JP2020146693A - 接合加工機、積層体製造装置及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】母材の絶縁破壊なしに各層を高い締結力で固定可能にした接合加工機、積層体製造装置及び積層体を提供する。【解決手段】接合加工機11には、カシメ加工時に層3の接合部7を上から押し込むツール22が形成され、このツール22の先端に突部26が形成される。接合加工機11は、プレス加工後に重ねられた2つの層3の群に対し、最上位の層3に形成された接合部7を上から押し込むことにより、上下の接合部7同士を係止する。このとき、ツール22の突部26によって接合部7が塑性変形され、この変形によって形成された膨張部29によって、上下の層3同士がきつく固定される。【選択図】図8
Description
本発明は、母材を積層した積層体の各層の群を固定する接合加工機、積層体製造装置及び積層体に関する。
従来、母材が環状に複数層巻かれた積層体を製造する積層体製造装置が周知である(特許文献1等参照)。この種の積層体製造装置は、例えば母材に切り欠き等の加工を入れながら、これを周状に巻き送りしていくことで、母材を複数の層に形成する。そして、母材の各層は、例えば溶接加工やカシメ加工などにより、上下の層同士が固定される。
ところで、複数層の固定に溶接加工を用いた場合、この工法では高い締結力を得ることができるが、背反として、母材の絶縁破壊を伴う可能性があり、材料特性を阻害する要因となってしまう。また、複数層の固定にカシメ工法を用いた場合、母材の絶縁破壊はないものの、高い締結力は得られない問題があった。
本発明の目的は、母材の絶縁破壊なしに各層を高い締結力で固定可能にした接合加工機、積層体製造装置及び積層体を提供することにある。
前記問題点を解決する接合加工機は、母材を複数層に積層することで設けられた層の群を、各層に各々形成された接合部を介して固定する構成であって、前記接合部の凹部に押し当てられるツールの先端に突部を設け、重ねられた前記層に対して最上層の前記接合部を前記突部で押し込むことにより、重なり合う層同士の前記接合部を固定する。
前記問題点を解決する積層体製造装置は、プレス加工によって母材に加工形状部を形成するプレス加工機と、前記母材を複数層に積層することで設けられた層の群を、各層の前記加工形状部の位置が合わされつつ、各層に各々形成された接合部を介して固定する接合加工機とを備え、前記接合加工機は、前記接合部の凹部に押し当てられるツールの先端に突部が設けられ、前記突部で前記凹部の内面を押し込むことにより、重なり合う層同士の前記接合部を固定する。
前記問題点を解決する積層体は、複数層に積層された層の群が、各層に設けられた加工形状部の位置が合わされつつ、各層に形成された接合部を介して固定されている構成であって、少なくとも1つ以上の前記接合部には、上下の層同士を係止するために塑性変形によって形成された膨張部が設けられている。
本発明によれば、母材の絶縁破壊なしに各層を高い締結力で固定することができる。
以下、接合加工機、積層体製造装置及び積層体の一実施形態を図1〜図9に従って説明する。
図1に示すように、積層体1は、母材2を環状に複数周巻き付けることにより、複数の環状の層3が積層方向(図1のZ軸方向)に積まれた筒形状をなしている。母材2は、例えば帯状の鋼板からなる。積層体1の内周面には、積層体1の高さ方向(図1のZ軸方向)に延びる加工形状部4が、積層体1の内周面5の周方向において等間隔に複数(本例は4箇所)形成されている。加工形状部4は、母材2の一部を切り欠いて形成される切欠部6である。各層3は、各々の層3に形成された接合部7を介して上下層同士が固定されている。
図1に示すように、積層体1は、母材2を環状に複数周巻き付けることにより、複数の環状の層3が積層方向(図1のZ軸方向)に積まれた筒形状をなしている。母材2は、例えば帯状の鋼板からなる。積層体1の内周面には、積層体1の高さ方向(図1のZ軸方向)に延びる加工形状部4が、積層体1の内周面5の周方向において等間隔に複数(本例は4箇所)形成されている。加工形状部4は、母材2の一部を切り欠いて形成される切欠部6である。各層3は、各々の層3に形成された接合部7を介して上下層同士が固定されている。
図2に示すように、積層体1を製造する積層体製造装置8は、母材2を巻き取って環状に送る巻き加工機9と、巻き加工後の母材2をプレス加工するプレス加工機10と、プレス加工後に積層された層状の母材2を固定する接合加工機11とを備える。巻き加工機9、プレス加工機10及び接合加工機11は、一体の装置としてユニット化されている。
巻き加工機9は、複数の搬送ローラ12と、環状に加工される母材2の径に応じて可動する可動ローラ13とを備える。可動ローラ13は、母材2の径方向(図2の矢印A方向)において位置が切り替わることにより、環状に形成される母材2の径を設定する。
図3に示すように、プレス加工機10の金型部14は、固定型15と、固定型15に対して可動する可動型16とを備える。可動型16は、母材2の一部分を切断する切断部17と、母材2を所定圧によって押し出す打出部18とを備える。打出部18は、切断部17の両側に配置されるように一対設けられている。固定型15には、切断部17及び打出部18が通過できる逃げ部19が形成されている。逃げ部19は、例えば貫通孔である。プレス加工機10は、切断部17によって母材2の縁部に加工形状部4をプレス成形するとともに、一対の打出部18によって母材2に複数の接合部7をプレス加工する。切欠部6は、母材2の縁部の一部分を切り欠いた形状となっている。
図2に戻り、同図の一部拡大図に示すように、接合部7は、母材2の片方の面側が穴形状となったボス状の突起からなる。ボス状の突起をなす接合部7は、凸部27及び凹部28を有した形状となっている。接合部7は、例えば円筒状の突起であって、切欠部6の両側に一対配置されている。接合部7の凹部28は、開口が円形状となっている。
図4に示すように、接合加工機11は、層状に複数周積み重ねられた層3の群を載置する座部20と、機械的な衝撃を接合部7に与えて各層3を固定するヘッド部21とを備える。ヘッド部21は、座部20に対して上下方向に移動する。接合加工機11は、カシメ加工によって層3の群を一体に固定するカシメ機である。ヘッド部21には、カシメ加工において、上下層同士で位置決めされた接合部7に上方から押圧する力を加える棒状のツール22が一対形成されている。接合加工機11は、積層された複数の層3の群を、各層3の加工形状部4の位置が合わされながら、各層3に各々形成された接合部7を介して固定する。
図5(a)に示すように、ツール22の先端には、母材2の上下の層3同士を接合部7で固定する際に作用する突部26が形成されている。図5(b)に示すように、突部26は、例えば半円球状の突起により形成されている。突部26は、接合加工機11による加工の際、接合部7の凹部28の内面を押し込むことにより、重なり合う層3同士の接合部7を固定する。本例の場合、突部26が上の層3の接合部7を、その凹部28内で上から押して塑性変形させることにより、その変形部分である膨張部29を下の層3に食い込ませて、上下の層3を固定する。
次に、図6〜図9を用いて、本実施形態の積層体製造装置8の作用について説明する。
図6(a)に示すように、帯状の母材2は、巻き加工機9によって環状に巻かれながらプレス加工機10に搬送される。図6(b)に示すように、母材2が所定量搬送されると、母材2の搬送が一旦停止され、プレス加工機10の可動型16が下方に作動することで母材2がプレス加工される。このプレス加工時、切断部17によって母材2に切欠部6が形成され、打出部18によって一対の接合部7が形成される。プレス加工機10は、環状に巻かれながら搬送されてくる母材2に対し、周方向に等間隔で切欠部6が形成されるように、母材2のプレス加工を周期的に繰り返す。
図6(a)に示すように、帯状の母材2は、巻き加工機9によって環状に巻かれながらプレス加工機10に搬送される。図6(b)に示すように、母材2が所定量搬送されると、母材2の搬送が一旦停止され、プレス加工機10の可動型16が下方に作動することで母材2がプレス加工される。このプレス加工時、切断部17によって母材2に切欠部6が形成され、打出部18によって一対の接合部7が形成される。プレス加工機10は、環状に巻かれながら搬送されてくる母材2に対し、周方向に等間隔で切欠部6が形成されるように、母材2のプレス加工を周期的に繰り返す。
図7(a)に示すように、プレス加工された母材2が複数周巻かれて層状とされた後、接合加工機11は、この層状の母材2に対してカシメ加工を実行する。カシメ加工は、例えば母材2が1周分積層される度に毎回実施されることが好ましい。また、カシメ加工時、最下層の層3の接合部7は、座部20の上面に複数形成された溝30に各々嵌合される。
図7(b)に示すように、接合加工機11は、カシメ加工時、座部20上に層状の母材2を乗せ、ヘッド部21を下方に作動させる。このとき、ヘッド部21のツール22を、最上層に位置する接合部7の凹部28に挿し込んで上から押し込むことにより、積層方向に並ぶ接合部7同士を固定する。これにより、上の層3の接合部7の凸部27が、下の層3の凹部28に押し込まれる。
このとき、図8に示すように、接合加工においてツール22が最上層の接合部7の凹部28を上から押し込んだ場合、突部26から最上層の接合部7に同図の矢印C方向の荷重が加わる。そして、突部26による押し込みが加えられた接合部7の凸部27が幅方向(図8の矢印D方向)に塑性変形することにより、荷重が加えられた接合部7の凸部27に膨張部29が形成される。この膨張部29は、例えば凸部27の外周面一帯に形成されて、下層の接合部7の凹部28に食い込む。これにより、上下の層3の接合部7同士が係止することになり、上下の層3がきつく固定される。
図9に示すように、接合加工機11は、座部20に載置される層3の数が増加していくにつれて、座部20が下方に移動する。すなわち、層3が順次積層されていくにつれて、接合加工機11の座部20が下方に移動することにより、座部20の高さ方向の位置が調整される。そして、一連の巻き工程、プレス工程及びカシメ加工が実施されることにより、複数の層3が積層方向に連なった積層体1が製造される。
上記実施形態の積層体製造装置8及び接合加工機11によれば、以下のような効果を得ることができる。
接合加工機11のツール22の先端に突部26を設け、重ねられた層3に対して最上層の接合部7を突部26で押し込むことにより、重なり合う層3同士の接合部7を固定する。このように、本例の場合、層3同士を溶接加工によって固定するのではなく、重ねられた2つの層3に対し、最上層の接合部7にツール22の突部26を押し当て、このときの荷重によって接合部7を塑性変形させて、接合部7同士をきつく固定する。このように、接合部7同士の摩擦力が増大し、互いがしっかりと係止し合う。よって、母材2の絶縁破壊なしに各層3を高い締結力で固定することができる。
接合加工機11のツール22の先端に突部26を設け、重ねられた層3に対して最上層の接合部7を突部26で押し込むことにより、重なり合う層3同士の接合部7を固定する。このように、本例の場合、層3同士を溶接加工によって固定するのではなく、重ねられた2つの層3に対し、最上層の接合部7にツール22の突部26を押し当て、このときの荷重によって接合部7を塑性変形させて、接合部7同士をきつく固定する。このように、接合部7同士の摩擦力が増大し、互いがしっかりと係止し合う。よって、母材2の絶縁破壊なしに各層3を高い締結力で固定することができる。
母材2は、帯材である。接合部7は、母材2の片方の面側に凹部28を有するボス状の突起である。よって、凸部27及び凹部28の関係によって係止する接合部7を、接合部7の塑性変形によって互いにきつく固定することができる。
環状に巻き送りされて複数層の筒形状に形成された層3の群を、各層3の切欠部6の位置が合わされつつ、各層3に形成された接合部7を介して固定する。よって、母材2を絶縁破壊なしに各層3が高い締結力で固定された積層体1を製造することができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・図10(a)〜(c)に示すように、ツール22の先端の突部26の形状を、半球状以外の他の形状に変更してもよい。図10(a)が四角状とした例であり、図10(b)が長円状とした例であり、図10(c)が星型とした例である。
・図10(a)〜(c)に示すように、ツール22の先端の突部26の形状を、半球状以外の他の形状に変更してもよい。図10(a)が四角状とした例であり、図10(b)が長円状とした例であり、図10(c)が星型とした例である。
・突部26は、1つのみ形成されることに限らず、複数設けてもよい。
・ツール22が複数設けられる場合、所定のツール22にのみ突部26が形成されてもよい。
・ツール22が複数設けられる場合、所定のツール22にのみ突部26が形成されてもよい。
・ツール22は、複数設けられることに限定されず、1つとしてもよい。
・ツール22の先端に凹形状や溝形状等を設けて、残った部分をツール先端の突部26としてもよい。
・ツール22の先端に凹形状や溝形状等を設けて、残った部分をツール先端の突部26としてもよい。
・ツール22は、先端が接合部7の凹部28内に挿し込まれる加工態様をとることに限定されず、接合部7の形状に応じて、種々の加工態様をとることができる。
・膨張部29の形状は、上下層同士を固定できる形状であればよい。
・膨張部29の形状は、上下層同士を固定できる形状であればよい。
・切欠部6は、積層体1の内周面5に設けられることに限らず、例えば積層体1の外周面に形成されてもよい。
・切欠部6及び接合部7は、各々別のプレス工程で製造されてもよい。
・切欠部6及び接合部7は、各々別のプレス工程で製造されてもよい。
・加工形状部4は、切欠部6に限定されず、例えば孔や穴等の他の形状としてもよい。
・加工形状部4は、母材2の縁部に形成されず、母材2の幅方向の中心等の他の位置に設けてもよい。
・加工形状部4は、母材2の縁部に形成されず、母材2の幅方向の中心等の他の位置に設けてもよい。
・カシメ加工は、例えば母材2がある程度(例えば5巻き程度)巻かれた際に実施されてもよい。この場合、母材2がある程度巻かれてからカシメが行われるので、効率よく各層3のカシメを実行することができる。
・接合部7は、複数設けられることに限定されず、1つでもよい。
・接合部7は、切欠部6から離れた位置に配置されてもよい。
・接合部7は、ボス形状の突起に限定されず、母材2の上下層を係止することができる形状であればよい。
・接合部7は、切欠部6から離れた位置に配置されてもよい。
・接合部7は、ボス形状の突起に限定されず、母材2の上下層を係止することができる形状であればよい。
・母材2は、鋼板に限定されず、例えば樹脂材でもよい。
・母材2は、帯状に限定されず、円柱や四角柱等の他の形状としてもよい。
・積層体製造装置8は、接合加工機11による接合加工時、母材2の各層3を積層体1の径方向に整列させる位置決め機構を備えてもよい。
・母材2は、帯状に限定されず、円柱や四角柱等の他の形状としてもよい。
・積層体製造装置8は、接合加工機11による接合加工時、母材2の各層3を積層体1の径方向に整列させる位置決め機構を備えてもよい。
・積層体1は、円筒形状に限定されず、例えば四角状等の他の筒形状としてもよい。
・積層体1は、例えば電機部品の鉄心などとしてもよい。また、積層体1は、母材2を積層してなる種々の機器や物品であればよい。
・積層体1は、例えば電機部品の鉄心などとしてもよい。また、積層体1は、母材2を積層してなる種々の機器や物品であればよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)プレス加工機によって母材に加工形状部を形成するプレス工程と、前記母材を複数層に積層することで設けられた層の群を、各層の前記加工形状部の位置が合わされつつ、各層に各々形成された接合部を介して接合加工機により固定する接合工程とを備え、前記接合加工機には、前記接合部の凹部に押し当てられるツールの先端に突部が設けられ、前記突部で前記凹部の内面を押し込むことにより、重なり合う層同士の前記接合部を固定する積層体製造方法。
(イ)プレス加工機によって母材に加工形状部を形成するプレス工程と、前記母材を複数層に積層することで設けられた層の群を、各層の前記加工形状部の位置が合わされつつ、各層に各々形成された接合部を介して接合加工機により固定する接合工程とを備え、前記接合加工機には、前記接合部の凹部に押し当てられるツールの先端に突部が設けられ、前記突部で前記凹部の内面を押し込むことにより、重なり合う層同士の前記接合部を固定する積層体製造方法。
1…積層体、2…母材、3…層、4…加工形状部、6…切欠部、7…接合部、8…積層体製造装置、10…プレス加工機、11…接合加工機、14…金型部、22…ツール、26…突部、27…凸部、28…凹部、29…膨張部。
Claims (5)
- 母材を複数層に積層することで設けられた層の群を、各層に各々形成された接合部を介して固定する接合加工機であって、
前記接合部の凹部に押し当てられるツールの先端に突部を設け、重ねられた前記層に対して最上層の前記接合部を前記突部で押し込むことにより、重なり合う層同士の前記接合部を固定する接合加工機。 - 前記母材は、帯材であり、
前記接合部は、前記母材の片方の面側に凹部を有するボス状の突起である
請求項1に記載の接合加工機。 - 環状に巻き送りされて複数層の筒形状に形成された前記層の群を、各層に形成された加工形状部の位置が合わされながら、前記各層に形成された前記接合部を介して固定する
請求項1又は2に記載の接合加工機。 - プレス加工によって母材に加工形状部を形成するプレス加工機と、
前記母材を複数層に積層することで設けられた層の群を、各層の前記加工形状部の位置が合わされつつ、各層に各々形成された接合部を介して固定する接合加工機とを備え、
前記接合加工機は、前記接合部の凹部に押し当てられるツールの先端に突部が設けられ、前記突部で前記凹部の内面を押し込むことにより、重なり合う層同士の前記接合部を固定する積層体製造装置。 - 母材が複数層に積層されてなる層の群が、各層に設けられた加工形状部の位置が合わされつつ、各層に形成された接合部を介して固定されている積層体であって、
少なくとも1つ以上の前記接合部には、上下の層同士を係止するために塑性変形によって形成された膨張部が設けられている積層体。
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