JP2020154258A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを提供する。【解決手段】離型剤を含有し、表面に前記離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子と、前記トナー粒子に外添されたゾルゲルシリカ粒子と、を含み、前記露出部の平均径Aが200nm以上600nm以下であり、前記ゾルゲルシリカ粒子は、平均一次粒径Bが20nm以上90nm以下であり、且つ、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで加熱したときの質量減少割合が1質量%以上10質量%以下であり、前記平均径Aと前記平均一次粒径Bとの比A/Bが3以上30以下である、静電荷像現像用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
特許文献1には、外添剤がアルキルアルコキシシランカップリング剤で疎水化処理された溶融シリカを含有し、溶融シリカの数平均一次粒子径が60〜300nmの範囲内である静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献2には、トナー粒子と、体積平均粒径70nm以上400nm以下且つ平均円形度0.5以上0.9以下のゾルゲルシリカとを含み、温度28℃且つ湿度85%の環境下で24時間放置した際の誘電損率が5×10−3以上30×10−3以下である静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献3には、一次粒子径分布において7nm〜14nmの範囲内にピークを有するシリカ粒子と14nm〜30nmの範囲内にピークを有するチタニア粒子とを混合し、これをシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルで湿式処理してなるシリカ粒子及びチタニア粒子の凝集粒子であって、体積基準の粒子径分布において3μm〜10μmの範囲内に1つのピークを有する凝集粒子を外添したトナーが開示されている。
特許文献4には、環状シロキサンにより表面処理され且つ炭素含有率が5%以上10%以下であるシリカ粒子を外添した静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献5には、シリコーンオイルで表面処理された無機物質粒子を外添した電子写真用トナーが開示されている。
特許文献6には、チタネート系カップリング剤で処理されたシリカを含有するトナーが開示されている。
特開2013−242495号公報 特開2013−061485号公報 特開2007−034164号公報 特開2016−167029号公報 特開2007−248867号公報 特開平11−038685号公報
本開示は、表面に離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子とゾルゲルシリカ粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bが20nm未満又は90nm超である静電荷像現像用トナー、ゾルゲルシリカ粒子の質量減少割合が1質量%未満又は10質量%超である静電荷像現像用トナー、又は、トナー粒子表面の離型剤露出部の平均径Aとゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bとの比A/Bが3未満又は30超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1> 離型剤を含有し、表面に前記離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子と、
前記トナー粒子に外添されたゾルゲルシリカ粒子と、を含み、
前記露出部の平均径Aが200nm以上600nm以下であり、
前記ゾルゲルシリカ粒子は、平均一次粒径Bが20nm以上90nm以下であり、且つ、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで加熱したときの質量減少割合が1質量%以上10質量%以下であり、
前記平均径Aと前記平均一次粒径Bとの比A/Bが3以上30以下である、静電荷像現像用トナー。
<2> 前記静電荷像現像用トナーが、シロキサン結合とアルキル基のみで構成された分子量200以上600以下の低分子シロキサンをさらに含み、前記低分子シロキサンの総含有量が質量基準で0.01ppm以上5ppm以下である、<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3> 前記低分子シロキサンの総含有量が、前記ゾルゲルシリカ粒子の総含有量に対して質量基準で10ppm以上1000ppm以下である、<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 前記低分子シロキサンが低分子直鎖状シロキサン及び低分子分岐状シロキサンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、<2>又は<3>に記載の静電荷像現像用トナー。
<5> 前記低分子シロキサンがテトラキス構造を有する低分子シロキサンを含む、<2>〜<4>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<6> 前記低分子シロキサンがテトラキス(トリメチルシロキシ)シランを含む、<2>〜<5>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<7> 前記ゾルゲルシリカ粒子は、BET比表面積が100m/g以上240m/g以下である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<8> 前記トナー粒子は、X線光電子分光分析により求められる表面に占める前記露出部の割合が1atom%以上20atom%以下である、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<9> <1>〜<8>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<10> <1>〜<8>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<11> <9>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<12> 像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、<9>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
<13> 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、<9>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法。
<1>又は<8>に係る発明によれば、表面に離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子とゾルゲルシリカ粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bが20nm未満又は90nm超である静電荷像現像用トナー、ゾルゲルシリカ粒子の質量減少割合が1質量%未満又は10質量%超である静電荷像現像用トナー、又は、トナー粒子表面の離型剤露出部の平均径Aとゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bとの比A/Bが3未満又は30超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<2>に係る発明によれば、分子量200以上600以下の低分子シロキサンの代わりに分子量200未満又は分子量600超の低分子シロキサンを含む静電荷像現像用トナー、又は、分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量が5ppm超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<3>に係る発明によれば、分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量がゾルゲルシリカ粒子の総含有量に対して1000ppm超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<4>に係る発明によれば、分子量200以上600以下の低分子シロキサンが低分子環状シロキサンである場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<5>又は<6>に係る発明によれば、分子量200以上600以下の低分子シロキサンがデカメチルテトラシロキサンである場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<7>に係る発明によれば、ゾルゲルシリカ粒子のBET比表面積が100m/g未満である場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<9>に係る発明によれば、表面に離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子とゾルゲルシリカ粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bが20nm未満又は90nm超である静電荷像現像用トナー、ゾルゲルシリカ粒子の質量減少割合が1質量%未満又は10質量%超である静電荷像現像用トナー、又は、トナー粒子表面の離型剤露出部の平均径Aとゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bとの比A/Bが3未満又は30超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤が提供される。
<10>に係る発明によれば、表面に離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子とゾルゲルシリカ粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bが20nm未満又は90nm超である静電荷像現像用トナー、ゾルゲルシリカ粒子の質量減少割合が1質量%未満又は10質量%超である静電荷像現像用トナー、又は、トナー粒子表面の離型剤露出部の平均径Aとゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bとの比A/Bが3未満又は30超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを収容したトナーカートリッジが提供される。
<11>に係る発明によれば、表面に離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子とゾルゲルシリカ粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bが20nm未満又は90nm超である静電荷像現像用トナー、ゾルゲルシリカ粒子の質量減少割合が1質量%未満又は10質量%超である静電荷像現像用トナー、又は、トナー粒子表面の離型剤露出部の平均径Aとゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bとの比A/Bが3未満又は30超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を適用したプロセスカートリッジが提供される。
<12>に係る発明によれば、表面に離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子とゾルゲルシリカ粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bが20nm未満又は90nm超である静電荷像現像用トナー、ゾルゲルシリカ粒子の質量減少割合が1質量%未満又は10質量%超である静電荷像現像用トナー、又は、トナー粒子表面の離型剤露出部の平均径Aとゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bとの比A/Bが3未満又は30超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を適用した画像形成装置が提供される。
<13>に係る発明によれば、表面に離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子とゾルゲルシリカ粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bが20nm未満又は90nm超である静電荷像現像用トナー、ゾルゲルシリカ粒子の質量減少割合が1質量%未満又は10質量%超である静電荷像現像用トナー、又は、トナー粒子表面の離型剤露出部の平均径Aとゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bとの比A/Bが3未満又は30超である静電荷像現像用トナーに比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を適用した画像形成方法が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」ともいい、「静電荷像現像剤」を単に「現像剤」ともいう。
本開示において定着オフセットとは、定着ローラや紙送りローラ等の部材に画像からトナーが転移する現象、及びそれによって画像欠陥が発生する現象を指す。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係るトナーは、離型剤を含有し、表面に前記離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子と、前記トナー粒子に外添されたゾルゲルシリカ粒子と、を含み、
前記露出部の平均径Aが200nm以上600nm以下であり、
前記ゾルゲルシリカ粒子は、平均一次粒径Bが20nm以上90nm以下であり、且つ、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで加熱したときの質量減少割合が1質量%以上10質量%以下であり、
前記平均径Aと前記平均一次粒径Bとの比A/Bが3以上30以下である。
本実施形態に係るトナーは、定着オフセットの発生を抑制する。その機序として、下記が推測される。
トナー粒子に含まれる離型剤は、画像定着の際に画像表面にしみ出して定着オフセットを抑制する。トナー粒子表面に離型剤の露出部が存在すると、画像定着の際に離型剤が画像表面へ効率的にしみ出し、定着オフセットをより抑制する。ところが、離型剤の露出部が適度に存在するトナーに無機粒子を外添すると定着オフセットが発生することがある。その機序として、無機粒子の中には離型剤の露出部に埋没しやすい種類があり、離型剤の露出部に埋没しやすい無機粒子が離型剤のしみ出しを妨げるものと推測される。
上記事象に対して、本実施形態に係るトナーは、平均一次粒径Bが20nm以上90nm以下であり、且つ、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで加熱したときの質量減少割合が1質量%以上10質量%以下という、比較的小さく且つ定められた範囲の量の水を含んだゾルゲルシリカ粒子を外添剤とする。このゾルゲルシリカ粒子は、離型剤のしみ出しを妨げにくく、その結果、定着オフセットの発生を抑制すると推測される。
本実施形態に係るトナーにおいて、外添剤であるゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bは20nm以上90nm以下である。
平均一次粒径Bが20nm未満であるゾルゲルシリカ粒子は、離型剤露出部に埋没しやすく、離型剤のしみ出しを妨げると推測される。この観点から、本実施形態においてゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bは20nm以上であり、25nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
平均一次粒径Bが90nm超であるゾルゲルシリカ粒子は、現像装置内での攪拌によってトナー粒子表面で転がりやすく、結着樹脂よりも負帯電性の弱い又は帯電していない離型剤露出部に移行して離型剤露出部を覆い、離型剤のしみ出しを妨げると推測される。この観点から、本実施形態においてゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bは90nm以下であり、80nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るトナーにおいて、外添剤であるゾルゲルシリカ粒子は、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで加熱したときの質量減少割合が1質量%以上10質量%以下である。
当該質量減少割合が1質量%未満であるゾルゲルシリカ粒子は、含水量が比較的少ない故に離型剤になじんで離型剤露出部に埋没しやすく、離型剤のしみ出しを妨げると推測される。この観点から、本実施形態において当該質量減少割合は1質量%以上であり、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。
当該質量減少割合が10質量%超であるゾルゲルシリカ粒子は、含水量が比較的多い故に定着の際に比較的多量の水が当該ゾルゲルシリカ粒子からしみ出して画像の定着を妨げると推測される。この観点から、本実施形態において当該質量減少割合は10質量%以下であり、9質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係るトナーにおいて、トナー粒子表面の離型剤露出部の平均径Aとゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bとの比A/Bは3以上30以下である。
比A/Bが3未満であると、離型剤露出部の大きさに対してゾルゲルシリカ粒子の粒径が大き過ぎ、ゾルゲルシリカ粒子が離型剤露出部を覆って離型剤のしみ出しを妨げると推測される。この観点から、比A/Bは3以上であり、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。
比A/Bが30超であると、離型剤露出部の大きさに対してゾルゲルシリカ粒子の粒径が小さ過ぎ、外添時に離型剤露出部にゾルゲルシリカ粒子が静電的に引き付けられて局在しやすく、離型剤露出部を覆って離型剤のしみ出しを妨げると推測される。この観点から、比A/Bは30以下であり、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
[トナー粒子]
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と着色剤と離型剤とを含む。トナー粒子は、必要に応じた添加剤をさらに含んでもよい。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知の非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と共に、結晶性ポリエステル樹脂を併用してもよい。但し、結晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に対して、含有量が2質量%以上40質量%以下(好ましくは2質量%以上20質量%以下)の範囲で用いることがよい。
樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下より好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
非晶性ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香環を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族の重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステルと同様に、公知の製造方法により得られる。
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
−トナー粒子の特性等−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の平均円形度は、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA−3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理を行って外添剤を除去したトナー粒子を得る。
トナー粒子は、定着オフセットを抑制する観点から、表面に離型剤が露出した露出部を有する。
本実施形態においてトナー粒子の表面に存在する離型剤露出部の平均径Aは、200nm以上600nm以下である。離型剤露出部の平均径が200nm以上であると、画像定着の際に離型剤が画像表面にしみ出す効率がよく、定着オフセットが抑制される。離型剤露出部の平均径が600nm以下であると、離型剤のしみ出し量が適切であるので、定着オフセットが抑制される。
上記の観点から、離型剤露出部の平均径は、200nm以上600nm以下であり、200nm以上400nm以下がより好ましく、200nm以上300nm以下が更に好ましく、240nm以上300nm以下が更に好ましい。
本実施形態において離型剤露出部の径とは、離型剤露出部それぞれの長径(最も長い方向の長さ)であり、離型剤露出部の平均径とは、長径の個数基準の分布において小径側から累積50%となる径である。
離型剤露出部の長径は、トナー粒子を四酸化ルテニウムで染色した後に走査型電子顕微鏡(SEM)画像を撮影し、SEM画像において染色度合いに起因する濃淡により離型剤と結着樹脂とを識別し、少なくとも200個の離型剤露出部の画像解析によって求める。
トナー粒子は、定着オフセットを抑制する観点から、X線光電子分光分析(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により求められる、表面に占める離型剤露出部の割合が1atom%以上20atom%以下であることが好ましい。トナー粒子表面に占める離型剤露出部の割合が1atom%以上であると、画像定着の際に離型剤が画像表面にしみ出す効率がよく、定着オフセットが抑制される。トナー粒子表面に占める離型剤露出部の割合が20atom%以下であると、離型剤のしみ出し量が適切であるので、定着オフセットが抑制される。
上記の観点から、トナー粒子表面に占める離型剤露出部の割合は、1atom%以上20atom%以下が好ましく、1atom%以上15atom%以下がより好ましく、1atom%以上10atom%以下が更に好ましく、5atom%以上10atom%以下が更に好ましい。
トナー粒子表面に占める離型剤露出部の割合は、下記の方法で求める。
トナー粒子表面のXPSスペクトルを測定し、炭素1s軌道の各ピークを、参照スペクトルの波形と比較して、離型剤に帰属するピークであるか、結着樹脂に帰属するピークであるか特定する。参照スペクトルは、トナー粒子を構成している離型剤、結着樹脂それぞれについて予め測定したXPSスペクトルである。炭素1s軌道のピークのうち離型剤に帰属するピークの合計atom%を、離型剤露出部の割合とする。
トナー粒子表面における離型剤露出部の平均径と離型剤露出部の割合とは、例えば、コア・シェル構造のトナー粒子を凝集合一法で製造する際に、シェル形成に樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液を使用し、両者の混合比によって制御し得る。
[ゾルゲルシリカ粒子]
本実施形態に係るトナーは、ゾルゲルシリカ粒子が外添されたトナーである。
本実施形態に係るトナーにおいて、外添剤であるゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径Bは20nm以上90nm以下である。
ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径が20nm以上であると、離型剤露出部に埋没しにくい。この観点から、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径は、25nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましい。
ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径が90nm以下であると、トナー粒子表面で比較的転がりにくく離型剤露出部に移行しにくい。この観点から、ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径は、85nm以下であることがより好ましく、80nm以下であることが更に好ましい。
本実施形態においてゾルゲルシリカ粒子の一次粒径とは、一次粒子像と同じ面積をもつ円の直径(いわゆる円相当径)であり、ゾルゲルシリカ粒子が外添されたトナーの電子顕微鏡画像を撮影し、トナー粒子上のゾルゲルシリカ粒子を少なくとも300個画像解析して求める。ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径とは、一次粒径の個数基準の分布において小径側から累積50%となる粒径である。
本実施形態に係るトナーにおいて、外添剤であるゾルゲルシリカ粒子は、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで加熱したときの質量減少割合が1質量%以上10質量%以下である。
当該質量減少割合が1質量%以上であるゾルゲルシリカ粒子は、離型剤に比較的なじみにくく離型剤露出部に埋没しにくい。この観点から、当該質量減少割合は、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。
当該質量減少割合が10質量%以下であるゾルゲルシリカ粒子は、定着の際に当該ゾルゲルシリカ粒子からしみ出す水の量が比較的少なく、画像の定着を抑制しにくい。この観点から、当該質量減少割合は、9質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態においてゾルゲルシリカ粒子を加熱したときの質量減少割合は、下記の測定方法により求める。
約30mgのゾルゲルシリカ粒子を熱重量測定装置((株)島津製作所製、型番DTG−60AH)の試料室に入れ、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで昇温し、初期質量との差分から質量減少割合を算出する。
熱重量測定装置に供する試料は、トナーの材料であるゾルゲルシリカ粒子、又は、トナーから分離したゾルゲルシリカ粒子である。トナーからゾルゲルシリカ粒子を分離する方法に制限はなく、例えば、界面活性剤を含む水にトナーを分散させた分散液に超音波を印加したのち、分散液を高速遠心し、上澄み液を常温(23℃±2℃)で乾燥させてゾルゲルシリカ粒子を得る。
疎水化処理されたゾルゲルシリカ粒子が外添剤である場合は、疎水化処理された後のゾルゲルシリカ粒子を試料にして上記の測定を行う。
ゾルゲルシリカ粒子は、例えば、次のようにして得られる。
アルコール化合物とアンモニア水とを含むアルカリ触媒溶液にテトラアルコキシシランを滴下し、テトラアルコキシシランを加水分解及び縮合させゾルゲルシリカ粒子を含む懸濁液を得る。次いで、懸濁液から溶媒を除去し粒状物を得る。次いで、粒状物を乾燥することにより、ゾルゲルシリカ粒子を得る。ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径は、アルカリ触媒溶液の量に対するテトラアルコキシシランの滴下量によって制御することができる。ゾルゲルシリカ粒子が含有する水の量、すなわち、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで加熱したときの質量減少割合は、粒状物を乾燥する際の乾燥条件によって制御することができる。
ゾルゲルシリカ粒子は、疎水化表面処理を施された疎水性ゾルゲルシリカ粒子であってもよい。疎水化処理剤は特に制限されないが、ケイ素含有有機化合物が好ましい。ケイ素含有有機化合物としては、アルコキシシラン化合物、シラザン化合物、シリコーンオイルが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゾルゲルシリカ粒子の疎水化処理剤としては、シラザン化合物(例えば、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン等)が好ましく、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が特に好ましい。
ゾルゲルシリカ粒子が疎水化表面処理を施された疎水性ゾルゲルシリカ粒子である場合においても、加熱したときの質量減少割合は先述の範囲が好ましく、また、平均一次粒径は先述の範囲が好ましい。
ゾルゲルシリカ粒子が疎水化表面処理を施された疎水性ゾルゲルシリカ粒子である場合、分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、疎水化処理された後のゾルゲルシリカ粒子の表面に付着していることが好ましい。
ゾルゲルシリカ粒子及び疎水化表面処理を施された疎水性ゾルゲルシリカ粒子は、BET比表面積が、100m/g以上240m/g以下であることが好ましく、120m/g以上220m/g以下であることがより好ましく、150m/g以上200m/g以下であることが更に好ましい。
ゾルゲルシリカ粒子(疎水化表面処理を施された疎水性ゾルゲルシリカ粒子を含む。)のBET比表面積は、窒素ガスを用いたBET多点法にて測定方法する。
測定に供する試料は、トナーの材料であるゾルゲルシリカ粒子、又は、トナーから分離したゾルゲルシリカ粒子である。トナーからゾルゲルシリカ粒子を分離する方法に制限はなく、例えば、トナーを界面活性剤を含む水に分散させた分散液に超音波を印加したのち、分散液を高速遠心し、上澄み液を常温(23℃±2℃)で乾燥させてゾルゲルシリカ粒子を得る。
ゾルゲルシリカ粒子の外添量は、トナー粒子の質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下が更に好ましい。
[その他の外添剤]
ゾルゲルシリカ粒子以外のその他の外添剤としては、例えば、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等の無機粒子が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。疎水化処理剤の量は、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部である。
ゾルゲルシリカ粒子以外のその他の外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
ゾルゲルシリカ粒子以外のその他の外添剤の外添量は、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
[分子量200以上600以下の低分子シロキサン]
本実施形態のトナーは、シロキサン結合とアルキル基のみで構成された分子量200以上600以下の低分子シロキサンを含むことが好ましい。
本開示においてシロキサンとは、特別に断らない限り、シロキサン結合とアルキル基のみで構成されたシロキサンを指す。本開示においては、分子量1000未満のシロキサンが低分子シロキサンの範疇に入り、分子量1000以上のシロキサンはシリコーンオイルの範疇に入る。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは一部又は全部が、外添剤であるゾルゲルシリカ粒子の一部又は全部に付着していることが好ましい。
ゾルゲルシリカ粒子が疎水化表面処理を施された疎水性ゾルゲルシリカ粒子である場合、分子量200以上600以下の低分子シロキサンは一部又は全部が、疎水化処理された後のゾルゲルシリカ粒子の一部又は全部に付着していることが好ましい。
本実施形態に係るトナーにおいて分子量200以上600以下の低分子シロキサンが、定着オフセットの発生をより抑制すると推測される。
本実施形態に係るトナーに含まれる低分子シロキサンの分子量は、ゾルゲルシリカ粒子の間にはたらく摩擦力を高めてゾルゲルシリカ粒子が離型剤露出部に移行することを抑制する観点から、200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましく、280以上であることが更に好ましく、300以上であることが更に好ましい。
本実施形態に係るトナーに含まれる低分子シロキサンの分子量は、比較的分子量が大きいとシロキサン分子どうしの絡み合いでゾルゲルシリカ粒子が集団化しやすのでこれを抑制する観点から、600以下であることが好ましく、550以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましく、450以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係るトナーは、本実施形態に係るトナーの効果を妨げない範囲であれば、分子量200未満の低分子シロキサン、分子量600超1000未満の低分子シロキサン及び分子量1000以上のシリコーンオイルから選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、1分子中のSi原子の個数が、最少で2個である。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、低分子シロキサンの動粘度を相対的に高めて、その結果、ゾルゲルシリカ粒子の間にはたらく摩擦力を高める観点から、1分子中のSi原子の個数が、3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましく、5個以上であることが更に好ましい。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、比較的分子量が大きいとシロキサン分子どうしの絡み合いでゾルゲルシリカ粒子が集団化しやすのでこれを抑制する観点から、1分子中のSi原子の個数が、7個以下であることが好ましく、6個以下であることがより好ましく、5個以下であることが更に好ましい。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、上記の両観点から、1分子中のSi原子の個数が5個であることが特に好ましい。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンの25℃における動粘度は、ゾルゲルシリカ粒子の間にはたらく摩擦力を適度に高める観点から、2mm/s以上5mm/s以下であることが好ましい。
本実施形態においてシロキサンの動粘度(mm/s)とは、毛細管粘度計の一種であるオストワルド粘度計を用いて測定した25℃における粘度を密度で除した値である。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンの一例として、シロキサン結合が分岐していない直鎖状シロキサンが挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子直鎖状シロキサンとしては、例えば、ヘキサアルキルジシロキサン、オクタアルキルトリシロキサン、デカアルキルテトラシロキサン、ドデカアルキルペンタシロキサン、テトラデカアルキルヘキサシロキサン、ヘキサデカアルキルヘプタシロキサンが挙げられる(ただし、分子量は200以上600以下である。)。
これら低分子直鎖状シロキサンが有するアルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下、更に好ましくは炭素数1又は2)の直鎖状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の分岐状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基の少なくとも一方が好ましく、メチル基が更に好ましい。低分子直鎖状シロキサン1分子中に複数個あるアルキル基は互いに同じでも異なっていてもよい。
分子量200以上600以下の低分子直鎖状シロキサンの具体例としては、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサンが挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンの一例として、シロキサン結合が分岐している分岐状シロキサンが挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子分岐状シロキサンとしては、例えば、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタアルキル−3−(トリアルキルシロキシ)トリシロキサン、テトラキス(トリアルキルシロキシ)シラン、1,1,1,3,5,5,7,7,7−ノナアルキル−3−(トリアルキルシロキシ)テトラシロキサン等の分岐状シロキサン(ただし、分子量は200以上600以下である。)が挙げられる。
これら低分子分岐状シロキサンが有するアルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下、更に好ましくは炭素数1又は2)の直鎖状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の分岐状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基の少なくとも一方が好ましく、メチル基が更に好ましい。低分子分岐状シロキサン1分子中に複数個あるアルキル基は互いに同じでも異なっていてもよい。
分子量200以上600以下の低分子分岐状シロキサンの具体例としては、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(分子式C1030Si)、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン(分子式C1236Si)、1,1,1,3,5,5,7,7,7−ノナメチル−3−(トリメチルシロキシ)テトラシロキサン(分子式C1236Si)が挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンの一例として、シロキサン結合のみで構成された環状構造を有する環状シロキサンが挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子環状シロキサンとしては、例えば、ヘキサアルキルシクロトリシロキサン、オクタアルキルシクロテトラシロキサン、デカアルキルシクロペンタシロキサン、ドデカアルキルシクロヘキサシロキサン、テトラデカアルキルシクロヘプタシロキサン、ヘキサデカアルキルシクロオクタシロキサンが挙げられる(ただし、分子量は200以上600以下である。)。
これら低分子環状シロキサンが有するアルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下、更に好ましくは炭素数1又は2)の直鎖状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の分岐状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基の少なくとも一方が好ましく、メチル基が更に好ましい。低分子環状シロキサン1分子中に複数個あるアルキル基は互いに同じでも異なっていてもよい。
分子量200以上600以下の低分子環状シロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサンが挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンとしては、低分子シロキサンを含むトナーが定着オフセットをより抑制する観点から、低分子直鎖状シロキサン及び低分子分岐状シロキサンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、低分子分岐状シロキサンがより好ましく、テトラキス構造を有する低分子シロキサンが更に好ましい。テトラキス構造を有するシロキサンとは、分子中に下記の構造(すなわちテトラキスシロキシシラン構造)を少なくとも1個有するシロキサンを指す。
テトラキス構造を有する分子量200以上600以下の低分子シロキサンとしては、テトラキス(トリアルキルシロキシ)シランが挙げられ、ここでアルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下、更に好ましくは炭素数1又は2)の直鎖状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の分岐状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基の少なくとも一方が好ましく、メチル基が更に好ましい。テトラキス構造を有する低分子シロキサン1分子中のアルキル基は互いに同じでも異なっていてもよい。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンとしては、低分子シロキサンを含むトナーが定着オフセットをより抑制する観点から、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランが特に好ましい。
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量は、ゾルゲルシリカ粒子の間にはたらく摩擦力を高める観点から、トナーの質量に対して、0.01ppm以上であることが好ましく、0.05ppm以上であることがより好ましく、0.1ppm以上であることが更に好ましい。
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量は、トナーの誘電率を低下させない観点から、トナーの質量に対して、5ppm以下であることが好ましく、1ppm以下であることがより好ましく、0.5ppm以下であることが更に好ましい。
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計((株)島津製作所製、GCMS−QP2020)及び無極性カラム(Restek社製、Rtx−1、10157、膜厚1.00μm、長さ60m、内径0.32mm)を用いて、ヘッドスペース法により測定する。具体的な特定方法は次のとおりである。
トナーをバイアルビンに秤量し、バイアルビンにキャップをして密封し、加熱時間3分間で190℃まで昇温させる。次いで、バイアルビン内の揮発成分をカラムに導入し、下記の条件で分子量200以上600以下の低分子シロキサンの検出を行う。
・キャリアガス種:ヘリウム
・キャリアガス圧:120kPa(圧力一定)
・オーブン温度:40℃(5分間)→(15℃/分)→250℃(6分間)(合計25分間)
・イオン源温度:260℃
・インターフェース温度:260℃
基準物質(Tetrakis(trimethylsiloxy)silane1)をエタノールで希釈して濃度を振った標準液を用いて検量線を作成する。試料のクロマトグラフに現れた分子量200以上600以下の低分子シロキサンのピーク面積と、基準物質の検量線とから、当該低分子シロキサンの量を求める。試料のクロマトグラフに分子量200以上600以下の低分子シロキサンに当たるピークが複数あるときは、それらのピーク面積の合計面積と、基準物質の検量線とから、当該低分子シロキサンの合計量を求める。さらに、トナー全量に対する分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量(ppm)を算出する。
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量は、ゾルゲルシリカ粒子の間にはたらく摩擦力を高める観点から、トナーに含まれるゾルゲルシリカ粒子の総含有量に対して、10ppm以上であることが好ましく、15ppm以上であることがより好ましく、20ppm以上であることが更に好ましい。
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量は、トナーの誘電率を低下させない観点から、トナーに含まれるゾルゲルシリカ粒子の総含有量に対して、1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることが更に好ましく、100ppm以下であることが更に好ましい。
上記の質量割合は、{トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量÷トナーに含まれるゾルゲルシリカ粒子の総含有量}を百万分率に換算した値である。
ゾルゲルシリカ粒子が疎水化処理されたゾルゲルシリカ粒子である場合、ゾルゲルシリカ粒子の質量とは、疎水化処理された後のゾルゲルシリカ粒子の質量を指し、疎水化処理剤に由来する成分を含む質量である。
トナーに含まれるゾルゲルシリカ粒子の総含有量は、下記の測定方法によって求める。
トナーを界面活性剤を含む水に分散させた分散液に超音波を印加したのち、分散液を高速遠心し、上澄み液を常温(23℃±2℃)で乾燥させてゾルゲルシリカ粒子を得て、上澄み液から得たゾルゲルシリカ粒子を秤量する。澄み液から得たゾルゲルシリカ粒子は、疎水化処理剤による表面処理の有無によって区別されず、すべてのゾルゲルシリカ粒子を含む。ここで、上澄み液から得たゾルゲルシリカ粒子の表面には低分子シロキサンが付着していることがあるが、付着している低分子シロキサンの質量はゾルゲルシリカ粒子の質量に比べて微量であるので無視する。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、例えば、トナー粒子に外添する;外添剤である無機粒子(特にはゾルゲルシリカ粒子)の表面処理剤として用いる;などの方法によって、トナーに含ませ得る。
[トナーの製造方法]
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以下、各工程の詳細について説明する。以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
−樹脂粒子分散液準備工程−
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、転相乳化法によって分散媒に樹脂粒子を分散させてもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水系媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの転相を行い、樹脂を水系媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
−凝集粒子形成工程−
次に、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体;などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酸酢(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
−融合・合一工程−
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10℃から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
融合・合一工程終了後、溶液中に形成されたトナー粒子に、公知の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を施して乾燥した状態のトナー粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点から、凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
磁性粉分散型キャリア、樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、この表面を樹脂で被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;などが挙げられる。
被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
芯材の表面を樹脂で被覆するには、被覆用の樹脂、及び各種添加剤(必要に応じて使用する)を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂の種類や、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法;被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法;芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、その後に溶剤を除去するニーダーコーター法;等が挙げられる。
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
<画像形成装置、画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;等の公知の画像形成装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に着脱するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、駆動ロール22及び支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行するようになっている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段の一例)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成及び動作を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
以下、第1のユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として現像され可視化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、第1のユニット10Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー画像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する支持ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像手段と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kが着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
[トナー粒子(1)の作製]
−樹脂粒子分散液(1)の調製−
・エチレングリコール :37部
・ネオペンチルグリコール:65部
・1,9−ノナンジオール:32部
・テレフタル酸 :96部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに、上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を200℃まで上げ、ジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃で4時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量13,000、酸価9.4mgKOH/g、ガラス転移温度62℃のポリエステル樹脂を得た。
ポリエステル樹脂を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100部の速度で移送した。別途準備した0.37質量%濃度の希アンモニア水を、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度でポリエステル樹脂と同時にキャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cmの条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径160nmの樹脂粒子が分散された、固形分量30質量%の樹脂粒子分散液(1)を得た。
−着色剤粒子分散液(1)の調製−
・C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業):10部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬、ネオゲンSC) : 2部
・イオン交換水 :80部
上記の材料を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン社製、HJP30006)を用いて1時間分散し、体積平均粒径180nmの着色剤粒子が分散された、固形分量20質量%の着色剤粒子分散液(1)を得た。
−離型剤粒子分散液(1)の調製−
・ポリエチレン系ワックス(ベーカーペトロライト製ポリワックス725、融解温度104℃) :270部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬、ネオゲンRK):13.5部
・イオン交換水 :21.6部
上記の材料を混合し120℃に加熱してワックスを溶解した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製ゴーリンホモジナイザ)を用いて、分散圧力5MPaで2時間、続いて分散圧力40MPaで6時間分散処理し、冷却して分散液を得た。イオン交換水を加えて固形分量25質量%に調整し、離型剤粒子分散液(1)とした。離型剤粒子分散液(1)中の粒子の体積平均粒径は250nmであった。
−トナー粒子(1)の作製−
・樹脂粒子分散液(1) :223部
・着色剤粒子分散液(1) : 20部
・イオン交換水 :215部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬、ネオゲンRK):2.8部
上記材料を、温度計、pH計及び攪拌機を備えた反応容器に入れ、マントルヒーターで外部から温度30℃に加温し、攪拌回転数150rpmで攪拌しながら30分間保持した。次いで、0.3N硝酸水溶液を添加しpHを3.0に調整した。次いで、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)で分散しながら、ポリ塩化アルミニウム(王子製紙製、30%粉末品)0.7部をイオン交換水7部に溶解させた溶液を添加した。次いで、攪拌しながら50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径50μm、ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子(第一凝集粒子)の粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmであることを確認した。
次いで、第一凝集粒子の分散液に、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)12部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加し、第一凝集粒子の表面に離型剤粒子と樹脂粒子を付着させ、第二凝集粒子を形成した。次いで、10%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト株式会社製キレスト70)を20部加え、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9.0に調整した。次いで、昇温速度0.05℃/分にて90℃まで昇温し、90℃で3時間保持して第二凝集粒子を融合・合一させ、分散液を冷却した。
分散液を濾過して得た固形分をイオン交換水に再分散することを繰り返して洗浄を行った。その後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、体積平均粒径6.5μmのトナー粒子(1)を得た。
[トナー粒子(2)の作製]
第二凝集粒子を形成する工程において、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)6部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(2)を作製した。トナー粒子(2)の体積平均粒径は6.6μmであった。
[トナー粒子(3)の作製]
第二凝集粒子を形成する工程において、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)18部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(3)を作製した。トナー粒子(3)の体積平均粒径は6.4μmであった。
[トナー粒子(4)の作製]
第二凝集粒子を形成する工程において、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)3部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(4)を作製した。トナー粒子(4)の体積平均粒径は6.7μmであった。
[トナー粒子(5)の作製]
第二凝集粒子を形成する工程において、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)24部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(5)を作製した。トナー粒子(5)の体積平均粒径は6.3μmであった。
[トナー粒子の分析]
−トナー粒子表面における離型剤露出部の平均径−
トナー粒子(1)〜(5)をそれぞれ試料とした。トナー粒子を30℃のデシケータ内で四酸化ルテニウムにより3時間染色した。SEM(日立ハイテクノロジーズ製、S−4800)にて、染色されたトナーのSEM画像を撮影した。離型剤の方がポリエステル樹脂よりも四酸化ルテニウムに染色されやすいので、染色度合いに起因する濃淡で、離型剤とポリエステル樹脂とを識別し、中央部に離型剤露出部が位置するトナー粒子200個を画像解析し、離型剤露出部の長径(最も長い方向の長さ)を測定した。200個の長径の個数基準の分布において小径側から累積50%となる長径を平均径とした。
−トナー粒子表面における離型剤露出部の割合−
トナー粒子(1)〜(5)をそれぞれ試料とした。XPS装置として日本電子社製JPS−9000MXを使用し、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧10kV、エミッション電流30mAに設定して、トナー粒子表面のXPSスペクトルを測定した。別途、トナー粒子の材料である離型剤、ポリエステル樹脂それぞれについてXPSスペクトルを測定し、炭素1s軌道の参照スペクトルを得た。
トナー粒子表面の炭素1s軌道の各ピークを、最小二乗法によるカーブフィッティングによって参照スペクトルと比較し、離型剤に帰属するピークを特定した。離型剤に帰属するピークの合計atom%を、離型剤露出部の割合とした。
[疎水性シリカ粒子(1)の作製]
−シリカ粒子の造粒工程−
攪拌機、滴下ノズル及び温度計を備えたガラス製反応容器にメタノール300部と10%アンモニア水70部とを入れ混合し、アルカリ触媒溶液を得た。アルカリ触媒溶液を30℃に調整した後、アルカリ触媒溶液を攪拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)60部と10%アンモニア水1.7部とを滴下し、シリカ粒子分散液を得た。TMOSと10%アンモニア水は同時に滴下を開始し、3分間かけて各全量を滴下した。次いで、シリカ粒子分散液をロータリーフィルター(寿工業社製R−ファイン)を用いて固形分濃度40質量%まで濃縮した。濃縮後のシリカ粒子分散液をシリカ粒子分散液(1)とした。
−シリカ粒子の表面処理工程−
シリカ粒子分散液(1)250部に、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)100部を添加し、130℃に加熱して2時間反応させた後、表1に記載の乾燥条件で乾燥させて、疎水性シリカ粒子(S1)を得た。次いで、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランをシリカ粒子分散液(1)の量に対して0.020質量%用意し、メタノールで5倍に希釈した後、疎水性シリカ粒子(S1)に添加し、80℃で反応系内を攪拌しながら乾燥し疎水性シリカ粒子(1)を得た。
[疎水性シリカ粒子(2)〜(3)及び疎水性シリカ粒子(C1)〜(C2)の作製]
シリカ粒子(1)の作製と同様にして、ただし、シリカ粒子の造粒工程を表1に記載のとおり変更して、疎水性シリカ粒子を作製した。
[疎水性シリカ粒子(4)〜(5)及び疎水性シリカ粒子(C3)〜(C4)の作製]
シリカ粒子(1)の作製と同様にして、ただし、シリカ粒子の表面処理工程における乾燥条件を表1に記載のとおり変更して、疎水性シリカ粒子を作製した。
[疎水性シリカ粒子(6)〜(14)の作製]
シリカ粒子(1)の作製と同様にして、ただし、シリカ粒子の表面処理工程に用いる低分子シロキサンの種類を表1に記載のとおり変更して、疎水性シリカ粒子を作製した。
[疎水性シリカ粒子(15)〜(20)の作製]
シリカ粒子(1)の作製と同様にして、ただし、シリカ粒子の表面処理工程に用いる低分子シロキサンの添加量を表1に記載のとおり変更して、疎水性シリカ粒子を作製した。
[キャリアの作製]
・フェライト粒子(体積平均粒径36μm) :100部
・トルエン : 14部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体 : 2部
(重合質量比90:10、重量平均分子量8万)
・カーボンブラック(キャボット社製R330):0.2部
トルエンとスチレン−メチルメタクリレート共重合体とカーボンブラックとを混合しスターラーで10分間攪拌し分散液を調製した。次いで、分散液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れて60℃において30分間攪拌し、次いで、加温しながら減圧して脱気し乾燥させてキャリアを得た。
[実施例A1]
トナー粒子(1)と疎水性シリカ粒子(1)とを、トナー粒子(1):疎水性シリカ粒子(1)=99:1(質量比)の割合でヘンシェルミキサーに入れ、攪拌周速30m/secで15分間攪拌し、外添トナーを得た。
外添トナーとキャリアとを、外添トナー:キャリア=10:100(質量比)の割合でVブレンダーに入れ、20分間攪拌し、現像剤を得た。
[実施例A2〜A20、比較例A1〜A4]
実施例A1と同様にして、ただし、疎水性シリカ粒子の種類を表2に記載のとおり変更して、外添トナー及び現像剤を作製した。
[実施例B1]
実施例A1と同様にして、ただし、トナー粒子(1)をトナー粒子(2)に変更して、外添トナー及び現像剤を作製した。
[実施例B2〜B20、比較例B1〜B4]
実施例B1と同様にして、ただし、疎水性シリカ粒子の種類を表3に記載のとおり変更して、外添トナー及び現像剤を作製した。
[実施例C1]
実施例A1と同様にして、ただし、トナー粒子(1)をトナー粒子(3)に変更して、外添トナー及び現像剤を作製した。
[実施例C2〜C20、比較例C1〜C4]
実施例C1と同様にして、ただし、疎水性シリカ粒子の種類を表4に記載のとおり変更して、外添トナー及び現像剤を作製した。
[比較例D1]
実施例A1と同様にして、ただし、トナー粒子(1)をトナー粒子(4)に変更して、外添トナー及び現像剤を作製した。
[比較例E1]
実施例A1と同様にして、ただし、トナー粒子(1)をトナー粒子(5)に変更して、外添トナー及び現像剤を作製した。
[性能評価]
−定着オフセット−
各例で得られた現像剤を、定着装置を取り外した富士ゼロックス社製ApeosPortIV C3370の現像装置に充填し、トナー載り量が0.48mg/cmとなるように調整して、OHPシートに50mm×50mmの未定着画像を形成した。ニップ幅6mm、ニップ圧1.6kgf/cm、プロセス速度170mm/secの定着装置を用いて、未定着画像の定着を行った。
定着温度を120℃から5℃間隔で上げ、各定着温度で未定着画像の定着を行った。定着部材を目視で観察しオフセットの有無を確認し、オフセットが消えた温度を定着オフセットの指標とし、下記のとおり分類した。表2〜表4に評価結果を示す。
A:オフセット消失温度が130℃以下
B:オフセット消失温度が135℃又は140℃
C:オフセット消失温度が145℃又は150℃
D:オフセット消失温度が155℃以上
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
P 記録紙(記録媒体の一例)
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)

Claims (13)

  1. 離型剤を含有し、表面に前記離型剤が露出した露出部を有するトナー粒子と、
    前記トナー粒子に外添されたゾルゲルシリカ粒子と、を含み、
    前記露出部の平均径Aが200nm以上600nm以下であり、
    前記ゾルゲルシリカ粒子は、平均一次粒径Bが20nm以上90nm以下であり、且つ、昇温速度30℃/分で30℃から250℃まで加熱したときの質量減少割合が1質量%以上10質量%以下であり、
    前記平均径Aと前記平均一次粒径Bとの比A/Bが3以上30以下である、
    静電荷像現像用トナー。
  2. 前記静電荷像現像用トナーが、シロキサン結合とアルキル基のみで構成された分子量200以上600以下の低分子シロキサンをさらに含み、
    前記低分子シロキサンの総含有量が質量基準で0.01ppm以上5ppm以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記低分子シロキサンの総含有量が、前記ゾルゲルシリカ粒子の総含有量に対して質量基準で10ppm以上1000ppm以下である、請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記低分子シロキサンが低分子直鎖状シロキサン及び低分子分岐状シロキサンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2又は請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記低分子シロキサンがテトラキス構造を有する低分子シロキサンを含む、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記低分子シロキサンがテトラキス(トリメチルシロキシ)シランを含む、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記ゾルゲルシリカ粒子は、BET比表面積が100m/g以上240m/g以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記トナー粒子は、X線光電子分光分析により求められる表面に占める前記露出部の割合が1atom%以上20atom%以下である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  11. 請求項9に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  12. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項9に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  13. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項9に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法。
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