JP2020148226A - 回転装置及び航空機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ファン等の動力で回転する回転装置において、回転中心付近に配置すべき部品を極力減らせるようにすることである。【解決手段】実施形態に係る回転装置は、内側にモータを収納するハブを配置せずに円周方向に回転する少なくとも1つのリングと、前記リングを回転させるための動力を発生させる少なくとも1つのモータと、前記動力を前記リングに伝達する動力伝達機構とを備えるものである。また、実施形態に係る航空機は、前記回転装置を備えたものである。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、回転装置及び航空機に関する。
従来、送風や推力を得るための動力を備えた回転装置としてファンが使用されている(例えば特許文献1参照)。典型的なファンは、中心にハブと呼ばれるケーシングが配置され、ハブの周囲にブレード(羽根)を連結した構造を有する。ハブの内部には、電動機や原動機が収納される。
しかしながら、ハブは常にブレードの回転によって誘起される流体の流れに曝される。しかも、ハブの配置によって流体の流路が狭められる。このため、流体抵抗や圧力損失の増加の要因となる。その結果、ハブは、流体の移動効率の要因となる。例えば、送風を目的とするファンであれば、ハブは風の生成効率の低下要因となる。また、推力を得るための航空機のダクテッドファンであれば、ハブは推力の生成効率の低下要因となる。
一方、ハブを配置しない構造を有する航空機用のロータ(回転翼)も提案されている。具体例として、2つの回転リングの外面にブレードを放射状に取付けて上下に配置し、互いに逆回転させることによって揚力を得る垂直/短距離離着陸(V/STOL:vertical and/or short take−off and landing)機用の浮揚機構が提案されている(例えば特許文献1参照)。この浮揚機構では、2つの回転リングの内部に固定されるスポークに配置した3つのモータで回転リングを回転させることができる。
特表2015−501751号公報
ファン等の動力を備えた回転装置では、回転中心付近にハブのみならず流体の流れの障害となり得る構造物を配置しないことが回転装置の目的をより効率的に達成することに繋がる。例えば、送風を目的とするファンであれば、回転中心付近にブレード以外に構造物が無いことが送風効率の改善に繋がる。また、航空機のダクテッドファンであれば、回転中心付近にブレード以外に構造物が無いことが推力の改善に繋がる。
そこで、本発明は、ファン等の動力で回転する回転装置において、回転中心付近に配置すべき部品を極力減らせるようにすることを目的とする。
本発明の実施形態に係る回転装置は、内側にモータを収納したハブを配置せずに円周方向に回転する少なくとも1つのリングと、前記リングを回転させるための動力を発生させる少なくとも1つのモータと、前記動力を前記リングに伝達する動力伝達機構とを備えるものである。
また、本発明の実施形態に係る航空機は、前記回転装置を備えたものである。
本発明の第1の実施形態に係る回転装置の構成を示す正面図。 図1に示す回転装置の位置A−Aにおける部分拡大断面図。 図1に示す複数のブレードを連結した場合の例を示す図。 図2に示すモータの出力軸にトルクリミッタを介してギアを連結した例を示す図。 図1に示すガイド機構の構造例を示す位置B−Bにおける部分拡大断面図。 回転リングの下方側の端面にギアからトルクを伝達するようにした例を示す回転装置の正面図。 回転リングの上方側の端面にギアからトルクを伝達するようにした例を示す回転装置の正面図。 図7に示すガイド機構の構成例を示す部分的に拡大した回転装置の下面図。 図1に示す回転装置を備えた航空機の第1の例を示す図。 図1に示す回転装置を備えた航空機の第2の例を示す図。 図1に示す回転装置を備えた航空機の第3の例を示す図。 図1に示す回転装置を備えた航空機の第4の例を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る回転装置の構成を示す部分断面図。 図13に示す2つの回転リングの配置方法を示す斜視図。 本発明の第3の実施形態に係る回転装置の構成を示す正面図。 図15に示す回転装置の位置C−Cにおける部分拡大断面図。 図15に示す回転リングのうち回転半径方向に異なる位置に配置された回転リングを同方向に回転させる場合におけるモータとギアの構成例を示す図。 本発明の第4の実施形態に係る回転装置の構成を示す部分断面図。 本発明の第5の実施形態に係る回転装置の構成を示す正面図。
本発明の実施形態に係る回転装置及び航空機について添付図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
(構成及び機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係る回転装置の構成を示す正面図であり、図2は図1に示す回転装置の位置A−Aにおける部分拡大断面図である。
回転装置1は、流体の流れを形成するために動力で回転するファン又はロータ等の複数のブレード2を備えた装置である。回転装置1は、以下に例示されるような様々な用途に用いることができる。このため、回転装置1は、用途に応じた様々な名称で呼ぶことができる。
一般に、水中で推力を得るために船舶等に備えられる回転装置はスクリュー又はプロペラと呼ばれる。また、空気の流れを形成して推力や揚力を得るために航空機に備えられる回転装置は、ファン、ロータ又はプロペラと呼ばれる。特に、円筒状のダクトで覆われたファンはダクテッドファンと呼ばれる。
例えば、固定翼航空機の主翼等には、推力等を得るためにダクテッドファンが懸架される。或いは、固定翼航空機の主翼前縁や飛行船には推力等を得るためのプロペラが設けられる。また、固定翼航空機の胴体や主翼等に揚力を得るために設けられるファンはリフトファンと呼ばれる。典型的なリフトファンは、ダクテッドファンで構成される。
一方、ヘリコプタ等の回転翼航空機に設けられる回転装置は、ロータ又はプロペラと呼ばれる場合が多い。ヘリコプタには、通常、揚力を得るためのメインロータと、推力を調整するためのテールロータが備えられる。テールロータとして、ダクテッドファンが備えられる場合もある。
他方、扇風機や換気扇等の送風用の回転装置はファンと呼ばれる場合が多い。また、自動車にもターボファンや冷却ファン等の様々なファンが設けられる。自動車等の移動体に限らず、タービンやエンジン等にもファンが備えられる。また、タービン自体や圧縮機も回転装置の一種である。
以降では、主として回転装置1が推力又は揚力を得るための航空機用のファン、ロータ又はプロペラである場合を例に説明する。
回転装置1には、複数のブレード2が備えられるがモータを収納したハブが設けられない。また、強度を確保するためのスポークも必須ではない。すなわち、回転装置1は、放射状に配置される複数のブレード2にトルクを伝達するための回転シャフトが無く、回転中心軸付近が中空のハブレス構造を有する。
尚、ハブは、円形又は放射状の典型的な回転装置の回転軸付近に設けられる部位又は構成部品である。また、スポークは、典型的な円形の回転装置の外周部分に構造部材として配置される円環状のリムと、回転中心に配置されるハブとを連結するために回転装置の半径方向を長さ方向として放射状に配置される棒状の部材である。
回転装置1は、図1に示すように複数のブレード2、回転リング3、固定リング4、モータ5、動力伝達機構6及びガイド機構7で構成することができる。
仮想的な回転軸を中心に回転することによって空気等の流体の流れを形成するための複数のブレード2の各一端は、回転リング3の内面側に固定される。これにより、複数のブレード2は、回転リング3の内側に形成される空間に放射状に配置される。
回転リング3は、内側にモータを収納するハブ及び強度を確保するためのスポークを配置しなくても円周方向に回転することが可能なリングである。従って、回転リング3は、放射状に配置された複数のブレード2に外周方向からトルクを伝達するリムとして機能する。リムは、強度を確保するための円環状の構造部材である。
尚、各ブレード2の先端間に空隙を設けずに、オーバーラップ、接触又は連結させても良い。各ブレード2の先端を接触させずにオーバーラップさせる場合には、各ブレード2の先端を捩れば良い。また、各ブレード2の先端を接触又は連結する場合には、ブレード2がスポークのような構造となるが、ブレード2は流体の流れを形成するためにのみ使用され、回転リング3の強度を確保するためには使用されない。
図3は、図1に示す複数のブレード2を連結した場合の例を示す図である。
図3に例示されるように、各ブレード2の先端をシャフト2Aで連結するようにしても良い。各ブレード2の先端を連結するシャフト2Aは、各ブレード2へのトルクの伝達は行わなず、単なる連結部品である。
固定リング4は、複数のブレード2を内側に放射状に取付けた回転リング3を覆う環状のケーシングである。回転装置1の横断面形状を円形とする必要が無ければ、ケーシングの横断面形状を環状とせずに矩形等の所望の形状とすることができる。
モータ5は、回転リング3を回転させるための動力を発生させる動力源である。モータ5には、複数のブレード2を放射状に取付けた回転リング3の重量に応じたパワーが必要である。例えば、ブレード2が金属製又は繊維強化プラスチック製で大型である場合のように、複数のブレード2を放射状に取付けた回転リング3の重量が大きい場合には、十分な出力がモータ5に要求される、逆に、ブレード2がプラスチック製で小型である場合のように、複数のブレード2を放射状に取付けた回転リング3の重量が非常に小さい場合には、モータ5に要求される出力は小さい。
このため、回転リング3を回転させるために必要なパワーや回転装置1の使用環境に応じて、モータ5として電動モータに限らず、油圧モータ、空気圧モータ或いは水圧モータ等を用いるようにしても良い。
モータ5は、回転リング3で仕切られた回転中心を含む領域、すなわち複数のブレード2が放射状に配置された領域の外部に配置される。これは、回転リング3で仕切られた回転リング3の中心軸を含む空間は空気等の流体の流路となり、仮にモータ5を配置するとモータ5が流体の障害物になるためである。
そこで、図1及び図2に例示されるように、回転リング3と、回転リング3よりも直径が大きい固定リング4との間に形成される環状の空間にモータ5を配置することができる。例えば、金属ブロック等で構成される支持部材8でモータ5を固定リング4の内側に固定することができる。
図1に示す例では3つのモータ5が回転リング3の外側かつ固定リング4の内側に配置されている。但し、モータ5の数は1でも良い。すなわち、回転装置1には少なくとも1つのモータ5が備えられる。
複数のモータ5で1つの共通の回転リング3を回転させるための動力を発生させるようにすれば、1つのモータ5からの動力が回転リング3に伝達されなくなる不具合が生じても、他のモータ5からの動力を回転リング3に伝達することによって回転リング3の回転を続行することが可能となる。つまり、複数のモータ5で共通の回転リング3及び各ブレード2を回転させることによって、回転装置1に冗長性を付与することができる。
動力伝達機構6は、モータ5の動力を回転リング3に伝達する装置である。具体的には、動力伝達機構6は、モータ5の出力軸5Aから出力されるトルクを回転リング3に伝達することによって回転運動をモータ5の出力軸5Aから回転リング3に伝達する装置である。
動力伝達機構6は、モータ5の出力軸5Aから出力されるトルクを回転リング3に伝達するギア(歯車)9で構成することが構造の簡易化及び十分なトルクを得る観点から実用的である。従って、回転リング3の外面にもギア9と噛み合う歯が設けられる。つまり、回転リング3自体をリング状のギア10で構成する一方、動力伝達機構6をリング状のギア10と噛み合う単一又は複数のギア9で構成することができる。これにより、モータ5の出力軸5Aから出力されるトルクを、動力伝達機構6を構成するギア9から回転リング3を構成するギア10に伝達することができる。
図1及び図2に例示されるようにモータ5の出力軸5Aから出力される動力及びトルクを回転リング3の外面に伝達する場合には、回転リング3はリング状の外歯ギアとなる。このため、動力伝達機構6を構成するギア9は、円盤状又は円筒状の平歯車で構成することができる。
1つの共通の回転リング3を回転させるための動力を複数のモータ5で発生させることによって冗長性を確保するためには、複数のモータ5で発生させた各動力を動力伝達機構6で別々に共通の回転リング3に伝達することが適切である。このため、各モータ5の出力軸5Aを、それぞれ別のギア9と連結することが適切である。
ギア9を用いて動力を伝達する場合、ジャミングを防止することが信頼性及び安全性の向上に繋がる。尚、ジャミングとは機械的にギア9が動かなくなる不具合である。例えば、回転リング3にトルクを伝達するためのギア9と、回転リング3を構成するリング状のギア10との間にバックラッシを設けることによってジャミングの発生リスクを低減することができる。すなわち、回転リング3の外周に形成される外歯と、各ギア9の外周に形成される外歯との間に意図的にギャップを設けることにより、ジャミングの発生リスクを低減することができる。
更に、モータ5の出力軸5Aと動力伝達機構6を構成するギア9との間に、機械ヒューズ11を連結することができる。機械ヒューズ11は、トルクが一定の値を超えると破断するシャフトである。
機械ヒューズ11をモータ5の出力軸5Aの一部として設けると、ジャミングによってギア9が回転しなくなった場合にトルクの上昇によって機械ヒューズ11が破断する。このため、ジャミングが生じた場合には、対応するモータ5からギア9への動力の伝達を速やかに切り離すことができる。これにより、回転装置1の冗長性及び安全性を確保することができる。
図4は図2に示すモータ5の出力軸5Aにトルクリミッタ20を介してギア9を連結した例を示す図である。
機械ヒューズ11をモータ5の出力軸5Aに連結する代わりに、図4に例示されるようにトルクリミッタ20をモータ5の出力軸5Aとギア9との間に連結するようにしても良い。トルクリミッタ20は、トルクが一定の値を超えるとトルクの伝達を遮断するクラッチである。トルクリミッタ20は、一方向にのみトルクを伝達するワンウェイクラッチを空転させるために必要なトルクを調節したものであり、ワンウェイクラッチと同様に外輪に対して内輪が相対的に回転する構造を有する。
トルクリミッタ20をモータ5の出力軸5Aに連結すると、ジャミングによってギア9が回転しなくなった場合にトルクの上昇によってトルクの伝達が遮断される。このため、ジャミングが生じた場合には、対応するモータ5からギア9への動力の伝達を速やかに切り離すことができる。これにより、回転装置1の冗長性及び安全性を確保することができる。
回転リング3を回転させるために複数のギア9を設ける場合には、回転リング3の回転中心に点対称となるように各ギア9を配置しても良い。3つ以上のギア9を、回転リング3の回転中心に点対称となるように配置すれば、回転リング3の回転中心の位置ずれを防止し、回転リング3の回転中心の同心度及び回転軸の同軸度を向上させることができる。また、3つ以上のギア9を回転リング3の回転中心に点対称とならないように配置する場合であっても、回転リング3のどの位置の直径を挟む両側にも少なくとも1つのギア9が存在するように3つ以上のギア9を配置すれば、回転リング3の半径方向への位置ずれを防止することができる。
但し、回転リング3の回転軸が鉛直方向でない場合において重量が大きいモータ5を高い位置に配置すると、回転装置1の重心が高い位置に移動し、回転装置1の安定性が低下する。このため、回転装置1の重量バランスが良好となるようにモータ5及びギア9を配置するようにしても良い。例えば、回転リング3の中心軸が概ね水平方向である場合には、図1に例示されるように下方に複数のモータ5及び対応するギア9を局所的に配置するようにしても良い。これはモータ5の数が1つである場合においても同様である。
回転リング3の局所的な部分が単一又は複数のギア9と噛み合う場合、ギア9から離れた回転リング3の部分が支えられず、不安定となる恐れがある。そこで、必要に応じて、ガイド機構7で回転リング3を支持することができる。ガイド機構7は、回転リング3を回転可能に支える支持装置である。図1に示す例では、ガイド機構7が固定リング4に固定されている。
ガイド機構7は、例えば、回転リング3を回転可能に支持するローラ付のガイドで構成することができる。もちろん、ガイド機構7を接触式の装置とせずに、磁力等を利用した非接触式の装置としても良い。
図5は図1に示すガイド機構7の構造例を示す位置B−Bにおける部分拡大断面図である。
図5に例示されるようにガイド機構7は、例えば、回転リング3の内面と接触しながら転がる単一又は複数の固定ローラ7Aをフレーム7Bに取付けた懸垂式の構造とすることができる。回転リング3の中心軸が概ね水平方向である場合には、このような懸垂式の構造を有する単一又は複数のガイド機構7を所望の位置に設けて回転リング3の鉛直上方を支持することができる。
他方、回転リング3の鉛直下方については、図2に例示されるような板状の一対のギア9或いは回転軸方向に長い円筒状のギア9で回転リング3の重量を支えることができる。つまり、回転装置1が推力を得るための航空機用のダクテッドファンである場合のように、回転リング3の中心軸が水平方向に対して例えば、±45度以下の角度となる場合には、回転リング3の上方については歯の無い内面をガイド機構7の固定ローラ7Aで支持する一方、回転リング3の下方については歯のある外面をギア9で支持することができる。
尚、回転リング3の中心軸が水平方向である場合において、回転リング3の回転中心に要求される同心度及び回転軸に要求される同軸度が低い場合には、ガイド機構7を設けずに、回転リング3の回転方向に異なる位置に配置された複数のギア9で回転リング3の重量を支持するのみとしても良い。
また、ブレード2を回転させる回転リング3の中心軸が鉛直方向又は鉛直方向に近い場合、例えば、回転リング3の中心軸が鉛直方向に対して±45度以下の角度となる場合には、回転リング3の一方の端面が下方側となる。その場合には、ガイド機構7で回転リング3の下方側における端面を支持することが現実的である。また、回転リング3の中心軸が鉛直方向又は鉛直方向に近い場合には、ガイド機構7のみならず、ギア9についても回転リング3の一方の端面の下方側に配置するようにしても良い。
図6は回転リング3の下方側の端面にギア9からトルクを伝達するようにした例を示す回転装置1の正面図である。
回転リング3の中心軸が鉛直方向又は鉛直方向に近い場合には、図6に示すように円盤状又は円筒状の平歯車で構成される複数のギア9を用いて回転リング3の重量を支えつつ、回転リング3の下方の端面にトルクを伝達することができる。この場合、動力伝達機構6を構成するギア9と噛み合う回転リング3のギア10は、回転リング3の下方側の端面にリング状に形成されることになる。
他方、各動力伝達機構6を構成するギア9は、回転軸が回転リング3の半径方向となるように配置される。そして、図2に示す例と同様に、機械ヒューズ11又はトルクリミッタ20を出力軸5Aに設けたモータ5を回転リング3の外部に配置し、モータ5の出力軸5Aをギア9と連結することができる。
尚、ギア9のみで回転リング3の重量を支えずに、所望の構造を有するガイド機構7で回転リング3の重量を支えるようにしても良い。ガイド機構7で回転リング3の重量の全部又は一部を支えるようにすれば、回転リング3を回転するためにギア9に要求される出力トルクを低減することができる。例えば、磁力を利用して回転リング3を浮遊させ、回転リング3の重量を下方側から支えることもできる。
図7は回転リング3の上方側の端面にギア9からトルクを伝達するようにした例を示す回転装置1の正面図であり、図8は図7に示すガイド機構7の構成例を示す部分的に拡大した回転装置1の下面図である。
回転リング3の中心軸が鉛直方向又は鉛直方向に近い場合には、回転リング3の上方側の端面にギア10をリング状に形成することもできる。他方、回転リング3の下方側の端面には、凹凸を形成せずに平坦なリング状の面又は円を形成することができる。
そうすると、単一又は複数の固定ローラ7Aをフレーム7Bで支えた構造を有するガイド機構7で回転リング3の重量をガイド機構7の下方側から支えることができる。他方、回転リング3の上方側の端面に形成されたギア10と噛み合うように、動力伝達機構6を構成するギア9を回転リング3の上方側に配置することができる。尚、冗長性を付与しない場合には、動力伝達機構6を構成するギア9の数を1つとしても良い。
この場合、回転リング3の重量はガイド機構7で下方側から支持されるため、ギア10からは回転リング3の回転のみに必要なトルクを負荷すれば良いことになる。このため、モータ5に要求される出力を低減することができる。
尚、回転リング3の中心軸が鉛直方向又は鉛直方向に近い場合において、回転リング3の重量をガイド機構7で下方側から支持する場合はもちろん、回転リング3の重量を懸垂式等のガイド機構7で回転リング3の上方側から支持する場合には、図1及び図2に示す例と同様に、回転リング3の外面にギア10を形成し、動力伝達機構6を構成するギア9の回転軸が回転リング3の回転軸と平行になるようにしても良い。逆に、回転リング3の中心軸が水平方向又は水平方向に近い場合において、ガイド機構7で回転リング3の重量が支持される場合には、単一又は複数のギア9を回転軸が回転リング3の半径方向となるように配置しても良い。
上述した例では、動力伝達機構6を構成するギア9として平歯車を用いる場合を例に説明したが、回転リング3の向きや回転装置1の用途に応じてモータ5を所望の位置に配置できるように様々な種類のギアを用いることができる。具体例として、動力伝達機構6を構成するギア9としてウォームギアやかさ歯車(Bevel gear)等のトルクの出力軸と伝達軸が同一方向ではないギアを用いるようにしても良い。ウォームギアは、ねじ歯車(ウォーム)で斜歯歯車(ウォームホイール)を回転させるギアであり、鼓形ウォームギアや円筒ウォームギアが代表的である。
このため、動力伝達機構6を構成するギア9の配置や種類に合わせて、ギア9と噛み合うように回転リング3の対応する面にリング状のギア10を形成することができる。すなわち、図1及び図2に例示されるように回転リング3の外面にギア10を形成し、動力伝達機構6を構成するギア9からトルクを回転リング3の外面に伝達するようにしても良いし、図6又は図7に例示されるように円筒状の回転リング3の側面にギア10を形成し、動力伝達機構6を構成するギア9からトルクを回転リング3の側面に伝達するようにしても良い。
以上のようなハブレス構造を有する回転装置1は、上述した様々な用途に用いることができる。例えば、回転装置1を航空機用のファンとして用いることができる。
図9は図1に示す回転装置1を備えた航空機の第1の例を示す図、図10は図1に示す回転装置1を備えた航空機の第2の例を示す図、図11は図1に示す回転装置1を備えた航空機の第3の例を示す図、図12は図1に示す回転装置1を備えた航空機の第4の例を示す図である。
図9に示すように固定翼航空機30の胴体や主翼等に推力を得るために取付けられるターボファンエンジン等を構成するファンとしてハブの無い回転装置1を用いることができる。また、図10や図11に示すように固定翼航空機30の主翼や胴体等に取付けられるリフトファンとしてハブの無い回転装置1を用いることができる。或いは、図12に示すように回転翼航空機31のテールロータを構成するダクテッドファンとして回転装置1を用いることもできる。
(効果)
回転装置1によれば、従来の回転装置の回転中心に設けられるハブが無いため、流体力学的な効率を向上することができる。例えば、推力や揚力の発生効率を向上させたり、発生させる風の風力を増加させることができる。
また、複数のモータ5で回転リング3を回転させたり、モータ5の出力軸5Aに許容範囲を超えるトルクが負荷された場合にブレード2を回転させる回転リング3へのトルクの伝達が遮断させる構造を採用することによって、冗長性を回転装置1に付与することができる。このため、安全性、信頼性及び冗長性が特に要求される航空機用のファンとして回転装置1を用いることもできる。
(第2の実施形態)
図13は本発明の第2の実施形態に係る回転装置の構成を示す部分断面図であり、図14は図13に示す2つの回転リングの配置方法を示す斜視図である。
図13に示された第2の実施形態における回転装置1Aは、回転軸方向に異なる位置に配置した2つの回転リング3A、3Bでそれぞれ放射状に配置された複数のブレード2を回転させるようにした点が第1の実施形態における回転装置1と相違する。第2の実施形態における回転装置1Aの他の構成及び作用については第1の実施形態における回転装置1と実質的に異ならないため、モータ5及びギア9近傍と回転リング3A、3Bの配置のみ図示し、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
第2の実施形態における回転装置1Aは、第1の回転リング3Aと、第2の回転リング3Bを有する。第1の回転リング3と、第2の回転リング3Bは、図14に示すように共通の同一直線上にある中心軸を中心に回転するように、共通の中心軸方向に互いに異なる位置に配置される。
動力伝達機構6は、図13に示すようにモータ5から出力されるトルクを第1の回転リング3と、第2の回転リング3にそれぞれ伝達することによって、第1の回転リング3と、第2の回転リング3を互いに逆方向に回転させるように構成される。そのために、共通のモータ5に互いに逆方向のトルクを出力する2つの出力軸5Aを設けることができる。そして、モータ5の一方の出力軸5Aをギア9を介して第1の回転リング3と連結し、モータ5の他方の出力軸5Aをギア9を介して第2の回転リング3と連結することができる。
もちろん、別々のモータ5で第1の回転リング3と、第2の回転リング3Bを逆回転させるようにしても良い。但し、共通のモータ5で第1の回転リング3と、第2の回転リング3Bを逆回転させれば、第1の回転リング3と、第2の回転リング3Bの回転速度を一致させ、かつ第1の回転リング3と、第2の回転リング3Bの各回転運動を互いに同期させることが容易となる。
このように流体の流れを形成するための複数のブレード2をそれぞれ放射状に取付けた第1の回転リング3と、第2の回転リング3を互いに逆回転させると、回転装置1Aを2重反転プロペラ又は2重反転ファンとして機能させることができる。このため、回転装置1Aで発生させる風力、推力又は揚力等を大きくすることができる。
尚、第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bの回転軸が鉛直方向又は鉛直方向に近い場合には、第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bとの間にベアリングを配置することによって、上方側の回転リング3の重量を支持しつつ第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bを互いに逆回転させることができる。或いは、第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bとの間に、図6及び図7に示す例と同様に複数のギア9を回転軸方向が第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bの半径方向となるように配置しても良いし、第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bとの間にベアリングを配置する一方、第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bをベアリングで連結して構成される反転リングユニットの両側に、別々のギア9を回転軸方向が第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bの半径方向となるように配置しても良い。
(第3の実施形態)
図15は本発明の第3の実施形態に係る回転装置の構成を示す正面図であり、図16は図15に示す回転装置の位置C−Cにおける部分拡大断面図である。
図15及び図16に示された第3の実施形態における回転装置1Bは、回転軸方向に加えて回転半径方向に異なる位置に配置した4つの回転リング3A、3B、3C、3Dでそれぞれ放射状に配置された複数のブレード2を回転させるようにした点が第2の実施形態における回転装置1Aと相違する。第3の実施形態における回転装置1Bの他の構成及び作用については第2の実施形態における回転装置1Aと実質的に異ならないため、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
図15及び図16に示すように複数の回転リング3を回転軸方向のみならず、回転半径方向に異なる位置に配置することもできる。図15及び図16に示す例では、回転軸方向及び回転半径方向に異なる位置に複数の回転リング3A、3B、3C、3Dが配置されている。このため、回転リング3A、3B、3C、3Dの数は4つとなる。
具体的には、互いに直径が略同じ第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bが、回転軸方向に異なる位置に配置されている。また、互いに直径が異なる第1の回転リング3Aと第3の回転リング3Cが、第1の回転リング3Aが内側となり、第3の回転リング3Cが外側となるように回転半径方向に異なる位置に配置されている。同様に、互いに直径が異なる第2の回転リング3Bと第4の回転リング3Dが、第2の回転リング3Bが内側となり、第4の回転リング3Dが外側となるように回転半径方向に異なる位置に配置されている。従って、第3の回転リング3Cの内径は、第1の回転リング3Aの外径よりも大きい。同様に、第4の回転リング3Dの内径は、第2の回転リング3Bの外径よりも大きい。
内側の第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bの各内面には、それぞれ複数のブレード2が放射状に取付けられる。他方、外側の第3の回転リング3Cと第4の回転リング3Dの各外面には、それぞれ複数のブレード2が放射状に取付けられる。そして、内側の第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bと、外側の第3の回転リング3C及び第4の回転リング3Dとの間に形成される環状の空間に、単一又は複数のモータ5及び各モータ5から出力されるトルクを第1の回転リング3A、第2の回転リング3B、第3の回転リング3C及び第4の回転リング3Dに伝達するための複数のギア9を配置することができる。
動力伝達機構6は、第2の実施形態と同様に、回転軸方向に並列配置される内側の第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bを互いに逆回転させるように構成される。同様に、動力伝達機構6は、回転軸方向に並列配置される外側の第3の回転リング3Cと第4の回転リング3Dを互いに逆回転させるように構成される。
更に、動力伝達機構6は、同心円状に配置された内側の第1の回転リング3Aと外側の第3の回転リング3Cとを互いに逆回転させるように構成される。同様に、動力伝達機構6は、同心円状に配置された内側の第2の回転リング3Bと外側の第4の回転リング3Dとを互いに逆回転させるように構成される。
そのために、図16に例示されるように一方の内側の第1の回転リング3Aの外面と、外側の第3の回転リング3Cの内面にそれぞれギア10を形成することができる。そして、第1の回転リング3Aの外面に形成されたギア10と、第3の回転リング3Cの内面に形成されたギア10の双方と噛み合うように、動力伝達機構6を構成するギア9を回転軸が第1の回転リング3A及び第3の回転リング3Cの回転軸と平行となるように配置することができる。
同様に、他方の内側の第2の回転リング3Bの外面と、外側の第4の回転リング3Dの内面にそれぞれギア10を形成することができる。そして、第2の回転リング3Bの外面に形成されたギア10と、第4の回転リング3Dの内面に形成されたギア10の双方と噛み合うように、動力伝達機構6を構成するギア9を回転軸が第2の回転リング3B及び第4の回転リング3Dの回転軸と平行となるように配置することができる。
そうすると、共通のギア9から内側の第1の回転リング3Aと外側の第3の回転リング3Cに互いに逆方向にトルクを伝達することによって第1の回転リング3Aと第3の回転リング3Cを逆回転させることができる。同様に、共通のギア9から内側の第2の回転リング3Bと外側の第4の回転リング3Dに互いに逆方向にトルクを伝達することによって第2の回転リング3Bと第4の回転リング3Dを逆回転させることができる。
更に、図16に例示されるようにモータ5として、互いに逆方向のトルクを出力する2つの出力軸5Aを同軸状に配置した2重同軸反転モータを使用することができる。そうすると、第1の回転リング3Aと第3の回転リング3Cにトルクを伝達して逆回転させるためのギア9と、第2の回転リング3Bと第4の回転リング3Dにトルクを伝達して逆回転させるためのギア9を共通のモータ5で回転させることが可能となる。
2重同軸反転モータを使用する場合においても、冗長性を付与するために機械ヒューズ11及びトルクリミッタ20の少なくとも一方をモータ5の出力軸5Aに連結することができる。図16に示す例では、第1の回転リング3Aと第3の回転リング3Cを回転させるためのギア9が、モータ5の外側における円筒状の出力軸5Aとトルクリミッタ20を介して連結されている。他方、第2の回転リング3Bと第4の回転リング3Dを回転させるためのギア9と連結されるモータ5の内側における丸棒状の出力軸5Aに機械ヒューズ11が設けられている。
このため、共通のモータ5で回転する2つのギア9の一方がジャミングによって停止した場合であっても、他方のギア9を回転させることができる。もちろん、機械ヒューズ11の代わりにトルクリミッタ20を用いても良いし、逆にトルクリミッタ20の代わりに機械ヒューズ11を用いても良い。
尚、図13に例示されるように両側に2本の丸棒状の出力軸5Aを有するモータ5を使用しても良いが、図16に例示されるように円筒状の出力軸5Aの内部に円柱状の出力軸5Aを有するモータ5を使用すれば、モータ5を支持するための支持部材8をできるだけ流体の流路の妨げとならない位置に配置することが可能となる。
このように、複数のギア9で構成される動力伝達機構6で単一又は複数のモータ5から出力されるトルクを内側の第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bの各外面と、外側の第3の回転リング3Cと第4の回転リング3Dの各内面に伝達することによって、第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bと、第3の回転リング3C及び第4の回転リング3Dとを互いに逆方向に回転させることができる。
このため、回転装置1Bを、回転軸方向に異なる位置に放射状に配置された2組の複数のブレード2を互いに逆回転させる2重反転プロペラ又は2重反転ファンとしてのみならず、回転半径方向に異なる位置に放射状に配置された2組の複数のブレード2を互いに逆回転させる2重反転プロペラ又は2重反転ファンとして機能させることができる。
尚、図6及び図7に示す例と同様に、複数のギア9を回転軸が各回転リング3A、3B、3C、3Dの回転半径方向となるように配置し、ギア9のトルクを各回転リング3A、3B、3C、3Dの端面に伝達するようにしても良い。その場合には、第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bとの間及び第3の回転リング3Cと第4の回転リング3Dとの間にそれぞれ単一又は複数のギア9を回転軸が各回転リング3A、3B、3C、3Dの回転半径方向となるように配置してもよい。或いは、第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bとの間及び第3の回転リング3Cと第4の回転リング3Dとの間にそれぞれベアリングを設けて反転リングユニットを構成し、反転リングユニットの両側に別々のギア9を回転軸が各回転リング3A、3B、3C、3Dの回転半径方向となるように配置しても良い。
また、回転装置1Bの用途によっては、4つの回転リング3A、3B、3C、3Dのいずれかを省略しても良い。例えば、内側の第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bを省略して、外側の第3の回転リング3Cと第4の回転リング3Dのみで回転装置1Bを構成してもよい。換言すれば、第2の実施形態において、ブレード2を2つの回転リング3の外面に設けても良い。或いは、内側の第2の回転リング3Bと外側の第4の回転リング3Dを省略して、内側の第1の回転リング3Aと外側の第3の回転リング3Cのみで回転装置1Bを構成してもよい。
別の変形例として、内側の第1の回転リング3Aと、外側の第3の回転リング3Cを同方向に回転させるようにしても良い。同様に、内側の第2の回転リング3Bと、外側の第4の回転リング3Dを同方向に回転させるようにしても良い。つまり、回転軸方向に異なる位置に配置された回転リング3については互いに逆回転させる一方、回転半径方向に異なる位置に配置された回転リング3については同じ方向に回転させることもできる。
図17は、図15に示す回転リング3A、3B、3C、3Dのうち回転半径方向に異なる位置に配置された回転リング3を同方向に回転させる場合におけるモータ5とギア9の構成例を示す図である。尚、図17は図15の位置C−Cに対応する位置における部分拡大断面図である。
図17に示すように、モータ5の出力軸5Aと回転軸が同一直線上となるギア9と噛み合う別の外歯ギアからなる円盤状又は円筒状のギア9を設けることによって、内側の第1の回転リング3Aと、外側の第3の回転リング3Cを同方向に回転させる一方、内側の第2の回転リング3Bと、外側の第4の回転リング3Dを同方向に回転させることができる。モータ5の出力軸5Aと回転軸が同一直線上とならない2つのギア9については、円筒状の回転シャフトの内部に棒状の回転シャフトを挿入して構成される2重反転回転シャフトで所望の共通の構造物に取付けるか、単純な棒状の2本の回転シャフトを互いに干渉しないようにそれぞれ外側に向かって同一直線上に配置して別々に所望の構造物に取付けることができる。
特に、噛み合う2つのギア9の半径を変えれば、内側の第1の回転リング3Aと、外側の第3の回転リング3Cとを同一方向に回転数を変えて回転させることが可能となる。同様に、内側の第2の回転リング3Bと、外側の第4の回転リング3Dについても同一方向に回転数を変えて回転させることが可能となる。すなわち、噛み合う2つのギア9のギア比に対応する回転数で各回転リング3A、3B、3C、3Dを回転させることができる。図17に示す例では、相対的に直径小さい内側の第1の回転リング3Aと内側の第2の回転リング3Bの回転数が、相対的に直径が大きい外側の第3の回転リング3Cと外側の第4の回転リング3Dの回転数よりも大きくなるようにギア9のサイズが決定されている。
或いは、内側の第1の回転リング3A及び内側の第2の回転リング3Bを回転させるためのモータ5及びギア9とは別に、外側の第3の回転リング3C及び外側の第4の回転リング3Dを回転させるためのモータ5及びギア9を独立して設けても良い。その場合には、各回転リング3A、3B、3C、3Dの回転数をモータ5の制御によって自在に可変調整することができる。
上述した様々なバリエーションの他、複数のブレード2を放射状に外面に設けた単一の回転リング3で回転装置1Bを構成してもよい。換言すれば、第1の実施形態において、ブレード2を回転リング3の外面に設けても良い。ブレード2を外面に設けた単一又は複数の回転リング3のみで回転装置1Bを構成する場合には、回転リング3の内側にモータ5等を固定するための支持部材として固定リングを設けても良い。
以上のように、複数のブレード2を少なくとも1つの回転リング3の外面及び内面の少なくとも一方に放射状に取付け、モータ5の動力をギア9からなる動力伝達機構6で回転リング3の外面、内面及び側面の少なくとも1つの面に伝達することができる。また、複数の回転リング3を設ける場合には、回転リング3の中心軸方向及び半径方向の少なくとも一方向に異なる位置に複数の回転リング3を配置することができる。そして、このように構成されたハブレス構造を有する回転装置を様々な用途で用いることができる。
(第4の実施形態)
図18は本発明の第4の実施形態に係る回転装置の構成を示す部分断面図である。
図18に示された第4の実施形態における回転装置1Cは、モータ5から出力される動力の回転リング3への伝達と遮断を切換えるクラッチ機構40を設けた点が第3の実施形態における回転装置1Bと相違する。第4の実施形態における回転装置1Cの他の構成及び作用については第3の実施形態における回転装置1Bと実質的に異ならないため、モータ5及びギア9近傍のみ図示し、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
第4の実施形態における回転装置1Cは、クラッチ機構40を有している。クラッチ機構40は、回転リング3A、3B、3C、3Dにモータ5から出力される動力の伝達と遮断を切換える装置である。クラッチ機構40は、図18に示すように、モータ5及びギア9を、回転リング3A、3B、3C、3Dの回転半径方向に平行移動させるリニアガイド等のスライド機構で構成することができる。
他方、内側の第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bの各外面に形成されるギア10と、外側の第3の回転リング3C及び第4の回転リング3Dの各内面に形成されるギア10との間における距離を、各回転リング3A、3B、3C、3Dを回転させるためのギア9の直径に、クラッチ機構40によるモータ5及びギア9の平行移動量を加えた距離とすることができる。
換言すれば、内側の第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bの各外面に形成されるギア10と、外側の第3の回転リング3C及び第4の回転リング3Dの各内面に形成されるギア10との間における距離を、各回転リング3A、3B、3C、3Dを回転させるためのギア9の直径よりも長くし、クラッチ機構40でギア9を各回転リング3A、3B、3C、3Dの回転半径方向に平行移動できるようにすることができる。
そうすると、クラッチ機構40の動作によって、内側の第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bの各外面に形成されるギア10と、外側の第3の回転リング3C及び第4の回転リング3Dの各内面に形成されるギア10のいずれかにギア9を噛合せることができる。これにより、ギア9と、各回転リング3A、3B、3C、3Dとの間におけるトルクの伝達と遮断を切換え、内側の第1の回転リング3Aと第2の回転リング3Bのペア又は外側の第3の回転リング3Cと第4の回転リング3Dのペアのいずれかを回転駆動させることが可能となる。すなわち、回転対象となる回転リング5を、内側の第1の回転リング3A及び第2の回転リング3Bと、外側の第3の回転リング3C及び第4の回転リング3Dとの間で切換えることができる。
もちろん、各回転リング3A、3B、3C、3Dの回転と停止を個別に切換えられるようにクラッチ機構40を構成することもできる。従って、回転リング3の数に関わらずクラッチ機構40を回転装置1Cに設けることができる。
(第5の実施形態)
図19は本発明の第5の実施形態に係る回転装置の構成を示す正面図である。
図19に示された第5の実施形態における回転装置1Dは、動力伝達機構6として無限軌道(クローラ)50を用いた点が第1の実施形態における回転装置1と相違する。第5の実施形態における回転装置1Dの他の構成及び作用については第1の実施形態における回転装置1と実質的に異ならないため、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
モータ5から出力される動力を回転リング3に伝達する動力伝達機構6としては、上述した他の実施形態で説明した通りギア9を用いる他、無限軌道50を用いるようにしても良い。すなわち、回転リング3の外面と接触するように無限軌道50を配置することができる。これにより、モータ5から出力されるトルクを無限軌道50で回転リング3の外面に伝達することができる。
無限軌道50の代表的な例としては、ローラとの間における摩擦力を利用して移動する動力伝達ベルトやスプロケットの回転によって移動するチェーンが挙げられる。無限軌道50を用いる場合においても、図19に例示されるように複数の無限軌道50で共通の回転リング3を回転させる構成とすることによって冗長性を得ることができる。
もちろん、ギア9と無限軌道50の双方を用いて単一又は複数の回転リング3を回転させるようにしても良い。すなわち、回転リング3に形成されたギア10と噛み合うギア9及び回転リング3と接触する無限軌道50の少なくとも一方で動力伝達機構6を構成することができる。
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
例えば、上述した実施形態では、回転装置1、1A、1B、1C、1Dがブレード2を回転させるファンやロータ等である場合について説明したが、単一又は複数の回転リング3を用いてブレード2が無い回転装置を構成することもできる。具体例として、自動車用のタイヤホイールとして回転シャフトの無い回転装置を用いることができる。すなわち、ハブ及びスポークが無い回転リング3をリムとして、回転リング3の外側に自動車用のタイヤを固定することができる。
1、1A、1B、1C、1D 回転装置
2 ブレード
2A シャフト
3、3A、3B、3C、3D 回転リング
4 固定リング
5 モータ
5A 出力軸
6 動力伝達機構
7 ガイド機構
7A 固定ローラ
7B フレーム
8 支持部材
9 ギア
10 ギア
11 機械ヒューズ
20 トルクリミッタ
30 固定翼航空機
31 回転翼航空機
40 クラッチ機構
50 無限軌道

Claims (15)

  1. 内側にモータを収納したハブを配置せずに円周方向に回転する少なくとも1つのリングと、
    前記リングを回転させるための動力を発生させる少なくとも1つのモータと、
    前記動力を前記リングに伝達する動力伝達機構と、
    を備える回転装置。
  2. 前記モータを、前記リングで仕切られた回転中心を含む領域の外部に配置した請求項1記載の回転装置。
  3. 流体の流れを形成するための複数のブレードを少なくとも1つの前記リングの外面及び内面の少なくとも一方に放射状に取付けた請求項1又は2記載の回転装置。
  4. 少なくとも1つの前記モータの出力軸と前記動力伝達機構との間に、トルクが一定の値を超えると破断するシャフト及びトルクリミッタの少なくとも一方を連結した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転装置。
  5. 1つの共通の前記リングを回転させるための動力を発生させる複数のモータを備え、
    前記動力伝達機構は、前記複数のモータで発生させた各動力を別々に前記共通のリングに伝達するように構成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転装置。
  6. 前記少なくとも1つのリングとして、
    第1のリングと、
    前記第1のリングと共通の同一直線上にある中心軸を中心に回転し、前記第1のリングと異なる位置に配置される第2のリングと、
    を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転装置。
  7. 前記第1のリングと、前記第2のリングとを前記共通の中心軸方向に異なる位置に配置し、
    前記動力伝達機構は、前記モータから出力されるトルクを前記第1のリングと、前記第2のリングにそれぞれ伝達することによって、前記第1のリングと、前記第2のリングを互いに逆方向に回転させるように構成される請求項6記載の回転装置。
  8. 互いに直径が異なる前記第1のリングと前記第2のリングとを、前記第1のリングが内側となり、前記第2のリングが外側となるように回転半径方向に異なる位置に配置する一方、内側の前記第1のリングと外側の前記第2のリングとの間に形成される環状の空間に前記モータを配置し、
    前記動力伝達機構は、前記モータから出力されるトルクを前記第1のリングと、前記第2のリングに伝達することによって、前記第1のリングと、前記第2のリングを互いに逆方向に回転又は同一方向に回転数を変えて回転させるように構成される請求項6記載の回転装置。
  9. 流体の流れを形成するための複数のブレードを、前記互いに逆回転させる前記第1のリングと、前記第2のリングの双方に放射状に取付けた請求項7又は8記載の回転装置。
  10. 前記動力伝達機構は、前記モータから出力されるトルクを前記リングに伝達するギアであって前記リングに形成された歯と噛み合うギア及び前記モータから出力されるトルクを前記リングに伝達する無限軌道であって前記リングと接触する無限軌道の少なくとも一方を有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の回転装置。
  11. 前記リングをリング状の第1のギアで構成し、
    前記動力伝達機構は、前記第1のギアと噛み合う第2のギアであって、前記モータから出力されるトルクを前記第1のギアに伝達する第2のギアを有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の回転装置。
  12. 前記第1のギアと前記第2のギアとの間にバックラッシを設けることによってジャミングの発生リスクを低減した請求項10又は11記載の回転装置。
  13. 前記リングへの前記動力の伝達と遮断を切換えるクラッチ機構を更に備える請求項1乃至12のいずれか1項に記載の回転装置。
  14. 前記リングを回転可能に支持するローラ付のガイドを更に備える請求項1乃至13のいずれか1項に記載の回転装置。
  15. 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の回転装置を備えた航空機。
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