JP2020146835A - ワーク加工装置の制御装置及び制御方法並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 円筒形状の表面を有する多様な形状及びサイズのワークに対して、その表面に高精度で溝入れ加工を行うことが可能なワーク加工装置の制御装置及び制御方法並びにプログラムを提供する。【解決手段】 円筒形状の表面を有するワークを加工するワーク加工装置(1)の制御装置(10)であって、ワークの表面までの距離を測定するためのセンサー部から取得した測定結果に基づいて、ワーク支持部に支持されたワークの中心軸に平行な第1の軸に垂直かつワークの表面を切削するためのブレードに平行な第2の軸に沿う方向における、ワークの表面の頂点の位置を算出する検出部(14)と、ワークの表面の切削位置が第2の軸に沿う方向の頂点に位置するようにワーク支持部を制御し、ワーク支持部とブレードとを相対移動させて、ブレードにより切削位置に溝を形成する制御部(12)とを備える。【選択図】 図1
Description
本発明はワーク加工装置及び方法に係り、円筒形状のワークを加工するためのワーク加工装置及び方法に関する。
円筒形状のワークを加工する場合、ワーク回転軸回りにワークを回転可能に支持し、砥石等の加工工具を用いて研削を行う。例えば、特許文献1には、円筒形状のワークをワーク回転軸回りに回転させつつ、ワークの円筒面又は端面(ワーク回転軸に直交する面)に加工工具を当接させて研削を行う研削盤が開示されている。
円筒形状のワークの表面に対して、円筒の長さ方向(中心軸方向)に伸びる溝を形成する加工(以下、溝入れ加工という。)を行う場合がある。例えば、コンベックス型の超音波プローブを作成する場合には、円筒形状のパッキング材の表面に、駆動電極を備える圧電素子(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛)の層を形成し、この圧電素子の層に溝入れ加工を行って複数の素子に切断する。これにより、パッキング材の表面に超音波を送受信するための複数の素子が形成された超音波プローブが作成される。
上記のような溝入れ加工を行う場合には、まず、ワークをワーク支持部に回転可能に取り付ける。そして、ワークを回転させてワークの加工位置(溝を形成する目標位置。以下、切削位置という。)とブレードとが対向するように位置合わせを行い、ブレードをワークの中心軸に向けて切り込ませて溝を1本形成する。この位置合わせと切削とを繰り返すことにより、ワークの表面の各切削位置に溝を形成することが可能になる。
上記のような溝入れ加工では、ブレードの切り込み方向をワークの表面に対して垂直にすることが求められる。すなわち、ブレードの切り込み方向とワークの半径方向(ワークの表面(円筒面)の法線方向)とを一致させることが求められる。超音波プローブにおいて、ブレードの切り込み方向がワークの半径方向に対して傾くと、複数の素子の加工精度が低下し、素子間で超音波の送受信等の特性にばらつきが生じる。素子間の特性のばらつきは、超音波画像にノイズが生じる原因となり得る。
ブレードの切り込み方向とワークの半径方向とを一致させるためには、ワークをワーク支持部に取り付ける際に、円筒形状のワークの中心軸とワーク回転軸とを一致させることが考えられる。しかしながら、ワークの取付精度(機械精度)を十分に確保することができない場合には、ワークの中心軸とワーク回転軸とがずれてしまい、溝入れ加工の加工精度が悪化するという問題があった。
また、ワークの中心軸とワーク回転軸とを一致させる場合、加工可能なワークのサイズは、例えば、ワーク回転軸とブレードとの間の距離、ワーク支持部及びブレードの可動範囲等の制約を受ける。サイズの大きなワークの加工を行うためには、ワーク回転軸とブレードとの間の距離と、ワーク支持部及びブレードの可動範囲とを確保する必要があり、装置が大型化し、コストが高くなるという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、円筒形状の表面を有する多様な形状及びサイズのワークに対して、その表面に高精度で溝入れ加工を行うことが可能なワーク加工装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るワーク加工装置は、円筒形状の表面を有するワークを加工するワーク加工装置であって、ワークの中心軸に平行な第1の軸の回りに回転可能にワークを支持するワーク支持部と、ワーク支持部に支持されたワークの表面を切削するためのブレードを備える切削部と、第1の軸に垂直かつブレードに平行な第2の軸に沿う方向における、ワークの表面の頂点の位置を算出する検出部と、ワークの表面の切削位置が第2の軸に沿う方向の頂点に位置するようにワーク支持部を制御し、かつ、ブレードの切り込み方向が、ワークの中心軸とワークの表面の切削位置とによって規定される平面上になるように、ワーク支持部と切削部とを相対移動させて、切削位置に溝を形成する制御部とを備える。
第1の態様によれば、円筒形状のワークの表面に対して溝入れ加工を行う際に、ワークの中心軸と第1の軸(ワーク回転軸)とが一致していない場合であっても、ブレードの切り込み方向をワークの表面に対して垂直に保つことができるので、溝入れ加工を高精度で行うことが可能になる。さらに、第1の態様によれば、ワークの中心軸とワーク回転軸とを一致させる必要がないため、ワークの形状及びサイズに応じてワークの取り付け姿勢を調整することができ、多様なサイズのワークに対応することが可能になる。
本発明の第2の態様に係るワーク加工装置は、第1の態様において、第1の軸の回りにワークを回転させたときの少なくとも3つの回転位置において、第2の軸に沿う方向における少なくとも3つの頂点の位置を算出し、少なくとも3つの頂点の位置に基づいて第1の軸の回りにワークを回転させたときのワークの中心の軌跡を算出し、ワークの中心の位置及びワークの半径に基づいて切削位置を算出する演算部をさらに備える。
本発明の第3の態様に係るワーク加工装置は、第2の態様において、検出部は、ワークの表面の切削基準位置が第2の軸に沿う方向の頂点に位置するときの切削基準位置を算出し、演算部は、少なくとも3つの頂点の位置及び切削基準位置の算出結果に基づいてワークの中心の位置及びワークの半径を算出するようにしたものである。
本発明の第4の態様に係るワーク加工装置は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、ワークの表面を撮像可能なカメラをさらに備え、検出部は、カメラがワークの頂点よりも遠方に合焦した状態で、カメラを第1の軸に垂直な第3の軸に沿う方向に移動させて取得した画像に基づいて、ワークの表面の頂点を検出する。
本発明の第5の態様に係るワーク加工装置は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、ワークの表面における切削位置の高さ位置を測定するセンサー部をさらに備え、制御部は、切削位置の高さ位置の測定結果に基づいて、ブレードの切り込み深さを調整する。
本発明の第6の態様に係るワーク加工装置は、外側に凸の曲面形状の表面を有するワークを加工するワーク加工装置であって、第1の軸の回りに回転可能にワークを支持するワーク支持部と、ワーク支持部に支持されたワークの表面を切削するためのブレードを備える切削部と、ワークの表面を測定するセンサー部と、ワークの表面の測定結果に基づいて、第1の軸に垂直な平面上におけるワークの表面形状を算出する演算部と、演算部により算出したワークの表面形状に基づいて、ワーク支持部と切削部とを相対移動させて、ワークの表面に溝を形成する制御部とを備える。
本発明の第7の態様に係るワーク加工装置は、第6の態様において、演算部は、ワークの表面形状と、ワークの表面に形成する溝の間隔に基づいて、ワークの表面において溝を形成する切削位置を算出し、制御部は、切削位置に基づいて、ワーク支持部と切削部とを相対移動させて、切削位置に溝を形成する。
本発明の第8の態様に係るワーク加工装置は、第6又は第7の態様において、第1の軸に垂直かつブレードに平行な第2の軸に沿う方向における、ワークの表面の頂点の位置を算出する検出部をさらに備え、検出部は、ワークの基準回転位置から第1の軸の回りにワークを所定の回転角回転させた複数の回転位置における頂点の位置を検出し、演算部は、複数の回転位置における頂点の位置と、基準回転位置からの回転角に基づいて基準回転位置におけるワークの表面上の複数の点の位置を算出し、複数の点の位置に基づいてワークの表面形状を示す表面形状関数を算出する。
本発明の第9の態様に係るワーク加工装置は、外側に凸の曲面形状の表面を有するワークを加工するワーク加工装置であって、第1の軸の回りに回転可能にワークを支持するワーク支持部と、ワーク支持部に支持されたワークの表面を切削するためのブレードを備える切削部と、ワークの表面を測定するセンサー部と、ワークの表面の測定結果に基づいて、第1の軸に垂直な平面上におけるワークの表面形状を算出する演算部と、ワークの表面形状と、ワークの表面において溝を形成する切削位置に基づいて、切削位置が第1の軸に垂直かつブレードに平行な第2の軸に沿う方向の頂点になるように、ワークを第1の軸の回りに回転させ、ワーク支持部と切削部とを相対移動させて、切削位置に溝を形成する制御部とを備える。
本発明の第10の態様に係るワーク加工装置は、第9の態様において、演算部は、ワークの表面形状に基づいて、切削位置におけるワークの表面に対する法線を算出し、制御部は、法線が、第1の軸に垂直かつブレードに平行な第2の軸に沿う方向と平行になるように、ワークを第1の軸の回りに回転させ、ワーク支持部と切削部とを相対移動させて、切削位置に溝を形成する。
本発明の第11の態様に係るワーク加工装置は、第9の態様において、演算部は、ワークの表面形状に基づいて、切削位置におけるワークの表面に対する接線を算出し、制御部は、接線が、第1の軸に垂直かつブレードに平行な第2の軸に沿う方向と垂直になるように、ワークを第1の軸の回りに回転させ、ワーク支持部と切削部とを相対移動させて、切削位置に溝を形成する。
本発明の第12の態様に係るワーク加工装置は、第1から第11の態様のいずれかにおいて、ワーク支持部においてワークが固定される固定面と、ブレードの切削送り方向とを調整するための調整機構をさらに備える。
本発明の第13の態様に係るワーク加工方法は、円筒形状の表面を有するワークを加工するワーク加工方法であって、ワークの中心軸な第1の軸の回りに回転可能にワークをワーク支持部に支持するステップと、第1の軸に垂直かつブレードに平行な第2の軸に沿う方向における、ワークの表面の頂点の位置を算出するステップと、ワークの表面の切削位置が第2の軸に沿う方向の頂点に位置するようにワーク支持部を制御し、かつ、ブレードの切り込み方向が、ワークの中心軸とワークの表面の切削位置とによって規定される平面上になるように、ワーク支持部とブレードとを相対移動させて、切削位置に溝を形成するステップとを含む。
本発明の第14の態様に係るワーク加工方法は、外側に凸の曲面形状の表面を有するワークを加工するワーク加工方法であって、第1の軸の回りに回転可能にワークをワーク支持部に支持するステップと、センサー部により、ワークの表面を測定し、ワークの表面の測定結果に基づいて、第1の軸に垂直な平面上におけるワークの表面形状を算出するステップと、ワークの表面形状に基づいて、ワーク支持部とブレードとを相対移動させて、ワークの表面に溝を形成するステップとを含む。
本発明の第15の態様に係るワーク加工方法は、外側に凸の曲面形状の表面を有するワークを加工するワーク加工方法であって、第1の軸の回りに回転可能にワークをワーク支持部に支持するステップと、センサー部により、ワークの表面を測定するステップと、ワークの表面の測定結果に基づいて、第1の軸に垂直な平面上におけるワークの表面形状を算出するステップと、ワークの表面形状と、ワークの表面において溝を形成する切削位置に基づいて、切削位置が第1の軸に垂直かつブレードに平行な第2の軸に沿う方向の頂点になるように、ワークを第1の軸の回りに回転させ、ワーク支持部と切削部とを相対移動させて、切削位置に溝を形成するステップとを含む。
本発明によれば、円筒形状のワークの表面に対して溝入れ加工を行う際に、ワークの中心軸とワーク回転軸とを一致させなくても、高精度で溝を形成することが可能になる。さらに、本発明によれば、ワークの中心軸とワーク回転軸とを一致させる必要がないため、ワークの形状及びサイズに応じてワークの取り付け姿勢を調整することができる。これにより、多様なサイズのワークの加工を行うことが可能になる。また、本発明によれば、ワークの表面が円筒形状であるか非円筒形状であるかに関わらず、表面形状を算出することにより、ブレードの切り込み位置及び深さの調整を高精度で行うことが可能になる。
以下、添付図面に従って本発明に係るワーク加工装置及び方法の実施の形態について説明する。
[ワーク加工装置]
まず、本発明の一実施形態に係るワーク加工装置について、図1を参照して説明する。図1(A)及び図1(B)はそれぞれワーク加工装置の正面図及び側面図である。なお、以下の説明では、3次元直交座標系を用いて説明する。ワーク回転軸(R軸。第1の軸)はX軸と平行とする。
まず、本発明の一実施形態に係るワーク加工装置について、図1を参照して説明する。図1(A)及び図1(B)はそれぞれワーク加工装置の正面図及び側面図である。なお、以下の説明では、3次元直交座標系を用いて説明する。ワーク回転軸(R軸。第1の軸)はX軸と平行とする。
図1に示すように、ワーク加工装置1は、制御装置10、X駆動部20X、Y駆動部20Y、Z駆動部20Z、R駆動部20R、切削ユニット22、ブレード24、センサー部26、ワーク支持部28及びワークテーブル30を含んでいる。なお、図1(A)では、図面の簡略化のために制御装置10等を省略している。
ワークテーブル30は、モーター及びボールねじ等を含むX駆動部20XによりX方向に移動可能となっている。ワークテーブル30の上面には、ワーク支持部28が設けられている。ワーク支持部28には、回転テーブル28Rが取り付けられている。回転テーブル28Rは、モーター等を含むR駆動部20Rによりワーク回転軸(R軸)回りに回転可能となっている。回転テーブル28Rは、ワークWを固定するための機構(例えば、クランプ機構)を備えている。上記構成により、ワークWは、回転テーブル28Rに固定及び支持されてワーク回転軸(R軸)回りに回転可能であり、かつ、X方向に移動可能となっている。
切削ユニット(切削部)22は、不図示のYテーブル及びZテーブルを介してYZ方向に移動可能となっている。Yテーブルは、不図示のYベースの側面に設けられている。Yテーブルは、モーター及びボールねじ等を含むY駆動部20YによりY方向に移動可能となっている。Yテーブルには、不図示のZテーブルが取り付けられている。Zテーブルは、モーター及びボールねじ等を含むZ駆動部20ZによりZ方向に移動可能となっている。
Zテーブルには、切削ユニット22が固定されている。切削ユニット22には、ブレード24が取り付けられている。ブレード24は、円盤状の切削刃であり、不図示のスピンドルモーターにより回転可能となっている。ブレード24は、ZX平面に平行に保持されている。ブレード24としては、ダイヤモンド砥粒又はCBN(Cubic form of Boron Nitride)砥粒をニッケルで電着した電着ブレード、又は樹脂で結合したレジンブレード等が用いられる。ブレード24は、Y駆動部20YによりY方向に移動可能となっており、Z駆動部20ZによりZ方向に切り込み送り可能となっている。
切削ユニット22には、センサー部26が設けられている。センサー部26は、ワークWの表面WSの各点までの距離を測定するための変位センサーを備えている。変位センサーとしては、例えば、レーザー変位センサー、光学式又は接触式の変位センサーもしくはTOF(Time of Flight)カメラ等を用いることができる。
さらに、センサー部26は、撮像装置を備えている。撮像装置は、顕微鏡及びカメラ等を含んでおり、ワークWのアライメント及び加工状態の評価を行うために、ワークWの表面WSの撮像を行う。カメラとしては、例えば、エリアセンサーカメラを用いることができる。
上記構成により、円筒形状の表面WSを有するワークWを回転軸R回りに回転させてアライメントを行いながら、ワークWの表面WSに溝入れ加工を行うことが可能になる。
なお、本実施形態では、ワークテーブル30がX方向に移動し、切削ユニット22がYZ方向に移動するようにしたが、ワークテーブル30及び切削ユニット22の移動方向はこれに限定されない。例えば、ワークテーブル30がYZ方向に移動し、切削ユニット22がZX方向に移動するようにしてもよい。すなわち、ワークテーブル30と切削ユニット22とがXYZ方向に沿って相対移動可能となっていればよい。
また、ワーク加工装置1は、回転テーブル28RにおいてワークWが固定される固定面と、ワークWの切削方向(ブレード24の切削送り方向、X軸)とを調整するための調整機構を備えていてもよい。調整機構としては、図2に示すように、ワークWと回転テーブル28Rとの間にワークWを傾斜させる手動又は自動の傾斜ステージ機構32を用いることができる。また、調整機構としては、例えば、手動又は自動により、ワーク加工装置1のX軸(R軸)に対して直角な軸(例えば、Y軸又はZ軸)周りにワーク支持部28を回転させる機構を用いることもできる。これにより、ワークWに対するブレード24の切削送り方向と、ワーク加工装置1のX軸(R軸)とを平行にすることができる。
また、本実施形態では、センサー部26を切削ユニット22に設けて一体的に移動可能としたが、センサー部26及び切削ユニット22は別々に移動可能となっていてもよい。
次に、ワーク加工装置1の制御系について説明する。制御装置10は、ワーク加工装置1の各部の動作を制御する。制御装置10は、例えばパーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ等の汎用のコンピュータによって実現可能である。
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージデバイス(例えば、ハードディスク等)等を含んでいる。制御装置10では、ROMに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、制御装置10の各部の機能が実現される。
図1に示すように、制御装置10は、制御部12、検出部14及び演算部16として機能する。
制御部12は、入出力部18を介してオペレーターから操作入力を受け付けて、制御装置10の各部を制御し、X駆動部20X、Y駆動部20Y、Z駆動部20Z及びR駆動部20Rの動作を制御する。
入出力部18は、操作入力のための操作部材(例えば、キーボード、ポインティングデバイス等)及び表示部を含んでいる。
検出部14は、センサー部26の変位センサーからワークWの表面WSの測定結果のデータを取得し、ワークWの表面WSまでの距離を算出する。また、検出部14は、ワークWの表面WSの位置ごとの高さを算出して、ワークWのZ軸(第2の軸)方向の頂点(Z座標が最大の点)の座標を算出することが可能である。
演算部16は、ワークWの表面WSの頂点に基づいて、後述の補正円Cの算出及び加工位置(切削位置)の座標の算出等を行う。
図3に示すような円筒形状の表面WSを有する板状のワークWに対して溝入れ加工を行う場合、制御部12は、Y駆動部20Y及びR駆動部20Rを制御して、演算部16により算出されたワークWの表面WSの切削位置とブレード24とのアライメントを行う。そして、制御部12は、Z駆動部20Zを制御してブレード24のZ方向の切り込み送りを行いつつ、X駆動部20Xを制御してワークテーブル30のX方向の切削送りを行う。これにより、図3に示すように、ワークWの円筒形状の表面WSに、ワークWの円筒面の中心WCに向かって伸びる所定深さの溝Gが形成される。
[溝入れ加工の具体例]
次に、溝入れ加工の手順について、図4から図6を参照して説明する。図4から図6は、溝入れ加工の手順を説明するための図である。
次に、溝入れ加工の手順について、図4から図6を参照して説明する。図4から図6は、溝入れ加工の手順を説明するための図である。
以下の説明では、ワークWの表面WSの周方向に角度δおきに溝Gを形成する場合について説明する。なお、図4から図6では、ワークWは、表面WSとその中心を結ぶ扇形に簡略化して示している。また、ワーク回転軸(R軸)の位置を原点(Y,Z)=(0,0)とする。
まず、円筒形状の表面WSを有するワークWを回転テーブル28Rに取り付けて、ワークWの切削位置のアライメントに用いる補正円C1を算出する。本実施形態では、ワークWを回転テーブル28Rに取り付ける場合、ワークWの中心軸とワーク回転軸(R軸)とは互いに平行であればよく、一致させる必要はない。
補正円C1を算出する場合、図4に示すように、ワークWをR軸回りに回転させ、少なくとも3つの回転位置においてワークWの頂点(Z座標が最大の点)の座標を求める。各回転位置においてワークWの頂点の座標を求める場合、制御部12は、Y駆動部20Yを制御して、センサー部26の変位センサーを用いてワークWの表面WSを走査し、ワークWの表面WSの走査位置ごとに、変位センサーからワークWの表面WSまでの距離を測定する。
検出部14は、走査位置ごとの変位センサーからワークWの表面WSまでの距離のデータから各走査位置のZ座標を算出する。そして、検出部14は、各走査位置のワークWの表面WSの形状を算出し、ワークWの表面WSにおいてZ座標が最大となる頂点の座標を算出する。図4に示す例では、3つの回転位置W1、W2及びW3におけるワークWの頂点P1、P2及びP3の座標をそれぞれ(Y1,Z1)、(Y2,Z2)及び(Y3,Z3)とする。
演算部16は、3点P1(Y1,Z1)、P2(Y2,Z2)及びP3(Y3,Z3)を通る円(3点P1、P2及びP3により形成される三角形の外接円)である補正円C1を算出する。補正円C1は、ワークWをR軸回りに回転させたときの、ワークWの頂点の軌跡である。演算部16は、3点P1、P2及びP3のうちの2点を結ぶ線分の垂直二等分線の交点を、補正円C1の中心として求める。そして、演算部16は、補正円C1の中心と3点P1、P2及びP3のうちのいずれかとの距離を、補正円C1の半径Rcとして算出する。
ここで、ワークWの中心軸とR軸とが一致している場合には、補正円C1の中心は原点(Y,Z)=(0,0)と一致し、補正円C1の半径RcはワークWの半径rと等しくなる。この場合、以下の計算を行わずに、ブレード24をR軸の真上、すなわち、Y=0の平面に平行に配置し、ワークWをR軸回りに角度δずつ回転させて切削位置がY=0の位置になるようにアライメントを行って切削を行う。これにより、ワークWの円筒形状の表面WSに、ワークWの円筒面の中心WCに向かって伸びる所定深さの溝Gを形成することができる。
一方、図4に示すように、ワークWの円筒形状の表面WSの中心WCとR軸とが一致しない(離れている)場合には、補正円C1の中心はR軸と一致しない。この場合、以下の計算を行って、ブレード24と切削位置とのアライメントを行う。
図5に示すように、ワークWの表面WSには、切削位置の基準(切削基準位置)を示すアライメントマークM1が少なくとも1つ形成されている。ワークWの円筒面の中心WCとR軸とが一致しない場合には、まず、制御部12は、R駆動部20Rを制御して、アライメントマークM1がワークWの頂点に位置するように回転テーブル28Rを駆動する。以下、アライメントマークM1がワークWの頂点となる回転位置をW4とする。
なお、図5に示す例では、以降の計算を簡単にするために、アライメントマークM1がワークWの線対称の対称軸上に形成されているものとするが、アライメントマークM1の形成位置はこれに限定されない。
また、ワークWの表面WSにアライメントマークM1を形成することは必須ではない。例えば、ワークWの表面WSと対称軸との交点、又はワークWの表面WSの円筒状の部分の中央部又は端部等が自動的に切削基準位置として設定されるようにしてもよいし、切削基準位置をオペレーターが手動操作で設定可能としてもよい。
演算部16は、センサー部26の撮像装置を用いて検出されたワークWの頂点のアライメントマークM1の位置から、アライメントマークM1のY座標、すなわち、R軸に対するアライメントマークM1のY方向ズレ量dを算出する。このとき、R軸を中心とする半径Rcの補正円C0と直線Y=dとの交点P4がワークWの中心WCの位置となる。すなわち、補正円C0は、回転テーブル28Rを回転させたときのワークWの中心WCの軌跡と一致する。
次に、演算部16は、式(1)により、R軸(原点(Y,Z)=(0,0))とワークの中心の位置P4とを結ぶ線分がZ軸となす角(以下、ズレ角θという。)を算出する。
θ=arcsin(d/Rc) …(1)
また、制御部12は、センサー部26を用いて、変位センサーからアライメントマークM1までの距離を測定する。検出部14は、変位センサーからアライメントマークM1までの距離のデータからアライメントマークM1のZ座標、すなわち、高さhを算出する。そして、演算部16は、式(2)によりワークWの半径rを算出する。
また、制御部12は、センサー部26を用いて、変位センサーからアライメントマークM1までの距離を測定する。検出部14は、変位センサーからアライメントマークM1までの距離のデータからアライメントマークM1のZ座標、すなわち、高さhを算出する。そして、演算部16は、式(2)によりワークWの半径rを算出する。
r=h−Rc・cosθ …(2)
次に、演算部16は、式(3)及び式(4)により、回転位置W4におけるワークWの中心座標(Y4,Z4)を求める。
次に、演算部16は、式(3)及び式(4)により、回転位置W4におけるワークWの中心座標(Y4,Z4)を求める。
Y4=d …(3)
Z4=h−r …(4)
アライメントマークM1の検出後、制御部12は、X駆動部20X及びY駆動部20Yを制御して、アライメントマークM1が形成された切削基準位置の真上にブレード24を移動させる。そして、制御部12は、Z駆動部20Z及びX駆動部20Xを制御して、切削基準位置の切削を行う。このとき、ブレード24の切り込み方向は、ワークWの表面WSに対して垂直になる。換言すれば、ブレード24の切り込み方向は、ワークWの中心軸とワークWの表面WSの切削基準位置とによって規定される平面上になる。これにより、切削基準位置に、ワークWの円筒面の中心WCに向かって伸びる所定深さの溝Gが形成される。
Z4=h−r …(4)
アライメントマークM1の検出後、制御部12は、X駆動部20X及びY駆動部20Yを制御して、アライメントマークM1が形成された切削基準位置の真上にブレード24を移動させる。そして、制御部12は、Z駆動部20Z及びX駆動部20Xを制御して、切削基準位置の切削を行う。このとき、ブレード24の切り込み方向は、ワークWの表面WSに対して垂直になる。換言すれば、ブレード24の切り込み方向は、ワークWの中心軸とワークWの表面WSの切削基準位置とによって規定される平面上になる。これにより、切削基準位置に、ワークWの円筒面の中心WCに向かって伸びる所定深さの溝Gが形成される。
次に、切削基準位置に対して角度δ回転した切削位置に対して溝入れ加工を行う場合について説明する。なお、図6では、図示の便宜上、角度δを実際の溝入れ加工の間隔よりも誇張して示している。
まず、制御部12は、図6に示すように、R駆動部20Rを制御して、回転テーブル28Rを角度δ回転させる。このときのワークの回転位置をW5とする。
演算部16は、式(5)及び式(6)により、回転位置W5におけるワークWの中心WCの位置P5の座標(Y5,Z5)を算出する。
Y5=Y4・cosδ−Z4・sinδ …(5)
Z5=Y4・sinδ+Z4・cosδ …(6)
回転位置W5では、切削位置は、ワークWの中心WCの点P5の真上のワークWの頂点P6になる。演算部16は、式(5)及び式(6)により、切削位置P6の座標(Y6,Z6)を求める。
Z5=Y4・sinδ+Z4・cosδ …(6)
回転位置W5では、切削位置は、ワークWの中心WCの点P5の真上のワークWの頂点P6になる。演算部16は、式(5)及び式(6)により、切削位置P6の座標(Y6,Z6)を求める。
Y6=Y5 …(7)
Z6=Z5+r …(8)
制御部12は、切削位置P6の座標(Y6,Z6)に基づいて、Y駆動部20Y及びZ駆動部20Zを制御して、切削位置P6とブレード24とのアライメント及び切削深さの制御を行う。これにより、切削基準位置から周方向に角度δ離れた切削位置に、ワークWの円筒面の中心WCに向かって伸びる所定深さの溝Gが形成される。
Z6=Z5+r …(8)
制御部12は、切削位置P6の座標(Y6,Z6)に基づいて、Y駆動部20Y及びZ駆動部20Zを制御して、切削位置P6とブレード24とのアライメント及び切削深さの制御を行う。これにより、切削基準位置から周方向に角度δ離れた切削位置に、ワークWの円筒面の中心WCに向かって伸びる所定深さの溝Gが形成される。
以下、ワークWを角度δ回転させて、ワークWの回転位置ごとにワークWの中心WCの位置及び切削位置を算出してアライメントを行う。また、アライメントマークM1に対して図中左側の領域についても、同様にして溝Gを形成する。これにより、図3に示すように、ワークWの表面WSに、ワークWの円筒面の中心WCに向かって伸びる所定深さの溝Gが角度δ間隔で形成される。
本実施形態によれば、ワーク支持部28の回転テーブル28RにワークWを取り付けるときに、ワークWの中心軸とワーク回転軸(R軸)とを一致させなくても、切削位置がワークWの頂点になるようにワークWの位置を制御することができる。これにより、ワークWの表面WSに対して垂直に溝入れ加工を行うことが可能にできるので、溝入れ加工を高精度に行うことが可能になる。
さらに、本実施形態によれば、ワークWの中心軸とR軸とを一致させる必要がないので、回転テーブル28RにワークWを固定するときの位置及び姿勢の自由度が増す。このため、サイズの大きなワーク又は細長いワークであっても、ワークWのサイズ及び形状に応じて、ワークWの取り付け位置及び姿勢を調整して、ブレード24とR軸との間の空間に収まるように取り付けることができる。
なお、本実施形態では、溝Gの間隔δを一定としたが、溝Gの間隔が一定でない場合であっても、上記と同様の手順により溝入れ加工を行うことが可能である。
また、本実施形態では、溝Gの間隔を角度δにより定めたが、ワークWの周方向の距離により定めてもよい。この場合、ワークWの半径rを用いて、ワークWの周方向の距離をワークのWの回転角度に換算することにより、上記と同様の手順により溝入れ加工を行うことが可能である。
[ワーク加工方法]
次に、本実施形態に係るワーク加工方法(溝入れ加工方法)について図7を参照して説明する。
次に、本実施形態に係るワーク加工方法(溝入れ加工方法)について図7を参照して説明する。
まず、円筒形状の表面WSを有するワークWがワーク加工装置1に搬入されて、回転テーブル28Rに固定される(ステップS10)。
次に、制御部12は、R駆動部20Rを制御してワークWを回転させて、少なくとも3つの回転位置(図4のW1からW3)において、センサー部26の変位センサーを用いて、ワークWの表面WSを走査する。検出部14は、変位センサーによる測定結果のデータを用いて、少なくとも3つの回転位置におけるワークWの頂点(図4のP1からP3)の座標を算出する(ステップS12)。
次に、演算部16は、少なくとも3つのワークWの頂点の座標から、ワークWの頂点の軌跡に相当する補正円C1の半径Rcを算出する(ステップS14)。
次に、制御部12は、アライメントマークM1が形成された切削基準位置がワークWの頂点になるようにワークWを回転させる(ステップS16。図5の回転位置W4)。そして、検出部14は、回転位置W4におけるワークWの頂点(切削基準位置)を検出して、ワークWの頂点のY方向ズレ量d及び高さhを算出する(ステップS18)。また、演算部16は、回転位置W4におけるワークWの中心WCの位置P4の座標及びワークWの半径rを算出する(ステップS20)。
次に、制御部12は、Y駆動部20Y及びZ駆動部20Zを制御して、ブレード24とワークWの切削基準位置とのアライメントを行う。そして、制御部12は、Z駆動部20Zを制御してブレード24のZ方向の切り込み送りを行いつつ、X駆動部20Xを制御してワークテーブル30のX方向の切削送りを行って、ブレード24により切削基準位置の切削を行う(ステップS22)。
次に、制御部12は、R駆動部20Rを制御して、次の切削位置がワークWの頂点になるようにワークWを回転させる(ステップS24。図6の回転位置W5)。そして、演算部16は、回転位置W5におけるワークWの中心WCの位置P5、及び切削位置P6の座標を算出する(ステップS26)。
次に、制御部12は、切削位置P6の座標に基づいてY駆動部20Y及びZ駆動部20Zを制御して、ブレード24とワークWの切削基準位置とのアライメントを行う。そして、制御部12は、Z駆動部20Zを制御してブレード24のZ方向の切り込み送りを行いつつ、X駆動部20Xを制御してワークテーブル30のX方向の切削送りを行って、ブレード24により切削基準位置の切削を行う(ステップS28)。このとき、制御部12は、切削位置P6のZ座標に基づいて、ブレード24の切り込み深さの制御を行う。
次に、制御部12は、ステップS24からS30の工程を繰り返して、ワークWの表面WSに順次溝Gを形成する。そして、すべての切削位置の切削が終了すると(ステップS30のYes)、ワークWの溝入れ加工が終了する。
なお、本実施形態では、ワークWの表面WSの位置ごとの高さを算出して、ワークWのZ軸方向の頂点の座標を算出するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ワークWの表面WSを測定して得られる画像(例えば、コントラスト、光量又はシェーディング等)に基づいて、頂点の座標を算出するようにしてもよい。
図8は、ワークの頂点を検出する手順を説明するための図である。図8(A)は、ワークとセンサー部の位置関係を示す図であり、図8(B)は、コントラストの変化を示すグラフである。なお、図8に示す例では、ワークWの表面WSの形状が円筒(真円)形状の場合について説明する。
図8に示す例では、センサー部26は、フォーカスレンズと、撮像素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device))とを備えるカメラを備えている。ワークWの表面WSの頂点Pc(Z座標が最大の点。すなわち、カメラに最も近い点)の検出を行う場合、制御部12は、センサー部26のカメラのフォーカスレンズを制御して、ワークWの表面WSの頂点Pcよりも遠方の点に合焦させた状態でフォーカスレンズを固定する。
次に、制御部12は、Y駆動部20Yを制御して、センサー部26のカメラをY方向(第3の軸に沿う方向)に移動させて画像を撮像する。そして、制御部12は、この画像に基づいて頂点の検出を行う。図8(A)に示す例では、位置26A及び26Cにおいて、センサー部26のカメラがワークWの表面WSの点FP1及びFP2に合焦し、位置26B及び26Dでは非合焦状態となる。
図8(B)に示すように、センサー部26のカメラから出力されるコントラスト値は、それぞれカメラの合焦位置FP1及びFP2に対応する位置Y1及びY2で極大となる。ワークWの表面形状が円筒(真円)形状の場合、ワークWの表面WSがZ軸に対して略線対称であるため、ワークWの頂点PcのY座標Ycは、Yc(=|Y2−Y1|/2)となる。頂点PcのZ座標Zcについては、センサー部26のカメラのフォーカス機能により測定してもよいし、変位センサーを用いて測定してもよい。また、ワークWの表面WSの形状があらかじめわかっている場合には、表面形状から算出してもよい。
なお、図8に示す頂点検出方法では、被写界深度を浅くする(例えば、センサー部26のカメラのレンズの焦点距離を長くするか又は絞り値(F値)を小さくする)ことが好ましい。これにより、センサー部26のカメラが合焦する範囲を狭くすることができるので、合焦位置FP1及びFP2の検出を精度よく行うことが可能になる。
また、図8では、表面WSが円筒(真円)形状のワークWについて説明したが、円筒形状からずれた非円筒形状のワークWであっても、表面WSがZ軸に対して略線対称の場合には、図8に示す頂点検出方法により頂点Pcの位置を検出することが可能である。
また、表面WSがZ軸に対して略線対称でない場合でも、図8に示す頂点検出方法と変位センサーを用いた検出とを併用することで、頂点検出を行うことが可能である。例えば、図8に示す頂点検出方法により合焦位置FP1とFP2との中線近傍を頂点Pcの概略位置を特定し、変位センサーを用いて頂点Pcの正確な位置を検出することにより、頂点検出を効率的に行うことが可能になる。
また、コントラスト値以外の物理量、例えば、光量又はシェーディング等の変化に基づいて、頂点の位置を算出するようにしてもよい。
[ワークの表面形状が円筒(真円)形状ではない場合]
上記の実施形態では、ワークWの表面Wsの形状が円筒(真円)形状の場合について説明したが、ワークW(例えば、圧電素子の層)の曲げ加工を行う際の精度によりワークWの表面Wsの形状が円筒(真円)形状とならない場合がある。
上記の実施形態では、ワークWの表面Wsの形状が円筒(真円)形状の場合について説明したが、ワークW(例えば、圧電素子の層)の曲げ加工を行う際の精度によりワークWの表面Wsの形状が円筒(真円)形状とならない場合がある。
図9は、ワークの表面形状が円筒形状ではない例を示す図である。図9において、符号Wiは理想的な円筒(真円)形状の場合のワークWの表面を示している。なお、図9では、図示の便宜上、ワークWの変位及び溝の形状を誇張して示している。
図9に示す例では、切削位置において、ワークWの表面Wsが理想的な円筒形状の表面Wiに対して−Z側に変位している。このため、円筒形状の表面Wiを仮定して溝入れ加工を行うと、符号Giで示すように、ブレード24の切り込み深さが浅くなる。ブレード24の切り込み深さが足りない場合、ワークWが駆動電極を備える圧電素子の層の場合には、駆動電極の分割ができなくなる。
このため、センサー部26により、切削位置の実際のZ方向の高さ位置を測定する。そして、演算部16により、理想的な円筒形状の場合との差分dを算出する。そして、制御部12は、溝Gsの溝入れ加工を行うときに、ブレード24が差分dだけ−Z方向に深くなるように切削送りを行う。
逆に、切削位置において、ワークWの表面Wsが+Z側に変位している場合には、ブレード24が+Z方向に浅くなるように切削送りを行う。すなわち、上記の実施形態では、切削位置の実際のZ方向の高さ位置の測定結果に基づいて、ブレード24の切削送りの深さを調整することにより、ワークWの切断を確実に行うことが可能になる。
[外側に凸の曲面形状のワークに対する溝入れ加工の具体例]
次に、外側に凸の曲面形状のワークに対する溝入れ加工の手順について、図10から図17を参照して説明する。図10から図17は、外側に凸の曲面形状のワークに対する溝入れ加工の手順を説明するための図である。なお、図13は、図12の一部拡大図(XIII部の拡大図)である。
次に、外側に凸の曲面形状のワークに対する溝入れ加工の手順について、図10から図17を参照して説明する。図10から図17は、外側に凸の曲面形状のワークに対する溝入れ加工の手順を説明するための図である。なお、図13は、図12の一部拡大図(XIII部の拡大図)である。
以下の説明では、ワークWの表面WSの周方向に等間隔で溝Gを形成する場合について説明する。なお、図10から図17では、ワークWは、表面WSとその中心を結ぶ扇形に簡略化して示している。また、ワーク回転軸(R軸)の位置を原点(Y,Z)=(0,0)とする。
(手順1:ワークの表面形状の算出)
まず、ワークWを回転テーブル28Rに取り付けて、ワークWの表面WSの形状を算出する。本実施形態では、YZ平面におけるワークWの表面WSの形状を示す表面形状関数Z=f(Y)を算出する。なお、本実施形態では、ワークWを回転テーブル28Rに取り付ける場合、ワークWの中心軸とワーク回転軸(R軸)とは互いに平行であればよく、一致させる必要はない。
まず、ワークWを回転テーブル28Rに取り付けて、ワークWの表面WSの形状を算出する。本実施形態では、YZ平面におけるワークWの表面WSの形状を示す表面形状関数Z=f(Y)を算出する。なお、本実施形態では、ワークWを回転テーブル28Rに取り付ける場合、ワークWの中心軸とワーク回転軸(R軸)とは互いに平行であればよく、一致させる必要はない。
図10に示すように、ワークWの表面WSには、切削位置の基準(切削基準位置)P0を示すアライメントマークM1が少なくとも1つ形成されている。以下の説明では、切削基準位置P0がワークWの表面WSの頂点(Z座標が最大の点)となる位置を基準回転位置W0とし、基準回転位置W0を基準としてワークWを反時計回りにそれぞれ角度φ(一例で10°)、2φ、3φ、4φ回転させた位置を回転位置W1、W2、W3及びW4とする。そして、回転位置W1、W2、W3及びW4におけるワークWの表面WSの頂点を、それぞれPc1、Pc2、Pc3及びPc4とする。
なお、図10等に示す例では、ワークWの表面WSを楕円形として示しており、図中の符号C0からC4は、それぞれ回転位置W0からW4における表面WSの中心の位置を示している。
ワークWの表面形状関数Z=f(Y)を算出する場合、図10から図12に示すように、制御部12は、R軸を中心に反時計回りに角度φずつワークWを回転させる。
検出部14は、ワークWの表面WSを走査して、各回転位置W0、W1、W2、W3及びW4におけるワークWの頂点Pc1、Pc2、Pc3及びPc4を求める。これにより、図13に示すように、基準回転位置W0における頂点(基準切削位置)P0の座標(Y0,Z0)と、基準切削位置W0を基準として反時計回りにそれぞれ角度φ、2φ、3φ、4φ回転させた回転位置W1、W2、W3及びW4におけるワークWの頂点Pc1、Pc2、Pc3及びPc4の座標(Yc1,Zc1)、(Yc2,Zc2)、(Yc3,Zc3)及び(Yc4,Zc4)が算出される。
演算部16は、回転位置W0、W1、W2、W3及びW4におけるワークWの頂点Pc1、Pc2、Pc3及びPc4を、R軸を中心に時計回りにそれぞれ角度φ、2φ、3φ、4φ回転させた点Pcr1、Pcr2、Pcr3及びPcr4の座標(Ycr1,Zcr1)、(Ycr2,Zcr2)、(Ycr3,Zcr3)及び(Yc4,Zc4)を算出する。図14に示すように、点Pcr1、Pcr2、Pcr3及びPcr4は、ワークWが基準回転位置W0にある場合にワークWの表面WSに位置することになる。
同様に、制御部12は、基準回転位置W0を基準としてワークWを時計回りにそれぞれ角度φ、2φ、3φ、4φ回転させた回転位置ごとに、検出部14を用いて頂点の検出を行う。そして、演算部16は、これらの頂点を反時計回りに角度φずつ回転させた点Pcr−1、Pcr−2、Pcr−3及びPcr−4の座標を算出する。これにより、基準回転位置W0におけるワークWの表面WS上の点Pcr−4、Pcr−3、Pcr−2、Pcr−1、P0、Pcr1、Pcr2、Pcr3及びPcr4の座標が算出される。
演算部16は、ワークWの表面WS上の点Pcr−4、Pcr−3、Pcr−2、Pcr−1、P0、Pcr1、Pcr2、Pcr3及びPcr4の座標を用いて、ワークWの表面形状関数Z=f(Y)を算出する。ここで、表面形状関数Z=f(Y)は、例えば、ワークWの表面WS上の点Pcr−4、Pcr−3、Pcr−2、Pcr−1、P0、Pcr1、Pcr2、Pcr3及びPcr4の座標を用いて、例えば、多項式補間、区分多項式補間、ラグランジュ補間、スプライン補間又はニュートン補間等により求めることができる。なお、表面形状関数Z=f(Y)の演算方法は、これに限定されず、例えば、最小二乗近似を適用してもよい。
図10から図14に示す例では、表面形状関数Z=f(Y)の算出のために頂点検出を行う回転位置の数を9つとしたが、本発明はこれに限定されない。回転位置の数は、要求精度等に応じて増減可能である。また、複数の回転位置の測定を行う角度も等角度である必要はなく、例えば、円筒形状からのずれが大きいと考えられる部分(例えば、Y方向の両端部近傍等)については、頂点の数を増加させることも可能である。
なお、本実施形態では、複数の回転位置における頂点の座標の検出結果に基づいて、表面形状関数Z=f(Y)を算出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、センサー部26として、ワークWの表面WS全体をY方向にスキャニング可能な変位センサーを用いて、ワークWの回転位置ごとの頂点検出を行うことなく、ワークWの表面WSの形状を測定し、その測定結果に基づいて、表面形状関数Z=f(Y)を算出してもよい。
(手順2:切削位置の算出)
次に、ワークWの面形状関数Z=f(Y)に基づいて、ワークWの表面WSにおける切削位置を算出する。
次に、ワークWの面形状関数Z=f(Y)に基づいて、ワークWの表面WSにおける切削位置を算出する。
図15に示すように、本実施形態では、基準切削位置P0の図中左右に等間隔(ピッチP)で5本ずつ、合計11本の溝Gを形成する例について説明する。なお、溝Gの本数はこれに限定されるものではない。以下の説明では、基準切削位置P0を基準として図中右方の切削位置をP0側から順にP1からP5とし、基準切削位置P0を基準として図中左方の切削位置をP0側から順にP−1からP−5とする。ここで、切削位置Pnは、基準切削位置P0から表面形状関数Z=f(Y)上において図中右方(+Y側)に距離nPだけ移動した位置であり、切削位置P−nは、基準切削位置P0から表面形状関数Z=f(Y)上において図中左方(−Y側)に距離nPだけ移動した位置である(n=1,…,5)。
演算部16は、ワークWが基準回転位置W0にある場合の切削位置P1からP5及びP−1からP−5の座標を算出する。表面形状関数Z=f(Y)上における切削位置Pn−1からPnまでの距離Pは下記の式(9)により表される。なお、f’(Y)は、表面形状関数Z=f(Y)をYで一次微分(偏微分)して得られる関数である。
式(9)に対して、n=1として、切削基準位置P0のY座標Y0及びピッチPを代入し、切削位置P1のY座標Y1について方程式(9)を解くことにより、Y1が算出される。切削位置P1のZ座標Z1は、Y1を表面形状関数Z=f(Y)に代入することにより算出される。
以下、方程式(9)に切削位置Pn−1のY座標Yn−1を代入して解くことにより切削位置PnのY座標Ynが算出され、Ynを表面形状関数Z=f(Y)に代入することにより切削位置PnのZ座標Znが算出される。上記の演算を繰り返すことにより、ワークWが基準回転位置W0にある場合の切削位置P1からP5及びP−1からP−5の座標が算出される。
溝Gの間隔(ピッチP)が短い場合、換言すれば、切削位置Pn−1とPnとの間の表面形状関数Z=f(Y)を直線とみなせる場合には、下記の式(10)と表面形状関数Z=f(Y)を用いて切削位置Pnの座標を求めることも可能である。
なお、式(9)では、切削位置Pnの座標をその隣の切削位置Pn−1の座標から算出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、下記の式(11)を用いることにより、切削位置Pnの座標を基準切削位置P0の座標から算出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、表面形状関数Z=f(Y)と溝Gの間隔(ピッチP)に基づいて、切削位置Pnの座標を算出するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ワークWの表面に切削位置Pnを示すアライメントマークがあらかじめ形成されている場合には、手順2を省略することも可能である。
(手順3:切削時のワークの回転角の算出)
上記の通り、ワークWの加工精度(分割精度)を確保するため、ブレード24の切り込み方向は、ワークWの表面WSに対して垂直にする必要がある。このため、演算部16は、切削位置Pnの切削を行う場合、切削位置PnがワークWの頂点となるワークWの回転角(基準回転位置W0からの回転角)δnを算出する。そして、制御部12は、切削位置Pnの切削を行う場合、切削位置PnがワークWの頂点となるように、ワークWを回転させる。
上記の通り、ワークWの加工精度(分割精度)を確保するため、ブレード24の切り込み方向は、ワークWの表面WSに対して垂直にする必要がある。このため、演算部16は、切削位置Pnの切削を行う場合、切削位置PnがワークWの頂点となるワークWの回転角(基準回転位置W0からの回転角)δnを算出する。そして、制御部12は、切削位置Pnの切削を行う場合、切削位置PnがワークWの頂点となるように、ワークWを回転させる。
ワークWが基準回転位置W0にある場合に、切削位置Pnにおける法線をLnとすると、法線Lnの傾きは−1/f’(Yn)となる。図16に示すように、この法線LnとZ軸とのなす角をδnとすると、下記の式(12)が得られる。なお、図16では、簡単のため、法線L4と角δ4のみを図示している。
図14に示すように、切削位置PnをワークWの表面WSの頂点にするためには、ワークWを基準回転位置W0から反時計回りにδn回転させて、法線LnがZ軸に平行になるようにすればよい。上記の式(12)を解くことにより、切削位置PnをワークWの表面WSの頂点にするための基準回転位置W0からの回転角δnを算出することができる。
なお、ワークWが基準回転位置W0においてZ軸に対して線対称の場合、|δn|=|δ−n|となる。
また、本実施形態では、切削位置Pnにおける表面形状関数Z=f(Y)の法線Lnの傾きを算出して、法線LnがZ軸に平行になるようにしたが、切削位置Pnにおける表面形状関数Z=f(Y)の接線の傾きを算出して、この接線がZ軸と垂直になるようにしてもよい。
(手順4:切削時の切削位置の座標の算出)
次に、切削位置PnをワークWの表面WSの頂点にあるときの切削位置Pnの座標を算出する。ワークWが基準回転位置W0にあるとき(回転前)の切削位置Pnの座標を(Yn,Zn)、ワークWを基準回転位置W0から反時計回りに回転角δn回転させたとき(回転後)の切削位置Prnの座標を(Yrn,Zrn)とする。このとき、回転後の切削位置Prnの座標(Yrn,Zrn)は、下記の式(13)及び(14)により算出される。
次に、切削位置PnをワークWの表面WSの頂点にあるときの切削位置Pnの座標を算出する。ワークWが基準回転位置W0にあるとき(回転前)の切削位置Pnの座標を(Yn,Zn)、ワークWを基準回転位置W0から反時計回りに回転角δn回転させたとき(回転後)の切削位置Prnの座標を(Yrn,Zrn)とする。このとき、回転後の切削位置Prnの座標(Yrn,Zrn)は、下記の式(13)及び(14)により算出される。
Yrn=Yn・cosδn−Zn・sinδn …(13)
Zrn=Yn・sinδn+Zn・cosδn …(14)
なお、本実施形態では、基準回転位置W0を基準としてワークWの回転角δnを算出したが、ほかの切削位置Pn(例えば、最も±Y側の切削位置P5又はP−5)を基準として算出してもよい。
Zrn=Yn・sinδn+Zn・cosδn …(14)
なお、本実施形態では、基準回転位置W0を基準としてワークWの回転角δnを算出したが、ほかの切削位置Pn(例えば、最も±Y側の切削位置P5又はP−5)を基準として算出してもよい。
(溝入れ加工)
次に、制御部12は、X駆動部20X、Y駆動部20Y、Z駆動部20Z及びR駆動部20Rを制御して溝入れ加工を行う。以下の説明では、簡単のため、溝入れ加工の開始時点におけるワークWの回転位置が基準回転位置W0であり、P0、P1、P2、…の順番で溝入れ加工を行うものとする。なお、溝入れ加工の順序は、これに限定されるものではなく、例えば、溝入れ加工の開始時にP−5を頂点として、P−5、P−4、…、P4、P5の順で溝入れ加工を行うようにしてもよい。
次に、制御部12は、X駆動部20X、Y駆動部20Y、Z駆動部20Z及びR駆動部20Rを制御して溝入れ加工を行う。以下の説明では、簡単のため、溝入れ加工の開始時点におけるワークWの回転位置が基準回転位置W0であり、P0、P1、P2、…の順番で溝入れ加工を行うものとする。なお、溝入れ加工の順序は、これに限定されるものではなく、例えば、溝入れ加工の開始時にP−5を頂点として、P−5、P−4、…、P4、P5の順で溝入れ加工を行うようにしてもよい。
まず、制御部12は、ワークWが基準回転位置W0にある状態で、ワークWの基準切削位置P0に対する溝入れ加工を行う。ここで、制御部12は、Y駆動部20Y及びZ駆動部20Zを制御して、ブレード24とワークWの基準切削位置P0(Y0,Z0)とのアライメントを行う。そして、制御部12は、Z駆動部20Zを制御してブレード24のZ方向の切り込み送りを行いつつ、X駆動部20Xを制御してワークテーブル30のX方向の切削送りを行って、ブレード24により基準切削位置P0の切削を行う。このとき、制御部12は、基準切削位置P0のZ座標Z0に基づいてZ駆動部20Zを制御して、ブレード24の切り込み深さの制御を行う。
次に、基準切削位置P0に対する溝入れ加工が終了すると、切削位置P1(Pr1)に対する溝入れ加工を行う。制御部12は、Z駆動部20Zを制御して、ブレード24を+Z方向に退避させる。その後、制御部12は、R駆動部20Rを制御して、手順1及び2により算出した切削位置P1(Y1,Z1)がワークWの頂点Pr1(Yr1,Zr1)に移動するように、ワークWを基準回転位置W0から反時計回りに回転角δ1だけ回転させる。これにより、ワークWの頂点の切削位置Pr1(Yr1,Zr1)における表面形状関数Z=f(Y)の法線L1がZ軸と平行になる。そして、制御部12は、基準切削位置P0の場合と同様に、切削位置Pr1(Yr1,Zr1)に対する溝入れ加工を行う。
次に、切削位置Pr1における溝入れ加工が終了すると、切削位置P2(Pr2)に対する溝入れ加工を行う。制御部12は、ブレード24を退避させ、ワークWを反時計回りにさらに回転角(δ2−δ1)だけ回転させた後、上記と同様に、切削位置Pr2(Yr2,Zr2)に対する溝入れ加工を行う。
以下、上記の手順を繰り返すことにより、切削位置P1からP5及びP−1からP−5(Pr1からPr5及びPr−1からPr−5)に対する溝入れ加工が終了する。
本実施形態によれば、ワークWの表面WSが非円筒形状の場合であっても、表面形状関数Z=f(Y)を算出することにより、ブレード24の切り込み方向をワークWの表面WSに対して垂直にすることができる。これにより、ブレード24の切り込み位置の調整を高精度で行うことが可能になる。
さらに、本実施形態によれば、ワークWの中心軸とR軸とを一致させる必要がないので、回転テーブル28RにワークWを固定するときの位置及び姿勢の自由度が増す。このため、サイズの大きなワーク又は細長いワークであっても、ワークWのサイズ及び形状に応じて、ワークWの取り付け位置及び姿勢を調整して、ブレード24とR軸との間の空間に収まるように取り付けることができる。
なお、本実施形態では、ワークWの表面WSにおける溝Gの間隔が等間隔の場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、溝Gの間隔が非等間隔の場合であっても、ワークWの表面WSの関数を用いて切削位置を算出することができる。したがって、上記の実施形態に係るワーク加工方法は、溝Gの間隔が非等間隔の場合にも適用することができる。
[非円筒形状のワークに対するワーク加工方法]
次に、非円筒形状のワークに対するワーク加工方法(溝入れ加工方法)について図18を参照して説明する。
次に、非円筒形状のワークに対するワーク加工方法(溝入れ加工方法)について図18を参照して説明する。
まず、ワークWがワーク加工装置1に搬入されて、回転テーブル28Rに固定される(ステップS10)。
次に、制御部12は、ワークWの表面WSの形状を示す表面形状関数Z=f(Y)を算出する(ステップS102)。ステップS102では、制御部12は、R駆動部20Rを制御してワークWを回転させて、複数の回転位置(図10から図14のW0からW4参照)において、センサー部26のカメラ(図8参照)を用いてワークWの表面WSの測定を行う。検出部14は、センサー部26による測定結果のデータを用いて、各回転位置W0からW4におけるワークWの頂点(図13のP0、Pcr1からPcr4及びPcr−1からPcr−4参照)の座標を算出する。演算部16は、各回転位置におけるワークWの頂点に基づいて、表面形状関数Z=f(Y)を算出する(図10から図14参照)。なお、ステップS102では、ワークWの表面WSのZ座標を測定可能なセンサーを用いて、表面形状関数Z=f(Y)を直接求めるようにしてもよい。
次に、演算部16は、ワークWの表面形状関数Z=f(Y)と、ワークWの表面WSに形成する溝Gの間隔に基づいて、ワークWの表面WSにおける切削位置Pnの座標(Yn,Zn)を算出する(ステップS104)。
次に、演算部16は、切削位置Pn(Yn,Zn)がワークWの頂点になるときのワークWの回転角δnを算出する(ステップS106)。そして、演算部16は、切削位置Pn(Yn,Zn)がワークWの頂点になるようにワークWを回転させたときの切削位置Prnの座標(Yrn,Zrn)を算出する(ステップS108)。
次に、制御部12は、X駆動部20X、Y駆動部20Y、Z駆動部20Z及びR駆動部20Rを制御して溝入れ加工を行う(ステップS110:溝入れステップ)。その後、制御部12は、ステップS110の溝入れ加工の工程を繰り返して、ワークWの表面WSに溝Gを順次形成する。
なお、上記の実施形態では、曲げ加工を行う際の精度によりワークの表面の形状が真円形状とならない場合について説明したが、本発明の適用範囲は、真円形状からのずれがあるワークに限定されない。本発明は、外側(+Z側)に凸の曲面形状を有するワークに対する溝入れ加工に適用することが可能である。
1…ワーク加工装置、10…制御装置、12…制御部、14…検出部、16…演算部、18…入出力部、20X…X駆動部、20Y…Y駆動部、20Z…Z駆動部、20R…R駆動部、22…切削ユニット、24…ブレード、26…センサー部、28…ワーク支持部、28R…回転テーブル、30…ワークテーブル
Claims (7)
- 円筒形状の表面を有するワークを加工するワーク加工装置の制御装置であって、
前記ワークの表面までの距離を測定するためのセンサー部から取得した測定結果に基づいて、ワーク支持部に支持された前記ワークの中心軸に平行な第1の軸に垂直かつ前記ワークの表面を切削するためのブレードに平行な第2の軸に沿う方向における、前記ワークの表面の頂点の位置を算出する検出部と、
前記ワークの表面の切削位置が前記第2の軸に沿う方向の頂点に位置するように前記ワーク支持部を制御し、前記ワーク支持部と前記ブレードとを相対移動させて、前記ブレードにより前記切削位置に溝を形成する制御部と、
を備えるワーク加工装置の制御装置。 - 前記第1の軸の回りに前記ワークを回転させたときの少なくとも3つの回転位置において、前記第2の軸に沿う方向における少なくとも3つの頂点の位置を算出し、前記少なくとも3つの頂点の位置に基づいて前記第1の軸の回りに前記ワークを回転させたときの前記ワークの中心の軌跡を算出し、前記ワークの中心の位置及び前記ワークの半径に基づいて前記切削位置を算出する演算部をさらに備える請求項1記載のワーク加工装置の制御装置。
- 前記検出部は、前記ワークの表面の切削基準位置が前記第2の軸に沿う方向の前記頂点に位置するときの前記切削基準位置を算出し、
前記演算部は、前記少なくとも3つの頂点の位置及び前記切削基準位置の算出結果に基づいて前記ワークの中心の位置及び前記ワークの半径を算出する、請求項2記載のワーク加工装置の制御装置。 - 前記検出部は、前記ワークの表面を撮像可能なカメラが前記ワークの頂点よりも遠方に合焦した状態で、前記カメラを前記第1の軸に垂直な第3の軸に沿う方向に移動させて取得した画像に基づいて、前記ワークの表面の頂点を検出する、請求項1から3のいずれか1項記載のワーク加工装置の制御装置。
- 前記制御部は、前記ワークの表面における切削位置の高さ位置の測定結果に基づいて、前記ブレードの切り込み深さを調整する、請求項1から4のいずれか1項記載のワーク加工装置の制御装置。
- 円筒形状の表面を有するワークを加工するワーク加工装置の制御方法であって、
前記ワークの表面までの距離を測定するためのセンサー部から取得した測定結果に基づいて、ワーク支持部に支持された前記ワークの中心軸に平行な第1の軸に垂直かつ前記ワークの表面を切削するためのブレードに平行な第2の軸に沿う方向における、前記ワークの表面の頂点の位置を算出するステップと、
前記ワークの表面の切削位置が前記第2の軸に沿う方向の頂点に位置するように前記ワーク支持部を制御し、前記ワーク支持部と前記ブレードとを相対移動させて、前記ブレードにより前記切削位置に溝を形成するステップと、
を含むワーク加工装置の制御方法。 - 請求項6記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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