘電体粉末に有機バインダ、有機溶剤、可塑剤および分散剤を所定の割合で混合し、セラミックスラリーが作製される。このセラミックスラリーは、樹脂フィルム上に、内層もしくは外層用セラミックグリーンシートに成形される。
次に、内部電極を形成するための導電性ペーストを作製するために、導電性金属粉末であるNi粉末と、共材であるペロブスカイト型酸化物と、バインダと、アニオン性高分子分散剤と、ペースト溶剤とが準備される。
次に、内層用セラミックグリーンシート上に、本発明にかかる導電性ペーストがスクリーン印刷され、内部電極12,13となる導電性ペースト膜(焼成前の導体パターン)が形成される。
1.実験例
以下、実験例の試料が作製され、導電性ペーストの特性評価(粘度安定性および印刷性)が行われた。
まず、内層用および外層用セラミック層の主成分は、誘電体材料として、ペロブスカイト型酸化物を使用した。上記セラミックス誘電体粉末を有機バインダ、有機溶剤、可塑剤、分散剤を所定の割合で混合し、セラミックスラリーを調整した。それから、このセラミックスラリーを樹脂フィルム上に、内層用セラミックグリーンシートを作製した。
次に、実験例の試料である導電性ペーストを作製した。
導電性金属粉末としては、Ni粉末を準備し、ペースト重量に対して、40重量%以上55重量%以下となるようにした。
共材である酸化物としては、ペロブスカイト型酸化物であるSrZrO3、CaZrO3およびBaTiO3を準備し、ペースト重量に対して、2.8重量%以上9.0重量%以下となるようにした。
バインダとしては、エチルセルロースを準備し、Ni重量に対して、2.8重量%以上5.0重量%以下とした。
分散剤としては、アニオン性高分子分散剤を準備し、Niと共材である酸化物との合計の比表面積に対して、1.3mg/m2以上4.8mg/m2の範囲内で準備した(表1を参照)。なお、比表面積は、BET法により求めた。
ペースト溶剤としては、ジヒドロターピニルアセテートを準備した。
まず、導電性ペーストの粘度の測定方法および内層用セラミックグリーンシートに対する印刷条件は、以下の通りとした。
各試料である導電性ペーストの粘度の測定方法は以下の通りとした。すなわち、粘度の測定には、東機産業(製)RE80型粘度計を用いた。粘度の測定条件は、回転数を10rpm(ずり速度:20s-1)とし、温度は、25℃とした。
各試料である導電性ペーストを内層用セラミックグリーンシート上に印刷した。開口部の厚みが4μm、メッシュ孔部厚みが10μmであり、開口率が48%の印刷パターン、およびゴム硬度90度の樹脂製スキージを用いてスクリーン印刷により内部電極パターン(導電性ペースト膜)を形成した。内部電極パターンの図形は、0.4mm×0.7mmの長方形パターンとした。印刷方向は図形パターンに対して長手方向とした。試料数は、各試料につき30個の内部電極パターンを準備した。
粘度安定性は、導電性ペーストの作製時における粘度(初期粘度)と、導電性ペーストを作製してから30日経過後における粘度(30日後の粘度)とに基づいて、以下の式により、増粘率を算出した。
増粘率(%)=((30日後の粘度)-(初期粘度))/(初期粘度)×100
ここで、増粘率が±20%以内であれば、粘度安定性が良好であると判定し、増粘率が±20%を超える場合であれば、粘度安定性が不良であると判定した。なお、導電性ペーストの30日の保存状態は、5℃~10℃の範囲で冷蔵し、密閉状態とした。
作製後の導電性ペーストを印刷し、内層用セラミックグリーンシートに対する内部電極パターンの印刷性を観察した。
形成した内部電極パターンの表面を光学顕微鏡で観察し、ニジミ、カスレの有無を評価した。各試料に対して内部電極パターン30個を観察し、ニジミ、カスレともに1つも存在しなかった場合は、印刷性は良好と判定し、ニジミ、カスレの少なくともどちらか一方が観察されれば印刷性は不良であると判定した。
なお、ニジミは、1つの内部電極パターンの図形のエッジから、ニジんでいる最大のニジミ箇所をニジミ距離とし、ニジミ距離が10μm以上の場合、それをニジミありと判断した。
また、カスレは、1つの内部電極パターンの図形中に白抜けがある場合、または図形のエッジが欠けている場合、それをカスレありと判断した。
表2は、増粘率、粘度安定性および印刷性のそれぞれの評価結果を示す。なお、表中の*印を付した試料番号の試料は、本発明の範囲外である。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
10 セラミック本体
11 内層用セラミック層
12,13 内部電極
15a,15b 外層用セラミック層
20,22 外部電極
Claims (4)
- 少なくとも導電性金属粉末と、酸化物と、バインダと、分散剤と、溶剤を含有する導電性ペーストであって、
前記分散剤は、アニオン性高分子分散剤のみであり、
前記分散剤の添加量が、前記導電性金属粉末と前記酸化物の合計の比表面積に対して、1.8mg/m2以上3.0mg/m2以下であり、
前記導電性金属粉末は、前記導電性ペーストの重量に対して40重量%以上55重量%以下で含有され、
前記酸化物は、前記導電性ペーストの重量に対して2.8重量%以上9.0重量%以下で含有されること、
を特徴とする、導電性ペースト。 - 前記酸化物は、BaTiO3、CaZrO3、SrZrO3から選ばれる少なくとも1種を主成分とする、請求項1に記載の導電性ペースト。
- 前記アニオン性高分子分散剤は、スチレン/無水マレイン酸共重合物、オレフィン/無水マレイン酸共重合物、またはポリスチレンスルホン酸塩であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の導電性ペースト。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて導体パターンが作製されたこと、を特徴とする、セラミック電子部品。
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