以下に添付図面を参照して、識別部材、識別部材の検出装置、自律移動装置、検出方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる搬送システムにおける自走ロボット1とカゴ台車2とを示す説明図である。本実施形態は、連結対象であるカゴ台車2のような被牽引台車に自動で接続して牽引することで、カゴ台車2を所望の搬送先へ自動搬送する無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)としての自走ロボット1を、自律移動装置に適用した搬送システムの例である。
自走ロボット1は、搬送物を積載するカゴ台車2に自動で連結する機能を持った自律移動装置である。これにより、自走ロボット1には積載が可能な構成を持たせることなく、簡易な移動装置によってカゴ台車2を牽引させることで、カゴ台車2に積載された多数の搬送物を搬送させることができる。
図1に示すように、自走ロボット1は、装置本体であるロボット本体部100、磁気センサ3、検出装置であるコントローラ4、電力源(バッテリー)6、動力モータ7、モータドライバ8、第1のセンサである測域センサ9、連結装置10、駆動車輪71及び従動車輪72等を備える。測域センサ9は、自走ロボット1の周辺環境を認識する。
本実施形態の搬送システムでは、自走ロボット1の走行可能な経路の床面に磁気テープを設置し、磁気センサ3を用いて磁気テープを検出することにより自走ロボット1が走行可能な経路上に位置していることを認識することができる。床面にテープを設置する誘導方式としては、磁気テープを用いる構成(磁気式)に限らず、光学テープを用いる構成(光学式)としてもよい。光学テープを用いる場合は、磁気センサ3の代わりに反射センサやイメージセンサなどが利用できる。
また、本実施形態の搬送システムでは、二次元あるいは三次元地図と測域センサ9の検出結果との照合によって自己位置を認識する自律走行を行うことができる。測域センサ9は、物体にレーザ光を照射してその反射光から物体までの距離を測定する走査式のレーザ距離センサ(レーザレンジファインダ(LRF))である。以降において、測域センサ9をLRF9と表記する場合がある。
なお、検出結果と二次元あるいは三次元地図との照合によって自己位置の認識に用いるセンサとしては、ステレオカメラやデプスカメラなども利用できる。
自走ロボット1は、磁気センサ3や測域センサ9の検出結果に基づいてコントローラ4がモータドライバ8を介して動力モータ7の駆動を制御し、動力モータ7が駆動車輪71を回動駆動することで自走ロボット1が自律走行を行う。
図1に示すように、カゴ台車2は、カゴ部20を保持する底板22と、四角形状の底板22の四隅に配置されたキャスター23と、カゴ部20の側面に配置された識別部材であるIDパネル21とを備える。
所定の場所に置かれたカゴ台車2には、認識用のマーカーが表示されたIDパネル21が取り付けられている。マーカーは、帯状部材の再帰反射テープ21b(図4参照)等を用いて、カゴ台車2の識別番号情報(ID情報)、搬送位置などの搬送先情報、搬送の優先度情報がコード化されている。カゴ台車2の識別番号情報(ID情報)は、テーブル参照などによって認識することができる。テーブルの一例を図2に示す。
自走ロボット1には、マーカー読取装置が設置されている。マーカー読取装置はID認識手段である測域センサ9と復号部とからなる。本実施形態ではコントローラ4が復号部としての機能を有する。コントローラ4は、測域センサ9の検出結果からマーカーのコードを認識する。コントローラ4の復号部では認識したマーカーのコード情報をデコードすることで、カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報を得る。図2には、マーカーのコード情報をデコードした場合のデコード番号、カゴ台車2の認識番号、搬送先、優先度の一例を例示している。
本実施形態では、詳細は後述するが、カゴ台車2に設置されたマーカーとして再帰反射テープ21bを用いている。自走ロボット1は、周辺環境との距離を取得するレーザーレンジファインダ(LRF)等の測域センサ9を用いて読み取る。コントローラ4は、測域センサ9によって位置を認識したIDパネル21と測域センサ9との距離情報からIDパネル21の位置座標を算出する。算出したIDパネル21の位置座標を用いて、コントローラ4が動力モータ7の駆動制御を行うことで、自走ロボット1をカゴ台車2におけるIDパネル21正面の所定の位置に位置決めする。
次に、IDパネル21について詳述する。
ここで、図3はカゴ台車2にIDパネル21が配置された例を示す斜視図である。図3に示すように、IDパネル21は、カゴ台車2の正面の略中央部に配置される。より詳細には、IDパネル21は、自走ロボット1の測域センサ9に対して対向する位置に配置される(図1参照)。IDパネル21は、カゴ台車2に着脱可能であって、カゴ台車2の中央の骨組み(縦棒)などの所定の位置に作業者によって設置される。なお、IDパネル21の角度は、カゴ台車2の角度と同義となるので、カゴ台車2の正面部分に対して平行になるように設置する。
自走ロボット1がカゴ台車2を連結するために、自走ロボット1は、カゴ台車2と自走ロボット1との距離と角度を検出して、カゴ台車2に向かって走行を行う必要がある。しかしながら、測域センサ9でカゴ台車2の形状を認識する場合、カゴ台車2の積載状況により認識すべき形状が変化することから、カゴ台車2との距離と角度を正確に検出することは難しい。そこで、本実施形態においては、カゴ台車2にIDパネル21を装着して、自走ロボット1に搭載した測域センサ9でIDパネル21を検出する。
ここで、識別部材であるIDパネル21を技術的に説明する。IDパネル21はレーザーレンジファインダ(LRF)等の電磁波等を用いた検出装置により、検出対象の検出や識別を行うための識別部材である。電磁波等で検出するために、電磁波等が検出する検出面(例えば、IDパネル21の表面)を幾何学的に第一の方向において少なくとも3つの領域に分割し、分割された複数の領域において、少なくとも隣り合う領域の電磁波等に対する反射率が異なるように設定されている。
この第一の方向は、検出装置による走査方向と平行する方向である。図4に示すIDパネル21の例では、紙面横方向(水平方向)において領域が分割されており、検出装置の走査方向は紙面横方向(水平方向)となる。
そして、検出装置は、電磁波等を照射した際の反射信号の強度の違いを利用して特定のパターン(信号)を検出することで、検出対象の検出や識別を行う。
図4は、IDパネル21の例を示す図である。図4に示すように、本実施の形態においては、例えばA4サイズの厚紙のような板状部材を識別部材であるIDパネル21とする。該板状部材の表面21aに対して、該板状部材の表面21aの両端やその間に、再帰反射テープ21bを貼ることにより、IDを表示するマーカーを形成する。また、板状部材の表面21aと再帰反射テープ21bにより、検出面21cを構成する。
板状部材の表面21aと再帰反射テープ21bとは電磁波等に対する反射率が異なるので、このように構成することで、上記した電磁波等が検出する検出面を幾何学的に第一の方向において少なくとも3つの領域a,b,cに分割し、分割された複数の領域a,b,cにおいて、少なくとも隣り合う領域の電磁波等に対する反射率が異なるように設定することを実現する。
図4(a)に示すように、分割された少なくとも3つの領域は、第一の方向における検出面21cの一端側から他端側に向かって、第一領域aである再帰反射テープ21b、第二領域bである板状部材の表面21a、第三領域cである再帰反射テープ21bであり、第一領域aの反射率と第二領域bの反射率は異なり、第三領域cの反射率と第二領域bの反射率は異なるように構成される。第二領域bの反射率は、第二領域bの区間で取得される複数の反射強度検出値に対し、それらの平均値を取ることによって算出する。
ここで、第一領域aと第三領域cとに異なる反射率の再帰反射テープ21bを貼ることで、第一領域aの反射率と、第二領域bの反射率と、第三領域cの反射率と、を異ならせることを実現できる。また、第一領域aと第三領域cとに同じ反射率の再帰反射テープ21bを貼ることで、第一領域aの反射率と第三領域cの反射率とが等しくなるように構成してもよい。
また、第一領域aの反射率と第三領域cとは、第二領域bの反射率よりも高い必要はなく、第一領域aの反射率と第三領域cとの少なくとも一方が、第二領域bの反射率より低くてもよい。
また、識別部材であるIDパネル21は、一つの板状部材で構成されなくてもよく、例えば2つの板状部材を並べることで検出面21cを構成してもよい。
第1のセンサである測域センサ9により、第一領域aで反射された第一受光量と、第二領域bで反射された第二受光量と、及び第三領域cで反射された第三受光量と、測域センサ9から第一領域aまでの第一距離と、測域センサ9から第二領域bまでの第二距離と、測域センサ9から第三領域cまでの第三距離と、が検出される。
詳細は後述するが、IDパネル21は、第一受光量と、第二受光量と、第三受光量と、第一距離と、第二距離と、第三距離と、に基づいて識別される。
IDパネル21の両端の再帰反射テープ21bは、スタートビットおよびストップビットを表すものであり、認識領域を規定する。このスタートビットおよびストップビットを表す両端の再帰反射テープ21bの間に貼られたパターンを構成する再帰反射テープ21bの位置に応じて、IDパネル21が保有する情報(カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報)が表される。なお、パターンを構成する再帰反射テープ21bは、検出面21c基板部材21aの両端に配置された2つの再帰反射テープ21bに比べて、水平方向の長さが短く(すなわち、細く)なっていてもよい。すなわち、第二領域bに配置される再帰反射テープ21bは、情報を有するパターンである。
図4に示したIDパネル21の例では、板状部材の表面21aに対して再帰反射テープ21bを貼ることで、IDパネル21の表面である検出面を矩形形状の領域に分割しているが、分割される領域の形状は矩形に限定されるものではなく、幾何学的な形状であればよい。なお、この図4に示したIDパネル21の例は、再帰反射テープ21bを貼っているので、簡単で安価に識別部材を製造することが可能となる。
測域センサ9から照射されたレーザは、検出面21cを構成するIDパネル21の再帰反射テープ21bおよび板状部材の表面21aに当たった後、(反射率や入射角などに応じた強度で)反射し、測域センサ9内部のディテクタで検出される。測域センサ9の内部では、レーザの往復にかかった時間から距離を算出し、検出したレーザ光の強度値から反射強度を算出し、結果をコントローラ4に送信する。
図4(a)に示すIDパネル21の例によれば、Amm、Bmmのそれぞれの距離(幅)に応じて、IDパネル21が保有する情報(カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報)が識別される。また、図4(b)に示すIDパネル21の例によれば、Cmm、Dmm、Emmのそれぞれの距離(幅)に応じて、IDパネル21が保有する情報(カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報)が識別される。
なお、IDパネル21に貼り付ける再帰反射テープ21bは、IDパネル21の板状部材の表面21aに対して反射(輝度差の絶対値)に差があればよい。したがって、IDパネル21に貼り付ける部材は、光の再帰反射に限るものではなく、光を吸収するものであってもよい。
マーカーが再帰反射テープ21bとすることで、レーザレンジファインダ(LRF)である測域センサ9を用いた読み取りに好適となる。再帰反射テープ21bを用いる構成では、コントローラ4は、測域センサ9から得たIDパネル21の両端の再帰反射テープ21bまでの距離、反射強度を得て、距離および反射強度からカゴ台車2と自走ロボット1との距離と角度を計算する。
ここで、反射強度とは、測域センサ9の内部の受光素子で受光した光の強さに応じた電圧を数値化したものである。IDパネル21に貼り付ける再帰反射テープ21bは反射強度の値が高くでるので、位置を正確に識別し、連結時の自走ロボット1の位置決めに用いるフィードバック情報として用いることができる。
自走ロボット1を用いた本実施形態の搬送システムは、物流倉庫などにおける、カゴ台車2などのキャスター付き搬送対象を搬送する作業を自動化するものである。自走ロボット1による搬送動作は、次の(1)〜(3)の三つの作業に分割される。
(1)仮置きエリアでの搬送対象の探索および連結
(2)走行エリアの走行
(3)保管エリアでの保管場所探索と荷卸し
図5は、搬送システムを適用することが想定される物流倉庫1000の一例を示す説明図である。図5は、物流倉庫1000を天井側から見た床面を平面図として示している。図5に示されたXY平面が床面と並行な面であり、Z軸が高さ方向を示している。図5に示す物流倉庫1000において、上記(1)の仮置きエリアA1は、荷卸しされた荷物を整列しておく場所が想定される。上記(3)の保管エリアA2は、エレベータなどで他階へ移送する場合のエレベータ前エリアが想定される。また、上記(2)の走行エリアA3は図5中の矢印によって仮置きエリアA1と保管エリアA2との往復経路を示す場所が想定される。
自走ロボット1は、本線動作は床面に設置された磁気テープのラインをセンサで認識するライン認識による誘導方式で移動する。また、ラインの横にあるエリアマーク52を検出してエリアを判断する。また、IDパネル21には、搬送先となる保管エリアA2の情報と優先順位の情報が含まれている。
図5に示すように、走行エリアA3には自走ロボット1の誘導用の磁気テープがライン状に設けられ、自走ロボット1が走行する走行ライン51が設けられている。また、走行エリアA3における仮置きエリアA1、保管エリアA2の入り口には、走行ライン51の近傍にエリアマーク52が配置されており、どのエリアに来たかを認識できるようになっている。
後述する自走ロボット1が実行するプログラムでは、エリアごとに動作を指定できるようになっている。自走ロボット1は、仮置きエリアA1では接続動作、保管エリアA2では車庫入れ動作を行う。
本実施形態においては、仮置きエリアA1と保管エリアA2とが走行ライン51のすぐ横にある構成である。自走ロボット1は、走行ライン51を走行したまま、仮置きエリアA1や保管エリアA2のエリア内の探索を行う。仮置きエリアA1内に搬送対象となるカゴ台車2を見つけたら、走行ライン51上からカゴ台車2への連結動作に移行する。また、保管エリアA2に対しても、走行ライン51上から空き番地を探索して、車庫入れ動作を行う。
加えて、図5に示す物流倉庫1000において、保管エリアA2に対して走行ライン51を挟んだ向かい側には、複数の再帰反射テープ53が設置されている。複数の再帰反射テープ53は、自走ロボット1の測域センサ9が検出できる位置に設置されている。自走ロボット1は、複数の再帰反射テープ53の設置情報をもとに、自己位置推定を行う。
次に、自走ロボット1のコントローラ4について説明する。
ここで、図6は自走ロボット1のコントローラ4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コントローラ4は、図6に示すように、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの制御装置11と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの主記憶装置12と、SSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置13と、ディスプレイなどの表示装置14と、キーボードなどの入力装置15と、無線通信インタフェイスなどの通信装置16と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
制御装置11は、主記憶装置12や補助記憶装置13に記憶されている各種プログラムを実行することで、コントローラ4(自走ロボット1)全体の動作を制御し、後述する各種機能部を実現する。
自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
次に、自走ロボット1のコントローラ4の制御装置11が主記憶装置12や補助記憶装置13に記憶されたプログラムを実行することによって、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の自走ロボット1のコントローラ4が発揮する特徴的な機能について詳述する。
なお、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能の一部または全部をIC(Integrated Circuit)などの専用の処理回路を用いて構成してもよい。
図7は、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能的構成例を示すブロック図である。図7に示すように、自走ロボット1のコントローラ4は、検出手段111と、算出手段112と、移動制御手段113と、を備える。
検出手段111は、測域センサ9を介して、IDパネル21における再帰反射テープ21b間の距離と再帰反射テープ21bのそれぞれの位置とに基づいてIDパネル21を検出する。
算出手段112は、検出手段111により検出されたIDパネル21までの距離および角度を算出する。
移動制御手段113は、算出手段112により算出したIDパネル21までの距離および角度に従った目標位置への移動を制御する。
次に、自走ロボット1におけるカゴ台車2に設けられたIDパネル21の検出処理について詳述する。
ここで、図8はIDパネル21の検出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図8に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、測域センサ9の反射強度値からピークを検出する(ステップS1)。
図9は、IDパネル21の検出におけるピーク値検出状態を示す図である。図9に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、測域センサ9の値を確認しながら、走行エリアA3における走行ライン51上を走行する。なお、図9(a)に示している測域センサ9の検出範囲は、本実施の形態においては約270度である。
そして、図9(b)に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、測域センサ9からの反射強度のピーク値を検出する。
図10は、ピーク値を検出する手法について説明する図である。図10(a)に示すように、反射する部材までの距離が長い場合、測域センサ9が出力する反射強度値は低くなる。なお、一定の材質に対して、距離に応じた反射強度値の対応式を事前に算出しておく。そして、図10(b)に示すように、対応式を用いて正規化した後の値について、比率が一定値以上(この場合は80%)の値をピークとみなす。
図8に戻り、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、測域センサ9の反射強度値からピークを検出すると(ステップS1)、検出したピーク間距離(幅)がIDパネル21の再帰反射テープ21b間の距離(幅)と該当するかを判断する(ステップS2)。
具体的には、図9(b)に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、検出したピーク間の距離(幅)を計算し、IDパネル21の再帰反射テープ21b間距離と比較する。
自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、検出したピーク間距離がIDパネル21の再帰反射テープ21b間の距離(幅)と該当すると判断した場合(ステップS2のYes)、IDパネル21の候補とし、ステップS3に進む。
一方、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、検出したピーク間距離がIDパネル21の再帰反射テープ21b間の距離(幅)と該当しないと判断した場合(ステップS2のNo)、IDパネル21の候補とせず、ステップS1に戻る。
次いで、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、ピークを含めたピーク間における測域センサ9の距離情報値を、後述するように判断する(ステップS3)。
ここで、図11はIDパネル21の検出における距離情報値検出状態を示す図である。図11において、カゴ台車2は天井側から見た平面図として示している。図11に示すように、ステップS2で候補とされたIDパネル21のエリアについて、測域センサ9からIDパネル21までの距離を求める。なお、測域センサ9からの距離は、レーザが戻ってくる時間によって求めることが可能である。そして、測域センサ9により距離情報値に基づき、検出範囲内にある物体の測域センサ9から見た形状を検出することが可能となる。検出範囲内にIDパネル21が存在する場合は、測域センサ9から見たIDパネル21の検出面21cの形状(面形状)を検出することが可能となる。
例えば、測域センサ9の走査方向におけるIDパネル21の検出面21cの中心に対して正面からIDパネル21の検出面21cに正対して測域センサ9で検出動作を行った場合(測域センサ9とIDパネル21の検出面21cとの位置関係が図11(a)の場合)、測域センサ9が検出するIDパネル21までの距離情報値はほぼ同じ値となる(厳密にいえば、両端部が遠距離となるが、簡潔に説明するために、ここでは距離情報値はほぼ同じ値として説明する)ので、検出範囲内に測域センサ9から見た形状が平面の物体が存在する、と判断することができる。
また、IDパネル21の検出面21cが測距センサ9に対して斜めになっている場合は、測域センサ9が検出するIDパネル21までの距離情報値は、測域センサ9の走査方向における一方から他方に向かって一定の割合で変化するので、検出範囲内に測域センサ9から見た形状平面の物体が存在する、と判断することができる。
また、IDパネル21の検出面21cが曲面の場合は、測域センサ9が検出するIDパネル21までの距離情報値が、測距センサ9とIDパネル21の検出面21cとの位置関係、及び検出面21cの曲率とに応じて変化しているか否かを判断することで、検出範囲内に測域センサ9から見た形状が曲面の物体が存在する、と判断することができる。
図11(a)のグラフに示すように、測域センサ9の走査方向におけるIDパネル21の検出面21cの中心に対して正面からIDパネル21の検出面21cに正対して測域センサ9で検出動作を行った場合、反射強度のピークを含めたピーク間における測域センサ9が検出する距離情報値は、ほぼ同じ値となる。この場合、IDパネル21の候補とする。
このように、ピークを含めたピーク間の距離情報値、換言すると、第一領域a、第二領域b、第三領域cまでの距離情報値に基づき、IDパネル21の候補を検出する。
図11(b)に示すように、カゴ台車2のフレームも反射強度の値が高くでることが分かっている。そのため、反射強度比率のピーク値を見るだけでは、カゴ台車2のフレームをIDパネル21と勘違いする可能性がある。そこで、測域センサ9が検出した反射強度のピークを含めたピーク間の距離情報値に基づいて判断することで、IDパネル21の候補を検出する。カゴ台車2のフレームを検出している場合は、IDパネル21とフレームとで距離が異なるので、測域センサ9が検出した反射強度のピークを含めたピーク間の距離情報値に基づいて、IDパネル21の候補から除外されるようにしたものである。
このように測域センサ9で測定した距離情報により、カゴ台車2のフレームのような高反射を生じる小さな細いものをIDパネル21の再帰反射テープ21bとして誤認識しないようにすることができる。これは、カゴ台車2に荷物が載っていても同様である。
自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネルの検出面21cに該当すると判断した場合(ステップS3のYes)、IDパネル21の候補とし、ステップS4に進む。
一方、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネルの検出面21cに該当しないと判断した場合(ステップS3のNo)、IDパネル21の候補とせず、ステップS1に戻る。
以上により、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、現在の測域センサ9の測定値をIDパネル21の候補とする(ステップS4)。
次に、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の候補について、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な範囲に入っているか、を判断することで、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係にあるか否か、を判断する(ステップS5)。
ここで、図12は自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な範囲を示す図である。図12に示すように、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な範囲(角度)が決められている。
図12(a)は、自走ロボット1の接続可能な範囲にカゴ台車2が存在しない場合を示す図である。図12(a)に示すように、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が接続可能な範囲(角度)内にない場合には、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係でないと判断する。
一方、図12(b)は、自走ロボット1の接続可能な範囲にカゴ台車2が存在する場合を示す図である。図12(b)に示すように、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が接続可能な範囲(角度)内にある場合には、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係にあると判断する。
自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の候補について、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係にあると判断した場合(ステップS5のYes)、ステップS6に進む。
一方、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の候補について、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係でないと判断した場合(ステップS5のNo)、ステップS1に戻る。
次に、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の候補について、測域センサ9の距離情報から、IDパネル21の傾きを算出する(ステップS6)。
ここで、図13はIDパネル21の傾きの算出例を示す図である。図13に示すように、IDパネル21の傾きは、測域センサ9が検出したピーク値の距離情報(IDパネル21の検出面21cにおける第一領域aの距離情報と第三領域cの距離情報)から検出可能である。
続いて、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の傾きが接続可能な範囲であるかを判断する(ステップS7)。自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、傾きが所定範囲内(図13に示す角度θが所定の角度以下)の場合、接続にいける許容範囲の傾きで置かれているカゴ台車2であると判断し(ステップS7のYes)、ステップS8に進む。
一方、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、傾きが所定範囲外(図13に示す角度θが所定の角度より大きい)の場合、接続にいける許容範囲の傾きで置かれているカゴ台車2ではないと判断し(ステップS7のNo)、ステップS1に戻る。
そして、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の検出処理を完了する(ステップS8)。
続いて、検出したIDパネル21の表面の角度と自走ロボット1との角度を検出する動作について説明する。
概略的には、搬送対象物(カゴ台車2)に装着されたIDパネル21の検出面21cが平面であることを利用して、検出したIDパネル21の検出面21cの角度と自走ロボット1との角度を搬送対象物(カゴ台車2)と自走ロボット1との角度として、自走ロボット1と搬送対象物(カゴ台車2)との自動連結に用いるようにしたものである。
続いて、IDパネル21の検出処理の完了後における自走ロボット1の目標位置への移動について説明する。
ここで、図14はIDパネル21の検出処理の完了後における目標位置への移動処理の流れを示すフローチャートである。図14に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21に向けて走行を開始し(ステップS31)、IDパネル21までの距離、反射強度情報を測域センサ9から取得する(ステップS32)。
次いで、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21の設計情報(大きさ、再帰反射テープ21bの間隔など)を参考にして、距離・反射強度情報からIDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾きを検出する(ステップS33)。
次に説明する図15から図18は、自走ロボット1、IDパネル21を天井側から見た平面図として示している。なお、既述しているように、IDパネル21はカゴ台車2に装着されているが図が煩雑になることを避けるために、カゴ台車2は省略しIDパネル21のみを表示している。
図15は、IDパネル21の傾きの検出手法を示す図である。図15に示すように、自走ロボット1の中心は、後輪である従動車輪72の車軸中心である。IDパネル21の位置は、IDパネル21の中心である。IDパネル21の傾きは、自走ロボット1の後輪である従動車輪72の車軸方向に平行な直線と、IDパネル21のパネル面に平行な直線とのなす角(図15のθ1)である。
図16は、IDパネル21の方向の検出手法を示す図である。図16に示すように、IDパネル21の方向は、自走ロボット1の後輪である従動車輪72の車軸方向に対して垂直で自走ロボット1の中心を通る直線(図16の軸Y)と、自走ロボット1の中心とIDパネル21の中心をつなぐ直線とのなす角(図16のθ2)である。
IDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾きが検出されなかった場合(ステップS34のNo)、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、一時停止して(ステップS35)、再度IDパネル21までの距離、反射強度情報を測域センサ9から取得する(ステップS32)。
なお、IDパネル21を検出した後に、自走ロボット1がIDパネル21を検出できなくなることは自走ロボット1とIDパネル21(カゴ台車2)との位置関係の観点からは考え辛いが、自走ロボット1の駆動エラーや測域センサ9のエラーなどでIDパネル21が検出できなくなったときの対処として、一時停止処理(ステップS35)を設けている。なお、一時停止期間が所定の時間を超えると、異常発生として、自走ロボット1を停止し、カゴ台車2の接続失敗の表示を出すなどの処理をする。
IDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾きが検出された場合(ステップS34のYes)、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21の位置と傾きに基づく相対目標位置を算出する(ステップS36)。
ここで、図17は相対目標位置の算出方法を示す図である。図17に示すように、IDパネル21の中心から垂直方向に一定距離、かつ、IDパネル21に対して正対する角度が相対目標位置(x´,y´,θ´)である。
続いて、自走ロボット1のコントローラ4(移動制御手段113)は、現在位置を(x,y,θ)=(0,0,0)として、相対目標位置(x´,y´,θ´)との差分を基に、目標位置への方向角度θ3を決定し、走行する(ステップS37)。
自走ロボット1のコントローラ4は、ステップS32〜S37の処理を、IDパネル21のパネル面に対して垂直な位置に設定された相対目標位置(x´,y´,θ´)へ到着するまで(ステップS38のYes)、繰り返す。
ここで、図18は相対目標位置への走行経路を模式的に示す図である。図18に示すように、自走ロボット1のコントローラ4は、自走ロボット1が相対目標位置に近づくにつれて速度を減速させるようにしてもよい。例えば自走ロボット1のコントローラ4は、下記式に従って制御すればよい。
v[m/S]=α*(x2+Y2)1/2
α:パラメータ
また、自走ロボット1のコントローラ4は、回転速度をIDパネル21の方向(図16)に基づいて設定する。
ω[rad/S]=β*θ
*βはパラメータ
このように本実施の形態によれば、IDパネル21を検出する際に、IDパネル21の検出面21cに生成されたコードとIDパネル21の検出面21cまでの距離情報(換言すると、IDパネル21の検出面21cの第一領域a、第二領域b、第三領域cまでの距離情報)とを用いて、IDパネル21を検出する。これにより、IDパネル21を検出するためのコードは情報量が少ない簡易なものでよいので、IDパネル21を検出するためのセンサは簡単な構成でよく、遠距離からでも安定して搬送対象物(IDパネル21)を検出することができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態の搬送システムは、IDパネル21の検出と、IDパネル21の内容の識別との2段階にする点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
第1の実施の形態においては、IDパネル21内の情報量は、IDパネル21の検出面21c(特に、第二領域b)における再帰反射テープ21bの本数に依るものとなっている。しかしながら、再帰反射テープ21bを測域センサ9の分解能より細かい間隔で配置しても情報量を増やすという観点では意味がない。また、測域センサ9の角分解能は距離が離れるほど悪くなるので、自走ロボット1から遠い位置にあるIDパネル21の情報量は少なくなってしまう。
そこで、本実施の形態においては、以下に示すように、IDパネル21の検出時(IDパネル21と自走ロボット1との距離が遠い状態)は、IDパネル21の両端の再帰反射テープ21b(第一領域aと第三領域c)のみを見るようにする。そして、IDパネル21の位置を検出後、自走ロボット1がIDパネル21に近づき、IDパネル21の内容の識別を行うものとする。
図19は、第2の実施の形態にかかるIDパネルの検出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。なお、図19におけるステップS1〜S8については、第1の実施の形態で説明した図8におけるステップS1〜S8と何ら変わるものではないため、ここでの説明は省略する。
自走ロボット1のコントローラ4は、IDパネル21の検出処理を完了すると(ステップS8)、自走ロボット1をカゴ台車2に接続可能な走行ライン51上の位置に停止させる(ステップS9)。
ここで、図20はIDパネル21の検出におけるピーク値検出状態を示す図である。図20に示すように、本実施の形態において自走ロボット1のコントローラ4は、IDパネル21を検出する際には、IDパネル21の両端の再帰反射テープ21bに対応するピークを検出した場合に、IDパネル21の検出処理を完了する。
次いで、自走ロボット1のコントローラ4は、自走ロボット1を90度旋回させる(ステップS10)。
次いで、自走ロボット1のコントローラ4は、自走ロボット1をIDパネル21に向かって進行させる(ステップS11)。自走ロボット1のコントローラ4は、測域センサ9からIDパネル21までの間の距離情報値が50cm以下になるまで(ステップS12のYes)、自走ロボット1をIDパネル21に向かって進行させる(ステップS11)。
ここで、図21はIDパネル21に対する接近状態を示す図である。図21に示すように、自走ロボット1は、IDパネル21に対して50cmの距離まで近づくようにする。
自走ロボット1のコントローラ4は、測域センサ9からIDパネル21までの間の距離情報値が50cm以下になると(ステップS12のYes)、測域センサ9の反射強度値からピークを取得する(ステップS13)。そして、自走ロボット1のコントローラ4は、IDパネル21の両端の再帰反射テープ21bに対応するピーク以外のピーク位置からIDパネル21の内容を識別する(ステップS14)。
ここで、図22はIDパネル21の内容識別例を示す図である。図22に示すように、自走ロボット1のコントローラ4は、IDパネル21の内容の識別の際には、IDパネル21の両端の再帰反射テープ21bに対応するピーク以外のピークを探索する。図22に示すように、自走ロボット1がIDパネル21の50cm手前にまで近づいているので、IDパネル21を検出する時よりも分解能は高く検出できる。
このように本実施の形態によれば、IDパネル21の検出とIDパネル21の内容の識別とを分けて行うため、簡単な構成のセンサ(測域センサ9)で遠距離からでも安定してIDパネル21を検出した後に、検出したIDパネル21に近づいてから識別番号情報、搬送先情報、搬送の優先度情報等の詳細な情報を取得することができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態の搬送システムは、更に識別手段(例えば、バーコードリーダなど)を備えて、IDパネル21内のコードを読み取る点が、第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なる箇所について説明する。
ここで、図23は第3の実施の形態にかかる搬送システムにおける自走ロボットのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図23に示すように、本実施の形態の自走ロボット1は、第2のセンサであるカメラ5を備えている。また、IDパネル21の第二領域bに配置されるバーコード(画像パターン)は、情報を有するパターンである。
カメラ5は、復号部として機能するコントローラ4とともにマーカー読取装置を構成する。コントローラ4は、カメラ5の撮影画像からマーカーの特徴の画像認識によってマーカーのコードを認識する。コントローラ4の復号部では認識したマーカーのコード情報をデコードすることで、カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報を得る。
マーカーのIDの表示方法は、画像パターンとしての一般的なバーコードやQRコード(登録商標)が使える。また、IDとしてカラーコードや、濃淡バーコードなどの画像パターンによって単位面積当たりの情報量を増やすことで、より遠くから認識できるようになる。また、マーカーのIDの表示方法は、後述の図25に示すように、数字や記号などの文字表記としておき、カメラの画像認識によって認識する方法としてもよい。
本実施形態では、カゴ台車2に設置されたマーカーとして、バーコードを用いているため、カメラ5をバーコードリーダとして用いて読み取っている。なお、IDを表示するマーカーがQRコードの場合は、ID認識手段としてQRコードリーダが使用できる。
図24は、第3の実施の形態にかかるIDパネルの検出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。なお、図24におけるステップS1〜S11については、第2の実施の形態で説明した図19におけるステップS1〜S11と何ら変わるものではないため、ここでの説明は省略する。
自走ロボット1のコントローラ4は、自走ロボット1をIDパネル21に向かって進行させると(ステップS11)、測域センサ9の距離情報値と、測域センサ9とカメラ5との間の距離の関係から、カメラ5とIDパネル21との間の距離を算出する(ステップS21)。
次に、自走ロボット1のコントローラ4は、カメラ5とIDパネル21との間の距離がバーコードの読み取り可能範囲以下になるまで(ステップS22のYes)、自走ロボット1をIDパネル21に向かって進行させる(ステップS11)。
自走ロボット1のコントローラ4は、カメラ5からIDパネル21までの間の距離情報値がバーコードの読み取り可能範囲以下になると(ステップS22のYes)、カメラ5でIDパネル21のバーコードを読み取る(ステップS23)。
そして、自走ロボット1のコントローラ4は、バーコードの内容からIDパネル21の内容を識別する(ステップS24)。
ここで、図25はIDパネル21の内容識別例を示す図である。図25(a)に示すように、自走ロボット1のコントローラ4は、IDパネル21の内容の識別の際には、自走ロボット1がバーコードの読み取り可能範囲までIDパネル21に近づき、カメラ5によりIDパネル21のバーコードを読み取るので、IDパネル21の情報量を多くすることができる。なお、図25(b)に示すように、IDパネル21に数字や記号などの文字表記がある場合には、自走ロボット1のコントローラ4は、カメラ5によりIDパネル21の文字表記を読み取り画像認識することによって、IDパネル21の内容を識別するようにしてもよい。
このように本実施の形態によれば、IDパネル21の検出とIDパネル21の内容の識別とを分けて行うため、簡単な構成のセンサ(測域センサ9)で遠距離からでも安定してIDパネル21を検出した後に、検出したIDパネル21に近づいてから識別番号情報、搬送先情報、搬送の優先度情報等の詳細な情報を取得することができる。
なお、本実施の形態においては、カゴ台車2に設置されたマーカーとして、バーコードやQRコードを用いるようにしたが、これに限るものではない。例えば、カゴ台車2に設置されたマーカーとして、濃淡バーコード、カラーコード等を用いるようにしてもよい。カラーコードは、カメラ5を使った読み取りを行うことで、コードの位置情報を同時に読み取ることができるため、カゴ台車2が置かれている位置を認識することができる。また、濃淡バーコードは、測域センサ9で読み取ることができるので、より正確な位置情報を得ることができ、接続位置決めのフィードバック情報として有効である。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態の搬送システムは、自走ロボット1における連結装置10がカゴ台車2にとって最適な位置で接続を行う点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第4の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
カゴ台車2の骨組みの位置関係などによっては、自走ロボット1における連結装置10の接続位置を変更したい場合が考えられる。そこで、本実施の形態においては、カゴ台車2の接続したい位置を考慮してカゴ台車2の種類ごとにIDパネル21のパネルID(識別番号)を用意する。自走ロボット1は、パネルIDを検出して、パネルIDごとに相対目標位置を変え、各カゴ台車2にとって最適な位置で接続を行う。
ここで、図26は第4の実施の形態にかかるIDパネル21の検出処理の完了後における目標位置への移動処理の流れを示すフローチャートである。図26に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21に向けて走行を開始し(ステップS31)、IDパネル21までの距離、反射強度情報を測域センサ9から取得する(ステップS32)。
次いで、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21の設計情報(大きさ、再帰反射テープ21bの間隔など)を参考にして、距離・反射強度情報からIDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾きを検出するとともにIDパネル21のパネルIDを検出する(ステップS41)。
IDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾き、IDパネル21のパネルIDが検出されなかった場合(ステップS34のNo)、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、一時停止して(ステップS35)、再度IDパネル21までの距離、反射強度情報を測域センサ9から取得する(ステップS32)。
一方、IDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾き、IDパネル21のパネルIDが検出された場合(ステップS34のYes)、設定ファイルを読み込む(ステップS42)。設定ファイルには、パネルIDに紐付けて移動量が登録されている。
次いで、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21の位置と傾きに基づく相対目標位置を算出するとともに、設定ファイルに登録してあるパネルIDに紐づいた移動量分だけIDパネル21のパネル面と平行な方向へ相対目標位置をシフトさせる(ステップS43)。
ここで、図27は相対目標位置のシフト方法を示す図である。図27に示すように、設定ファイルに登録してあるパネルIDに紐づいた移動量分だけIDパネル21のパネル面と平行な方向へ相対目標位置をシフトさせる。例えば、ID=2の場合には、プラス方向に30mmだけIDパネル21のパネル面と平行に移動させる。
続いて、自走ロボット1のコントローラ4(移動制御手段113)は、現在位置を(x,y,θ)=(0,0,0)として、相対目標位置(x´,y´,θ´)との差分を基に、目標位置への方向角度θ3を決定し、走行する(ステップS37)。
自走ロボット1のコントローラ4は、ステップS32〜S37の処理を、IDパネル21のパネル面に対して垂直な位置に設定された相対目標位置(x´,y´,θ´)へ到着するまで(ステップS38のYes)、繰り返す。
このように本実施形態によれば、カゴ台車2の種類ごとにパネルIDを用意することで、AGVはパネルIDを検出して、IDごとに相対目標位置を変え、各カゴ車にとって最適な位置で接続を行うことができる。
なお、各実施形態においては、連結対象であるカゴ台車2のような被牽引台車に自動で接続して牽引することで、カゴ台車2を所望の搬送先へ自動搬送する無人搬送車(AGV)としての自走ロボット1を、自律移動装置に適用した例について説明したが、これに限るものではなく、各種の自律移動装置に適用可能であることはいうまでもない。