JP2020154451A - 自律移動装置、プログラムおよび自律移動装置の操舵方法 - Google Patents

自律移動装置、プログラムおよび自律移動装置の操舵方法 Download PDF

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Abstract

【課題】搬送対象物を搬送する自律移動装置の走行時のふらつきを抑制する。【解決手段】搬送対象物を搬送する自律移動装置において、前記搬送対象物にかかる共振周波数を求める周波数取得手段と、当該自律移動装置の操舵を制御する制御信号について、前記制御信号から前記共振周波数を減衰させて操舵制御を行う制御手段と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、自律移動装置、プログラムおよび自律移動装置の操舵方法に関する。
従来、自律移動装置である無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)を用いて、倉庫内の搬送作業を自動化することは、世の中で広く検討されている。具体的には、無人搬送車に接続機構を設け、無人搬送車に搬送対象物(カゴ車)を接続して倉庫内を搬送する、という構成は既に知られている。
特許文献1には、搬送の経路を自動的に判断して制御する自動搬送車が開示されている。
また、特許文献2には、自律移動装置を搬送対象物(カゴ台車)と自動連結する際に、容易かつ確実に連結するための技術が開示されている。
ところで、自律移動装置である無人搬送車(AGV)は、軌道上をトレースして移動する際に常に左右へ操舵する必要があり、この操舵により左右へ移動しながら軌道上をトレースしている。換言すると、無人搬送車(AGV)は、走行時は常にふらつきが生じている、といえる。また、無人搬送車(AGV)が搬送対象物(カゴ台車)と連結されて走行している際、換言すると、無人搬送車(AGV)が搬送対象物(カゴ台車)を搬送している際に、搬送対象物(カゴ台車)の重量に応じて特定の周波数に共振が生じ、この共振が生じている特定の周波数においてふらつきが増大する、ということを発見した。特に、例えば倉庫内の狭い通路を走行する際においてこのふらつきの影響は大きく、ふらつきが大きいと通路を走行することが困難となっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送対象物を搬送する自律移動装置の走行時のふらつきを抑制することを目的とする。特に搬送対象物を搬送している際の搬送対象物に積載された荷物の重量に応じた特定の周波数におけるふらつきの増大を抑制することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、搬送対象物を搬送する自律移動装置において、前記搬送対象物にかかる共振周波数を求める周波数取得手段と、当該自律移動装置の操舵を制御する制御信号について、前記制御信号から前記共振周波数を減衰させて操舵制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、搬送対象物を搬送する自律移動装置の走行時のふらつきを抑制することができる、という効果を奏する。特に搬送対象物を搬送している際の搬送対象物に積載された荷物の重量に応じた特定の周波数におけるふらつきの増大を抑制することができる、という効果を奏する。
図1は、第1の実施の形態にかかる搬送システムにおける自走ロボットとカゴ台車とを示す説明図である。 図2は、カゴ台車にIDパネルが配置された例を示す斜視図である。 図3は、搬送システムを適用することが想定される物流倉庫の一例を示す説明図である。 図4は、自走ロボットのコントローラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 図5は、自走ロボットのコントローラが発揮する機能的構成例を示すブロック図である。 図6は、操舵制御系の構成について示す図である。 図7は、制御対象の周波数特性の例について示す図である。 図8は、舵角を制御する制御信号を説明する図である。 図9は、搬送対象物の重量と電流の関係について示す図である。 図10は、第2の実施の形態のふらつきの周波数の検出にかかる搬送対象物の重量と電流の関係について示す図である。
以下に添付図面を参照して、自律移動装置、プログラムおよび自律移動装置の操舵方法の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる搬送システムにおける自走ロボット1とカゴ台車2とを示す説明図である。本実施形態は、連結対象であるカゴ台車2のような被牽引台車に自動で接続して牽引することで、カゴ台車2を所望の搬送先へ自動搬送する無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)としての自走ロボット1を、自律移動装置に適用した搬送システムの例である。
自走ロボット1は、搬送物を積載するカゴ台車2に自動で連結する機能を持った自律移動装置である。これにより、自走ロボット1には積載が可能な構成を持たせることなく、簡易な移動装置によってカゴ台車2を牽引させることで、カゴ台車2に積載された多数の搬送物を搬送させることができる。
図1に示すように、自走ロボット1は、装置本体であるロボット本体部100、磁気センサ3、検出装置であるコントローラ4、電力源(バッテリー)6、動力モータ7、モータドライバ8、第1のセンサである測域センサ9、連結装置10、駆動車輪71及び従動車輪72等を備える。測域センサ9は、自走ロボット1の周辺環境を認識する。
本実施形態の搬送システムでは、自走ロボット1の走行可能な経路の床面にガイドテープである磁気テープを設置し、磁気センサ3を用いて磁気テープを検出することにより自走ロボット1が走行可能な経路上に位置していることを認識することができる。床面にテープを設置する誘導方式としては、磁気テープを用いる構成(磁気式)に限らず、光学テープを用いる構成(光学式)としてもよい。光学テープを用いる場合は、磁気センサ3の代わりに反射センサやイメージセンサなどが利用できる。
また、本実施形態の搬送システムでは、二次元あるいは三次元地図と測域センサ9の検出結果との照合によって自己位置を認識する自律走行を行うことができる。測域センサ9は、物体にレーザ光を照射してその反射光から物体までの距離を測定する走査式のレーザ距離センサ(レーザレンジファインダ(LRF))である。以降において、測域センサ9をLRF9と表記する場合がある。
なお、検出結果と二次元あるいは三次元地図との照合によって自己位置の認識に用いるセンサとしては、レーザレンジファインダ(LRF)以外に、ステレオカメラやデプスカメラなども利用できる。
自走ロボット1は、磁気センサ3や測域センサ9の検出結果に基づいてコントローラ4がモータドライバ8を介して動力モータ7の駆動を制御し、動力モータ7が駆動車輪71を回動駆動することで自走ロボット1が自律走行を行う。
図1に示すように、カゴ台車2は、カゴ部20を保持する底板22と、四角形状の底板22の四隅に配置されたキャスター23と、カゴ部20の側面に配置された識別部材であるIDパネル21とを備える。
所定の場所に置かれたカゴ台車2には、認識用のマーカーが表示されたIDパネル21が取り付けられている。マーカーは、帯状部材である再帰反射テープ21b(図2参照)等を用いて、カゴ台車2の識別番号情報(ID情報)、搬送位置などの搬送先情報、搬送の優先度情報がコード化されている。カゴ台車2の識別番号情報(ID情報)は、テーブル参照などによって認識することができる。
自走ロボット1には、マーカー読取装置が設置されている。マーカー読取装置はID認識手段である測域センサ9と復号部とからなる。本実施形態ではコントローラ4が復号部としての機能を有する。コントローラ4は、測域センサ9の検出結果からマーカーのコードを認識する。コントローラ4の復号部では認識したマーカーのコード情報をデコードすることで、カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報を得る。
本実施形態では、カゴ台車2に設置されたマーカーとして再帰反射テープ21bを用いている。自走ロボット1は、周辺環境との距離を取得するレーザレンジファインダ(LRF)等の測域センサ9を用いて読み取る。コントローラ4は、測域センサ9によって位置を認識したIDパネル21と測域センサ9との距離情報からIDパネル21の位置座標を算出する。算出したIDパネル21の位置座標を用いて、コントローラ4が動力モータ7の駆動制御を行うことで、自走ロボット1をカゴ台車2におけるIDパネル21正面の所定の位置に位置決めする。
次に、IDパネル21について詳述する。
ここで、図2はカゴ台車2にIDパネル21が配置された例を示す斜視図である。図2に示すように、IDパネル21は、カゴ台車2の正面の略中央部に配置される。より詳細には、IDパネル21は、自走ロボット1の測域センサ9に対して対向する位置に配置される(図1参照)。IDパネル21は、カゴ台車2に着脱可能であって、カゴ台車2の中央の骨組み(縦棒)などの所定の位置に作業者によって設置される。なお、IDパネル21の角度は、カゴ台車2の角度と同義となるので、カゴ台車2の正面部分に対して平行になるように設置する。
自走ロボット1がカゴ台車2を連結するために、自走ロボット1は、カゴ台車2と自走ロボット1との距離と角度を検出して、カゴ台車2に向かって走行を行う必要がある。しかしながら、測域センサ9でカゴ台車2の形状を認識する場合、カゴ台車2の積載状況により認識すべき形状が変化することから、カゴ台車2との距離と角度を正確に検出することは難しい。そこで、本実施形態においては、カゴ台車2にIDパネル21を装着して、自走ロボット1に搭載した測域センサ9でIDパネル21を検出する。
ここで、識別部材であるIDパネル21を技術的に説明する。IDパネル21はレーザレンジファインダ(LRF)等の電磁波等を用いた検出装置により、検出対象の検出や識別を行うための識別部材である。電磁波等で検出するために、電磁波等が検出する検出面(例えば、IDパネル21の表面)を幾何学的に第一の方向(図2に示すIDパネル21では、水平方向)において少なくとも3つの領域に分割し、分割された複数の領域において、少なくとも隣り合う領域の電磁波等に対する反射率が異なるように設定されている。また、レーザレンジファインダ(LRF)等の検出装置は、この第一の方向に走査を行う。レーザレンジファインダ(LRF)の場合は、レーザの走査をこの第一の方向に行う。
そして、検出装置は、電磁波等を照射した際の反射信号の強度の違いを利用して特定のパターン(信号)を検出することで、検出対象の検出や識別を行う。
自走ロボット1を用いた本実施形態の搬送システムは、物流倉庫などにおける、カゴ台車2などのキャスター付き搬送対象を搬送する作業を自動化するものである。自走ロボット1による搬送動作は、次の(1)〜(3)の三つの作業に分割される。
(1)仮置きエリアでの搬送対象の探索および連結
(2)走行エリアの走行
(3)保管エリアでの保管場所探索と荷卸し
図3は、搬送システムを適用することが想定される物流倉庫1000の一例を示す説明図である。図3は、物流倉庫1000を天井側から見た床面を平面図として示している。図3に示されたXY平面が床面と並行な面であり、Z軸が高さ方向を示している。図3に示す物流倉庫1000において、上記(1)の仮置きエリアA1は、例えばピッキング(倉庫内での集荷作業)後の荷物や荷卸しされた荷物を整列しておく場所が想定される。上記(3)の保管エリアA2は、トラックバースの各方面別のトラック駐車位置前などのエリア、エレベータなどで他階へ移送する場合のエレベータ前エリアが想定される。また、上記(2)の走行エリアA3は図3中の矢印によって仮置きエリアA1と保管エリアA2との往復経路を示す場所が想定される。
自走ロボット1は、本線動作は床面に設置された磁気テープのラインをセンサで認識するライン認識による誘導方式で移動する。また、ラインの横にあるエリアマーク52を検出してエリアを判断する。また、IDパネル21には、搬送先となる保管エリアA2の情報と優先順位の情報が含まれている。
図3に示すように、走行エリアA3には自走ロボット1の誘導用の磁気テープがライン状に設けられ、自走ロボット1が走行する走行ライン51が設けられている。また、走行エリアA3における仮置きエリアA1、保管エリアA2の開始位置と終了位置には、走行ライン51の近傍にエリアマーク52が配置されており、自走ロボット1がどのエリアに居るかを認識できるようになっている。
後述する自走ロボット1が実行するプログラムでは、エリアごとに動作を指定できるようになっている。自走ロボット1は、仮置きエリアA1ではカゴ台車2の接続動作、保管エリアA2ではカゴ台車2の車庫入れ動作を行う。自走ロボット1は、カゴ台車2の保管エリアA2への搬送が完了した後、次のカゴ台車2を運ぶためにカゴ台車2が置かれた仮置きエリアA1に作業者の手を借りず自走により移動する。
なお、本実施形態においては、走行エリアA3に自走ロボット1の誘導用の磁気テープによる走行ライン51を設けるようにしたが、これに限るものではない。例えば、走行エリアA3には走行ライン51は必須ではなく、所定の間隔でエリアマークが設置されていてもよい。この場合、自走ロボット1は、エリアマークの間は駆動車輪71及び従動車輪72の回転数等から自己位置を判断して走行する。
本実施形態においては、仮置きエリアA1と保管エリアA2とが走行ライン51のすぐ横にある構成である。自走ロボット1は、走行ライン51を走行したまま、仮置きエリアA1や保管エリアA2のエリア内の探索を行う。仮置きエリアA1内に搬送対象となるカゴ台車2を見つけたら、走行ライン51上からカゴ台車2への連結動作に移行する。また、保管エリアA2に対しても、走行ライン51上から空き番地を探索して、カゴ台車2の車庫入れ動作を行う。
加えて、図3に示す物流倉庫1000において、保管エリアA2に対して走行ライン51を挟んだ向かい側であって保管エリアA2から離間した位置には、反射材である再帰反射テープ53が複数設置されている。複数の再帰反射テープ53は、自走ロボット1の測域センサ9が検出できる位置に設置されている。自走ロボット1は、複数の再帰反射テープ53の設置情報をもとに、自己位置推定を行う。
次に、自走ロボット1のコントローラ4について説明する。
ここで、図4は自走ロボット1のコントローラ4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コントローラ4は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの制御装置11と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの主記憶装置12と、SSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置13と、ディスプレイなどの表示装置14と、キーボードなどの入力装置15と、無線通信インタフェイスなどの通信装置16と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
制御装置11は、主記憶装置12や補助記憶装置13に記憶されている各種プログラムを実行することで、コントローラ4(自走ロボット1)全体の動作を制御し、後述する各種機能部を実現する。
自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
次に、自走ロボット1のコントローラ4の制御装置11が主記憶装置12や補助記憶装置13に記憶されたプログラムを実行することによって、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の自走ロボット1のコントローラ4が発揮する特徴的な機能について詳述する。
なお、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能の一部または全部をIC(Integrated Circuit)などの専用の処理回路を用いて構成してもよい。
図5は、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能的構成例を示すブロック図である。図5に示すように、自走ロボット1のコントローラ4は、周波数取得手段111と、フィードバック制御手段112と、を備える。
周波数取得手段111は、搬送対象物(カゴ台車2)の重量に基づく共振周波数を取得する。具体的な取得方法については後述する。
フィードバック制御手段112は、舵角を制御する制御信号(詳細は後述)から、周波数取得手段111により取得した共振周波数域を減衰させ、操舵のフィードバック制御を実行する。
次に、自走ロボット1の操舵のフィードバック制御(操舵制御)について説明する。
一般に、ライントレース型の無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)である自走ロボット1においては、左右の駆動輪の車輪径誤差、組付け誤差があることや、特に差動駆動型の場合はモータの回転数の個体差があることから、直進の走行指示に対してもわずかに曲がっていくことが有るため、直進する際においても常に左右へ操舵して進行方向を修正する必要がある。そこで、自走ロボット1は、軌道上をトレースして移動する際に、常に左右へ操舵することで進行方向を修正するフィードバック制御を行っている。
常に左右へ操舵することで進行方向を修正するということは、換言すると、自走ロボット1は左右へふらつきながら軌道上をトレースして移動している、ということである。しかしながら、搬送対象物(カゴ台車2)に積載された荷物の重量に応じて、共振する周波数が異なる。そのため、この軌道上をトレースして移動する際の左右へふらつきを増大する周波数が異なる。換言すると、搬送対象物(カゴ台車2)に積載された荷物の重量に応じて、ふらつきを増大する特定の周波数(ふらつきの周波数)が存在する。
なお、操舵のフィードバック制御では、左右へ操舵する周期(左右へ操舵するスピード)の逆数が周波数であり、左右へ操舵する舵角の大きさを決定する係数がゲインとなる。
すなわち、本実施形態の自走ロボット1のように、搬送対象物(カゴ台車2)をけん引する場合においては、常に操舵を行いながら走行することで、搬送対象物(カゴ台車2)の重量に応じた特定の周波数においてふらつきが増大することになるため、それを防止することが重要となる。
ここで、図6は操舵制御系の構成について示す図である。図6に示すように、操舵コントローラ101は、フィードバック制御手段112として機能するものであって、比較器102と、制御器103と、BEF(Band Elimination Filter)104と、操舵制御部105と、を備える。操舵コントローラ101は、概略的には、自律移動装置である自走ロボット1を制御対象とし、自律移動装置である自走ロボット1が軌道上を走行する際に、左右へ操舵して進行方向を修正する。また、計測器5は、カメラ106と、位置算出部107と、を備える。カメラ106は、自走ロボット1からみた軌道の位置をセンシングし、位置算出部107は、カメラ106でセンシングした軌道に対する自走ロボット1の位置を算出し、操舵コントローラ101に入力する。
なお、図6において、細い矢印は信号の流れを示しており、太い矢印は操舵コントローラ101の制御により自走ロボット1が制御されること、及び計測器5により自走ロボット1をセンシングすることを示している。
操舵コントローラ101の比較器102は、計測器5から入力された軌道に対する自走ロボット1の位置と目標値(=位置誤差が0)との差分を偏差(=位置誤差)として制御器103に入力する。
操舵コントローラ101の制御器103は、入力された偏差を0とするための舵角を制御する制御信号(1)を作成し、BEF104へ出力する。
BEF104は、ある範囲の周波数の信号のみ減衰させ、それ以外の周波数の信号を通すフィルタ回路のことで、帯域除去フィルタ(band-rejection filter)、バンドストップフィルタなどともいう。
BEF104は、制御信号(1)から周波数取得手段111で取得した搬送対象物(カゴ台車2)の重量に基づく共振周波数を減衰させた制御信号(2)を生成し、操舵制御部105へ出力する。
操舵制御部105は、制御信号(2)に基づき、自走ロボット1の舵角を制御する。
本実施の形態においては、周波数取得手段111は、搬送開始時の駆動電流から搬送対象物(カゴ台車2)に積載された荷物の重量を推定して、ふらつきを増大する特定の周波数(ふらつきの周波数)を求めて、操舵のフィードバック制御において、このふらつきの周波数を減衰させた制御信号により自走ロボット1の舵角の制御を行うことで、搬送対象物(カゴ台車2)を搬送する自走ロボット1の走行時のふらつきを抑制する。
ここで、図7は制御対象の周波数特性の例について示す図である。
図7(a)は、制御対象への操舵入力に対する応答の周波数特性の例を表すものである。なお、図7(a)は、縦軸、横軸とも対数である。図7(a)においては、自走ロボット1が一定速度で走行中に、一定の大きさの操舵を制御する制御信号を様々な周波数で加えた場合の周波数ごとの応答性を表している。
図7(a)に示すように、制御信号の周波数が低い場合は、自走ロボット1の応答性は高く、自走ロボット1の操舵に応じた移動量は相対的に大きく、制御信号の周波数が高くなると、自走ロボット1の応答性は低くなり、自走ロボット1の操舵に応じた移動量は相対的に小さくなる。
ただし、図7(a)においては、およそ0.6〜0.8Hz付近は、自走ロボット1の応答性が高くなっている。これは、自走ロボット1の舵角を制御する制御信号にこの0.6から0.8Hz付近の周波数が含まれている場合、自走ロボット1の応答性が高くなり、自走ロボット1の操舵に応じた移動量が大きくなること、換言すると、ふらつきやすいことを示している。
この現象は、自走ロボット1の重量、自走ロボット1と搬送対象物(カゴ台車2)とが連結されている場合は両者を合わせた重量に応じて特定の周波数に共振が生じることによる。
ここで、自走ロボット1の重量は変化しないが、自走ロボット1からみた搬送対象物(カゴ台車)の重量は、搬送対象物(カゴ台車2)の荷物の積載状況により変化する。つまり、この共振が生じる周波数(共振周波数)は、自走ロボット1からみた搬送対象物(カゴ台車)の重量は、搬送対象物(カゴ台車2)の荷物の積載状況により変化する。
そして、自走ロボット1からみた搬送対象物(カゴ台車2)の重量が搬送対象物(カゴ台車2)の荷物の積載状況により変化するため、自走ロボット1の舵角を制御する制御信号からこの共振周波数を取り除くことが難しかったが、自走ロボット1からみた搬送対象物(カゴ台車2)の重量を推定することで、この共振周波数を取り除くための操舵コントローラ101内のBEF104の周波数域を設定することが可能になる。
図7(b)は、BEF104の周波数特性の例を表すものである。なお、図7(b)は、縦軸、横軸とも対数である。図7(b)の縦軸は、出力である制御信号(2)の大きさ(自走ロボット1を操舵する際の舵角の大きさ)を、入力である制御信号(1)の大きさ(自走ロボット1を操舵する際の舵角の大きさ)で除算したものであり、制御工学では「ゲイン」と呼ばれている。
例えば、図7(b)に示すように、BEF104は、入力された制御信号(1)から操舵入力するとふらつきを励振しやすい0.6から0.8Hz付近の周波数を減衰させた制御信号(2)を生成するフィルタとして設定される。
図8は、舵角を制御する制御信号である制御信号(1)と制御信号(2)を説明する図である。図8における制御信号(1)は、目標の舵角を1.0[rad]とまで2.6秒かけて操舵する信号であることを示している。対して、制御信号(1)から0.6から0.8Hz付近の周波数を減衰させた制御信号(2)では、目標の舵角を1.0[rad]とまで5秒かけて操舵する信号となる。このように、制御信号から特定の周波数を減衰することで、目標の舵角へ操舵するまでの制御時間(図8における傾き)が変化する。
次に、搬送対象物(カゴ台車2)の重量の推定について説明する。ここで、図9は搬送対象物の重量と電流の関係について示す図である。
周波数取得手段111は、搬送対象物(カゴ台車2)の重量の推定は、例えば以下の方法で行う。モータが一定回転時には、モータにかかる負荷トルクと入力電流が比例することと、カゴ台車2の重量がカゴ台車2の車輪の転がり抵抗として作用すること(=負荷トルクがカゴ台車2の重量に比例すること)を利用する。まず、重量が既知の搬送物をカゴ台車2に積載し、特定の(左右とも2500rpm程度の)モータ回転数で自走ロボット1を走行させる。その時に、モータドライバへの入力電流[A]を計測し、重量に対してプロットすることで、図9に示すような搬送対象物(カゴ台車2)の重量と電流の関係を作っておく。さらに、カゴ台車2の重量とふらつきの周波数の関係は、直線軌道を走行させた場合の実測、または機構シミュレーション等によって、同様に把握しておく。
以上から、実稼働時は、上記と同様に特定の(左右とも2500rpm程度の)モータ回転数で、1m程度、自走ロボット1を走行させ、モータドライバへの入力電流を測ることで、事前に求めた図9に示す関係から、搬送対象物(カゴ台車2)の重量を推定し、BEF104で設定する周波数域を得ることが可能となる。
このように本実施の形態によれば、搬送対象物(カゴ台車2)を搬送する自走ロボット1の走行時のふらつきを抑制することができる。特に搬送対象物を搬送している際の搬送対象物に積載された荷物の重量に応じた特定の周波数におけるふらつきの増大を抑制することができる。
さらに、例えば倉庫内の狭い通路を走行する際においてこのふらつきの影響は大きいが、ふらつきを抑制することで狭い通路においても搬送対象物(カゴ台車2)を搬送することができる。
なお、本実施の形態においては、制御対象の自律移動装置である自走ロボット1は軌道上を走行するライントレース型であるとしたが、これに限るものではなく、自走ロボット1が仮想の走行軌道を走行するガイドレス(無軌道)型であってもよい。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態の搬送システムは、搬送開始直後のふらつき周波数を計測する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
第1の実施の形態では、搬送開始時の駆動電流から搬送対象物(カゴ台車2)に積載された荷物の重量を推定して、ふらつきの周波数を求めるようにしたが、第2の実施の形態においては、搬送開始直後のふらつき周波数を計測して、ふらつきの周波数を求めるようにしたものである。
ここで、図10は第2の実施の形態のふらつきの周波数の検出にかかる搬送対象物の重量と電流の関係について示す図である。
例えば、自走ロボット1は、搬送対象物(カゴ台車2)を接続した状態で、10mの直線部分を0.5m/sで走行する。このようにして走行中の自走ロボット1に接続された搬送対象物(カゴ台車2)のふらつきを計測する。
なお、このような計測データの取得は、自走ロボット1と搬送対象物(カゴ台車2)と接続部分に角度センサを設ける、自走ロボット1に搭載した測域センサを用いる、自走ロボット1に搬送対象物(カゴ台車2)との距離を測る測距センサを設ける、自走ロボット1のバンパー部分に圧力センサを設けるなど、様々な方法を用いることができる。
上述のようにして計測したデータは、例えば図10に示す図のようになる。図10に示す例では、値のpeak-to-peakの繰り返しが20秒あたり何個あるかを数える。計測時間の20秒で割ることで、ふらつきの周波数を求めることができる。図10の場合、8個/20秒より、ふらつきの周波数は0.4Hzである。
操舵コントローラ101は、以上のように求めたふらつきの周波数から図7(b)に示すBEF104の周波数域を設定し、搬送対象物(カゴ台車2)のふらつきを防止することが可能になる。
また、搬送対象物(カゴ台車2)のふらつきの周波数を求めるために走行する時間は、搬送対象物(カゴ台車2)を自走ロボット1に接続して走行開始後から30秒以内とすることが望ましい。最初はふらつくが、それ以降はふらつきを抑えられて、狭い通路に入っていくことができる。
このように本実施の形態によれば、動力源が電動モータ以外の自律移動装置であっても、搬送対象物(カゴ台車2)を搬送する自走ロボット1の走行時のふらつきを抑制すること、特に搬送対象物を搬送している際の搬送対象物(カゴ台車2)に積載された荷物の重量に応じた特定の周波数におけるふらつきの増大を抑制することができる。
なお、上記の計測と同様の動作を自走ロボット1にさせて、自走ロボット1の軌道に対する位置誤差を求めることでも、搬送対象物(カゴ台車2)のふらつきの周波数を得ることができる。これは、搬送対象物(カゴ台車2)のふらつきによって、先導する自走ロボット1にも旋回方向のトルクがかかり、軌道に対する位置誤差の挙動となって現れるためである。
なお、各実施形態においては、連結対象であるカゴ台車2のような被牽引台車に自動で接続して牽引することで、カゴ台車2を所望の搬送先へ自動搬送する無人搬送車(AGV)としての自走ロボット1を、自律移動装置に適用した例について説明したが、これに限るものではなく、各種の自律移動装置に適用可能であることはいうまでもない。
1 自律移動装置
2 搬送対象物
111 周波数取得手段
112 フィードバック制御手段
特許第5848915号公報 特開2018−090084号公報

Claims (8)

  1. 搬送対象物を搬送する自律移動装置において、
    前記搬送対象物にかかる共振周波数を求める周波数取得手段と、
    当該自律移動装置の操舵を制御する制御信号について、前記制御信号から前記共振周波数を減衰させて操舵制御を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とする自律移動装置。
  2. 前記周波数取得手段は、前記共振周波数を、前記搬送対象物の重量を推定して求める、
    ことを特徴とする請求項1に記載の自律移動装置。
  3. 前記周波数取得手段は、前記共振周波数を、走行挙動に基づいて求める、
    ことを特徴とする請求項1に記載の自律移動装置。
  4. 前記周波数取得手段は、前記共振周波数を、前記搬送対象物のふらつき挙動から求める、
    ことを特徴とする請求項3に記載の自律移動装置。
  5. 前記周波数取得手段は、前記共振周波数を、当該自律移動装置のふらつき挙動から求める、
    ことを特徴とする請求項3に記載の自律移動装置。
  6. 前記周波数取得手段は、前記共振周波数を求めるために移動する時間を、移動開始してから30秒以内とする、
    ことを特徴とする請求項3ないし5の何れか一項に記載の自律移動装置。
  7. 搬送対象物を搬送する自律移動装置を制御するコンピュータを、
    前記搬送対象物にかかる共振周波数を求める周波数取得手段と、
    前記自律移動装置の操舵を制御する制御信号について、前記制御信号から前記共振周波数を減衰させて操舵制御を実行する制御手段と、
    として機能させるためのプログラム。
  8. 搬送対象物を搬送する自律移動装置の操舵方法であって、
    前記搬送対象物にかかる共振周波数を取得する周波数取得工程と、
    前記自律移動装置の操舵を制御する制御信号について、前記制御信号から前記共振周波数を減衰させて操舵制御を実行する制御工程と、
    を含むことを特徴とする自律移動装置の操舵方法。
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