JP2020152803A - 粘性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】セルロースナノファイバーを疎水化することなく、水及びアルコールを含む溶媒中(水/アルコール系溶媒中)でセルロースナノファイバーを分散させた粘性組成物を提供する【解決手段】セルロースナノファイバーの水分散液に、溶媒中のアルコール濃度の上昇が10%/秒以下でアルコールを添加することを特徴とする粘性組成物の製造方法、および水とアルコールの比率が、水:アルコール=15〜95:85〜5であるセルロースナノファイバーの粘性組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、カルボキシメチル化セルロースを含む水/アルコール系溶媒の粘性組成物に関する。
セルロース系原料をマーセル化した後に、モノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることにより、セルロースにカルボキシメチル基を導入することが知られている(例えば、特許文献1参照)。カルボキシメチル基が導入されたセルロースは、溶液中でカルボキシメチル基がマイナスに荷電する。そのため、カルボキシメチル基が導入されたセルロースを水中で解繊すると、セルロースナノファイバーの分散液が得られる(例えば、特許文献2参照)。
セルロースナノファイバーは、生分解性の水分散型素材である。上記の方法により得られたセルロースナノファイバーは、分散液の形態であるため、各種水溶性ポリマーとブレンドすることや、有機・無機系顔料と複合化して改質することもできる。また、セルロースナノファイバーをシート化又は繊維化することもできる。このような特性により、セルロースナノファイバーを高機能包装材料、透明有機基板部材、高機能繊維、分離膜、再生医療材料等に応用した新規高機能性商品の開発が検討されている。
セルロースナノファイバーは主に水系での増粘剤、ゲル化剤、保形剤、乳化安定化剤、分散安定化剤等として用いることが検討されているが、有機溶剤中ではこれらの機能を発現できない。そのため、有機溶媒中で上記の機能を発現させるために、セルロースナノファイバーを疎水化する方法が提案させている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に開示されているとおり、一般にセルロースナノファイバーは、水中では静電反発により粘度が発現するが、系内にアルコールの濃度が高まるほど粘度が低下することが一般的である。アルコールなどの有機溶剤を含む溶媒中で粘性を付与するために、親水性のセルロースナノファイバーを疎水化することで有機溶剤中でも粘性を付与することが知られている。しかし、疎水化することで、セルロースナノファイバーを製造する上でコストがかかり、かつセルロースナノファイバー以外の成分が含まれるため、セルロースナノファイバーの特徴が失われることがある。
本発明の課題は、セルロースナノファイバーを疎水化することなく、水及びアルコールを含む溶媒中(水/アルコール系溶媒中)でセルロースナノファイバーを分散させた粘性組成物を提供することを目的とする。
本発明は、下記の〔1〕〜〔2〕を提供する。
〔1〕水、アルコール及びセルロースナノファイバーを含む粘性組成物の製造方法であって、グルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度が0.01〜0.50、繊維径が2〜200nmであるセルロースナノファイバーの水分散液に、溶媒中のアルコール濃度の上昇が10%/秒以下でアルコールを添加することを特徴とする粘性組成物の製造方法。
〔2〕水、アルコール及びセルロースナノファイバーを含む粘性組成物であって、水とアルコールの比率が、水:アルコール=15〜95:85〜5であり、セルロースナノファイバーがグルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度が0.01〜0.50、繊維径が2〜200nmであることを特徴とする粘性組成物。
〔1〕水、アルコール及びセルロースナノファイバーを含む粘性組成物の製造方法であって、グルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度が0.01〜0.50、繊維径が2〜200nmであるセルロースナノファイバーの水分散液に、溶媒中のアルコール濃度の上昇が10%/秒以下でアルコールを添加することを特徴とする粘性組成物の製造方法。
〔2〕水、アルコール及びセルロースナノファイバーを含む粘性組成物であって、水とアルコールの比率が、水:アルコール=15〜95:85〜5であり、セルロースナノファイバーがグルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度が0.01〜0.50、繊維径が2〜200nmであることを特徴とする粘性組成物。
本発明によれば、セルロースナノファイバーを疎水化することなく、水及びアルコールを含む溶媒中(水/アルコール系溶媒中)でセルロースナノファイバーを分散させた粘性組成物、及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[カルボキシメチル化セルロースナノファイバー]
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、グルコース単位あたりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であり、繊維径2〜200nmである。
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、グルコース単位あたりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であり、繊維径2〜200nmである。
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーのカルボキシメチル置換度は0.01〜0.50であり、0.01〜0.40であることが好ましく、0.05〜0.35であることがより好ましい。カルボキシメチル基を導入したセルロースは、セルロース同士が電気的に反発するため、容易にナノオーダーの繊維径にまで解繊することができる。グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01未満であると、電気的な反発力が小さく、十分に解繊できない場合がある。一方、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.50超であると、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーが溶解し、繊維形態を維持できなくなり、ファイバーとして得られなくなる場合がある。
なお、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、下記の方法で算出することができる。カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、塩型カルボキシメチル化セルロース(以下、「塩型CM化セルロース」ともいう)を酸型カルボキシメチル化セルロース(以下、「H型CM化セルロース」ともいう)にする。H型CM化セルロース(絶乾)を1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS)を算出することができる:
A=[(100×F−(0.1NのH2SO4(mL))×F’)×0.1]/(H型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:H型CM化セルロースを1g中和するのに要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
A=[(100×F−(0.1NのH2SO4(mL))×F’)×0.1]/(H型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:H型CM化セルロースを1g中和するのに要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、平均繊維径が2〜200nmであることが好ましく、3〜150nmであることがより好ましい。
なお、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの平均繊維長及び平均繊維径は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)または、原子間力顕微鏡(AFM)でセルロースナノファイバーを観察し、ランダムに選んだ200本の繊維を解析することで算出することができる。
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、アルコール濃度5〜85%の水/アルコール系溶媒中でセルロースナノファイバーが均一に分散していることが好ましく、均一性の評価方法としてセルロースナノファイバーのゲル粒が少ない方が好ましい。
ゲル粒の評価方法としては、水/アルコール系溶媒中にカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを分散した、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー分散液に、墨汁等の有色顔料を滴下し目視で観察する方法が挙げられる。ゲル粒が存在する部分は有色顔料に染まらず白抜け状に観察されるため、白抜け状の部分の面積が少ないほど、ゲル粒が少なくセルロースナノファイバーが均一に分散している。
[製造方法]
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、カルボキシメチル化セルロースを解繊する解繊工程を経て製造することができる。なお、解繊工程の後に脱塩工程を行って酸型カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを使用することもできる。
以下の説明では、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの製造方法について説明する。
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、カルボキシメチル化セルロースを解繊する解繊工程を経て製造することができる。なお、解繊工程の後に脱塩工程を行って酸型カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを使用することもできる。
以下の説明では、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの製造方法について説明する。
カルボキシメチル化セルロースは、セルロース系原料をマーセル化剤によりマーセル化処理した後、カルボキシメチル化剤と反応させて得られる合成品を用いてもよく、公知の方法を用いてセルロース系原料にカルボキシメチル基を導入した合成品を用いてもよく、市販品を用いてもよい。
マーセル化処理は、通常、セルロース系原料、溶媒、及びマーセル化剤を混合することで行うことができる。
セルロース系原料は、木材由来のクラフトパルプ又はサルファイトパルプ、それらを高圧ホモジナイザーやミル等で粉砕した粉末セルロース、或いはそれらを酸加水分解等の化学処理により精製した微結晶セルロース粉末等を含む。この他に、ケナフ、麻、イネ、バガス、竹等の植物由来のセルロース系原料も使用できる。量産化やコストの観点からは、粉末セルロース、微結晶セルロース粉末、或いはクラフトパルプ又はサルファイトパルプのような化学パルプを用いることが好ましい。化学パルプを用いる場合は、公知の漂白処理を施してリグニンを除去することが好ましい。漂白済みパルプとしては、例えば、白色度(ISO 2470)が80%以上の漂白済みクラフトパルプ又は漂白済みサルファイトパルプを用いることができる。
粉末セルロースは、木材パルプの非結晶部分を酸加水分解により除去した後、粉砕及び篩い分けすることで得られる微結晶性又は結晶性セルロースからなる棒軸状粒子である。粉末セルロースにおいて、セルロースの重合度は100〜500程度であり、X線回折法による粉末セルロースの結晶化度は70〜90%であり、レーザー解説式粒度分布装置による体積平均粒子径は通常100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。体積平均粒子径が100μm以下であると、流動性に優れる分散液を与えるセルロースナノファイバーを提供し得る。そのような粉末セルロースは、精選パルプを酸加水分解した後に得られる未分解残渣を精製及び乾燥し、粉砕及び篩い分けすることにより調製してもよいし、KCフロック(登録商標)(日本製紙社製)、セオラス(登録商標)(旭化成ケミカルズ社製)、アビセル(登録商標)(FMC社製)等の市販品を用いてもよい。
漂白処理方法としては、塩素処理(C)、二酸化塩素漂白(D)、アルカリ抽出(E)、次亜塩素酸塩漂白(H)、過酸化水素漂白(P)、アルカリ性過酸化水素処理段(Ep)、アルカリ性過酸化水素・酸素処理段(Eop)、オゾン処理(Z)、キレート処理(Q)等を組合せて行うことができる。例えば、C/D−E−H−D、Z−E−D−P、Z/D−Ep−D、Z/D−Ep−D−P、D−Ep−D、D−Ep−D−P、D−Ep−
P−D、Z−Eop−D−D、Z/D−Eop−D、Z/D−Eop−D−E−D等のシーケンスで行なうことができる。なお、シーケンス中の「/」は、「/」の前後の処理を洗浄なしで連続して行なうことを意味する。
P−D、Z−Eop−D−D、Z/D−Eop−D、Z/D−Eop−D−E−D等のシーケンスで行なうことができる。なお、シーケンス中の「/」は、「/」の前後の処理を洗浄なしで連続して行なうことを意味する。
また、上記したセルロース系原料を高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式等の分散装置や、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザー等で微細化したものをセルロース系原料として使用することもできる。
溶媒であるアルコールは低級アルコールであることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3級ブチルアルコール等のアルコールが挙げられる。
なお、低級アルコールは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせた混合媒体として用いてもよい。溶媒中の低級アルコールの混合割合は、5〜85質量%であることが好ましく、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
マーセル化剤としては、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムがより好ましい。また、マーセル化剤の使用量は、モル換算で、セルロース系原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍であることが好ましい。
マーセル化処理の反応温度は、通常、0〜70℃、好ましくは10〜60℃である。また、マーセル化処理の反応時間は、通常、15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間である。マーセル化処理は撹拌下で行ってもよい。
マーセル化処理の後、カルボキシメチル化剤を反応系に添加してセルロースにカルボキシメチル基を導入する。カルボキシメチル化剤としては、モノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウムが好ましい。また、カルボキシメチル化剤の添加量は、モル換算で、セルロース系原料のグルコース残基当たり0.05〜10.0倍であることが好ましい。
カルボキシメチル化反応の反応温度は、通常、30〜90℃、好ましくは40〜80℃である。反応時間は、通常、30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間である。
解繊処理としては、例えば、カルボキシメチル化セルロースを十分に水洗した後、高速せん断ミキサーや高圧ホモジナイザー等の公知の装置を用いて行うことができる。解繊装置の種類としては、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式が挙げられる。これらの装置は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
高速せん断ミキサーを用いる場合、せん断速度は1000sec-1以上が好ましい。せん断速度が1000sec-1以上であると、凝集構造が少なく、均一なセルロースナノファイバー塩を得ることができる。
高圧ホモジナイザーを用いる場合、印加する圧力は、50MPa以上が好ましく、100MPa以上がより好ましく、140MPa以上がさらに好ましい。当該圧力の湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーで処理すると、カルボキシメチル化セルロースの短繊維化が効率よく進行し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー塩を効率よく得ることができる。
カルボキシメチル化セルロースは、水等の水分散液として解繊処理に供する。水分散液中のカルボキシメチル化セルロースの濃度が高いと、解繊処理の途中で粘度が過度に増大して均一に解繊できない場合や、装置が停止するという場合がある。従って、カルボキシメチル化セルロースの濃度は、カルボキシメチル化セルロースの処理条件に応じて適宣設定する必要がある。一例として、カルボキシメチル化セルロースの濃度は、0.3〜50%(w/v)が好ましく、0.5〜10%(w/v)がより好ましく、1.0〜5%(w/v)がさらに好ましい。
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの製造方法は、カルボキシメチル化セルロースを短繊維化処理する短繊維化工程をさらに有することも可能である。なお、短繊維化工程とは、カルボキシメチル化セルロースのセルロース鎖を適度に切断して、短繊維化する工程をいう。例えば、紫外線照射処理、酸化分解処理、加水分解処理等が挙げられる。中でも、加水分解処理が好ましい。
なお、上記の処理は、1種単独の処理でもよく、2種以上の処理を組み合わせてもよい。
カルボキシメチル化セルロースは、副反応を避ける観点から、短繊維化工程に供する前に、洗浄することが好ましい。洗浄方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
加水分解処理は、カルボキシメチル化セルロースに酸又はアルカリを添加してセルロース鎖を加水分解する処理である。
加水分解処理の反応媒体は、副反応を抑制する観点から水が好ましい。
酸で加水分解することにより、カルボキシメチル化セルロースの短繊維化処理を実施できる理由は以下のように推察される。
カルボキシメチル化セルロースの表面に局在するカルボキシメチル基により、カルボキシメチル化セルロースの周囲には水和層が形成されている。そのため、カルボキシメチル化セルロース同士は近接して存在し、ネットワークを形成していると思われる。酸を添加して加水分解を行なうと、ネットワーク中の電荷のバランスが崩れてセルロース分子の強固なネットワークが崩れる。その結果、カルボキシメチル化セルロースの比表面積が増大し、短繊維化が促進されると推察される。
酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、又はリン酸のような鉱酸を使用することが好ましい。反応を効率よく行なうために、カルボキシメチル化セルロースを水等の分散媒に分散させた分散液を用いることが好ましい。
分散媒中のカルボキシメチル化セルロース濃度は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
加水分解の条件としては、酸がセルロースの非晶部に作用するような条件であればよい。例えば、酸の添加量は、カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量に対して、0.01〜0.5質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。酸の添加量が0.01質量%以上であると、カルボキシメチル化セルロースの加水分解が進行し、ナノファ
イバー化の効率が向上するので好ましい。また、当該添加量が0.5質量%以下であるとカルボキシメチル化セルロースの過度の加水分解を防ぐことができ、セルロースナノファイバーの収率の低下を防止することができる。
イバー化の効率が向上するので好ましい。また、当該添加量が0.5質量%以下であるとカルボキシメチル化セルロースの過度の加水分解を防ぐことができ、セルロースナノファイバーの収率の低下を防止することができる。
加水分解時の分散媒のpH値は、2.0〜4.0が好ましく、2.0以上3.0未満がより好ましい。ただし、カルボキシメチル化セルロースの分散媒中にアルカリが残存している場合は、酸の添加量を適宜増やして分散媒のpH値を前記範囲に調整することが好ましい。反応効率の観点から、反応温度は、70〜120℃で、1〜10時間行なうことが好ましい。
ナノファイバー化を効率よく行なうためには、酸加水分解処理後は水酸化ナトリウム等のアルカリを添加して中和することが好ましい。
アルカリで加水分解することにより、カルボキシメチル化セルロースの短繊維化処理を実施できる理由は次のように推察される。
セルロースには、多数のβ−1,4−グリコシド結合が存在する。そのため、アルカリで加水分解すると、当該β−1,4−グリコシド結合が切断し、カルボキシメチル化セルロースが短繊維化される。その結果、繊維長が短いカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの割合も多くなる。
アルカリで加水分解する場合、反応における反応液のpH値は、8〜14が好ましく、9〜13がより好ましく、10〜12がさらに好ましい。pH値が8未満であると、十分な加水分解が起こらず、カルボキシメチル化セルロースの短繊維化が不十分な場合がある。一方、pH値が14超であると、加水分解は進行するが、加水分解後のカルボキシメチル化セルロースが着色し、得られるセルロースナノファイバーも着色するので、透明性が低下し、適用技術が制限されるという問題が生じる場合がある。pH値の調整に用いるアルカリは水溶性であればよく、製造コストの観点から、水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ性溶液中でカルボキシメチル化セルロースを加水分解すると、β脱離の際に二重結合が生成することに起因して、カルボキシメチル化セルロースが黄色に着色し、得られるセルロースナノファイバーも着色するので、透明性が低下し、適用技術が制限される場合がある。そのため、加水分解工程は、二重結合の生成を抑制するために、助剤として酸化剤又は還元剤を用いて行うことが好ましい。pH値が8〜14のアルカリ性溶液中で加水分解処理する際に、酸化剤や還元剤を用いると、二重結合を酸化又は還元しつつ、カルボキシメチル化セルロースを短繊維化することができる。酸化剤又は還元剤としては、アルカリ性領域で活性を有するものを使用できる。
助剤の添加量は、反応効率の観点から、絶乾したカルボキシメチル化セルロースに対して0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸塩が挙げられる。中でも、酸化剤は、ラジカルを発生し難い、酸素、過酸化水素、次亜塩素酸塩が好ましく、過酸化水素がより好ましい。
なお、酸化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ハイドロサルファイト、亜硫酸塩が挙げられる。
なお、還元剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
加水分解の反応温度は、反応効率の観点から、40〜120℃が好ましく、50〜100℃がより好ましく、60〜90℃がさらに好ましい。温度が低いと、十分な加水分解が起こらず、カルボキシメチル化セルロースやカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの短繊維化が不十分な場合がある。一方、温度が高いと加水分解は進行するが、加水分解後のカルボキシメチル化セルロースが着色する場合がある。
加水分解の反応時間は、0.5〜24時間が好ましく、1〜10時間がより好ましく、2〜6時間がさらに好ましい。
反応効率の観点から、アルカリ性溶液中のカルボキシメチル化セルロースの濃度は、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
紫外線照射処理は、カルボキシメチル化セルロースに紫外線を照射する処理である。紫外線を照射することにより、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを短繊維化することができる。この理由は次のように推察される。紫外線は、直接セルロースやヘミセルロースに作用して低分子化を引き起こし、カルボキシメチル化セルロース中のセルロース鎖を短繊維化することができる。そのため、繊維長が短い酸型カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの割合も多くなる。
短繊維化工程において、カルボキシメチル化セルロースに紫外線を照射する場合、用いる紫外線の波長は、好ましくは100〜400nm、より好ましくは100〜300nmである。このうち、波長135〜260nmの紫外線は、直接セルロースやヘミセルロースに作用して低分子化を引き起こし、カルボキシメチル化セルロース中のセルロース鎖を短繊維化することができるので好ましい。
紫外線を照射する光源としては、100〜400nmの波長領域の光を光源とするものを使用することができる。例えば、キセノンショートアークランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプが挙げられる。
なお、これらの光源は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組合せて用いてもよい。波長特性の異なる複数の光源を組み合わせて使用すると、異なる波長の紫外線が同時に照射されることによりセルロース鎖やヘミセルロース鎖における切断箇所が増加し、短繊維化が促進されるので好ましい。
紫外線照射を行う際のカルボキシメチル化セルロースを収容する容器としては、例えば、300〜400nmの紫外線を用いる場合、硬質ガラス製の容器を用いることができる。300nmより短波長の紫外線を用いる場合、紫外線をより透過させる石英ガラス製の容器を用いることが好ましい。なお、容器の光透過反応に関与しない部分の材質については、用いる紫外線の波長に対して劣化の少ない材質の中から適切な選定すればよい。
紫外線を照射する際のカルボキシメチル化セルロースの濃度は、好ましくは0.1〜12質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である。カルボキシメチル化セルロースの濃度が0.1質量%以上であると、エネルギー効率が高まり好ましい。カルボキシメチル化セルロースの濃度が12質量%以下であると、紫外線照射装置内でのカルボキシメチル化セルロースの流動性が良好で、反応効率が高まるので好ましい。
紫外線を照射する際の温度は、好ましくは20〜95℃、より好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは20〜50℃である。温度が20℃以上であると、光酸化反応の効率が高まるため好ましい。温度が95℃以下であると、カルボキシメチル化セルロースの品質の悪化等の悪影響のおそれがなく、また反応装置内の圧力が大気圧を超えるおそれもなくなり、耐圧性を考慮した装置設計を行なう必要性がなくなるため好ましい。
紫外線を照射する際のpH値は特に限定されないが、プロセスの簡素化を考えると中性領域、例えば、pH値は6.0〜8.0程度が好ましい。
紫外線照射時にカルボキシメチル化セルロースが受ける照射の程度は、照射反応装置内でのカルボキシメチル化セルロースの滞留時間を調節することや、照射光源のエネルギー量を調節すること等により、任意に設定できる。また、照射装置内のカルボキシメチル化セルロースの濃度を水希釈によって調整したり、空気や窒素等の不活性気体をカルボキシメチル化セルロース中に吹き込むことによってカルボキシメチル化セルロースの濃度を調整したりすることにより、照射反応装置内でカルボキシメチル化セルロースが受ける紫外線の照射量を任意に制御することができる。これらの滞留時間や濃度等の条件は、目標とする紫外線照射後のカルボキシメチル化セルロースの品質(繊維長やセルロース重合度等)に応じて、適宜設定することができる。
紫外線照射処理は、酸素、オゾン、過酸化物(過酸化水素、過酢酸、過炭酸Na、過ホウ酸Na等)等の助剤の存在下で行なうと、光酸化反応の効率が高まるため、好ましい。
135〜242nmの波長領域の紫外線を照射する場合、光源周辺の気相部に存在する空気からオゾンが生成する。この光源周辺部に連続的に空気を供給する一方で、生成するオゾンを連続的に抜き出し、この抜き出したオゾンをカルボキシメチル化セルロースへと注入することにより、系外からオゾンを供給すること無しに、光酸化反応の助剤としてオゾンを利用することもできる。また、光源周辺の気相部に酸素を供給することにより、より大量のオゾンを系内に発生させることができ、発生したオゾンを光酸化反応の助剤として使用することもできる。このように、紫外線照射反応装置で副次的に発生するオゾンを利用することもできる。
紫外線照射処理は、複数回繰り返してもよい。繰り返しの回数は特に制限されないが、目標とするカルボキシメチル化セルロースの品質等の関係に応じて適宜設定できる。例えば、好ましくは100〜400nm、より好ましくは135〜260nmの紫外線を、好ましくは1〜10回、より好ましくは2〜5回、1回あたりの照射時間として、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは0.5〜3時間、照射して行うことができる。
短繊維化工程において、カルボキシメチル化セルロースを酸化分解処理する場合、通常、過酸化水素とオゾンを併用する。
過酸化水素とオゾンを併用することにより、カルボキシメチル化セルロースを効率よく短繊維化できる理由は、以下のように推察される。カルボキシメチル化セルロースの表面にはカルボキシメチル基が局在しており、水和層が形成されている。そのため、カルボキシメチル化セルロースのセルロース鎖同士の間には、カルボキシメチル基同士の電荷反発力の作用で、通常のセルロースでは見られない微視的隙間が存在すると考えられる。そして、カルボキシメチル化セルロースをオゾン及び過酸化水素で処理すると、オゾン及び過酸化水素から、酸化力に優れるヒドロキシラジカルが発生し、カルボキシメチル化セルロース中のセルロース鎖を効率良く酸化分解し、最終的にカルボキシメチル化セルロースを短繊維化する。そのため、繊維長が短いカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの割合も多くなる。
オゾンは、空気又は酸素を原料としてオゾン発生装置を用いて公知の方法で発生させることができる。オゾンの添加量(質量換算)は、カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量に対して、0.1〜3倍が好ましく、0.3〜2.5倍がより好ましく、0.5〜1.5倍がさらに好ましい。オゾンの添加量がカルボキシメチル化セルロースの絶乾質量の0.1倍以上であると、セルロースの非晶部を十分に分解することができる。オゾンの添加量がカルボキシメチル化セルロースの絶乾質量の3倍以下であると、セルロースの過度の分解を抑制でき、カルボキシメチル化セルロースの収率の低下を防ぐことができる。
過酸化水素の添加量(質量換算)は、カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量の0.001〜1.5倍が好ましく、0.1〜1.0倍がより好ましい。過酸化水素の添加量がカルボキシメチル化セルロースの絶乾質量の0.001倍以上であると、オゾンと過酸化水素との相乗作用が発揮される。また、カルボキシメチル化セルロースの分解に際し、過酸化水素の添加量は、カルボキシメチル化セルロースの1.5倍以下であれば十分であり、1.5倍超添加することはコスト増加につながり好ましくない。
オゾン及び過酸化水素による酸化分解処理の条件として、pH値は、好ましくは2〜12、より好ましくは4〜10、さらに好ましくは6〜8であり、温度は、好ましくは10〜90℃、より好ましくは20〜70℃、さらに好ましくは30〜50℃であり、反応時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間、さらに好ましくは3〜6時間であることが、反応効率の観点から好ましい。
オゾン及び過酸化水素による処理を行なうための装置は、特に限定されず、公知の装置を用いることができる。例えば、反応室、攪拌機、薬品注入装置、加熱器、及びpH電極を備えた通常の反応器を使用することができる。
オゾン及び過酸化水素による処理後、水溶液中に残留するオゾンや過酸化水素は、解繊工程においても有効に作用し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの水分散体の短繊維化を一層促進し得る。
[解繊]
次に、カルボキシメチル化セルロースを微細化(ナノファイバー化)する工程について説明する。カルボキシメチル化セルロースは、分散媒としての水または有機溶剤に分散させた分散液の状態で用いる。分散体中のカルボキシメチル化セルロースの固形分濃度は、通常は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。これにより、カルボキシメチル化セルロースの量に対する液量が適量となり効率的である。上限は、通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
次に、カルボキシメチル化セルロースを微細化(ナノファイバー化)する工程について説明する。カルボキシメチル化セルロースは、分散媒としての水または有機溶剤に分散させた分散液の状態で用いる。分散体中のカルボキシメチル化セルロースの固形分濃度は、通常は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。これにより、カルボキシメチル化セルロースの量に対する液量が適量となり効率的である。上限は、通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
解繊に用いる装置は特に限定されないが例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、カルボキシメチル化セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。装置が印加できる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に上記圧力を印加でき、かつ強力なせん断力を印加できる、湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。解繊装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、2回以上が好ましい。
解繊処理と分散処理の順序は特に限定されず、どちらを先に行ってもよいし同時に行ってもよいが、分散処理後に解繊処理を行うことが好ましい。各処理の組み合わせを少なくとも1回行えばよく、2回以上繰り返してもよい。
解繊処理又は分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
[アルコール濃度増加速度]
アルコールを添加する際、溶媒中のアルコール濃度の増加速度が速いと、系内の急激な溶媒の変化によってカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの凝集によるゲル粒が生じる。溶媒中のアルコール濃度増加速度は、10%/秒以下、好ましくは8%/秒以下、さらに好ましくは5%/秒であることが、アルコールを添加する際に、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの凝集によるゲル粒発生の抑制の観点で好ましい。溶媒中のアルコール濃度増加速度は次の式で求められる。
最終アルコール濃度/添加時間(%/秒)
アルコールを添加する際、溶媒中のアルコール濃度の増加速度が速いと、系内の急激な溶媒の変化によってカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの凝集によるゲル粒が生じる。溶媒中のアルコール濃度増加速度は、10%/秒以下、好ましくは8%/秒以下、さらに好ましくは5%/秒であることが、アルコールを添加する際に、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの凝集によるゲル粒発生の抑制の観点で好ましい。溶媒中のアルコール濃度増加速度は次の式で求められる。
最終アルコール濃度/添加時間(%/秒)
[用途]
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含む水/アルコール系溶媒の粘性組成物は、一般的に添加剤が用いられる様々な分野、例えば、化粧品、医薬、各種化学用品、製紙、土木、塗料、インキ、農薬、建築、防疫薬剤、電子材料、難燃剤、家庭雑貨、洗浄剤等で使用することが出来る。具体的には、増粘剤、ゲル化剤、糊剤、食品添加剤、賦形剤、ゴム・プラスチック用配合材料、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、製紙用添加剤、研磨剤、保水剤、保形剤、泥水調整剤、ろ過助剤及び溢泥防止剤等として使用することができ、それらを構成成分として含むゴム・プラスチック材料、塗料、接着剤、コート紙用塗剤、コート紙、バインダー、化粧品、潤滑用組成物、研磨用組成物、衣料用しわ低減剤、アイロンがけ用滑り剤等に応用できる。
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含む水/アルコール系溶媒の粘性組成物は、一般的に添加剤が用いられる様々な分野、例えば、化粧品、医薬、各種化学用品、製紙、土木、塗料、インキ、農薬、建築、防疫薬剤、電子材料、難燃剤、家庭雑貨、洗浄剤等で使用することが出来る。具体的には、増粘剤、ゲル化剤、糊剤、食品添加剤、賦形剤、ゴム・プラスチック用配合材料、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、製紙用添加剤、研磨剤、保水剤、保形剤、泥水調整剤、ろ過助剤及び溢泥防止剤等として使用することができ、それらを構成成分として含むゴム・プラスチック材料、塗料、接着剤、コート紙用塗剤、コート紙、バインダー、化粧品、潤滑用組成物、研磨用組成物、衣料用しわ低減剤、アイロンがけ用滑り剤等に応用できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。
[B型粘度(mPa・s)]:TV−10型粘度計(東機産業社)を用いて、1質量%のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの水分散液のB型粘度を、20℃、12rpmの条件で測定した。
[カルボキシメチル置換度]:以下の方法により測定した。
試料約2.0gを精秤して、300ml共栓三角フラスコに入れた。硝酸メタノール(無水メタノール1Lに特級濃硝酸100mlを加えた液)100mlを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩(以下、「Na−CMC」ともいう)をカルボキシメチル化セルロース(以下、「H−CMC」ともいう)にした。絶乾したH−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300ml共栓三角フラスコに入れた。80%メ
タノール15mlでH−CMCを湿潤し、0.1NのNaOH100mlを加えて室温で3時間振盪した。指示薬としてフェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、下記式を用いてカルボキシメチル置換度を算出した。
[{100×F−(0.1NのH2SO4(ml))×F’}/(H−CMCの絶乾質量(
g))]×0.1=Aカルボキシメチル置換度=0.162A/(1−0.058A)
A:1gのH−CMCを中和するのに必要な1NのNaOHの量(ml)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
タノール15mlでH−CMCを湿潤し、0.1NのNaOH100mlを加えて室温で3時間振盪した。指示薬としてフェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、下記式を用いてカルボキシメチル置換度を算出した。
[{100×F−(0.1NのH2SO4(ml))×F’}/(H−CMCの絶乾質量(
g))]×0.1=Aカルボキシメチル置換度=0.162A/(1−0.058A)
A:1gのH−CMCを中和するのに必要な1NのNaOHの量(ml)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
(実施例1)
パルプを撹拌することができる反応器に、パルプ(LBKP、日本製紙社製)を乾燥質量で250g入れ、撹拌しながら50質量%水酸化ナトリウム水溶液112gと、水67gを添加した。30℃で50分攪拌し、マーセル化処理した後、撹拌しながら35質量%モノクロロ酢酸ナトリウム水溶液を364g添加した。30℃で60分攪拌し、30分かけて70℃まで昇温した後、70℃で1時間反応を行った。その後、反応物を取り出し、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.29のカルボキシメチル化されたパルプ(以下、「カルボキシメチル化セルロース」ともいう)を得た。
パルプを撹拌することができる反応器に、パルプ(LBKP、日本製紙社製)を乾燥質量で250g入れ、撹拌しながら50質量%水酸化ナトリウム水溶液112gと、水67gを添加した。30℃で50分攪拌し、マーセル化処理した後、撹拌しながら35質量%モノクロロ酢酸ナトリウム水溶液を364g添加した。30℃で60分攪拌し、30分かけて70℃まで昇温した後、70℃で1時間反応を行った。その後、反応物を取り出し、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.29のカルボキシメチル化されたパルプ(以下、「カルボキシメチル化セルロース」ともいう)を得た。
次に、カルボキシメチル化セルロースを水で2.0%に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー塩の分散液を得た。
得られたカルボキシルメチル化セルロースナノファイバー塩の2%水分散液に、撹拌機を用いて1200rpmで10分撹拌しながら溶媒中のアルコール濃度が30%になるように、溶媒中のアルコール濃度上昇速度が4.35%/秒以下となる添加速度でアルコールを添加し、実施例1の粘性組成物を得た。
(実施例2)
溶媒中のアルコール濃度上昇速度が4.05%/秒以下、溶媒中のアルコール濃度が40%とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の粘性組成物を得た。
溶媒中のアルコール濃度上昇速度が4.05%/秒以下、溶媒中のアルコール濃度が40%とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の粘性組成物を得た。
(実施例3)
溶媒中のアルコール濃度上昇速度が4.21%/秒以下、溶媒中のアルコール濃度が50%とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の粘性組成物を得た。
溶媒中のアルコール濃度上昇速度が4.21%/秒以下、溶媒中のアルコール濃度が50%とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の粘性組成物を得た。
(比較例1)
アルコールを添加しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1の粘性組成物を得た。
(比較例2)
溶媒中のアルコール濃度上昇速度が16.06%/秒以下溶媒中のアルコール濃度が80%とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の粘性組成物を得た。
アルコールを添加しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1の粘性組成物を得た。
(比較例2)
溶媒中のアルコール濃度上昇速度が16.06%/秒以下溶媒中のアルコール濃度が80%とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の粘性組成物を得た。
上記で得られた粘性組成物について、25℃で一晩静置した後、撹拌機を用いて3000rpmで1分撹拌し、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、回転数12rpmで3分後の粘度を測定した。
アルコール添加によるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの凝集が生じた場合、凝集物は数百μmのゲル粒となって観察することができる。
アルコール添加によるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの凝集が生じた場合、凝集物は数百μmのゲル粒となって観察することができる。
本発明においては、上記で得られた粘性組成物1gに墨滴(株式会社呉竹製、固形分10%)を2滴垂らしボルテックスミキサーを用いて1分間撹拌した。当該分散液を光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープKH-8700(株式会社ハイロックス製))を用いて倍率40倍で観察した。
表1の通り、実施例1〜3のエタノール濃度増加速度では、ゲル粒が増加することはなく(比較例1と同等)、粘性組成物の粘度低下も見られない。水及びアルコールを含む溶媒中で、セルロースナノファイバーが良好な分散性を示す、粘性組成物が得られる。
Claims (2)
- 水、アルコール及びセルロースナノファイバーを含む粘性組成物の製造方法であって、
グルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度が0.01〜0.50、繊維径が2〜200nmであるセルロースナノファイバーの水分散液に、溶媒中のアルコール濃度の上昇が10%/秒以下でアルコールを添加することを特徴とする粘性組成物の製造方法。 - 水、アルコール及びセルロースナノファイバーを含む粘性組成物であって、水とアルコールの比率が、水:アルコール=15〜95:85〜5であり、セルロースナノファイバーがグルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度が0.01〜0.50、繊維径が2〜200nmであることを特徴とする粘性組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019052193A JP2020152803A (ja) | 2019-03-20 | 2019-03-20 | 粘性組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023032244A1 (ja) * | 2021-08-31 | 2023-03-09 | Caetus Technology株式会社 | 洗浄用組成物、洗浄剤、及び、洗浄用化粧料 |
-
2019
- 2019-03-20 JP JP2019052193A patent/JP2020152803A/ja active Pending
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WO2023032244A1 (ja) * | 2021-08-31 | 2023-03-09 | Caetus Technology株式会社 | 洗浄用組成物、洗浄剤、及び、洗浄用化粧料 |
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