JP2020153068A - 鋼管の接合継手、該鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ねじ式の継手は、管軸回りの回転力に対して、締め込む方向には十分な耐力を有するが、外す方向に対しては抵抗できないため、特許文献1では、逆回転防止用のボルトを取り付け、このボルトのせん断でねじりに対して抵抗できるようにしている。
鋼管矢板21においては、上下の鋼管23を接続する際、連結継手25の位置を上下で合わせることが重要となる。上下の鋼管23を溶接する場合には鋼管周方向の相対位置を微調整しながら接続するが、ねじ式継手の場合、逆回転防止用のボルトの位置を合わせても、連結継手25の位置がわずかに合わないことが起こりうる。製作時には当然方向が合うようにしているが、部材の真円度や部材を取り付ける際の溶接変形などの影響により、最大で10mm程度のずれが生じてしまうためである。
そのため、連結継手25同士の位置を合わせてから連結継手25同士を溶接し、回転を防止するなどの対応をとることが一般的で、機械式継手のメリット(溶接不要、短時間施工)が十分生かせなくなることが多かった。
前記外側継手管は、管軸に対して直角方向で、管の半径方向に対して傾斜する方向に貫通した逆回転防止用のタップ孔を有し、
該タップ孔の前記傾斜の方向は、前記タップ孔を前記管軸方向から見たときに該タップ孔の内側端部が半径方向から螺合回転方向にずれる方向であり、
前記内側継手管は、前記外側継手管を螺合させた際に、前記タップ孔の軸線に直面する逆回転防止用の平面部を有し、
前記外側継手管と前記内側継手管を螺合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの先端を前記平面部に当接させることを特徴とするものである。
該タップ孔の前記傾斜の方向は、前記タップ孔を前記管軸方向から見たときに該タップ孔の内側端部が半径方向から反螺合回転方向にずれる方向であり、
前記内側継手管は、前記外側継手管を螺合させた際に、前記正回転防止用のタップ孔の軸線に直面する正回転防止用の平面部をさらに有し、
前記外側継手管と前記内側継手管を螺合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの先端を前記平面部に当接させることを特徴とするものである。
以下、詳細に説明する。
なお、本願において、螺合時における回転方向とは、雄ねじを有する内側継手管5の回転方向によって定義し、螺合がされる螺合方向(図2の矢印の方向)を正回転、螺合が外れる反螺合方向(図2の矢印と反対方向)を逆回転とする。
鋼管3は、構造物を支持するものであり、例えば鋼管杭、鋼管矢板、鋼管柱等を構成する鋼管が例示できる。
外側継手管7は、雌ねじを有し、螺合時に外側に配置されるものであり、管軸15に対して直角方向で、管の半径方向に対して傾斜する方向に貫通した逆回転防止用のタップ孔9a及び正回転防止用のタップ孔9bがそれぞれ設けられている。
図2において、逆回転防止用、正回転防止用のタップ孔9a、9bの位置における半径方向をそれぞれRa、Rbで示し、逆回転防止用、正回転防止用のタップ孔9a、9bの軸線をそれぞれXa、Xbで示し、逆回転防止用、正回転防止用のタップ孔9a、9bの傾斜角度をそれぞれθa、θbで示している。
また、正回転防止用のタップ孔9bは、傾斜の方向が、タップ孔9bを平面視したときにタップ孔9bの内側端部が半径方向から反螺合回転方向(図2の矢印と反対方向)にずれる方向になっている。
タップ孔9a、9bは、ねじが形成されていない部分に設けられていることが好ましい。ねじが形成されている部分にタップ孔9a、9bがあってもよいが、ねじ山の形状への影響や螺合時のねじの噛み込み不良等を引き起こす可能性がある。
内側継手管5は、雄ねじを有し、螺合時に内側に配置されるものであり、所定の回転螺合位置において、タップ孔9a、9bの軸線に直面する逆回転防止用の平面部11a及び正回転防止用の平面部11bがそれぞれ設けられている。
平面部11a、11bの態様を、逆回転防止用の平面部11aを模式的に示した図3、図4に基づいて説明する。平面部11aの一つの態様としては、図3に示すように、内側継手管5の外周面に螺合回転方向ほど深さが浅くなるような矩形の溝部17aを形成し、その溝部17aの底部が平面部11aとするものが挙げられる。この態様は、内側継手管5の管厚が比較的厚い場合に好適である。内側継手管5の管厚が薄い場合には、図4に示すように、深さの最も深い部分に開口部19aが形成されるような態様でもよい。
ここで、平面部11a、11bは、ねじが形成されていない部分に設けられていることが好ましい。ねじが形成されている部分に平面部11a、11bがあってもよいが、ねじ山の形状への影響や螺合時のねじの噛み込み不良等を引き起こす可能性がある。
そこで、このずれの影響について、検討したので、この点について以下説明する。
この場合、図6に示すように、回転防止ボルト13の先端は、平面部11a、11bの中央からずれた位置において平面部11a、11bに当接している。そして、回転防止ボルト13の先端と平面部11a、11bとの成す角度は直角からわずかにずれてはいるが、ほぼ直角となっている。具体的に示すと、通常用いられている鋼管矢板は、径が1000mm程度であり、これが周方向に10mm回った場合、平面の角度のずれは、360×10/(1000×π)=1.1度であり、ほぼ直角と言って差し支えない。
よって、当初想定した位置と螺合回転位置がずれた場合であっても、回転防止ボルト13を締めこむことにより、回転防止ボルト13の先端が内側継手管5の平面部11a、11bとほぼ直交するように当接することによって、回転を確実に拘束することができる。
そのため、隣接する鋼管3同士を接続する連結継手を有する鋼管矢板の上下を接続する継手として用いた場合には以下のように施工することができる。
このように、本発明によれば、鋼管矢板の連結継手等、数mm単位で方向を合わせる必要のある場合でも、鋼管接続時に連結継手の方向の位置を正確に合わせた状態で、簡単に接合継手の回転を固定することができ、施工時間を大幅に短縮することができる。
すなわち、継手の螺合完了位置が少しずれたとしても、回転防止ボルト13を挿入して回転防止をすることができる点は、特許文献2と同様であるが、特許文献2では回転防止ボルト13の挿入方向が半径方向であるため、回転防止の抵抗力が小さいのに対して、本発明では、タップ孔9a、9bの軸線Xa、Xbと平面部11a、11bが直面しているので、抵抗力が大きくなり、回転防止効果を確実に発揮することができる。
そこで、θの好適な範囲について検討したので、この点を図7に基づいて以下説明する。
図7においては、φDは、内側継手管5の直径、tpは内側継手管5の厚み、aは回転防止ボルト13の径、θはタップ孔9aの中心軸が半径方向と成す角度、Lx=tp/sinθは平面部11aの周方向の長さ、rx=(tp/2/sinθ-a/2)/cosθは周方向片側への回転可能距離を示している。
径が1000mmの鋼管矢板を想定して、θの値を10度〜60度まで変化させたときの、各パラメータの値を表1に示す。
もっとも、rxの値はボルトの径や内側継手管5の厚さによって変化するので、θの値としては、概ね5度以上〜30度以下が望ましいと言える。
3 鋼管
5 内側継手管
7 外側継手管
9a タップ孔(逆回転防止用)
9b タップ孔(正回転防止用)
11a 平面部(逆回転防止用)
11b 平面部(正回転防止用)
13 回転防止ボルト
15 管軸
17a 溝部(逆回転防止用)
17b 溝部(正回転防止用)
19a 開口部(逆回転防止用)
19b 開口部(正回転防止用)
21 鋼管矢板
23 鋼管
25 連結継手
Ra、Rb タップ孔の位置における半径方向
Xa、Xb タップ孔の軸線
θ(θa=θb) タップ孔の傾斜角度
Claims (3)
- 雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管を有し、鋼管の端部に取り付けられて該鋼管の接続に用いる鋼管の接合継手であって、
前記外側継手管は、管軸に対して直角方向で、管の半径方向に対して傾斜する方向に貫通した逆回転防止用のタップ孔を有し、
該タップ孔の前記傾斜の方向は、前記タップ孔を前記管軸方向から見たときに該タップ孔の内側端部が半径方向から螺合回転方向にずれる方向であり、
前記内側継手管は、前記外側継手管を螺合させた際に、前記タップ孔の軸線に直面する逆回転防止用の平面部を有し、
前記外側継手管と前記内側継手管を螺合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの先端を前記平面部に当接させることを特徴とする鋼管の接合継手。 - 前記外側継手管は、管軸に対して直角方向で、管の半径方向に対して傾斜する方向に貫通した正回転防止用のタップ孔を有し、
該タップ孔の前記傾斜の方向は、前記タップ孔を前記管軸方向から見たときに該タップ孔の内側端部が半径方向から反螺合回転方向にずれる方向であり、
前記内側継手管は、前記外側継手管を螺合させた際に、前記正回転防止用のタップ孔の軸線に直面する正回転防止用の平面部をさらに有し、
前記外側継手管と前記内側継手管を螺合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの先端を前記平面部に当接させることを特徴とする請求項1記載の鋼管の接合継手。 - 請求項2記載の鋼管の接合継手を用いた鋼管の接合方法であって、
前記外側継手管と前記内側継手管を、螺合完了手前の所定の位置まで螺合させた状態で、前記タップ孔に回転防止ボルトを挿入して、前記回転防止ボルトの先端を前記平面部に当接させることで前記外側継手管と前記内側継手管の正逆の両方の回転を防止するようにしたことを特徴とする鋼管の接合方法。
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