JP2020152001A - 粉末積層造形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、基材粒子がいかなる材料種である粉末材料を用いても、同一の造形用インクで造形できる粉末積層造形方法を提供することを目的とする。【解決手段】粉末材料を積層する工程と、前記積層した粉末材料を結着させるための造形用インクを塗布する工程とを繰り返すことで焼結前駆体を造形し、その後前記焼結前駆体を焼結する焼結工程を経て焼結体を得る粉末積層造形方法において、前記粉末材料を積層する工程は、基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆され、更に前記樹脂膜Aの表面が樹脂膜Bで被覆された構造を有する粉末材料を積層する工程であり、前記積層された粉末材料に、前記樹脂膜Aを溶解しないが前記樹脂膜Bを溶解する造形用インクを塗布して樹脂膜Bを溶解させ、溶解した樹脂を硬化させて樹脂膜Aを有する基材粒子同士を接着させることにより前記焼結前駆体を造形することを特徴とする粉末積層造形方法。【選択図】図7

Description

本発明は、粉末積層造形方法に関する。
粉末積層による三次元造形方式(以下粉末積層造形方式)は、レーザー焼結方式(SLS/SLM)、電子ビーム焼結方式(EBM)とバインダージェット(BJ)方式に大別される。一般にBJ方式は、粉末に石膏を用い、インクジェットヘッドからバインダーインクを塗布し、粉末を凝固させることで造形をする技術である。例えば粉末に砂を用いてバインダー樹脂をインクジェットヘッドから塗布することで、鋳型などを形成する技術がある。最近では、粉末に金属粒子やセラミックス粒子を用いてバインダーインクをインクジェットから塗布することで、所望の形状の焼結前駆体を造形した後に、焼結前駆体を後焼結することで、金属部品を直接造形する技術が注目されている。本技術は他の2方式に比べて造形時間が早いことから、製造用途での使用可能性が期待されている。
しかし、今までの金属部品の粉末積層造形方式では、使用する粉末の材質によって造形インクの粉末に対する濡れ性が異なることから、粉末種に合わせてインク材料をカスタマイズする必要があった。材料によっては全く異なる種類の溶剤、またはバインダーを選択しなければならず、一つのBJ方式プリンタで同時にそれぞれのインクが使用できないことがあるため、おのずと一つのプリンタで造形できる材料が限定されてしまう。
また、使用する粉末の材質によっては、インクに反応してしまう材質が存在する。例えばアルミニウム粉末は水やアルコールを含む材料に触れることで表面のアルミニウムが反応し、水酸化アルミニウムを形成する可能性がある。
特許文献1には、モノマーインク(非水)と、疎水化処理され、かつ、反応基を表面に持たせた無機粒子を用いて三次元造形を行う三次元造形物の製造方法が開示されている。詳細として、疎水化処理としてはシラン系(無機)を用いている。
無機粒子を疎水化処理する場合、基材に合わせて疎水化処理の方法が異なる。結果、基材粒子の材料種によりインクの濡れ性は変わる。
本発明は、基材粒子がいかなる材料種である粉末材料を用いても、同一の造形用インクで造形できる粉末積層造形方法を提供することを目的とする。
上記課題は、次の(1)の発明によって解決される。
(1)粉末材料を積層する工程と、前記積層した粉末材料を結着させるための造形用インクを塗布する工程とを繰り返すことで焼結前駆体を造形し、その後前記焼結前駆体を焼結する焼結工程を経て焼結体を得る粉末積層造形方法において、前記粉末材料を積層する工程は、基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆され、更に前記樹脂膜Aの表面が樹脂膜Bで被覆された構造を有する粉末材料を積層する工程であり、前記積層された粉末材料に、前記樹脂膜Aを溶解しないが前記樹脂膜Bを溶解する造形用インクを塗布して樹脂膜Bを溶解させ、溶解した樹脂を硬化させて樹脂膜Aを有する基材粒子同士を接着させることにより前記焼結前駆体を造形することを特徴とする粉末積層造形方法。
本発明の粉末積層造形方法によると、基材粒子がいかなる材料種の粉末材料を用いても同一の造形インクで造形できる。
図1は、本発明に係る立体造形装置の概略平面説明図である。 図2は、同じく概略側面説明図である。 図3は、同じく造形部の断面説明図である。 図4は、同装置の制御部のブロック図である。 図5は、造形の流れの一例の説明に供する模式的断面説明図である。 図6は、造形の流れの他の例の説明に供する模式的断面説明図である。 図7は、本発明における粉末材料の第一形態の模式図である。 図8は、本発明における造形層30への造形インク浸透・硬化の模式図である。 図9は、本発明における粉体積層の第二形態の模式図である。
本発明の実施の形態を説明する。本発明は、粉末積層造形に際して、以下の特徴を有する。
以下、上記本発明(1)について詳しく説明するが、その実施の形態には次の(2)〜(9)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
(1)粉末材料を積層する工程と、前記積層した粉末材料を結着させるための造形用インクを塗布する工程とを繰り返すことで焼結前駆体を造形し、その後前記焼結前駆体を焼結する焼結工程を経て焼結体を得る粉末積層造形方法において、前記粉末材料を積層する工程は、基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆され、更に前記樹脂膜Aの表面が樹脂膜Bで被覆された構造を有する粉末材料を積層する工程であり、前記積層された粉末材料に、前記樹脂膜Aを溶解しないが前記樹脂膜Bを溶解する造形用インクを塗布して樹脂膜Bを溶解させ、溶解した樹脂を硬化させて樹脂膜Aを有する基材粒子同士を接着させることにより前記焼結前駆体を造形することを特徴とする粉末積層造形方法。
(2)粉末材料を積層する工程と、前記積層した粉末材料を結着させるための造形用インクを塗布する工程とを繰り返すことで焼結前駆体を造形し、その後前記焼結前駆体を焼結する焼結工程を経て焼結体を得る粉末積層造形方法において、前記粉末材料を積層する工程は、基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆された構造を有する粒子が樹脂Bを溶解した溶液に分散されたスラリーを用いて積層され、積層後に前記スラリーを乾燥させて前記樹脂膜Aの表面に樹脂膜Bが形成された粉末材料を積層する工程であり、前記積層された粉末材料に、前記樹脂膜Aを溶解しないが前記樹脂膜Bを溶解する造形用インクを塗布して樹脂膜Bを溶解させ、溶解した樹脂を硬化させることによって樹脂膜Aを有する基材粒子同士を接着させて焼結前駆体を造形することを特徴とする粉末積層造形方法。
(3)前記造形インクは主溶媒が水であり、樹脂膜Aが水に不溶であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の粉末積層造形方法。
(4)前記造形インクは主溶媒が水であり、前記樹脂膜Bと反応する架橋成分を含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
(5)前記造形インクは主溶媒が水であり、水溶性モノマー材料を含むことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
(6)前記樹脂膜Aの膜厚が100nm〜200nmであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
(7)前記樹脂膜Aの被覆率が75%以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
(8)前記樹脂膜Aが焼結時に分解・気化することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
(9)前記基材粒子が金属またはセラミックスからなることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
基材(無機粒子)を疎水化処理する場合、疎水化処理によってインクとの親和性を制御するため、基材に合わせて疎水化処理の方法が異なる。結果、材料毎にインクの濡れ性は変わる。また、疎水化処理がシラン系等の無機物では焼結工程を経る場合に残存してしまう。
一方、本発明のように表面修飾が有機物である樹脂膜かつ、表面修飾した樹脂膜を溶解しない造形インクであれば、どの材料でも同じようにインクの浸透性を制御でき、焼結工程で脱脂されるために基材単独の造形物を形成できる。
要するに、本発明は、基材粒子表面に樹脂膜Aが被覆されている粉体材料を用い、その樹脂膜Aが造形インクによって溶解しないインク組成であることが特徴になっている。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る立体造形装置の第1例の概要について図1〜図3を参照して説明する。図1は同立体造形装置の概略平面説明図、図2は同じく概略側面説明図、図3は同じく造形部の断面説明図である。なお、図3は造形時の状態で示している。
この立体造形装置は、粉体造形装置(粉末造形装置ともいう。)であり、粉体(粉末)が結合された層状造形物である造形層30が形成される造形部1と、造形部1の層状に敷き詰められた粉体層31に造形用インク(造形液ともいう。)10を吐出して立体造形物を造形する造形ユニット5とを備えている。
造形部1は、粉体槽11と、平坦化部材(リコータ)である回転体としての平坦化ローラ12などを備えている。なお、平坦化部材は回転体の代わりに板状部材(ブレード)としてもよい。
粉体槽11は、粉体20を供給する供給槽21と、造形層30が積層されて立体造形物が造形される造形槽22とを有している。供給槽21の底部は供給ステージ23として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。同様に、造形槽22の底部は造形ステージ24として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。造形ステージ24上に造形層30が積層された立体造形物が造形される。
平坦化ローラ12は、供給槽21より供給された粉体20を造形槽22に供給し、平坦化部材である平坦化ローラ12によって均して平坦化して、粉体層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形ステージ24のステージ面(粉体20が積載される面)に沿って矢印Y方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置され、往復移動機構によって移動される。
一方、造形ユニット5は、造形ステージ24上の粉体層31に造形液10を吐出する液体吐出ユニット50を備えている。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された2つ(1又は3つ以上でもよい。)の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)52a、52b、を備えている。
キャリッジ51は、ガイド部材54及び55に移動可能に保持されている。ガイド部材54及び55は、両側の側板70に昇降可能に保持されている。
このキャリッジ51は、後述するX方向走査機構によってモータ、プーリ及びベルトから構成される主走査移動機構を介して主走査方向である矢印X方向(以下、単に「X方向」という。他のY、Zについても同様とする。)に往復移動される。
2つのヘッド52a、52b(以下、区別しないときは「ヘッド52」という。)は、造形液10を吐出する複数のノズルを配列したノズル列がそれぞれ2列配置されている。一方のヘッド52aの2つのノズル列は、シアン造形液及びマゼンタ造形液を吐出する。他方のヘッド52bの2つのノズル列は、イエロー造形液及びブラック造形液をそれぞれ吐出する。なお、ヘッド構成はこれに限るものではない。
これらのシアン造形液、マゼンタ造形液、イエロー造形液、ブラック造形液の各々を収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、供給チューブなどを介してヘッド52a、52bに供給される。
また、キャリッジ51には造形槽22に1層の造形層30を形成するときに、少なくとも当該造形液10が付着した領域に粉体20を供給する粉体後供給手段である粉体後供給部が一体に備えられている。
また、X方向の一方側には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。
メンテナンス機構61は、主にキャップ62とワイパ63で構成される。キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液を吸引する。ノズルに詰まった粉体の排出や高粘度化した造形液を排出するためである。その後、ノズルのメニスカス形成(ノズル内は負圧状態である)のため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する。また、メンテナンス機構61は、造形液の吐出が行われない場合に、ヘッドのノズル面をキャップ62で覆い、粉体20がノズルに混入することや造形液10が乾燥することを防止する。
造形ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット5全体がX方向と直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。この造形ユニット5は、後述するY方向走査機構によって全体がY方向に往復移動される。
液体吐出ユニット50は、ガイド部材54、55とともに矢印Z方向に昇降可能に配置され、後述するZ方向昇降機構551によってZ方向に昇降される。
ここで、造形部1の詳細について説明する。
粉体槽11は、箱型形状をなし、供給槽21と造形槽22の2つの上面が開放された槽を備えている。供給槽21内部には供給ステージ23が、造形槽22内部には造形ステージ24がそれぞれ昇降可能に配置される。
供給ステージ23の側面は供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面は造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は水平に保たれている。
粉体槽11の周りには、上面が開放された凹形状である粉体落下口が設けられている。粉体落下口には、粉体層31を形成するときに平坦化ローラ12によって供給される粉体20のうちの余剰の粉体20が落下する。粉体落下口に落下した余剰の粉体20は供給槽21に粉体を供給する粉体供給装置に戻される。
平坦化ローラ12は、供給槽21より連続的に排出される粉体20を造形槽22へと移送供給して、表面を均すことで平坦化して所定の厚みの層状の粉体である粉体層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の内寸(即ち、粉体が供される部分又は仕込まれている部分の幅)よりも長い棒状部材であり、往復移動機構によってステージ面に沿ってY方向(副走査方向)に往復移動される。
また、図2にも示すように、平坦化ローラ12の周面に接触して、平坦化ローラ12に付着した粉体20を除去するための粉体除去部材である粉体除去板13が配置されている。
粉体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で、平坦化ローラ12とともに移動する。また、粉体除去板13は、平坦化ローラ12が平坦化を行うときの回転方向に回転するときにカウンタ方向になる状態で配置されている。
次に、上記立体造形装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。図4は同制御部のブロック図である。
制御部500は、この立体造形装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係わる制御を含む立体造形動作の制御を実行させるためのプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、造形データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うための外部I/F506を備えている。なお、造形データ作成装置600は、最終形態の造形物を各造形層にスライスした造形データを作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。
制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むためのI/O507を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50の各ヘッド52を駆動制御するヘッド駆動制御部508を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させるX方向走査機構550を構成するモータを駆動するモータ駆動部510と、造形ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させるY方向走査機構552を構成するモータを駆動するモータ駆動部512を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させるZ方向昇降機構551を構成するモータを駆動するモータ駆動部511を備えている。なお、矢印Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、平坦化ローラ12を移動させる往復移動機構のモータ553を駆動するモータ駆動部515を備えている。
制御部500は、供給槽21に粉体20を供給する粉体供給装置554を駆動する供給系駆動部517と、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518を備えている。
制御部500のI/O507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル522が接続されている。
なお、造形データ作成装置600と立体造形装置(粉体積層造形装置)601によって本発明に係る装置としての立体造型システムが構成される。
次に、この装置における造形の流れについて図5も参照して説明する。図5は造形の流れの説明に供する模式的説明図である。
造形槽22の造形ステージ24上に、1層目の造形層30が形成されている状態から説明する。
この1層目の造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図5(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。
このとき、造形槽22の上面(粉体層31表面)と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔Δt1が次に形成する粉体層31の厚さに相当する。間隔Δt1は、1〜100μm程度であることが好ましく、10〜84μmがさらに好ましい。
次いで、図5(b)に示すように、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、平坦化ローラ12を順方向(矢印方向)に回転しながらY2方向(造形槽22側)に移動することで、粉体20を造形槽22へと移送供給する(粉体供給)。
さらに、図5(c)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、図5(d)に示すように、造形ステージ24の造形層30上で所定の厚さΔt1になる粉体層31を形成する(平坦化)。粉体層31を形成後、平坦化ローラ12は、図5(d)に示すように、Y1方向に移動されて初期位置に戻される。
ここで、平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の上面レベルとの距離を一定に保って移動できるようになっている。一定に保って移動できることで、平坦化ローラ12で粉体20を造形槽22の上へと搬送させつつ、造形槽22上又は既に形成された造形層30の上に均一厚さΔt1の粉体層31を形成できる。
その後、図5(e)に示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を吐出して、次の粉体層31に造形層30を積層形成する(造形)。
なお、造形層30は、例えば、ヘッド52から吐出された造形液10が粉体20と混合されることで、粉体20に含まれる接着剤(樹脂膜B)が溶解し、溶解した接着剤同士が結合して粉体20が結合されることで形成される。
次いで、上述した粉体供給・平坦化による粉体層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を繰り返して新たな造形層30を形成する。このとき、新たな造形層30とその下層の造形層30とは一体化して三次元形状造形物の一部を構成する。
以後、粉体の供給・平坦化による粉体層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。
また、図6に示す積層方法で造形を実施すると、粉体の積層密度をより高めることができる。
ここでは、造形ステージ24上に、1層目の造形層が形成されている状態から説明する。
この1層目の造形層30上に次の造形層を形成するときには、図6(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23を上昇させ、造形槽22の造形ステージ24を下降させる。
このとき、造形ステージ24の下降距離は、Δt1よりも大きいことが望ましく、Δt1の2倍以下であることがより好ましい。間隔Δt1は次に形成する粉体層の厚さ(積層ピッチ)に相当する。間隔Δt1は、数十〜100μm程度であることが好ましい。
この場合、平坦化ローラ12は供給槽21及び造形槽22の上端面に対してギャップを置いて配置している。したがって、造形槽22に粉体を移送供給して平坦化するとき、粉体層31の表面(粉体面)は供給槽21及び造形槽22の上端面よりも高い位置になる。
これにより、平坦化ローラ12が供給槽21及び造形槽22の上端面に接触することを確実に防止できて、平坦化ローラ12の損傷が低減する。平坦化ローラ12の表面が損傷すると粉体層31の表面にスジが発生して平坦性が低下する。
次いで、図6(b)に示すように、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、平坦化ローラ12を逆方向(矢印方向)に回転しながら造形槽側に移動することで、粉体20を造形槽22へと移送供給する(粉体供給)。
さらに、図6(c)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、造形ステージ24の造形層30上でΔt1よりも厚い粉体層31を形成する。このとき、粉体層31の形成に使用されなかった余剰の粉体は余剰粉体受け槽に落下する。
その後、図6(d)に示すように、造形物と平坦化ローラ12の移動線との間隔がΔt1となるように、造形ステージ24を上昇させ、供給ステージ23を下降させる。
そして、図6(e)、(f)に示すように、平坦化ローラ12を矢印方向に回転させながら、供給槽側へと移動させ、余剰の粉末を供給槽に戻すことで、造形槽粉面を平坦化する。
平坦化ローラ12の原点回帰時に供給槽21を平坦化する第2の粉体層形成方法では、粉体搬送時の余剰の粉末が余剰粉末受け層に運ばれる量を低減するだけでなく、粉体層31の平滑性を良くし、粉体密度を高める効果がある。
その後、図6(g)に示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を吐出して、次の粉体層31に所要形状の造形層30を積層形成する(造形)。このとき.造形液10は、1つの区画に対して複数回に分けて吐出される。
次いで、上述した粉体供給・平坦化よる粉体層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を繰り返して新たな造形層30を形成する。このとき、新たな造形層30とその下層の造形層30とは一体化して三次元形状造形物(立体造形物)の一部を構成する。
以後、粉体の供給・平坦化による粉体層31を形成する工程、ヘッドによる造形液吐出工程を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。
先ず、本発明の第一形態について記載する。
第一形態における粉末材料を積層する工程は、基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆され、更に前記樹脂膜Aの表面が樹脂膜Bで被覆された構造を有する粉末材料を積層する工程であり、前記積層された粉末材料に、前記樹脂膜Aを溶解しないが前記樹脂膜Bを溶解する造形用インクを塗布して樹脂膜Bを溶解させ、溶解した樹脂を硬化させて樹脂膜Aを有する基材粒子同士を接着させることにより前記焼結前駆体を造形する。
図7では、本発明の第一形態における粉体の模式図を示す。本発明では、基材粒子の表面に樹脂膜Aが形成され、樹脂膜Aの表面に樹脂膜Bが形成されている。樹脂膜Aは造形用インクに不溶な樹脂組成で構成され、樹脂膜Bは造形用インクに可溶な樹脂組成で構成される。
基材粒子としては、粒子の形態を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その材質としては、例えば、金属、セラミックス、カーボン、ポリマー、木材、生体親和材料、などが挙げられるが、高強度な立体造形物を得る観点からは、最終的に焼結処理が可能な金属、セラミックス等の無機材料が好ましい。
金属粉末材料としては、純アルミニウム、アルミニウム合金、銅、コバルトクロム合金、金、イリジウム、純鉄、純マグネシウム、マグネシウム合金、ニッケル合金、白金、銀、ステンレス鋼、純チタン、チタン合金、亜鉛などが挙げられる。
セラミックスとしては、例えば、金属酸化物などが挙げられ、具体的には、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)などが挙げられる。
基材粒子の形状は真球度が高い方が望ましい。真球度が高い方が樹脂膜Aの被覆度を高めることができる。
基材粒子の粒径としては、5〜100μmの間であることが望ましい。5μm以上であると粒子間の凝集が起こりにくく、樹脂膜Aを粒子単位で成膜しやすくなり、また、積層密度が向上する。また、最終的に焼結工程を経て造形物を緻密化する観点、および、焼結前の積層密度の向上の観点から、基材粒子の粒径は、特に、10〜30μmの間であることが望ましい。
前記基材の粒度分布としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、粒度分布はよりシャープである方が好ましい。
前記基材の平均粒子径は、公知の粒径測定装置を用いて測定することが可能であり、一例としては粒子径分布測定装置マイクロトラックMT3000IIシリーズ(マイクロトラックベル製)などが挙げられる。ここでいう基材粒子の粒径は、体積平均分布におけるD50の値を粒径と定義する。
樹脂膜としては、例えば、インクの主溶媒として水を選択した場合には、水に不溶の樹脂を樹脂膜Aとして選択する。樹脂膜の樹脂材料としては、アクリル、マレイン酸、シリコーン、ブチラール、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、α−オレフィン/無水マレイン酸系共重合体、α−オレフィン/無水マレイン酸系共重合体のエステル化物、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、α−オレフィン/無水マレイン酸/ビニル基含有モノマー共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリアミド、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン又はその誘導体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン/ブタジエンゴム、ポリビニルブチラール、ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレン/プロピレンゴム等の合成ゴム、ニトロセルロースなどが挙げられる。
そして、水に可溶な樹脂を樹脂膜Bとして選択する。例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、セルロース樹脂、デンプン、ゼラチン、ビニル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレングリコール、などが挙げられる。
これらは、前記水溶性を示す限りにおいて、ホモポリマー(単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよい。よって、例えば、前記ポリビニルアルコール樹脂であれば、ポリビニルアルコールであってもよいし、アセトアセチル基、アセチル基、シリコーン等による変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセチル基変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコールなど)であってもよく、また、ブタンジオールビニルアルコール共重合体等であってもよい。また、前記ポリアクリル酸樹脂であれば、ポリアクリル酸であってもよいし、ポリアクリル酸ナトリウム等の塩であってもよい。前記セルロース樹脂であれば、例えば、セルロースであってもよいし、カルボキシメチルセルロース(CMC)等であってもよい。また、前記アクリル樹脂であれば、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体などであってもよい。
また、インクの主溶媒として有機溶剤を選択した場合には、樹脂膜Aと樹脂膜Bの材料構成を逆転させるとよい。
また、粒子表面の最外層となる樹脂膜Bの有機材料は特に、架橋性官能基を有するものが好ましい。前記架橋性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基、リン酸基、チオール基、アセトアセチル基、エーテル結合、ビニル基などが挙げられる。架橋性官能基を有することで、インクに架橋剤を含む場合に架橋反応が進行し、接着強度をより高めることが可能となる。
このように、造形用インクに不溶−可溶な樹脂膜を二層構造で形成することで、インクとしては最外層にある樹脂膜Bのみを溶解する。こうすることで、インク中に結着剤成分が含まれなくてもよいため、吐出不良を起こす可能性が極めて低くなる。また、インク着弾で樹脂が溶解することで、着弾したインクが増粘し、さらに濡れ広がりを抑制できる。
このとき、重要であるのは、造形用インクによって基材粒子を被覆した樹脂膜Aが溶解しないことである。この「溶解しない」に対しての定義は、20〜25℃において、選択する樹脂材料をインクに使用された溶媒と同じ組成の溶媒中に30分間浸漬し、撹拌子による撹拌、撹拌棒による撹拌、超音波振動による撹拌など、種々撹拌手法によって十分に撹拌した後、その上澄み溶液を100g分取し、蒸発させた際に残る残分が1g以下、すなわち飽和溶解度が1質量%以下であることをいう。
また、樹脂膜Aが被覆された基材粒子を、造形用インク中に分散させ、20〜25℃で浸漬し、攪拌したのち、樹脂膜Aが被覆された基材粒子を吸引ろ過により回収し、基材粒子に被覆された樹脂膜Aの質量変化が1質量%以下であるかにより確認してもよい。
本定義で「溶解しない」と判断できる樹脂−溶剤の組み合わせであれば、インクとして吐出された溶媒が、基材粒子を被覆した樹脂膜Aを完全に溶解することができないため、基材が露出することはない。
したがって、造形中に基材粒子の表面が樹脂膜Aに覆われた状態でインクが浸透するため、被覆される基材粒子に係わらずインクの浸透を制御することができる。
基材粒子に被覆する樹脂膜Aは、基材粒子の表面に対して100%被覆していることが望ましいが、75%程度の被覆率でも良い。75%以上の粒子表面に樹脂が被覆されていれば、本発明で狙う効果が発現できる。
また、樹脂膜Bは、樹脂膜Aの表面に対して被覆率が50%以上であることが好ましい。
前記被覆率は、例えば、前記立体造形用粉末材料の写真を観察し、二次元の写真に写る該立体造形用粉末材料について、前記粉末材料粒子の表面の全面積に対する、前記有機材料で被覆された部分の面積の割合(%)の平均値を算出してこれを該被覆率としてもよいし、また、前記樹脂で被覆された部分をSEM−EDS等のエネルギー分散型X線分光法による元素マッピングを行うことにより、測定することができる。
また、樹脂膜Aの膜厚については、100nm〜200nmであることが望ましい。後に造形物を焼結し最終造形物を得ることから、粒子接点の距離は限りなく近い距離である必要がある。また、100nmよりも薄く成膜しようとすると、金属粉末表面の被覆率が下がってしまうため、100nm〜200nmが望ましい。
また、樹脂膜Bの膜厚についても、100nm〜200nmであることが望ましい。
<樹脂膜の被覆厚み>
被覆厚みは、前記立体造形用粉末材料1の表面をエメリー紙で研磨を行った後、水を含ませた布で表面を軽く磨き樹脂部位を溶解し、観察用サンプルを作製した。次に、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて表面に露出した、基材部と樹脂部の境界部を観察し、前記樹脂部表面と前記境界部位との長さを被覆厚みとして測定した。測定箇所10箇所の平均値を求め、これを被覆厚み(平均厚み)とした。
造形インクについては、溶媒は有機溶剤であっても良いし、水であってもよい。人体や環境に対しての安全性を考慮すると、水であることが望ましい。
本発明において主溶媒が水であるとは、溶媒中に水を50質量%以上含有することを言う。
この時、主溶剤である水に対して、結着剤成分がインクに含まれなくてもよいし、含まれていてもよい。また、樹脂膜Bの架橋性反応基と反応する架橋剤が含まれていてもよい。結着剤成分としては、水溶性を有するモノマーであってもよいし、プレポリマーであってもよいし、低分子量の高分子樹脂であっても良い。モノマーの反応性を高めるために、重合開始剤をインクに含んでもよいし、造形インクとは別のインクとして重合開始剤を粉末材料に塗布しても良い。水溶性モノマーとしては例えば、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、エポキシ化合物、エポキシアクリレートなどが挙げられる。重合開始剤としては光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤などが挙げられる。低分子量体の高分子樹脂は、上記で被覆材料として記載した水溶性有機材料の中のもので、重量平均分子量が50,000以下のものが挙げられる。分子量が高い場合には。インクジェットノズル近傍で水が蒸発することで、ノズル面に樹脂膜を形成してしまい、吐出不良を引き起こす恐れがある。重量平均分子量50,000以下であれば、仮にノズル近傍で造膜した場合においても、膜自体の強度が弱いため、空吐出等のメンテナンス機構によりノズルを復活させることができる。
架橋剤は、前記有機材料を架橋可能な性質を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属塩、金属錯体、ジルコニア系架橋剤、チタン系架橋剤、水溶性有機架橋剤、キレート剤、などが挙げられる。
前記ジルコニア系架橋剤としては、例えば、酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムなどが挙げられる。
前記チタン系架橋剤としては、例えば、チタンアシレート、チタンアルコキシドなどが挙げられる。
前記水溶性有機架橋剤としては、例えば、カルボジイミド基含有化合物、ビスビニルスルホン化合物などが挙げられる。
前記キレート剤としては、例えば、有機チタンキレート、有機ジルコニアキレートなどが挙げられる。
図8は、第一形態における造形層30へのインク浸透・硬化の模式図である。造形用インクが粉体材料に塗布されると、造形インクが粉体間空隙に浸透するとともに、樹脂膜Bが溶解する。溶解した樹脂膜Bは、造形インク中に含有されるモノマーあるいは架橋剤等と反応し、硬化する。
次に本発明の第二形態について記載する。
第二形態における粉末材料を積層する工程は、基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆された構造を有する粒子が樹脂Bを溶解した溶液に分散されたスラリーを用いて積層され、積層後に前記スラリーを乾燥させて前記樹脂膜Aの表面に樹脂膜Bが形成された粉末材料を積層する工程であり、前記積層された粉末材料に、前記樹脂膜Aを溶解しないが前記樹脂膜Bを溶解する造形用インクを塗布して樹脂膜Bを溶解させ、溶解した樹脂を硬化させることによって樹脂膜Aを有する基材粒子同士を接着させて焼結前駆体を造形する。
図9は、本発明における粉体積層の模式図である。
本発明の第二形態は、樹脂膜Aで被覆された基材粒子を、樹脂Bが溶解した溶液に分散させスラリー化し、その状態で積層を行うものである。樹脂Bを溶解する溶媒は樹脂膜Aを溶解しないことから、樹脂膜Aと樹脂Bの樹脂構成は第一形態と同一条件である。また、乾燥工程により積層時の形態から形態変化することで、第一形態と類似の積層状態を形成する。
<乾燥工程>
基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆された構造を有する粒子が樹脂Bを溶解した溶液に分散されたスラリーを所定の厚みで積層し、乾燥工程を経ることで所定の厚みの造形層が形成される。この時、乾燥工程は、セラミックヒーター等の熱源から発せられる熱によって乾燥してもよいし、不活性ガス等のガスを吹き付けることで乾燥を促してもよい。熱源や不活性ガス源は、造形槽の上に配置され、必要に応じて造形層に接近し、乾燥工程を促すものであってもよいし、積層ブレードの後ろに配置されて造形層に接近してもよい。
このとき、スラリーに含まれる溶媒成分は、全体体積のうちの28vol%以上であることが好ましく、35〜45vol%であることがより好ましく、35〜40vol%であることがより望ましい。溶媒の体積比が28vol%以上であると、粉体積層材料の流動性が著しく低下することがなく、積層体を形成しやすくなる。また、45vol%以下であると、乾燥工程により、十分に溶媒が揮発させることができ、立体造形物の強度や寸法精度に悪影響を及ぼすことがない。
また、溶媒成分としては、樹脂Bを溶解でき、基材粒子を被覆した樹脂膜Aを溶解せず、かつ、自然乾燥によって揮発するものが望ましく、水、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトン等が挙げられる。これらの材料は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。粉末材料の処理やリサイクル性、環境安全性、人体安全性を考えると、水が最も良い。このことから、インクの主溶媒も水であることが望ましく、樹脂膜Aは水に不溶な樹脂、かつ、樹脂Bは水に可溶な樹脂であることが望ましい。
<焼結工程及び焼結手段>
前記焼結工程は、前記層形成工程と前記液体材料付与工程とを順次繰り返して形成した立体造形物(積層造形物)を焼結する工程であり、焼結手段により行われる。前記焼結工程を行うことにより、前記硬化物を一体化された成形体(焼結体)とすることができる。
前記焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜4、比較例1〜5
<使用材料>
・造形粉末
基材:AlSi10Mg球形粉末(東洋アルミニウム社製),
SUS316L球形粉末(山陽特殊製鋼社製),
Ti6Al4V球形粉末(大阪チタニウム社製)のいずれか
被覆樹脂A:ポリビニルブチラール(積水化学社製)
被覆樹脂B:ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製)
ポリアクリル酸(東亜合成社製)
エポキシ含有アクリレート(日油株式会社製)
・造形インク
溶剤:水/1,2−プロパンジオール 混合比8/2
硬化成分A(モノマー):アクリロイルモルフォリン(ACMO、JKケミカル社製)
樹脂:ポリビニルピロリドン(重量平均分子量40,000、東京化成工業社製)
硬化成分B(架橋剤):カルボジヒドラジド(東京化成工業社製)
ポリエチレンイミン(日本触媒社製)
ポリアミン(三菱ケミカル社製)
基材粒子に、表1に記載の被覆樹脂Aを用いて、以下のコーティング条件により樹脂膜Aを有する基材粒子を得た。
実施例1においては、被覆樹脂B(ポリビニルアルコール)を用いて、樹脂膜Aの形成と同様にして、樹脂膜Aを有する基材粒子に樹脂膜Bを形成した。
また、実施例2〜4においては、樹脂膜Aを有する基材粒子を用いて、以下のようにしてスラリーを作製した。
尚比較例1においては、粉体材料として被覆樹脂Aで被覆していない基材を用いた。
<コーティング条件>
・基材粒子投入量3000〜8000g(処理素材の比重で変更)
・コーティング方法:滴下、浸漬(必要時、スプレー被覆)
・アジテータ(混合羽根)/チョッパ(解砕羽根)回転設定
1)アジテータ回転
回転速度 160rpm〜250rpm
2)チョッパ回転
回転速度 1200rpm〜2000rpm
・他設定条件
ジャケット設定温度 50〜80℃
層内真空度 −0.05〜−0.08MPa
・コーティング時間 60〜180分間
<解砕条件>
・解砕媒体:ジルコニア球
・凝集体投入量:前記解砕媒体とコーティング直後の基材粒子を5:1で投入
・処理時間:0.5〜5.0Hr
<スラリー作製>
樹脂Bを10質量%で溶解させた水溶液に対して、水溶液と樹脂膜Aが被覆された基材粒子との体積比が6/4となるように水溶液と樹脂膜Aが被覆された基材粒子を混合し、十分に攪拌した。攪拌はシンキー社製の自転−公転ミキサーを使用し、1000rpm,10〜30minの条件で攪拌し、スラリーを作製した。
<造形用インクの作製>
以下の成分を混合し実施例1、及び比較例1〜3に用いる造形用インク1を作製した。
溶剤:水/1,2−プロパンジオール 混合比8/2
硬化成分A:ACMO(三菱ケミカル社製)
樹脂:ポリビニルピロリドン(東京化成工業社製)
造形用インク1において、硬化成分Aの代わりに表1記載の硬化成分Bを2〜10質量%添加し、樹脂を添加しない以外は造形用インク1と同様にして、実施例2〜実施例4で用いる造形用インク2〜4を作製した。
粉末材料の積層は、Φ20mm径のリコーターおよび供給槽ステージ、造形槽ステージを、以下の範囲内で駆動することで実施した。
・リコーター移動速度:50〜200mm/s
・リコーター回転速度:2〜10rps
・供給槽ステージ:120〜300μm/層
・造形層ステージ:60〜120μm/層
インク塗布は、300dpiにインクを50〜200pLのいずれかの滴量で吐出した。
スラリーの積層は、作製したスラリーを2〜10g滴下し、所定のスリット幅に調整したドクターブレードを20〜100mm/sの速度で移動させ、スラリーを積層した。その後、窒素ガスをスラリー層に十分に吹き付け、溶媒を乾燥させることで、粉体層を得た。
<評価方法>
・粉体濡れ性評価
基板上に接着テープを貼りつけ、その上に粉末材料を塗布。前記基板の上に造形インクをマイクロシリンジにて滴下。インク滴が粉体に接触した瞬間から濡れ広がるまでの接触角変位を高速度カメラ(フレームレート:1ms)で画像解析した。各基材を比較して10°以上の接触角差がある場合には×、5〜10°範囲で△、5°以下で〇と判定した。
・脱脂性(熱分解性)評価
インク塗布によって得られた焼結前の前駆体を、示差熱重量測定TGDTA(リガク社製)にて、窒素雰囲気における熱分解挙動を測定。
・測定雰囲気:窒素
・昇温速度:10℃/min
・中間保持温度:400℃
・中間保持時間:3時間
・最高到達温度:500℃
樹脂残存率が10質量%以上を×、5質量%以上10質量%未満を△、5質量%未満を〇と判定した。
樹脂残存率は、樹脂膜で被覆した基材粒子を500℃で10時間、十分に熱分解させた際に得られる質量減少率を分母とし、400℃、3時間で脱脂を実施した際の質量減少率を分子として算出した。例えば、十分に熱分解させた際には質量減少率5%であり、400℃、3時間で脱脂した際の質量減少率が4%であるならば、1−4/5=0.2となり、樹脂残存率は20質量%となる。
・樹脂膜Aの造形インクへの溶解性の確認
樹脂膜Aが被覆された基材粒子1gを、造形用インク10g中に分散させ、室温にて1時間攪拌した。樹脂膜Aが被覆された基材粒子を吸引ろ過により回収し、水で洗浄した。洗浄後、樹脂膜Aが被覆された基材粒子を十分に乾燥させた。以上の処理の前後で、基材粒子に被覆された樹脂膜Aの質量変化が1質量%以下であるかどうかを確認した。
実施例1〜4において、質量変化が1質量%以下であることを確認した。
尚、樹脂膜Aの被覆率は、実施例1〜4が75〜80%であり、比較例3〜5は100%であった。
1 造形部
5 造形ユニット
7 ベース部材
10 造形用インク(造形液)
11 粉体槽
12 平坦化ローラ(平坦化手段、回転体)
20 粉体
21 供給槽
22 造形槽
23 供給ステージ
24 造形ステージ
30 造形層(層状造形物)
31 粉体層(層状の粉体)
50 液体吐出ユニット
51 キャリッジ
52a、52b、52 液体吐出ヘッド
54、55 ガイド部材
56 タンク装着部
60 タンク
61 メンテナンス機構
62 キャップ
63 ワイパ
70 側板
71 ガイド部材
72 スライダ部
500 制御部
500A 主制御部
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 NVRAM(不揮発性メモリ)
505 ASIC
506 外部I/F
507 I/O
508 ヘッド駆動制御部
510、511、512、513、514、515、516 モータ駆動部
517 供給系駆動部
518 メンテナンス駆動部
522 操作パネル
550 X方向走査機構
551 Z方向走査機構
552 Y方向走査機構
553 モータ
554 粉体供給装置
560 温度センサ
600 造形データ作成装置
601 立体造形装置(粉体積層造形装置)
特開2015−208892号公報

Claims (9)

  1. 粉末材料を積層する工程と、前記積層した粉末材料を結着させるための造形用インクを塗布する工程とを繰り返すことで焼結前駆体を造形し、その後前記焼結前駆体を焼結する焼結工程を経て焼結体を得る粉末積層造形方法において、前記粉末材料を積層する工程は、基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆され、更に前記樹脂膜Aの表面が樹脂膜Bで被覆された構造を有する粉末材料を積層する工程であり、前記積層された粉末材料に、前記樹脂膜Aを溶解しないが前記樹脂膜Bを溶解する造形用インクを塗布して樹脂膜Bを溶解させ、溶解した樹脂を硬化させて樹脂膜Aを有する基材粒子同士を接着させることにより前記焼結前駆体を造形することを特徴とする粉末積層造形方法。
  2. 粉末材料を積層する工程と、前記積層した粉末材料を結着させるための造形用インクを塗布する工程とを繰り返すことで焼結前駆体を造形し、その後前記焼結前駆体を焼結する焼結工程を経て焼結体を得る粉末積層造形方法において、前記粉末材料を積層する工程は、基材粒子の表面が樹脂膜Aで被覆された構造を有する粒子が樹脂Bを溶解した溶液に分散されたスラリーを用いて積層され、積層後に前記スラリーを乾燥させて前記樹脂膜Aの表面に樹脂膜Bが形成された粉末材料を積層する工程であり、前記積層された粉末材料に、前記樹脂膜Aを溶解しないが前記樹脂膜Bを溶解する造形用インクを塗布して樹脂膜Bを溶解させ、溶解した樹脂を硬化させることによって樹脂膜Aを有する基材粒子同士を接着させて焼結前駆体を造形することを特徴とする粉末積層造形方法。
  3. 前記造形インクは主溶媒が水であり、樹脂膜Aが水に不溶であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末積層造形方法。
  4. 前記造形インクは主溶媒が水であり、前記樹脂膜Bと反応する架橋成分を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
  5. 前記造形インクは主溶媒が水であり、水溶性モノマー材料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
  6. 前記樹脂膜Aの膜厚が100nm〜200nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
  7. 前記樹脂膜Aの被覆率が75%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
  8. 前記樹脂膜Aが焼結時に分解・気化することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
  9. 前記基材粒子が金属またはセラミックスからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の粉末積層造形方法。
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