JP2020152107A - フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】物体表面にオイルをブリードさせるオイルブリード型コーティングにおいて、耐摩耗性及び汚染耐久性に優れるとともに、長期間にわたり着雪着氷防止機能を維持することのできるフィルムを提供すること。【解決手段】ポリマー成分とオイル成分を含有するオイル含有層2と、オイル含有層2の表面に積層された、一方の面から他方の面まで貫通した空孔を複数有する多孔質層3とを備えるフィルム1とする。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルムに関し、詳しくは、航空機、鉄道、自動車、風力発電機、住宅、信号機、看板等の物体表面への雪や氷の付着を防止する表面被覆材として使用されるフィルムに関する。
物体表面への氷の付着(着氷)や降雪による雪片の付着(着雪)は、様々な分野において多くの被害や障害をもたらす原因となっている。例えば、航空機翼への着氷、機関車下部への着雪・凍結、自動車のヘッドライトへの着雪、風力発電機のブレードへの着氷、信号機の灯器への着雪・凍結等は、これらの運行、運転、安全性に対する障害となり得る。また、住宅屋根や看板等への着雪・凍結は、これらの構築物の損傷や落雪による人等への被害の原因となり得る。
このような被害や障害を避けるために、例えば、表面エネルギーの小さいフッ素樹脂を物体表面に適用することがなされている。しかしながら、この技術では長期間にわたる持続的効果が得られないという問題点があった。
そこで、特開昭62−252477号公報(特許文献1)には、化学反応形シリコーンゴムと、シリコーンオイルのような撥水性化合物と有機水溶性化合物とを混合して成る着氷雪防止塗料組成物が開示されている。特許文献1の技術は、具体的には、シリコーンゴムのマトリックス中にシリコーンオイルを含ませた層を形成し、該層からオイルをブリード(オイルを表面に滲みださせる)させることにより、氷または雪を滑らせて除去しようとするものである。
特開昭62−252477号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、屋外での使用に際し、着氷雪防止塗料組成物で形成した層の表面が摩耗しやすく、またその表面に汚染物質が付着しやすいため、該汚染物質によりオイルのブリードが妨げられ、経時的に氷や雪を除去できなくなり、設定された期間の使用ができないという問題があった。
そこで、本発明は、物体表面にオイルをブリードさせて着雪や着氷を防止するオイルブリード型コーティングにおいて、耐摩耗性及び汚染耐久性に優れるとともに、長期間にわたり着雪着氷防止機能を維持することのできるフィルムを提供することを課題とする。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、対象物の表面に設けるフィルムを、ポリマー成分およびオイル成分を含有するオイル含有層に多孔質層を積層させた多層構造とし、該多孔質層を介してオイル成分を滲み出させる(ブリードさせる)ことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(6)を特徴とする。
(1)ポリマー成分とオイル成分を含有するオイル含有層と、前記オイル含有層の表面に積層された、一方の面から他方の面まで貫通した空孔を複数有する多孔質層とを備えるフィルム。
(2)前記多孔質層における前記空孔が、0.01〜20μmの平均空孔径を有する、前記(1)に記載のフィルム。
(3)前記多孔質層における空孔率が、10〜98%である、前記(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4)前記オイル含有層の層厚が、0.05〜3mmである、前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のフィルム。
(5)前記多孔質層の層厚が、20〜200μmである、前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のフィルム。
(6)対象物の表面に雪や氷が付着するのを防止する、前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のフィルム。
本発明のフィルムによれば、オイル含有層では、ポリマー成分からなるマトリックス中にオイル成分が含有されており、該オイル成分は、多孔質層を介してフィルムの表面に滲みだす。多孔質層により、オイル成分の滲み出し(ブリード)を妨げることなく、更に、耐摩耗性及び汚染耐久性(以下、屋外曝露耐久性ともいう。)に優れたフィルムを提供することができる。また、多孔質層はオイルを徐放する効果を有し、その結果、本発明のフィルムは長期間にわたり着雪防止機能や着氷防止機能を維持することが可能となる。
図1は、本発明のフィルムの一実施形態の概略断面図である。
以下、本発明の実施形態を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施形態に何ら制限されるものではない。
なお、本発明において、「フィルム」とは、JIS K 6900:1994の定義におけるフィルムとシートを含む意味である。JIS K 6900:1994での定義では、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例ロールの形で供給されるものをいい、シートとは薄く、一般にその厚さが長さと幅の割には小さい平らな製品をいう。フィルムとシートの境界は定かではなく、本明細書においてフィルムにはシートの概念も含まれるものとする。
本発明のフィルムは、ポリマー成分とオイル成分を含有するオイル含有層と、前記オイル含有層の表面に積層された、一方の面から他方の面まで貫通した空孔を複数有する多孔質層とを備える。
図1は、本発明のフィルムの一実施形態の概略断面図である。
図1に示す本発明のフィルム1は、ポリマー成分とオイル成分を含有するオイル含有層2と、オイル含有層2の2つの主面のうちの一方の主面の表面に積層された多孔質層3とを備え、オイル含有層2の多孔質層3が設けられた側と反対の表面には、基材5が積層されている。
以下、各層について説明する。
(オイル含有層)
オイル含有層2は、ポリマー成分とオイル成分とを含有して構成される。
ポリマー成分はマトリックスとしての役割を担う樹脂である。ポリマー成分がマトリックスを形成し、このマトリックス中にオイル成分が含有される。
ポリマー成分としては、とくに制限されないが、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アクリル樹脂等が挙げられ、中でもオイル成分のブリード効果並びに屋外曝露耐久性に優れるという観点から、シリコーン樹脂が好ましい。
シリコーン樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン樹脂を採用し得る。シリコーン樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このようなシリコーン樹脂としては、縮合型のシリコーン樹脂であってもよいし、付加型のシリコーン樹脂であってもよい。また、このようなシリコーン樹脂としては、単独で乾燥させる1液型のシリコーン樹脂(例えば、1液型の室温硬化性(RTV)樹脂)であってもよいし、2液型のシリコーン樹脂(例えば、2液型の室温硬化性(RTV)樹脂)であってもよい。
シリコーン樹脂としては、具体的には、市販品で入手できるものとして、例えば、信越化学工業株式会社製の1液型RTVゴム(例えば、KE−3423、KE−347、KE−3475、KE−3495、KE−4895、KE−4896、KE−1830、KE−1884、KE−3479、KE−348、KE−4897、KE−4898、KE−1820、KE−1825、KE−1831、KE−1833、KE−1885、KE−1056、KE−1151、KE−1842、KE−1886、KE−3424G、KE−3494、KE−3490、KE−40RTV、KE−4890、KE−3497、KE−3498、KE−3493、KE−3466、KE−3467、KE−1862、KE−1867、KE−3491、KE−3492、KE−3417、KE−3418、KE−3427、KE−3428、KE−41、KE−42、KE−44、KE−45、KE−441、KE−445、KE−45S等)、信越化学工業株式会社製の2液型RTVゴム(例えば、KE−1800T−A/B、KE−66、KE−1031−A/B、KE−200、KE−118、KE−103、KE−108、KE−119、KE−109E−A/B、KE−1051J−A/B、KE−1012−A/B、KE−106、KE−1282−A/B、KE−1283−A/B、KE−1800−A/B/C、KE−1801−A/B/C、KE−1802−A/B/C、KE−1281−A/B、KE−1204−A/B、KE−1204−AL/BL、KE−1280−A/B、KE−513−A/B、KE−521−A/B、KE−1285−A/B、KE−1861−A/B、KE−12、KE−14、KE−17、KE−113、KE−24、KE−26、KE−1414、KE−1415、KE−1416、KE−1417、KE−1300T、KE−1310ST、KE−1314−2、KE−1316、KE−1600、KE−1603−A/B、KE−1606、KE−1222−A/B、KE−1241等)、信越化学工業株式会社製のシリコーンシーラント(例えば、KE−42AS、KE−420、KE−450等)、信越化学工業株式会社製のゴムコンパウンド(例えば、KE−655−U、KE−675−U、KE−931−U、KE−941−U、KE−951−U、KE−961−U、KE−971−U、KE−981−U、KE−961T−U、KE−971T−U、KE−871C−U、KE−9410−U、KE−9510−U、KE−9610−U、KE−9710−U、KE−742−U、KE−752−U、KE−762−U、KE−772−U、KE−782−U、KE−850−U、KE−870−U、KE−880−U、KE−890−U、KE−9590−U、KE−5590−U、KE−552−U、KE−582−U、KE−552B−U、KE−555−U、KE−575−U、KE−541−U、KE−551−U、KE−561−U、KE−571−U、KE−581−U、KE−520−U、KE−530B−2−U、KE−540B−2−U、KE−1551−U、KE−1571−U、KE−152−U、KE−174−U、KE−3601SB−U、KE−3711−U、KE−3801M−U、KE−5612G−U、KE−5620BL−U、KE−5620W−U、KE−5634−U、KE−7511−U、KE−7611−U、KE−765−U、KE−785−U、KE−7008−U、KE−7005−U、KE−503−U、KE−5042−U、KE−505−U、KE−6801−U、KE−136Y−U等)、信越化学工業株式会社製のLIMS(液状シリコーンゴム射出成形システム)(例えば、KEG−2000−40A/B、KEG−2000−50A/B、KEG−2000−60A/B、KEG−2000−70A/B、KEG−2001−40A/B、KEG−2001−50A/B、KE−1950−10A/B、KE−1950−20A/B、KE−1950−30A/B、KE−1950−35A/B、KE−1950−40A/B、KE−1950−50A/B、KE−1950−60A/B、KE−1950−70A/B、KE−1935A/B、KE−1987A/B、KE−1988A/B、KE−2019−40A/B、KE−2019−50A/B、KE−2019−60A/B、KE−2017−30A/B、KE−2017−40A/B、KE−2017−50A/B、KE−2090−40A/B、KE−2090−50A/B、KE−2090−60A/B、KE−2090−70A/B、KE−2096−40A/B、KE−2096−50A/B、KE−2096−60A/B等)、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製のLR7665シリーズ、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製のLR3033シリーズ、モメンティブ株式会社製のTSE3032シリーズ、デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製のシルガード(Sylgard)184等が挙げられる。
オイル成分は、対象物の表面にオイル成分の被膜を形成して着雪防止機能及び着氷防止機能のうちのいずれか一方(以下、着雪着氷防止機能という。)を有するものであればとくに制限されない。オイル成分としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル、炭化水素系オイル、ポリエーテル系オイル、エステル系オイル、リン化合物系オイル、鉱油系オイル等が挙げられるが、中でも着雪着氷防止効果およびブリード効果の観点から、シリコーンオイルが好ましい。オイル成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
シリコーンオイルとしては、好ましくは、例えば、一般式(I)で表されるシリコーンオイルが挙げられる。
Figure 2020152107
一般式(I)中、Rは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フルオロアルキル基、ポリエーテル基、または水酸基を表し、Rは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ポリエーテル基、フルオロアルキル基を表し、nは0〜150の整数を表す。
一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、水酸基である。一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、4−トリフルオロブチル基である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、数平均分子量が、好ましくは100〜20000、より好ましくは200〜10000である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、両末端または片末端のRが水酸基である末端水酸基含有ジメチルシリコーンオイル、RおよびRの全てがメチル基であるジメチルシリコーンオイル、これらのジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部がフェニル基に置換されたフェニルメチルシリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーンオイルは、25℃における粘度が、好ましくは1〜10000cStであり、より好ましくは5〜5000cStであり、更に好ましくは8〜1000cStであり、特に好ましくは10〜500cStである。25℃における粘度が前記範囲であると、多孔質層への含浸性が良好であるとともに、滑雪・滑氷性にも優れるので優れた着雪着氷防止効果を得ることができる。
なお、ポリマー成分としてシリコーン樹脂を用いる場合、シリコーンオイルは、シリコーン樹脂との反応性や自己縮合性を有さないものが好ましい。このようなシリコーンオイルとしては、例えば、末端水酸基含有ジメチルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、高級脂肪酸エステル系シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、具体的には、市販品で入手できるものとして、例えば、信越化学工業株式会社製のシリコーンオイル(例えば、KF96Lシリーズ、KF96シリーズ、KF69シリーズ、KF99シリーズ、KF50シリーズ、KF54シリーズ、KF410シリーズ、KF412シリーズ、KF414シリーズ、FLシリーズ、KF−6000、KF−6001、KF−6002、KF−6003等)、デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製のシリコーンオイル(例えば、BY16−846シリーズ、SF8416シリーズ、SH200シリーズ、SH203シリーズ、SH230シリーズ、SF8419シリーズ、FS1265シリーズ、SH510シリーズ、SH550シリーズ、SH710シリーズ、FZ−2110シリーズ、FZ−2203シリーズ、BY16−201等)、モメンティブ社製のシリコーンオイル(例えば、TSF437等)等が挙げられる。
また、フッ素オイルとしては、例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。化学的安定性の点でパーフルオロポリエーテルが好ましい。パーフルオロポリエーテルとしては、例えば、構造式:A−(CO)(CFO)(CO)−B(式中、末端基Aは、−F、−CF、−C、−C、−CF(CF)OCF、−OF、−OCF、−OC、−OC、−OCF(CF)OCFのいずれかであり、末端基Bは、−CF、−C、−C、−CF(CF)OCFのいずれかであり、x、y、zは0または正の整数であり、x+y+z>1であって、25℃における粘度が50〜500000cStである。)で表される化合物が挙げられる。パーフルオロポリエーテルの具体例としては、例えば、CFO−(CFCF(CF)O)(CFO)−CF(式中、x、yは上記の通りである。)、CFO−(CFO)(CO)−CF(式中、y、zは上記の通りである。)、CFO−(CFCF(CF)O)−CF(式中、xは上記の通りである。)、及び、F−(CFCFCFO)−C(式中、xは上記の通りである。)等が挙げられる。
また、オイル含有層には、本発明の効果を損なわない範囲で用途に応じてその他の成分を含有させてもよい。その他の成分としては、例えば、流動パラフィン、界面活性剤、液状炭化水素、抗菌剤、紫外線吸収剤、フィラー、架橋剤等が挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
流動パラフィンとしては、市販品で入手できるものとして、例えば、株式会社MORESCO製のP−40、P−55、P−60、P−70、P−80、P−100、P−120、P−150、P−200、P−260、P−350、和光純薬工業株式会社製の炭化水素系流動パラフィン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
液状炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、1−テトラデセン等が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ビテルタノール、ブロムコナゾール、キャプタホール、キャプタン、カルベンダジム、キノメチオネート、クロロタロニル、クロゾリナート、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジチアノン、エポキシコナゾール、ファモキサドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンピクロニル、フェンチン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルオルイミド、フルキンコナゾール、フルスルファミド、フルトラニル、ホルペット、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イポコナゾール、イプロジオン、クレソキシムメチル、マンゼブ、マンネブ、メパニピリム、メプロニル、メトコナゾール、メチラム、ニッケルビス(ジメチルジチオカルバメート)、ヌアリモル、オキシン銅、オキソリン酸、ペンシクロン、フタリド、プロシミドン、プロピネブ、キントゼン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、チフルザミド、チオフェネートメチル、チラム、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリホリン、トリチコナゾール、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム等が挙げられる。また、天然物の抗菌剤として、例えば、孟宗竹抽出物、ヒノキチオール、ニンニクエキス、カンゾウ等の漢方成分が挙げられる。また、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、金等の無機抗菌剤が挙げられる。また、必要に応じて、これら無機抗菌剤の担体として、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、シリカゲル、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ポリシロキサン化合物、リン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、イオン交換体、酸化亜鉛等が使用できる。合成物の抗菌剤としては、例えば、2−ピリジンチオール−1−オキサイド、p−クロロ−m−クレゾール、ポリヘキサメチレンヒグアナイド、ハイドロクロライド、塩化ベンゼトニウム、アルキルポリアミノエチルグリシン、ベンズイソチアゾリン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,2’−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、市販品で入手できるものとして、例えば、BASF社製のTINUVIN571、TINUVIN460、TINUVIN213、TINUVIN234、TINUVIN329、TINUVIN326等が挙げられる。
フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、珪藻土等が挙げられる。また、フィラーとしては、分散性の観点から、表面が疎水性処理された粒子が好ましい。このような表面処理方法としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン、環状ジメチルシロキサン等で表面処理する方法が挙げられる。このような表面が疎水性処理された粒子の大きさとしては、好ましくは、平均粒径が5nm〜300nmである。
架橋剤としては、水酸基と反応し得る官能基を有する架橋剤が好ましく、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、メラミン系化合物、金属キレート化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン系化合物、エチレンイミン等が挙げられる。
オイル成分はポリマー成分により形成されたマトリックス中に含有されるが、ポリマー成分100質量部に対するオイル成分の含有割合は、例えば50〜700質量部であり、好ましくは100〜600質量部であり、更に好ましくは150〜500質量部であり、とくに好ましくは200〜400質量部である。ポリマー成分100質量部に対してオイル成分を50質量部以上含有することでオイル成分を十分徐放させ、高い着雪着氷防止効果を発揮することができる。また、700質量部以下含有することで、強度が高いマトリックスとなり屋外曝露耐久性を向上させることができ、よって着雪着氷防止機能を長期間にわたり維持することができる。
なお、ポリマー成分のマトリックス中にオイル成分を含有させるには、例えば、オイル成分と未硬化のマトリックス成分とを混合し加熱硬化する方法、溶剤に溶解させたマトリックス成分にオイル成分を混合し加熱硬化する方法等が挙げられる。
本発明において、オイル含有層全体に対するポリマー成分の含有割合は、下限は、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、また、上限は、90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
オイル含有層の層厚は、用途に応じて適宜決定すればよいが、0.05〜3mm(50〜3000μm)であることが好ましい。オイル含有層の層厚を上記のように調整することにより、屋外曝露耐久性が向上し、着雪着氷防止機能を長期間にわたり維持することができる。とくに、オイル含有層の層厚が0.05mm以上であることにより、含有されるオイル成分の量を増やすことができるのでブリード効果が高まり、着雪着氷防止機能を向上させることができる。また、オイル含有層の層厚が3mm以下であることにより、ハンドリング性が良好となる。オイル含有層の層厚は、下限は、より好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上であり、また、上限は、より好ましくは2.5mm以下、更に好ましくは2mm以下である。
(多孔質層)
多孔質層3は、層の厚さ方向において、一方の面から他方の面まで貫通した空孔4を複数有する。このような貫通孔を有することにより、オイル含有層2に積層されて対象物の表面に設けられた際に、オイル含有層2に含有されたオイル成分を多孔質層3の表面から滲み出させる(ブリードさせる)ことができる。
多孔質層の材料としてはとくに制限されず、高分子材料、セラミックス材料、金属材料等から構成することができる。
高分子材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アクリル樹脂等が挙げられる。セラミックス材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、表面配置の簡便さ、製品のハンドリング性等の観点から、高分子材料から構成された多孔質層であることが好ましい。
なお、多孔質層は必要に応じて任意の適切な添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、上記のその他の成分、粘着付与剤、老化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、顔料等が挙げられる。
空孔は、多孔質層の一方の面から他方の面までを貫通するものであればその形状は特に限定されない。例えば、直線的に貫通する形状、分岐して貫通する形状、複数の空孔が連続して貫通する形状等が挙げられる。多孔質層中、1種の形状の空孔のみを備えていてもよく、種々の形状の空孔が混在していてもよい。
多孔質層における空孔の孔径としては、対象物に求められる着雪着氷防止の程度に応じて適宜決定すればよいが、ブリード効果の観点から、0.01〜20μmの平均空孔径を有することが好ましい。多孔質層における空孔の平均空孔径が0.01μm以上であることにより、ブリード効果が高まり、着雪着氷防止機能を向上させることができる。また、平均空孔径が大きくなるとオイル成分のブリード量を多くすることができるため速やかな着雪着氷防止効果が得られるが、多孔質層の耐久性が低下する場合があるので、多孔質層における空孔の平均空孔径が20μm以下であることにより、ブリード効果と耐摩耗性を両立させることができる。平均空孔径は、下限は、より好ましくは0.05μm以上であり、更に好ましくは0.1μm以上であり、また、上限は、より好ましくは15μm以下であり、更に好ましくは10μm以下である。
なお、オイル成分の空孔からの放出量は、ハーゲン・ポアズイユの式にしたがい、空孔の孔径によって制御することができる。
多孔質層の空孔率は、ブリード効果の観点から、10〜98%であることが好ましい。空孔率が10%以上であると、ブリード効果が高まり、着雪着氷防止機能を向上させることができ、また98%以下であると、耐摩耗性を向上させることができる。空孔率は、下限は、より好ましくは35%以上であり、更に好ましくは40%以上であり、特に好ましくは60%以上であり、また、上限は、より好ましくは95%以下であり、更に好ましくは90%以下である。
多孔質層の平均空孔径及び空孔率を前記範囲とするためには、多孔質形成時の押出しや延伸の条件を変更する方法、多孔を形成するための非相溶物質の量や種類を変更する方法等が挙げられる。
なお、平均空孔径は、ASTM(米国試験材料協会)F316−86に従って、Porous Materials社製自動細孔径分布測定装置「CFP−1200AEX」(商品名)を用いて測定することができる。該測定に際しサンプルを濡らすため、Porous Materials社製試液「Galwick」(商品名)を使用し、測定モードはドライ加圧・ウェット加圧モードに設定することが好ましい。
また、空孔率は、以下の式により求めることができる。
空孔率(%)={1−(M/(V×D))}×100
(上記式中、Mは多孔質基材の質量(g)、Vは多孔質基材の体積(cm)、Dは多孔質基材の真密度(g/cm)である。)
真密度は、例えば、JIS K 0061:2001に従い、ピクノメーター法によって測定することができる。
多孔質層の層厚は、用途に応じて適宜決定すればよいが、20〜200μmであることが好ましく、より好ましくは40〜150μm、更に好ましくは50〜130μmである。多孔質層の層厚を上記のように調整することにより、屋外曝露耐久性が向上し、着雪着氷防止機能を長期間にわたり維持することができる。
(基材)
本発明において、オイル含有層2を支持し、フィルムの強度を保つために、基材5を設けることが好ましい。
基材を構成する材料としては、対象物への貼付性、製品全体の強度等を考慮して適宜選択できるが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等が挙げられる。中でも対象物への貼り付け性の観点から、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。このような基材層の材料は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
基材の厚みとしては、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは30〜250μm、更に好ましくは50〜200μmである。多孔質層の層厚を上記のように調整することにより、フィルムが適度な強度を備えるとともに、取り扱い性にも優れる。
(フィルムの作製)
本発明のフィルムは、基材上にオイル含有層と多孔質層を順次形成することにより作製できる。また、先にオイル含有層と多孔質層の積層体を作製しておき、この積層体のオイル含有層側の表面を基材に貼り合せることにより作製することもできる。
フィルムの厚みとしては、フィルムの所望強度やフィルムを適用する対象物の大きさ等を考慮して、0.06〜3.5mmの範囲で適宜選択することができる。
本発明のフィルムは、表面被覆材として対象物(物体)の表面に設けて使用される。対象物としては、降雪や風雨等の自然環境に晒される物体であれば特に制限することなく使用することができ、具体的に、航空機、鉄道、自動車、風力発電機、住宅、信号機、看板等が挙げられる。本発明のフィルムが設けられた対象物は、フィルムから滲み出たオイル成分によりその表面が覆われた状態となるので、雪や氷が付着するのを防止することができ、また、多孔質層はオイル成分を徐放し、さらに屋外曝露耐久性を向上させるので、長期間にわたって着雪着氷防止機能を維持することができる。
以下、本発明を実施例および比較例により更に説明するが、本発明は下記例に制限されない。
各実施例及び比較例で作製したフィルムについて行った試験は以下のとおりである。
<平均空孔径の測定>
各例の多孔質層の平均空孔径は、ASTM(米国試験材料協会)F316−86に従って、Porous Materials社製自動細孔径分布測定装置「CFP−1200AEX」(商品名)を用いて測定した。該測定に際しサンプルを濡らすため、Porous Materials社製試液「Galwick」(商品名)を使用し、測定モードはドライ加圧・ウェット加圧モードに設定した。
<空孔率の計算>
空孔率は、以下の式により求めた。
空孔率(%)={1−(M/(V×D))}×100
(上記式中、Mは多孔質層材料の質量(g)、Vは多孔質層材料の体積(cm)、Dは多孔質層材料の真密度(g/cm)である。)
<着氷力の測定>
各例で作製したフィルムを、4cm×4cmの大きさにカットし、床面に対し平行に設置したステンレス板に、フィルムの基材側がステンレス板と接するようにして貼り付けた。そのフィルムの上(多孔質層上)にステンレスリング(外径26mm、内径25mm、重さ14g)を置いたのち5gの水を注入し、−20℃、2時間で凍結させた。凍結させたリングをロードセル(株式会社イマダ製 DPU−50、アタッチメント治具 A型A−4)で、床面に対して平行な方向から0.1mm/secの速度で押し、30secの間に加わった荷重をフォースゲージ(株式会社イマダ製 ZTS−50N)で測定し、測定された最大荷重を付着面積4.9cmで除算した値を着氷力として記録した。
<耐摩耗性試験>
各例で作製したフィルムを、幅3.5cm、長さ15cmの大きさにカットし、学振型摩耗試験機「RT−300」(商品名、株式会社大栄科学精器製作所製)に取り付けた。下記試験条件下で、フィルムの多孔質層表面における耐摩耗試験を行った。試験後の多孔質層の外観を目視で確認し、多孔質層表面に破れがあるか否かを確認した。
(試験条件)
摩擦子:#240サンドペーパー
摩擦幅:20mm
摩擦長さ:120mm
荷重:500g
速度:60回/分
回数:100回、150回
(実施例1)
1.オイル含有層の作製
ポリマー成分としてのシリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製KE−17)100g、オイル成分としてのシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−50)120g、硬化触媒(信越化学工業株式会社製 CAT−RM)1g、を均一に撹拌混合して、混合溶液を作製した。
ウレタン樹脂基材(日本マタイ社製「URS PX−II#10」(商品名)、厚み100μm)上に、アプリケーターを使用して、前記混合溶液を塗工し、層厚が250μmのオイル含有層を得た。
2.多孔質層の作製
続いて、オイル含有層の表面に、層厚70μm、平均空孔径0.25μm、空孔率70%、真密度2.18g/cmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜を圧力をかけることなく積載し、その後25℃で48時間乾燥させてフィルムを得た。
(実施例2〜5)
実施例1において、オイル含有層の層厚、多孔質層の平均空孔径、空孔率および層厚を表1に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
(実施例6、7)
実施例1において、オイル含有層の層厚を350μmとし、多孔質層を、表1に記載の平均空孔径、空孔率および層厚を有する真密度1.78g/cmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
(実施例8、9)
実施例1において、オイル含有層の層厚を350μmとし、多孔質層を、表1に記載の平均空孔径、空孔率および層厚を有する真密度1.38g/cmのポリエステル(PET)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
(実施例10)
1.オイル含有層の作製
ポリマー成分としてのシリコーン樹脂(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製Sylgard184)100g、オイル成分としてのジメチルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−96−100CS)210g、メチルフェニルシロキサンオイル(モメンティブ社製TSF437)90g、を均一に撹拌混合して、混合溶液を作製した。
ウレタン樹脂基材(日本マタイ社製「URS PX−II#10」(商品名)、厚み100μm)上に、アプリケーターを使用して、前記混合溶液を塗工し、層厚350μmのオイル含有層を得た。
2.多孔質層の作製
続いて、オイル含有層の表面に、層厚70μm、平均空孔径0.25μm、空孔率70%、真密度2.18g/cmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜を圧力をかけることなく積載し、その後100℃で3時間加熱硬化させてフィルムを得た。
(実施例11)
実施例10において、多孔質層の平均空孔径、空孔率および層厚を表1に示すものに変更したこと以外は、実施例10と同様にしてフィルムを得た。
(実施例12)
1.オイル含有層の作製
ポリマー成分としてのシリコーン樹脂(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製Sylgard184)100g、オイル成分としてのジメチルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−96−100CS)255g、カルビノール変性オイル(信越化学工業株式会社製KF−6001)45g、を均一に撹拌混合して、混合溶液を作製した。
ウレタン樹脂基材(日本マタイ社製「URS PX−II#10」(商品名)、厚み100μm)上に、アプリケーターを使用して、前記混合溶液を塗工し、層厚350μmのオイル含有層を得た。
2.多孔質層の作製
続いて、オイル含有層の表面に、層厚70μm、平均空孔径0.25μm、空孔率70%、真密度2.18g/cmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜を圧力をかけることなく積載し、その後100℃で3時間加熱硬化させてフィルムを得た。
(比較例1)
ポリマー成分としてのシリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製KE−17)100g、オイル成分としてのシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−50)120g、硬化触媒(信越化学工業株式会社製 CAT−RM)1g、を均一に撹拌混合して、混合溶液を作製した。
ウレタン樹脂基材(日本マタイ社製「URS PX−II#10」(商品名)、厚み100μm)上に、アプリケーターを使用して、前記混合溶液を塗工し、25℃で48時間乾燥させ、厚み350μmのオイル含有層を得たものを、比較例1のフィルムとした。
(比較例2)
ポリマー成分としてのシリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製KE−17)100g、硬化触媒(信越化学工業株式会社製 CAT−RM)1g、を均一に撹拌混合して、混合溶液を作製した。
ウレタン樹脂基材(日本マタイ社製「URS PX−II#10」(商品名)、厚み100μm)上に、アプリケーターを使用して、前記混合溶液を塗工し、25℃で48時間乾燥させ、厚み350μmのマトリックス層を得たものを、比較例2のフィルムとした。
(比較例3)
ポリマー成分としてのシリコーン樹脂(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製Sylgard184)100g、オイル成分としてのジメチルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−96−100CS)210g、メチルフェニルシロキサンオイル(モメンティブ社製TSF437)90g、を均一に撹拌混合して、混合溶液を作製した。
ウレタン樹脂基材(日本マタイ社製「URS PX−II#10」(商品名)、厚み100μm)上に、アプリケーターを使用して、前記混合溶液を塗工し、100℃で3時間加熱乾燥させ、厚み350μmのオイル含有層を得たものを、比較例3のフィルムとした。
(比較例4)
ポリマー成分としてのシリコーン樹脂(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製Sylgard184)100g、オイル成分としてのジメチルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−96−100CS)255g、カルビノール変性オイル(信越化学工業株式会社製KF−6001)45g、を均一に撹拌混合して、混合溶液を作製した。
ウレタン樹脂基材(日本マタイ社製「URS PX−II#10」(商品名)、厚み100μm)上に、アプリケーターを使用して、前記混合溶液を塗工し、100℃で3時間加熱乾燥させ、厚み350μmのオイル含有層を得たものを、比較例4のフィルムとした。
実施例1〜12、比較例1〜4のフィルムについて、着氷力を測定し、耐摩耗性試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2020152107
表1の結果から、ポリマー成分およびオイル成分を含有するオイル含有層と、多孔質層とを備える実施例1〜12のフィルムは、着氷力が小さく着雪着氷防止効果に優れ、また、耐摩耗性に優れることから良好な屋外曝露耐久性も兼ね備えていることが分かった。
これに対し、比較例1、3及び4は、多孔質層を設けていないので、耐摩耗性が悪化し、比較例2は、オイル成分を有さず、かつ多孔質層を設けなかったので、着氷力および耐摩耗性が悪化した。
本発明のフィルムは、航空機、鉄道、自動車、風力発電機、住宅、信号機、看板等の表面への雪や氷の付着の防止に有用である。
1 フィルム
2 オイル含有層
3 多孔質層
4 空孔
5 基材

Claims (6)

  1. ポリマー成分とオイル成分を含有するオイル含有層と、前記オイル含有層の表面に積層された、一方の面から他方の面まで貫通した空孔を複数有する多孔質層とを備えるフィルム。
  2. 前記多孔質層における前記空孔が、0.01〜20μmの平均空孔径を有する、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記多孔質層における空孔率が、10〜98%である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記オイル含有層の層厚が、0.05〜3mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム。
  5. 前記多孔質層の層厚が、20〜200μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム。
  6. 対象物の表面に雪や氷が付着するのを防止する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルム。
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