JP2020146982A - 立体造形物の製造方法、及び立体造形プログラム - Google Patents
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本発明の立体造形物の製造方法は、活性エネルギー線硬化型組成物を付与して液膜層を形成する液膜層形成工程と、前記液膜層に活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程と、を複数回繰り返して、硬化した層を積層することを含む、立体造形物の製造方法であって、最後に形成する層(第n層)に照射される活性エネルギー線強度Pnが、第1層に照射される活性エネルギー線強度P1より小さく、さらに必要に応じてその他の工程を含む。
造形中の活性エネルギー線の照射強度を徐々に下げることにより、硬化時の収縮応力の発生が抑制され、さらに硬化反応により発生する熱量も低下するため、造形物の温度上昇が抑えられるので収縮応力の蓄積による内部応力の抑制と、造形が停止しているときの造形物の温度低下による収縮応力の発生が抑制され、造形物全体の内部応力が抑制されるため、変形が起きにくくなる。
本発明の別の一態様において、第n層に照射される活性エネルギー線強度Pnが第n−1層に照射される活性エネルギー線強度Pn−1よりも小さい。この場合、Pn−1は、P1と同等であってもよいし、P1よりも小さくてもよい。好ましい一態様において、さらに第n−1層に照射される活性エネルギー線強度Pn−1が第n−2層に照射される活性エネルギー線強度Pn−2よりも小さい。これにより、造形を停止する2層前から活性エネルギー線強度を漸次低減することができ、硬化した各層間の温度差を少なくすることができるため、内部応力の発生をより効率的に抑制することができる。
本発明の一態様において、Pn−2がP1と等しい。制御の簡便さの観点から、より好ましくはP1からPn−2までがすべて等しい。
比(Pn/Pn−1)が30%以上80%以下であると、急激に温度変化することなく適切に活性エネルギー線硬化型組成物を固めることができるという利点がある。
第n−2層に照射される活性エネルギー線強度Pn−2及び第n−1層に照射される活性エネルギー線強度Pn−1との比(Pn−1/Pn−2)が30%以上80%以下であることが好ましい。
比(Pn−1/Pn−2)が30%以上80%以下であると、より急激に温度変化することなく適切に活性エネルギー線硬化型組成物を固めることができるという利点がある。
液膜層形成工程は、活性エネルギー線硬化型組成物を付与して液膜層を形成する工程であり、液膜層形成手段により実施される。液膜層形成手段としては、活性エネルギー線硬化型組成物を付与することができるものであれば特に限定されず、例えば、インクジェットヘッド、ディスペンサーなどが挙げられる。微量かつ高精度で付与でき、液膜層を薄くできるという観点から、好ましくはインクジェットヘッドである。
活性エネルギー線硬化型組成物は、重合性化合物を含有し、重合開始剤、色材、有機溶剤を含有することが好ましく、さらに必要に応じてその他の成分を含有する。
重合性化合物は、活性エネルギー線によって生成した活性種により重合反応を生起し、硬化する化合物であり、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。なお、前記重合性化合物としては、重合性オリゴマーや重合性ポリマーを含んでいてもよい。
前記単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーとしては、例えば、2官能モノマー、3官能モノマー、又はそれ以上の官能基数のモノマーなどが挙げられる。
前記多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、シリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5質量%以上20質量%以下含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルベンジルアミン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。
色材の含有量は、特に制限はなく、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定することができるが、活性エネルギー線硬化型組成物の全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。なお、活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。前記その他成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤などが挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件としては、特に限定されないが、例えば、重合性化合物、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度としては3mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下が特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
硬化工程は、前記層に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程であり、硬化手段により実施される。硬化手段としては、活性エネルギー線を発生させることができるものであれば特に制限されず、例えば、ナトリウムランプ、UVランプ、電子線などが挙げられる。これらの中でも、UVランプが特に好ましい。
活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、用いられる活性エネルギー線硬化型組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されないが、好ましくは紫外線である。特に高エネルギーな線源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線源については、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
なお、電子線の場合には電子線を減衰させないため、あるいはオゾンを発生させないために通常は大気下では照射しない。紫外線の場合には大気下での照射で問題ない。
前記その他の工程としては、例えば、乾燥工程、表面保護処理工程、塗装工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、乾燥手段、表面保護処理手段、塗装手段などが挙げられる。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
第1の実施形態としての立体造形物の製造装置におけるステージの水平動作のうち、片方向の動作時に活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、硬化するときのプロセスについて図1A〜図3Cを参照して説明する。
P1は吐出する活性エネルギー線硬化型組成物により形成される平面状の膜厚によって異なることが特徴である。適切な活性エネルギー線強度よりP1が小さすぎる場合、膜が硬化せず面荒れなどの造形不良につながる。一方、適切な活性エネルギー線強度よりP1が大きすぎる場合、膜に余剰のエネルギーが付与されるため、反りなどの造形不良につながる。
第1の実施形態において、立体造形物の硬度は下層に行くほど高くなり、N層>N+1層>N+2層である。
図4A〜図6Cは、第2の実施形態に係る立体造形物の層形成過程における造形物の温度に着目した概略図である。
N層目形成時、立体造形物の下層は層形成後、長時間経過しているため温度が低く、上層は層形成直後のため温度が高い。なお、層形成直後の造形物表面温度が高いのは、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化時の反応熱によるもので、膜厚及び活性エネルギー線強度に大きく依存する。
第2の実施形態において、立体造形物の温度は上層に行くほど高くなり、N層<N+1層<N+2層である。
図7A〜図9Fは、第3の実施形態に係るステージの水平動作のうち双方向の動作時に活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、硬化するときのプロセスについて説明するための図である。これら図7A〜図9Fは、双方向造形時の造形物の温度に着目した模式図である。
図7D〜図7Fに示すように、ステージ6が右から左へ動作(矢印B方向)すると、吐出ヘッド1から活性エネルギー線硬化型組成物が吐出され、余剰の活性エネルギー線硬化型組成物をローラー2で掻き取り平面状の膜を形成し、形成した面を活性エネルギー線照射源3から活性エネルギー線強度P12(復路)で照射し、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化する。このとき硬化層は硬化反応による熱の発生で温度が高くなる。また、前記ステージ6の往復動作により形成される平坦な硬化層を1層と定義し、カウントする。
図8D〜図8Fに示すように、ステージ6が右から左(矢印B方向)へ動作すると吐出ヘッド1から活性エネルギー線硬化型組成物が吐出され、余剰の活性エネルギー線硬化型組成物をローラー2で掻き取り平面状の膜を形成し、形成した面を活性エネルギー線照射源3から活性エネルギー線強度P22(復路)で硬化する。このとき、活性エネルギー線強度P22は活性エネルギー線強度P12よりも小さいことを特徴とする。
第3の実施形態において、立体造形物の温度は上層に行くほど高くなり、N層<N+1層<N+2層である。
下記組成の活性エネルギー線硬化型組成物を用い、下記の造形方法により、実施例1〜9及び比較例1〜2の立体造形物を作製した。
イソボルニルアクリレート(共栄化学株式会社製)60質量部、アクリロイルモルホリン(ACMO、KJケミカルズ株式会社製)10質量部、及びウレタンアクリレート(商品名:UV−1700B、日本合成化学工業株式会社製、分子量:2,000)30質量部をビーカーにて均一に混合した。その後、光重合開始剤(商品名:イルガキュア819、BASF社製)2質量部を加え、さらに均一に混合し、フィルター(商品名:CCP−FX−C1B、ADVANTEC社製、平均孔径:3μm)を通過させて活性エネルギー線硬化型組成物を得た。
図1A〜図1Cに示すような立体造形物の製造装置を用い、造形条件として、解像度を1,200dpi×300dpiとし、積層ピッチ(一層あたりの膜厚)を19μmとした。
ステージ上にモデル層を20層積層して、さらにその上にサポート層を6層積層してラフト部を形成し、ラフト部上に、上記活性エネルギー線硬化型組成物を用い、下記表1及び表2に示す製造条件に基づき、下記の各評価用立体造形物と、幅0.5mmで造形物の周縁部を囲うサポート部(高さ2mm)と、さらにその周縁部を囲うモデル部(高さ2mm)とを作製した。
反り評価用の造形物として、290mm×20mm×8mmの寸法の直方体を作製した。
混色評価用造形物として、2mm×20mm×20mmの寸法の直方体を作製した。
引張強度評価用造形物として、ASTM−D638のTYPE IVの形状を作製した。
反り評価用造形物の造形中に、造形物の厚みが4mmに到達した段階で、造形を一時中断し、そのまま30分間放置した。その後、造形動作を再開し、最後まで造形動作を操作した。このとき下記の基準により、一時停止中の反りの評価を行った。なお、寸法精度については一般的に用いられるノギス等を用いて測定した。△以上が実使用可能なレベルである。
[評価基準]
○:造形物の積層方向の寸法誤差が±0.2mm以内
△:造形物の積層方向の寸法誤差が±0.2mmより大きい
×:造形動作再開時に、造形物とローラが接触し造形動作が不可能な状態
混色評価用造形物の造形中に、造形物の厚みが10mmに到達した段階で、造形を一時中断し、そのまま30分間放置した。その後、造形動作を再開し、最後まで造形動作を操作した。このとき下記の基準により混色の評価を行った。△以上が実使用可能なレベルである。
[評価基準]
○:造形物表面に1mm以上のサポート材の固形物が付着していないこと
△:造形物表面に1mm超2mm未満のサポート材の固形物が1個以上5個未満付着している
×:造形物表面に2mm以上のサポート材の固形物が付着している、もしくは、1mm以上2mm未満のサポート材の固形物が5個以上付着している
引張強度評価用造形物の造形中に、造形物の厚みが1.5mmに到達した段階で、造形を一時中断し、そのまま30分間放置した。その後、造形動作を再開し、最後まで造形動作を操作した。造形した造形物をASTM測定法に則り試験速度5mm/minで引っ張り、引張強度を求めた。このとき下記の基準により引張強度を評価した。△以上が実使用可能なレベルである。
[評価基準]
○:引張強度が30MPa以上
△:引張強度が25MPa以上30MPa未満
×:引張強度が25MPa未満
<1> 活性エネルギー線硬化型組成物を付与して液膜層を形成する液膜層形成工程と、
前記液膜層に活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程と、
を複数回繰り返して、硬化した層を積層することを含む、立体造形物の製造方法であって、
最後に形成する層(第n層)に照射される活性エネルギー線強度Pnが、第1層に照射される活性エネルギー線強度P1より小さいことを特徴とする、立体造形物の製造方法である。
<2> Pnが、第n−1層に照射される活性エネルギー線強度Pn−1よりも小さい、前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> さらにPn−1が、第n−2層を形成するための活性エネルギー線強度Pn−2よりも小さい、前記<2>に記載の立体造形物の製造方法である。
<4> さらにPn−2が、P1と等しい、前記<3>に記載の立体造形物の製造方法である。
<5> Pnが、Pn−1に対して30%以上80%以下である、前記<2>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> さらに、Pn−1が、Pn−2に対して30%以上80%以下である、前記<5>に記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 活性エネルギー線硬化型組成物を付与して液膜層を形成し、
前記液膜層に活性エネルギー線を照射して硬化させる処理、
を複数回繰り返して、硬化した層を積層する処理を実行させる立体造形プログラムであって、
最後に形成する層(第n層)に照射される活性エネルギー線強度Pnが、第1層に照射される活性エネルギー線強度P1より小さくする処理をコンピュータに実行させることを特徴とする立体造形プログラムである。
Claims (7)
- 活性エネルギー線硬化型組成物を付与して液膜層を形成する液膜層形成工程と、
前記液膜層に活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程と、
を複数回繰り返して、硬化した層を積層することを含む、立体造形物の製造方法であって、
最後に形成する層(第n層)に照射される活性エネルギー線強度Pnが、第1層に照射される活性エネルギー線強度P1より小さいことを特徴とする、立体造形物の製造方法。 - Pnが、第n−1層に照射される活性エネルギー線強度Pn−1よりも小さい、請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
- さらにPn−1が、第n−2層を形成するための活性エネルギー線強度Pn−2よりも小さい、請求項2に記載の立体造形物の製造方法。
- さらにPn−2が、P1と等しい、請求項3に記載の立体造形物の製造方法。
- Pnが、Pn−1に対して30%以上80%以下である、請求項2から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- さらに、Pn−1が、Pn−2に対して30%以上80%以下である、請求項5に記載の立体造形物の製造方法。
- 活性エネルギー線硬化型組成物を付与して液膜層を形成し、
前記液膜層に活性エネルギー線を照射して硬化させる処理、
を複数回繰り返して、硬化した層を積層する処理を実行させる立体造形プログラムであって、
最後に形成する層(第n層)に照射される活性エネルギー線強度Pnが、第1層に照射される活性エネルギー線強度P1より小さくする処理をコンピュータに実行させることを特徴とする立体造形プログラム。
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