JP2020146864A - 記録装置及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録画像から転写不良の発生を特定し、その結果を液処理や転写動作の条件を適切に設定することにより高品位な画像を記録できる記録装置及び記録方法を提供することである。【解決手段】記録ヘッドからインクを転写体に吐出して画像を記録し、前記画像を前記転写体から記録媒体に転写する記録装置において、以下の処理を行う。即ち、前記転写体に吐出されたインクの液体成分を除去する液処理を行い、液処理において液体成分を除去したインクを前記転写体から前記記録媒体に転写し、前記記録媒体に転写された画像の濃度を測定する。そして、画像の濃度の測定の結果に基づいて、前記液処理の動作条件を設定する。【選択図】 図12
Description
本発明は記録装置及び記録方法に関し、特に、例えば、記録ヘッドより回転する中間転写体にインクを吐出して画像が形成し、その画像を記録媒体に転写することで画像を記録する記録装置及び記録方法に関する。
従来より、インクジェット記録方式を適用し、樹脂微粒子を含んだインクを記録媒体に付与し、その記録媒体に付与されたインク中の液体分を処理し、インク像を皮膜化して画像を形成する画像形成装置が提案されている。
特許文献1は、そのような装置において、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去するために、熱エネルギーを用いずに多孔質体を液吸収部材として用いることで、転写体上のインクから液体成分を吸収し、インクから液体成分を除去する方法を提案している。
また、特許文献2は、中間転写体から記録媒体に転写する際に不良画像を検知し、インク残りを無くすために転写圧力、転写体温度を上げる制御を行っている。
しかしながら、特許文献1は不良画像の処理方法を提案している訳ではないし、特許文献2は液処理の方法や機構を提案している訳ではない。このため、特許文献1で提案された装置に特許文献2が提案するような不良画像の処理方法を適用したとしても、液処理機構と転写機構のどちらの影響によりインク残りの転写不良が発生しているのか、原因の特定が困難であるという課題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、記録画像の濃度を測定し、その結果に基づいて液処理や転写動作の条件を適切に設定することにより高品位な画像を記録できる記録装置及び記録方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の記録装置は次のような構成を有する。
即ち、記録ヘッドからインクを転写体に吐出して画像を記録し、前記画像を前記転写体から記録媒体に転写する記録装置であって、前記転写体に吐出されたインクの液体成分を除去する液処理手段と、前記液処理手段により液体成分を除去したインクを前記転写体から前記記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段により前記記録媒体に転写された画像の濃度を測定する測定手段と、前記測定手段による画像の濃度の測定の結果に基づいて、前記液処理手段の動作条件を設定する設定手段とを有することを特徴とする。
また本発明を他の側面から見れば、記録ヘッドからインクを転写体に吐出して画像を記録し、前記画像を前記転写体から記録媒体に転写する記録装置における記録方法であって、前記転写体に吐出されたインクの液体成分を除去する液処理工程と、前記液処理工程において液体成分を除去したインクを前記転写体から前記記録媒体に転写する転写工程と、前記転写工程において前記記録媒体に転写された画像の濃度を測定する測定工程と、前記測定工程における画像の濃度の測定の結果に基づいて、前記液処理工程における液処理の動作条件を設定する設定工程とを有することを特徴とする記録方法を備える。
本発明によれば、記録画像の濃度を測定し、その結果に基づいて液処理や転写動作の条件を適切に設定することにより転写不良の発生しない高品位な画像を記録することができるという効果がある。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には、複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられても良い。さらに添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
各図において、矢印XおよびYは水平方向を示し、互いに直交する。矢印Zは上下方向を示す。
<用語の説明>
この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。さらに人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。さらに人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。なお、インクの成分については、特に限定はないが、本実施形態では、色材である顔料、水、樹脂を含む水性顔料インクを用いる場合を想定する。
またさらに、「記録要素(又はノズル)」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
以下に用いる記録ヘッド用の素子基板(ヘッド基板)とは、シリコン半導体からなる単なる基体を指し示すものではなく、各素子や配線等が設けられた構成を差し示すものである。
さらに、基板上とは、単に素子基板の上を指し示すだけでなく、素子基板の表面、表面近傍の素子基板内部側をも示すものである。また、本発明でいう「作り込み(built−in)」とは、別体の各素子を単に基体表面上に別体として配置することを指し示している言葉ではなく、各素子を半導体回路の製造工程等によって素子板上に一体的に形成、製造することを示すものである。
<記録システム>
図1は本発明の一実施形態に係る記録システム1を概略的に示した正面図である。記録システム1は、転写体2を介して記録媒体Pにインク像を転写することで記録物P’を製造する、枚葉式のインクジェットプリンタである。記録システム1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、記録システム1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
図1は本発明の一実施形態に係る記録システム1を概略的に示した正面図である。記録システム1は、転写体2を介して記録媒体Pにインク像を転写することで記録物P’を製造する、枚葉式のインクジェットプリンタである。記録システム1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、記録システム1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
<記録装置>
記録装置1Aは、記録ユニット3、転写ユニット4および周辺ユニット5A〜5D、および、供給ユニット6を含む。
記録装置1Aは、記録ユニット3、転写ユニット4および周辺ユニット5A〜5D、および、供給ユニット6を含む。
<記録ユニット>
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、キャリッジ31とを含む。図1と図2を参照する。図2は記録ユニット3の斜視図である。記録ヘッド30は、転写体(中間転写体)2に液体インクを吐出し、転写体2上に記録画像のインク像を形成する。
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、キャリッジ31とを含む。図1と図2を参照する。図2は記録ユニット3の斜視図である。記録ヘッド30は、転写体(中間転写体)2に液体インクを吐出し、転写体2上に記録画像のインク像を形成する。
本実施形態の場合、各記録ヘッド30は、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。記録ヘッド30は、その下面に、ノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は、微小隙間(例えば数mm)を介して転写体2の表面と対向している。本実施形態の場合、転写体2は円軌道上を循環的に移動する構成であるため、複数の記録ヘッド30は、放射状に配置されている。
各ノズルには吐出素子が設けられている。吐出素子は、例えば、ノズル内に圧力を発生させてノズル内のインクを吐出させる素子であり、公知のインクジェットプリンタのインクジェットヘッドの技術が適用可能である。吐出素子としては、例えば電気熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する素子、電気機械変換体(ピエゾ素子)によってインクを吐出する素子、静電気を利用してインクを吐出する素子等が挙げられる。高速で高密度の記録の観点からは電気熱変換体を利用した吐出素子を用いることができる。
本実施形態の場合、記録ヘッド30は、9つ設けられている。各記録ヘッド30は、互いに異なる種類のインクを吐出する。異なる種類のインクとは、例えば、色材が異なるインクであり、イエロインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク等のインクである。1つの記録ヘッド30は1種類のインクを吐出するが、1つの記録ヘッド30が複数種類のインクを吐出する構成であってもよい。このように複数の記録ヘッド30を設けた場合、そのうちの一部が色材を含まないインク(例えばクリアインク)を吐出してもよい。
キャリッジ31は、複数の記録ヘッド30を支持する。各記録ヘッド30は、インク吐出面側の端部がキャリッジ31に固定されている。これにより、インク吐出面と転写体2との表面の隙間をより精密に維持することができる。キャリッジ31は、案内部材RLの案内によって、記録ヘッド30を搭載しつつ変位可能に構成されている。本実施形態の場合、案内部材RLは、Y方向に延設されたレール部材であり、X方向に離間して一対設けられている。キャリッジ31のX方向の各側部にはスライド部32が設けられている。スライド部32は案内部材RLと係合し、案内部材RLに沿ってY方向にスライドする。
図3は記録ユニット3の変位態様を示しており、記録システム1の右側面を模式的に示した図である。記録システム1の後部には回復ユニット12が設けられている。回復ユニット12は記録ヘッド30の吐出性能を回復する機構を有する。そのような機構としては、例えば、記録ヘッド30のインク吐出面をキャッピングするキャップ機構、インク吐出面をワイピングするワイパ機構、インク吐出面から記録ヘッド30内のインクを負圧吸引する吸引機構を挙げることができる。
案内部材RLは、転写体2の側方から回復ユニット12に渡って延設されている。記録ユニット3は、案内部材RLの案内により、実線で記録ユニット3を示した吐出位置POS1と、破線で記録ユニット3を示した回復位置POS3との間で変位可能であり、不図示の駆動機構により移動される。
吐出位置POS1は、記録ユニット3が転写体2にインクを吐出する位置であり、記録ヘッド30のインク吐出面が転写体2の表面に対向する位置である。回復位置POS3は、吐出位置POS1から退避した位置であり、記録ユニット3が回復ユニット12上に位置する位置である。回復ユニット12は記録ユニット3が回復位置POS3に位置した場合に、記録ヘッド30に対する回復処理を実行可能である。本実施形態の場合、記録ユニット3が回復位置POS3に到達する前の移動途中においても回復処理を実行可能である。吐出位置POS1と回復位置POS3の間には予備回復位置POS2があり、回復ユニット12は記録ヘッド30が吐出位置POS1から回復位置POS3へ移動中に、予備回復位置POS2において記録ヘッド30に対する予備的な回復処理を実行可能である。
<転写ユニット>
図1を参照して転写ユニット4について説明する。転写ユニット4は、転写ドラム41と圧胴42とを含む。これらの胴は、Y方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。図1において、転写ドラム41および圧胴42の各図形内に示した矢印は、これらの回転方向を示しており、転写ドラム41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。
図1を参照して転写ユニット4について説明する。転写ユニット4は、転写ドラム41と圧胴42とを含む。これらの胴は、Y方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。図1において、転写ドラム41および圧胴42の各図形内に示した矢印は、これらの回転方向を示しており、転写ドラム41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。
転写ドラム41は、その外周面に転写体2を支持する支持体である。転写体2は、転写ドラム41の外周面上に、周方向に連続的にあるいは間欠的に設けられる。連続的に設けられる場合、転写体2は無端の帯状に形成される。間欠的に設けられる場合、転写体2は、有端の帯状に複数のセグメントに分けて形成され、各セグメントは転写ドラム41の外周面に等ピッチで円弧状に配置することができる。
転写ドラム41の回転により、転写体2は円軌道上を循環的に移動する。転写ドラム41の回転位相により、転写体2の位置は、吐出前処理領域R1、吐出領域R2、吐出後処理領域R3およびR4、転写領域R5、転写後処理領域R6に区別することができる。転写体2はこれらの領域を循環的に通過する。
吐出前処理領域R1は、記録ユニット3によるインクの吐出前に転写体2に対する前処理を行う領域であり、周辺ユニット5Aによる処理が行われる領域である。本実施形態の場合、反応液が付与される。吐出領域R2は記録ユニット3が転写体2にインクを吐出してインク像を形成する形成領域である。吐出後処理領域R3およびR4はインクの吐出後にインク像に対する処理を行う処理領域であり、吐出後処理領域R3は周辺ユニット5Bによる処理が行われる領域であり、吐出後処理領域R4は周辺ユニット5Cによる処理が行われる領域である。転写領域R5は転写ユニット4により転写体2上のインク像が記録媒体Pに転写される領域である。転写後処理領域R6は、転写後に転写体2に対する後処理を行う領域であり、周辺ユニット5Dによる処理が行われる領域である。
本実施形態の場合、吐出領域R2は、一定の区間を有する領域である。他の領域R1、R3〜R6は、吐出領域R2に比べるとその区間は狭い。時計の文字盤に喩えると、本実施形態の場合、吐出前処理領域R1は概ね10時の位置であり、吐出領域R2は概ね11時から1時の範囲であり、吐出後処理領域R3は概ね2時の位置であり、吐出後処理領域R4は概ね4時の位置である。転写領域R5は概ね6時の位置であり、転写後処理領域R6は概ね8時の領域である。
転写体2は、単層から構成してもよいが、複数層の積層体としてもよい。複数層で構成する場合、例えば、表面層、弾性層、圧縮層の三層を含んでもよい。表面層はインク像が形成される画像形成面を有する最外層である。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速記録時においても転写性を維持することができる。弾性層は表面層と圧縮層との間の層である。
表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。表面層には、反応液の濡れ性、画像の転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。このようなゴム材料の成形時には、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し、多孔質のゴム材料としてもよい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがあるが、いずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料を用いることができる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。また、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で有利である。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも有利である。
表面層と弾性層の間、弾性層と圧縮層の間には、これらを固定するために各種接着剤や両面テープを用いることもできる。また、転写体2は、転写ドラム41に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を含んでもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体2は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
圧胴42は、その外周面が転写体2に圧接される。圧胴42の外周面には、記録媒体Pの先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。グリップ機構は圧胴42の周方向に離間して複数設けてもよい。記録媒体Pは圧胴42の外周面に密接して搬送されつつ、圧胴42と転写体2とのニップ部を通過するときに、転写体2上のインク像が転写される。
転写ドラム41と圧胴42とを駆動するモータ等の駆動源は、これらに共通とし、歯車機構等の伝達機構により、駆動力を分配することができる。
<周辺ユニット>
周辺ユニット5A〜5Dは転写ドラム41の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A〜5Dは、順に、付与ユニット、吸収ユニット、加熱ユニット、清掃ユニットである。
周辺ユニット5A〜5Dは転写ドラム41の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A〜5Dは、順に、付与ユニット、吸収ユニット、加熱ユニット、清掃ユニットである。
付与ユニット5Aは、記録ユニット3によるインクの吐出前に、転写体2上に反応液を付与する機構である。反応液は、インクを高粘度化する成分を含有する液体である。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している色材や樹脂等がインクを高粘度化する成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインクの粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂等のインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合も含まれる。
インクを高粘度化する成分は、金属イオン、高分子凝集剤など、特に制限はないが、インクのpH変化を引き起こして、インク中の色材を凝集させる物質を用いることができ、有機酸を用いることができる。反応液の付与機構としては、例えば、ローラ、記録ヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。転写体2に対するインクの吐出前に反応液を転写体2に付与しておくと、転写体2に達したインクを直ちに定着させることができる。これにより、隣接するインク同士が混ざり合うブリーディングを抑制することができる。
吸収ユニット5Bは、転写前に、転写体2上のインク像から液体成分を吸収する機構である。インク像の液体成分を減少させることで、記録媒体Pに記録される画像のにじみ等を抑制することができる。液体成分の減少を異なる視点で説明すれば、転写体2上のインク像を構成するインクを濃縮すると表現することもできる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
吸収ユニット5Bは、例えば、インク像に接触してインク像の液体成分の量を減少させる液吸収部材を含む。液吸収部材はローラの外周面に形成されてもよいし、液吸収部材が無端のシート状に形成され、循環的に走行されるものでもよい。インク像の保護の点で、液吸収部材の移動速度を転写体2の周速度と同じにして液吸収部材を転写体2と同期して移動させてもよい。
液吸収部材は、インク像に接触する多孔質体を含んでもよい。液吸収部材へのインク固形分付着を抑制するため、インク像に接触する面の多孔質体の孔径は、10μm以下であってもよい。ここで、孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。なお、液体成分は、一定の形を有さず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
加熱ユニット5Cは、転写前に、転写体2上のインク像を加熱する機構である。インク像を加熱することで、インク像中の樹脂が溶融し、記録媒体Pへの転写性を向上する。加熱温度は、樹脂の最低造膜温度(MFT)以上とすることができる。MFTは一般的に知られている手法、例えばJIS K 6828−2:2003や、ISO2115:1996に準拠した各装置で測定することが可能である。転写性及び画像の堅牢性の観点から、MFTよりも10℃以上高い温度で加熱してもよく、更に、20℃以上高い温度で加熱してもよい。加熱ユニット5Cは、例えば、赤外線等の各種ランプ、温風ファン等、公知の加熱デバイスを用いることができる。加熱効率の点で、赤外線ヒータを用いることができる。
なお、以上説明した吸収ユニット5Bと加熱ユニット5Cとは記録ヘッド3により転写体2に吐出されたインクを処理するという意味で捉えるなら、これら2つのユニットを合わせて液処理ユニットということもできる。つまり、液処理のうち、液体成分を液吸収部材により吸収する役目を果たすのが吸収ユニット5Bであり、さらに液体成分の減少したインクを加熱することにより、インクの樹脂成分を溶融する役目を果たすのが加熱ユニット5Cである。このようにして、2つのユニットから構成される液処理ユニットにより、インク像を転写前に転写に適した状態にすることができる。
清掃ユニット5Dは、転写後に転写体2上を清掃する機構である。清掃ユニット5Dは、転写体2上に残留したインクや、転写体2上のごみ等を除去する。清掃ユニット5Dは、例えば、多孔質部材を転写体2に接触させる方式、ブラシで転写体2の表面を擦る方式、ブレードで転写体2の表面をかきとる方式等の公知の方式を適宜用いることができる。また、清掃に用いる清掃部材は、ローラ形状、ウェブ形状等、公知の形状を用いることができる。
以上の通り、本実施形態では、付与ユニット5A、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、清掃ユニット5Dを周辺ユニットとして備えるが、これらの一部のユニットに転写体2の冷却機能を付与するか、あるいは、冷却ユニットを追加してもよい。本実施形態では、加熱ユニット5Cの熱により転写体2の温度が上昇する場合がある。記録ユニット3により転写体2にインクを吐出した後、インク像がインクの主溶剤である水の沸点を超えると、吸収ユニット5Bによる液体成分の吸収性能が低下する場合がある。吐出されたインクが水の沸点未満に維持されるように転写体2を冷却することで、液体成分の吸収性能を維持することができる。
冷却ユニットは、転写体2に送風する送風機構や、転写体2に部材(例えばローラ)を接触させ、この部材を空冷または水冷で冷却する機構であってもよい。また、清掃ユニット5Dの清掃部材を冷却する機構であってもよい。冷却タイミングは、転写後、反応液の付与前までの期間であってもよい。
<供給ユニット>
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する機構である。供給ユニット6は記録システム1の後部側に設けられていてもよい。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。貯留部TKは、メインタンクとサブタンクとによって構成されてもよい。各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インク中の気泡を脱気する脱気機構を設けてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インクの液圧と大気圧との調整を行うバルブを設けてもよい。貯留部TK内のインク液面が、記録ヘッド30のインク吐出面よりも低い位置となるように、貯留部TKと記録ヘッド30のZ方向の高さが設計されてもよい。
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する機構である。供給ユニット6は記録システム1の後部側に設けられていてもよい。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。貯留部TKは、メインタンクとサブタンクとによって構成されてもよい。各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インク中の気泡を脱気する脱気機構を設けてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インクの液圧と大気圧との調整を行うバルブを設けてもよい。貯留部TK内のインク液面が、記録ヘッド30のインク吐出面よりも低い位置となるように、貯留部TKと記録ヘッド30のZ方向の高さが設計されてもよい。
<搬送装置>
搬送装置1Bは、記録媒体Pを転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P’を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8cおよび回収ユニット8dを含む。図1において、搬送装置1Bの各構成の図形の内側の矢印はその構成の回転方向を示し、外側の矢印は記録媒体Pまたは記録物P’の搬送経路を示している。記録媒体Pは給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P’は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
搬送装置1Bは、記録媒体Pを転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P’を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8cおよび回収ユニット8dを含む。図1において、搬送装置1Bの各構成の図形の内側の矢印はその構成の回転方向を示し、外側の矢印は記録媒体Pまたは記録物P’の搬送経路を示している。記録媒体Pは給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P’は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
給送ユニット7は、複数の記録媒体Pが積載される積載部を含むと共に、積載部から一枚ずつ記録媒体Pを、最上流の搬送胴8に給送する給送機構を含む。各搬送胴8、8aはY方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。各搬送胴8、8aの外周面には、記録媒体P(または記録物P’)の先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。各グリップ機構は、隣接する搬送胴間で記録媒体Pを受け渡されるように、その把持動作および解除動作が制御される。
二つの搬送胴8aは、記録媒体Pの反転用の搬送胴である。記録媒体Pを両面記録する場合、表面への転写後に、圧胴42から下流側に隣接する搬送胴8へ記録媒体Pを渡さずに、搬送胴8aに渡す。記録媒体Pは、二つの搬送胴8aを経由して表裏が反転され、圧胴42の上流側の搬送胴8を経由して再び圧胴42へ渡される。これにより、記録媒体Pの裏面が転写ドラム41に面することになり、裏面にインク像が転写される。
チェーン8cは、二つのスプロケット8b間に巻き回されている。二つのスプロケット8bの一方は駆動スプロケットであり他方は従動スプロケットである。駆動スプロケットの回転によりチェーン8cが循環的に走行する。チェーン8cには、その長手方向に離間して複数のグリップ機構が設けられている。グリップ機構は、記録物P’の端部を把持する。下流端に位置する搬送胴8からチェーン8cのグリップ機構に記録物P’が渡され、グリップ機構に把持された記録物P’はチェーン8cの走行により回収ユニット8dへ搬送され、把持が解除される。これにより記録物P’が回収ユニット8d内に積載される。
<後処理ユニット>
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P’の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P’の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P’の画像記録面に、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、シートの溶着、ラミネート等を挙げることができる。
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P’の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P’の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P’の画像記録面に、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、シートの溶着、ラミネート等を挙げることができる。
<検査ユニット>
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’の検査を行う機構である。
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’の検査を行う機構である。
本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Aは、連続的に行われる記録動作中に、記録画像を撮影する。検査ユニット9Aが撮影した画像に基づいて、記録画像の色味などの経時変化を確認し、画像データあるいは記録データの補正の可否を判断することができる。本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、圧胴42の外周面に撮像範囲が設定されており、転写直後の記録画像を部分的に撮影可能に配置されている。検査ユニット9Aにより全ての記録画像の検査を行ってもよいし、所定数毎に検査を行ってもよい。
本実施形態の場合、検査ユニット9Bも、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Bは、テスト記録動作において記録画像を撮影する。検査ユニット9Bは、記録画像の全体を撮影し、検査ユニット9Bが撮影した画像に基づいて、記録データに関する各種の補正の基本設定を行うことができる。本実施形態の場合、チェーン8cで搬送される記録物P’を撮影する位置に配置されている。検査ユニット9Bにより記録画像を撮影する場合、チェーン8cの走行を一時的に停止して、その全体を撮影する。検査ユニット9Bは、記録物P’上を走査するスキャナであってもよい。
<制御ユニット>
次に、記録システム1の制御ユニットについて説明する。図4および図5は記録システム1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
次に、記録システム1の制御ユニットについて説明する。図4および図5は記録システム1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
ホスト装置HC1は、例えば、情報処理装置であるPCであってもよいし、サーバ装置であってもよい。また、ホスト装置HC1と上位装置HC2間の通信方法については、有線/無線のいずれでもよく、特に限定するものではない。
ホスト装置HC1では、記録画像の元になる原稿データが生成、あるいは保存される。ここでの原稿データは、例えば、文書ファイルや画像ファイル等の電子ファイルの形式で生成される。この原稿データは、上位装置HC2へ送信され、上位装置HC2では、受信した原稿データを制御ユニット13で利用可能なデータ形式(例えば、RGBで画像を表現するRGBデータ)に変換する。変換後のデータは、画像データとして上位装置HC2から制御ユニット13へ送信され、制御ユニット13は受信した画像データに基づき、記録動作を開始する。
本実施形態の場合、制御ユニット13は、メインコントローラ13Aと、エンジンコントローラ13Bとに大別される。メインコントローラ13Aは、処理部131、記憶部132、操作部133、画像処理部134、通信I/F(インタフェース)135、バッファ136および通信I/F137を含む。
処理部131は、CPU等のプロセッサであり、記憶部132に記憶されたプログラムを実行し、メインコントローラ13A全体の制御を行う。記憶部132は、RAM、ROM、ハードディスク、SSD等の記憶デバイスであり、CPU131(処理部)が実行するプログラムや、データを格納し、また、CPU131にワークエリアを提供する。記憶部132のほか、外付けの記憶部が更に設けられていてもよい。操作部133は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力デバイスであり、ユーザの指示を受け付ける。操作部133は、例えば、入力部と表示部が一体となった構成であってもよい。なお、ユーザ操作は、操作部133を介した入力に限定するものではなく、例えば、ホスト装置HC1や上位装置HC2から指示を受け付けるような構成であってもよい。
画像処理部134は例えば画像処理プロセッサを有する電子回路である。バッファ136は、例えば、RAM、ハードディスクやSSDである。通信I/F135は上位装置HC2との通信を行い、通信I/F137はエンジンコントローラ13Bとの通信を行う。図4において破線矢印は、画像データの処理の流れを例示している。上位装置HC2から通信IF135を介して受信された画像データは、バッファ136に蓄積される。画像処理部134はバッファ136から画像データを読み出し、読み出した画像データに所定の画像処理を施して、再びバッファ136に格納する。バッファ136に格納された画像処理後の画像データは、プリントエンジンが用いる記録データとして、通信I/F137からエンジンコントローラ13Bへ送信される。
図5に示すように、エンジンコントローラ13Bは、エンジン制御部14、15A〜15Eを含み、記録システム1が備えるセンサ群およびアクチュエータ群16の検知結果の取得および駆動制御を行う。これらの各制御部は、CPU等のプロセッサ、RAMやROM等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェースを含む。なお、制御部の区分けは一例であり、一部の制御を更に細分化した複数の制御部で実行してもよいし、逆に、複数の制御部を統合して、それらの制御内容を一つの制御部で行うように構成してもよい。
エンジン制御部14は、エンジンコントローラ13Bの全体の制御を行う。記録制御部15Aは、メインコントローラ13Aから受信した記録データをラスタデータ等、記録ヘッド30の駆動に適したデータ形式に変換する。記録制御部15Aは、各記録ヘッド30の吐出制御を行う。
転写制御部15Bは、付与ユニット5Aの制御、吸収ユニット5Bの制御、加熱ユニット5Cの制御、及び清掃ユニット5Dの制御を行う。
信頼性制御部15Cは、供給ユニット6の制御、回復ユニット12の制御、および記録ユニット3を吐出位置POS1と回復位置POS3との間で移動させる駆動機構の制御を行う。
搬送制御部15Dは、転写ユニット4の駆動制御や、搬送装置1Bの制御を行う。検査制御部15Eは、検査ユニット9Bの制御、および検査ユニット9Aの制御を行う。
センサ群およびアクチュエータ群16のうち、センサ群には、可動部の位置や速度を検知するセンサ、温度を検知するセンサ、撮像素子等が含まれる。アクチュエータ群にはモータ、電磁ソレノイド、電磁バルブ等が含まれる。
<動作例>
図6は記録動作の例を模式的に示す図である。転写ドラム41および圧胴42が回転されつつ、以下の各工程が循環的に行われる。状態ST1に示すように、始めに転写体2上に付与ユニット5Aから反応液Lが付与される。転写体2上の反応液Lが付与された部位は転写ドラム41の回転に伴って移動していく。反応液Lが付与された部位が記録ヘッド30の下に到達すると、状態ST2に示すように記録ヘッド30から転写体2にインクが吐出される。これによりインク像IMが形成される。その際、吐出されるインクが転写体2上の反応液Lと混ざりあうことで、色材の凝集が促進される。吐出されるインクは、供給ユニット6の貯留部TKから記録ヘッド30に供給される。
図6は記録動作の例を模式的に示す図である。転写ドラム41および圧胴42が回転されつつ、以下の各工程が循環的に行われる。状態ST1に示すように、始めに転写体2上に付与ユニット5Aから反応液Lが付与される。転写体2上の反応液Lが付与された部位は転写ドラム41の回転に伴って移動していく。反応液Lが付与された部位が記録ヘッド30の下に到達すると、状態ST2に示すように記録ヘッド30から転写体2にインクが吐出される。これによりインク像IMが形成される。その際、吐出されるインクが転写体2上の反応液Lと混ざりあうことで、色材の凝集が促進される。吐出されるインクは、供給ユニット6の貯留部TKから記録ヘッド30に供給される。
転写体2上のインク像IMは転写体2の回転に伴って移動していく。インク像IMが吸収ユニット5Bに到達すると状態ST3に示すように吸収ユニット5Bによりインク像IMから液体成分が吸収される。インク像IMが加熱ユニット5Cに到達すると状態ST4に示すように加熱ユニット5Cによりインク像IMが加熱され、インク像IM中の樹脂が溶融し、インク像IMが造膜される。このようなインク像IMの形成に同期して、搬送装置1Bにより記録媒体Pが搬送される。
状態ST5に示すように、インク像IMと記録媒体Pとが転写体2と圧胴42とのニップ部に到達し、記録媒体Pにインク像IMが転写され、記録物P’が製造される。ニップ部を通過すると、記録物P’に記録された画像が検査ユニット9Aにより撮影され、記録画像が検査される。記録物P’は搬送装置1Bにより回収ユニット8dへ搬送される。
転写体2上のインク像IMが形成されていた部分は、清掃ユニット5Dに到達すると状態ST6に示すように清掃ユニット5Dにより清掃される。清掃後、転写体2は一回転したことになり、同様の手順で記録媒体Pへのインク像の転写が繰り返し行われる。上記の説明では理解を容易にするために、転写体2の一回転で一枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写が一回行われるように説明したが、転写体2の一回転で複数枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写が連続的に行うことができる。
このような記録動作を継続していくと各記録ヘッド30のメンテナンスが必要となる。
図7は各記録ヘッド30のメンテナンスの際の動作例を示している。状態ST11は、吐出位置POS1に記録ユニット3が位置している状態を示す。状態ST12は、記録ユニット3が予備回復位置POS2を通過している状態を示し、通過中に回復ユニット12により記録ユニット3の各記録ヘッド30の吐出性能を回復する処理が実行される。その後、状態ST13に示すように、記録ユニット3が回復位置POS3に位置した状態で、回復ユニット12により各記録ヘッド30の吐出性能を回復する処理が実行される。
図8は検査ユニット9Aの概略構成を示す図である。
図8に示すように、検査ユニット9Aには画像を検知する概知のフィルタタイプの濃度計を用いている。即ち、検査ユニット9Aは、特定の波長帯の光のみを透過するフィルタ801と、発光ダイオード(LED)のような発光素子802と、光電変換素子のような受光素子803を含む。画像が転写された記録媒体Pが搬送されてくると、発光素子802から光を記録媒体Pに対して照射し、その反射光をフィルタ801を通して受光素子803が受光する。その受光光は受光素子803で光電変換され、受光強度に従った電気信号に変換される。
図9は画像濃度と受光素子からのセンサ出力との関係を示す図である。
図9に示すように、記録媒体に転写された画像の濃度が大きい(即ち、高濃度部分)とセンサ出力は小さくなり、画像の濃度が小さい(即ち、低濃度部分)とセンサ出力は大きくなる。
この実施形態の検査ユニット9Aでは、可視光域の光源に対して、概知の如く抽出する色の補色のフィルターを介して画像信号を検知する。図9から分かるように、画像濃度レベルが大きくなるとインクの吐出量が多くなり、記録媒体Pによる光の反射が少なくなるためセンサ出力値は小さくなっていく。画像濃度(O.D)はインクの吐出量が多くなるほど高くなっていく。
図10は記録媒体P上の異なる画像を検査ユニット9Aで読み取った時のセンサ出力を示す図である。
図10に示されるように、画像濃度レベルは記録媒体Pの領域1001→領域1002→領域1003の順にインク吐出量が増していくに従って、センサ出力はVa→Vb→Vcと小さくなる。
図11は画像の転写不良時におけるセンサ出力の出力変化を示す図である。
図11に示すように、転写不良の画像には大きく二つのパターンがある。即ち、図11(a)に示すように、転写体2と記録媒体Pとの間のインク層がその真ん中で別れてしまう状態(状態I)と、そのインク層が途中でちぎれてしまう状態(状態II)である。発明者による転写不良の状態についての解析調査により、それぞれの状態は、次のことが原因であることが判明した。
状態Iは、インク凝集層の記録媒体Pや転写体2への結着力より、インク層自体の結着が弱いために、転写する際にインク層が破壊されて別れてしまう主に液処理不良が原因である。具体的には、吸収ユニット5Bの液吸収部材の転写体2への押圧不足による転写体2からの液体成分の吸収処理不足や、加熱ユニット5Cの加熱不足による転写体2からの液体成分の蒸発処理不足であることが分かった。
また、状態II、はインク膜の結着は充分であるが、記録媒体Pとの結着が弱い、または、転写体2との結着が強すぎるために発生し、主に転写体2が原因である事が分かった。
さらに図11に示唆されているように、状態Iと状態IIとでは、センサ出力の時間的な変化が異なる。転写不良が状態Iである場合、センサ出力の電圧Vは電圧V1とV2との間で不規則に変動するのに対し、転写不良が状態IIである場合、センサ出力はインクがちぎれたタイミングで電圧V1未満の状態から電圧V2以上へと急に変化する。従って、センサ出力電圧を監視することで状態Iと状態IIとを判別し、インクがちぎれる原因を特定することが可能になる。なお、これら2つの電圧V1、V2は以下の実施例でそれぞれ閾値として用いる。
次に以上の構成の記録システムにおける液処理ユニットの動作条件を設定する方法についての実施例について説明する。ここでいう、液処理ユニットとは上述のように、吸収ユニット5Bと加熱ユニット5Cとから構成される。
ここでは、記録システム1本体の初期設置時に液処理ユニットの一部(吸収ユニット5B)の動作条件の設定を行う方法について説明する。。
図12は液処理ユニットの一部(吸収ユニット5B)の設置時調整処理を示すフローチャートである。
ユニット調整が開始されると、まずステップS110では、液処理ユニットの一部(吸収ユニット5B)の加圧条件を設定する。加圧条件としては、例えば、表1のように設定しておくとよい。この場合、最初はn=1として、印圧としてP1を選択する。なお、記載しない各ユニットについては、ステップS120において、予め定められた標準状態を設定するとよい。
ここでは、印圧P1を1kgf/cm2とし、以下、P2、P3……と、1kgf/cm2のステップで印圧を増加させていく。なお、この他の値を適宜条件として設定してもよい。
さて、ステップS130において記録動作が開始されると、入力された条件によって液処理ユニット(吸収ユニット5B)の液吸収部材を転写体2に対して設定された加圧条件(印圧)で加圧動作し、インク像IMより液処理を行う。その後、転写工程により転写体2から記録媒体Pへとインク像IMが転写される。その後、ステップS140では、転写されたインク像IMを検査ユニット9Aで読み取り、受光素子802からのセンサ出力を画像信号として、メモリに記憶する。
次に、ステップS150では、検査ユニット9Aにより読み取られた画像のセンサ出力値(電圧値)Vを第1の閾値(V1)と比較する。ここで、V≦V1であれば、正常な条件で安定的に液処理ユニット(吸収ユニット5B)が動作したと判断して、そのまま調整設定動作を終了する。
これに対して、V1<Vであれば、処理はステップS160に進み、第2の閾値(V2)と比較する。ここで、V≧V2であれば、前述のように転写不良である(状態II)と判断し、転写にかかる印圧が不適切な状態であるため、処理はステップS180に進み、異常を報知する。これは、操作部133から適切な警告メッセージを表示したり、ブザーを鳴動させることや、ホスト装置HC1に警告信号を送信することなどによってなされる。
これに対して、V≦V2であれば、処理はステップS170に進み、液処理ユニット(吸収ユニット5B)の加圧条件を変更し、その後、処理はステップS130に戻り、再度記録動作を実行する。ここでいう加圧条件の変更とは、表1に示した条件(n)のパラメータを+1して印圧を増加させることをいう。
なお、以上の処理では、1回の閾値との比較結果により、設定が正常かどうかを判断したが、閾値との比較を複数回連続させ安定的に出力を確認することも可能であり、適宜、そのような複数回の比較動作を行ってもよい。
また、以上の処理では液処理ユニットの加圧条件を最低圧力(P1)から順次高圧にしていく例について説明したが、標準値(P3)近傍から順次、高い方、又は低い方に±して変化させることも可能である。
また、液処理ユニット(吸収ユニット5B)の設定条件は液吸収部材の転写体2への当接圧に限定されるものでなく、液吸収部材の転写体2への当接角度でもよく、接触している時間つまり転写体2の回転速度や接触しているニップ幅でもよい。また、液処理ユニット(加熱ユニット5C)の設定条件を考慮する場合、加熱ユニット5Cの加熱温度や熱照射時間であってもよい。
さらに、吸収ユニット5Bと加熱ユニット5Cの設定条件の両方を考慮してもよい。
以上のように、転写条件を初期適正値に設定した状態で液処理ユニットの動作条件を変更していくことで、液処理ユニットに起因するる転写不良画像を意図的に発生させ、正常な転写画像となる液処理ユニットの動作条件を最適値として設定することができる。
また、記録システム1本体の初期設置時には液処理ユニットの設定に限らず、転写体2の初期設置時や交換時には、転写ユニット4の調整を同様に行うことができる。
特に、記録システム1本体を初めて設置する際や液処理ユニットを交換した際に最適な条件に調整することができ、各ユニット間のばらつきを抑制し、安定した状態でユニットを使用できる条件を見つけることができる。
図13は転写ユニット4の設置時調整処理を示すフローチャートである。
ユニット調整が開始されると、まずステップS210では、転写ユニット4の加圧条件を設定する。加圧条件としては、転写ドラム2と圧胴42の隙間(ギャップ値)や印加圧力を想定するが、例えば、表1のように設定しておくとよい。この場合、最初はn=1として、印圧としてP1を選択する。なお、記載しない各ユニットについては、ステップS220において、予め定められた標準状態を設定するとよい。なお、表1に示した以外の値を適宜条件として設定してもよいことは言うまでもない。
さて、ステップS230において記録動作が開始されると、入力された条件によって転写ユニット4の圧胴42を転写体2に対して設定された加圧条件(印圧)で加圧動作し、インク像IMの転写動作を行う。その後、ステップS240では、転写されたインク像IMを検査ユニット9Aで読み取り、受光素子802からのセンサ出力を画像信号として、メモリに記憶する。
次に、ステップS250では、検査ユニット9Aにより読み取られた画像のセンサ出力値(電圧値)Vを第1の閾値(V1)と比較する。ここで、V≦V1であれば、正常な条件で安定的に転写ユニット4が動作したと判断して、そのまま調整設定動作を終了する。
これに対して、V1<Vであれば、処理はステップS260に進み、第2の閾値(V2)と比較する。ここで、V≧V2であれば、前述のように転写不良である(状態II)と判断し、転写にかかる印圧が不適切な状態であるため、処理はステップS280に進み、異常を報知する。これは、操作部133から適切な警告メッセージを表示したり、ブザーを鳴動させることや、ホスト装置HC1に警告信号を送信することなどによってなされる。
これに対して、V≦V2であれば、処理はステップS270に進み、転写ユニット4の加圧条件を変更し、その後、処理はステップS230に戻り、再度記録動作を実行する。
なお、図12、図13に示したフローチャートは、液処理ユニットと転写ユニットそれぞれの調整設定処理を説明したものであるが、記録システム1の初期設定時などにはこれらユニット両方の調整が必要な場合がある。
図14は、2つのユニットの調整処理を示すフローチャートである。
2つのユニットの調整が必要な場合には、図14に示すように、ステップS310で、図12を参照して説明した液処理ユニットの調整を優先して実行し、その後、ステップS320で、図13を参照して説明した転写ユニット4の調整を実行するとよい。
従って以上説明した実施例に従えば、検査ユニット9Aを用いて転写された画像の濃度を測定し、そのセンサ出力に基づいて、転写不良が発生しないような液処理ユニットと転写ユニットの加圧条件を適切に設定することができる。
なお、以上説明した実施例では、記録媒体P上の画像の濃度を検知して転写不良の発生を判断する例について説明したが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、記録媒体に転写された画像の色情報としてL*a*b*情報を検知するセンサによって検知しても、同様にセンサ出力の信号変化に基づいて液処理ユニットや転写ユニットの動作条件を設定しても良い。更には、転写体2上の残留インクを検知することから得られるセンサ出力の信号変化に基づいて液処理ユニットや転写ユニットの動作条件を設定しても良い。
ここでは、記録動作シーケンスでの不良画像を検知について説明する。
図15は各ユニットの構成を示す図である。なお、図15において、既に図1を参照して説明したのと同じ構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。
図15に示しているように、転写ドラム2の回転方向に沿って、転写ドラム2の周囲には、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、温度センサ9D、圧胴42、検査ユニット9Cが配置されている。転写体2は、円弧状に間欠的に2つの部分21、22で分割構成されている。なお、この分割構成は2つの部分で限定されるものではなく、2枚以上、3枚、4枚などの複数枚の分割構成でも良い。
また、この実施例では、吸収ユニット5Bの無端ベルト状の液吸収部材は、転写体の分割構成に対応して、2つの部分5B1、5B2からなる分割構成となっている。
また、転写体2上のインク像を検知する検査ユニット9Cは960nmの近赤外光を発光する発光素子を用いているが、800〜1400nmの発光帯をもつ発光センサを用いても良い。
図16はイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックインクの反射特性を示す図である。図16において、(a)はイエロインク(Y)の反射特性を、マゼンタインク(M)の反射特性を、シアンインク(C)の反射特性を、ブラックインク(Bk)の反射特性をそれぞれ示している。
図16から分かるように、800nm〜960nm程度の近赤外光の波長において、各インクの反射光量は、発光素子からの照射光量に対して、イエロ、マゼンタ、シアンインクではおおよそ80%程であり、ブラックインクではおおよそ10%程である。
図17は画像濃度とセンサ出力との関係を示す図である。
転写体2の反射光量がカラーインクとブラックインクの間とすれば、図17に示すように調整することができれば、カラーインクの特性とブラックインクの特性を考慮して、濃度検出を行うことができる。つまり、カラーインク(イエロ、マゼンタ、シアンインク)の画像濃度レベルが上昇すれば、センサ出力の検知信号は増加し、ブラックインクの画像濃度レベルが上昇すれば、その検知信号は減少していく。
図18は転写体上のブラックインク像とセンサ出力の関係を示す図である。
図18には、画像転写時のブラックインク像と転写体2と記録媒体Pとの位置関係が示されている。図18(a)は転写体2にブラックインク像が付着したままの状態(状態1)を示している、図18(b)は記録媒体Pにブラックインク像が完全に転写された状態(状態2)を示している。図18(c)はブラックインク像の一部が転写体2に残留し、一部が記録媒体Pに転写された状態(状態3)を示している。
各状態でのセンサ出力が図18(a)〜(c)それぞれの右側に示されている。図18(a)〜(c)から分かるように、センサ出力の電圧変化を監視することで、ブラックインク像の転写の状態を判別することができる。
この実施例では、この特性を用いて転写体2上の残インクを検知する。
図19はエラー原因切り分け処理を示すフローチャートである。
通常の印刷工程において、記録画像の先端、後端、左右端のいずれかにチェックパターンを記録し、検査ユニット9Cで監視する。正常に各ユニットが動作していれば、転写後の転写体上には残インク像は殆ど無く、転写体2表面からの反射光を反映したセンサ出力信号(正常パターン)が得られる。この実施例では、正常パターンそれ以外の信号(異常)を検知したときに図19に示す処理を実行して原因の切り分けを行う。
図19によれば、まずステップS410において、検査ユニット9Cでの監視からセンサ出力に異常を検知すると、ステップS420では、チェックシーケンスを開始する。具体的には、ステップS430で、画像記録を停止し、予め定められたテストパッチを記録する。そして、ステップS440では、転写体2からテストパッチが記録媒体Pに転写された後の転写体2を検査ユニット9Cで読取り、センサ出力信号を取得する。
ここでは、ブラックインク像の最大濃度の信号で説明する。
次に、そのセンサ出力信号が、図18(a)、図18(b)、図18(c)のいずれのパターンであるか切り分ける。まず、ステップS450ではセンサ出力の信号電圧Vを第1の閾値V1と比較する。ここで、V≦V1であれば、転写動作後にも高濃度のインク画像が転写体2にそのまま残っている(図18(a)の状態1)と判断し、処理はステップS480に進み、転写条件を変更する。この変更は、実施例1の図12のステップS170や、図13のステップS270で説明した条件の変更に相当する。
さらに、ステップS490では、変更された条件が補正の限界値を超えているかどうかを調べる。具体的には、その処理は、例えば、表1の印圧P6を超えるような補正値となるかどうかを調べる処理である。ここで、その限界値を超えていないと判断された場合、処理はステップS430に戻り、異なる設定条件で再度テストパッチを記録する。これに対して、その限界値を超えるならば、処理はステップS500に進み、転写条件エラーと判断し、動作を終了し、転写体2のチェック、交換をユーザに促すよう報知する。これは、操作部133から適切なメッセージを表示することや、ホスト装置HC1にメッセージ信号を送信することなどによってなされる。
さて、ステップS450において、V1<Vであれば、処理はステップS460に進みセンサ信号Vが2つの閾値V1とV2の間にあるかどうかを調べる。ここで、V1<V<V2であれば、転写体2の状態は図18(c)に示すような状態(状態3)にあると判断し、処理はステップS510に進み温度センサ9Dの出力をチェックする。
ステップS510では、温度センサ9Dの出力値が適正値であるかどうかを調べる。ここで、温度センサ9Dの出力値が適正値ではないと判断された場合、処理はステップS520に進み、液処理ユニット(加熱ユニット5C)の動作条件を変更する。そして、変更された条件が補正の限界値を超えているかどうかを調べる。具体的には、その処理は、例えば、加熱ユニット5Cの加熱最大温度を超えるような補正値となるかどうかを調べる処理である。ここで、その限界値を超えていないと判断された場合、処理はステップS430に戻り、異なる設定条件で再度テストパッチを記録する。
これに対して、温度センサ9Dの出力値が適正値であると判断された場合、処理はステップS550に進み、液処理ユニット(吸収ユニット5B)の加圧条件を変更する。ステップS560では、変更された条件が補正の限界値を超えているかどうかを調べる。具体的には、その処理は、例えば、表1の印圧P6を超えるような補正値となるかどうかを調べる処理である。ここで、その限界値を超えていないと判断された場合、処理はステップS430に戻り、異なる加圧設定条件で再度テストパッチを記録する。これに対して、その限界値を超えるならば、処理はステップS570に進み、加圧条件エラーと判断し、動作を終了し、転写体2のチェック、交換をユーザに促すよう報知する。これは、操作部133から適切なメッセージを表示することや、ホスト装置HC1にメッセージ信号を送信することなどによってなされる。
さて、ステップS460において、V≧V2であれば、転写体2の状態は図18(b)に示すような状態(状態2)にあり、画像転写は正常に行われたと判断し、処理は正常終了する。
以上説明したような処理を間欠的に分割構成の転写体2の部分21、21が切替わるごとに、また、分割構成の液吸収部材5B1、5B2が切替わるごとに繰り返すことで、どの転写体の部分、どの液吸収部材の部分が異常なのかを検知することができる。また、液吸収部材と転写体の当接の組み合わせを変えることで、液処理ユニット(吸収ユニット5B)と転写体2の組み合わせで発生している状況も詳細に判断できる。
表2は転写体2と液処理ユニット(吸収ユニット5Bの液吸収部材)の組み合わせによって発生する異常検知の一例を示す。
記録動作中は各ユニットが勘合し同期して動作するため、上述のように転写体と液処理ユニットの分割構成の数が同じなら、記録にかかるユニットの組み合わせは変わらず、パターン1とパターン2で信号を検知することになる。しかしながら、これら2つのパターンだけではユニット間の組み合わせによる影響が検知できない場合がある。
例えば、表2のパターン2では液処理ユニット(液吸収部材)の異常と判断される場合でも、組み合わせが異なると、判断結果が異なる場合がある。
表3と表4はそれぞれ、転写体2の部分21、21と、液吸収部材5B1、5B2の組み合わせが異なる場合の判定結果を示している。このように、異常と判定されるが組み合わせに対して別の異常がでていないか確認する必要がある。
そのため、図19に示したフローチャートに従う処理の実行により現状の組み合わせを確認したのちに、液処理ユニットを転写体2から離間し、転写体2との位相をずらして再勘合させて再度図19に示したフローチャートの処理を実行する。この動作を繰り返すことで各ユニットの全組み合わせによる異常チェックを行う事ができる。
上記実施形態では、記録ユニット3が複数の記録ヘッド30を有するが、一つの記録ヘッド30を有してもよい。記録ヘッド30はフルラインヘッドでなくてもよく、記録ヘッド30をY方向に走査させながらインク像を形成するシリアル方式であってもよい。
記録媒体Pの搬送機構は、ローラ対によって記録媒体Pを挟持して搬送する方式等、他の方式であってもよい。ローラ対によって記録媒体Pを搬送する方式等においては、記録媒体Pとしてロールシートを用いてもよく、転写後にロールシートをカットして記録物P’を製造してもよい。
上記実施形態では、転写体2を転写ドラム41の外周面に設けたが、転写体2を無端の帯状に形成し、循環的に走行させる方式等、他の方式であってもよい。
また、本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
2 転写体、3 記録ユニット、4 転写ユニット、5A 付与ユニット、
5B 吸収ユニット、5C 加熱ユニット、5D 清掃ユニット、
9A、9B、9C 検査ユニット、9D 温度センサ、
30 記録ヘッド、41 転写ドラム、42 圧胴、P 記録媒体
5B 吸収ユニット、5C 加熱ユニット、5D 清掃ユニット、
9A、9B、9C 検査ユニット、9D 温度センサ、
30 記録ヘッド、41 転写ドラム、42 圧胴、P 記録媒体
Claims (13)
- 記録ヘッドからインクを転写体に吐出して画像を記録し、前記画像を前記転写体から記録媒体に転写する記録装置であって、
前記転写体に吐出されたインクの液体成分を除去する液処理手段と、
前記液処理手段により液体成分を除去したインクを前記転写体から前記記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段により前記記録媒体に転写された画像の濃度を測定する測定手段と、
前記測定手段による画像の濃度の測定の結果に基づいて、前記液処理手段の動作条件を設定する設定手段とを有することを特徴とする記録装置。 - 前記設定手段はさらに、前記測定手段による画像の濃度の測定の結果に基づいて、前記転写手段の転写条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記設定手段は、前記液処理手段の動作条件を設定し、その後、前記転写手段の転写条件を設定することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
- 前記液処理手段は、
前記転写体に吐出されたインクの液体成分を液吸収部材により吸収する吸収手段と、
前記吸収手段により液体成分が吸収されたインクを加熱する加熱手段とを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の記録装置。 - 前記液処理手段の動作条件は、前記吸収手段の液吸収部材の前記転写体に押圧する圧力と当接角度とのうち少なくともいずれか、前記加熱手段の加熱温度と熱照射時間とのうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
- 前記転写手段の転写条件は、前記転写体と圧胴の隙間や該圧胴による前記転写体への印加圧力のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
- 前記測定手段は、
前記記録媒体に転写された画像に光を照射する発光素子と、
前記発光素子により前記記録媒体に照射された光の反射光を受光する受光素子とを含むことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記設定手段は、
前記受光素子からの出力信号の電圧を第1の閾値及び前記第1の閾値より大きい第2の閾値と比較する比較手段を含み、
前記比較手段による比較の結果に従って、前記液処理手段の動作条件の設定と、前記転写手段の転写条件の設定との少なくともいずれかを変更することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。 - 前記比較手段による比較の結果に従って、前記液処理手段の動作条件と、前記転写手段の転写条件のうちの少なくともいずれかが不適切な状態にあると判断した場合、ユーザに適切な動作を促すよう報知する報知手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
- 前記測定手段により、記録動作シーケンスにおいて異常が検知された場合、前記異常の原因を切り分ける切り分け手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の記録装置。
- 前記転写体は回転体であって、
前記回転体の回転方向に沿って、前記回転体の周囲に、前記液処理手段と前記転写手段とが順に設けられ、
前記回転体の周囲に、前記転写手段からみて前記回転方向の下流側に、前記転写手段による転写後に前記転写体の残インクを検知する検知手段をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の記録装置。 - 前記切り分け手段は、
予め定められたテストパッチを前記転写体に記録し、さらに、記録媒体に前記テストパッチを転写し、その後、前記検知手段により前記テストパッチが転写された後の前記転写体の残インクを検知し、前記検知手段から得られる出力信号に基づいて、前記転写体にエラーがあるかどうか、前記液処理手段にエラーがあるかどうかを判断することを特徴とする請求項11に記載の記録装置。 - 記録ヘッドからインクを転写体に吐出して画像を記録し、前記画像を前記転写体から記録媒体に転写する記録装置における記録方法であって、
前記転写体に吐出されたインクの液体成分を除去する液処理工程と、
前記液処理工程において液体成分を除去したインクを前記転写体から前記記録媒体に転写する転写工程と、
前記転写工程において前記記録媒体に転写された画像の濃度を測定する測定工程と、
前記測定工程における画像の濃度の測定の結果に基づいて、前記液処理工程における液処理の動作条件を設定する設定工程とを有することを特徴とする記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019044189A JP2020146864A (ja) | 2019-03-11 | 2019-03-11 | 記録装置及び記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019044189A JP2020146864A (ja) | 2019-03-11 | 2019-03-11 | 記録装置及び記録方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020146864A true JP2020146864A (ja) | 2020-09-17 |
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ID=72430279
Family Applications (1)
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JP2019044189A Pending JP2020146864A (ja) | 2019-03-11 | 2019-03-11 | 記録装置及び記録方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020146864A (ja) |
-
2019
- 2019-03-11 JP JP2019044189A patent/JP2020146864A/ja active Pending
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