JP2020153392A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルト歯部がモータプーリ歯部に噛み合う際の歯同士の間におけるスリップを抑制する。【解決手段】モータプーリ26及びナットプーリ27が静止している場合に、無端ベルト28のうちモータプーリ巻き掛け領域とナットプーリ巻き掛け領域との間の一対の中間領域におけるベルト歯部の歯ピッチがPB1であり、転舵輪が路面に接した状態で電動モータがモータシャフト13を介してモータプーリ26を駆動している場合に、一対の中間領域のうち無端ベルト28がモータプーリ26に引き込まれる引込側中間領域の歯ピッチがPB2であり、モータプーリ歯部26aの歯ピッチがPMであるとしたときに、モータプーリ26及び無端ベルト28がPB1<PB2≦PMという関係式を満足する。【選択図】図4
Description
本発明は、ステアリング装置に関する。
ステアリング装置として、例えば以下の特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置が知られている。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、電動モータの出力トルクをアシストトルクとして転舵軸に伝達するベルト式減速機を備えている。このベルト式減速機において、駆動プーリ、従動プーリ及びこれらの間に巻き掛けられた無端ベルトは、それぞれ、無端ベルトとモータプーリ及びナットプーリとの間で噛み合う歯部を有している。
ところで、駆動プーリが電動モータで駆動されたときに、駆動プーリに引き込まれる無端ベルトのベルト歯部の歯ピッチは、ベルト式減速機の静止時に比べて広がる。このため、ベルト歯部が駆動プーリ歯部に噛み合う際に、ベルト歯部の回転位相が駆動プーリ歯部の回転位相に対して遅れを生じる場合がある。この場合には、駆動プーリ歯部がベルト歯部に干渉して撓みを生じさせることで、駆動プーリ歯部とベルト歯部との間で異音の原因となるスリップが生じる可能性がある。
そこで、本発明は以上のような問題点に鑑み、ベルト歯部がモータプーリ歯部に噛み合う際の歯同士の間におけるスリップを抑制したステアリング装置を提供することを目的とする。
このため、本発明のステアリング装置は、転舵軸であって、車幅方向に直線運動することで転舵輪を転舵可能である、転舵軸と、電動モータであって、出力軸としてモータシャフトを有し、モータシャフトは、第1軸線を中心に回転する、電動モータと、駆動プーリであって、モータシャフトと一体に回転可能であり、径方向に突出する歯が周方向に沿って複数配列された駆動プーリ歯部を有する歯付プーリである、駆動プーリと、従動プーリであって、第1軸線に対してオフセットした第2軸線を中心に回転し、径方向に突出する歯が周方向に沿って複数配列された従動プーリ歯部を有する歯付プーリである、従動プーリと、回転運動−直線運動変換機構であって、従動プーリの回転運動を直線運動に変換して転舵軸に伝達する、回転運動−直線運動変換機構と、無端ベルトであって、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリに巻き掛けられる駆動プーリ巻き掛け領域、及び従動プーリに巻き掛けられる従動プーリ巻き掛け領域を有し、駆動プーリ及び従動プーリの回転とともに駆動プーリ歯部及び従動プーリ歯部と順次噛み合う歯がベルト長手方向に沿って複数配列されたベルト歯部を有する歯付ベルトである、無端ベルトと、を備え、駆動プーリ及び従動プーリが静止している場合に、無端ベルトのうち駆動プーリ巻き掛け領域と従動プーリ巻き掛け領域との間の一対の中間領域におけるベルト歯部の歯ピッチがPB1であり、転舵輪が路面に接した状態で電動モータがモータシャフトを介して駆動プーリを駆動している場合に、一対の中間領域のうち無端ベルトが駆動プーリに引き込まれる引込側中間領域の歯ピッチがPB2であり、駆動プーリ歯部の歯ピッチがPMであるとしたときに、駆動プーリ及び無端ベルトが下記の関係式を満足する。
PB1<PB2≦PM
PB1<PB2≦PM
本発明のステアリング装置によれば、ベルト歯部がモータプーリ歯部に噛み合う際の歯同士の間におけるスリップを抑制することができる。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
[電動パワーステアリング装置の概要]
図1は、ステアリング装置に係る実施形態として、電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)装置の一例を示す。EPS装置100は、操舵装置及びアシスト装置を有している。操舵装置は、車両1000の運転者によるステアリング操作によって転舵輪200を転舵させるために、ステアリングホイール101により発生した操舵トルクを転舵輪200に伝達する装置である。一方、アシスト装置は、操舵装置による操舵トルクの伝達経路において、操舵トルクをアシストするアシストトルクを加える装置である。
図1は、ステアリング装置に係る実施形態として、電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)装置の一例を示す。EPS装置100は、操舵装置及びアシスト装置を有している。操舵装置は、車両1000の運転者によるステアリング操作によって転舵輪200を転舵させるために、ステアリングホイール101により発生した操舵トルクを転舵輪200に伝達する装置である。一方、アシスト装置は、操舵装置による操舵トルクの伝達経路において、操舵トルクをアシストするアシストトルクを加える装置である。
操舵装置において、ステアリングホイール101の回転操作によって発生する操舵トルクは、中間軸102及び自在継手103等を介して、ステアリングシャフト104に伝達される。ステアリングシャフト104には図示省略のトーションバー(操舵トルクセンサ)等を介してピニオンシャフト105が接続されている。ピニオンシャフト105の外周には、棒形状をなす転舵軸としてのラックバー106のラックギアと噛み合うピニオンギアが形成されている。ステアリングシャフト104から伝達された操舵トルクにより回転するピニオンシャフト105の回転運動は、ピニオンシャフト105と噛み合うラックバー106による車幅方向の直線運動に変換される。この直線運動は、ラックバー106に接続されたボールジョイント109から、タイロッド107、及び、タイロッド107に回転可能に接続されたナックルアーム108を介して転舵輪200に伝達され、これにより転舵輪200が転舵する。
アシスト装置は、電動モータ110及びベルト式減速機111を有し、電動モータ110の軸出力がベルト式減速機111を介してラックバー106に伝達されるように構成される。ベルト式減速機111は、電動モータ110の出力回転速度を固有の減速比に応じて低下させるとともに、電動モータ110の出力トルクを固有の減速比に応じて増大させる。ベルト式減速機111の出力トルクがアシストトルクとなる。なお、電動モータ110は、図示省略の駆動制御装置によって駆動が制御される。この駆動制御装置は、図示省略の各種センサによって検出された操舵トルクや車速等に基づいてアシストトルクの目標値を演算し、ベルト式減速機111の減速比を考慮して電動モータ110の出力軸から出力される出力トルクの目標値を設定する。そして、制御装置は、電動モータ110の出力トルクが目標値となるように電動モータ110の駆動を制御する。
EPS装置100は、車両1000に固定されるギアハウジング112と、これに接続されるモータハウジング113と、を有する。ギアハウジング112は、概略的にはラックバー収容部112a及び減速機収容部112bの2つの内部空間を形成する。ラックバー収容部112aは、ラックバー106を軸方向(車幅方向)に移動可能に収容する。減速機収容部112bは、ラックバー106の軸方向(車幅方向)の中間部において、ベルト式減速機111を収容し、ラックバー収容部112aと連通する。また、モータハウジング113は、ボルト等の締結部材によってギアハウジング112に固定されることで減速機収容部112bに隣接する空間を画し、この空間において電動モータ110を収容する。
[アシスト装置の詳細]
図2は、図1のA部についての一部断面図である。電動モータ110は、巻線10が巻き回された略円筒状の電機子鉄心(モータステータ)11の中央部に、第1軸線X1を回転軸線とする永久磁石回転子(モータロータ)12を回転可能に備える。永久磁石回転子12には、これと回転軸線を共通にするモータシャフト13が電動モータ110の出力軸として固定される。モータシャフト13は、巻線10への通電量を制御することで、永久磁石回転子12と一体に正回転又は逆回転の両方向に回転可能である。モータシャフト13の先端部は、電動モータ110がモータハウジング113に収容された状態で、減速機収容部112bまで突出している。
図2は、図1のA部についての一部断面図である。電動モータ110は、巻線10が巻き回された略円筒状の電機子鉄心(モータステータ)11の中央部に、第1軸線X1を回転軸線とする永久磁石回転子(モータロータ)12を回転可能に備える。永久磁石回転子12には、これと回転軸線を共通にするモータシャフト13が電動モータ110の出力軸として固定される。モータシャフト13は、巻線10への通電量を制御することで、永久磁石回転子12と一体に正回転又は逆回転の両方向に回転可能である。モータシャフト13の先端部は、電動モータ110がモータハウジング113に収容された状態で、減速機収容部112bまで突出している。
ベルト式減速機111は、ラックバー側ボールねじ溝20、ナット21、ボールベアリング22、ナット側ボールねじ溝23及びボール24によって構成されるボールねじ機構25を有する。ボールねじ機構25は、ナット21の回転運動を直線運動に変換してラックバー106に伝達する。ラックバー側ボールねじ溝20は、ラックバー106のうち上記のピニオンギアが形成されていない領域で軸方向断面円形状に形成された外周において、軸方向に螺旋状に延びる。ナット21は、ラックバー106のうちラックバー側ボールねじ溝20が形成された領域が軸方向に挿通される円筒体であり、ボールベアリング22によって第2軸線X2を回転軸線としてギアハウジング112に回転自在に支持される。ナット21の内周には、ラックバー側ボールねじ溝20に対向して、軸方向に螺旋状に延びるナット側ボールねじ溝23が形成される。ラックバー側ボールねじ溝20とナット側ボールねじ溝23とが対向することで複数のボール24が充填されるボール循環溝が形成される。ボールねじ機構25は、ナット21の回転に伴いボール循環溝内を複数のボール24が移動することにより、ナット21に対してラックバー106を軸方向に移動させる。なお、図示省略したが、ナット21は、複数のボール24をボール循環溝の一端側から他端側へ循環させる循環経路を備える。
モータシャフト13の回転軸線である第1軸線X1とナット21の回転軸線である第2軸線X2とは、その径方向において互いにオフセットしている。つまり、第1軸線X1と第2軸線X2とは、製造誤差を無視すれば互いに平行である。なお、第2軸線X2は、ラックバー106のうちラックバー側ボールねじ溝20が形成された軸方向断面円形状領域の軸線となる。
ベルト式減速機111は、上記のボールねじ機構25に加えて、モータプーリ26、ナットプーリ27及び無端ベルト28を含んだベルト機構29を有する。モータプーリ26は、モータシャフト13と同軸の円筒状の駆動プーリ(例えば金属製)であり、モータシャフト13の先端部の外周を包囲してボルト等によりモータシャフト13に固定される。ナットプーリ27は、ナット21と同軸の円筒状の従動プーリ(例えば金属製)であり、ナット21の外周を包囲してボルト等によりナット21に固定される。モータプーリ26とナットプーリ27との間には無端ベルト28が巻き掛けられる。モータシャフト13が一方向に回転すると、モータシャフト13及びモータプーリ26が第1軸線X1回りに一体に回転するとともに、無端ベルト28によって、ナットプーリ27が第2軸線X2周りにモータプーリ26と同一方向へ回転する。これにより、ナットプーリ27に固定されたナット21も同一方向へ回転し、ラックバー106がナット21に対して挿通方向の一方へ移動する。
ナットプーリ27の外径はモータプーリ26の外径よりも大きくなっている。したがって、電動モータ110の出力回転速度がナットプーリ27の外径をモータプーリ26の外径で除算して得られる減速比の逆数に比例して低下するとともに、電動モータ110の出力トルクが減速比に比例して増大する。これにより、電動モータ110の軸出力は、出力回転速度が低下しかつ出力トルクが増大した状態でラックバー106に伝達され、ベルト式減速機111の機能が実現される。
[ベルト機構の詳細]
図3は、図2のB−B線における要部切断端面図により静止状態のベルト機構29を示す。ベルト機構29の静止状態とは、モータプーリ26、ナットプーリ27及び無端ベルト28が動作していない状態をいう。なお、ボール24やハウジング112等については図示を省略するものとする。図4において同様である。
図3は、図2のB−B線における要部切断端面図により静止状態のベルト機構29を示す。ベルト機構29の静止状態とは、モータプーリ26、ナットプーリ27及び無端ベルト28が動作していない状態をいう。なお、ボール24やハウジング112等については図示を省略するものとする。図4において同様である。
無端ベルト28は、内側面にベルト長手方向に沿って歯が複数配列されたベルト歯部28aと、図示省略の心線を埋設した背部28bとを有し、ベルト歯部28aの表面に例えばナイロン帆布等の歯布(図示省略)を被覆した歯付ベルトである。ベルト歯部28aのベルト長手方向における断面形状には、台形状や円弧形状等の様々な形状を用いることができ、特に限定するものではない。無端ベルト28において、ベルト長手方向にベルト引張力等の外力が加わっていないときに、隣接する2つのベルト歯部28a間の歯ピッチPBである初期ピッチはPB0である。ここで、歯ピッチPBは、無端ベルト28のピッチ線Cbにおいて1つのベルト歯部28aの1点と隣接するベルト歯部28aの相当点との間のピッチ線Cbに沿った長さである。ベルト歯部28a及び背部28bの材質としては、例えばクロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム等の合成ゴムやポリウレタンが用いられ得る。また、背部28bに埋設された心線の材質としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、カーボン等が用いられ得る。
モータプーリ26は、無端ベルト28のベルト歯部28aと噛み合うモータプーリ歯部26aを有する歯付プーリである。モータプーリ歯部26aでは、モータプーリ26の外周において、径方向に突出する歯が周方向に沿って複数配列されている。モータプーリ歯部26aは、無端ベルト28のベルト歯部28aがモータプーリ26に巻き付いていく際のベルト歯部28aの歯の運動により創成される軌跡を考慮して定められる。モータプーリ歯部26aにおいて隣接する2つの歯の間の歯ピッチPMは、後述するように、無端ベルト28のベルト歯部28aの歯ピッチPBとの関係を考慮して設定される。ここで、歯ピッチPMは、モータプーリ26のピッチ円Cmにおいて1つのモータプーリ歯部26aの1点と隣接するモータプーリ歯部26aの相当点との間のピッチ円Cmに沿った長さである。
ナットプーリ27は、無端ベルト28のベルト歯部28aと噛み合うナットプーリ歯部27aを有する歯付プーリである。ナットプーリ歯部27aでは、ナットプーリ27の外周において、径方向に突出する歯が周方向に沿って複数配列されている。ナットプーリ歯部27aは、無端ベルト28のベルト歯部28aがナットプーリ27に巻き付いていく際のベルト歯部28aの歯の運動により創成される軌跡を考慮して定められる。ナットプーリ27において隣接する2つの歯の間の歯ピッチPNは、後述するように、無端ベルト28のベルト歯部28aの歯ピッチPBとの関係を考慮して設定される。ここで、歯ピッチPNは、ナットプーリ27のピッチ円Cnにおいて1つのナットプーリ歯部27aの1点と隣接するナットプーリ歯部27aの相当点との間のピッチ円Cnに沿った長さである。
ここで、無端ベルト28がモータプーリ26に巻き掛けられた状態でモータプーリ歯部26aと接触するベルト歯部28aの複数の歯のうち一端側の歯から他端側の歯までの無端ベルト28の範囲を、モータプーリ側巻き掛け領域というものとする。また、無端ベルト28がナットプーリ27に巻き掛けられた状態でナットプーリ歯部27aと接触するベルト歯部28aの複数の歯のうち一端側の歯から他端側の歯までの無端ベルト28の範囲を、ナットプーリ側巻き掛け領域というものとする。したがって、無端ベルト28のうちモータプーリ側巻き掛け領域とナットプーリ側巻き掛け領域との間の一対の中間領域は、ベルト歯部28aがモータプーリ歯部26a及びナットプーリ歯部27aと接触しない領域である。
なお、モータプーリ側巻き掛け領域のうちベルト歯部28aがモータプーリ歯部26aと単に接触しているだけでなく噛み合っている範囲では、無端ベルト28のピッチ線Cbとモータプーリ26のピッチ円Cmとが互いに共通となる。また、ナットプーリ側巻き掛け領域のうちベルト歯部28aがナットプーリ歯部27aと単に接触しているだけでなく噛み合っている範囲では、無端ベルト28のピッチ線Cbとナットプーリ27のピッチ円Cnとが互いに共通となる。
ベルト機構29の静止状態では、無端ベルト28の一対の中間領域にそれ自体の弾性に起因した初張力が生じている。これにより、一対の中間領域では無端ベルト28が伸びるので、ベルト歯部28aの歯ピッチPBは初期ピッチPB0から静止時ピッチPB1(>PB0)に広がっている。
図4は、図2のB−B線における要部切断端面図により動作状態のベルト機構29を示す。ベルト機構29の動作状態とは、転舵輪200が路面に接しているときに、電動モータ110がモータシャフト13を介してモータプーリ26を駆動することで、モータプーリ26、ナットプーリ27及び無端ベルト28が動作している状態をいう。図中では、モータシャフト13が紙面に対して例えば反時計回りに回転するものとしている。
ここで、上記の一対の中間領域のうち、無端ベルト28がモータプーリ26に引き込まれる方(紙面に対して右側)を引込側中間領域というものとする。また、上記の一対の中間領域のうち、無端ベルト28がモータプーリ26から送り出される方(紙面に対して左側)を送出側中間領域というものとする。なお、ナットプーリ27が回転すると、これと一体にナット21が回転し、ラックバー106が紙面に対して垂直方向に移動する。
ベルト機構29の動作状態で、モータプーリ26には、電動モータ110からモータシャフト13を介して出力トルクが伝達される。また、ナットプーリ27には、転舵時における転舵輪200と路面との摩擦力等に起因した負荷トルクがラックバー106を介して伝達される。したがって、無端ベルト28の引込側中間領域には、初張力に加えて、出力トルクと負荷トルクとの差分に応じたベルト引張力が加わる。このベルト引張力によって、引込側中間領域では無端ベルト28がさらに引っ張られて、引込側中間領域のベルト歯部28aの歯ピッチPBは静止時ピッチPB1から動作時ピッチPB2(>PB1)に広がる。これに対し、送出側中間領域の無端ベルト28には、引込側中間領域のように電動モータ110の出力トルクによるベルト引張力が加わらない。したがって、送出側中間領域のベルト歯部28aの歯ピッチPBは静止時ピッチPB1と同程度か、あるいは静止時ピッチPB1よりも小さくなっている。図中では、説明の便宜上、送出側中間領域のベルト歯部28aの歯ピッチPBを静止時ピッチPB1としている。
[モータプーリ歯部及びベルト歯部の歯ピッチ]
図5は、図4のD部の拡大図であり、ベルト機構29の動作状態におけるモータプーリ26のモータプーリ歯部26aと無端ベルト28のベルト歯部28aとの関係を説明するためのものである。ここで、ベルト歯部28aの第1ベルト歯28a1が、モータプーリ歯部26aの第1モータプーリ歯26a1と噛み合っているものとする。また、第1ベルト歯28a1の1つ手前の第2ベルト歯28a2dash(太破線参照)はモータプーリ歯部26aと接触していないものとする。すなわち、第1ベルト歯28a1はモータプーリ側巻き掛け領域に含まれ、第2ベルト歯28a2dashは引込側中間領域に含まれるものとする。このとき、第1ベルト歯28a1と第2ベルト歯28a2dashとの間の歯ピッチPBは引込側中間領域の動作時ピッチPB2となる。そして、モータプーリ26が回転して、第1モータプーリ歯26a1の1つ手前の第2モータプーリ歯26a2は、第2ベルト歯28a2dashと噛み合い始める。
図5は、図4のD部の拡大図であり、ベルト機構29の動作状態におけるモータプーリ26のモータプーリ歯部26aと無端ベルト28のベルト歯部28aとの関係を説明するためのものである。ここで、ベルト歯部28aの第1ベルト歯28a1が、モータプーリ歯部26aの第1モータプーリ歯26a1と噛み合っているものとする。また、第1ベルト歯28a1の1つ手前の第2ベルト歯28a2dash(太破線参照)はモータプーリ歯部26aと接触していないものとする。すなわち、第1ベルト歯28a1はモータプーリ側巻き掛け領域に含まれ、第2ベルト歯28a2dashは引込側中間領域に含まれるものとする。このとき、第1ベルト歯28a1と第2ベルト歯28a2dashとの間の歯ピッチPBは引込側中間領域の動作時ピッチPB2となる。そして、モータプーリ26が回転して、第1モータプーリ歯26a1の1つ手前の第2モータプーリ歯26a2は、第2ベルト歯28a2dashと噛み合い始める。
しかし、モータプーリ26の歯ピッチPMが少なくとも動作時ピッチPB2未満である場合には、モータプーリ歯部26aとベルト歯部28aとが噛み合う際に、ベルト歯部28aの回転位相がモータプーリ歯部26aの回転位相に対して遅れを生じる。これにより、第2モータプーリ歯26a2は、第2ベルト歯28a2dashと干渉(接触)して撓み(変形)を生じさせるので、第2ベルト歯28a2dashは変形後第2ベルト歯28a2に変化する。このとき、第2モータプーリ歯26a2と第2ベルト歯28a2dashとの間で異音の原因となるスリップが生じる可能性がある。
そこで、モータプーリ歯部26aの歯ピッチPMは、下記の関係式(1)に示すように、ベルト機構29の動作状態での引込側中間領域におけるベルト歯部28aの歯ピッチPBである動作時ピッチPB2以上となるように設定される。
PB1<PB2≦PM …(1)
PB1<PB2≦PM …(1)
モータプーリ26及び無端ベルト28が上記の関係式(1)を満足することで、モータプーリ歯部26aとベルト歯部28aとが噛み合う際に、ベルト歯部28aの回転位相がモータプーリ歯部26aの回転位相に対して遅れることがなくなる。これにより、モータプーリ歯部26aがベルト歯部28aを撓ませる可能性が低減するので、モータプーリ歯部26aとベルト歯部28aとの間で異音の原因となるスリップを抑制することができる。
なお、モータプーリ歯部26aの歯ピッチPMは、上記の関係式(1)を満足するように設定されるときには、モータプーリ歯部26aの歯が、ベルト歯部28aのうち噛み合い対象となる歯以外と干渉しないように上限が設けられる。
図5を参照して、モータプーリ歯部26aの歯ピッチPMの具体例について説明する。図5の状態からさらにモータプーリ26が回転すると、第2モータプーリ歯26a2の1つ手前の第3モータプーリ歯26a3が、変形後第2ベルト歯28a2の1つ手前の第3ベルト歯28a3と噛み合い始める。ところが、上記のように第2ベルト歯28a2dashから変形後第2ベルト歯28a2へ変形しているので、変形後第2ベルト歯28a2とその1つ手前の第3ベルト歯28a3との間の歯ピッチPBは、動作時ピッチPB2から変形部ピッチPB3(>PB2)まで広がる。
このようなベルト歯部28aの変形による歯ピッチPBの変化を考慮して、モータプーリ歯部26aの歯ピッチPMは、下記の関係式(2)に示すように、変形部ピッチPB3と同一かあるいは極めて近い値に設定される。
PM≒PB3 …(2)
PM≒PB3 …(2)
モータプーリ26及び無端ベルト28が上記の関係式(2)を満足することで、モータプーリ26が回転してモータプーリ歯部26aとベルト歯部28aとが噛み合う際に、モータプーリ歯部26aはベルト歯部28aをさらに撓ませにくくなる。これにより、モータプーリ歯部26aとベルト歯部28aとの間で異音の原因となるスリップをより確実に抑制することができる。
[ナットプーリ歯部及びベルト歯部の歯ピッチ]
再び図4を参照して、ナットプーリ歯部27a及びベルト歯部28aの歯ピッチについて説明する。上記のように、無端ベルト28の送出側中間領域の歯ピッチPBは、ベルト機構29の静止状態での中間領域における静止時ピッチPB1と同程度か、あるいは静止時ピッチPB1よりも小さくなっている。つまり、無端ベルト28の送出側中間領域における歯ピッチPBは、少なくとも動作時ピッチPB2まで広がらない。したがって、ベルト歯部28aとナットプーリ歯部27aとが噛み合い始める際に、ベルト歯部28aとモータプーリ歯部26aとが噛み合い始める際の上記の現象が発生しない。このため、ナットプーリ27では、モータプーリ歯部26aで歯ピッチPMのように、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNを動作時ピッチPB2以上とする必要がない。逆に、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNを動作時ピッチPB2以上とすると、ナットプーリ歯部27aとベルト歯部28aとの噛み合い始めにおける噛み合い不良が発生するおそれもある。
再び図4を参照して、ナットプーリ歯部27a及びベルト歯部28aの歯ピッチについて説明する。上記のように、無端ベルト28の送出側中間領域の歯ピッチPBは、ベルト機構29の静止状態での中間領域における静止時ピッチPB1と同程度か、あるいは静止時ピッチPB1よりも小さくなっている。つまり、無端ベルト28の送出側中間領域における歯ピッチPBは、少なくとも動作時ピッチPB2まで広がらない。したがって、ベルト歯部28aとナットプーリ歯部27aとが噛み合い始める際に、ベルト歯部28aとモータプーリ歯部26aとが噛み合い始める際の上記の現象が発生しない。このため、ナットプーリ27では、モータプーリ歯部26aで歯ピッチPMのように、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNを動作時ピッチPB2以上とする必要がない。逆に、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNを動作時ピッチPB2以上とすると、ナットプーリ歯部27aとベルト歯部28aとの噛み合い始めにおける噛み合い不良が発生するおそれもある。
そこで、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNは、下記の関係式(3)に示すように、動作時ピッチPB2未満に設定される。
PN<PB2 …(3)
PN<PB2 …(3)
なお、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNが静止時ピッチPM1以下である場合には、ナットプーリ歯部27aとベルト歯部28aとが噛み合う際に、ベルト歯部28aの回転位相がナットプーリ歯部27aの回転位相に対して遅れを生じる場合がある。この場合にも、ナットプーリ歯部27aとベルト歯部28aとの噛み合い始めにおける噛み合い不良が発生する可能性がある。よって、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNが静止時ピッチPB1よりも大きいことを追加的な条件としてもよい。
[モータプーリ歯部及びベルト歯部の全歯たけ]
図6は、モータプーリ26のモータプーリ歯部26aにおける全歯たけと、無端ベルト28のベルト歯部28aにおける全歯たけと、の関係を示す。
図6は、モータプーリ26のモータプーリ歯部26aにおける全歯たけと、無端ベルト28のベルト歯部28aにおける全歯たけと、の関係を示す。
モータプーリ歯部26aの全歯たけHmは、モータプーリ歯部26aにおける歯末のたけと歯元のたけとの和、すなわち、モータプーリ歯先円Cm1の半径とモータプーリ歯元円Cm2の半径との差である。ここで、モータプーリ歯先円Cm1は、モータプーリ歯部26aの各歯の先端を結んだ円である。また、モータプーリ歯元円Cm2は、モータプーリ歯部26aの各歯の根元を結んだ円である。一方、ベルト歯部28aの全歯たけHbは、ベルト歯元円Cb2の半径とベルト歯先円Cb1の半径との差である。ここで、ベルト歯先円Cb1は、モータプーリ側巻き掛け領域あるいはナットプーリ側巻き掛け領域において、ベルト歯部28aの各歯の先端を結んだ円である。また、ベルト歯元円Cb2は、モータプーリ側巻き掛け領域あるいはナットプーリ側巻き掛け領域において、ベルト歯部28aの各歯の根元を結んだ円である。
ベルト歯部28aの全歯たけHbは、モータプーリ歯部26aの全歯たけHmよりも小さい値に設定される(Hm>Hb)。これにより、ベルト歯部28aがモータプーリ歯部26aと噛み合う際に、ベルト歯部28aの歯の先端とモータプーリ歯部26aとの接触が抑制され、歯同士の間のスリップの発生をさらに抑制することができる。
[ナットプーリ歯部及びベルト歯部の全歯たけ]
図7は、ナットプーリ27のナットプーリ歯部27aにおける全歯たけと、無端ベルト28のベルト歯部28aにおける全歯たけと、の関係を示す。
図7は、ナットプーリ27のナットプーリ歯部27aにおける全歯たけと、無端ベルト28のベルト歯部28aにおける全歯たけと、の関係を示す。
ナットプーリ歯部27aの全歯たけHnは、ナットプーリ歯部27aにおける歯末のたけと歯元のたけとの和、すなわち、ナットプーリ歯先円Cn1の半径とナットプーリ歯元円Cn2の半径との差である。ここで、ナットプーリ歯先円Cn1は、ナットプーリ歯部27aの各歯の先端を結んだ円である。また、ナットプーリ歯元円Cn2は、ナットプーリ歯部27aの各歯の根元を結んだ円である。
ベルト歯部28aの全歯たけHbは、ナットプーリ歯部27aの全歯たけHnよりも小さい値に設定される(Hn>Hb)。これにより、ベルト歯部28aがナットプーリ歯部27aと噛み合う際に、例えばベルト歯部28aの歯の先端がナットプーリ歯部27aに乗り上げる等、ナットプーリ歯部27aとベルト歯部28aとの噛み合い不良をさらに抑制することができる。
[歯ピッチと周囲温度との関係]
図8は、モータプーリ歯部26aの歯ピッチPM、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPN、及び、引込側中間領域におけるベルト歯部28aの歯ピッチPBである動作時ピッチPB2と周囲温度との関係の一例を示す。なお、電動モータ110の出力トルクは一定であるものとする。
図8は、モータプーリ歯部26aの歯ピッチPM、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPN、及び、引込側中間領域におけるベルト歯部28aの歯ピッチPBである動作時ピッチPB2と周囲温度との関係の一例を示す。なお、電動モータ110の出力トルクは一定であるものとする。
モータプーリ歯部26aの歯ピッチPMを動作時ピッチPB2以上にする(PB2≦PM)という歯ピッチPMの設定条件は、ベルト機構29の周囲温度が所定の使用温度範囲で変化したときでも成立することが好ましい。所定の使用温度範囲は、車両1000の想定環境温度やベルト機構29自体又はその周辺部品からの発熱等を考慮して、例えば、摂氏マイナス40度の最低温度Tmin(℃)から摂氏125度の最高温度Tmax(℃)までの範囲に設定される。
特に、上記の歯ピッチPMの設定条件は、EPS装置100が使用される頻度が高い温度環境で成立することが必要である。EPS装置100が使用される頻度が高い温度環境とは、例えば、ベルト機構29の周囲温度が摂氏60度であるときである。
ところで、モータプーリ26の材質と無端ベルト28の材質の違いによって、モータプーリ26の線膨張係数が無端ベルト28の線膨張係数よりも大きくなる場合がある。この場合には、ベルト機構29の周囲温度が上昇するときに、モータプーリ歯部26aの歯ピッチPMの上昇率は、引込側中間領域におけるベルト歯部28aの動作時ピッチPB2の上昇率よりも大きくなる(図中の太実線及び破線参照)。したがって、上記の歯ピッチPMの設定条件は、最低温度Tmin(例えば摂氏マイナス40度)で成立すれば、所定の使用温度範囲の全てにおいて成立する。よって、上記の歯ピッチPMの設定条件は、モータプーリ26及び無端ベルト28の2つの線膨張係数間に上記の関係がある場合には、少なくとも最低温度Tminで成立すればよい。
同様に、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNを動作時ピッチPB2未満にする(PN<PB2)という歯ピッチPNの設定条件は、ベルト機構29の周囲温度が所定の使用温度範囲で変化したときでも成立することが好ましい。
ところで、ナットプーリ27の材質と無端ベルト28の材質との違いによって、ナットプーリ27の線膨張係数が無端ベルト28の線膨張係数よりも大きくなる場合がある。この場合には、ベルト機構29の周囲温度が上昇するときに、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPNの上昇率は、引込側中間領域におけるベルト歯部28aの動作時ピッチPB2の上昇率よりも大きくなる(図中の太実線及び一点鎖線参照)。したがって、上記の歯ピッチPNの設定条件は、最高温度Tmax(例えば摂氏125度)で成立すれば、所定の使用温度範囲の全てにおいて成立する。よって、上記の歯ピッチPNの設定条件は、ナットプーリ27及び無端ベルト28の2つの線膨張係数間に上記の関係がある場合には、少なくとも最高温度Tmaxで成立すればよい。
[歯ピッチとベルト引張力との関係]
図9は、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPN、及び、引込側中間領域におけるベルト歯部28aの歯ピッチPBである動作時ピッチPB2と、無端ベルト28の引込側中間領域に働くベルト引張力Fと、の関係を示す。なお、ベルト機構29の周囲温度は一定であるものとする。
図9は、ナットプーリ歯部27aの歯ピッチPN、及び、引込側中間領域におけるベルト歯部28aの歯ピッチPBである動作時ピッチPB2と、無端ベルト28の引込側中間領域に働くベルト引張力Fと、の関係を示す。なお、ベルト機構29の周囲温度は一定であるものとする。
モータプーリ歯部26aの歯ピッチPMを動作時ピッチPB2以上にする(PB2≦PM)という歯ピッチPMの設定条件は、無端ベルト28の引込側中間領域に働くベルト引張力Fが所定のベルト引張力範囲で変化したときでも成立することが好ましい。
所定のベルト引張力範囲は、車両1000で想定される運転状態から設定され、最小引張力Fminよりも大きく、かつ、最大引張力Fmax以下の範囲で規定される。最小引張力Fminは、ベルト機構29の静止状態での初張力であり、このときの無端ベルト28の中間領域における歯ピッチPBは、動作時ピッチPB2ではなく、静止時ピッチPB1となる(白抜き丸印参照)。一方、最大引張力Fmaxは、車両1000で想定される運転状態において、電動モータ110の出力トルクとナットプーリ27に加わる負荷トルクとの差分が最も大きくなるときのベルト引張力Fである。例えば、ベルト引張力Fは、車両1000を停止させた状態でステアリングホイール101の回転操作を行う、いわゆる据え切り時に、最大引張力Fmaxとなる。
ところで、モータプーリ26の材質と無端ベルト28の材質との違いによって、無端ベルト28の弾性率がモータプーリ26の弾性率よりも大きくなる場合がある。この場合には、無端ベルト28の引込側中間領域に働くベルト引張力Fが上昇するときに、引込側中間領域におけるベルト歯部28aの動作時ピッチPB2の上昇率は、モータプーリ歯部26aの歯ピッチPMの上昇率よりも大きくなる(図中の太実線及び破線参照)。したがって、上記の歯ピッチPMの設定条件は、最大引張力Fmaxで成立すれば、所定のベルト引張力範囲の全てにおいて成立する。よって、上記の歯ピッチPMの設定条件は、モータプーリ26及び無端ベルト28の2つの弾性率間に上記の関係がある場合には、少なくとも最大引張力Fmaxで成立すればよい。例えば、上記の歯ピッチPMの設定条件は、車両1000の停止状態でステアリングホイール101の回転操作を行ったときに成立するものであればよい。
なお、上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。また、上記実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることはいうまでもない。
上記の実施形態において、ナットプーリ27の回転運動を直線運動に変換してラックバー106へ伝達する手段としてボールねじ機構25を用いていた。これに限らず、ベルト機構29の従動プーリの回転運動を直線運動に変換して転舵軸に伝達する様々な回転運動−直線運動変換機構を用いることができる。例えば、転舵軸にこれが軸方向に直線運動を行うようにラックギアを設けて、ラックギアと噛み合うピニオンギアに従動プーリの回転運動が伝達できるように歯車列を構成してもよい。
13…モータシャフト、25…ボールねじ機構、26…モータプーリ、26a…モータプーリ歯部、27…ナットプーリ、27a…ナットプーリ歯部、28…無端ベルト、28a…ベルト歯部、28a2…変形後第2ベルト歯(第1の歯)、28a3…第3ベルト歯(第2の歯)、100…EPS装置、106…ラックバー、110…電動モータ、200…転舵輪、X1…第1軸線、X2…第2軸線、PM…モータプーリ歯部の歯ピッチ、PN…ナットプーリ歯部の歯ピッチ、PB…ベルト歯部の歯ピッチ、PB1…静止時ピッチ、PB2…動作時ピッチ、PB3…変形部ピッチ、Hm…モータプーリ歯部の全歯たけ、Hn…ナットプーリ歯部の全歯たけ、Hb…ベルト歯部の全歯たけ、Tmax…最高温度、Tmin…最低温度、Fmax…最大引張力
Claims (9)
- ステアリング装置であって、
転舵軸であって、車幅方向に直線運動することで転舵輪を転舵可能である、前記転舵軸と、
電動モータであって、出力軸としてモータシャフトを有し、前記モータシャフトは、第1軸線を中心に回転する、前記電動モータと、
駆動プーリであって、前記モータシャフトと一体に回転可能であり、径方向に突出する歯が周方向に沿って複数配列された駆動プーリ歯部を有する歯付プーリである、前記駆動プーリと、
従動プーリであって、前記第1軸線に対してオフセットした第2軸線を中心に回転し、径方向に突出する歯が周方向に沿って複数配列された従動プーリ歯部を有する歯付プーリである、前記従動プーリと、
回転運動−直線運動変換機構であって、前記従動プーリの回転運動を直線運動に変換して前記転舵軸に伝達する、前記回転運動−直線運動変換機構と、
無端ベルトであって、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に巻き掛けられ、前記駆動プーリに巻き掛けられる駆動プーリ巻き掛け領域、及び前記従動プーリに巻き掛けられる従動プーリ巻き掛け領域を有し、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転とともに前記駆動プーリ歯部及び前記従動プーリ歯部と順次噛み合う歯がベルト長手方向に沿って複数配列されたベルト歯部を有する歯付ベルトである、前記無端ベルトと、
を備え、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリが静止している場合に、前記無端ベルトのうち前記駆動プーリ巻き掛け領域と前記従動プーリ巻き掛け領域との間の一対の中間領域における前記ベルト歯部の歯ピッチがPB1であり、前記転舵輪が路面に接した状態で前記電動モータが前記モータシャフトを介して前記駆動プーリを駆動している場合に、前記一対の中間領域のうち前記無端ベルトが前記駆動プーリに引き込まれる引込側中間領域の歯ピッチがPB2であり、前記駆動プーリ歯部の歯ピッチがPMであるとしたときに、前記駆動プーリ及び前記無端ベルトが、下記の関係式(1)を満足する、ステアリング装置。
PB1<PB2≦PM …(1) - 前記無端ベルトの前記駆動プーリ巻き掛け領域における前記ベルト歯部のうち前記駆動プーリ歯部と接触して撓みが生じている第1の歯と、前記無端ベルトの前記引込側中間領域における前記ベルト歯部のうち前記第1の歯に隣り合う第2の歯と、の間の歯ピッチが前記PB2よりも大きいPB3であるとしたときに、前記駆動プーリ及び前記無端ベルトが、下記の関係式(2)を満足する、請求項1に記載のステアリング装置。
PB3≒PM …(2) - 前記従動プーリ歯部の歯ピッチがPNであるとしたときに、前記従動プーリ及び前記無端ベルトは、下記の関係式(3)を満足する、請求項1に記載のステアリング装置。
PN<PB2 …(3) - 前記従動プーリ及び前記無端ベルトは、摂氏125度の温度環境で前記関係式(3)を満足する、請求項3に記載のステアリング装置。
- 前記駆動プーリ及び前記無端ベルトは、前記ベルト歯部の全歯たけが前記駆動プーリ歯部の全歯たけよりも小さくなるように形成されている、請求項1に記載のステアリング装置。
- 前記従動プーリ及び前記無端ベルトは、前記ベルト歯部の全歯たけが前記従動プーリ歯部の全歯たけよりも小さくなるように形成されている、請求項1に記載のステアリング装置。
- 前記駆動プーリ及び前記無端ベルトは、摂氏60度の温度環境で前記関係式(1)を満足する、請求項1に記載のステアリング装置。
- 前記駆動プーリ及び前記無端ベルトは、摂氏マイナス40度の温度環境で前記関係式(1)を満足する、請求項1に記載のステアリング装置。
- 前記駆動プーリ及び前記無端ベルトは、車両の停止状態で前記転舵輪を転舵したときに前記関係式(1)を満足する、請求項1に記載のステアリング装置。
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