JP2023129241A - 積層造形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】造形品質に優れる積層造形方法の提供。【解決手段】立体造形用粉末を含む粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層に造形液を付与する付与工程と、を繰り返すことで造形物を形成する積層造形方法であって、前記粉体層形成工程の前に、下地層を形成する下地層形成工程を有し、前記下地層の粉体充填率が、前記粉体層の粉体充填率よりも高いことを特徴とする積層造形方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、積層造形方法に関する。
従来から、立体造形物(三次元造形物)を造形する立体造形装置(三次元造形装置)としては、例えば、造形用粉体を積層して得られる粉体層と、粉体層に対して造形液を付与して得られる造形層とを形成する工程を繰り返すことによって、立体造形物を造形する積層造形法などが知られている。
例えば、特許文献1は、平坦化手段、造形液付与手段、及び温度を検出する手段等を備え、検出された温度に応じて、平坦化手段の移動速度及び回転数を変化させる制御をする立体造形物を造形する装置が提案されている。
本発明は、造形品質に優れる積層造形方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての、本発明の積層造形方法は、立体造形用粉末を含む粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層に造形液を付与する付与工程と、を繰り返すことで造形物を形成する積層造形方法であって、前記粉体層形成工程の前に、下地層を形成する下地層形成工程を有し、前記下地層の粉体充填率が、前記粉体層の粉体充填率よりも高いことを特徴とする。
本発明によると、造形品質に優れる積層造形方法を提供することができる。
図1は、本発明に係る積層造形装置の一例を示す概略平面図である。 図2は、本発明に係る積層造形装置の一例を示す概略側面図である。 図3は、本発明に係る積層造形装置の形成部の一例を示す概略断面図である。 図4は、本発明に係る積層造形装置の一例を示す概略斜視図である。 図5は、本発明に係る積層造形装置の形成部の一例を示す概略斜視図である。 図6は、本発明に係る積層造形装置の制御部の一例を示すブロック図である。 図7Aは、本発明に係る下地層形成工程を説明するための概略断面図である。 図7Bは、本発明に係る下地層形成工程を説明するための概略断面図である。 図7Cは、本発明に係る下地層形成工程を説明するための概略断面図である。 図7Dは、下地層と造形層(又は造形物)との間の粉体層を形成する工程を説明するための概略断面図である。 図8Aは、本発明に係る積層造形方法の各工程を説明するための概略断面図である。 図8Bは、本発明に係る積層造形方法の各工程を説明するための概略断面図である。 図8Cは、本発明に係る積層造形方法の各工程を説明するための概略断面図である。 図8Dは、本発明に係る積層造形方法の各工程を説明するための概略断面図である。 図8Eは、本発明に係る積層造形方法の各工程を説明するための概略断面図である。 図9Aは、下地層の粉体充填率が粉体層の粉体充填率よりも高い場合の、造形物の高さ(厚み)を説明するための説明図である。 図9Bは、下地層の粉体充填率が粉体層の粉体充填率よりも低い場合の、造形物の高さ(厚み)を説明するための説明図である。
(積層造形方法及び積層造形装置)
本発明の積層造形方法は、下地層形成工程と、粉体層形成工程と、付与工程と、を含み、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
本発明に関する積層造形装置は、立体造形用粉末と、造形液と、下地層形成手段と、粉体層形成手段と、付与手段と、を有していてもよく、必要に応じてその他の手段を有していてもよい。
本発明の積層造形方法は、積層造形装置によって好適に実施することができる。
本明細書において粉体層形成工程によって得られる「粉体層」、及び付与工程によって得られる「造形層」は、各工程によって得られる単層のことを示す。
本明細書における「造形物」は、造形層を積層して得られる積層物を示す。換言すると、本明細書における「造形物」は、粉体層形成工程と、付与工程とを繰り返すことで得られる造形層の積層物を示す。
その他の手段としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除去手段などが挙げられる。
従来の立体造形物の造形方法においては、下地層の作製方法や物性に関しては何ら規定されていない。
下地層形成時において、下地層の形成を、粉体層形成時と同様の方法、即ちリコータ等の形成手段及び造形ステージ間の距離を同程度に設定すると、下地層形成に用いる粉体を十分に配することができない場合がある。一般的には、形成手段及び造形ステージは硬い部材で構成されているため、形成手段及び造形ステージ間の距離が狭すぎると、粉体がすり抜けることができずに十分な下地層を形成することができない。このような場合、従来技術においては造形ステージの高さを下げることにより対処していたが、下地層の粉体充填率が粉体層の粉体充填率よりも低くなるという問題があった。これは、造形ステージの高さを下げて形成手段及び造形ステージ間の距離を広げると、下地層は十分に圧縮されていないふんわりとした層が形成されることに起因する。下地層の粉体充填率が粉体層の粉体充填率よりも低いと、下地層上に粉体層が積層されるに連れて下地層が圧縮され、造形物の高さ(厚み)が減少し、品質が低下する。ここで、図9A及び図9Bを参照しながら、より具体的に説明する。
図9Aは、下地層の粉体充填率が粉体層の粉体充填率よりも高い場合の、造形物の高さ(厚み)を説明するための説明図であり、粉体層303積層前(図9A左)及び粉体層303積層後(図9A右)の状態が示されている。図9Bは、下地層の粉体充填率が粉体層の粉体充填率よりも低い場合の、造形物の高さ(厚み)を説明するための説明図であり、粉体層303積層前(図9B左)及び粉体層303積層後(図9B右)の状態が示されている。
図9Aに示す通り、下地層302の粉体充填率が十分に高い場合には、粉体層303(造形層30が含まれていてもよい)の積層に基づく下地層302の圧縮は生じない。ここで、下地層302が圧縮されていない場合の造形物の高さ、即ち、本来所望していた造形物の高さを「A」で示す。
一方で、図9Bに示す通り、下地層302の粉体充填率が粉体層303の粉体充填率よりも低い場合には、粉体層303(硬化物30が含まれていてもよい)が積層されるに連れて下地層302が圧縮されるため、造形物の高さが減少し品質が低下する。ここで、下地層302が圧縮された場合の造形物の高さを「A´」で示した。また、造形装置の種類や設定にもよるが、造形物の高さが所望の高さ「A」となるように、即ち、下地層302の圧縮によって生じた造形物の高さ減少分(AとA´の差分)を補填するように、追加で積層工程が行われるため、造形物の厚みが増大し、品質が低下することもある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下地層の粉体充填率が、粉体層の粉体充填率よりも高くなるように調節することで、下地層の圧縮を抑制することができ、また造形物の品質を維持することができることを見出した。
したがって、本発明においては、立体造形用粉末を含む粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層に造形液を付与する付与工程と、を繰り返すことで造形物を形成する積層造形方法であって、前記粉体層形成工程の前に、下地層を形成する下地層形成工程を有し、前記下地層の粉体充填率が、前記粉体層の粉体充填率よりも高いことによって、造形品質に優れる積層造形方法を得ることができる。
<粉体層形成工程及び粉体層形成手段>
本発明における粉体層形成工程は、立体造形用粉末を含む粉体層を形成する工程である。
本発明に関する粉体層形成手段は、立体造形用粉末の粉体層を形成する手段である。粉体層形成工程は、粉体層形成手段によって好適に実施される。
粉体層形成手段としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リコート部材、ホッパーなどを好適に用いることができる。なお、粉体層形成手段において、粉体層を平坦化する機能を有するものは平坦化手段と称されることもある。
<<立体造形用粉末>>
本発明における立体造形用粉末としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、基材、及び基材を被覆する可溶性有機材料を含有することが好ましい。
立体造形用粉末は、可溶性有機材料が、架橋剤を含有する造形液の作用により溶解し架橋することができる。即ち、可溶性有機材料に対して造形液が付与されると、可溶性有機材料が溶解すると共に、造形液に含まれる架橋剤の作用により架橋し、粉体層が結合硬化して造形層が形成される。
-基材-
基材としては、粉末又は粒子の形態を有する限り、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、セラミックス、カーボン、及びポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、高強度な立体造形物を得る観点から、最終的に焼結処理が可能である金属、及びセラミックスなどが好ましく、金属粒子がより好ましい。
--金属粒子--
金属粒子とは、構成材料として金属を含有する粒子である。
金属粒子の構成材料としては、金属を含有する限り特に限定されず、金属以外の材料を含んでいてもよいが、主材料が金属であることが好ましい。
「主材料が金属である」とは、金属粒子に含まれる金属の質量が、金属粒子の全質量に対して、50.0質量%以上であることを示す。金属粒子に含まれる金属の質量としては、金属粒子の全質量に対して、60.0質量%以上であることが好ましく、70.0質量%以上であることがより好ましく、80.0質量%以上であることがさらに好ましく、90.0質量%以上であることが特に好ましい。
金属としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、鉛(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ネオジウム(Nd)、及びこれら金属の合金などが挙げられる。これらの中でも、ステンレス(SUS)鋼、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及びこれら金属の合金などが好適に用いられる。
ステンレス(SUS)鋼としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SUS316Lなどが挙げられる。
アルミニウム合金としては、例えば、AlSi10Mg、AlSi12、AlSiMg0.6、AlSiMg、AlSiCu、Scalmalloy、ADC12、AlSiなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
金属粒子は、従来公知の方法を用いて製造することができる。金属粒子を製造する方法としては、例えば、固体に圧縮、衝撃、摩擦等を加えて細分化する粉砕法、溶湯を噴霧して急冷粉体を得るアトマイズ法、液体に溶解した成分を沈殿させる析出法、気化させて晶出させる気相反応法などが挙げられる。これらの中でも、形状が球状であるものが得られ、粒径のバラツキが少ない点からアトマイズ法が好ましい。
アトマイズ法としては、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、遠心アトマイズ法、プラズマアトマイズ法などが挙げられ、いずれも好適に用いられる。
金属粒子は、市販品を用いてもよい。
金属粒子の市販品としては、例えば、純Al(A1070-30BB、東洋アルミニウム株式会社製)、純Ti(大阪チタニウムテクノロジーズ社製)、SUS316L(PSS316L、山陽特殊製鋼株式会社製)、AlSi10Mg(Si10MgBB、東洋アルミニウム株式会社製)、SiO(エクセリカSE-15K、株式会社トクヤマ製)、AlO(タイミクロンTM-5D、大明化学工業株式会社製)、ZrO(TZ-B53、東ソー株式会社製)などが挙げられる。
金属粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、2μm以上100μm以下が好ましく、8μm以上50μm以下がより好ましい。
金属粒子の体積平均粒径が2μm以上であると、金属粒子の凝集が抑制され、造形物の製造効率の低下、及び金属粒子の取扱性の低下を抑制することができる。
金属粒子の平均粒子径が100μm以下であると、金属粒子同士の接点の減少や空隙の増加を抑制することができ、造形物の強度が低下することを抑制することができる。
金属粒子の粒度分布としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、粒度分布はよりシャープである方が好ましい。
金属粒子の体積平均粒径及び粒度分布は、公知の粒径測定装置を用いて測定することができ、例えば、粒子径分布測定装置マイクロトラックMT3000IIシリーズ(マイクロトラックベル製)などが挙げられる。
なお、金属の基材及び当該基材を被覆する被覆樹脂を有する金属粒子を用いて、金属粒子に液体を付与することで被覆樹脂におけるバインダー機能を発揮させて造形物を製造する方法が従来から知られているが、本明細書においては、造形液にバインダー機能を有する樹脂が含有され得る。従って、本明細書の金属粒子は、樹脂により表面が被覆されていてもよいし、被覆されていなくてもよい。樹脂により表面が被覆されてない金属粒子を用いることで、例えば、液体を付与されていない粉体の領域(言い換えると、非造形領域)であるにも関わらず、加熱工程を経ることで被覆樹脂が金属粒子同士を結着させ、意図しない固化物が形成されてしまうことを抑制することができる。
ここで、「樹脂により表面が被覆されていない」とは、例えば、金属粒子の表面積において、樹脂が占める表面積の割合(表面被覆率)が15%未満であることを表し、0%であってもよい。
表面被覆率の測定方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子の写真を取得し、二次元の写真に写る範囲において、金属粒子の全表面積に対する、樹脂で被覆された部分の面積の割合(%)を測定することで求めることができる。なお、樹脂で被覆された部分の判断においては、例えば、SEM-EDS等のエネルギー分散型X線分光法による元素マッピングの手法等を用いることができる。
--セラミックス--
セラミックスとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属酸化物などが挙げられ、具体的には、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、及びチタニア(TiO)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--カーボン--
カーボンとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びフラーレンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
基材は、可溶性有機材料との親和性を高める目的等で、公知の表面(改質)処理がされていてもよい。
-可溶性有機材料-
可溶性有機材料は、造形液に溶解し、架橋剤の作用により架橋可能な性質を有するもの、即ち、造形液に可溶性であり、架橋剤によって架橋可能である限り、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリ酢酸ビニル、並びにその共重合体などが挙げられる。
可溶性有機材料が基材を被覆する被覆量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜設定することができるが、平均厚みが5nm以上500nm以下となるように調整することが好ましい。可溶性有機材料の被覆量が、上記範囲であると、可溶性有機材料が造形液に溶解する際、基材の周囲に必要最小量の可溶性有機材料が存在し、これが架橋して三次元ネットワークを形成するため、粉体層の硬化は寸法精度よく、かつ良好な強度をもって行われるため好ましい。
可溶性有機材料は、基材にコーティングして使用してもよいし、基材と混合して使用してもよい。また、立体造形用粉末を、可溶性有機材料を含まない基材のみで構成し、可溶性有機材料を造形液に含有して造形物を形成してもよい。
立体造形用粉末は、適宜合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
立体造形用粉末の市販品としては、例えば、A1070-30BB(東洋アルミニウム株式会社製)などが挙げられる。
粉体層一層分の平均厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.03mm以上0.2mm以下とすることができる。粉体層一層分の平均厚みが0.03mm以上であると、立体造形用粉末の粒径より層の厚みが小さくなるため、層が形成できないといった問題を解消することができ好適である。粉体層一層分の平均厚みが0.2mm以下であることで、造形物の解像度を高めることができ好適である。
粉体層一層分の平均厚みは、公知の方法に従って測定することができ、例えば、粉体層形成手段と下地層(又は造形層)上面との間を、スキマゲージを用いて測定することによって得ることができる。この測定方法の場合、造形ステージの角4箇所から20mm内側の4点を測定し、その平均値を平均厚みとすることができる。
粉体層形成工程における粉体層形成手段と下地層(又は造形層)上面との平均距離としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.03mm以上0.2mm以下とすることができる。
<<付与工程及び付与手段>>
本発明における付与工程は、粉体層に造形液を付与する工程である。付与工程では、造形液が選択的に付与される。
本発明に関する付与手段は、粉体層に造形液を付与する手段である。付与手段は、造形液が選択的に付与される。付与工程は、付与手段によって好適に実施される。
なお、本明細書において「粉体層の積層面」とは、粉体層の下地層とは接触しない面のことを示す。
付与手段は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。これらの中でもインクジェット方式であることが好ましい。ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなる。また、スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による造形液の飛散が発生する。インクジェット方式は、スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な造形物を精度良くかつ効率的に形成し得る点で好ましい。
付与手段としてインクジェット方式を用いる場合、付与手段は、造形液を吐出するノズルを有するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッドとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるインクジェットヘッドを好適に使用することができる。なお、インクジェットプリンターにおけるインクジェットヘッドとしては、例えば、株式会社リコー製の産業用インクジェットRICOH MH/GH SERIESなどが挙げられる。また、インクジェットプリンターとしては、例えば、株式会社リコー製のSG7100などが挙げられる。
<造形液>
造形液としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、有機溶剤を含み、必要に応じて、界面活性剤等の添加剤、その他の成分を含むものなどが挙げられる。なお、本明細書において造形液は、「架橋剤含有液」と称されることがある。
<<樹脂>>
造形液における樹脂としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、下記構造式(1)で表される構造単位、及び下記構造式(2)で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を含む樹脂を含有することが好ましい。なお、本明細書において「構造単位」とは、1つ以上の重合性化合物に由来する樹脂中の部分構造を表す。
-構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂-
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、造形液が金属粒子を含む粉体層に対して付与されることで粉体層中に配置され、樹脂の軟化点に応じた適切な加熱工程を経ることで、造形液が付与された領域における金属粒子同士を結着させるバインダーとして機能し、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物を形成させる。これらの焼結前の造形物は、柔軟性を付与する構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂により形成されるため、曲げ強度が向上する。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、熱分解性に優れるため、脱脂工程で適切に除去され、これに続く焼結工程を経て作製された焼結体における密度が向上する。従って、造形物を形成する材料(基材)として、焼結を前提とした又は焼結されることが好ましい材料である金属粒子を用いた場合、得られる効果が顕著になる。具体的には、構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、30℃から550℃まで昇温した場合に、95質量%以上が熱分解されることが好ましく、97質量%以上が熱分解されることがより好ましい。
なお、本明細書において「樹脂が熱分解する」とは、主鎖のランダム分解又は分子鎖末端での解重合等が起き、気化、酸化分解、燃焼などによって樹脂が除去されることを表す。また、熱分解性はTG-DTA(示差熱・熱重量同時測定装置)を用いることで測定することができる。具体的には、大気又は窒素雰囲気中で30℃から550℃までを10℃/分で昇温させ、更に550℃到達後に2時間温度保持したときの、昇温前後の重量減少率を求めることにより得られる。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、構造式(1)で表される構造単位が疎水性を有することにより、樹脂の有機溶剤に対する溶解性が向上する。そのため、造形液が有機溶剤を含む場合、構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の溶解性が向上し、これに伴って造形液の粘度を低下させることができ、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。なお、構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、造形液の有機溶剤に可溶であり、水に不溶であることが好ましい。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂のTgは、0℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることがさらに好ましい。また、構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂のTgは、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の軟化点は、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましい。また、構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の軟化点は、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることがさらに好ましい。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の数平均分子量(Mn)は、5,000以上50,000以下であることが好ましく、10,000以上30,000以下であることがより好ましい。構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の数平均分子量(Mn)が上記範囲であることで、強度及び造形精度の向上と、造形液の粘度の低下及び造形液中の樹脂濃度の向上と、を両立することができる。
造形液における樹脂は、構造式(1)以外で表される構造単位を有していてもよい。構造式(1)以外で表される構造単位としては、下記構造式(3)で表される構造単位、及び下記構造式(4)で表される構造単位などが好ましい。
構造式(1)で表される構造単位に加えて、構造式(3)で表される構造単位を有する樹脂は、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度を向上させる。
また、構造式(3)で表される構造単位も、構造式(1)で表される構造単位と同様に疎水性を有することにより、樹脂の有機溶剤に対する溶解性が向上する。
これらの観点から、樹脂において、構造式(1)で表される構造単位及び構造式(3)で表される構造単位の合計量は、構造式(1)で表される構造単位、構造式(3)で表される構造単位、及び構造式(4)で表される構造単位の合計量に対して60mol%以上であることが好ましく、65mol%以上であることがより好ましく、70mol%以上であることがさらに好ましく、75mol%以上であることが特に好ましく、80mol%以上であることが最も好ましい。
なお、樹脂が構造式(3)又は構造式(4)で表される構造単位を有さない場合も同様であり、有さない構造単位の量を0として上記割合を算出すればよい。
構造式(1)で表される構造単位に加えて、構造式(4)で表される構造単位を有する樹脂は、構造式(4)で表される構造単位における水酸基により、造形液が付与される粉体層における金属粒子との親和性を向上させる。これにより、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度がより向上し、焼結前の造形物における密度及び焼結後の造形物における密度もより向上する。これらの観点から、樹脂において、構造式(4)で表される構造単位の量は、構造式(1)で表される構造単位、構造式(3)で表される構造単位、及び構造式(4)で表される構造単位の合計量に対して5mol%以上であることが好ましく、15mol%以上であることがより好ましく、25mol%以上であることがさらに好ましい。
しかし、構造式(4)で表される構造単位は親水性を有するため、構造式(4)で表される構造単位の割合が増加すると、造形液が有機溶剤を含む場合において、構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の溶解性の向上が抑制され、これに伴って造形液の粘度低下が抑制される。この観点から、樹脂において、構造式(4)で表される構造単位の量は、構造式(1)で表される構造単位、構造式(3)で表される構造単位、及び構造式(4)で表される構造単位の合計量に対して40mol%以下であることが好ましく、35mol%以下であることがより好ましく、30mol%以下であることがさらに好ましく、25mol%以下であることが特に好ましく、20mol%以下であることが最も好ましい。
なお、樹脂が構造式(3)で表される構造単位を有さない場合も同様であり、有さない構造単位の量を0として上記割合を算出すればよい。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の具体例としては、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂、部分けん化ポリ酢酸ビニル樹脂、及びポリビニルブチラール樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、造形液の粘度を低下させることができる点から、ポリ酢酸ビニル樹脂、及び所定の部分けん化ポリ酢酸ビニル樹脂が好ましい。
ここで「所定の部分けん化ポリ酢酸ビニル樹脂」としては、構造式(1)で表される構造単位の量が、構造式(1)で表される構造単位及び構造式(4)で表される構造単位の合計量に対して、75mol%以上の部分がけん化しているポリ酢酸ビニル樹脂が好ましく、80mol%以上の部分がけん化しているポリ酢酸ビニル樹脂がより好ましい。なお、これら樹脂は単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。また、市販品及び合成品のいずれも使用することができる。
本明細書において、ポリ酢酸ビニル樹脂は、構造式(1)で表される構造単位を有し、構造式(3)で表される構造単位及び構造式(4)で表される構造単位を実質的に有さない樹脂である。部分けん化ポリ酢酸ビニル樹脂は、構造式(1)で表される構造単位と構造式(4)で表される構造単位とを有し、構造式(3)で表される構造単位を実質的に有さない樹脂である。ポリビニルブチラール樹脂は、構造式(1)で表される構造単位と構造式(3)で表される構造単位とを有する樹脂、又は構造式(1)で表される構造単位と構造式(3)で表される構造単位と構造式(4)で表される構造単位とを有する樹脂である。
なお、部分けん化ポリ酢酸ビニル樹脂とは、ポリ酢酸ビニル樹脂を部分的にけん化させることで得られる樹脂である。また、本明細書における部分けん化ポリ酢酸ビニル樹脂は、構造式(4)で表される構造単位の量が、構造式(1)で表される構造単位及び構造式(4)で表される構造単位の合計量に対して40mol%以下であり、35mol%以下であることが好ましく、30mol%以下であることがより好ましく、25mol%以下であることがさらに好ましく、20mol%以下であることが特に好ましい。換言すると、本明細書における部分けん化ポリ酢酸ビニル樹脂は、けん化度が40以下であり、35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることがさらに好ましく、20以下であることが特に好ましい。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の含有量は、造形液の全質量に対して5.0質量%以上であることが好ましく、7.0質量%以上であることがより好ましく、10.0質量%以上であることがさらに好ましく、11.0質量%以上であることが特に好ましい。また、構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の含有量は、造形液の全質量に対して30.0質量%以下であることが好ましく、25.0質量%以下であることがより好ましく、20.0質量%以下であることがさらに好ましい。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の含有量が5.0質量%以上であることで、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度がより向上する。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の含有量が30.0質量%以下であることで、造形液の粘度がより低下し、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。
なお、構造式(1)で表される構造単位及び構造式(3)で表される構造単位の合計量が、構造式(1)で表される構造単位、構造式(3)で表される構造単位、及び構造式(4)で表される構造単位の合計量に対して95mol%以上である樹脂は、樹脂の有機溶剤に対する溶解性が向上し、造形液の粘度が低下するため、高質量(造形液の質量に対して例えば、15.0質量%以上又は20.0質量%以上)含有させることもできる。これにより固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度が更に向上する。
樹脂中の各構造式で表される構造単位の量(mol%)は、例えば、JIS-K6276-1994に記載のポリビニルアルコール試験方法などによって求めることができる。
-構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂-
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂は、造形液が金属粒子を含む粉体層に対して付与されることで粉体層中に配置され、樹脂の軟化点に応じた適切な加熱工程を経ることで、造形液が付与された領域における金属粒子同士を結着させるバインダーとして機能し、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物を形成させる。これらの焼結前の造形物は、金属との親和性が高い5員環ラクタム構造を有する構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂により形成されるため、金属粒子間が強固に結着され、曲げ強度が向上する。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂は、昇温プロファイルを適切に制御すれば、熱分解性に優れるため、脱脂工程で適切に除去され、これに続く焼結工程を経て作製された焼結体における密度が向上する。従って、造形物を形成する材料(基材)として、焼結を前提とした又は焼結されることが好ましい材料である金属粒子を用いた場合、得られる効果が顕著になる。具体的には、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂は、30℃から550℃まで昇温した場合に、95質量%以上が熱分解されることが好ましく、97質量%以上が熱分解されることがより好ましい。
ただし、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂は、温度条件(例えば、160℃以上の加熱条件)によっては架橋構造を形成し、高い熱分解性の効果が抑制される場合がある。そのため、造形物を形成する材料(基材)として、焼結を前提とした又は焼結されることが好ましい材料である金属粒子を用いる場合、取り扱い性が容易になる観点に基づいて、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂より構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂を用いることが好ましい場合がある。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂は、5員環ラクタム構造を有することで、特定の有機溶剤(主に極性溶媒)に対する溶解性が向上し、これに伴って造形液の粘度を低下させることができ、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。また、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂は、有機溶剤として成分1(環状エステル(ラクトン)類など)及び成分2(グリコールジエーテル類)などと併用した場合、より造形液の粘度を低下させることができる。このように、造形液の粘度を低下させることができるため、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂は、造形液中に高質量(造形液の質量に対して例えば、15.0質量%以上)含有させることもできる。これにより、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度が更に向上する。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の軟化点としては、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましい。また、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の軟化点としては、180℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましく、160℃以下であることがさらに好ましい。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の数平均分子量(Mn)は、3,000以上50,000以下であることが好ましく、5,000以上40,000以下であることがより好ましい。構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の数平均分子量(Mn)は、数平均分子量(Mn)が上記範囲であることで、強度及び造形精度の向上と、造形液の粘度低下及び造形液中の樹脂濃度の向上と、を両立することができる。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルピロリドン樹脂などを挙げることができる。また、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の含有量は、造形液の全質量に対して7.0質量%以上であることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましく、11.0質量%以上であることがさらに好ましく、13.0質量%以上であることが特に好ましい。また、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の含有量は、造形液の全質量に対して25.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以下であることがより好ましく、15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の含有量が、造形液の全質量に対して7.0質量%以上であることで、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度がより向上する。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の含有量が、造形液の全質量に対して25.0質量%以下であることで、造形液の粘度がより低下し、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。
<<<有機溶剤>>>
有機溶剤は、常温において、造形液を液体の状態とするために用いられる液体成分である。
造形液は、有機溶剤を含有することにより、非水系の造形液であることが好ましい。本明細書において「非水系の造形液」とは、造形液の液体成分として有機溶剤を含み、かつ液体成分において最大の質量を有する成分が有機溶剤であるものを表す。また、造形液中の液体成分の含有量に対する有機溶剤の含有量が90.0質量%以上であることが好ましく、95.0質量%以上であることがより好ましい。非水系の造形液であると、特に構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂において溶解性が向上し、造形液の粘度が低下するため好適である。
また、非水系の造形液は、例えば、実質的に水を含有しない造形液と言い換えることができる場合がある。これにより、金属粒子を構成する材料が高活性金属、言い換えると禁水材料(例えば、アルミニウム、亜鉛、及びマグネシウムなど)であっても造形液を適用することができる。一例として、アルミニウムは、水と接触することで水酸化アルミニウムの皮膜を形成するため、造形液中における水の含有量が多いと焼結体の焼結密度が低下する問題があるが、非水系の造形液を用いることで本問題は解消される。別の例として、アルミニウムは、水と接触することで水素を発生させるため取り扱いが困難であるという問題があるが、非水系の造形液を用いることで本問題も解消される。
有機溶剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、n-オクタン、m-キシレン、ソルベントナフサ、ジイソブチルケトン、3-ヘプタノン、2-オクタノン、アセチルアセトン、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸n-ヘキシル、酢酸n-オクチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、カプリル酸エチル、オクタン酸エチル、アセト酢酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、マレイン酸ビス2-エチルヘキシル、トリアセチン、トリブチリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジブチルエーテル、1,2-ジメトキシベンゼン、1,4-ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、シクロヘキサノン、及びブチルセロソルブなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂を用いる場合、併用する有機溶剤は特に限定されないが、例えば、アルコキシ基、エーテル結合、及びエステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する有機溶剤を用いることが好ましく、エーテル結合を有する有機溶剤を用いることがより好ましく、アルキレングリコールジアルキルエーテル類であることが特に好ましい。これら有機溶剤を用いた場合、構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂の溶解性がより向上し、これに伴って造形液の粘度をより低下させることができ、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。
本明細書において「アルキレングリコールジアルキルエーテル類」とは、R-(O-R)m-ORで表される。ここで、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1以上5以下のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数1又は2であることが好ましい。Rは炭素数2以上5以下のアルキレン基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数2又は3であることがより好ましい。mは1以上5以下の整数を示し、2又は3であることがより好ましい。
アルキレングリコールジアルキルエーテル類の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、及びジエチレングリコールブチルメチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルが好ましく、トリエチレングリコールジメチルエーテルがより好ましい。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂を用いる場合、併用する有機溶剤としては極性溶媒であることが好ましい。具体的には、環状エステル(ラクトン)類、環状ケトン類、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテル類からなる群である成分1より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、成分1より選択される少なくとも1種に加えてアルキレングリコールジアルキルエーテル類からなる成分2より選択される少なくとも1種をさらに用いることがより好ましい。これら有機溶剤を用いた場合、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の溶解性がより向上し、これに伴って造形液の粘度をより低下させることができ、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。なお、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の溶解性がより向上する観点から、成分1は、環状エステル(ラクトン)類、及び環状ケトン類からなる群であることが好ましい。
構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂を用い、有機溶剤として、成分1より選択される少なくとも1種及び成分2より選択される少なくとも1種の両方を用いる場合、成分1の合計量及び成分2の合計量の質量比(成分1/成分2)は、60/40~100/0であることが好ましい。成分1の合計量及び成分2の合計量の質量比が60/40~100/0であることで、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂の溶解性がより向上し、これに伴って造形液の粘度をより低下させることができるためである。
環状エステル(ラクトン)類、環状ケトン類、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテル類からなる群である成分1の具体例としては、例えば、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、及びシクロヘキサノンなどが挙げられる。
アルキレングリコールジアルキルエーテル類からなる群である成分2の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、及びジエチレングリコールブチルメチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
本明細書において「アルキレングリコールモノアルキルエーテル類」とは、R-(O-R)n-OHで表される。ここで、Rは炭素数1以上5以下のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよい。Rは炭素数2以上5以下のアルキレン基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよい。nは1以上5以下の整数を示す。
構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂を用いたときより、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂を用いたときの方が、併用する有機溶剤の種類の影響を受けるため、造形液の粘度をより低下させたい場合は、上記のような有機溶剤(成分1及び成分2)を選択的に使用することが求められる。そのため、造形液を作製する際の材料選択の幅を広げることができるという観点に基づけば、構造式(2)で表される構造単位を有する樹脂より構造式(1)で表される構造単位を有する樹脂を用いることが好ましい。
有機溶剤の含有量は、造形液の全質量に対して、60.0質量%以上95.0質量%以下が好ましく、70.0質量%以上95.0質量%以下がより好ましい。有機溶剤の含有量が造形液の全質量に対して、60.0質量%以上95.0質量%以下であると、樹脂の溶解性がより向上し、これに伴って造形液の粘度をより低下させることができ、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。また、付与手段において造形液の乾燥を抑制することができ、吐出安定性に優れた造形液を提供することができる。
有機溶剤の量及び樹脂の量の質量比(有機溶剤/樹脂)は、75/25以上95/5以下であることが好ましい。有機溶剤の量及び樹脂の量の質量比が75/25以上であると、樹脂の溶解性がより向上し、これに伴って造形液の粘度をより低下させることができ、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。有機溶剤の量及び樹脂の量の質量比が95/5以下であると、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度がより向上する。
有機溶剤及び樹脂の総含有量は、造形液の全質量に対して90.0質量%以上であることが好ましく、95.0質量%以上であることがより好ましく、99.0質量%以上であることがさらに好ましく、99.5質量%以上であることが特に好ましい。また、有機溶剤及び樹脂以外の成分を実質的に含有しなくてもよい。なお、「造形液が有機溶剤及び樹脂以外の成分を実質的に含有しない」とは、造形液の製造時における材料として積極的に有機溶剤及び樹脂以外の成分を用いていないこと、又は造形液における有機溶剤及び樹脂以外の成分の含有量が公知かつ技術常識の手法を用いた場合において検出限界以下であることを表す。
有機溶剤及び樹脂の総含有量が造形液の全質量に対して90.0質量%以上であることで、造形液に含まれる樹脂の含有量が多くなり、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度がより向上する。また、有機溶剤及び樹脂以外の成分(例えば、金属微粒子等の造形液中において非溶解性の材料)の含有量が少なくなること、又は有機溶剤及び樹脂以外の成分を実質的に含有しなくなることで、造形液の粘度が低下し、造形液の吐出安定性が向上し、造形液の保存安定性も向上する。
有機溶剤の粘度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、低粘度であることが好ましい。具体的には、25℃で、5.0mPa・s以上50.0mPa・s以下が好ましく、8.0mPa・s以上30.0mPa・s以下がより好ましい。有機溶剤の粘度が、上記範囲であると、有機溶剤を含有する造形液の粘度も低粘度化しやすくなるため、インクジェットヘッド等の付与手段からの吐出が安定化する。さらに、正確な造形液の吐出により、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度がより向上し、更に、寸法精度も向上する。
なお、粘度は、例えば、JIS K7117に準拠して測定することができる。
有機溶剤の沸点としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、高沸点であることが好ましい。具体的には150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。造形液をインクジェット方式などで吐出する場合に、有機溶剤の沸点が高沸点であると、ノズル又はノズル近傍における造形液の乾燥を抑制することができ、析出した樹脂によってノズル詰まりが生じることを抑制できるため好適である。
高沸点の有機溶剤としては特に限定されないが、例えば、γ-ブチロラクトン(沸点:204℃)、炭酸プロピレン(沸点:242℃)、シクロヘキサノン(沸点:155.6℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃)などが挙げられる。
<<添加剤>>
造形液は、目的に応じて、添加剤として界面活性剤、乾燥防止剤、粘度調整剤、浸透剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、着色剤、保存剤、安定化剤などを適宜含有してもよい。これらは、従来公知の材料を用いることができる。
<<その他の成分>>
造形液に含まれるその他の成分としては、例えば、水などが挙げられる。
造形液に含まれるその他の成分は、付与手段の種類、使用頻度やその量などの諸条件を考慮して、適宜選択することができ、例えば、液体吐出法によって造形液を付与する場合には、液体吐出ヘッドのノズルへの目詰り等の影響を考慮して選択することができる。
-水-
造形液において、水は実質的に含有されないことが好ましい。本明細書において「水を実質的に含有しない」とは、水の含有量が造形液の全質量に対して10.0質量%以下であることを表す。造形液における水の含有量としては、造形液の全質量に対して5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましく、造形液が水を含有しないことが特に好ましい。
造形液が水を実質的に含有しないことで、樹脂の溶解性がより向上し、これに伴って造形液の粘度をより低下させることができる。また、樹脂の周囲に多くの水を包含したヒドロゲルの形成が抑制され、これに伴う造形液の粘度の増大が抑制される。このため、例えば、インクジェット方式で造形液を適切に吐出することができる。
<<造形液の製造方法>>
造形液の製造方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した材料を混合撹拌する方法などが挙げられる。
<<造形液の物性>>
造形液の粘度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、低粘度であることが好ましい。具体的には、25℃で、5mPa・s以上50mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上40mPa・s以下がより好ましく、5mPa・s以上30mPa・s以下がさらに好ましい。造形液の粘度が、上記範囲であると、インクジェットヘッドなどの付与手段からの吐出が安定化し、正確な造形液の吐出により、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度がより向上し、更に、寸法精度も向上する。
なお、粘度は、例えば、JIS K7117に準拠して測定することができる。
造形液の表面張力としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、40mN/m以下が好ましく、10mN/m以上30mN/m以下がより好ましい。造形液の表面張力が、40mN/m以下であると、インクジェットヘッドなどの付与手段からの吐出が安定化し、正確な造形液の吐出により、固化物及び固化物に由来するグリーン体等の焼結前の造形物における曲げ強度がより向上し、更に、寸法精度も向上する。
なお、表面張力は、例えば、協和界面科学株式会社製DY-300により測定することができる。
本発明の積層造形方法は、粉体層形成工程及び付与工程を繰り返すことで、簡便かつ効率的に、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く複雑な造形物を形成することができる。
<下地層形成工程及び下地層形成手段>
本発明における下地層形成工程は、粉体層形成工程の前に、下地層を形成する工程である。
本発明に関する下地層形成手段は、粉体層形成工程の前に、下地層を形成する手段である。
本発明における下地層形成工程は、下地層形成手段によって好適に実施される。
下地層形成手段は、粉体層形成工程と同様の手段を用いてもよいし、粉体層形成工程とは別の手段を用いてもよい。
本発明の積層造形方法は、下地層形成工程によって得られる下地層の粉体充填率が、粉体層形成工程における粉体層の粉体充填率よりも高いことを特徴とする。なお、粉体充填率とは、結晶学における空間充填率(空間率)と同様の概念である。
下地層形成工程によって得られる下地層の粉体充填率は、下地層が形成される造形ステージの面積と、造形ステージ及び下地層形成手段間の距離とから得られる体積、立体造形用粉末の質量、並びに立体造形用粉末の材質における密度を用いて、算出することができる。具体的には、下記式を用いて、算出することができる。
A=D/(B×C)/E
なお、上記符号は、以下の通りである。
・A:下地層の粉体充填率
・B:造形ステージ面積
・C:造形ステージと下地層形成手段との平均距離
・D:造形ステージ上の下地層における立体造形用粉末の質量
・E:立体造形用粉末の材質における密度
粉体層形成工程における粉体層の粉体充填率は、下地層及び粉体層の総質量から、下地層のみを形成したときの質量を差し引くことで得られる粉体層の質量、粉体層が形成される造形ステージの面積、粉体層1層分の平均厚み、積層回数、並びに立体造形用粉末の材質における密度を用いて、算出することができる。具体的には、下記式を用いて、算出することができる。
F=(I-D)/(B×G×H)/E
なお、上記符号は、以下の通りである。
・B:造形ステージ面積
・D:造形ステージ上の下地層における立体造形用粉末の質量
・E:立体造形用粉末の材質における密度
・F:粉体層の粉体充填率
・G:粉体層1層分の平均厚み
・H:積層回数
・I:造形ステージ上の下地層及び粉体層における立体造形用粉末の総質量
下地層の粉体充填率は、粉体層の粉体充填率よりも高ければ、特に制限されないが、下地層の圧縮を抑制する観点から、50%以上85%以下であることが好ましい。
粉体層の粉体充填率は、下地層の粉体充填率よりも低ければ特に制限されないが、50%以上85%以下であることが好ましい。
下地層の平均厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、粉体充填率が十分に高い下地層が得られる観点から、2.0mm以下であることが好ましい。
なお、下地層の平均厚みは、下地層形成時の造形ステージと下地層形成手段との平均距離に相当する。
下地層の平均厚みは、公知の方法に従って測定することができ、例えば、立体造形物の断面を走査型電子顕微鏡やレーザー顕微鏡等を用いて観察する方法などが挙げられる。また、下地層の平均厚みは、下地層及び粉体層を形成する前に、下地層形成手段と造形ステージとの間を、スキマゲージを用いて測定することによっても得ることができる。この測定方法の場合、造形ステージの角4箇所から20mm内側の4点を測定し、その平均値を平均厚みとすることができる。
下地層形成工程における造形ステージと下地層形成手段との平均距離としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、下地層の粉体充填率を十分に高められる観点から、0.3mm以上2.0mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましい。下地層の粉体充填率が高くなる理由としては、造形ステージと下地層形成手段との距離を狭めることで、立体造形用粉末がすり抜ける際に圧縮され、粉体充填率を高めることができると考えられる。また、造形ステージが金属等の硬さのある材質のため、粉体層よりも下地層は圧縮されやすく粉体充填率を高めることができると考えられる。
本発明の積層造形方法は、造形物(又は造形層)が下地層に接触することを防止できる観点から、下地層形成工程の後に、粉体層形成工程のみを行い、次いで、粉体層形成工程と付与工程とを繰り返すことで造形物(又は造形層)を形成することが好ましい。換言すると、下地層と造形物(又は造形層)との間に粉体層が存在することが好ましい。下地層形成工程によって得られる下地層と、粉体層形成工程によって得られる粉体層とは、形成方法及び密度がそれぞれ異なるため、粉体層形成工程及び付与工程において、下地層と接触する粉体層下部が下地層からの影響を受け、積層に不具合が生じることがある。粉体層形成工程及び付与工程を安定して行う観点から、下地層と造形物(又は造形層)との間には、粉体層を設けることが好ましい。
下地層と造形物(又は造形層)との間に粉体層を形成する手段としては、粉体層形成手段と同様の方法で実施することができる。下地層と造形物との間に存在する粉体層の層数としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、10層以上であることが好ましい。
本発明の積層造形方法、及び積層造形装置によって得られる造形物の平均厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜設定することができる。
造形物の平均厚みの測定方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ノギス(ミツトヨ社製)を用いて、造形物の中央部、及び両端部の3点の厚みを測定し、それら値の平均値を造形物の平均厚みとすることができる。
ここで、本発明における積層造形方法の一実施形態及び他の実施形態について、図1~図5を参照して説明する。ただし、本発明の積層造形方法の用途は、これらの実施形態に何ら限定されるものではない。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図1は、本発明に係る積層造形装置の一例を示す概略平面図である。
図1には、粉体層形成手段として形成部1、付与手段としての造形ユニット5、メンテナンス機構61、及びベース部材7が含まれる。
形成部1は、粉体槽11、平坦化手段として平坦化ローラ12、及び除去手段として粉体除去板13を備える。粉体槽11は、供給槽21、造形槽22、供給ステージ23、及び造形ステージ24を備える。
造形ユニット5は、液体吐出ユニット50、タンク装着部56、タンク60、及びスライダ部72を備える。液体吐出ユニット50は、キャリッジ51、液体吐出ヘッド52a、及び液体吐出ヘッド52bを備える。
メンテナンス機構61は、キャップ62、及びワイパ63を備える。
ベース部材7は、ガイド部材54、ガイド部材55、側板70、及びガイド部材71を備える。
図2は、本発明に係る積層造形装置の一例を示す概略側面図である。
図2には、図1の構成に加え、立体造形用粉末としての粉体20(以下「粉体20」と記載する)が記されている。なお、図1と重複する構成については適宜説明を省略する。
図3は、本発明に係る積層造形装置の形成部の一例を示す概略断面図である。
図3には、図1及び図2に構成に加え、造形層30、及び粉体層31が記されている。なお、図1及び図2と重複する構成については適宜説明を省略する。
図4は、本発明に係る積層造形装置の要部の一例を示す概略斜視図である。
図4には、図1~図3に構成に加え、往復移動機構25、モータ26、モータ27、及びモータ28が記されている。なお、図1~図3と重複する構成については適宜説明を省略する。
図5は、本発明に係る積層造形装置の形成部の一例を示す概略斜視図である。
図5には、図1~図4の形成部の構成に加え、粉体落下口29が記されている。なお、図1~図4と重複する構成については適宜説明を省略する。
-形成部-
形成部1では、立体造形用粉末から粉体層31が形成される。
形成部1の粉体槽11は、箱型形状をなし、供給槽21と造形槽22との2つの上面が開放された槽を備えている。供給槽21の内部には供給ステージ23が、造形槽22の内部には造形ステージ24がそれぞれ昇降可能に配置される。供給ステージ23は、モータ27によって矢印Z方向(高さ方向)に昇降され、造形ステージ24も同様に、モータ28によって矢印Z方向に昇降される。
供給ステージ23の側面は、供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面は、造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は、水平に保たれている。
粉体槽11の周りには、上面が開放された凹形状である粉体落下口29が設けられている。粉体落下口29には、粉体層31を形成するときに平坦化ローラ12によって供給される粉体20のうちの余剰分が落下する。粉体落下口29に落下した余剰の粉体20は、供給槽21に粉体を供給する粉体供給装置に戻される。
供給槽21上には、例えば、粉体供給装置としてホッパーが配置される。造形の初期動作時や供給槽21の粉体量が減少した場合に、粉体供給装置を構成するタンク内の粉体を供給槽21に供給する。粉体供給のための粉体搬送方法としては、スクリューを利用したスクリューコンベア方式や、エアーを利用した空気輸送方式などが挙げられる。ホッパー以外にも同等の装置が適用可能である。
平坦化手段としての平坦化ローラ12は、粉体層31を平坦化する。具体的には平坦化ローラ12は、供給槽21の供給ステージ23上に供給された粉体20を造形槽22に供給した後、平坦化して、所定の厚みの粉体層31を形成する。平坦化ローラ12は、造形ステージ24のステージ面(粉体20が積載される面)に沿って矢印Y方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置され、往復移動機構25によって移動される。また、平坦化ローラ12は、モータ26によって回転駆動される。
平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の内寸(即ち、粉体が供される部分又は仕込まれている部分の幅)よりも長い棒状部材であり、往復移動機構25によってステージ面に沿ってY方向(副走査方向)に往復移動される。平坦化ローラ12は、モータ26によって回転されながら、供給槽21の外側から供給槽21及び造形槽22の上方を通過するようにして水平移動する。これにより、粉体20が造形槽22上へと移送供給され、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過しながら粉体20を平坦化することで粉体層31が形成される。
平坦化手段の形状としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、ローラ状であることが好ましい。
平坦化手段がローラ状(リコートローラ)である場合、そのリコートローラの径は長径10mm以上100mm以下が好ましい。
平坦化手段の移動速度は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、10mm/s以上500mm/s以下が好ましく、200mm/sがより好ましい。
平坦化手段の回転方向としては、立体造形用粉末面(粉体層の積層面)に対して、カウンタ方向への回転であることが好ましい。
平坦化手段の回転速度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、30rpm以上500rpm以下が好ましく、240rpmがより好ましい。
粉体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触可能に配置され、平坦化ローラ12に付着した粉体20を除去するための粉体除去部材である。粉体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で、平坦化ローラ12とともに移動する。また、粉体除去板13は、平坦化ローラ12が平坦化を行うときの回転方向に対して、カウンタ方向になる状態で配置されている。
本実施形態では、形成部1の粉体槽11が供給槽21及び造形槽22の2つの槽を有する構成としているが、造形槽22のみを有する構成とし、造形槽22に粉体供給装置から粉体を供給して、平坦化手段である平坦化ローラ12で平坦化する構成とすることもできる。
-造形ユニット-
造形ユニット5では、形成部1によって形成された粉体層31に対して、造形液10を付与する。これによって、造形層30が造形される。
造形ユニット5における液体吐出ユニット50は、キャリッジ51に搭載された2つ(1又は3つ以上でもよい)の液体吐出ヘッド(以下、「ヘッド」と称することがある)52a、及び液体吐出ヘッド52bを備え、造形ステージ24上の粉体層31に造形液10を吐出する。
キャリッジ51は、ガイド部材54及びガイド部材55によって、移動可能に保持されている。ガイド部材54及びガイド部材55は、両側の側板70によって、昇降可能に保持されている。キャリッジ51は、X方向走査機構によってモータ、プーリ、及びベルトから構成される主走査移動機構を介して主走査方向である矢印X方向(以下、「X方向」と称することがある。また同様に、矢印Y方向は「Y方向」、矢印Z方向は「Z方向」と称することがある)に往復移動される。
ヘッド52a及びヘッド52b(以下、それぞれを区別しないときは「ヘッド52」と称することがある)は、液体を吐出する複数のノズルを配列したノズル列がそれぞれ2列ずつ配置されている。
一方のヘッド52aの2つのノズル列は、造形液A及び造形液Bを吐出する。他方のヘッド52bの2つのノズル列は、造形液C及び造形液Dをそれぞれ吐出する。なお、ヘッド構成はこれに限るものではない。また、造形液A~Dは、それぞれに同一であっても、異なる造形液を組み合わせてもよく、その構成を制限するものではない。
これらの造形液A、造形液B、造形液C、及び造形液Dの各々を収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、供給チューブなどを介してヘッド52a及びヘッド52bに供給される。
造形ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71によって移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット5全体がX方向と直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。造形ユニット5は、Y方向走査機構によって全体がY方向に往復移動される。
液体吐出ユニット50は、ガイド部材54及びガイド部材55とともに矢印Z方向に昇降可能に配置され、Z方向昇降機構によってZ方向に昇降される。
-メンテナンス機構-
メンテナンス機構61は、X方向の一方側に配置されており、液体吐出ユニット50におけるヘッド52の維持回復を行う。
メンテナンス機構61によるメンテナンス方法としては、特に制限はないが、ノズルに詰まった粉体の排出や高粘度化した造形液を排出するため、キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液を吸引後、ノズルのメニスカス形成(ノズル内は負圧状態である)のため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する方法などが挙げられる。また、メンテナンス機構61は、造形液の吐出が行われないときには、ヘッドのノズル面をキャップ62で覆い、粉体20がノズルに混入することや造形液10が乾燥することを防止してもよい。
次に、積層造形装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、図6は、本発明に係る積層造形装置における制御部のブロック図である。
図6には、制御部500、操作パネル522、温湿度センサ560、造形データ作成装置600、及び積層造形装置(粉体積層造形装置)601が記されている。
-制御部-
制御部500は、CPU501とROM502とRAM503とを含む主制御部500A、不揮発性メモリ(NVRAM)504、ASIC505、I/F506、I/O507、ヘッド駆動制御部508、モータ駆動部510、モータ駆動部511、モータ駆動部512、モータ駆動部513、モータ駆動部514、モータ駆動部515、モータ駆動部516、供給系駆動部517、メンテナンス駆動部518を備えている。
CPU501は、積層造形装置全体の制御を司る。
ROM502は、CPU501に、本発明に係わる制御を含む立体造形動作の制御を実行させるためのプログラムを含むプログラム、及びその他の固定データを格納する。
RAM503は、造形データ等を一時格納する。
不揮発性メモリ(NVRAM)504は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持する。
ASIC505は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
I/F506は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行う。なお、造形データ作成装置600は、最終形態の造形物を各造形層にスライスした造形データを作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。
I/O507は、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
ヘッド駆動制御部508は、液体吐出ユニット50のヘッド52を駆動制御する。
モータ駆動部510は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させるX方向走査機構550を構成するモータを駆動する。
モータ駆動部512は、造形ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させるY方向走査機構552を構成するモータを駆動する。
モータ駆動部511は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させるZ方向昇降機構551を構成するモータを駆動する。なお、矢印Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
モータ駆動部513は、供給ステージ23を昇降させるモータ27を駆動する。
モータ駆動部514は、造形ステージ24を昇降させるモータ28を駆動する。
モータ駆動部515は、平坦化ローラ12を移動させる往復移動機構25のモータ553を駆動する。
モータ駆動部516は、平坦化ローラ12を回転駆動するモータ26を駆動する。
供給系駆動部517は、供給槽21に粉体20を供給する粉体供給装置554を駆動する。
メンテナンス駆動部518は、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動する。
操作パネル522は、装置に必要な情報の入力及び表示を行う。なお、造形データ作成装置600と積層造形装置(粉体積層造形装置)601によって本発明に係る装置としての立体造型システムが構成される。
次に、積層造形方法の各工程について図7A~7D、及び図8A~8Eを参照して説明する。なお、図7A~7Cは本発明に関する下地層形成工程を説明するための概略断面図であり、図7Dは下地層と造形層(又は造形物)との間の粉体層を形成する工程を説明するための概略断面図であり、図8A~8Eは本発明に係る積層造形方法の各工程を説明するための概略断面図である。
まず、下地層形成工程について説明する。下地層形成工程は、粉体層形成工程及び付与工程の前に行われる。
図7Aに示す通り、初期設定として造形ステージ24の下降距離を設定し、造形ステージ24の上面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔(Δt2)が0.8mmとなるように、造形ステージ24を設定する。また、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させる。ここで、間隔(Δt2)としては、特に制限はないが、0.3mm以上2.0mm以下とすることができ、0.8mm以下であることが好ましい。
次いで、図7Bに示す通り、平坦化ローラ12を造形ステージ面と平行にかつY2方向に移動させて、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、造形槽22から粉体20があふれるまで移送供給し、一様に平坦化させる。このとき、平坦化ローラは順方向(矢印方向)に回転させることが好ましい。ここまでを初期充填工程とする。
ここで、図7Cに示す通り、平坦化された粉体20に対して、造形ステージの高さを変えずに初期充填工程を繰り返して行う敷き詰め工程を行い、下地層302を得ることが好ましい。敷き詰め工程を行うことによって、粉体充填率の高い下地層302を得ることができる。敷き詰め回数(初期充填工程の繰り返し回数)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜設定することができるが、十分に高い粉体充填率を有する下地層を得ることができる観点から、2回以上が好ましく、10回以上がより好ましい。
このように、造形ステージ24上で所定の厚みになる下地層302を形成する。下地層302を形成後、平坦化ローラ12は、Y1方向に移動されて初期位置に戻される。
下地層形成工程の後に、粉体層形成工程のみを行い、下地層と造形層(又は造形物)との間に粉体層を形成することが好ましい。
図7Dに示す通り、下地層形成工程によって得られた下地層302上に粉体層303を形成してもよい。下地層と造形層(又は造形物)との間に粉体層を形成する手段としては、粉体層形成手段と同様の手段であってもよい。下地層と造形層(又は造形物)との間に存在する粉体層の層数としては、特に制限はないが、10層以上であることが好ましい。
ここで、下地層と造形層(又は造形物)との間に存在する粉体層303一層分の平均厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.03mm以上0.2mm以下とすることができる。下地層と造形層(又は造形物)との間に存在する粉体層303一層分の平均厚みは、公知の方法に従って測定することができ、例えば、粉体層形成手段と下地層(又は造形層)上面との間を、スキマゲージを用いて測定することによって得ることができる。この測定方法の場合、造形ステージの角4箇所から20mm内側の4点を測定し、その平均値を平均厚みとすることができる。
図8Aでは、造形槽22の造形ステージ24上に、下地層302、粉体層303、及び1層目の造形層30が形成されている状態が示されている。
まず、図8Aに示す通り、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。このとき、造形層30の上面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように、造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔Δt1が、次に形成する粉体層の厚みに相当する。間隔Δt1は、30~100μmであることが好ましい。
次いで、粉体層形成工程として、粉体層31を形成する。図8B~Cに示す通り、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、平坦化ローラ12を順方向(矢印方向)に回転しながらY2方向(造形槽22側)に移動することで、粉体20を造形槽22へと移送供給する。
さらに、図8Dに示す通り、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、造形ステージ24の造形層30上で所定の厚みΔt1になる粉体層31を形成する(平坦化)。粉体層31を形成後、平坦化ローラ12は、Y1方向に移動されて初期位置に戻される。ここで、平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の上面レベルとの距離を一定に保って移動できるようになっている。平坦化ローラ12が距離を一定に保って移動できることで、平坦化ローラ12で粉体20を造形槽22の上へと搬送させつつ、造形槽22上又は既に形成された造形層30の上に、厚みΔt1の粉体層31を形成することができる。
その後、付与工程として、粉体層31に造形液10を付与する。図8Eに示す通り、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を吐出して造形層30を造形する。なお、造形層30は、例えば、ヘッド52から吐出された造形液10が粉体20と混合されることで、粉体20に含まれる接着剤が溶解し、溶解した接着剤同士が結合して粉体20が結合されることで形成される。
次いで、粉体供給・平坦化よる粉体層31を形成する粉体層形成工程、ヘッド52による付与工程を繰り返して新たな造形層30を形成する。このとき、新たな造形層30とその下層の造形層30とは一体化して三次元形状造形物の一部を構成する。以後、粉体の供給・平坦化による粉体層31を形成する粉体層形成工程、ヘッド52による付与工程を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。
本発明の積層造形方法の用途は、特に限定されず、粉末床溶融結合法にも適用することができる。
また、本発明の造形方法は、バインダージェッティング(BJ)方式に限られず、マテリアルジェッティング(MJ)方式や、高速焼結法(HSS)等の他の造形方法にも適用することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例に何ら限定されるものではない。ただし、「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。
(実施例1)
<造形物の作製>
図1に示す積層造形装置を用いて、以下に示す工程で造形物を作製した。なお、積層造形装置における造形槽(造形ステージ)及び供給槽(供給ステージ)の面積は同一である。
まず、下記下地層作製条件(初期充填)において、立体造形用粉末があふれるまで造形槽を満たし、下記下地層作製条件(敷き詰め)において、造形槽の立体造形用粉末を10回敷き詰めた。下地層形成後、下記積層条件において、下地層上に粉体層を10層形成した後、粉体層形成工程と付与工程とを繰り返し、平均厚み5mmの造形物を形成した。
なお、造形物としては、結着樹脂としてポリ酢酸ビニルを溶解したインクを用いて、造形槽中央部に10×10×5mm正方形の造形物を形成した。造形物を取り出し、140℃4hの真空乾燥による固化後の造形物の平均厚みを測定した。結果を表1に示した。
-共通条件-
・材料(立体造形用粉末):A1070-30BB、東洋アルミニウム株式会社製
・リコートローラ径:Φ20
・リコートローラの移動速度:200mm/s
・リコートローラの回転速度:240rpm(立体造形用粉末面に対してカウンタ方向となる回転方向)
-下地層作製条件(初期充填)-
・リコートローラと造形ステージとの距離:0.8mm
・リコートローラと供給ステージ上の粉面との距離:0.0mm
・造形ステージの高さ移動量:±0μm
・供給ステージの高さ移動量:+600μm
-下地層作製条件(敷き詰め)-
・造形ステージの高さ移動量:±0μm
・供給ステージの高さ移動量:+300μm
-積層条件-
・造形ステージの高さ移動量:-100μm(1層あたりの層平均厚みが100μm)
・供給ステージの高さ移動量:+300μm
<下地層の平均厚みの測定>
造形品質を評価する一例として、平均厚みを測定した。下地層及び粉体層を形成する前に、下地層形成手段と造形ステージとの間を、スキマゲージを用いて、造形ステージの角4箇所から20mm内側の4点を測定し、その平均値を下地層の平均厚みとした。結果を表1に示した。
<造形物の平均厚みの測定>
造形品質を評価する一例として、平均厚みを測定した。造形物の平均厚みは、ノギス(ミツトヨ社製)を用いて、造形物の中央部、及び両端部の3点の厚みを測定し、それら値の平均値を造形物の平均厚みとした。結果を表1に示した。
<下地層の粉体充填率の測定>
下地層形成後に、造形槽中の立体造形用粉末を、刷毛を用いて全て回収し、その質量を測定した。下地層の粉体充填率を以下の式によって算出した。結果を表1に示した。
なお、粉体充填率を測定する際に層が壊れ、造形が続行できなくなるため、実施例1の下地層形成工程と同様の工程で得られた下地層を用いて粉体充填率を測定した。
A=D/(B×C)/E
なお、上記符号は、以下の通りである。
・A:下地層の粉体充填率
・B:造形ステージ面積
・C:造形ステージと下地層形成手段との平均距離
・D:造形ステージ上の下地層における立体造形用粉末の質量
・E:立体造形用粉末の材質における密度
<粉体層の粉体充填率の測定>
実施例1における粉体層形成工程と付与工程とを繰り返し、平均厚み5mmの造形物を形成する工程にて、付与工程を行わず、粉体層形成工程のみ行い、粉体層を得た。粉体層の粉体充填率を以下の式によって算出した。結果を表1に示した。
F=(I-D)/(B×G×H)/E
なお、上記符号は、以下の通りである。
・B:造形ステージ面積
・D:造形ステージ上の下地層における立体造形用粉末の質量
・E:立体造形用粉末の材質における密度
・F:粉体層の粉体充填率
・G:粉体層1層分の平均厚み
・H:積層回数
・I:造形ステージ上の下地層及び粉体層における立体造形用粉末の総質量
(実施例2)
実施例1の下地層作製条件(初期充填)におけるリコートローラと造形ステージとの距離を、0.8mmから0.4mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に実施し、平均厚み及び粉体充填率を測定した。結果は表1に示した。
(実施例3)
実施例1の下地層作製条件(初期充填)におけるリコートローラと造形ステージとの距離を、0.8mmから1.9mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に実施し、平均厚み及び粉体充填率を測定した。結果は表1に示した。
(実施例4)
実施例1において、下地層の敷き詰めを行わなかったこと以外は、実施例1と同様に実施し、平均厚み及び粉体充填率を測定した。結果は表1に示した。
(実施例5)
実施例1において、下地層形成後、下地層と造形層との間に粉体層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に実施し、平均厚み及び粉体充填率を測定した。結果は表1に示した。
(実施例6)
実施例1の下地層作製条件(初期充填)におけるリコートローラと造形ステージとの距離を、0.8mmから2.5mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に実施し、平均厚み及び粉体充填率を測定した。結果は表1に示した。
(比較例1)
実施例1の下地層作製条件(初期充填)におけるリコートローラと造形ステージとの距離を、0.8mmから8.0mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に実施し、平均厚み及び粉体充填率を測定した。結果は表1に示した。
Figure 2023129241000005
表1に示されるように、実施例1~6で得られた造形物は、いずれも造形物の平均厚みの増大が抑制されているところ、比較例1で得られた造形物は、造形物の平均厚みが増大しており、造形物の品質が低下していることが分かる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1>
立体造形用粉末を含む粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層に造形液を付与する付与工程と、を繰り返すことで造形物を形成する積層造形方法であって、
前記粉体層形成工程の前に、下地層を形成する下地層形成工程を有し、
前記下地層の粉体充填率が、前記粉体層の粉体充填率よりも高いことを特徴とする積層造形方法である。
<2>
前記下地層の平均厚みが2.0mm以下である、前記<1>に記載の積層造形方法である。
<3>
前記下地層形成工程において、前記立体造形用粉末の敷き詰めを複数回行う、前記<1>から前記<2>のいずれかに記載の積層造形方法である。
<4>
前記下地層形成工程の後に、前記粉体層形成工程のみを行い、
次いで、前記粉体層形成工程と前記付与工程とを繰り返すことで造形物を形成する、前記<1>から前記<3>のいずれかに記載の積層造形方法である。
前記<1>から前記<4>のいずれかに記載の積層造形方法によれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 形成部
10 造形液
11 粉体槽
12 平坦化ローラ
13 粉体除去板
20 粉体
21 供給槽
22 造形槽
23 供給ステージ
24 造形ステージ
25 往復移動機構
26 モータ
27 モータ
28 モータ
29 粉体落下口
30 造形層
31 粉体層
5 造形ユニット
50 液体吐出ユニット
51 キャリッジ
52a 液体吐出ヘッド
52b 液体吐出ヘッド
54 ガイド部材
55 ガイド部材
56 タンク装着部
60 タンク
61 メンテナンス機構
62 キャップ
63 ワイパ
7 ベース部材
70 側板
71 ガイド部材
72 スライダ部
302 下地層
303 粉体層
500 制御部
500A 主制御部
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 不揮発性メモリ(NVRAM)
505 ASIC
506 I/F
507 I/O
508 ヘッド駆動制御部
510 モータ駆動部
511 モータ駆動部
512 モータ駆動部
513 モータ駆動部
514 モータ駆動部
515 モータ駆動部
516 モータ駆動部
517 供給系駆動部
518 メンテナンス駆動部
522 操作パネル
550 X方向走査機構
551 Z方向昇降機構
552 Y方向走査機構
553 モータ
554 粉体供給装置
560 温湿度センサ
600 造形データ作成装置
601 積層造形装置(粉体積層造形装置)
A 下地層の圧縮が生じない場合の造形物の高さ
A´ 下地層の圧縮が生じる場合の造形物の高さ
特許第6743434号公報

Claims (4)

  1. 立体造形用粉末を含む粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層に造形液を付与する付与工程と、を繰り返すことで造形物を形成する積層造形方法であって、
    前記粉体層形成工程の前に、下地層を形成する下地層形成工程を有し、
    前記下地層の粉体充填率が、前記粉体層の粉体充填率よりも高いことを特徴とする積層造形方法。
  2. 前記下地層の平均厚みが、2.0mm以下である、請求項1に記載の積層造形方法。
  3. 前記下地層形成工程において、前記立体造形用粉末の敷き詰めを複数回行う、請求項1から2のいずれかに記載の積層造形方法。
  4. 前記下地層形成工程の後に、前記粉体層形成工程のみを行い、
    次いで、前記粉体層形成工程と前記付与工程とを繰り返すことで造形物を形成する、請求項1から2のいずれかに記載の積層造形方法。
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