JP2020143354A - 熱間プレス部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間プレス部材の電着塗装付き回り性を向上し、耐食性に優れた熱間プレス部材およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】鋼板の少なくとも一方の面にZn系めっき層を有し、前記Zn系めっき層表面の最大高さ粗さRzが15.0μm以下であることを特徴とする熱間プレス部材。【選択図】なし

Description

本発明は、熱間プレス部材およびその製造方法に関する。特に、耐食性に優れた熱間プレス部材およびその製造方法に関する。
近年、自動車の分野では素材鋼板の高性能化と共に軽量化が促進されており、防錆性を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板または電気亜鉛めっき鋼板の使用が増加している。しかし、多くの場合、鋼板の高強度化に伴ってそのプレス成形性が低下するため、複雑な部品形状を得ることは困難になる。例えば自動車用途で、防錆性が必要であり、かつ難成形部品としてはシャシーなどの足回り部材やBピラーなどの骨格用構造部材が挙げられる。
このような背景から、近年では冷間プレスに比べてプレス成形性と高強度化の両立が容易である熱間プレスによる自動車用部品の製造が急速に増加しており、熱間プレス技術の諸課題を解決する様々な技術が開示されている。
例えば、特許文献1では、鋼板表層のめっき層融点を800℃以上とすることで、液体金属脆化割れの無い熱間プレス部材を得る製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、めっき層表層にZnOを主体とする酸化皮膜を備えることで、熱間プレス加熱時の亜鉛蒸発を防止する熱間プレス用鋼板が開示されている。
また、特許文献3では、熱間プレス前に空気ジェットなどを用いて鋼板を450〜700℃に急速中間冷却した後、プレスによる金型冷却を実施することによってマイクロクラックの無い熱間プレス部材を製造する方法が開示されている。
特許第5817479号公報 特許第3582504号公報 特許第5727037号公報
上述した様に、熱間プレス技術の諸課題に対して、鋼板、めっきおよび工法などの観点から様々な解決策が提案され、熱間プレス技術の進歩・発展を支えてきた。
しかしながら、熱間プレス部品の生産量増加や新規部品への技術適用に伴って、従来に無かった新たな課題が顕在化するようになってきた。
例えば、熱間プレス部材に化成処理および電着塗装を実施する際、冷間プレス部材に比べて、熱間プレス部材の方が電着塗装の付き回り性が不十分であることが生じる場合がある。電着塗装の付き回り性が不十分な場合では、部分的に電着塗装の薄膜部が形成され、塗装による耐食性向上効果を十分に享受できないという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、熱間プレス部材の電着塗装付き回り性を向上し、耐食性に優れた熱間プレス部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために、鋭意研究を行い、以下の知見を得た。
(1)電着塗装の付き回り性劣化は、熱間プレス部材が有するZn系めっき層表面の最大高さ粗さRzに相関があり、最大高さ粗さが15.0μm以下であれば、電着塗装の付き回り性を向上することが出来る。
(2)電着塗装後の熱間プレス部材の耐食性はZn系めっき層のZnO被覆率に相関があり、Zn系めっき層のZnO被覆率を85%以上にすることで熱間プレス部材の耐食性を更に向上することが出来る。
(3)熱間プレス加工前に熱処理を行い、熱処理時の鋼板の最高到達温度Tが860℃以下であり、かつ室温から加熱工程終了までの総加熱時間が(24.5−0.025T)min以上とすることで、Zn系めっき層表面の最大高さ粗さRzが15.0μm以下である熱間プレス部材を得る事が出来る。
本発明は上記知見に基づくものであり、その特徴は以下の通りである。
[1]鋼板の少なくとも一方の面にZn系めっき層を有し、
前記Zn系めっき層表面の最大高さ粗さRzが15.0μm以下であることを特徴とする熱間プレス部材。
[2]前記Zn系めっき層のZnO被覆率が85%以上であることを特徴とする[1]に記載の熱間プレス部材。
[3]前記鋼板が、質量%で、
C:0.20〜0.35%、
Si:0.1〜0.5%、
Mn:1.0〜3.0%、
P:0.02%以下、
S:0.01%以下、
Al:0.1%以下、
N:0.01%以下を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする、[1]または[2]に記載の熱間プレス部材。
[4]さらに前記鋼板が、質量%で、
Nb:0.05%以下、
Ti:0.05%以下、
B:0.0002〜0.0050%、
Cr:0.1〜0.3%、
Sb:0.003〜0.03%のうちから選ばれる1種または2種以上の成分組成を含有することを特徴とする、[3]に記載の熱間プレス部材。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の熱間プレス部材の製造方法であって、
鋼板の最高到達温度Tが860℃以下であり、かつ室温から加熱工程終了までの総加熱時間tが(24.5−0.025T)min以上で加熱した後、熱間プレス加工を行うことを特徴とする熱間プレス部材の製造方法。
本発明によれば、熱間プレス部材の電着塗装付き回り性を向上し、耐食性に優れた熱間プレス部材が得られる。また、本発明の熱間プレス部材は、急速中間冷却を行う必要がないため、一般的な熱間プレス設備で成形することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な一実施態様を示すものであり、以下の説明によって何ら限定されるものではない。また、鋼成分組成の各元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であり、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
まず、熱間プレス用鋼板のZn系めっき層の限定理由について述べる。
Zn系めっき層表面の最大高さ粗さRzが15.0μm以下
上述したように、本発明者らは熱間プレス部材の電着塗装付き回り性とZn系めっき層表面の最大高さ粗さRzに相関があることを見出した。具体的には、Zn系めっき層表面の最大高さ粗さRzが15.0μm以下の場合では、電着塗装の膜厚最少部が厚いことが明らかになった。これは、電着塗装後の熱処理において、Zn系めっき層表面の最大高さ粗さRzが15.0μmを超える場合は、電着塗装の熱フローの障壁となるため、塗装膜厚が薄い部分が存在したためと考えられる。部分的にでも塗装膜厚が薄い部分が存在する場合は、その薄膜部を起点として部材の腐食が進行するため、塗膜厚さが均一に担保されている場合に比べて電着塗装の付き回り性が不十分となり、その結果、耐食性は劣化する。したがって、Zn系めっきの最大高さ粗さRzは15.0μm以下とする。
なお、Zn系めっき層表面のRzは、JIS B 0601に記載の触針式表面粗さ測定機の測定法により測定される。
Zn系めっき層としては、防錆性の観点からめっき層の主成分がZnであれば組成に関しては特に限定されないが、Zn−Al合金めっき層、Zn−Al−Mg合金めっき層、Zn−Al−Mg−Si合金めっき層、Zn−Fe合金めっき層、Zn−Ni合金めっき層のうちのいずれか1種が好ましい。
また、本発明では、Zn系めっき層は、10〜25質量%のNiを含み、残部はZnおよび不可避的不純物からなるZn−Ni合金めっき層であることが好ましい。Zn合金めっき層中のNi量を10〜25質量%に制御することで、融点の高いNiZn11、NiZn、NiZn21のいずれかの結晶構造を有するγ相が形成されるため、他のZn合金めっき層に比べて耐液体金属脆化の観点で有利である。
また、Zn系めっき層の片面当たりのめっき付着量は、120g/m以下であることが好ましい。一般的なめっき製造ラインで120g/m超えの厚めっきを形成させるためには、ラインスピードを大幅に抑制する必要があり、コストアップを招く。したがって、片面当たりのめっき付着量は120g/m以下が好ましい。なお、より好ましくは、90g/m以下である。また、10g/m未満では熱間プレス加熱時のFeスケール生成抑制効果が不十分になるため、10g/m以上であることが好ましい。
ZnO被覆率が85%以上
より耐食性に優れた熱間プレス部材を得るために、本発明では、Zn系めっき層のZnO被覆率を85%以上とすることが好ましい。ZnO被覆率により耐食性が向上されるメカニズムは明らかではないが、めっき露出部(すなわち、ZnOに被覆されていない部分)はZnO被覆部に比べて化成処理性が劣位であり、塗装密着性が低下している可能性が考えられる。なお、ZnO被覆率については、加熱時間を制御することにより所望のZnO被覆率が得られる。
本発明において、1470MPa級を超えるような熱間プレス部材を得るためには、めっき層の下地鋼板としては、例えば、質量%で、C:0.20〜0.35%、Si:0.1〜0.5%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼板を用いることができる。なお、鋼板としては冷延鋼板または熱延鋼板のいずれでも構わない。以下に各成分の限定理由を記載する。
C:0.20〜0.35%
Cは、鋼組織としてマルテンサイトなどを形成させることで強度を向上させる。1470MPa級を超えるような強度を得るためには0.20%以上必要である。一方、0.35%を超えるとスポット溶接部の靱性が劣化する。したがって、C量は0.20〜0.35%とすることが好ましい。
Si:0.1〜0.5%
Siは鋼を強化して良好な材質を得るのに有効な元素である。そのためには0.1%以上必要である。一方、0.5%を超えるとフェライトが安定化されるため、焼き入れ性が低下する。したがって、Si量は0.1〜0.5%とすることが好ましい。
Mn:1.0〜3.0%
Mnは鋼の高強度化に有効な元素である。機械特性や強度を確保するためは1.0%以上含有させることが必要である。一方、3.0%を超えると焼鈍時の表面濃化が増加し、めっき密着性の確保が困難になる。したがって、Mn量は1.0〜3.0%とすることが好ましい。
P:0.02%以下
P量が0.02%を超えると鋳造時のオーステナイト粒界へのP偏析に伴う粒界脆化により、局部延性の劣化を通じて強度と延性のバランスが低下する。したがって、P量は0.02%以下とすることが好ましい。
S:0.01%以下
SはMnSなどの介在物となって、耐衝撃性の劣化や溶接部のメタルフローに沿った割れの原因となる。したがって、極力低減することが望ましく0.01%以下とすることが好ましい。また、良好な伸びフランジ性を確保するため、より好ましくは0.005%以下とする。
Al:0.1%以下
Al量が0.1%を超えると、素材の鋼板のブランキング加工性や焼入れ性を低下させる。したがって、Al量は0.1%以下とすることが好ましい。
N:0.01%以下
N量が0.01%を超えると、熱間圧延時や熱間プレス前の加熱時にAlNの窒化物を形成し、素材の鋼板のブランキング加工性や焼入れ性を低下させる。したがって、N量は0.01%以下とすることが好ましい。
また、本発明では上記した基本成分のほかに鋼板の特性の更なる改善を意図して、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、B:0.0002〜0.0050%、Cr:0.1〜0.3%、Sb:0.003〜0.03%のうちから選ばれる1種または2種以上を必要に応じて適宜含有させることが可能である。
Nb:0.05%以下
Nbは鋼の強化に有効な成分であるが、過剰に含まれると形状凍結性が低下する。したがって、Nbを含有させる場合は0.05%以下とする。
Ti:0.05%以下
TiもNbと同様に鋼の強化には有効であるが、過剰に含まれると形状凍結性が低下するという課題がある。したがって、Tiを含有させる場合は0.05%以下とする。
B:0.0002〜0.0050%
Bはオーステナイト粒界からのフェライト生成および成長を抑制する作用を有するため、0.0002%以上の添加が好ましい。一方、過剰なBの添加は成形性を大きく損なう。したがって、Bを含有させる場合は0.0002〜0.0050%とする。
Cr:0.1〜0.3%
Crは鋼の強化および焼き入れ性を向上させるために有用である。このような効果を発現するためには0.1%以上の添加が好ましい。一方、合金コストが高いため0.3%超えの添加では大幅なコストアップを招く。したがって、Crを含有させる場合は0.1〜0.3%とする。
Sb:0.003〜0.03%
Sbも熱間プレスのプロセス中に鋼板表層の脱炭を抑止する効果がある。このような効果を発現するためには0.003%以上の添加が必要である。一方、Sb量が0.03%を超えると圧延荷重の増加を招くため生産性を低下させる。したがって、Sbを含有させる場合は0.003〜0.03%とする。
上記以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
次に、本発明の熱間プレス部材の製造方法について説明する。本発明の熱間プレス部材を製造するためには、熱間プレス加工前の熱処理時における鋼板の最高到達温度および加熱時間を制御することが重要である。
鋼板の最高到達温度Tが860℃以下
本発明者らは、Zn系めっき層の凹凸形状と熱処理条件の相関を調査した結果、鋼板の最高到達温度Tが高くなるほどRzが増加し、特に860℃超えでは急激にRzが増加することを知見した。著者らは熱間プレス前の熱処理時に凹凸が形成するメカニズムを以下のように推定している。すなわち、熱間プレス用鋼板が熱間プレス加工前に熱処理される際、鋼板の組織がbccからfcc構造に相変態することにより、体積収縮が発生する。この際、表層の溶融めっき層が局所的に収縮した鋼板の隙間に侵入することにより、凹凸が形成する。したがって、凹凸形成を抑制するためには隙間に加熱時に鋼板隙間に侵入する溶融めっき層の体積を減少させることが有効であると考えられ、熱処理温度の低減が効果的であると推定される。上述の通り、熱間プレス部材の電着塗装付き回り性を向上し、耐食性を担保するためにはZn系めっき層の最大高さ粗さRzを抑制することが有効である。したがって、本発明の熱間プレス部材を得るために、熱間プレス時の鋼板到達温度Tは860℃以下とする。なお、熱間プレス時の鋼板到達温度の下限は母材組織によって異なり、オーステナイト単相領域に加熱されるAc3変態点以上とする。
室温から加熱工程終了までの総加熱時間tが(24.5−0.025T)min以上
上述の通り、本発明の重要な要件である最大高さ粗さRzを制御する上では鋼板到達温度の低温化が有効である。一方で、熱処理時の鋼板到達温度が低くなるにしたがって、熱間プレス前の鋼板組織がオーステナイト単相組織になりにくい。また、Zn系めっき層のZnO被覆率について、十分な量のZnOが形成し難い。しかしながら、加熱時間を長くすることで熱処理時の鋼板到達温度が低温であってもオーステナイト単相組織を得ることが出来るとともに、所望のZnO被覆率を得ることができる。具体的には、鋼板到達温度をT℃とすると、(24.5−0.025T)min以上加熱することで、オーステナイト単相組織が得られる。したがって、室温から加熱工程終了までの総加熱時間tが(24.5−0.025T)min以上とする。なお、上記加熱を行う方法としては、加熱時間を確保しやすい電気炉やガス炉などが例示できる。また、本発明における、室温から加熱工程終了までの総加熱時間tは、熱処理炉への鋼板投入開始から取り出しまでの時間の範囲をいう。
加熱に次いで、熱間プレス加工を行い、引き続き金型や水などの冷媒を用いて冷却を行うことにより熱間プレス部材が製造される。本発明においては、熱間プレス条件は特に限定されないが、一般的な熱間プレス温度範囲である600〜800℃でプレスを行う事が出来る。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。下記の実施例は本発明を限定するものではなく、要旨構成の範囲内で適宜変更することは、本発明の範囲に含まれるものとする。
下地鋼板として、質量%で、C:0.30%、Si:0.25%、Mn:2.0%、P:0.005%、S:0.005%、Al:0.03%、N:0.005%、Nb:0.005%、Ti:0.02%、B:0.0020%、Cr:0.2%、Sb:0.008%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する、板厚1.4mmの冷延鋼板を用いた(Ac3=781℃)。
この冷延鋼板の表面に、表1に示すめっき方法で、種々のZn系めっき層を形成した。なお、めっき層について、溶融めっき処理の条件は、所望の組成が得られるよう溶融めっき浴組成を調整し、浴温度を各組成の融点+20℃とした。電気めっき処理の条件は、所望の組成が得られるように浴中の金属塩比および電流値を調整した。
得られた熱間プレス用鋼板から150mmC×300mmLの試験片を採取し、電気炉によって加熱した。加熱条件(熱処理条件)を表1に示す。種々の条件で熱処理した後、電気炉から試験片を取り出しハット型金型によって700℃で熱間プレスを実施した。成形後の部品形状は上面の平坦部長さ100mm、側面の平坦部長さ50mm、下面の平坦部長さ50mmである。また、金型の曲げRは上面の両肩、下面の両肩いずれも7Rである。次いで、得られた熱間プレス部材を表1に示す化成処理条件および電着塗装条件により電着塗装処理し、電着塗装した熱間プレス部材を得た。なお、化成処理液には、PLM2100(日本パーカライジング社製)もしくはPBSX−35(日本パーカライジング社製)を用いた。また、電着塗料には、GT100V(関西ペイント社製)もしくはGT100(関西ペイント社製)を用いた。
以上より得られた熱間プレス部材について、Zn系めっき層表面の最大高さ粗さRzを測定した。測定は触針式表面粗さ測定機を用いてJIS B 0601に記載の手法により測定された。
また、ZnO被覆率については、表面SEM(倍率×500)を用いて観察を実施して(N=10)、ZnO未形成部の面積率を測定し、残部をZnO被覆部として割合(平均値)を算出した。
また、熱間プレス部材の電着塗装の電着塗装膜厚の平均膜厚D1(μm)および最少膜厚D2(μm)を測定し、以下の基準で電着塗装の付き回り性を評価した。
○:D1−D2が4.0μm未満
△:D1−D2が4.0μm以上8.0μm未満
×:D1−D2が8.0μm以上
評価が○であれば、電着塗装付き回り性に優れた熱間プレス用部材であると判断した。
また、得られたハット成形部品を腐食試験(SAE−J2334)に供し、120サイクル後の側面平坦部中央(100mmC×30mmLの領域)の最大腐食深さE1および平均腐食深さE2を調査し、以下の基準で評価した。
◎:平均腐食深さが0.5mm未満であり、E1−E2が0.2mm未満
○:平均腐食深さが0.5mm未満であり、E1−E2が0.2mm以上
△:平均腐食深さが0.5mm以上1.0mm未満
×:平均腐食深さが1.0mm以上
評価が◎または○であれば、耐食性に優れるとした。表1に評価結果を示す。
Figure 2020143354
表1によれば、本発明の熱間プレス用鋼板は優れた電着塗装付き回り性および耐食性を有する。
実施例1において評価した、10〜25質量%のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるZn−Ni合金めっき層を有する熱間プレス用鋼板について、耐LME特性(LME:Liquid Metal Embrittlement、液体金属脆化)および耐食性を評価した。具体的には、実施例1で得られたハット成形部品の上面肩R部から断面SEM観察用サンプルを採取し、観察により肩R外側で断面長さ5mmの視野における母材に浸入しているクラック深さを250μmピッチで合計20か所測定し、以下の基準で耐LME特性を評価した。
○:クラック発生無しまたはクラック深さの平均値が10μm未満
△:クラック深さの平均値が10μm以上200μm未満
×:クラック深さの平均値が200μm以上
評価が○であれば、耐LME特性に優れるとした。
表2に耐LME特性の評価結果および実施例1の評価結果(電着塗装付き回り性および耐食性)を示す。
Figure 2020143354
表2の結果から、本発明の熱間プレス部材において、Zn−Ni合金めっき層が10〜25質量%のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるZn−Ni合金めっき層であれば、耐LME特性に加えて、電着塗装付き回り性および耐食性も兼ね備えることが分かる。

Claims (5)

  1. 鋼板の少なくとも一方の面にZn系めっき層を有し、
    前記Zn系めっき層表面の最大高さ粗さRzが15.0μm以下であることを特徴とする熱間プレス部材。
  2. 前記Zn系めっき層のZnO被覆率が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱間プレス部材。
  3. 前記鋼板が、質量%で、
    C:0.20〜0.35%、
    Si:0.1〜0.5%、
    Mn:1.0〜3.0%、
    P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、
    Al:0.1%以下、
    N:0.01%以下を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の熱間プレス部材。
  4. さらに前記鋼板が、質量%で、
    Nb:0.05%以下、
    Ti:0.05%以下、
    B:0.0002〜0.0050%、
    Cr:0.1〜0.3%、
    Sb:0.003〜0.03%のうちから選ばれる1種または2種以上の成分組成を含有することを特徴とする、請求項3に記載の熱間プレス部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱間プレス部材の製造方法であって、
    鋼板の最高到達温度Tが860℃以下であり、かつ室温から加熱工程終了までの総加熱時間tが(24.5−0.025T)min以上で加熱した後、熱間プレス加工を行うことを特徴とする熱間プレス部材の製造方法。
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