JP2020151974A - 筆記具用グリップ材組成物、筆記具用グリップ材及びその製造方法 - Google Patents

筆記具用グリップ材組成物、筆記具用グリップ材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】筆記時のペン体の振動を手に伝えず、かつ、握り具合に適応した変形量に対して筆記具を運筆しやすい反発力を有し、握りの感触もよく、べたついたり、指が痛くなったりすることもない筆記具用グリップ材組成物、筆記具用グリップ材などを提供する。【解決手段】本発明の筆記具用グリップ材組成物は、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを含み、稠密体であることを特徴とする。本発明の筆記具用グリップ材は、上記構成の筆記具用グリップ材組成物を用いることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、筆記具を把持する部分(把持部)に用いるグリップ材に好適な筆記具用グリップ材組成物、筆記具用グリップ材及びその製造方法に関する。
従来より、筆記具では、長時間筆記をする場合などに把持部が滑ったり、指が痛くなったりすることを解消するために、把持部にゴムなどの軟質材料からなるグリップ材を被嵌した筆記具が知られている。
この筆記具用のグリップ材としては、硬質樹脂製の軸筒の凹部にシリコーンゴムやEPDM、NBRなどの軟質材料を装着したり、凹部に熱可塑性エラストマーを2色成形で一体に形成したものが知られている。また、グリップ材の硬度としては、ゴム硬度(JIS K 6253)30以下ではややべとつく感触があり、またゴム硬度(JIS K 6253)90以上だと硬すぎる感触があることからゴム硬度(JIS K 6253)40〜90の範囲で使用されることなどが知られている。
例えば、特許文献1には、ショアー高度HDA(JIS K 7215 Aタイプ)が3〜95であり、かつポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びメタロセン触媒で合成されたポリエチレンより成る群から選ばれる熱可塑性樹脂100重量部、粘度(JIS Z 8803)が特定範囲のシリコーンオイル0.1〜20重量部、石油樹脂及び/又は水添石油樹脂1〜50重量部を含むことを特徴とする、優れたグリップ性を有し、成形性が良好な筆記具用のグリップ材用樹脂組成物が開示されている。
この特許文献1に限らず、筆記具用グリップの素材としてウレタン系樹脂の例示は、この文献以外にも、数多く開示されてきている。この特許文献1においては、表面滑性の確保のためシリコーンオイルを必須成分として添加しており、その添加量が多くなると、ブリードアウトのおそれがあることなどが記載されている(段落〔0016〕〜〔0018〕)。
特許文献2には、高デュロメータ硬さを有する熱可塑性エラストマーを外側に、低デュロメータ硬さを有する熱可塑性エラストマーを内側に配した複層型の筆記具用グリップが開示されている(特許請求の範囲、段落〔0003〕〜〔0008〕等)。この筆記具用グリップの内層に用いる低デュロメータ硬さを有する熱可塑性エラストマーは、ゲル様粘稠度を有する旨記載がある(段落〔0007〕)。従って、この複層型の筆記具用グリップは、常に同じ形状が保持されるわけではなく、所謂「フニャフニャ」の感触となるものであり、内層の更に内部にある筆記具軸の硬さが手指に伝わり、筆記時の振動が手に伝わってしまうなどの欠点がある。
特許文献3には、軸筒の表面に油分が付着しても、軸筒を把持した際に指が滑ること、且つ油分により軸筒表面が汚れることを軽減可能な軸筒の内部に筆記体を備えた筆記具を提供するために、少なくとも前記軸筒の把持部(筆記具用グリップ)が、生成時に可塑剤を添加したポリウレタンで形成され、前記把持部に、当該把持部の表面から内部に連通する多孔質状の油分吸着部を設けたことを特徴とする筆記具が開示されている。この筆記具用グリップは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分と可塑剤からなり反応硬化によって得られるポリウレタンの連通発泡体から構成されるものである。この特許文献3では、手指による油分の付着を防止するためにグリップに設けた連通する気孔を通して内部の油分吸着部へ吸着させ、グリップ表面の油分による汚れの進行を遅らせるものである。
しかしながら、この特許文献3にも記載されるとおり、油分の吸着は、いずれ飽和に達し、経時的には、見た目も衛生上も非常に劣るものとなってしまうものとなる。また、発泡体とすることによって、tanδ(損失正接)が上下してしまい、感触、疲労感などに影響を与えるなどの課題がある。
特開2007−231280号公報(特許請求の範囲等) 特開2007−90823号公報(特許請求の範囲等) 特開2018−69607号公報(特許請求の範囲等)
本発明者らは、上記従来の課題等について、これを解消しようとするものであり、筆記時のペン体の振動を手に伝えず、かつ、握り具合に適応した変形量に対してペン体を運筆しやすい反発力を有し、握りの感触もよく、べたついたり、指が痛くなったりすることも無い筆記具用グリップ材組成物、筆記具用グリップ材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討を行った結果、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを含むものとすることなどにより、上記目的の筆記具用グリップ材組成物が得られることを見出し、また、この筆記具用グリップ材組成物を用いることなどにより、上記目的の筆記具用グリップ材及びその製造方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の筆記具用グリップ材組成物は、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを含み、稠密体であることを特徴とする。
本発明の筆記具用グリップ材は、筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材であって、該筆記具用グリップ材は、上記構成の筆記具用グリップ材組成物を用いることを特徴とする。
また、本発明の筆記具用グリップ材は、筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材であって、筆記具用グリップ材が少なくとも2層からなり、内層に、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーから構成され、外層に上記構成の筆記具用グリップ材組成物を用いることを特徴とする。
前記粘着性付与剤は2級又は3級の高級モノアルコールであることが好ましい。
前記内層のウレタンエラストマー表面に装飾を施すことが好ましい。
前記装飾として、蒸着、印刷、塗装、転写の少なくとも1つを施すことが好ましい。
本発明の筆記具用グリップ材の製造方法は、筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材であって、該グリップ材は、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーを配し、該ウレタンエラストマー表面に装飾を施した後、該装飾表面に、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを配することを特徴とする。
前記装飾として、蒸着、印刷、塗装、転写の少なくとも1つを施すことが好ましい。
本発明によれば、筆記時のペン体の振動を手に伝えず、かつ、握り具合に適応した変形量に対してペン体を運筆しやすい反発力を有し、握りの感触もよく、べたついたり、指が痛くなったりすることもない筆記具用グリップ部材に好適な筆記具用グリップ材組成物、並びに、筆記具用グリップ材が提供される。
本発明の製造方法によれば、筆記具用グリップ材に効率的に装飾を施すことができると共に、筆記時のペンの振動を手に伝えず、かつ、握り具合に適応した変形量に対してペン体を運筆しやすい反発力を有し、握りの感触もよく、べたついたり、指が痛くなったりすることもない筆記具用グリップ部材を製造することができる。
本発明の筆記具用グリップ材の実施形態の一例を示す斜視図である。 本発明の筆記具用グリップ材の実施形態の他例を示す縦断面図である。 本発明の筆記具用グリップ材の実施形態の他例を装着したシャープペンシルの一例を示す縦断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を発明毎に詳しく説明する。
〈筆記具用グリップ材組成物〉
本発明の筆記具用グリップ材組成物(以下、単に「グリップ材組成物」という)は、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを含み、稠密体であることを特徴とするものである。
本発明で規定する「稠密体」は、発泡体、中空体などを含まないものであり、マットで可塑剤を含まないバルクを意味するものである。
本発明のグリップ材組成物では、筆記具用グリップ材として用いるので、ゴム硬度として、ゴム硬度〔JIS K 6253−3:2012準拠のタイプAデュロメータ(アスカーA型)、以下同様〕が10〜60の範囲となるように、プレポリマー種及びその各成分量、硬化剤種及びその量などを調整することが望ましい。
本発明のグリップ材組成物に用いるポリエーテル系ウレタンエラストマーは、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られる。
用いるポリオール成分としては、平均官能基数2.5以上3.5以下であり、平均分子量350以上1,500以下である、ポリオールが好ましく、更に好ましくは、末端に活性ヒドロキシル基を有する疎水性ポリオールの混合物などが望ましい。平均官能基数が3.5を越えると、グリップ材のゴム硬度が大きくなり、衝撃吸収性の点からやや好ましくない。一方、平均官能基数が2.5未満であると、ゴム硬度が小さくなり、粘着性を抑制しきれなくなり、握りの感触や低下し、べたついたりすることとなる。また、平均分子量が350未満では、ゴム硬度が大きくなり、衝撃吸収性の点から好ましくない。一方で、平均分子量が1500を越えると、ゴム硬度が小さくなり下回り、握りの感触もよく、べたついたりすることとなる。
具体的に用いることができるポリオール成分としては、ひまし油系ポリオール:、ε−カプロラクトン系ポリオール、β−メチル−δ−バレロラクトン系ポリオールなどのラクトン系ポリオール:、カーボネート系ポリオールなどの少なくとも1種(各単独又は1種以上の混合物)が挙げられる。
また、上記特性を確保できる限りにおいて、上記のポリオール成分は、その他のポリオールを用いても良い。例えば、ポリオキシポリアルキレンポリオールなどが挙げられ、水やエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールを開始剤として、アルキレンオキサイドを開環付加重合させたものなどを用いることができる。
本発明のグリップ材組成物には、2級又は3級の高級モノアルコール等の添加剤は含まない方が好ましい。これらの添加剤を添加した場合、粘着性が付与されてしまい、べた付いて握りの感触が悪くなってしまう。従って、2級又は3級の高級モノアルコール等の添加剤(粘着性付与剤)のみならず、いわゆる可塑剤(軟化剤)と呼ばれる樹脂の軟化に使用される添加剤は添加しない方が望ましい。
用いるポリイソシアネート成分は、脂環式ポリイソシアネート化合物若しくはその誘導化合物の反応から得られる、平均官能基数が2.3以上3.5以下であり、末端に活性イソシアネート基を有する誘導化合物である。平均官能基数が2.3未満ではグリップ材のゴム硬度が小さくなり、粘着性を抑制しきれなくなり、握りの感触や低下し、べたついたりすることとなる。一方で、平均官能基数が3.5を越えると、グリップ材のゴム硬度が大きくなり、衝撃吸収性の点から好ましくない。
具体的に用いるポリイソシアネート成分としては、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、もしくはそれらから誘導された活性水素基との反応性を有する末端イソシアネートのプレポリマーからなる有機ポリイソシアネートが挙げられる。
上記脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から導かれる誘導体、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)が挙げられる。HDIから導かれる誘導体としては、三量化物、グリセリンとのアダクト物、アロファネート架橋物、ビュレット架橋物等の末端に3個のイソシアネート基(平均官能基数3)を有する化合物を用いることができる。具体的な商品名としては、例えば、デュラネート(旭化成社製)等を挙げることができる。
上記脂環式イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられ、これらの官能基数は2である。従って、これらは官能基数3以上の化合物と混合して用いる。
本発明では、ポリイソシアネートを理論量より少ない前記ポリオール成分と公知の技術を用いて反応せしめ、末端に活性イソシアネート基を有するプレポリマーとして用いる。ここでプレポリマーとは、ポリイソシアネートを理論量より少ない前記ポリオール成分と公知の技術を用いて反応せしめ、末端に活性イソシアネート基を有する化合物を指す。
プレポリマーとして用いる利点は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が確実に進行しやすくなり、均質なグリップ材組成物が得やすいためである。これらのプレポリマーは、末端に活性イソシアネート基の残量が、プレポリマー全体で100質量%であるのに対して、2質量%以上、好ましくは、2.5〜15質量%を有するものがよい。末端活性イソシアネート基残量が2質量%未満の場合には、プレポリマーの液粘度が高くなり、グリップ材組成物の製造に際して支障を来すこととなる。末端活性イソシアネート基残量が2質量%以上ならば特に支障はないが、15質量%を越えると、プレポリマーとして用いる効果が少なくなる。
また、上記ポリイソシアネート成分には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他のポリイソシアネートを混合しても良い。その他のポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI),ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、液状変性MDI、キシリデンジイソシアネート(XDI)等を挙げることができる。
用いる硬化剤(又は架橋剤)としては、特に限定されず、例えば、アミン系硬化剤(アミン系化合物)、アルコール系硬化剤、エポキシ系硬化剤(ポリエポキシ化合物)、アミノ樹脂系硬化剤(メラミン化合物、グアナミン化合物など)、ジヒドラジド系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤、アジリジン系硬化剤などの少なくとも1種が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、ジアミン類{例えば、アルカンジアミン類(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサンなどのC1−10アルカンジアミンなど)などの脂肪族ジアミン類;ジアミノアレーン類(例えば、m−フェニレンジアミン、ジアミノトルエンなどのジアミノC6−10アレーン)、ビス(アミノアリール)アルカン類[例えば、ビス−(4−アミノフェニル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−クロロフェニル)メタン(又は3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン又はメチレンビス(2−クロロアニリン)、MOCA)などのビス(アミノフェニル)アルカン類(例えば、置換基を有していてもよいビス(アミノフェニル)C1−10アルカン、好ましくはビス(アミノフェニル)C1−6アルカン)など]などの芳香族ジアミン類(又は芳香族骨格を有するジアミン類)などの低分子量ジアミン}、アミノ基を3つ以上有するポリアミン類(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2’−ジアミノジエチルアミンなどの低分子量ポリアミンなど)などのポリアミン類;アルカノールアミン類(エタノールアミン、ジエタノールアミンなど);アミノベンゾエート系硬化剤[例えば、アルキレンビス(アミノベンゾエート)類(例えば、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)などのC2−6アルキレンビス(アミノベンゾエート)など)、ポリアルキレンオキサイド−ビス(アミノベンゾエート)類(例えば、ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−p−アミノベンゾエートなどのポリC2−6アルキレンオキシド−ビス(アミノベンゾエート)など)など]などの少なくとも1種が挙げられる。
アルコール系硬化剤(多価アルコール系硬化剤)としては、ジオール類、分子中に3以上(例えば、3〜8程度)のヒドロキシル基を有するポリオール類(特に低分子化合物)などが使用できる。ジオール類としては、アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールなどのC2−10アルカンジオール、好ましくはC2−6アルカンジオール、さらに好ましくはC2−4アルカンジオール)、ジ又はトリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)又は水添ビスフェノール類(水素化ビスフェノールAなど)のアルキレンオキサイド付加体などが挙げられる。また、前記ポリオール類としては、例えば、トリオール類(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオール、トリエタノールアミンなど)、テトラオール類(例えば、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、メチルグルコジットなど)、ペンタオール類(キシリトールなど)、ヘキサオール類(ソルビトール、マニトール、ジペンタエリスリトールなど)、オクトオール類(シュクロースなど)などが例示できる。また、これらの化合物のヒドロキシル基に対して1〜2モル程度のC2−4アルキレンオキサイド(エチレンオキサイドなど)が付加していてもよい。さらに、アルコール系硬化剤としては、例えば、アルキレンジアミンのC2−4アルキレンオキサイド付加体(エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどのC2−6アルキレンジアミンのエチレンオキサイド付加体など)なども使用できる。これらのアルコール系硬化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、アルコール系硬化剤(多価アルコール)の分子量は、例えば、60〜350、好ましくは70〜300、さらに好ましくは80〜250(例えば、85〜200)程度であってもよい。
好ましい硬化剤には、アミン系硬化剤、アルコール系硬化剤などが含まれる。なお、アミン系硬化剤と他の硬化剤(例えば、アルコール系硬化剤)とを組み合わせる場合、硬化剤全体に対する他の硬化剤(特に、アルコール系硬化剤)の割合は、1〜50モル%(例えば、2〜40モル%)、好ましくは3〜35モル%(例えば、5〜30モル%)、さらに好ましくは5〜25モル%(例えば、8〜20モル%)程度であってもよい。
後述するプレポリマーに対する硬化剤(例えば、アミン系硬化剤単独、アミン系硬化剤及びアルコール系硬化剤)の割合は、例えば、プレポリマーのイソシアネート基に対して、硬化剤の活性水素原子(例えば、アミノ基の水素原子、アミノ基の水素原子及びヒドロキシル基の水素原子)0.7〜1.2当量、好ましくは0.8〜1.1当量、さらに好ましくは0.9〜1.0当量程度であってもよい。
上記ポリイソシアネート成分と上記ポリオール成分との間のウレタン化反応(硬化反応)を行わせるに当たっては、ウレタン化触媒を用いることが可能である。このウレタン化触媒としては、例えば、第3級アミン化合物や有機金属化合物等の公知の触媒を用いることが可能である。具体的には、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルブタンジアミン、ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン―7(DBU)及びDBU塩、オクチル酸鉛、ラウリル酸ジブチル錫、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等が好適である。
さらに、上記の混合液には、上記ポリオール成分と、上記ポリイソシアネート成分、上記硬化剤の他に、必要な強度や耐久性等の本発明に効果を損なわない範囲でその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等を、1種または2種以上混合して用いることもできる。さらに、前述したもの以外にも、顔料、染料、難燃剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤、水分吸着剤等を適宜添加することも可能である。
上記ポリオール成分と上記ポリイソシアネート成分とを化学反応させるに際して、ポリオールの水酸基(OH)に対するイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比、即ち、NCO/OHは特に規定されるものではないが、0.7〜1.05が好ましい。この当量比が1.05を越える場合は、得られるグリップ材組成物のゴム硬度が高くなりすぎ、好ましくない。また、グリップ材組成物が反応を経て硬化物に至る間に、副生成物の炭酸ガスにより気泡を発生したり、そのガスが硬化物の外観を損ねるために、好ましくない。一方、当量比が0.7未満の場合は、得られるグリップ材組成物の硬度が低くなり、性能安定性に欠け、また耐熱性に欠けるために好ましくない。
本発明のグリップ材組成物では、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤など含む材料とを、常温で混合し、好ましくは予め真空下で脱泡したポリエーテル系ウレタンエラストマー組成物を作製する。ここで、触媒及びその他の添加剤を混合する場合には、混合時に同時に添加してもよい。このポリエーテル系ウレタンエラストマー組成物は、常温〜120℃に調整された各形状・構造等の筆記具用グリップ材用の金型に流し込み、常温〜120℃で1〜10時間ウレタン化反応を起こさせる。しかる後に金型から取り出すことによって筆記具用グリップ材が得られることとなる。
本発明のグリップ材組成物は、上述の如く、上記ポリオール成分と上記ポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、上記硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを含み、稠密体であることを特徴とするものである。
得られるグリップ材組成物(シート体:27×27mm、以下同様)は、厚さ1mm〜2mmの間において衝撃吸収率が80%を超え、厚さが3mmを超えると、ほぼ100%に近い衝撃吸収率を得ることが確認できた。なお、本発明で規定する「衝撃吸収率」は、10mmの試験片に硬球(64g、φ25mm)を150mmの高さから自然落下させ、ロードセルにて測定した値を基に衝撃吸収率を算出した。
また、得られるグリップ材組成物(シート体)は、長期間に亘って屈曲運動を行った場合においても、強い耐久性を有すると共に、横方向への引き裂きに対する耐久性も有するものであり、グリップ時の伸び縮みによく対応することが確認できた。
更に、得られるグリップ材組成物(シート体)は、高い反発係数(衝撃吸収率)を有すると共に、低硬度及び低tanδであり、かつ、これらの特性を永続的に発揮することができる稠密体(無発泡)であり、べたついたりもしないことが確認できた。
〈筆記具用グリップ材、その製造方法〉
本発明の筆記具用グリップ材(A)は、筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材であって、該筆記具用グリップ材は、上記構成の筆記具用グリップ材組成物を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の筆記具用グリップ材(B)は、筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材であって、筆記具用グリップ材が少なくとも2層からなり、内層に、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーから構成され、外層に上記構成の筆記具用グリップ材組成物を用いることを特徴とするものである。
本発明の筆記具用グリップ材(A)は、上記構成の筆記具用グリップ材組成物を用いるものであり、筆記具種(シャープペンシル、鉛筆、ボールペン、万年筆、筆、筆ペン、サインペン等、以下同様)の把持部の形状、例えば、把持部が凹部形状・構造であれば、それに沿う形状・構造の金型により、上記構成の筆記具用グリップ材組成物を入れて成形することにより得られ、また、筆記具の軸筒と共に二色成形して一体に製造することもでき、更に、刷毛やスプレー塗装などにより、筆記具の把持部を形成してもよい。
図1は、上記構成の筆記具用グリップ材組成物を用いて得られた筆記具用グリップ材Xである。この筆記具用グリップ材Xは、筆記具の軸筒の外周部(図示せず)に、着脱自在に外嵌される構造、中空筒状となっている。なお、本発明の効果を達成するものであれば、筆記具用グリップ材(A)の形状・構造は特に限定されず、各筆記具種により各形状・構造の筆記具用グリップ材が成形等されるものである。
本発明により得られる筆記具用グリップ材(A)は、ゴム硬度が10〜60の範囲であり、稠密体であり、粘着性も有しないものである。
また、筆記具用グリップ材(A)の厚みとしては、上述の如く、厚さ1mmで衝撃吸収率が80%を超える点、筆記具種、把持部の外形形状、外周長さ(極太径)などにより変動するものであるが、把持部での厚み(肉厚)で1mm以上、好ましくは、1〜3mmとすることが望ましい。
このように構成される上記特性の筆記具用グリップ材(A)は、筆記時のペン体の振動を手に伝えず、かつ、握り具合に適応した変形量に対してペン体を運筆しやすい反発力を有し、握りの感触もよく、べたついたり、指が痛くなったりすることもなく、更に柔らかくて皮脂等による膨潤等の変化がない筆記具用グリップ材となる。
また、筆記具用グリップ材(A)は、理由は定かではないが、その表面に印刷を施しても剥離し難く、長く使用しても印刷内容の判別が問題なく行えるものである。
次に、本発明の筆記具用グリップ材(B)は、筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材が少なくとも2層から構成されるであり、内層に、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーから構成され、外層に上記構成の筆記具用グリップ材組成物を用いるものである。
本発明の筆記具用グリップ材(B)では、内層に用いるポリオール成分として、官能基数2.4以上3.0以下、重量平均分子量3000〜6000のポリオールを含むものが挙げられる。
官能基数が3.0を越えると、グリップ材のゴム硬度が大きくなり、粘着性が不十分となりやすい。一方、官能基数が2.4未満であると、未硬化組成物なりやすい。また、平均分子量が3000未満では、ゴム硬度が高くなりすぎ、粘着性が低くなりすぎてしまう。一方で、平均分子量が6000を越えると、反応が充分進まなくなる。
このような内層に用いるポリオール成分としては、例えば、ポリオキシポリアルキレンポリオールを挙げることができる。このポリオキシポリアルキレンポリオールは、水やエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールを開始剤として、アルキレンオキサイドを開環付加重合させたものを用いることができる。
また、上記の特性を確保できる限りにおいて、上記のポリオール成分は、その他のポリオールを含有してもよい。例えば、公知のポリエステル系ポリオール、ポリテトラメチレンポリオキシグリコール、ひまし油系ポリオール、ε−カプロラクトン系ポリオール、β−メチル−δ−バレロラクトン系ポリオール、カーボネート系ポリオール等の少なくとも1種(各単独又は1種以上の混合物)が挙げられる。
更に、上記内層に用いるポリオール成分には、上記ウレタンエラストマーに粘着性を付与するために、2級又は3級の高級モノアルコールを添加するとよい。ポリオール成分の主成分であるポリオールに対して可溶性であると好ましい。例えば、2−エチルヘキシルアルコール,sec−ステアリルアルコール,α−テルピネオール,ジアセトンアルコール及びカプリルアルコール等が挙げられる。なお、1級の高級アルコールでは粘着性の向上効果があまり見込めない。
これらの上記高級モノアルコールの使用量は、ポリオール成分の合計量100質量部のうち、主成分のポリオールを99.5〜90質量部に対して上記高級モノアルコールを0.5〜10質量部の範囲が好ましい。上記高級モノアルコールの使用量が0.5質量部未満の時には、得られるウレタンエラストマーの粘着性が不十分になる。一方、10質量部を越えると、ポリオール成分の平均官能基数の低下をもたらし、上記ウレタンエラストマーの耐久性などが不十分になるおそれがある。
本発明の筆記具用グリップ材(B)において、用いるポリイソシアネート成分の主成分となるポリイソシアネートは、前記ポリオール成分の水酸基に対して反応するイソシアネート基を2以上有するものである。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、液状変性MDI、キシリデンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロヘキシルジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の少なくとも1種が挙げられる。
本発明の筆記具用グリップ材(B)では、イソシアネート成分を理論量より少ない上記ポリオール成分と公知の技術を用いて反応せしめ、末端に活性イソシアネート基を有するプレポリマーとして用いる。
プレポリマーとして用いる利点は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が確実に進行しやすくなり、均質な内層のグリップ材組成物が得やすいためである。これらのプレポリマーは、末端に活性イソシアネート基の残量が、プレポリマー全体で100質量%であるのに対して、2質量%以上、好ましくは、2.5〜15質量%を有するものがよい。末端活性イソシアネート基残量が2質量%未満の場合には、プレポリマーの液粘度が高くなり、内層のグリップ材組成物の製造に際して支障を来すこととなる。末端活性イソシアネート基残量が2質量%以上ならば特に支障はないが、15質量%を越えると、プレポリマーとして用いる効果が少なくなる。
本発明の筆記具用グリップ材(B)において、内層となるポリオール成分とポリイソシアネート成分とを化学反応させるに際して、ポリオールの水酸基(OH)に対するイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比、すなわち、NCO/OHは、0.95〜1.05が好ましい。この当量比が1.05を越える場合は、得られる組成物の粘着性が乏しくなり、また安定したゴム硬度の組成物を得がたく、0.95未満の場合は、得られる組成物の耐熱性に欠けるために好ましくない。
ここで、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分との間のウレタン化反応を行わせるに当たって、必要に応じて、適宜ウレタン化触媒を用いることができる。このウレタン化触媒としては、第3級アミン化合物や有機金属化合物等の公知の触媒を用いることが可能である。例えば、トリエチレンジアミン、N,N′−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N′−ジメチルブタンジアミン、オクチル酸鉛、ラウリル酸ジブチル錫等が好適である。ただし、このウレタン化触媒を用いることは必須の要件でない。
また、用いる硬化剤は、上述の筆記具用グリップ材組成物で詳述した硬化剤が使用されるので、その説明を省略する。
更に、このような内層用のグリップ材組成物は、そのままで上記ウレタンプレポリマーとして用いることもできるが、以下に示す成分を添加してもよい。
上記ウレタンプレポリマーの耐久性、安定性の向上を図るために、安定剤として、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤等を、本発明の効果を損なわない範囲において、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。さらに、その他に、顔料、染料、難燃剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤、水分吸着剤等を適宜添加することも可能である。
本発明の筆記具用グリップ材(B)において、上記のような、内層用の原料として用いられるポリオール成分およびポリイソシアネート成分はそれぞれ常温、もしくは加温した状態で、これら2成分を混合する。添加剤を混合する場合には、予め、ポリオール成分に混合させておくか、または主成分の混合時に添加してもよい。
本発明の筆記具用グリップ材(B)では、該筆記具用グリップ材が少なくとも2層から構成されるものであり、内層に、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーから構成し、外層に上述の筆記具用グリップ材組成物を用いるものであり、筆記具の把持部の形状、例えば、把持部が凹部形状・構造であれば、それに沿う形状・構造の金型により、上記内層用の組成物を所定割合・所定時間で入れて粘着性を有する内層の筆記具用グリップ材を成形した後、外層用の上述の筆記具用グリップ材組成物を所定割合・所定時間で入れて一体成形することにより得られ、また、筆記具の軸筒と共に二色成形して一体(少なくとも2層の筆記具用グリップ材)に製造することもでき、更に、内層の筆記具用グリップ材を成型後、刷毛やスプレー塗装などにより、少なくとも2層の筆記具用グリップ材を成型等してもよい。
また、本発明の筆記具用グリップ材(B)では、内層の本発明の筆記具用グリップ材を成型後、内層のウレタンエラストマー表面に装飾、例えば、金属粉、顔料、染料等を用いて、蒸着、印刷(オフセット印刷、パッド印刷、シルク印刷、インクジェット印刷など)、塗装、転写の少なくとも1つを施して表面に装飾(模様、標章等)を形成することができる。また、前記グリップ材(A)同様、外層表面に印刷等を施してもよいものである。
この構成の筆記具用グリップ材(B)では、グリップ材の内層を、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーを配し、該ウレタンエラストマー表面に上述の装飾を施した後、該装飾表面に、上述の筆記具用グリップ材組成物、すなわち、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを配することにより得られるものである。
更に、上記実施形態では、2層(内層、外層)構造を示したが、内層、中間層、外層を有する3層構造以上であってもよく、外層に上述のグリップ材組成物が形成される構造であり、中間層又は内層に、上記少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーを配する構造であれば、3層以上であってもよいものである。
この筆記具用グリップ材(B)及び筆記具用グリップ材(B)を装着したシャープペンシル10の実施形態について、図2及び図3を用いて更に説明する。
この実施形態においては、図2及び図3に示すように、筆記具10としてのシャープペンシルの把持部17が、下記のような筆記具用グリップ材(B)20となっている。
軸筒11は、軸方向において先端側に配置される芯軸13と後端側に配置される後軸12の2部品により構成される。芯軸13と後軸12は螺着により相互に固定されることで、軸筒11を形成している。
芯軸13は、ステンレス鋼製の円筒形を呈している。この芯軸13内部には、塗布体としての芯19が収納される。
芯軸13の外周表面には、内被体21が被覆されている。内被体21は、白色のシリコーン製であり、ステンレス鋼製の芯軸13表面に、インサート成形により形成される。内被体21は、先端から後端にかけて僅かに拡径している。これにより、金型を抜きテーパにすることができる。
図2に示すように、筆記具用グリップ材(B)20には、内被体21を覆うように外層23が設けられている。外層23の前端部内面には環状凸部24が設けられており、これを内被体21の先端部に当接させている。さらに後端部内面は、内被体21のセンタリング部材22の周縁と当接することでセンタリングされている。また、外層23後端部外周は外径を減じており、この部分に、後軸12の先端と当接するリング部材18が装着されることとなっている。
一方、芯軸13の前端には内被体21が被覆されておらず、ここに前ネジ管14が装着される。そして、図2に示すように、この前ネジ管14に口金16が螺着されている。ここで、口金16の後端は外層23の先端と当接している。
また、芯軸13の後端にも内被体21は被覆されておらず、ここには後ネジ管15が装着される。そして、図3に示すように、この後ネジ管15に後軸12が螺着される。
そして、前記芯軸13と外層23が内被体21を介して固定されることにより形成される内被体21と外層23の間の空間には、内層25によって隙間無く満たされており、外層23及び内層25は密着している。
この筆記具用グリップ材(B)20では、内層25に、上記少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーを配する構造とし、該ウレタンエラストマー表面に印刷により装飾(三菱鉛筆株式会社の印刷)を施した後、該装飾表面の外層に、上述の筆記具用グリップ材組成物、すなわち、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを配することにより得られるものである。
本発明により得られる筆記具用グリップ材(B)20は、全体のゴム硬度が10〜60の範囲であり、外層23は稠密体であり、粘着性も有しないものである。また、筆記具用グリップ材(B)における外層の厚みとしては、筆記具種、把持部の外形形状、外周長さ(極太径)などにより変動するものであるが、外層23での厚み(肉厚)で1mm以上、好ましくは、1〜3mmとすることが望ましく、全体の把持部の厚み(肉厚)は、1.5〜5mmとすることが望ましい。
このように構成される上記特性の筆記具用グリップ材(B)であっても、筆記時のペン体の振動を手に伝えず、かつ、握り具合に適応した変形量に対してペン体を運筆しやすい反発力を有し、握りの感触もよく、べたついたり、指が痛くなったりすることもなく、更に柔らかくて皮脂等による膨潤等の変化がない筆記具用グリップ材及び効率的に製造することができる製造方法が得られることとなる。
また、装飾を施した筆記具用グリップ材(B)では、内層に表面に装飾部を施すので、手等で汚すことなどがなく、斬新な装飾を施した筆記具用グリップ材が得られることとなる。
本発明の筆記具用グリップ材組成物、筆記具用グリップ材及びその製造方法は、上記実施形態などに限定されるものでなく、本発明の各発明の技術思想の範囲で変更することができる。
例えば、筆記具の軸を全て本発明によるグリップ材(B)で形成し、特にグリップ材を設けることをせず、軸全体をグリップとしてもよい。この場合、グリップ材(B)の内層はウレタンエラストマー等の「軟らかい」素材ではなく、PP等の通常の「硬い」樹脂材を用いることによって筆記具全体の強度を確保することができる。そして外層を厚く構成し把持した際の「見かけ」のゴム硬度が10〜60の範囲内に入っていれば実使用上問題はない。
また、グリップ材(A)及びグリップ材(B)ともに色材を添加せずに透明に成形することによって、本願出願人によるシャープペンシル「クルトガ」の如き回転ギミックが把持部近辺にあるような筆記具において、これらのグリップ材を、この回転ギミック部に被覆させる構成としてもよい。
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により制限されるものではない。
〔実施例1〜2及び比較例1〜2〕
下記各原料を用いた。
ポリオール成分:グリセリン開始剤ε−カプロラクトンの開環重合付加物(官能基数3、平均分子量550)
イソシアネート成分1:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の3量化物(官能基数3)、デュラネートTLA(旭化成社製)
イソシアネート成分2:イソホロンジイソシアネート(官能基数2)、(IPDI)
重合剤:ラウリル酸ジブチル錫
(実施例1)
ウレタンエラストマーとして、ポリオール成分を100質量部、イソシアネート成分1とイソシアネート成分2をそれぞれ38質量部、重合剤を0.1質量部とする組成で、同様に混合して脱泡した硬化前の液状剤を用意した。これをグリップ成形用の型内に充填し、余剰の液分を払って、23℃の温度で3日間養生した。このウレタンエラストマーのゴム硬度は53であり、把持部の厚み(肉厚)は2.0mmであった。このグリップ表面に更にオフセット印刷で「三菱鉛筆株式会社」と印字した。
(比較例1)
三菱鉛筆製シャープペンシルM5−858GG(商品名「クルトガ〈ユニアルファゲル搭載タイプ〉」)をそのまま評価に使用した。グリップ材は外層にシリコンゴム、中間層に衝撃吸収素材(商品名「アルファゲル」)、内層にシリコンゴムにより構成される三層構造である。表面のゴム硬度は、65であり、把持部の厚み(肉厚)は2.5mm(外層0.5×中間層1.0×内層1.0mm)であった。このグリップ表面に更にオフセット印刷で「三菱鉛筆株式会社」と印字した。
上記比較例以外の各筆記具用グリップ部材を三菱鉛筆製シャープペンシルM5−507GGのグリップ部に嵌め込んで10人の試験者に連続して1時間筆記してもらい、下記各評価基準により、筆記しやすさ、握りの感触、疲労感、筆記後の印刷剥離の評価をした。
これらの結果を下記表1に示す。
(実施例2)
三菱鉛筆社製の鉛筆6903 6角 GPST(芯硬度2B)の表面の発泡樹脂「コート層」(アドバンセル(積水化学株式会社製))を引き剥がし、上記実施例1の組成物を吹き付けて硬化を行い、表面がコートされた鉛筆を作製した。このコート層のゴム硬度は75であり、厚み(肉厚)は0.5mmであった。このコート層表面に更にオフセット印刷で「三菱鉛筆株式会社」と印字した。
(比較例2)
三菱鉛筆製の鉛筆6903 6角 GPST(芯硬度2B)をそのまま用いた。
上記2種類の鉛筆を10人の試験者に連続して1時間筆記してもらい、下記各評価基準により、筆記しやすさ、握りの感触、疲労感、筆記後の印刷剥離の評価(平均値)をした。このコート層表面に更にオフセット印刷で「三菱鉛筆株式会社」と印字した。
(筆記しやすさの評価基準)
○…紙面と芯との摩擦はほとんど感じられず滑らかに筆記できた。
△…筆記する角度によって紙面と芯との摩擦が伝わり、度々手指に振動が伝わった。
×…紙面と芯との摩擦が常に伝わり、振動も常に手指へ伝わった。
(握りの感触の評価基準)
○…常に乾いた感じの感触で、手指の脂も表面に滲むことはなかった。
△…筆記してゆくうちにべとつき感が生まれ、書き終わりにはべた付いていた。
×…書き始めからべた付いていた。
(疲労感の評価基準)
○…特に疲労感は感じられなかった。
△…普通の疲れであった。
×…筆記の摩擦によって著しく疲れた。
(筆記後の印刷剥離の評価基準)
○…全く剥離・変形が見られない。
△…印刷の剥離・変形(流れ)が見られた。
×…剥離・変形により印刷文字の判別が全く出来ない。
Figure 2020151974
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜2は、本発明の範囲外となる比較例1〜2に較べ、筆記しやすく、握りの感触もよく、疲労感もなく、筆記後の印刷剥離もない筆記具用グリップ材であることが確認された。
シャープペンシル、ボールペン、鉛筆などの筆記具に好適な筆記具用グリップ材組成物、筆記具用グリップ材が得られる。
10 筆記具(シャープペンシル)
11 軸筒
12 後軸
13 芯軸
14 前ネジ管
15 後ネジ管
16 口金
17 把持部
18 リング部材
19 芯
20 グリップ材
21 内被体
22 センタリング部材
23 外層
24 環状凸部
25 内層

Claims (8)

  1. 少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを含み、稠密体であることを特徴とする筆記具用グリップ材組成物。
  2. 筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材であって、該筆記具用グリップ材は、請求項1記載の筆記具用グリップ材組成物を用いることを特徴とする筆記具用グリップ材。
  3. 筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材であって、筆記具用グリップ材が少なくとも2層からなり、内層に、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーから構成され、外層に請求項1記載の筆記具用グリップ材組成物を用いることを特徴とする筆記具用グリップ材。
  4. 前記粘着性付与剤が2級又は3級の高級モノアルコールであることを特徴とする請求項3記載の筆記具用グリップ材。
  5. 内層のウレタンエラストマー表面に装飾を施したことを特徴とする請求項3又は4に記載の筆記具用グリップ材。
  6. 前記装飾として、蒸着、印刷、塗装、転写の少なくとも1つを施す請求項5に記載の筆記具用グリップ材。
  7. 筆記具の把持部に用いる筆記具用グリップ材であって、該グリップ材は、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤と、粘着性付与剤とを含む材料を配合して得られたウレタンエラストマーを配し、該ウレタンエラストマー表面に装飾を施した後、該装飾表面に、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られるプレポリマーと、硬化剤とを含む材料を配合して得られたポリエーテル系ウレタンエラストマーを配することを特徴とする筆記具用グリップ材の製造方法。
  8. 前記装飾として、蒸着、印刷、塗装、転写を施すことを特徴とする請求項7に記載の筆記具用グリップ材の製造方法。
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