JP2020155334A - 二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
図1に、二次電池10の構成の一例を概略的に示す。図1(A)が二次電池10の外観を概略的に示す斜視図であり、図1(B)が図1(A)におけるIB−IB断面を概略的に示す図である。また、図2に、二次電池10に備えられる第1の電極1の構成の一例を概略的に示す。図2(A)が第1の電極1の外観を概略的に示す斜視図であり、図2(B)が図2(A)におけるIIB−IIB断面を概略的に示す図であり、図2(C)が孔1dの径について説明するための概略図である。さらに、図3に、二次電池10に備えられる第2の電極2の構成の一例を概略的に示す。図3(A)が第2の電極2の外観を概略的に示す図であり、図3(B)が第2の電極2の径について説明するための概略図である。
図2に示すように、第1の電極1は、一方面1a、他方面1b及び側面1cを有するとともに一方面1aから他方面1bに向かって延びる複数の孔1dを有する。第1の電極1は一定の強度を有していればよく、その壁面は密であっても多孔質であってもよい。
第1の電極1の一方面1a及び他方面1bの面形状は特に限定されるものではない。図2には当該面形状が四角形状のものを例示したが、四角形状以外の多角形状であってもよいし、円形状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。一方面1a及び他方面1bは必ずしも平坦でなくてもよい。一方面1a及び他方面1bの面積(複数の貫通孔1dの開口面積を含む全面の面積)は特に限定されるものではなく、目的とする電池の規模や性能に応じて当該面積を適宜決定すればよい。例えば、一方面1a及び他方面1bの面積を50mm2以上100000mm2以下としてもよい。
第1の電極1の一方面1a及び他方面1bは側面1cを介して結合している。側面1cは平面によって構成されていてもよいし、曲面によって構成されていてもよいし、平面と曲面との組み合わせによって構成されていてもよい。第1の電極1の側面1cの一方面1aから他方面1bまでの長さ(第1の電極1の高さ)は特に限定されるものではない。目的とする電池の規模や性能に応じて、第1の電極1の高さを適宜決定すればよい。例えば、当該高さを5mm以上2000mm以下としてもよい。
第1の電極1は一方面1aから他方面1bへと向かって伸びる複数の孔1dを有する。図2には、孔1dの断面形状(開口形状)が四角形状のものを例示したが、四角形状以外の多角形状であってもよいし、円形状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。孔1dの径は特に限定されるものではない。充放電サイクル後の容量維持率を一層高める観点からは、孔1dの径が100μm以上600μm以下であってもよい。
第1の電極1は、電池の充放電時にキャリアイオンを挿入・脱離可能な材料を含む。第1の電極1を負極とする場合、当該第1の電極1は負極活物質を含み得る。第1の電極1を正極とする場合、当該第1の電極1は正極活物質を含み得る。公知の活物質のうち、所定のキャリアイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)が、卑な電位であるものを負極活物質とし、貴な電位であるものを正極活物質として用いることができる。
図1に示すように、第2の電極2は、第1の電極1の複数の孔1dの各々に挿入されている。図3に示すように、第2の電極2は、活物質及びバインダーを含む活物質層2aと、金属ワイヤからなる芯材2bと、を備えるロッド型の電極である。
第2の電極2は芯材2bを含んでおり、第2の電極2の長手方向は芯材2bの長手方向に沿ったものとなる。第2の電極2の長手方向と直交する断面の径や断面積は、第1の電極1の孔1dの開口形状等に応じて適宜決定すればよい。例えば、第2の電極2の径は50μm以上550μm以下であってもよい。また、第2の電極2の断面積は0.00009mm2以上0.95mm2以下であってもよい。
活物質層2aは活物質とバインダーとを含む。第1の電極1が負極である場合、第2の電極2の活物質層2aに含まれる活物質は正極活物質である。第1の電極1が正極である場合、第2の電極2の活物質層2aに含まれる活物質は負極活物質である。第2の電極2に含まれ得る活物質の種類や量は特に限定されるものではなく、目的とする電池の性能に応じて適宜決定すればよい。
第2の電極2は芯材2bとして金属ワイヤを含む。第2の電極2において芯材2bとして金属ワイヤを採用することで、活物質層2aにおけるバインダーを最適配置に導くことができるものと考えられ、第2の電極2の強度を高めることができるとともに、二次電池としての充放電サイクル後の容量維持率を向上させることができる。
図1に示すように、セパレータ層3は、第1の電極1と第2の電極2との間に配置されている。より具体的には、セパレータ層3は、第1の電極1の孔1dの内壁と、第2の電極2の活物質層2aの表面との間に配置されている。
セパレータ層3の形状は、第1の電極1や第2の電極2の形状に応じて適宜決定すればよい。図1に示す形態において、セパレータ層3は全体として筒状であり、第2の電極2の表面のうち、第1の電極1の孔1dの内壁と対向する部分の実質的に全面を被覆している。或いは、セパレータ層3は、第1の電極1の孔1dの内壁を被覆していてもよい。セパレータ層3と第1の電極1との間や、セパレータ層3と第2の電極2との間には、隙間があってもよいし、なくてもよい。セパレータ層3は複数の層からなっていてもよい。
セパレータ層3は、所定のキャリアイオン伝導度を発現し得る材料からなる。例えば、二次電池10を電解液系電池とする場合、セパレータ層3は電解液に含浸された状態において所定のキャリアイオン伝導度を発現し得る。この場合、セパレータ層3は各種ポリマーにより構成することができる。より高いキャリアイオン伝導度を発現させ得る観点、及び、セパレータ層3のピンホールの生成やセパレータ層3の破壊を抑制する観点からは、セパレータ層3がフッ化ビニリデンに由来する重合単位(VdF単位)とヘキサフルオロプロピレンに由来する重合単位(HFP単位)とを有する共重合体(PVdF−HFP)から構成されていてもよい。この場合、共重合体におけるVdF単位とHFP単位との重合比は特に限定されるものではない。また、共重合体の分子量についても特に限定されるものではない。
上記の説明では、二次電池10において第1の電極1の孔1dの内部にのみセパレータ層3が設けられた形態について説明したが、セパレータ層が設けられる箇所は孔1dの内部のみに限定されるものではない。セパレータ層が孔1dの外部にはみ出し、第1の電極1の一方面1aや他方面1bを被覆していてもよい。
二次電池10を製造する方法は特に限定されるものではない。図4に二次電池10の製造方法の流れの一例を示す。図4に示すように、二次電池10は、金属ワイヤを芯材2bとしてその周囲に活物質層2aを配置してロッド型の第2の電極2を作製する第1工程(図4(A))と、第2の電極2の側面をセパレータ層3で被覆して被覆電極体4を得る第2工程(図4(B))と、第1の電極1を得る第3工程(図4(C))と、第1の電極1の孔1dに被覆電極体4を挿入する第4工程(図4(D))とを備えている。
第2の電極の活物質層においてバインダーが偏在化してしまうと、そこが電子・イオンの抵抗部分となり易い。この点、第2の電極の活物質層において、バインダーが網目状に均一に分布していることが理想的である。また、第2の電極の強度が十分でない場合、充放電サイクルにおける繰り返しの膨張・収縮によって、第2の電極が劣化し、二次電池としての性能が低下する虞がある。これに対し、二次電池10によれば、第2の電極2に芯材2bとして金属ワイヤが存在することにより、活物質層2a中のバインダーが金属ワイヤに絡み、活物質層2aにおけるバインダーの偏在化を抑制できるものと考えられる。結果として、第2の電極2の強度が高まるとともに、充放電後の容量維持率が向上する。
1.1.第1の電極の作製
負極活物質として黒鉛粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンと、潤滑剤・可塑剤としてグリセリン及びステアリン酸と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンとを用い、これらを混練することで粘土状の混合物を得た。得られた混合物を押出成形したうえで、120℃で30分予備乾燥を行った。その後、180℃で5時間乾燥したうえで、不活性雰囲気下、600℃で3時間焼成することで、ハニカム型の負極を得た。得られた負極の孔の径は500μmであり、以下の手順で特定される活物質密度は1.2g/cm3であった。
(1)負極を幅10mm×10mm、高さ10mmの四角サイズに切り出した。切り出したハニカムのSEM画像の一例を図5に示す。
(2)SEM画像を複数枚撮影し、計10カ所のハニカム孔幅(最大内接円の直径)とハニカム壁厚(リブ厚)とを測定し、その平均値を求めた。
(3)切り出したハニカムのサイズ(10mm×10mm×10mm)から、ハニカム孔幅の平均値LOPとハニカム壁厚の平均値LWとから算出される孔体積を除外し、ハニカム本体の体積(ハニカム壁部の体積)を算出した。
(4)熱重量分析を行い、ハニカムに含まれるバインダーの残差量を特定した。本実施例では当該残差量は2wt%であった。すなわち、切り出したハニカムの重量WNEに対して、当該ハニカムに含まれる活物質の重量はWNE×0.98であった。
(5)以下の式に基づき、ハニカムにおける活物質密度dNEを算出した。
正極活物質としてLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2と、導電助剤としてカーボンブラックと、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを、重量比で、正極活物質:導電助剤:バインダー=85:10:5となるように秤量し、これらを混合後、アルミニウム製の金属ワイヤ(ワイヤ径20μm)を挟んで平板状の単離厚膜とし、加圧して高密度化した。その後、単離厚膜を金属ワイヤに沿って切断し、120℃で8時間乾燥させることで、金属ワイヤを芯材とするロッド型の正極を得た。得られた正極について、以下の手順で特定される活物質密度は2.2g/cm3であった。
ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)をN−メチルピロリドンに溶解させ、これをガラス基板に塗布して乾燥後、剥離することで、厚さ5μmのPVdF−HFP単離膜を得た。
得られたPVdF−HFP単離膜を上記のロッド型の正極に巻き付けて、150℃で加熱することで正極の表面に単離膜を固着させ、被覆電極体を得た。
被覆電極体を30本用意し、上記のハニカム型の負極の孔に挿入することで評価用の二次電池を得た。二次電池は電解液系の電池とした。電解液には、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを、体積比で、30:40:30で混合した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた。電池をガラス製容器に封入し、負極と正極とに導線を接続し、以下の評価を行った。
作製した二次電池を25℃の温度環境下、C/10レートで上限電圧4.1Vの定電流定電圧充電(定電圧2時間)、及び、下限電圧3.0Vの定電流放電を行った。この時の放電容量を初期容量Q1とした。その後、同様の条件で充放電サイクルを10サイクル行った後の放電容量をサイクル後容量Q2とした。Q1とQ2とから、充放電サイクル後の容量維持率(Q2/Q1)を算出した。
ロッド型の正極におけるバインダーとして、PTFEに替えてPVdFを採用したこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
セパレータ層として、PVdF−HFP単離膜に替えて20μm厚のポリプロピレン(PP)製膜を用い、且つ、固着温度を110℃としたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
ロッド型の正極におけるバインダーとして、PTFEに替えてPVdFを採用するとともに、セパレータ層として、PVdF−HFP単離膜に替えて20μm厚のポリプロピレン製膜を用い、且つ、固着温度を110℃としたこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
ハニカム型の負極を作製する際の押出条件を変更することで、負極の活物質密度を1.1g/cm3としたこと以外は、実施例4と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
ハニカム型の負極を作製する際の押出条件を変更することで、負極の活物質密度を1.5g/cm3としたこと以外は、実施例4と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
ハニカム型の負極を作製する際の押出条件を変更することで、負極の孔径を300μmとしたこと以外は、実施例4と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
ロッド型の正極を作製する際の加圧高密度化条件を変更することで、正極の活物質密度を2.8g/cm3としたこと以外は、実施例4と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
アルミニウム製の金属ワイヤの径を50μmとしたこと以外は、実施例4と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
ハニカム型の負極を作製する際の押出条件を変更することで、負極の孔径を700μmとするとともに活物質密度を1.6g/cm3とし、また、セパレータ層として、PVdF−HFP単離膜に替えて25μm厚のポリプロピレン製膜を用い、さらに、ロッド型の正極を作製する際の金属ワイヤ径を100μmとし、且つ、加圧高密度化条件を変更することで正極の活物質密度を3.0g/cm3としたこと以外は、実施例2と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
ハニカム型の負極を作製する際の押出条件を変更することで、負極の活物質密度を0.9g/cm3とし、ロッド型の正極を作製する際の加圧高密度化条件を変更することで、正極の活物質密度を1.8g/cm3としたこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
金属ワイヤを用いずにロッド型の正極を作製したこと以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
金属ワイヤを用いずにロッド型の正極を作製したこと以外は、実施例4と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
金属ワイヤを用いずにロッド型の正極を作製したこと以外は、実施例10と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
金属ワイヤを用いずにロッド型の正極を作製したこと以外は、実施例11と同様にして二次電池を作製し同様の評価を行った。
下記表1に、実施例1〜11及び比較例1〜4に係る二次電池の作製条件、及び、二次電池の充放電サイクル後の容量維持率の評価結果を示す。尚、表1に示す容量維持率は、比較例1に係る容量維持率を100%として規格化した値である。
(1)比較例1〜4と比較して、実施例1、4、10及び11のようにロッド型の正極に芯材として金属ワイヤを配置した場合、二次電池の充放電サイクル後の容量維持率が顕著に向上する。ロッド型の正極において芯材として金属ワイヤが存在することにより、活物質層中のバインダーが金属ワイヤに絡み、活物質層におけるバインダーの偏在化を抑制できたためと考えられる。
(2)ロッド型の正極中のバインダーの種類によって、容量維持率が変化する。具体的には、ロッド型の正極中のバインダーとしてPTFEを採用した実施例1のほうが、PVdFを採用した実施例2よりも、容量維持率が向上する。PTFEを採用することで、ロッド型正極の弾性を高めることができ、しかも、金属ワイヤによる最適配置の効果が特に顕著となり、充放電サイクルを繰り返した際の三次元構造を安定化させることができたものと考えられる。
(3)セパレータ層の材質によって、容量維持率が変化する。具体的には、セパレータ層においてPVdF−HFPを採用した実施例1、2の方が、PPを採用した実施例3〜11よりも、容量維持率が向上する。PVdF−HFPを採用することで、セパレータ層におけるピンホールの生成や破壊を抑制することができたものと考えられる。
(4)ハニカム型の負極の孔径や活物質密度、ロッド型の正極のワイヤ径や活物質密度によって、容量維持率が変化する。具体的には、ハニカム型負極の複数の孔の各々の径が100μm以上600μm以下であり、ハニカム型負極の活物質密度が1.1g/cm3以上1.5g/cm3以下であり、ロッド型正極の活物質密度が2.1g/cm3以上2.9g/cm3以下であり、金属ワイヤの径が20μm以上50μm以下である実施例1〜9のほうが、当該条件を満たさない実施例10、11よりも容量維持率が向上する。
1a 一方面
1b 他方面
1c 側面
1d 孔
2 第2の電極
2a 活物質層
2b 芯材(金属ワイヤ)
3 セパレータ層
10 二次電池
Claims (4)
- 一方面、他方面及び側面を有するとともに前記一方面から前記他方面に向かって延びる複数の孔を有する第1の電極と、前記複数の孔の各々に挿入された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されたセパレータ層と、を備え、
前記第2の電極が、活物質及びバインダーを含む活物質層と、金属ワイヤからなる芯材と、を備えるロッド型の電極であり、
前記金属ワイヤが、前記第2の電極の動作電位において安定である金属からなる、
二次電池。 - 前記第1の電極が炭素を含む負極であり、
前記第1の電極の前記複数の孔の各々の径が100μm以上600μm以下であり、
前記第1の電極の活物質密度が1.1g/cm3以上1.5g/cm3以下であり、
前記第2の電極が正極であり、
前記第2の電極の活物質密度が2.1g/cm3以上2.9g/cm3以下であり、
前記第2の電極の前記金属ワイヤの径が20μm以上50μm以下である、
請求項1に記載の二次電池。 - 前記セパレータ層がフッ化ビニリデンに由来する重合単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する重合単位とを有する共重合体から構成されている、
請求項1又は2に記載の二次電池。 - 前記第2の電極の前記バインダーがポリテトラフルオロエチレンを含む、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
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