JP2020145144A - 蓄電デバイス用電極材料、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス、及び炭素材料 - Google Patents

蓄電デバイス用電極材料、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス、及び炭素材料 Download PDF

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Yuki Sawada
裕樹 澤田
増田 浩樹
Hiroki Masuda
浩樹 増田
友季 櫻井
Tomoki Sakurai
友季 櫻井
藤原 昭彦
Akihiko Fujiwara
昭彦 藤原
尚代 河▲崎▼
Hisayo Kawasaki
尚代 河▲崎▼
中壽賀 章
Akira Nakasuga
章 中壽賀
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Abstract

【課題】電池容量などの容量を高めつつ、充放電時における急激な温度上昇を抑制することができる、蓄電デバイス用電極材料を提供する。
【解決手段】蓄電デバイスに用いられる電極材料であって、電極活物質と、炭素材料とを含み、前記電極活物質の体積基準による累積粒度分布における90%粒径(D90)をXμmとし、前記電極活物質の体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)をYμmとし、前記炭素材料の体積基準による累積粒度分布における50%粒径(D50)をZμmとしたときに、前記X、前記Y、及び前記Zが、下記式(1)を満たす、蓄電デバイス用電極材料。
1/4{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2≦Z≦3{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2…式(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用電極材料、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス、及び蓄電デバイス用電極材料に用いられる炭素材料に関する。
近年、携帯機器、ハイブリッド自動車、電気自動車、家庭用蓄電用途等に向けて、蓄電デバイスの研究開発が盛んに行われている。蓄電デバイスの電極材料は、少なくとも電極活物質と、導電助剤とから構成されている。導電助剤としては、黒鉛、活性炭、カーボンナノファイバー、あるいはカーボンナノチューブなどの炭素材料が環境的側面から広く用いられている。
下記の特許文献1には、平均粒径(D50)が8μm超過20μm以下である第1リチウムニッケル酸化物粒子、及び、平均粒径(D50)が8μm以下である第2リチウムニッケル酸化物粒子を含む正極活物質を正極に用いたリチウム二次電池が開示されている。特許文献1では、正極に、カーボンブラック等の導電材を用いてもよいことが記載されている。
特表2018−536253号公報
しかしながら、本発明者らは、特許文献1のような粒度分布の広い電極活物質を用いることにより電極活物質間の空隙を小さくすると、導電パスが形成し難く、電池容量が不十分となる課題が生じることを見出した。また、この場合、急速放電時には、急激な温度上昇が生じるという安全性の面での課題が生じることを見出した。
本発明の目的は、電池容量などの容量を高めつつ、充放電時における急激な温度上昇を抑制することができる、蓄電デバイス用電極材料、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス、及び蓄電デバイス用電極材料に用いられる炭素材料を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、蓄電デバイスに用いられる電極材料であって、電極活物質の粒度分布と、炭素材料の粒度分布との関係を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
本発明に係る蓄電デバイス用電極材料は、蓄電デバイスに用いられる電極材料であって、電極活物質と、炭素材料とを含み、前記電極活物質の体積基準による累積粒度分布における90%粒径(D90)をXμmとし、前記電極活物質の体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)をYμmとし、前記炭素材料の体積基準による累積粒度分布における50%粒径(D50)をZμmとしたときに、前記X、前記Y、及び前記Zが、下記式(1)を満たす。
1/4{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2≦Z≦3{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2…式(1)
本発明に係る蓄電デバイス用電極材料のある特定の局面では、前記X、前記Y、及び前記Zが、下記式(2)を満たす。
1/3{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2≦Z≦2{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2…式(2)
本発明に係る蓄電デバイス用電極材料の他の特定の局面では、前記炭素材料のD90が、30μm以下である。
本発明に係る蓄電デバイス用電極材料の他の特定の局面では、前記炭素材料の体積基準による累積粒度分布におけるピークの半値幅(log10(μm))が、0.8以下である。
本発明に係る蓄電デバイス用電極材料のさらに他の特定の局面では、前記炭素材料のD90が、前記電極活物質のD90の4倍以下である。
本発明に係る蓄電デバイス用電極材料のさらに他の特定の局面では、前記炭素材料が、グラフェン積層構造を有する炭素材料である。
本発明に係る蓄電デバイス用電極材料のさらに他の特定の局面では、前記炭素材料が、グラファイトが部分的に剥離している構造を有する、部分剥離型薄片化黒鉛である。
本発明に係る蓄電デバイス用電極は、本発明に従って構成される蓄電デバイス用電極材料を含む。
本発明に係る蓄電デバイスは、本発明に従って構成される蓄電デバイス用電極を備える。
本発明に係る炭素材料は、本発明に従って構成される蓄電デバイス用電極材料に用いられる。
本発明によれば、電池容量などの容量を高めつつ、充放電時における急激な温度上昇を抑制することができる、蓄電デバイス用電極材料、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス、及び蓄電デバイス用電極に用いられる炭素材料を提供することができる。
図1は、電極活物質の体積基準による累積粒度分布において、D90における電極活物質A(粒径の大きい電極活物質)と、D10における電極活物質B(粒径の小さい電極活物質)とが接していると仮定したときの模式図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
[蓄電デバイス用電極材料]
本発明の蓄電デバイスとしては、特に限定されないが、非水電解質一次電池、水系電解質一次電池、非水電解質二次電池、水系電解質二次電池、全固体電解質一次電池、全固体電解質二次電池、コンデンサ、電気二重層キャパシタ、又はリチウムイオンキャパシタなどが例示される。本発明の蓄電デバイス用電極材料は、上記のような蓄電デバイスに用いられる電極材料である。
本発明の電極材料は、電極活物質と、炭素材料とを含む。
本発明においては、電極活物質の体積基準による累積粒度分布における90%粒径(D90)をXμmとし、電極活物質の体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)をYμmとし、炭素材料の体積基準による累積粒度分布における50%粒径(D50)をZμmとしたときに、X、Y、及びZが、下記式(1)を満たす。
1/4{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2≦Z≦3{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2…式(1)
本明細書において、体積基準での累積粒度分布は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて求められる。レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置としては、マイクロトラック社製、「MT3300EXII」等が挙げられる。
体積基準での累積粒度分布は、電極材料から電極活物質及び炭素材料を単離し、それぞれを測定してもよく、電極製造前の電極活物質及び炭素材料を用いて、それぞれを測定してもよい。なお、電極活物質や炭素材料がそれぞれ2種以上含まれる場合は、それぞれの混合物を測定に供してもよいし、電極製造前の電極活物質及び炭素材料それぞれの単体を用いて測定に供してもよい。
なお、炭素材料が2種以上含まれるときに、累積粒度分布の合成波を分離できる場合は、分離した少なくとも1つの炭素材料が上記式(1)を満たせばよい。例えば、上記式(1)を満たす炭素材料と、粒径が著しく小さい炭素材料を含む場合は、その粒径が小さい炭素材料のピークを分離した後の累積粒度分布が上記式(1)を満たせばよい。もっとも、炭素材料が2種以上含まれるときに、累積粒度分布の合成波を分離できる場合は、分離した双方の炭素材料が上記式(1)を満たしていてもよい。なお、累積粒度分布の合成波を分離できない場合は、分離しない累積粒度分布が上記式(1)を満たせばよい。
従って、本発明において、炭素材料が2種以上含まれるときには、少なくとも1つの炭素材料が上記式(1)を満たせばよい。
また、体積基準での累積粒度分布の測定は、水、メタノール、エタノール、N−メチルピロリドン(NMP)に代表される有機溶媒に分散させた後に測定してもよいし、乾燥状態のものをそのまま用いて測定してもよい。
本発明の蓄電デバイス用電極材料は、上記の構成を備えているので、電池容量などの容量を高めつつ、充放電時における急激な温度上昇を抑制することができる。
従来の蓄電デバイス用電極材料では、電極活物質間の空隙が大きくなる場合があり、電池容量などの容量が不十分となる場合があった。一方で、粒度分布の広い電極活物質を用いることにより電極活物質間の空隙を小さくすると、導電パスが形成し難く、なおも容量が不十分となる場合があった。また、この場合、急速放電時には、急激な温度上昇が生じることがあり、安全性の面でも問題があった。
本発明者らは、電極活物質のD90及びD10と炭素材料のD50とに着目し、電極活物質のD90及びD10と炭素材料のD50とを上記式(1)の関係にすることにより、電極活物質間に良好な導電パスを形成することができ、その結果電極活物質に対して十分な電子を供給し得ることを見出した。また、良好な導電パスを形成することによって、充放電時における急激な温度上昇を抑制し得ることを見出した。
従って、本発明によれば、電極活物質のD90及びD10と炭素材料のD50とを上記式(1)の関係にすることにより、電池容量などの容量を高めつつ、充放電時における急激な温度上昇を抑制することができる。
なお、上記式(1)の関係については、図1を参照して説明することができる。
図1は、電極活物質の体積基準による累積粒度分布において、D90における電極活物質A(粒径の大きい電極活物質)と、D10における電極活物質B(粒径の小さい電極活物質)とが接していると仮定したときの模式図である。
図1より、電極活物質Aの半径をr1とし、電極活物質Bの半径をr2とすると、電極活物質A及び電極活物質Bの共通接線における接点間の距離(PQ間の距離)は、{(r1+r2)−(r1−r2)1/2で表される。
従って、上記炭素材料のD50の範囲は、電極活物質A及び電極活物質Bの共通接線における接点間の距離を指標として設定されたものである。
炭素材料のD50が、1/4{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2以上である場合、電極活物質間に良好な導電パスを形成することができ、充放電時における急激な温度上昇を抑制することができる。また、炭素材料のD50が、3{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2以下である場合、電極活物質の密度を高めることができ、電池容量などの容量を高めることができる。
電極活物質間により一層良好な導電パスを形成し、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制する観点から、炭素材料のD50は、好ましくは1/3(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2以上、より好ましくは4/9(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2以上である。
電極活物質の密度をより一層高め、電池容量などの容量をより一層高める観点から、炭素材料のD50は、好ましくは2{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2以下、より好ましくは3/2{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2以下である。
(電極活物質)
本発明において、電極活物質は、正極活物質であってもよく、負極活物質であってもよい。上記正極活物質は、負極活物質の電池反応電位よりも、貴であればよい。その際、電池反応は、1族若しくは2族のイオンが関与していればよい。そのようなイオンとしては、例えば、Hイオン、Liイオン、Naイオン、Kイオン、Mgイオン、Caイオン、又はAlイオンが挙げられる。以下、Liイオンが電池反応に関与する系について詳細を例示する。
この場合、上記正極活物質としては、例えば、リチウム金属酸化物、リチウム硫化物、又は硫黄が挙げられる。
リチウム金属酸化物としては、スピネル構造、層状岩塩構造、若しくはオリビン構造を有するもの、又はこれらの混合物が挙げられる。
スピネル構造を有するリチウム金属酸化物としては、マンガン酸リチウムなどが例示される。
層状岩塩構造を有するリチウム金属酸化物としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、三元系などが例示される。
オリビン構造を有するリチウム金属酸化物としては、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガンリチウムなどが例示される。
上記正極活物質は、所謂ドープ元素が含まれてもよい。上記正極活物質は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、金属酸化物、チタン酸リチウム、又はシリコン系の活物質を用いることができる。上記負極活物質は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、電極活物質のD90は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。電極活物質のD90が上記範囲内にある場合、電池容量などの容量をより一層高めつつ、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。
電極活物質のD10は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは7.5μm以下である。電極活物質のD10が上記範囲内にある場合、電池容量などの容量をより一層高めつつ、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。
電極活物質のD90とD10との比(D90/D10)は、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。比(D90/D10)が上記範囲内にある場合、電極の密度をより一層高めることができ、容量などの電池特性をより一層高めることができる。
(炭素材料)
本発明において、炭素材料は、グラフェン積層構造を有する炭素材料であることが好ましい。グラフェン積層構造を有する炭素材料は、複数のグラフェンシートの積層体である。なお、グラフェン積層構造を有するか否かは、炭素材料のX線回折スペクトルについて、CuKα線(波長1.541Å)を用いて測定したときに、2θ=26度付近のピーク(グラフェン積層構造に由来するピーク)が観察されるか否かにより確認することができる。X線回折スペクトルは、広角X線回折法によって測定することができる。X線回折装置としては、例えば、SmartLab(リガク社製)を用いることができる。
炭素材料の形状としては、特に限定されず、二次元に広がっている形状、球状、繊維状、又は不定形状等が挙げられる。上記炭素材料の形状としては、二次元に広がっている形状であることが好ましい。二次元に広がっている形状としては、例えば、鱗片状又は板状(平板状)が挙げられる。このような二次元的に広がっている形状を有する場合、より一層良好な導電パスを形成することができる。
なかでも、炭素材料の形状としては、鱗片状であることが好ましい。上記炭素材料が、鱗片状であることにより、より一層良好な導電パスが形成しやすい。
グラフェン積層構造を有する炭素材料としては、例えば、黒鉛又は薄片化黒鉛などが挙げられる。
黒鉛とは、複数のグラフェンシートの積層体である。黒鉛のグラフェンシートの積層数は、通常、10万層〜100万層程度である。黒鉛としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛又は膨張黒鉛などを用いることができる。膨張黒鉛は、通常の黒鉛よりもグラフェン層同士の層間距離が大きくなっている割合が高く、薄片化黒鉛の原料としてより好適に用いることができる。
薄片化黒鉛とは、元の黒鉛を剥離処理して得られるものであり、元の黒鉛よりも薄いグラフェンシート積層体をいう。薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、元の黒鉛より少なければよい。なお、薄片化黒鉛は、酸化薄片化黒鉛であってもよい。
薄片化黒鉛において、グラフェンシートの積層数は、特に限定されないが、好ましくは2層以上、より好ましくは5層以上、好ましくは1000層以下、より好ましくは500層以下である。グラフェンシートの積層数が上記下限以上である場合、薄片化黒鉛の導電性をより一層高めることができる。グラフェンシートの積層数が上記上限以下である場合、薄片化黒鉛の比表面積をより一層大きくすることができる。
また、薄片化黒鉛は、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有する部分剥離型薄片化黒鉛であることが好ましい。
「部分的にグラファイトが剥離されている」構造の一例としては、グラフェンの積層体において、端縁からある程度内側までグラフェン層間が開いており、すなわち端縁にてグラファイトの一部が剥離しており、中央側の部分ではグラファイト層が元の黒鉛又は一次薄片化黒鉛と同様に積層していることをいうものである。従って、端縁にてグラファイトの一部が剥離している部分は、中央側の部分に連なっている。さらに、部分剥離型薄片化黒鉛には、端縁のグラファイトが剥離され薄片化したものが含まれていてもよい。
部分剥離型薄片化黒鉛は、中央側の部分において、グラファイト層が元の黒鉛又は一次薄片化黒鉛と同様に積層している。そのため、従来の酸化グラフェンやカーボンブラックより黒鉛化度が高く、導電性に優れている。また、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有することから、比表面積が大きい。そのため、電極活物質と接触する部分の面積をより一層大きくすることができる。従って、炭素材料が部分剥離型薄片化黒鉛である場合、より一層良好な導電パスを形成することができるので、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。
部分剥離型薄片化黒鉛は、例えば、黒鉛または一次薄片化黒鉛と、樹脂とを含み、樹脂が黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフトまたは吸着により固定されている組成物を用意し、該組成物中に含まれている樹脂を、熱分解することにより得ることができる。なお、樹脂を熱分解させる際には、樹脂の一部を残存させながら熱分解してもよいし、樹脂を完全に熱分解してもよい。
部分剥離型薄片化黒鉛は、例えば、国際公開第2014/034156号に記載の薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法と同様の方法で製造することができる。また、黒鉛としては、より一層容易にグラファイトを剥離することが可能であることから、膨張黒鉛を使用することが好ましい。
また、一次薄片化黒鉛とは、各種方法により黒鉛を剥離することにより得られた薄片化黒鉛を広く含むものとする。一次薄片化黒鉛は、部分剥離型薄片化黒鉛であってもよい。一次薄片化黒鉛は、黒鉛を剥離することにより得られるものであるため、その比表面積は、黒鉛よりも大きいものであればよい。
上記樹脂の熱分解における加熱の温度としては、樹脂の種類にもより特に限定されないが、例えば、250℃〜1000℃とすることができる。加熱時間としては、例えば、20分〜5時間とすることができる。また、上記加熱は、大気中で行ってもよく、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。もっとも、炭素材料の導電性をより一層高める観点からは、上記加熱を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
樹脂としては、特に限定されないが、ラジカル重合性モノマーの重合体であることが好ましい。この場合、1種のラジカル重合性モノマーの単独重合体であってもよく、複数種のラジカル重合性モノマーの共重合体であってもよい。ラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性の官能基を有するモノマーである限り、特に限定されない。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−エチルアクリル酸メチル、α−ベンジルアクリル酸メチル、α−[2,2−ビス(カルボメトキシ)エチル]アクリル酸メチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジシクロヘキシル、α−メチレン−δ−バレロラクトン、α−メチルスチレン、α−アセトキシスチレンからなるα−置換アクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのグリシジル基や水酸基を持つビニルモノマー;アリルアミン、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなアミノ基を有するビニルモノマー、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸などのカルボキシル基を有するモノマー;ユニケミカル社製、ホスマー(登録商標)M、ホスマー(登録商標)CL、ホスマー(登録商標)PE、ホスマー(登録商標)MH、ホスマー(登録商標)PPなどのリン酸基を有するモノマー;ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基を有するモノマー;アルキル基やベンジル基などを有する(メタ)アクリレート系モノマーなどが挙げられる。
用いられる樹脂の例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール(ブチラール樹脂)、又はポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレンなどが挙げられる。
上記樹脂の中でも、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ酢酸ビニルを用いることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ酢酸ビニルを用いた場合、部分剥離型薄片化黒鉛の比表面積をより一層大きくすることができる。なお、樹脂種は使用する溶媒との親和性を鑑み、適宜選定を行うことが可能である。
黒鉛または一次薄片化黒鉛に固定されている熱分解前の樹脂の含有量は、樹脂分を除く黒鉛または一次薄片化黒鉛100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、好ましくは3000重量部以下、より好ましくは1000重量部以下である。熱分解前の樹脂の含有量が上記範囲内である場合、熱分解後の残存樹脂の含有量をより一層制御しやすい。また、熱分解前の樹脂の含有量が上記上限値以下である場合、コスト的により一層有利である。
熱分解後の残存樹脂の含有量は、樹脂分を含む部分剥離型薄片化黒鉛100重量%に対し、0重量%以上、30重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上、25量%以下であることがより好ましく、1.0重量%以上、20重量%以下であることがさらに好ましい。上記樹脂量が上記下限以上である場合、電極作製時のバインダー樹脂の添加量をより一層少なくすることができる。また、上記樹脂量が上記上限以下である場合、導電性をより一層高めることができる。
なお、熱分解前の樹脂の含有量及び部分剥離型薄片化黒鉛に残存している残存樹脂量は、例えば熱重量分析(以下、TG)によって加熱温度に伴う重量変化を測定し、算出することができる。
また、後述する正極活物質との複合体を作製する場合は、正極活物質との複合体を作製した後に、樹脂量を低減してもよく、樹脂を除去してもよい。
上記樹脂量を低減又は上記樹脂を除去する方法としては、樹脂の分解温度以上、正極活物質の分解温度未満で加熱処理する方法が好ましい。この加熱処理は、大気中、不活性ガス雰囲気下、低酸素雰囲気下、又は真空下のいずれで行ってもよい。
本発明において、炭素材料のD50は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。炭素材料のD50が上記下限値以上である場合、電極活物質間により一層良好な導電パスを形成し、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。炭素材料のD50が上記上限値以下である場合、電池容量などの容量をより一層高めることができる。
本発明において、炭素材料のD90は、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。炭素材料のD90が上記上限値以下である場合、キャリアイオンの拡散を阻害し難く、電池容量などの容量をより一層高めることができる。炭素材料のD90の下限値は、特に限定されないが、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上である。
本発明において、炭素材料のD10は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。炭素材料のD10が上記下限値以上である場合、電極活物質間により一層良好な導電パスを形成し、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。炭素材料のD10の上限値は、特に限定されないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。
炭素材料の体積基準による累積粒度分布におけるピークの半値幅(log(μm))は、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。この場合、電池容量などの容量をより一層高めつつ、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。炭素材料の体積基準による累積粒度分布におけるピークの半値幅(log10(μm))の下限値は、例えば、0.1とすることができる。
炭素材料のD90は、電極活物質のD90の好ましくは4倍以下、より好ましくは3倍以下である。この場合、電池容量などの容量をより一層高めることができる。また、炭素材料のD90は、電極活物質のD90の0.5倍以上であることが好ましい。この場合、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。
なお、炭素材料の粒径の調整は、例えば、ミルミキサー、ブレンダーミル、ジェットミルやボールミルなどのミルによる粉砕、分級、あるいは、水や、メタノール、エタノール、N−メチルピロリドン(NMP)に代表される有機溶媒に入れた後に超音波処理することによって、行うことができる。例えば、ミキサーで粉砕する場合は、粉砕時間により粒径を調整することができる。
本発明においては、炭素材料とSiとの重量比1:1における混合物のX線回折スペクトルを測定したときに、ピーク比a/bが、好ましくは0.22以上、より好ましくは0.25以上である。また、ピーク比a/bは、好ましくは10.0以下、より好ましくは8.0以下、さらに好ましくは5.0以下である。上記aは、2θが、24°以上、28°未満の範囲における最も高いピークの高さである。上記bは、2θが、28°以上、30°未満の範囲における最も高いピークの高さである。なお、Siとしては、例えば、φ=100nm以下のシリコン粉末を用いることができる。
上記X線回折スペクトルは、広角X線回折法によって測定することができる。X線としては、CuKα線(波長1.541Å)を用いることができる。X線回折装置としては、例えば、SmartLab(リガク社製)を用いることができる。
X線回折スペクトルにおいて、グラファイト構造に代表されるグラフェン積層構造に由来するピークは、2θ=26.4°付近に現れる。一方、シリコン粉末になどのSiに由来するピークは、2θ=28.5°付近に現れる。従って、上記比a/bは、2θ=26.4°付近のピークと2θ=28.5°付近のピークとのピーク比(2θ=26.4°付近のピーク/2θ=28.5°付近のピーク)により求めることができる。
なお、上記a/bが小さすぎると、炭素材料自身における黒鉛構造の形成が未熟であり、電子伝導性が低いことに加え、欠陥を有するので、正極や負極の抵抗値が増大し、電池特性が低下する場合がある。
上記a/bが大きすぎると、炭素材料自身が剛直となり、蓄電デバイスの正極や負極内に分散し難くなり、良好な導電パスを形成しにくくなる場合がある。
本発明においては、炭素材料の元素分析により測定された酸素原子数に対する炭素原子数の比(C/O比)が、好ましくは20以上、より好ましくは22以上、好ましくは200以下、より好ましくは180以下である。C/O比が上記範囲内にある場合、炭素材料の導電性をより一層高めることができ、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。
上記C/O比は、例えば、X線光電子分光法(XPS)により、測定することができる。具体的には、X線源:AlKα、光電子取出角:45度、X線ビーム径200μm(50W15kV)の条件で、光電子スペクトルを測定する。そして、Binding Energy:280eV〜292eVに現れるC1sスペクトルのピーク面積を、Binding Energy:525eV〜540eVに現れるO1sスペクトルのピーク面積で除する。それによって、炭素材料に含まれる酸素原子数に対する炭素原子数の比(C/O比)を算出することができる。
本発明において、炭素材料のBET比表面積は、特に限定されないが、好ましくは10m/g以上、より好ましくは15m/g以上、好ましくは200m/g以下、より好ましくは160m/g以下である。炭素材料のBET比表面積が上記範囲内にある場合、電極内において、より一層良好な導電パスを形成することができ、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。
上記BET比表面積は、BET法に準拠して、窒素の吸着等温線から測定することができる。測定装置としては、例えば、島津製作所社製、品番「ASAP−2000」を用いることができる。
本発明に用いる炭素材料は、上記のように電極中において良好な導電パスを形成することができるので、二次電池における正極の導電助剤として好適に用いることができる。なかでも、非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池の正極の導電助剤として好適に用いることができる。
また、この場合、上記炭素材料を用いることにより、正極の導電性をより一層高めることができるので、正極中における導電助剤の含有量を少なくすることができる。そのため、正極活物質の含有量をより一層多くすることができ、蓄電デバイスのエネルギー密度をより一層大きくすることができる。
蓄電デバイス用電極100重量%中における上記炭素材料の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.4重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。上記炭素材料の含有量が上記範囲内にある場合、電極活物質の含有量をより一層多くすることができ、蓄電デバイスのエネルギー密度をより一層大きくすることができる。
また、正極活物質の含有量を100質量部としたときに、炭素材料の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、さらに好ましくは0.4重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。炭素材料の含有量が上記下限値以上である場合、電池容量などの容量をより一層高めることができる。炭素材料の含有量が上記上限値以下である場合、充放電時における急激な温度上昇をより一層抑制することができる。
[蓄電デバイス用電極]
本発明の蓄電デバイス用電極材料は、蓄電デバイス用電極、すなわち、蓄電デバイスの正極及び/又は負極に用いることができる。なかでも、非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極に好適に用いることができ、特に非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池の正極により好適に用いることができる。
本発明の蓄電デバイス用電極は、一般的な正極構成、組成、及び製造方法のものでもよいし、電極活物質と炭素材料との複合体を用いてもよい。
以下、本発明の蓄電デバイス用電極の一例としての二次電池用正極について説明する。
(二次電池用正極)
本発明の蓄電デバイス用電極の一例としての二次電池用正極は、正極活物質と、導電助剤とを含む。正極活物質は、上述の電極活物質を用いることができる。また、上記導電助剤は、上述の炭素材料を含んでいる。上述のグラフェン積層構造を有する炭素材料を第1の炭素材料(特に断りがない限り、単に炭素材料と称するものとする)としたときに、第1の炭素材料とは異なる第2の炭素材料をさらに含んでいてもよい。第2の炭素材料としては、特に限定されず、グラフェン、人造黒鉛、粒状黒鉛化合物、繊維状黒鉛化合物、カーボンブラック又は活性炭が例示される。
上述したように、第1の炭素材料とは異なる第2の炭素材料が含まれる場合の粒度分布は、第1の炭素材料と第2の炭素材料との混合物の粒度分布でもよいし、電極製造前の第1の炭素材料、第2の炭素材料、それぞれの単体を用いて測定してもよい。第2の炭素材料は、上記式(1)を満たしていてもよいし、上記式(1)を満たしていなくてもよい。
上記正極は、正極活物質と上記炭素材料のみで形成されてもよいが、正極をより一層容易に形成する観点から、バインダーが含まれていてもよい。
上記バインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド、及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いることができる。
上記バインダーは、二次電池用正極をより一層容易に作製する観点から、非水溶媒又は水に溶解又は分散されていることが好ましい。
非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル又はテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに、分散剤や、増粘剤を加えてもよい。
上記二次電池用正極に含まれるバインダーの量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは0.3重量部以上、30重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以上、15重量部以下である。バインダーの量が上記範囲内にある場合、正極活物質と炭素材料との接着性を維持することができ、集電体との接着性をより一層高めることができる。
上記二次電池用正極の作製方法としては、例えば、正極活物質、炭素材料、並びにバインダーの混合物を、集電体上に形成させることによって作製する方法が挙げられる。
上記二次電池用正極をより一層容易に作製する観点から、以下のようにして作製することが好ましい。まず、正極活物質、炭素材料にバインダー溶液又は分散液を加えて混合することによりスラリーを作製する。次に、作製したスラリーを集電体上に塗布し、最後に溶媒を除去することによって二次電池用正極を作製する。
上記スラリーの作製方法としては、既存の方法を用いることができる。例えば、ミキサー等を用いて混合する方法が挙げられる。混合に用いられるミキサーとしては、特に限定されないが、プラネタリミキサー、ディスパー、薄膜旋回型ミキサー、ジェットミキサー、又は自公回転型ミキサー等が挙げられる。
上記スラリーの固形分濃度は、塗工をより一層容易に行う観点から、30重量%以上、95重量%以下が好ましい。貯蔵安定性をより一層高める観点から、上記スラリーの固形分濃度は、35重量%以上、90重量%以下であることがより好ましい。また、より一層製造費用を抑制する観点から、上記スラリーの固形分濃度は、40重量%以上、85重量%以下であることがさらに好ましい。
なお、上記固形分濃度は、希釈溶媒によって制御することができる。希釈溶媒としては、バインダー溶液、又は分散液と同じ種類の溶媒を用いることが好ましい。また、溶媒の相溶性があれば、他の溶媒を用いてもよい。
上記二次電池用正極に用いる集電体は、アルミニウム又はアルミニウムを含む合金であることが好ましい。アルミニウムは、正極反応雰囲気下で安定であることから、特に限定されないが、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることが好ましい。
集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上、100μm以下であることが好ましい。集電体の厚みが10μm未満の場合、作製の観点から取り扱いが困難となることがある。一方、集電体の厚みが100μmより厚い場合は、経済的観点から不利になることがある。
なお、集電体は、アルミニウム以外の金属(銅、SUS、ニッケル、チタン、及びそれらの合金)の表面に、アルミニウムを被覆させたものであってもよい。
上記スラリーを集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、上記スラリーをドクターブレード、ダイコータ又はコンマコータ等により塗布した後に溶剤を除去する方法や、スプレーにより塗布した後に溶剤を除去する方法、又はスクリーン印刷によって塗布した後に溶媒を除去する方法等が挙げられる。
上記溶媒を除去する方法は、より一層簡便であることから、送風オーブンや真空オーブンを用いた乾燥が好ましい。溶媒を除去する雰囲気としては、空気雰囲気、不活性ガス雰囲気、又は真空状態などが挙げられる。また、溶媒を除去する温度は、特に限定されないが、60℃以上、250℃以下であることが好ましい。溶媒を除去する温度が60℃未満では、溶媒の除去に時間を要する場合がある。一方、溶媒を除去する温度が250℃より高いと、バインダーが劣化する場合がある。
上記二次電池用正極は、所望の厚み、密度まで圧縮させてもよい。圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレスや、油圧プレス等を用いて行うことができる。
圧縮後における上記二次電池用正極の厚みは、特に限定されないが、10μm以上、1000μm以下であることが好ましい。厚みが10μm未満では、所望の容量を得ることが難しい場合がある。一方、厚みが1000μmより厚い場合は、所望の出力密度を得ることが難しい場合がある。
上記二次電池用正極は、正極1cm当たりの電気容量が、0.5mAh以上、10.0mAh以下であることが好ましい。電気容量が0.5mAh未満である場合は、所望する容量の電池の大きさが大きくなる場合がある。一方、電気容量が10.0mAhより大きい場合は、所望の出力密度を得ることが難しくなる場合がある。なお、正極1cm当たりの電気容量の算出は、二次電池用正極作製後、リチウム金属を対極とした半電池を作製し、充放電特性を測定することによって算出してもよい。
二次電池用正極の正極1cm当たりの電気容量は、特に限定されないが、集電体単位面積あたりに形成させる正極の重量で制御することができる。例えば、前述のスラリー塗工時の塗工厚みで制御することができる。
また、上記正極は、正極活物質と上記炭素材料との複合体を用いてもよい。正極活物質−炭素材料複合体は、例えば、次のような手順で作製される。
最初に、上記炭素材料を溶媒に分散させた炭素材料の分散液(以下、炭素材料の分散液1)を作製する。次に、上記分散液1とは別に、正極活物質を溶媒に分散させた正極活物質の分散液(以下、正極活物質の分散液2)を作製する。
次に、炭素材料の分散液1と、正極活物質の分散液2とを混合する。最後に、上記炭素材料及び上記正極活物質が含まれる分散液の溶媒を除去することによって、蓄電デバイス用電極に用いられる正極活物質と炭素材料との複合体(活物質−炭素材料複合体)が作製される。
また、上述の作製方法以外にも、混合の順序を変えてもよいし、上記分散液1,2のいずれかが分散液ではなく乾式であってもよいし、全て乾式の状態で混合する方法でもよい。また、炭素材料と正極活物質と溶媒との混合物を、ミキサーで混合する方法、すなわち、後述の正極のスラリーの作製と、複合体の作製とを兼ねていてもよい。
正極活物質や炭素材料を分散させる溶媒は、水系、非水系、水系と非水系との混合溶媒、又は異なる非水系溶媒の混合溶媒のいずれでもよい。また、炭素材料を分散させる溶媒と、正極活物質を分散させる溶媒は同じでもよいし、異なっていてもよい。異なっている場合は、互いの溶媒に相溶性があることが好ましい。
非水系溶媒としては、特に限定されないが、例えば分散のしやすさから、メタノール、エタノール、プロパノールに代表されるアルコール系、テトラヒドロフラン又はN−メチル−2−ピロリドンなどの非水系溶媒を用いることができる。また、分散性をより一層向上させるため、上記溶媒に、界面活性剤などの分散剤が含まれてもよい。
分散方法は、特に限定されないが、超音波による分散、ミキサーによる分散、ジェットミルによる分散、又は攪拌子による分散が挙げられる。
炭素材料の分散液の固形分濃度は、特に限定されないが、炭素材料の重量を1とした場合に、溶媒の重量が0.5以上、1000以下であることが好ましい。取り扱い性をより一層高める観点から、炭素材料の重量を1とした場合に、溶媒の重量が1以上、750以下であることがより好ましい。また、分散性をより一層高める観点から、炭素材料の重量を1とした場合に、溶媒の重量が2以上、500以下であることがさらに好ましい。
溶媒の重量が上記下限未満の場合は、炭素材料を所望の分散状態まで分散させることができない場合がある。一方、溶媒の重量が上記上限より大きい場合は、製造費用が増大する場合がある。
正極活物質の分散液の固形分濃度は、特に限定されないが、正極活物質の重量を1とした場合に、溶媒の重量が0.5以上、100以下であることが好ましい。取り扱い性をより一層高める観点から、溶媒の重量は、1以上、75以下であることがより好ましい。また、分散性をより一層高める観点から、溶媒の重量は、5以上、50以下であることがさらに好ましい。なお、溶媒の重量が上記下限未満の場合は、正極活物質を所望の分散状態まで分散させることができない場合がある。一方、溶媒の重量が上記上限より大きい場合は、製造費用が増大する場合がある。
正極活物質の分散液と、炭素材料の分散液とを混合する方法は、特に限定されないが、互いの分散液を一度に混合する方法や、一方の分散液を他方の分散液に複数回に分けて加える方法が挙げられる。
一方の分散液を他方の分散液に複数回に分けて加える方法としては、例えば、スポイドなどの滴下の器具を用いて滴下する方法や、ポンプを用いる方法、又はディスペンサーを用いる方法が挙げられる。
炭素材料、正極活物質及び溶媒の混合物から、溶媒を除去する方法としては、特に限定されないが、ろ過により溶媒を除去した後に、オーブン等で乾燥させる方法が挙げられる。上記ろ過は、生産性をより一層高める観点から、吸引ろ過であることが好ましい。また、乾燥方法としては、送風オーブンで乾燥させた後に、真空で乾燥させた場合、細孔に残存している溶媒を除去できることから好ましい。
正極活物質−炭素材料複合体における、正極活物質と炭素材料との重量の比率は、正極活物質の重量を100重量%とした場合に、炭素材料の重量が、0.2重量%以上、10.0重量%以下であることが好ましい。レート特性をより一層向上させる観点からは、炭素材料の重量が、0.3重量%以上、8.0重量%以下であることがより好ましい。また、サイクル特性をより一層向上させる観点からは、炭素材料の重量が、0.5重量%以上、7.0重量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明の蓄電デバイス用電極は、このような二次電池用正極に限定されず、二次電池用負極であってもよい。この場合においても、二次電池用正極同様のバインダー等を用いることができるものとする。
[蓄電デバイス]
本発明の蓄電デバイスは、上記本発明の蓄電デバイス用電極を備える。そのため、電池容量などの容量を高めつつ、充放電時における急激な温度上昇を抑制することができる。
上述したように、本発明の蓄電デバイスとしては、特に限定されないが、非水電解質一次電池、水系電解質一次電池、非水電解質二次電池、水系電解質二次電池、全固体電解質一次電池、全固体電解質二次電池、コンデンサ、電気二重層キャパシタ、又はリチウムイオンキャパシタなどが例示される。
本発明の蓄電デバイスの一例としての二次電池は、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンの挿入及び脱離反応が進行する化合物を用いられたものであればよい。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンが例示される。アルカリ土類金属イオンとしては、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンが例示される。特に、本発明は非水電解質二次電池の正極に効果が大きく、そのなかでもリチウムイオンを用いたものに好適に用いることができる。以下、リチウムイオンを用いた非水電解質二次電池(以下、リチウムイオン二次電池)を例に説明する。
上記非水電解質二次電池の正極及び負極は、集電体の両面に同じ電極を形成させた形態であってもよく、集電体の片面に正極、他方の面に負極を形成させた形態、すなわち、バイポーラ電極であってもよい。
上記非水電解質二次電池は、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを倦回したものであってもよいし、積層したものであってもよい。正極、負極及びセパレータには、リチウムイオン伝導を担う非水電解質が含まれている。
上記非水電解質二次電池は、上記積層体を倦回、又は複数積層した後にラミネートフィルムで外装してもよいし、角形、楕円形、円筒形、コイン形、ボタン形、又はシート形の金属缶で外装してもよい。外装には発生したガスを放出するための機構が備わっていてもよい。積層体の積層数は、特に限定されず、所望の電圧値、電池容量を発現するまで積層させることができる。
上記非水電解質二次電池は、所望の大きさ、容量、電圧によって、適宜直列、並列に接続した組電池とすることができる。上記組電池においては、各電池の充電状態の確認、安全性向上のため、組電池に制御回路が付属されていることが好ましい。
上記非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、特に限定されないが、例えば、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を用いることができる。また、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解質、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどの高分子固体電解質、又はサルファイドガラス、オキシナイトライドなどの無機固体電解質を用いてもよい。
非水溶媒としては、後述の溶質をより一層溶解させやすいことから、環状の非プロトン性溶媒及び/又は鎖状の非プロトン性溶媒を含むことが好ましい。
環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、環状スルホン又は環状エーテルなどが例示される。
鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル又は鎖状エーテルなどが例示される。
また、アセトニトリルなどの一般的に非水電解質の溶媒として用いられる溶媒を用いてもよい。より具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジオキソラン、プロピオン酸メチルなどを用いることができる。これら溶媒は単独で用いてもよいし、2種類以上の溶媒を混合しても用いてもよい。もっとも、後述の溶質をより一層容易に溶解させ、リチウムイオンの伝導性をより一層高める観点から、2種類以上の溶媒を混合した溶媒を用いることが好ましい。
溶質としては、特に限定されないが、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCFSO、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato) Borate)、又はLiN(SOCFを用いることが好ましい。この場合、非水溶媒により一層容易に溶解させることができる。
電解液に含まれる溶質の濃度は、0.5mol/L以上、2.0mol/L以下であることが好ましい。溶質の濃度が0.5mol/L未満では、所望のリチウムイオン伝導性が発現しない場合がある。一方、溶質の濃度が2.0mol/Lより高いと、溶質がそれ以上溶解しない場合がある。
また、非水電解質には、難燃剤、安定化剤などの添加剤がさらに含まれていてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
正極活物質の作製;
次に、正極活物質としてのLiCo1/3Ni1/3Mn1/3を、非特許文献(Journal of PowerSources,Vol.146,pp.636−639(2005))に記載されている方法で作製した。
すなわち、まず、水酸化リチウムと、コバルト、ニッケル及びマンガンのmol比が1:1:1の3元水酸化物とを混合し混合物を得た。次に、この混合物を空気雰囲気下において、1000℃で加熱することによって正極活物質を作製した。
得られた正極活物質の体積基準での累積粒度分布を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック社製、「MT3300EXII」)を用いて求めた。その結果、正極活物質のD10は、5.0μmであり、D90は8.0μmであった。
グラフェン積層構造を有する炭素材料の作製;
膨張化黒鉛の粉末(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8F」、BET比表面積=22m/g、平均粒子径=10μm)6gと、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.2gと、水200gとポリエチレングリコール120gとを、ホモミクサーで30分間混合することによって、原料組成物を作製した。
なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩は、アルドリッチ社製のもの(平均分子量=250,000)を用いた。ポリエチレングリコールは、三洋化成工業社製、商品名「PG600」を用いた。また、ホモミクサーは、TOKUSHU KIKA社製、型番「T.K.HOMOMIXER MARKII」を用いた。
次に、作製した原料組成物を150℃で加熱処理することによって、水を除去した。その後、水を除去した組成物を、370℃の温度で、1時間加熱処理することよって、ポリエチレングリコールの一部が残存している炭素材料を作製した。
さらに、作製した炭素材料を420℃の温度で0.5時間加熱処理することによって、グラファイト構造を有し、部分的にグラファイトが剥離されている、炭素材料を得た。得られた炭素材料においては、全重量に対して3.0重量%樹脂が含まれていた。なお、樹脂量は、TG(日立ハイテクサイエンス社製、品番「STA7300」)を用いて、200℃〜600℃の範囲で重量減少した分を樹脂量として算出した。
最後に、前述の炭素材料をミキサー(大阪ケミカル社製、ラボミル)で5分間粉砕し、本実施例で用いる炭素材料を得た。
得られた炭素材料とシリコン粉末(Nano Powder、純度≧98%、粒径≦100nm、アルドリッチ社製)とを重量比1:1の割合でサンプル瓶中にて混合することにより、測定試料としての混合粉末を作製した。作製した混合粉末を無反射Si試料台にいれ、X線回折装置(Smart Lab、リガク社製)に設置した。その後に、X線源:CuKα(波長1.541Å)、測定範囲:3°〜80°、スキャンスピード:5°/分の条件で、広角X線回折法によりX線回折スペクトルを測定した。得られた測定結果から、2θ=28°以上、30°未満の範囲における最も高いピークの高さbを1として規格化し、そのときの2θ=24°以上、28℃未満の範囲における最も高いピークの高さaを算出した。最後にaとbとの比、すなわち、比a/bを算出した。その結果、実施例1における炭素材料の比a/bは、0.79であった。
また、得られた炭素材料の体積基準での累積粒度分布を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック社製、「MT3300EXII」)を用いて求めた。その結果、炭素材料のD50は、4.2μmであり、D90は8.3μmであった。また、ピークの半値幅(log10(μm))は、0.58であった。D50の結果より、以下の式(1)を満たすことを確認できた。
1/4{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2≦Z≦3{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2…式(1)
(式(1)中、Xは、電極活物質の体積基準による累積粒度分布における90%粒径(D90)である。Yは、電極活物質の体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)である。Zは、炭素材料の体積基準による累積粒度分布における50%粒径(D50)である。)
正極の作製;
まず、上記のようにして得た炭素材料0.1gに、エタノール5.0gを加え、5.0時間超音波洗浄機(AS ONE社製)で処理し、炭素材料の分散液を調製した。
次に、エタノール100gに上記のようにして得られた正極活物質(LiCo1/3Ni1/3Mn1/3)10gを加え、マグネチックスターラーにて600rpmで10分攪拌することによって、正極活物質の分散液を調製した。
さらに、上記炭素材料の分散液に、上記正極活物質の分散液をスポイトで滴下した。なお、滴下時は、炭素材料の分散液は、超音波洗浄機(AS ONE社製)で処理し続けた。その後、分散液の混合液をマグネチックスターラーで3時間攪拌した。
最後に、分散液の混合液を吸引ろ過した後に、110℃で1時間真空乾燥することによって、正極活物質と炭素材料との複合体(活物質−炭素材料複合体)を作製した。正極の作製に必要な量は、上記の工程を繰り返すことによって作製した。
次に、上記複合体100重量部に、バインダー(PVdF、固形分濃度12重量%、NMP溶液)を固形分が2重量部となるように混合し、スラリーを作製した。次に、このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に塗工した後に、送風オーブンにて120℃で1時間加熱し、溶媒を除去した後、120℃で12時間真空乾燥した。次に、同様にしてアルミニウム箔の裏面にもスラリーを塗工及び乾燥させた。
最後に、ロールプレス機にて、上記正極をプレスした。
正極の容量は、単位面積当たりの電極重量、及び正極活物質の理論容量(150mAh/g)から算出した。その結果、正極の容量(片面あたり)は、5mAh/cmであった。
負極の作製;
負極は、次の通りに作製した。
最初に負極活物質(人造黒鉛)100重量部にバインダー(PVdF、固形分濃度12重量%、NMP溶液)を固形分が5重量部となるように混合し、スラリーを作製した。次に、上記スラリーを銅箔(20μm)に塗工した後に、送風オーブンにて120℃で1時間加熱し、溶媒を除去した後、120℃で12時間真空乾燥した。次に、同様にして銅箔の裏面にもスラリーを塗工及び乾燥させた。
最後に、ロールプレス機にて、プレスし、負極を作製した。負極の容量は、単位面積当たりの電極重量、及び負極活物質の理論容量(350mAh/g)から算出した。その結果、負極の容量(片面あたり)は、6.0mAh/cmであった。
非水電解質二次電池の製造;
最初に、作製した正極(電極部分:40mm×50mm)、負極(電極部分:45mm×55mm)及びセパレータ(ポリオレフィン系の微多孔膜、25μm、50mm×60mm)を、負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極の順に、正極の容量が1000mAh(正極5枚、負極6枚)となるように積層した。次に、両端の正極及び負極にそれぞれアルミニウムタブ及びニッケルめっき銅タブを振動溶着させた後に、袋状のアルミラミネートシートに入れ、3方を熱溶着させ、電解液封入前の非水電解質二次電池を作製した。さらに、上記電解液封入前の非水電解質二次電池を60℃で3時間真空乾燥した後に、非水電解質(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=1/2体積%、LiPF 1mol/L)を20g入れ、減圧しながら封止することによって非水電解質二次電池を作製した。なお、ここまでの工程は、露点が−40℃以下の雰囲気(ドライボックス)で実施した。最後に、非水電解質二次電池を、4.25Vまで充電させた後に、25℃で100時間放置し、露点が−40℃以下の雰囲気(ドライボックス)にて発生したガス、及び過剰な電解液を除去した後に、再度減圧しながら封止することによって実施例1の非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2)
実施例1と同様にして部分的にグラファイトが剥離されている、炭素材料を作製した後に、ミキサー(大阪ケミカル社製、ラボミル)で1分間粉砕し、本実施例で用いる炭素材料を得た。この炭素材料のD50は10.1μmであり、D90は14.3μmであった。また、ピークの半値幅(log10(μm))は、0.78であった。この炭素材料を用いたこと以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を得た。なお、上記炭素材料のD50の結果より、上記式(1)を満たすことを確認できた。
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた部分的にグラファイトが剥離されている、炭素材料0.5gに、NMP100gを加え、5.0時間超音波洗浄機(AS ONE社製)で処理したのち、分散液の混合液を吸引ろ過した。得られたろ過物を、150℃で12時間真空乾燥することによって、本実施例で用いる炭素材料を得た。この炭素材料のD50は1.9μmであり、D90は3.3μmであった。また、ピークの半値幅(log10(μm))は、0.31であった。この炭素材料を用いたこと以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を得た。なお、上記炭素材料のD50の結果より、上記式(1)を満たすことを確認できた。
(実施例4)
本実施例では、正極活物質としてLiNi0.8Co0.15Al0.05を用いた。この正極活物質は、製造は、以下の方法で製造した。
最初に、コバルトを含有する水酸化ニッケル(Ni:Co=8:1(mol比))と、アルミン酸ナトリウムとをガラスビーカーに入れ、純水を加えて撹拌することによって、アルミン酸ナトリムを溶解させた水酸化ニッケルの懸濁液を得た。その後、この懸濁液のpHが7になるまで硫酸を滴下し、沈澱物を濾過して真空乾燥した。次に、このコバルトを含有する水酸化ニッケルと水酸化アルミニウムとを含む乾燥物に、mol比でLi:(Ni+Co+Al)=1:1となるように水酸化リチウム一水塩を加え、混合した。最後に、酸素を吹き込みながら、700℃で24時間加熱することによって、実施例4の正極活物質を作製した。
得られた正極活物質の体積基準での累積粒度分布を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック社製、「MT3300EXII」)を用いて求めた。その結果、実施例4の正極活物質のD10は2.0μmであり、D90は10.0μmであった。その他の点は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を得た。なお、上記炭素材料のD50の結果より、上記式(1)を満たすことを確認できた。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた部分的にグラファイトが剥離されている、炭素材料をミキサー(大阪ケミカル社製、ラボミル)で10秒間粉砕し、本比較例で用いる炭素材料を得た。この炭素材料のD50は、22.1μmであり、D90は46.3μmであった。また、ピークの半値幅(log10(μm))は、0.82であった。その他の点は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を得た。
(比較例2)
実施例1と同様にして得られた部分的にグラファイトが剥離されている、炭素材料を、ミキサー(大阪ケミカル社製、ラボミル)で10分間粉砕した。次に、この炭素材料0.5gに、NMP100gを加え、12.0時間超音波洗浄機(AS ONE社製)で処理した後、分散液の混合液を吸引ろ過した。このろ過物を、150℃で12時間真空乾燥することによって、比較例2の炭素材料を得た。この炭素材料のD50は、0.8μmであり、D90は2.1μmであった。また、ピークの半値幅(log10(μm))は、0.21であった。その他の点は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を得た。
(比較例3)
正極に用いる炭素材料を比較例2で用いたものを用いたこと以外は、実施例4と同様にして非水電解質二次電池を得た。
(評価)
電池容量の評価;
実施例及び比較例で得られた非水電解質二次電池の電池容量の評価は、次の方法で行った。最初に、非水電解質二次電池を、25℃の恒温槽に入れ、充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続した。次に、非水電解質二次電池を、定電流定電圧充電(電流値:200mA、充電終止電圧:4.2V、定電圧充電電圧:4.2V、定電圧充電終止条件:3時間経過、あるいは電流値20mA)した。さらに、充電後、1分間休止し、1000mAで2.5Vまで放電し、電池容量を評価した。
電池容量が800mAh以上をA(合格)とし、800mAh未満をB(不可)とした。
充放電時における温度上昇の測定方法;
実施例及び比較例で得られた非水電解質二次電池の大電流での充放電時の温度上昇は、次の方法で測定した。最初に、非水電解質二次電池を、25℃の恒温槽に入れ、充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続した。次に、非水電解質二次電池を、定電流充電(電流値200mA、充電終止電圧4.25V)した。さらに、充電後、1分間休止し、5000mA(大電流)で2.5Vまで放電し、温度上昇を測定した。温度は、非水電解質二次電池の中央部分に熱電対(Kタイプ)を、イミドテープで貼り付け、データロガー(グラフテック社製、GL900APS)で測定し、最高温度を記録した。温度上昇は、最高温度と25℃との差を算出した。このとき、15℃未満の温度上昇をA(合格)とし、15℃以上の温度上昇をB(不合格)とした。
以上の結果を表1にまとめた。その結果、本発明の範囲において、規定量以上の電池容量の発現および温度上昇の抑制が確認された。
Figure 2020145144

Claims (10)

  1. 蓄電デバイスに用いられる電極材料であって、
    電極活物質と、炭素材料とを含み、
    前記電極活物質の体積基準による累積粒度分布における90%粒径(D90)をXμmとし、前記電極活物質の体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)をYμmとし、前記炭素材料の体積基準による累積粒度分布における50%粒径(D50)をZμmとしたときに、前記X、前記Y、及び前記Zが、下記式(1)を満たす、蓄電デバイス用電極材料。
    1/4{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2≦Z≦3{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2…式(1)
  2. 前記X、前記Y、及び前記Zが、下記式(2)を満たす、請求項1に記載の蓄電デバイス用電極材料。
    1/3{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2≦Z≦2{(X/2+Y/2)−(X/2−Y/2)1/2…式(2)
  3. 前記炭素材料のD90が、30μm以下である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用電極材料。
  4. 前記炭素材料の体積基準による累積粒度分布におけるピークの半値幅(log10(μm))が、0.8以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料。
  5. 前記炭素材料のD90が、前記電極活物質のD90の4倍以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料。
  6. 前記炭素材料が、グラフェン積層構造を有する炭素材料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料。
  7. 前記炭素材料が、グラファイトが部分的に剥離している構造を有する、部分剥離型薄片化黒鉛である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料を含む、蓄電デバイス用電極。
  9. 請求項8に記載の蓄電デバイス用電極を備える、蓄電デバイス。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料に用いられる、炭素材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022102693A1 (ja) * 2020-11-13 2022-05-19 積水化学工業株式会社 非水電解質二次電池用導電助剤、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池
WO2023224107A1 (ja) * 2022-05-19 2023-11-23 株式会社マテリアルイノベーションつくば 電極材料、電極及びキャパシタ

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