JP2020152779A - 水添共重合体、水添共重合体組成物、発泡体及び成形体 - Google Patents

水添共重合体、水添共重合体組成物、発泡体及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性、圧縮永久ひずみ、耐油性に優れた組成物が得られ、また、柔軟性と機械的強度が両立し、耐ブロッキング性についても改良された水添共重合体を得る。【解決手段】共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む、水添共重合体であって、少なくとも1つの、ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)と、少なくとも1つの、共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)と、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロック(c)と、を、有し、ビニル芳香族単量体単位の含有量が50質量%〜80質量%であり、動的粘弾性スペクトルで、−30〜50℃と、80℃以上に、それぞれtanδピーク温度を有する、水添共重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、水添共重合体、水添共重合体組成物、発泡体及び成形体に関する。
共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素とからなる共重合体は、当該共重合体中に不飽和二重結合を有するため、熱安定性、耐候性、耐オゾン性が劣るという問題点を有している。このような問題点を改善する方法として、従来から、不飽和二重結合を水素添加する方法が知られている。例えば、特開昭56−3044 7号公報、特開平2−36244号公報等に開示されている。
一方、共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素からなるブロック共重合体の水素添加物は、加硫をしなくても加硫した天然ゴムや合成ゴムと同様の弾性を常温にて有し、しかも高温では熱可塑性樹脂と同様の加工性を有することから、プラスチックの改質、粘接着剤、自動車部品や医療器具等の分野で広く利用されている。
近年、かかる特性に似た特性を共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素からなるランダム共重合体で発現させる試みがなされている。
例えば、特許文献1には、スチレン主体のブロックと、ブタジエン/スチレンを含有するブロックとを有する共重合体からなる水添ブロック共重合体、及びこれをベースとする成形材料が開示されている。
また、特許文献2には、スチレン主体のブロックと、分布を制御したブタジエン/スチレンを含有するブロックとを有する共重合体からなる水添ブロック共重合体が開示されている。
国際公開第2003/035705号 国際公開第2003/066697号
しかしながら、前記水添ジエン系共重合体を、各種熱可塑性樹脂やゴム状物質と組み合わせて組成物とし、当該組成物を成形材料として使用する場合、組成物としての耐摩耗性、圧縮永久ひずみ、耐油性といった特性が不十分であるという問題点を有している。
また、前記水添ジエン系共重合体の柔軟性と機械的強度の両立と、耐ブロッキング性の改良が望まれている。
そこで本発明においては、成形材料として使用する場合、耐摩耗性、圧縮永久ひずみ、耐油性に優れた組成物が得られ、柔軟性と機械的強度の両立が図られ、耐ブロッキング性にも優れた水添共重合体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む水添共重合体において、少なくとも1つのビニル芳香族単位よりなる重合体ブロック(a)と、少なくとも1つの共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)と、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロック(c)を有するものとし、ビニル芳香族単量体単位の含有量を所定の数値範囲とし、かつ、動的粘弾性スペクトルで所定の温度範囲にtanδピーク温度を有するものとした水添共重合体が、
上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
〔1〕
共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む、水添共重合体であって、
少なくとも1つの、ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)と、
少なくとも1つの、共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)と、
共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロック(c)と、
を、有し、
ビニル芳香族単量体単位の含有量が50質量%〜80質量%であり、
動的粘弾性スペクトルで、−30〜50℃と、80℃以上に、それぞれtanδピーク温度を有する、水添共重合体。
〔2〕
前記ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)の含有量が、5質量%〜40質量%である、前記〔1〕に記載の水添共重合体。
〔3〕
前記ランダム共重合体ブロック(c)中のビニル芳香族単量体単位の含有量が、35質量%〜80質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の水添共重合体。
〔4〕
共役ジエン単量体単位の水添率が85%以上である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の水添共重合体。
〔5〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンを検量線とした測定で分子量25万以上の範囲にピークを1つ以上有する、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の水添共重合体。
〔6〕
前記共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)が、前記ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)と、前記共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロック(c)との間に存在する、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の水添共重合体。
〔7〕
前記共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)の含有量が、1〜10質量%である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の水添共重合体。
〔8〕
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の水添共重合体1〜99質量部と、
前記水添共重合体以外の熱可塑性樹脂及び/又は前記水添共重合体以外のゴム状重合体99〜1質量部と、
を、含有する水添共重合体組成物。
〔9〕
前記〔8〕に記載の水添共重合体組成物を含有する発泡体。
〔10〕
前記〔8〕に記載の水添共重合体組成物の成形体。
〔11〕
前記成形体が、
押出成形体、射出成形体、中空成形体、圧空成形体、真空成形体、発泡成形体、複層押出成形体、複層射出成形体、高周波融着成形体、及びスラッシュ成形体からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔10〕に記載の成形体。
本発明によれば、耐摩耗性、圧縮永久ひずみ、耐油性に優れた組成物が得られる水添共重合体が提供できる。
また、柔軟性と機械的強度が両立し、耐ブロッキング性についても改良された水添共重合体が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
本明細書中、重合体を構成する各単量体単位の命名は、当該単量体単位が由来する単量体の命名に従っている。
例えば、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエン化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
〔水添共重合体〕
本実施形態の水添共重合体は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む、水添共重合体である。
本実施形態の水添共重合体は、
少なくとも1つのビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)と、
少なくとも1つの、共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)と、
共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位からなるランダム共重合体ブロック(c)と、を有し、
ビニル芳香族単量体単位の含有量が、50質量%〜80質量%であり、
水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルで−30〜50℃と、80℃以上にtanδピーク温度を有する。
本実施形態の水添共重合体において、ビニル芳香族単量体単位の含有量が50質量%以上であると、優れた耐ブロッキング性(取り扱い性)及び耐傷付き性が得られ、80質量%以下であると柔軟性や反発弾性に優れ、かつ水添共重合体組成物としたときに耐衝撃性が優れたものとなる。
ビニル芳香族単量体単位の含有量は、52〜75質量%が好ましく、54〜70質量%がより好ましい。
なお、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、紫外分光光度計を用いて測定することができる。
水添共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量は、水素添加前の共重合体(非水添共重合体)中のビニル芳香族単量体単位含有量を測定してもよい。
本実施形態の水添共重合体において、ビニル芳香族化合物単量体単位よりなる重合体ブロック(a)(以下、単に「ビニル芳香族重合体ブロック(a)」と記載する場合がある)の含有量は、5質量%〜40質量%であることが好ましい。
ビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量が5質量%以上であれば耐ブロッキング性と反発弾性に優れ、40質量%以下であれば耐傷付き性に優れたものとなる。
ビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量は5〜35質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、13〜25質量%がさらにより好ましい。
本実施形態の水添共重合体におけるビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量は、四酸化オスミウムを触媒として水素添加前の共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、「四酸化オスミウム分解法」と記載する場合がある。)で求めたビニル芳香族重合体ブロック成分の質量(但し、平均重合度が約30以下のビニル芳香族重合体成分は除かれている。)を用いて、下記の式から求めた値とする。
ビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量(質量%)=(水素添加前の共重合体中のビニル芳香族重合体ブロック(a)の質量/水素添加前の共重合体の質量)×100
なお、水添共重合体におけるビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量は、水添後の重合体についても、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて(Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981)に記載の方法)直接測定することができるが、本実施形態においては前述した四酸化オスミウム分解法によって求めた値をビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量とする。
前述した四酸化オスミウム分解法で測定した水素添加前の共重合体のビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量(「Os値」と称する)と、NMR法により測定した水添後の共重合体のビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量(「Ns値」と称する)の間には、相関関係がある。
ビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量の異なる種々の共重合体で検討した結果、その関係は、以下の式で表すことができる。
Os値=−0.012(Ns値)2+1.8(Ns値)−13.0
従って、本実施形態においてNMR法で水添後の共重合体のビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量を求めた場合には、上記式に基づいてNs値をOs値に換算し、ビニル芳香族重合体ブロック(a)の含有量とする。
本実施形態の水添共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)の含有量は、重合工程におけるビニル芳香族単量体の添加量、添加するタイミングを調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
本実施形態の水添共重合体中の、ランダム共重合体ブロック(c)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、35質量%〜80質量%であることが好ましい。
前記ビニル芳香族単量体単位の含有量が35質量%以上であると、耐摩耗性、耐傷付き性に優れ、80質量%以下であると柔軟性や反発性に優れる。
ランダム共重合体ブロック(c)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、より好ましくは40質量%〜75質量%であり、さらに好ましくは45〜70質量%である。
ランダム共重合体ブロック(c)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、ランダム共重合体ブロック(c)を重合する前後のポリマーを抜き出して、紫外分光光度計によるビニル芳香族重合体含有量の定量と、「四酸化オスミウム分解法」によるビニル芳香族重合体ブロック成分の定量を行い、その測定値から算出することができる。
ランダム共重合体ブロック(c)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、重合工程におけるビニル芳香族単量体の添加量、添加するタイミングを調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
本実施形態の水添共重合体の重量平均分子量は、10万を超え100万以下であることが好ましい。
水添共重合体の重量平均分子量が10万を超えると、耐ブロッキング性、反発弾性及び耐傷付き性に優れ、100万以下であると成形加工性に優れる。
本実施形態の水添共重合体の重量平均分子量は、13万〜80万がより好ましく、15万〜50万がさらに好ましい。
水添共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
本実施形態の水添共重合体の分子量分布において、分子量25万以上の範囲に1つ以上のピークを持つことが好ましい。分子量25万以上の範囲に1つ以上のピークを持つと、耐摩耗性に優れる。より好ましくは30万以上の範囲に1つ以上のピークを有し、35万以上の範囲に1つ以上のピークを有することがさらに好ましい。水添共重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる
本実施形態の水添共重合体の分子量分布において、分子量25万以上の範囲に1つ以上のピークを有するようにするためには、重合開始剤の量を調整する方法、カップリング剤を使用する方法が有効である。
本実施形態の水添共重合体においては、共役ジエン単量体単位に基づく二重結合の85%以上が水添されていることが好ましい。
共役ジエン単量体単位に基づく二重結合の85%以上が水添されていることで、優れた耐ブロッキング性と耐傷付き性を発揮する。
水添されている二重結合の量は、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上、さらにより好ましくは95%以上である。
水添共重合体の水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて求めることができる。
本実施形態の水添共重合体は、得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、tanδ(損失正接)のピークが−30℃〜50℃と、80℃以上に少なくとも1つ存在する。
1つ以上のtanδピークを持つ温度範囲は、好ましくは−25〜45℃と、85℃以上、より好ましくは−20〜40℃と、90℃以上、さらに好ましくは−15〜35℃と、93℃以上である。
このtanδピークが−30℃〜50℃の範囲に少なくとも1つ存在することは、本実施形態の水添共重合体組成物の耐摩耗性の観点で必要である。また80℃以上に少なくとも1つ存在することは、本実施形態の水添共重合体の引っ張り強度、水添共重合体組成物の耐熱性、耐傷付き性の観点で必要である。
ランダム共重合体ブロック(c)中のビニル芳香族単量体単位の比率を35〜80質量%に制御することにより、動的粘弾性スペクトルで、少なくとも1つのtanδピークの位置を−30℃から50℃の範囲内とすることができる。
また、水添共重合体に対するビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)を5〜40質量%とし、かつ水添共重合体に対する前記重合体ブロック(a)とランダム共重合体ブロック(c)の間に、共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)を1質量%以上に制御する、又は水添共重合体に対するビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)を40〜80質量%とすることにより、少なくとも1つのtanδピークの位置を80℃以上の範囲内とすることができる。
本実施形態の水添共重合体は、少なくとも1つの共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)を有する。
重合体ブロック(b)を有することは、水添共重合体の引っ張り強度、耐ブロッキング性、水添共重合体組成物の耐熱性、耐傷付き性の観点で必要である。
重合体ブロック(b)の水添共重合体に対する含有量は、1〜10質量%が好ましく、1〜7質量%未満がより好ましく、1〜5質量%未満がさらに好ましい。
1質量%以上の重合体ブロック(b)を有することで、水添共重合体の引っ張り強度、耐ブロッキング性、水添共重合体組成物の耐熱性、耐傷付き性が優れたものとなり、10質量%以下であることにより、耐摩耗性に優れたものとなる。
本実施形態の水添共重合体は、少なくとも1つの重合体ブロック(b)が、前記重合体ブロック(a)と、前記ランダム共重合体ブロック(c)との間に有することが好ましい。
重合体ブロック(b)が、重合体ブロック(a)とランダム共重合体ブロック(c)との間に有することにより、本実施形態の水添共重合体は、引っ張り強度、耐ブロッキング性に優れたものとなり、本実施形態の水添共重合体組成物は、耐熱性、耐傷付き性に優れたものとなる。
本実施形態の水添共重合体の構造は、特に限定されるものではなく、前記重合体ブロック(a)、前記重合体ブロック(b)、ランダム共重合体ブロック(c)の、各ブロックを有する限り、いかなる構造であってもよい。
なお、下記式(1)〜(12)で表される構造を有することが好ましい。
a−b−c (1)
a−c−b (2)
b−a−c (3)
a−b−a−c (4)
a−b−c−a (5)
a−b−c−b (6)
a−c−a−b (7)
a−c−b−c (8)
b−a−b−c (9)
b−a−c−b (10)
b−c−a−c (11)
c−a−b−c (12)
前記式(1)〜(12)中、各cは、各々独立して、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロック(c)を表し、各aは、各々独立して、ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)を表し、各bは、各々独立して、共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)を表す。
生産性、加工性、耐摩耗性の観点から、前記式(1)又は(6)で表される構造を有していることが好ましい。
また、本実施形態の水添共重合体は、異なる構造を有するブロック共重合体の水素添加物からなる混合物であってもよい。
さらに、本実施形態の水添共重合体にはビニル芳香族化合物重合体が混合されていてもよい。
本実施形態の水添共重合体の製造工程においては、ブロック共重合体の重合が終了した時点で、2官能以上のカップリング剤を用いてカップリング反応を行ってもよい。
2官能のカップリング剤としては公知のものを用いることができ、特に限定されるものではない。
例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物; 安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
また、3官能以上の多官能カップリング剤を使用する場合にも、公知のものを用いることができ、特に限定されるものではない。
例えば、3価以上のポリアルコール類;エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物;式R4−nSiXn(ただし、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3〜4の整数を示す)で示されるハロゲン化珪素化合物、例えば、メチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物等;式R4−nSnXn(ただし、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3〜4の整数を示す。)で示されるハロゲン化錫化合物、具体的にはメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物を用いることができる。
また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチルも多官能カップリング剤として使用できる。
前記式(1)〜(12)において、ランダム共重合体ブロック(c)におけるビニル芳香族単量体単位の分布状態に関しては特に限定は無く、ランダム共重合体ブロック(c)中のビニル芳香族単量体単位は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ビニル芳香族単量体単位が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよく、ビニル芳香族炭化水素含有量が異なるセグメントが複数個存在していてもよい。
本実施形態の水添共重合体に用いられる共役ジエン単量体は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(即ちイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。
好ましくは、1,3−ブタジエンとイソプレンである。
これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、本実施形態の水添共重合体に用いられるビニル芳香族単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本実施形態の水添共重合体の、水素添加前の状態である共重合体の共役ジエン単量体単位のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に制御することができる。
共役ジエン単量体として1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量は、好ましくは5〜80%、より好ましくは10〜60%、さらに好ましくは12〜50%であることが一般的に推奨され、特に柔軟性に富んだ共重合体を得るためには、12%以上であることが好ましい。
共役ジエン単量体としてイソプレンを使用した場合、又は1,3−ブタジエンとイソプレンを併用した場合には、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量は一般的に、好ましくは3〜75%、より好ましくは5〜60%であることが推奨される。
なお、本実施形態においては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)を「ビニル結合量」とする。
水素添加前の共重合体中の共役ジエン単量体単位に基づくビニル結合量は、赤外分光光度計(ハンプトン法)を用いて求めることができる。
本実施形態の水添共重合体は、まず、水素添加前の共重合体(非水添共重合体)を製造し、当該非水添共重合体に水素添加を行うことにより製造することができる。
非水添共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いてアニオンリビング重合によって製造することができる。
炭化水素溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;及び、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
重合開始剤としては、一般的に共役ジエン及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等を用いることができる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1〜20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物であって、1分子中に1個のリチウムを含む化合物や、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が挙げられる。
具体的には、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。
さらに、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用することができる。
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体を共重合する際には、重合体に組み込まれる共役ジエン単量体単位に起因するビニル結合(即ち、1,2−ビニル結合又は3,4−ビニル結合)の量や、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物又はエーテル化合物を用いることができる。
前記第3級アミン化合物は、一般式R123N(但し、R1、R2、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は第3級アミノ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基である。)で表される化合物、具体的には、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等である。
またエーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物や環状エーテル化合物を用いることができる。
直鎖状エーテル化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類; 及びジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。
また、環状エーテル化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
特に、成形加工性の観点で、分子量分布を適正範囲に調整する上では、連続重合方法が好ましい。
重合温度は、一般的に0℃〜180℃、好ましくは30℃〜150℃である。
重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には0.1〜10時間である。
重合系の雰囲気は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体及び溶媒を液相に維持するのに充分な圧力の範囲であれば特に限定はない。さらに、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意する必要がある。
上記の方法で製造した共重合体を水素添加することにより、本実施形態の水添共重合体が得られる。
水添触媒に特に限定はなく、従来から水添触媒として用いられている以下の(1)〜(3)の化合物を用いることができる。すなわち、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持した担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩を有機アルミニウム等の還元剤と共に用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、及び(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒である。
具体的な水添触媒としては、日本国特公昭42−8704号公報、日本国特公平1−37970号公報等に記載された水添触媒を使用することができる。
好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物及びチタノセン化合物と還元性有機金属化合物の混合物が挙げられる。チタノセン化合物としては、日本国特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できる。具体的には、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上有する化合物が挙げられる。
また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物や有機亜鉛化合物等が挙げられる。
本実施形態の水添共重合体を製造するための水添反応は、一般的に0〜200℃、好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施する。
水添反応に使用する水素の圧力は、0.1〜15MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜10MPa、さらに好ましくは0.3〜5MPaである。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいずれでもよい。
共重合体の水添反応によって、水添共重合体を含む溶液が得られる。
水添共重合体を含む溶液から、必要に応じて触媒残査を除去し、水添共重合体を溶液から分離する。
溶媒を分離する方法としては、例えば、水添後の反応液にアセトン又はアルコール等の水添共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法; 反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法;又は直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等が挙げられる。
本実施形態の水添共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
本実施形態の水添共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物でグラフト変性したものであってもよい。
このようにグラフト変性した水添共重合体も後述する本実施形態の水添共重合体組成物に使用することができる。
α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量は、水添重合体100質量部当たり、一般的に0.01〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。
〔水添共重合体組成物〕
本実施形態の水添共重合体組成物は、上述した本実施形態の水添共重合体1〜99質量部と、前記本実施形態の水添共重合体以外の熱可塑性樹脂及び/又は前記本実施形態の水添共重合体以外のゴム状重合体99〜1質量部を含有する。
本実施形態の水添共重合体を、当該水添共重合体以外の熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体と組み合わせることにより、各種成形材料に適した水添共重合体組成物を得ることができる。
本実施形態の水添共重合体組成物における、水添共重合体と熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体の配合割合は、質量比で、水添共重合体/(熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体)=1/99〜99/1であり、好ましくは2/98〜90/10、より好ましくは5/95〜70/30である。
本実施形態の水添共重合体と当該水添共重合体以外の熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体を混合した場合、耐衝撃性や成形加工性に優れた水添共重合体組成物が得られる。
本実施形態の水添共重合体組成物に用いる、前記本実施形態の水添重合体以外の熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニル芳香族単量体単位含有量が60質量%を超える共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのブロック共重合樹脂及びその水素添加物(但し、本実施形態の水添共重合体とは異なる);前記のビニル芳香族単量体の重合体;前記のビニル芳香族単量体と他のビニル単量体(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸及びアクリルメチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)との共重合樹脂;ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS);メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS);ポリエチレン;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン− オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物等の、エチレンと他の共重合可能なモノマーとからなるエチレン含有量が50質量%以上の共重合体;エチレン−アクリル酸アイオノマーや塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン;プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体や塩素化ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、エチレン−ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂及びその加水分解物等の、プロピレンと他の共重合可能な単量体とからなるプロピレン含有量が50質量%以上の共重合体;アクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体;ポリアクリレート系樹脂;アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルの重合体;アクリロニトリル系モノマーと他の共重合可能な単量体とからなるアクリロニトリル系単量体含有量が50質量%以上の共重合体であるニトリル樹脂;ナイロン−46、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6ナイロン−12共重合体等のポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリ−4,4’−ジオキシジフェニル−2,2’−プロパンカーボネート等のポリカーボネート系重合体;ポリエーテルスルホンやポリアリルスルホン等の熱可塑性ポリスルホン;ポリオキシメチレン系樹脂;ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等のポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリ4,4’−ジフェニレンスルフィドなどのポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリエーテルケトン重合体又は共重合体;ポリケトン系樹脂;フッ素系樹脂;ポリオキシベンゾイル系重合体;ポリイミド系樹脂;1,2− ポリブタジエン、トランスポリブタジエン等のポリブタジエン系樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボン酸基、酸無水物基等の極性基含有原子団が結合しているものでもよい。
本実施形態の水添共重合体組成物に用いる熱可塑性樹脂の数平均分子量は、1,000以上が好ましく、より好ましくは5,000〜500万、さらに好ましくは1万〜100万である。
なお、熱可塑性樹脂の数平均分子量は、上記した本実施形態の水添共重合体の分子量の測定と同様に、GPCにより測定することができる。
また、本実施形態の水添共重合体と、当該水添共重合体以外のゴム状重合体を混合した場合、引張強度や伸び特性、成形加工性に優れた水添共重合体組成物が得られる。
本実施形態の水添共重合体組成物に用いるゴム状重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタジエンゴム及びその水素添加物;スチレン−ブタジエンゴム及びその水素添加物(但し、本実施形態の水添共重合体とは異なる);イソプレンゴム;アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びその水素添加物;クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー;EPDMやEPM等を軟質相としたオレフィン系TPE;ブチルゴム;アクリルゴム;フッ素ゴム;シリコーンゴム;塩素化ポリエチレンゴム;エピクロルヒドリンゴム;α,β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム;ウレタンゴム;多硫化ゴム;スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水素添加物;スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水素添加物;スチレン−ブタジエン・イソプレンブロック共重合体及びその水素添加物等の、スチレン含有量が60質量%以下のスチレン系エラストマー;天然ゴム等が挙げられる。
これらのゴム状重合体は、官能基(カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基等)を付与した変性ゴムであってもよい。
本実施形態の水添共重合体組成物に用いるゴム状重合体の数平均分子量は、好ましくは1万以上、より好ましくは2万〜100万、さらに好ましくは3万〜80万である。
なお、ゴム状重合体の数平均分子量は、上述した本実施形態の水添共重合体の分子量の測定と同様に、GPCにより測定することができる。
上述した本実施形態の水添共重合体組成物に用いる熱可塑性樹脂及びゴム状重合体は、必要に応じて2種以上を併用することができる。
2種以上を併用する場合には、2種以上の熱可塑性樹脂や2種以上のゴム状重合体を用いてもよいし、あるいは熱可塑性樹脂とゴム状重合体を併用してもかまわない。
具体的には、樹脂状の組成物( 即ち、樹脂が大部分を占める組成物)の衝撃性を上げたり、低硬度化するためにゴム状重合体を併用したり、ゴム状の組成物(すなわち、ゴム状重合体が大部分を占める組成物)の強度や耐熱性を上げるために樹脂を併用することもできる。
本実施形態の水添共重合体及び水添共重合体組成物には、必要に応じて任意の添加剤を配合してもよい。
添加剤は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体に一般的に配合されるものであれば特に限定はなく、「ゴム・プラスチック配合薬品」(日本国ラバーダイジェスト社編)等に記載されたものが挙げられる。
具体的には、補強性充填剤や硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤;カーボンブラック、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリルアルコール、石油系ワックス(例えば、マイクロクリスタリンワックス)及び低分子量ビニル芳香族系樹脂等のブロッキング防止剤;離型剤;有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤;及びこれらの混合物等を用いることができる。
本実施形態の水添共重合体組成物の製造方法において、水添共重合体と、熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体を混合する方法に関し特に限定はなく、公知の方法が利用できる。
例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法や、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等を用いることができる。
本実施形態の水添共重合体組成物を製造するには、押出機による溶融混合法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
水添共重合体組成物の形状に特に限定はないが、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等を挙げることができる。また、溶融混練後、直接成形品とすることもできる。
〔発泡体〕
本実施形態の発泡体は、上述した本実施形態の水添共重合体組成物を含有する。
本実施形態の発泡体を得るための発泡方法には、化学的方法や物理的方法があり、いずれも無機系発泡剤や有機系発泡剤等の化学的発泡剤、又は物理発泡剤の添加等により、水添共重合体組成物の内部に気泡を分布させればよい。
水添共重合体組成物を発泡体とすることにより、軽量化が図られ、柔軟性の向上、意匠性の向上等を図ることができる。
無機系発泡剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウム、金属粉等が挙げられる。
有機系発泡剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。
物理的発泡剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタン、ブタン、ヘキサン等の炭化水素;塩化メチル、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;窒素、空気等のガス;トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ハイドロフルオロカーボン等のフッ素化炭化水素等が挙げられる。
これらの発泡剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
発泡剤の配合量は、水添共重合体又は水添共重合体組成物100質量部に対して0.1〜8質量部が好ましく、より好ましくは0.3〜6質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
本実施形態の発泡体には、必要に応じて任意の添加剤を配合してもよい。
添加剤の種類は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体に一般的に配合されているものであれば特に限定されるものではない。例えば、前述の「ゴム・プラスチック配合薬品」(日本国ラバーダイジェスト社編)等に記載された各種添加剤が使用できる。
また、本実施形態の発泡体は、必要に応じて架橋してもよい。架橋の方法は、過酸化物、イオウ等の架橋剤及び必要に応じて共架橋剤等の添加による化学的方法;電子線、放射線等による物理的架橋法が挙げられる。
架橋プロセスとしては、例えば、放射線架橋等のような静的な方法(混練しないで架橋する方法)や、動的架橋法等が挙げられる。
架橋した発泡体を得るための具体的な方法としては、例えば、ポリマーと発泡剤や架橋剤との混合物を用いてシートを作製し、このシートを160℃程度に加熱すると、発泡と同時に架橋反応も起き、これにより架橋した発泡体が得られる。
架橋剤としては、有機過酸化物や加硫促進剤を使用することができ、ペルオキシ架橋用助剤や多官能性ビニルモノマー等を併用することができる。
これらの加硫促進剤の使用量は、通常、水添共重合体又は水添共重合体組成物100質量部に対し0.01〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量部である。
架橋剤として用いる有機過酸化物としては、臭気性やスコーチ安定性(各成分の混合時の条件下では架橋しないが、架橋反応条件にした時には速やかに架橋する特性)の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドが好ましい。
前記以外には、例えば、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
また加硫する際には、加硫促進剤として、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系の化合物等を必要に応じた量で使用してもよい。
また、加硫助剤として、亜鉛華、ステアリン酸等を必要に応じた量で使用することもできる。
また、上記した有機過酸化物を使用して補強性充填剤を配合した本実施形態の水添共重合体組成物を架橋する際には、加硫促進剤として、例えば、硫黄;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド等のペルオキシ架橋用助剤や、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマー等を有機過酸化物と併用することもできる。
このような加硫促進剤は、通常、水添共重合体又は水添共重合体組成物100質量部に対し0.01〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量部の割合で用いられる。
〔成形体〕
本実施形態の水添共重合体組成物は、成形方法により、各種の成形体とすることができる。当該成形体としては、例えば、押出成形体、射出成形体、中空成形体、圧空成形体、真空成形体、発泡成形体、複層押出成形体、複層射出成形体、高周波融着成形体、及びスラッシュ成形体が挙げられる。
また、上述した本実施形態の発泡体を、シートやフィルムやその他の各種形状の射出成形体、中空成形体、圧空成型体、真空成形体、押出成形体等に活用することもできる。
特に、柔軟性が必要とされる果実や卵の包装材、ミートトレイ、弁当箱当の食品包装・容器等に好適である。食品包装・容器の素材の一例としては、PP等のオレフィン系樹脂/PS等のビニル芳香族化合物重合体やHIPS等のゴム変性スチレン系樹脂/本実施形態の水添共重合体又は変性水添共重合体(/必要に応じて共役ジエンとビニル芳香族化合物からなるブロック共重合体又はその水添物(但し、本発明の水添共重合体とは異なるもの))からなる組成物を発泡させた発泡体の成形体が挙げられる。
また、上述した本実施形態の発泡体は、特開平6−234133号公報に開示されているようなインサート・型空隙拡大法等の射出成形によって、硬質樹脂成形品と組み合わせたクッション性複合成形体とすることもできる。
〔用途〕
本実施形態の水添共重合体又は水添共重合体組成物は、必要に応じて各種添加剤を配合して様々な用途に用いることができる。
補強性充填剤配合物、架橋物、発泡体、多層フィルム及び多層シート等の成形品の用途としては、例えば、建築材料、制振・防音材料、電線被覆材料、高周波融着性組成物、スラッシュ成形材料、粘接着性組成物、アスファルト組成物、自動車内装材料、自動車外装材料、医療用具材料、食品包装容器等の各種容器、家電用品、工業部品、玩具等が挙げられる。
以下、具体的な実施例及び比較例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
〔I.水添共重合体〕
後述する実施例1〜12及び比較例1〜2、4〜7においては、非水添共重合体を重合し、その後、それを水添して水添共重合体を得た。
非水添共重合体又は水添共重合体に関する物性及び特性を、以下の方法で測定した。
(I−1)スチレン含有量
非水添共重合体及び非水添重合体のスチレン含有量は、紫外分光光度計(装置名:UV −2450;日本国、島津製作所製)を用いて測定した。
(I−2)スチレンブロック(a)の含有量(Os値)
非水添共重合体のポリスチレンブロック(H)含有量は、I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法で測定した。
非水添共重合体の分解にはオスミウム酸溶液の0.1g/125mL 第3級ブタノール溶液を用いた。なお、ここで得られるスチレンブロック含有量を「Os値」と称する。
水添共重合体のスチレンブロック(a)の含有量を測定する場合は、核磁気共鳴装置(装置名:ECS−400;日本国、JEOL RESONANCE社製)を使用して、Y.Tanaka,etal.,RUBBERCHEMISTRYandTECHNOLOGY54,685(1981)に記載の方法に準じて測定した。
具体的には、水添共重合体の30mgを1gの重クロロホルムに溶解したものを試料とし、1H−NMRを測定した。
NMRによって得られる水添共重合体のポリスチレンブロック含有量(Ns値)を全積算値に対する化学シフト6.9〜6.3ppmの積算値の比率から求め、その後、Ns値をOs値に換算した。
計算方法を下記に示す。
・スチレンブロック強度:
(6.9〜6.3ppm)積算値/2
・ランダムブロック(c)中のスチレン強度:
(7.5〜6.9ppm)積算値−3(スチレンブロック強度)
・ブタジエン強度:
全積算値−3{(スチレンブロック強度)+(ランダムブロック(c)中のスチレン強度)}/8
・NMRで得られるスチレンブロック含有量(Ns値)
=104(スチレンブロック強度)/[104{(スチレンブロック強度)+(ランダムブロック(c)中のスチレン強度)}+56(ブタジエン強度)]
・Os値=−0.012(Ns)2+1.8(Ns)−13.0
(I−3)ブタジエンブロック(b)の含有量
ブタジエンブロック(b)の含有量は、スチレンと共存しない状態で重合を行ったブタジエンの質量が全水添共重合体の質量に占める割合を算出した。
(I−4)ランダムブロック(c)中のスチレン含有量
水添共重合体のランダムブロック(c)中のスチレン含有量を測定する場合は、核磁気共鳴装置(装置名:ECS−400;日本国、JEOL RESONANCE社製)を使用して、Y.Tanaka,etal.,RUBBERCHEMISTRYandTECHNOLOGY54,685(1981)に記載の方法に準じて測定した。
具体的には、水添共重合体の30mgを1gの重クロロホルムに溶解したものを試料とし、1H−NMRを測定した。
NMRによって得られる水添共重合体のランダムスチレン含有量(Ns値)を全積算値に対する化学シフト6.9〜6.3ppmの積算値の比率から求め、その後、Ns値をOs値に換算した。
計算方法を下記に示す。
・スチレンブロック強度:
(6.9〜6.3ppm)積算値/2
・ランダムブロック(c)中のスチレン強度:
(7.5〜6.9ppm)積算値−3(スチレンブロック強度)
・ブタジエン強度:
全積算値−3{(スチレンブロック強度)+(ランダムブロック(c)中のスチレン強度)}/8
・NMRで得られるランダムブロック(c)中のスチレン含有量(Ns値)
=104(ランダムブロック(c)中のスチレン強度)/[104{(スチレンブロック強度)+(ランダムブロック(c)中のスチレン強度)}+56(ブタジエン強度)]
・Os値=−0.012(Ns)2+1.8(Ns)−13.0

ランダムブロック(c)中のスチレン含有量
=(ランダムブロック(c)中のスチレン含有量(Os値)/(100−スチレンブロック(a)含有量(Os値)−ブタジエンブロック(b)含有量))×100
(I−5)非水添共重合体及び非水添重合体のビニル結合量
赤外分光光度計(装置名:FT/IR−4100;日本国、日本分光社製)を用い、共重合体の場合はハンプトン法により算出し、単独重合体の場合はモレロ法によって、ビニル結合量を算出した。
(I−6)共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率
水添率は核磁気共鳴装置(装置名:ECS−400;日本国、JEOL RESONANCE社製)を用いて測定した。
(I−7)分子量25万以上の範囲のピークの有無
水添共重合体及び水添重合体の分子量及び分子量分布は、GPC装置(日本、東ソー製)を用いて測定した。
溶媒にはテトラヒドロフランを用い、35℃で測定した。
市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を測定して作成)を使用し、分子量25万以上の範囲のピークの有無を求めた。
(I−8)動的粘弾性スペクトル
先ず、水添共重合体を200℃に加熱しながらプレスし、200mm×100mm×2mmのシートに成形した上で、幅12.5mm、長さ40mmのサイズにカットして測定用サンプルとした。
次に、この測定用サンプルを、装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーにセットし、実効測定長さ25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件下で、tanδピーク温度を求めた。
tanδピーク温度は、RSI Orchestrator(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の自動測定より検出されるピークから求めた値とした。
(I−9)共重合体のブロック構造
ブロック構造は、製造方法から推定した。
aはビニル芳香族単位よりなる重合体ブロック(a)を表し、bは共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)を表し、cは共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロック(c)を表す。
(I−10)水添共重合体の耐ブロッキング性
耐ブロッキング性は、以下の方法で測定した。
直径5cmの金属円筒に、水添共重合体からなる、同じ形状(直径約3mm×3mmの円筒状)の複数個のサンプルペレットを全体で60gを入れ、その上から1160gの重りをのせた。
この状態で、42℃に加温したギヤオーブン中で20時間加温した後、円筒の中のペレットの付着状態を観察した。
具体的には、円筒から取り出したペレットの塊は崩れるので(但し、耐ブロッキング性の悪いものは塊のまま崩れない)、3粒以上のペレットからなる塊の質量を測定し、ペレットの総質量(60g)に対するペレットの塊の重さの比(%)を求めた。
耐ブロッキング性の良否は、下記の基準に基づき評価した。
なお、各サンプルペレットには、1500ppm相当のステアリン酸カルシウムを添加した上で評価を行った。
◎は、固着無し。
〇は、一部固着したが触るとすぐに解れる。
△は、固着し一部が触ると解れる。
×は、固着し殆ど解れない。
(I−11)100%モジュラス
100%モジュラスを柔軟性の指標とした。
JIS K 6251に準拠して、水添共重合体の圧縮試験片の引張特性を測定し、100%延伸時の応力(以下、100%モジュラスと呼ぶ)を計測した。
100%モジュラスは小さいほど柔軟性が良好であり、7.0MPa以下が好ましい。
引張速度は500mm/min、測定温度は23℃で行った。
(I−12)引張強度(Tb)、破断伸び(Eb)
JIS K 6251に従い、3号ダンベル、クロスヘッドスピード500mm/分で測定した。
引張強度は、20MPa以上であれば実用上良好と判断した。
破断伸びは、400%以上あれば、実用上良好と判断した。
(I−13)制振特性
JIS 7391に従い、片持ち梁法で測定した。
水添共重合体の圧縮試験片にSUS製の板を貼り付けて本測定の試験片とした。
測定試験温度は23℃とし、損失係数は減衰曲線の包絡線から算出した。評価を表2に示す。
◎:損失係数0.05以上
〇:損失係数0.05未満0.03以上
△:損失係数0.03未満0.01以上
×:損失係数0.01未満
〔II.水添ブロック共重合体組成物〕
後述する実施例13〜25、及び比較例8〜13、15においては、上述のようにして作製したポリマー1〜18を用いて水添ブロック共重合体組成物を製造した。
水添ブロック共重合体組成物に関する特性を、以下の方法で測定した。
〔水添ブロック共重合体組成物の特性の評価方法〕
(II−1)硬さ、100%応力、引張強度、破断伸び
JIS K6251に準拠して引張特性を測定した。
100%延伸時の応力(以下、100%Moと呼ぶ)を柔軟性の指標とした。100%Moが小さいほど柔軟性が良好であり、100kg/cm2以下であれば、実用上優れていると判断した。
引張速度は500mm/min、測定温度は23℃で行った。
引張強度を測定するとともに、破断伸びを測定した。
硬さは、JIS K6253に準拠して、10秒後のショアA硬度を測定した。
(II−2)耐摩耗性
学振型摩擦試験器(テスター産業株式会社製、AB−301型)を用い、後述する実施例、比較例に記載の方法で作製された成形シート表面(皮シボ加工面)を、摩擦布カナキン3号綿、荷重500gで摩擦する前後の、シボ深さ(Ry値)を測定し、シボ深さ残存率を下記式1で算出し、以下の基準で耐摩耗性を判定した。
シボ深さは東京精密社製の表面粗さ計E−35Aで測定した。
シボ深さ残存率=(摩擦後のシボ深さ)/(摩擦前のシボ深さ)×100 (式1)
<耐摩耗性評価基準>
◎;摩擦回数10,000回後に、シボ深さ残存率が 50%以上
○;摩擦回数10,000回後に、シボ深さ残存率が 50%未満30%以上
△;摩擦回数10,000回後に、シボ深さ残存率が 30%未満10%以上
×;摩擦回数10,000回後に、シボ深さ残存率が 10%未満
(II−3)耐油性
JIS K6258に準拠し、日本サン石油(株)製のIRM902オイルに試験片を浸漬して、浸漬前後での質量を測定した。
浸漬前の試験片の質量を100%として浸漬によって増加した分の質量分率(%)を膨潤率として算出した。
試験油による試験片の膨潤が全くなかった場合は0%となるが、膨潤が大きいほど数字は大きくなるため、膨潤率は0%以上で、値が小さいほど、耐油性に優れることを意味する。
膨潤率は、70%未満であれは実用上良好であると判断し、50%未満であれば優れていると判断した。
◎;膨潤率が 30%以下
○;膨潤率が 30%以上50%未満
△;膨潤率が 50%以上70%未満
×;膨潤率が 70%以上
(II−4)圧縮永久歪み
JIS K6262に準拠し、25%圧縮で、70℃の温度条件下で22時間置いた際の圧縮永久歪みを測定した。
圧縮永久歪みは、80%以下であれば、実用上良好であると判断した。
〔水添ブロック共重合体の製造方法〕
<水添触媒の調製>
水添反応に用いた水添触媒は、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
<実施例1>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、を70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン29質量部とスチレン50質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
次にブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で5分重合した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量63.3質量%、ビニル結合量19質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体1(ポリマー1)を得た。
得られた水添共重合体1(ポリマー1)の水素添加率は99%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は91℃と23℃に存在した。ポリマーの物性及び特性を表1に示す。
<実施例2>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン28質量部とスチレン46質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を加えた。この時温度調節は行わなかったところ、反応終了時には反応器内温は82℃に到達した。
次にブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、80℃で5分重合した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、80℃で30分間反応した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中スチレン量63.0質量%、ビニル結合量20質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体2(ポリマー2)を得た。
得られた水添共重合体2(ポリマー2)の水素添加率は97%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は104℃と22℃に存在した。
<実施例3>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン27質量部とスチレン47質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
次にブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で5分重合した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量63.4質量%、ビニル結合量20質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体3(ポリマー3)を得た。
得られた水添共重合体3(ポリマー3)の水素添加率は99%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は104℃と23℃に存在した。
<実施例4>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン4質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン29質量部とスチレン43質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
次にブタジエン4質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で5分重合した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量63.5質量%、ビニル結合量23質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体4(ポリマー4)を得た。
得られた水添共重合体4(ポリマー4)の水素添加率は97%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は107℃と23℃に存在した。
<実施例5>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン39質量部とスチレン35質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
次にブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で5分重合した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量47.3質量%、ビニル結合量23質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体5(ポリマー5)を得た。
得られた水添共重合体5(ポリマー5)の水素添加率は98%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は103℃と−8℃に存在した。
<実施例6>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン22質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン27質量部とスチレン45質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
次にブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で5分重合した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量62.5質量%、ビニル結合量20質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体6(ポリマー6)を得た。
得られた水添共重合体6(ポリマ−6)の水素添加率は92%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は105℃と21℃に存在した。
<実施例7>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.04質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
最後に、ブタジエン27質量部とスチレン40質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量59.7量%、ビニル結合量22質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体7(ポリマー7)を得た。
得られた水添共重合体7(ポリマー7)の水素添加率は98%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は108℃と16℃に存在した。
<実施例8>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン22質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.05質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
最後に、ブタジエン29質量部とスチレン46質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量61.3質量%、ビニル結合量21質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体8(ポリマー8)を得た。
得られた水添共重合体8(ポリマー8)の水素添加率は99%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は97℃と19℃に存在した。
<実施例9>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン29質量部とスチレン46質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量63.4質量%、ビニル結合量22質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体9(ポリマー9)を得た。
得られた水添共重合体9(ポリマー9)の水素添加率は84%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は102℃と23℃に存在した。
<実施例10>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン26質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン2質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン47質量部とスチレン25質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を加えた。この時温度調節は行わなかったところ、反応終了時には反応器内温は89℃に到達した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量34.7質量%、ビニル結合量31質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体10(ポリマー10)を得た。
得られた水添共重合体10(ポリマー10)の水素添加率は99%であった。また水添共重合体10の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は105℃と−29℃に存在した。
<実施例11>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン21質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン6質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で15分間重合した。
次に、ブタジエン23質量部とスチレン44質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
次に、ブタジエン6質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。
最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量65.7質量%、ビニル結合量25質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合11(ポリマー11)を得た。
得られた水添共重合体11(ポリマー11)の水素添加率は99%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は104℃と27℃に存在した。
<比較例1>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン33質量部とスチレン52質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
最後に、ジメトキシジメチルシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加し、70℃で30分間反応した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量61.2質量%、ビニル結合量22質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体12(ポリマー12)を得た。
得られた水添共重合体12(ポリマー12)の水素添加率は97%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は19℃にのみ存在した。
<比較例2>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン34質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.16質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で25分間重合した。
次に、ブタジエン32質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。
最後に、スチレン34質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して70℃で25分間重合した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレンがなくビニル結合量36質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体13(ポリマー13)を得た。
得られた水添共重合体13(ポリマー13)の水素添加率は98%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は−44℃と108℃に存在した。
<実施例12>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン21質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.04質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、ブタジエン22質量部、スチレン33質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を反応温度が一定になるように供給し、70℃で50分間重合した。
最後に、スチレン21質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して70℃で15分間重合した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量40質量%、ビニル結合量29質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体14(ポリマー14)を得た。
得られた水添共重合体14(ポリマー14)の水素添加率は99%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は−22℃と109℃に存在した。
<比較例4>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.16質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を投入し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン26質量部、スチレン65質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を反応温度が一定になるように供給し、70℃で35分間重合した。
次に、ブタジエン3質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を投入し、70℃で5分間重合した。
最後に、ジメトキシジメチルシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加し、70℃で30分間反応した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量72質量%、ビニル結合量17質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体15(ポリマー15)を得た。
得られた水添共重合体15(ポリマー15)の水素添加率は97%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は38℃にのみ存在した。
<比較例5>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.16質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン2質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を投入し、70℃で5分間重合した。
次に、ブタジエン29質量部、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を反応温度が一定になるように供給し、70℃で25分間重合した。
次に、ブタジエン2質量部(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液を投入し、70℃で5分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で10分間重合した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量62質量%、ビニル結合量24質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体16(ポリマー16)を得た。
得られた水添共重合体16(ポリマー16)の水素添加率は81%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は20℃と74℃にのみ存在した。
<比較例6>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン8.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.16質量部とN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−
ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン12質量部、スチレン62質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を反応温度が一定になるように供給し、70℃で60分間重合した。
最後に、スチレン8.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で10分間重合した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量84質量%、ビニル結合量14質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体17(ポリマー17)を得た。
得られた水添共重合体17(ポリマー17)の水素添加率は97%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は62℃と96℃にのみ存在した。
<比較例7>
攪拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
先ず、スチレン9質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して温度を60℃に調整した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.16質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」とする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン58質量部、スチレン24質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を反応温度が一定になるように供給し、70℃で60分間重合した。
最後に、スチレン9質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で10分間重合した。
上記のようにして得られたブロック共重合体は、ランダムブロック(c)中のスチレン量62質量%、ビニル結合量14質量%のポリマーであった。
さらに、得られたブロック共重合体に、水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体18(ポリマー18)を得た。
得られた水添共重合体18(ポリマー18)の水素添加率は97%であった。また水添共重合体の粘弾性スペクトルを測定したところ、tanδピーク温度は−42℃にのみ存在した。
〔水添共重合体組成物の製造方法〕
上述のようにして製造した水添共重合体と、下記成分1〜成分3の材料を用いて、水添ブロック共重合体組成物を製造した。
<成分1>
オレフィン系樹脂として、PM801A(PP/サンアロマー製;MFR=15)を使用した。下記表中、「PP」と表記する。
<成分2>
当該発明に関わる水添共重合体以外の熱可塑性樹脂として、スチレン系熱可塑性エラストマー、N504(日本エラストマー製)を使用した。下記表中、「SEBS」と表記する。
<成分3>
軟化剤としてパラフィンオイル、PW−90(出光興産社製)を使用した。下記表中、「Oil」と表記する。
(実施例13〜25)、(比較例8〜13、15)
上述のようにして製造した水添共重合体1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、17、18の各ポリマーと、前記成分1〜3とを、下記表3、表4に示す割合で配合し、二軸押出機(TEX−30、日本製鋼所製)で混錬し、ペレット化することで水添共重合体組成物を得た。
押し出し条件は、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数300rpmとした。
得られた水添共重合体組成物を射出成形して試験片を作製した。
試験片の物性を測定し、その結果を下記表3、表4に示した。
Figure 2020152779
Figure 2020152779
Figure 2020152779
Figure 2020152779
本発明の水添共重合体及び水添共重合体組成物は、補強性充填剤配合物、架橋物、発泡体、多層フィルム及び多層シート等の成形品、建築材料、制振・防音材料、電線被覆材料、高周波融着性組成物、スラッシュ成形材料、粘接着性組成物、アスファルト組成物、自動車内装材料、自動車外装材料、医療用具材料、食品包装容器等の各種容器、家電用品、工業部品、玩具等の分野において産業上の利用可能性がある。

Claims (11)

  1. 共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む、水添共重合体であって、
    少なくとも1つの、ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)と、
    少なくとも1つの、共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)と、
    共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロック(c)と、
    を、有し、
    ビニル芳香族単量体単位の含有量が50質量%〜80質量%であり、
    動的粘弾性スペクトルで、−30〜50℃と、80℃以上に、それぞれtanδピーク温度を有する、水添共重合体。
  2. 前記ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)の含有量が、5質量%〜40質量%である、請求項1に記載の水添共重合体。
  3. 前記ランダム共重合体ブロック(c)中のビニル芳香族単量体単位の含有量が、35質量%〜80質量%である、請求項1又は2に記載の水添共重合体。
  4. 共役ジエン単量体単位の水添率が85%以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水添共重合体。
  5. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンを検量線とした測定で分子量25万以上の範囲にピークを1つ以上有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水添共重合体。
  6. 前記共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)が、前記ビニル芳香族単量体単位よりなる重合体ブロック(a)と、前記共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロック(c)との間に存在する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水添共重合体。
  7. 前記共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロック(b)の含有量が、1〜10質量%である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水添共重合体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の水添共重合体1〜99質量部と、
    前記水添共重合体以外の熱可塑性樹脂及び/又は前記水添共重合体以外のゴム状重合体99〜1質量部と、
    を、含有する水添共重合体組成物。
  9. 請求項8に記載の水添共重合体組成物を含有する発泡体。
  10. 請求項8に記載の水添共重合体組成物の成形体。
  11. 前記成形体が、
    押出成形体、射出成形体、中空成形体、圧空成形体、真空成形体、発泡成形体、複層押出成形体、複層射出成形体、高周波融着成形体、及びスラッシュ成形体からなる群より選ばれるいずれかである、請求項10に記載の成形体。
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