JP2020143277A - ポリマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長時間安定して狭い分子量分布のポリマーを製造可能な、又は高分子量かつ狭い分子量分布のポリマーを製造可能な、改良されたポリマーの製造方法の提供。【解決手段】フロー式のリアクターを用いたポリマーの製造方法であって、アニオン重合開始剤及び炭化水素溶媒を含有する開始剤溶液を第1の流通路P1内に流通させ、かつ極性溶媒を第2の流通路P2内に流通させ、第1の混合手段M1で前記開始剤溶液及び前記極性溶媒を混合して混合液を得る混合工程と、前記混合液を第3の流通路R1内に流通させ、かつアニオン重合性モノマーを含有するモノマー含有液を第4の流通路P3内に流通させ、第2の混合手段M2で前記混合液及び前記モノマー含有液を混合して、第5の流通路R2内で前記アニオン重合性モノマーをアニオン重合しポリマーを得る重合工程と、を含むポリマーの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、リビングアニオン重合によるポリマーの製造方法に関する。
リビング重合は、開始反応及び成長反応のみからなり、移動反応及び停止反応をほとんど無視できる重合反応である。リビング重合は、一般の高分子重合反応に比べて、(1)得られるポリマーの分子量をモノマーと開始剤のモル比により正確に規制することができる;(2)分子量分布の極めて狭いポリマーが合成できる;(3)ポリマー末端の安定性と反応性とを利用して、様々なポリマー(ブロック共重合体、グラフト共重合体、末端官能基化ポリマー、星型ポリマーなど)の分子設計ができる;などの、長所を有している。
リビング重合は、1956年のSzwarcによるスチレンのリビングアニオン重合に関する報告に始まり、1970年代までは、ほとんどリビングアニオン重合において見出されていた。近年では、リビングアニオン重合だけでなく、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合などの、様々なリビング重合が開発されている。
前記リビング重合のなかでも、前記リビングアニオン重合は、依然としてスチレンや1,3−ジエン類のリビング重合において最も優れた方法であり、分子量分布(Mw/Mn)が狭く、分子量が数百から数万近くのポリマーを合成することができるという特徴を有する。さらに、前記リビングアニオン重合は、ポリマーの成長末端カルバニオンの反応性や構造に関する知見が過去数十年に亘って豊富に蓄積されているために、精密な分子設計を考える上で、最良の方法であると考えられている。
従来、前記リビング重合はバッチ方式で行われている。バッチ方式において、リビング重合の開始反応を揃えるためには、モノマー及び開始剤を−78℃以下に冷却しながら混合しなければならないため、超低温冷却設備を要するという問題があった。また、リビング重合の開始反応を揃えるために、モノマーを霧状又は低濃度(例えば、1.5M未満)で加えなければならないため、大量生産に向かないという問題があった。
また、例えばジクロロシランなどの、2つの反応点を有する求電子剤をビルディングブロックとして、異なるリビングポリマーを連結させてブロックポリマーを製造する場合には、まず、あるリビングポリマーに対して過剰量の前記求電子剤を加え、求電子剤が付加したポリマーを一回単離した後に、別のリビングポリマーと反応させなければならず、手間がかかるという問題があった。
一方、化学合成の分野において、マイクロリアクターと呼ばれる微小容器を用いた化学反応が研究されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。前記マイクロリアクターは、複数の液体を混合可能な流路と、前記流路に連通し、前記流路に液体を導入する導入路とを備える微小容器であり、流路径としては、数μmから数百μmのものが代表的である。前記マイクロリアクターの前記導入路を通じて供給された複数の液体は、前記流路で合流することにより、混合され、反応が生じる。
マイクロリアクターを用いた反応では、反応溶液の精確な流れの制御、温度制御、迅速な混合が可能となると考えられており、従来実施されているバッチ方式の反応と比較して転化率や選択制の向上が期待され、高効率な生産方法として注目されている。ドイツのIMM研究所やFZK研究所は、混合や熱交換、触媒反応、電気化学反応のためのマイクロリアクターを開発しており、これらのリアクター部品を使用したミニプラント建設を提案している。
上述のとおり、バッチ方式では、反応時の低温環境を実現するために冷却装置が必要であること、さらに、霧状にしたり希釈したりしなければならないので手間がかかるという問題がある。さらには、2つの反応点を有する求電子剤をビルディングブロックとしてブロックポリマーを製造する場合には、ポリマーを単離する工程を要するために手間がかかるという問題がある。
したがって、分子量分布の狭いポリマーを合成する新規な技術、例えば、前記マイクロリアクターを用いて製造する方法により、特別な冷却装置などを用いることなく、効率よく高い転化率でポリマーを製造可能な方法、及び、連続的な工程でブロックポリマーを製造可能な方法が求められていた。
そこで、本発明者らの一部は、フローマイクロリアクターを用い、反応温度が−28℃以上でも分子量分布が狭いポリマーを効率よく製造することができる、Mw/Mnが1.25以下であるポリマーの製造方法を提案している(特許文献1参照)。
また、フロー式反応によりアニオン重合反応を行う重合体の製造方法に関し、流路径、流速を調整する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、これらの技術では、長時間安定して狭い分子量分布のポリマーを製造することが難しかったり、高分子量かつ狭い分子量分布のポリマーを製造することが難しかったりと、製造方法に改良の余地がある。
特開2009−67999号公報 特開2017−66276号公報
"チミア(Chimia)"、2002年 56巻 p.636 "テトラヘドロン(Tetrahedron)"、2002年 58巻 p.4735〜4757
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、長時間安定して狭い分子量分布のポリマーを製造したり、又は高分子量かつ狭い分子量分布のポリマーを製造したりできる、改良されたポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
フロー式のリアクターを用いたポリマーの製造方法であって、
前記フロー式のリアクターが、
第1の流通路と、
第2の流通路と、
前記第1の流通路と前記第2の流通路との合流部に設けられた第1の混合手段と、
前記第1の混合手段と接続し、前記第1の混合手段の下流側に配された第3の流通路と、
第4の流通路と、
前記第3の流通路と前記第4の流通路との合流部に設けられた第2の混合手段と、
前記第2の混合手段と接続し、前記第2の混合手段の下流側に配された第5の流通路と、
を有し、
アニオン重合開始剤及び炭化水素溶媒を含有する開始剤溶液を前記第1の流通路内に流通させ、かつ極性溶媒を前記第2の流通路内に流通させ、前記第1の混合手段で前記開始剤溶液及び前記極性溶媒を混合して混合液を得る混合工程と、
前記混合液を前記第3の流通路内に流通させ、かつアニオン重合性モノマーを含有するモノマー含有液を前記第4の流通路内に流通させ、前記第2の混合手段で前記混合液及び前記モノマー含有液を混合して、前記第5の流通路内で前記アニオン重合性モノマーをアニオン重合しポリマーを得る重合工程と、
を含むことを特徴とするポリマーの製造方法。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、長時間安定して狭い分子量分布のポリマーを製造したり、又は高分子量かつ狭い分子量分布のポリマーを製造したりできる、改良されたポリマーの製造方法を提供することができる。
図1は、本発明のポリマーの製造方法の一例に用いるフローマイクロリアクターの概略図である。 図2は、本発明のポリマーの製造方法の他の一例に用いるフローマイクロリアクターの概略図である。 図3は、従来のポリマーの製造方法の一例に用いるフローマイクロリアクターの概略図である。 図4は、本発明のポリマーの製造方法の一例に用いるフローマイクロリアクターの概略図である。 図5Aは、比較例3の連続運転における流量の変化を示すグラフである。 図5Bは、比較例3の連続運転における圧力の変化を示すグラフである。 図6Aは、比較例4の連続運転における流量の変化を示すグラフである。 図6Bは、比較例4の連続運転における圧力の変化を示すグラフである。 図7Aは、実施例2の連続運転における流量の変化を示すグラフである。 図7Bは、実施例2の連続運転における圧力の変化を示すグラフである。 図8Aは、実施例3の連続運転における流量の変化を示すグラフである。 図8Bは、実施例3の連続運転における圧力の変化を示すグラフである。 図9Aは、実施例4の連続運転における流量の変化を示すグラフである。 図9Bは、実施例4の連続運転における圧力の変化を示すグラフである。 図10Aは、実施例5の連続運転における流量の変化を示すグラフである。 図10Bは、実施例5の連続運転における圧力の変化を示すグラフである。 図11は、[M]/[I]と、数平均分子量(Mn)との関係を示すグラフである。 図12は、4時間の連続運転中のn−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速の変化を示すグラフである。 図13Aは、4時間の連続運転中の流通路P3(スチレンの溶液の流通路)の圧力の変化を示すグラフである。 図13Bは、4時間の連続運転中の流通路P1(n−BuLiの溶液の流通路)の圧力の変化を示すグラフである。 図14は、4時間の連続運転中の数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)の変化を示すグラフである。 図15は、本発明のポリマーの製造方法の一例に用いるフローマイクロリアクターの概略図である。 図16は、実施例8の連続運転におけるn−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速の変化を示すグラフである。 図17は、実施例8の連続運転における圧力の変化を示すグラフである。 図18は、実施例8の連続運転中の数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)の変化を示すグラフである。 図19は、本発明のポリマーの製造方法の一例に用いるフローマイクロリアクターの概略図である。 図20は、実施例9の連続運転におけるn−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速の変化を示すグラフである。 図21は、実施例9の連続運転における圧力の変化を示すグラフである。 図22は、実施例9の連続運転中の数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)の変化を示すグラフである。
(ポリマーの製造方法)
本発明のポリマーの製造方法は、フロー式のリアクターを用いたポリマーの製造方法である。
前記ポリマーの製造方法は、混合工程と、重合工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記ポリマーの製造方法に用いられる前記フロー式のリアクターは、第1の流通路と、第2の流通路と、第3の流通路と、第1の混合手段と、第4の流通路と、第2の混合手段と、第5の流通路とを少なくとも有し、更に必要に応じて、送液手段、温度調節手段などのその他の手段を有する。
なお、前記フロー式のリアクターを、フローマイクロリアクターと称することがある。
本発明においては、開始剤をフローマイクロリアクター内で極性溶媒により希釈することが重要である。
極性溶媒は、ポリマーの溶解性が高いことや、重合速度を早くできることから、その点において希釈溶媒として用いることが好ましい反面、開始剤を失活させやすい。ところが、フローマイクロリアクター内で開始剤に極性溶媒を接触させても、バッチ式の場合と比べて、開始剤の失活を抑えることができる。
そのため、フローマイクロリアクターを用いたポリマーの製造において極性溶媒を用いても、バッチ式の場合よりも開始剤の失活を抑えることができる。
そして、極性溶媒を希釈溶媒として用いると、最終的なポリマー濃度が下がることにより、高分子量のポリマーが溶けやすくなり、連続運転の安定化につながる。更には、重合速度が早くなることで、高分子量かつ狭い分子量分布のポリマーの製造も可能となる。
<混合工程>
前記混合工程としては、開始剤溶液を前記第1の流通路内に流通させ、かつ極性溶媒を前記第2の流通路内に流通させ、前記第1の混合手段で前記開始剤溶液及び前記極性溶媒を混合して混合液を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<開始剤溶液>>
前記開始剤溶液は、アニオン重合開始剤及び炭化水素溶媒を少なくとも含有する。
<<<アニオン重合開始剤>>>
前記アニオン重合開始剤としては、アニオン重合性モノマーのアニオン重合を開始できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機リチウムなどが挙げられる。
前記有機リチウムとしては、例えば、モノ有機リチウム、多官能有機リチウムなどが挙げられる。
前記有機リチウムとしては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム(n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、t−ブチルリチウムなど)、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム等のアルキルリチウム;メトキシメチルリチウム、エトキシメチルリチウム等のアルコキシアルキルリチウム;α−メチルスチリルリチウム;1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペントリルリチウム、3−メチル−1,1−ジフェニルペンチルリチウム等のジアリールアルキルリチウム;ビニルリチウム、アリルリチウム、プロペニルリチウム、ブテニルリチウム等のアルケニルリチウム;エチニルリチウム、ブチニルリチウム、ペンチニルリチウム、ヘキシニルリチウム等のアルキニルリチウム;ベンジルリチウム、フェニルエチルリチウム等のアラルキルリチウム;フェニルリチウム、ナフチルリチウム等のアリールリチウム;2−チエニルリチウム、4−ピリジルリチウム、2−キノリルリチウム等のヘテロ環リチウム;トリ(n−ブチル)マグネシウムリチウム、トリメチルマグネシウムリチウム等のアルキルリチウムマグネシウム錯体などが挙げられる。
これらの中でも、重合反応を効率よく進行させることができることから、アルキルリチウムが好ましく、ブチルリチウムがより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<炭化水素溶媒>>
前記炭化水素溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、テトラリンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記開始剤溶液における前記アニオン重合開始剤の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001M(mol/L)〜1.0M(mol/L)が好ましく、0.002M〜0.50Mがより好ましく、0.005M〜0.10Mが更により好ましく、0.010M〜0.075Mが特に好ましい。
<<極性溶媒>>
前記極性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記極性溶媒としては、例えば、誘電率が5.0以上の溶媒などが挙げられる。
前記極性溶媒としては、エーテル溶媒が好ましい。
前記エーテル溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、4−ジオキサン、1,2−ジメトシキエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジグライムなどが挙げられる。これらの中でも、ポリマーの重合速度が速く、かつポリマーの溶解性に優れる点で、テトラヒドロフラン(THF)が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記開始剤溶液を前記第1の流通路内に流通させる際の流速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0mL/min〜30mL/minが好ましく、2.0mL/min〜25mL/minがより好ましく、5.0mL/min〜20mL/minが特に好ましい。
前記極性溶媒を前記第2の流通路内に流通させる際の流速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0mL/min〜30mL/minが好ましく、2.0mL/min〜25mL/minがより好ましく、5.0mL/min〜25mL/minが特に好ましい。
前記開始剤溶液を前記第1の流通路内に流通させる際の流速(A)と、前記極性溶媒を前記第2の流通路内に流通させる際の流速(B)との比率〔(A):(B)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、得られる前記混合液の均一混合性の観点から、0.1:1.0〜1.0:0.1が好ましく、0.2:1.0〜1.0:0.2がより好ましく、0.3:1.0〜1.0:0.3が更により好ましく、0.4:1.0〜1.0:0.4が特に好ましい。
<重合工程>
前記重合工程としては、前記混合液を前記第3の流通路内に流通させ、かつアニオン重合性モノマーを含有するモノマー含有液を前記第4の流通路内に流通させ、前記第2の混合手段で前記混合液及び前記モノマー含有液を混合して、前記第5の流通路内で前記アニオン重合性モノマーをアニオン重合しポリマーを得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記混合液を前記第3の流通路内に流通させる際の流速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0mL/min〜50mL/minが好ましく、2.0mL/min〜40mL/minがより好ましく、5.0mL/min〜40mL/minが特に好ましい。
<<モノマー含有液>>
前記モノマー含有液は、前記アニオン重合性モノマーを少なくとも含有し、好ましくは溶媒を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
<<<アニオン重合性モノマー>>>
前記アニオン重合性モノマーとしては、例えば、ビニル基含有化合物が挙げられる。
前記ビニル基含有化合物としては、一つの重合性ビニル基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(1)で表される化合物などが挙げられる。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子、水酸基、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。Rは、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基を表す。
前記置換基を有していてもよいフェニル基における置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
前記置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基などが挙げられる。
前記置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。
前記ビニル基含有化合物としては、例えば、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。
前記芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレンなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。
<<<溶媒>>>
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、極性溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
前記極性溶媒としては、例えば、誘電率が5.0以上の溶媒などが挙げられる。前記極性溶媒としては、エーテル溶媒が好ましい。
前記エーテル溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、4−ジオキサン、1,2−ジメトシキエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジグライムなどが挙げられる。
これらの中でも、ポリマーの重合速度が速く、かつポリマーの溶解性に優れる点で、エーテル溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン(THF)がより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記モノマー含有液における前記アニオン重合性モノマーの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1M(mol/L)〜5.0M(mol/L)が好ましく、0.5M〜4.0Mがより好ましく、1.0M〜3.0Mが更により好ましく、1.5M〜2.5Mが特に好ましい。
前記モノマー含有液を前記第4の流通路内に流通させる際の流速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0mL/min〜200mL/minが好ましく、2.0mL/min〜150mL/minがより好ましく、5.0mL/min〜100mL/minが特に好ましい。
前記混合液を前記第3の流通路内に流通させる際の流速(C)と、前記モノマー含有液を前記第4の流通路内に流通させる際の流速(D)との比率〔(C):(D)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、得られる混合液の均一混合性の観点から、0.05:1.0〜1.0:0.5が好ましく0.1:1.0〜1.0:0.5がより好ましく、0.2:1.0〜1.0:0.5が特に好ましい。
前記重合工程によって得られるポリマーの数平均分子量(Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜150,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。
得られるポリマーの重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.50以下が好ましく、1.30以下がより好ましく、1.20以下が特に好ましい。
また、前記ポリマーの製造方法によれば、数平均分子量(Mn)30,000以上のポリマーを、分子量分布(Mw/Mn)1.30以下で製造することができる。
また、前記ポリマーの製造方法によれば、長時間安定してポリマーを製造することができる。なお、長時間としては、例えば、10時間の連続運転などが挙げられる。また、安定とは、流通路内の圧力変化が小さいことなどが挙げられる。
前記数平均分子量(Mn)、及び前記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。例えば、GPC測定は、Shodex LF−804 カラム(昭和電工株式会社製)を2本備えた、Shodex GPC−101(昭和電工株式会社製)を用い、40℃、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用い、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器により測定することで行われる。
<流通路>
以下、前記第1の流通路、前記第2の流通路、前記第3の流通路、及び前記第4の流通路について説明する。これらの流通路を総じて「流通路」と称することがある。
前記流通路は、液体を流通可能な管であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その内径、外径、長さ、材質などの構成は、所望する反応に応じて適宜選択することができる。
前記流通路は、通常、少なくとも1つの前記混合手段と接続される。
前記流通路は、例えば、原料物質、溶媒を混合手段に供給する際に使用される。
また、前記流通路は、例えば、前記混合手段によって混合された2種以上の物質の混合物、又は反応生成物を、次の混合手段に供給する際に使用される。なお、この際、前記流通路内では反応が継続して起きていてもよい。
前記流通路の材質としては、特に制限はなく、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、及びテフロン(登録商標)、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)などのフッ素樹脂、TFAA(トリフルオロアセトアミド)などが挙げられる。
前記流通路の内径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜4mmが好ましく、100μm〜3mmがより好ましく、250μm〜2mmが更により好ましく、500μm〜1,500μmが特に好ましい。
前記流通路の断面積(S)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記流通路の断面積(S)の好ましい範囲は、前記内径をrとした際に、前記内径の好ましい範囲において、rをS〔=π(0.5r)〕に置き換えた範囲である。
前記流通路の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10cm〜1,000cmであってもよいし、100cm〜500cmであってもよい。
前記流通路としては、市販品を利用することができ、例えば、ジーエルサイエンス株式会社製のステンレスチューブ(外径1/16インチ(1.58mm)、内径250μm、500μm及び1,000μmから選択可能、チューブ長さは使用者により調整可能)などが挙げられる。
液が流通する流通路における前記液の滞留時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.001sec〜10secなどが挙げられる。
<混合手段>
以下、前記第1の混合手段、及び前記第2の混合手段について説明する。これらの混合手段を総じて「混合手段」と称することがある。
前記混合手段としては、2種以上の液体を混合可能なかぎり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、管継手型のマイクロミキサーなどが挙げられる。
<<管継手型のマイクロミキサー>>
前記管継手型のマイクロミキサーは、内部に形成された流路を備え、必要に応じて前記内部に形成された流路と、前記流通路とを接続する接続部材を備える。前記接続部材における接続方式としては、特に制限はなく、公知の接続方式の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ねじ込み式、ユニオン式、突合わせ溶接式、差込み溶接式、ソケット溶接式、フランジ式、食込み式、フレア式、メカニカル式などが挙げられる。
前記管継手型のマイクロミキサーの内部には、前記流路以外に、前記流路に連通し、前記流路に複数の液体を導入する導入路が形成されていることが好ましい。即ち、前記導入路の数に応じて、前記流路の上流側が分岐された構成が好ましい。前記導入路の数が2つである場合には、前記管継手型のマイクロミキサーとして、例えば、T字型やY字型を用いることができ、前記導入路の数が3つである場合には、例えば、十字型を用いることができる。なお、1つの液体を予め流路に仕込んでおき、それ以外の液体を導入路により導入する構成としてもよい。
前記管継手型のマイクロミキサーの材質としては、特に制限はなく、耐熱性、耐圧性、耐溶剤性、及び加工容易性などの要求に応じて、適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、及びテフロン(登録商標)、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)などのフッ素樹脂、TFAA(トリフルオロアセトアミド)などが挙げられる。
前記管継手型のマイクロミキサーとしては、市販品を利用することができ、例えば、山武社製YM−1型ミキサー、YM−2型ミキサー;島津GLC社製ミキシングティー及びティー(T字コネクタ);東レエンジニアリング開発品マイクロ・ハイ・ミキサー;スウェージロック社製ユニオンティー、三幸精機工業株式会社製T字型マイクロミキサーなどが挙げられる。
前記混合手段内での2以上の液体の混合方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層流による混合、乱流による混合などが挙げられる。中でも、より効率的に反応制御や除熱を行える点で、層流による混合(静的混合)が好ましい。
なお、前記混合手段内の流路は微小であるため、混合手段に導入された複数の液体同士はおのずと層流支配の流れとなりやすく、流れに直交する方向に拡散して混合される。層流による混合において、さらに、流路内に分岐点及び合流点を設けることで、流れる液体の層流断面を分割するような構成とし、混合速度を高める構成としてもよい。
また、前記混合手段の流路において、乱流による混合(動的混合)を行う場合には、流量や流路の形状(接液部分の3次元形状や流路の屈曲などの形状、壁面の粗さ、など)を調整することによって、層流から乱流へと変化させることができる。前記乱流による混合は、前記層流による混合と比べて、混合効率がよく混合速度が速いという利点を有する。
ここで、前記混合手段内の前記流路の内径が小さい方が、分子の拡散距離を短くできるので、混合に要する時間を短縮させて混合効率を向上させることができる。さらに、前記流路の内径が小さい方が、体積に対する表面積の比が大きくなり、例えば、反応熱の除熱などの、液体の温度制御を容易に行うことができる。
一方で、前記流路の内径が小さ過ぎると、液体を流す時の圧力損失が増加するとともに、送液に使用するポンプとして特別な高耐圧のものが必要となるため、製造コストが高くなることがある。また、送液流量が制限されることにより、前記マイクロミキサーの構造も制限されることがある。
前記混合手段内の前記流路の内径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜4mmが好ましく、100μm〜3mmがより好ましく、150μm〜1mmが更により好ましく、200μm〜750μmが特に好ましい。
前記内径が50μm未満であると、圧力損失が増大することがある。前記内径が4mmを超えると、単位体積当たりの表面積が小さくなり、その結果、迅速な混合や反応熱の除熱が困難になることがある。一方、前記内径が前記特に好ましい範囲であると、より迅速に混合でき、より効率的に反応熱を除熱できる点で有利である。
前記流路の断面積(S)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記流路の断面積(S)の好ましい範囲は、前記内径をrとした際に、前記内径の好ましい範囲において、rをS〔=π(0.5r)〕に置き換えた範囲である。
前記流路の断面形状としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、矩形、半円形、三角形などが挙げられる。
<<その他の手段>>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、送液手段、温度調節手段などが挙げられる。
<<<送液手段>>>
前記送液手段としては、各種液体を、前記フローマイクロリアクターの前記流通路に供給できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプなどが挙げられる。
前記ポンプとしては、特に制限はなく、工業的に使用されうるものから適宜選択することができるが、送液時に脈動を生じないものが好ましく、例えば、プランジャーポンプ、ギアーポンプ、ロータリーポンプ、ダイヤフラムポンプなどが挙げられる。
<<<温度調節手段>>>
前記温度調節手段としては、前記フローマイクロリアクターの前記混合手段、及び前記流通路の温度を調節できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記フローマイクロリアクターにおける各流通路、及び各混合手段の温度は、−90℃〜40℃が好ましく、−50℃〜35℃がより好ましく、−20℃〜35℃が特に好ましい。
ここで、前記ポリマーの製造方法に好適に使用されるフローマイクロリアクターの一例を図を用いて説明する。
図1は、フローマイクロリアクターの一例を示す模式図である。
図1に示すフローマイクロリアクターは、2つの混合手段と、5つの流通路とを備える。
流通路P1は、混合手段M1に接続されている。
流通路P2は、混合手段M1に接続されている。
混合手段M1は、流通路P1と流通路P2との合流部に設けられている。
流通路R1は、混合手段M1の下流側に配されている。
流通路P3は、混合手段M2に接続されている。
混合手段M2は、流通路R1と流通路P3との合流部に設けられている。
流通路R2は、混合手段M2の下流側に配されている。
なお、図中のMFは流量計を意味し、PIは圧力計を意味する。
図1に示すフローマイクロリアクターにおいては、例えば、図中の破線内が冷却される。
アニオン重合開始剤及び炭化水素溶媒を含有する開始剤溶液を流通路P1(第1の流通路)内に流通させ、かつ極性溶媒を流通路P2(第2の流通路)内に流通させ、混合手段M1(第1の混合手段)で前記開始剤溶液及び前記極性溶媒を混合して混合液を得る。
得られた前記混合液を流通路R1(第3の流通路)内に流通させ、かつアニオン重合性モノマーを含有するモノマー含有液を流通路P3(第4の流通路)内に流通させ、混合手段M2(第2の混合手段)で前記混合液及び前記モノマー含有液を混合して、第5の流通路(流通路R2)内で前記アニオン重合性モノマーをアニオン重合し、ポリマーを得る。
得られたポリマーは、リビングポリマーであり、活性な成長末端を有しているため、例えば、ブロックコポリマーなどの合成に続けて用いることができる。
図2は、フローマイクロリアクターの他の一例を示す模式図である。
図2に示すフローマイクロリアクターは、3つの混合手段と、7つの流通路とを備える。
流通路P1は、混合手段M1に接続されている。
流通路P2は、混合手段M1に接続されている。
混合手段M1は、流通路P1と流通路P2との合流部に設けられている。
流通路P3は、混合手段M2に接続されている。
流通路R1は、混合手段M1の下流側に配されている。
混合手段M2は、流通路R1と流通路P3との合流部に設けられている。
流通路R2は、混合手段M2の下流側に配されている。
流通路P4は、混合手段M3に接続されている。
混合手段M3は、流通路R2と流通路P4との合流部に設けられている。
流通路R3は、混合手段M3の下流側に配されている。
なお、図中のMFは流量計であり、PIは圧力計である。
図2に示すフローマイクロリアクター例えば、図中の破線内が冷却される。
アニオン重合開始剤及び炭化水素溶媒を含有する開始剤溶液を流通路P1(第1の流通路)内に流通させ、かつ極性溶媒を流通路P2(第2の流通路)内に流通させ、混合手段M1(第1の混合手段)で前記開始剤溶液及び前記極性溶媒を混合して混合液を得る。
得られた前記混合液を流通路R1(第3の流通路)内に流通させ、かつアニオン重合性モノマーを含有するモノマー含有液を流通路P3(第4の流通路)内に流通させ、混合手段M2(第2の混合手段)で前記混合液及び前記モノマー含有液を混合して、第5の流通路(流通路R2)内で前記アニオン重合性モノマーをアニオン重合しポリマーを含むポリマー溶液を得る。
得られたポリマーは、リビングポリマーである。そのため、活性な末端を停止させるために、停止剤(例えば、メタノール)を含有する溶液を流通路P4内に流通させ、混合手段M3で前記ポリマー溶液と混合して、停止反応を行う。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
<分子量及び分子量分布>
数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により決定した。
具体的には、Shodex LF−804 カラム(昭和電工株式会社製)を2本備えた、Shodex GPC−101(昭和電工株式会社製)を用い、40℃、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用い、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器により測定した。
キャリブレーションは、市販のスチレン重合体(TSK社製、standard polystyrene TOSOHの A−500(TS−505) Mw=500、A1000(TS−501) Mw=1,050、A−2500(TS−502) Mw=2,500、A−5000(TS−503) Mw=5,870、F−1(TS−203) Mw=9,830、F−2(TS−504) Mw=17,100、F−4(TS−202) Mw=37,200、F−10(TS−144) Mw=98,900、F−20(TS−140) Mw=189,000、F−40(TS−85) Mw=354,000、F−80(TS−201) Mw=707,000、F128(TS−206) Mw=1,110,000)を標準サンプルとして用いて行った。
<試薬>
THF(テトラヒドロフラン)については、関東化学株式会社から乾燥溶媒として購入し、そのまま使用した。
ヘキサンについては、富士フイルム和光純薬株式会社から購入し、さらに精製することなく使用した。
スチレンについては、東京化成工業株式会社から購入し、使用前に蒸留した。
n−ブチルリチウム(n−BuLi)については、関東化学株式会社からn−ヘキサン溶液(1.6M)として購入し、そのまま又は必要によりヘキサンにより希釈して使用した。。
メタノールについては、富士フイルム和光純薬株式会社から乾燥溶媒として購入し、さらに精製することなく使用した。
<フロー式の反応装置>
<<フローマイクロリアクター>>
実施例で使用したフローマイクロリアクターは、以下のとおりである。
混合手段としては、内径250μm又は500μmのSUS304 T字型マイクロミキサー(三幸精機株式会社製)を用いた。
流通路としては、内径1,000μmのSUS316製の管(GL Sciences社製)を用いた。
混合手段と流通路とは、ステンレス製の継手(GL Sciences社製, 1/16OUW)で接続した。
フローマイクロリアクターを、冷却バスに浸漬させることにより温度を調節した。
TACMINA社製のスムーズフローポンプと島津製作所LC−6ADとを用いて、溶媒、及び各溶液をフローマイクロリアクターに導入した。
連続運転を監視するために、流量計(株式会社キーエンス社製、FD−S)と圧力計(長野計器株式会社製、KH15)とをフローシステムに配置した。
(比較例1)
<バッチ反応容器を用いた、希釈したn−BuLiにより開始されるポリスチレンの合成>
一般に、アルキルリチウムはTHFと反応することが知られている。特に、0℃や20℃のような高温でのアルキルリチウムの分解は非常に速い。
そのことの確認として、THFにより希釈したn−BuLiを用い、以下のスキームに示すポリスチレンの合成を、バッチ式により行った。
<比較例1−1>
n−BuLiの溶液(ヘキサン/シクロヘキサン中0.050M, 1.0mL, 0.050mmol)に、0℃でTHF(1.0mL)を加え、得られた溶液を、0.2分間(t=0.2min)撹拌した。得られ混合物に、スチレンの溶液(THF中2.00M, 2.5mL, 5.0mmol)を加えた。10分間撹拌した後、反応混合物をメタノールの溶液(THF中0.15M, 1.0mL, 0.15mmol)によって失活させた。減圧により溶媒を除去し、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。結果を表1に示した。
<比較例1−2>
撹拌時間(t)を、0.2分間(t=0.2min)から1分間(t=1min)に変えた以外は、比較例1−1と同様にして、ポリスチレンを合成した。
得られたポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。結果を表1に示した。
<比較例1−3>
撹拌時間(t)を、0.2分間(t=0.2min)から10分間(t=10min)に変えた以外は、比較例1−1と同様にして、ポリスチレンを合成した。
得られたポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。結果を表1に示した。
表1に示すように、n−BuLiの溶液にTHFを加えると、得られるポリスチレンの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、撹拌時間(t)が長くなるに従って大きくなる。このことは、バッチ式の場合、0℃程度の温度条件下では、THFを加えることによりn−BuLiが分解していることを示している。
(比較例2)
<ポリスチレンの合成(フロー)>
ポリスチレンの合成を、図3に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路R11(反応部):内径1,000μm、長さ600cm
・流通路R12(反応部):内径1,000μm、長さ50cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
なお、図中のMFは流量計を意味し、PIは圧力計を意味する。
フローマイクロリアクターは、0℃に冷却されている。
n−BuLiの溶液〔ヘキサン中の濃度(X)は0.05M又は0.025M〕をスムーズフローポンプにより流速10mL/minで流通路P11を介して混合手段M1に導入した。スチレンの溶液(THF中2.0M)をスムーズフローポンプにより所定の流速で流通路P12を介して混合手段M1に導入した。混合手段M1により混合されて得られた溶液を、流通路R11(反応部)を通過させた後、混合手段M2内で、流通路P13を通って来たメタノールの溶液(THF中0.15M)と混合させた。得られた溶液を、流通路R12を通過させた。反応を開始し、安定状態に達した1分後、生成物溶液を取り出した。モノマーの転化率を、内部標準物質としてテトラデカンを用いたGC(ガスクロマトグラフィー)により測定した。減圧により溶媒を除去し、得られたポリマーの分子量及び分子量分布を求めた。
上記操作を、n−BuLiの溶液の濃度、及びスチレンの溶液の流速(mL/min)を変えて行った。結果を表2に示した。
表2中、「initiator」は、n−BuLiの溶液の流速(mL/min)を表す。
「styrene」は、スチレンの溶液の流速(mL/min)を表す。
「[M]/[I]」は、スチレンとn−BuLiとのモル比(スチレン/n−BuLi)を表す。
「conv(%)」は、モノマーの転化率を表す。
表2に示すように、「[M]/[I]」が大きくなり、得られるポリマーの数平均分子量が大きくなるにつれ、分子量分布が広くなった。
(実施例1)
<ポリスチレンの合成(フロー)>
ポリスチレンの合成を、図4に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P1:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P2:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P3:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P4:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路R1:内径1,000μm、長さ3.5cm
・流通路R2(反応部):内径1,000μm、長さ600cm
・流通路R3(反応部):内径1,000μm、長さ10cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径500μm
なお、図中のMFは流量計を意味し、PIは圧力計を意味する。
フローマイクロリアクターは、0℃に冷却されている。
n−BuLiの溶液〔ヘキサン中の濃度(X)は0.05M又は0.025M〕をスムーズフローポンプにより流速10mL/minで流通路P1を介して混合手段M1に導入した。溶媒(THF)を、スムーズフローポンプにより流速10mL/minで流通路P2を介して混合手段M1に導入した。混合手段M1により混合されて得られた溶液を、流通路R1を介して混合手段M2に導入した。スチレンの溶液(THF中2.0M)をスムーズフローポンプにより所定の流速で流通路P3を介して混合手段M2に導入した。混合手段M2により混合されて得られた溶液を、流通路R2(反応部)を通過させた後、混合手段M3内で、スムーズフローポンプにより流速10mL/minで流通路P4を通って来たメタノールの溶液(THF中0.15M)と混合させた。得られた溶液を、流通路R3を通過させた。反応を開始し、安定状態に達した1分後、生成物溶液を取り出した。モノマーの転化率を、内部標準物質としてテトラデカンを用いたGC(ガスクロマトグラフィー)により測定した。減圧により溶媒を除去し、得られたポリマーの数平均分子量及び分子量分布を求めた。
上記操作を、n−BuLiの溶液の濃度、及びスチレンの溶液の流速(mL/min)を変えて行った。結果を表3に示した。
表3中、「initiator」は、n−BuLiの溶液の流速(mL/min)を表す。
「solvent」は、P2を通過する溶媒の流速(mL/min)を表す。
「styrene」は、スチレンの溶液の流速(mL/min)を表す。
「[M]/[I]」は、スチレンとn−BuLiとのモル比(スチレン/n−BuLi)を表す。
「conversion」は、モノマーの転化率を表す。
なお、表3の条件の場合、流通路R1における通過時間(tR1)は、0.08秒である。
表3に示すように、実施例1では、「[M]/[I]」が大きくなり、得られるポリマーの数平均分子量が大きくなっても、分子量分布が狭い状態を維持できた。なお、実施例1において、流通路P2を通過させる希釈溶媒をTHFからヘキサンに変えた場合、ヘキサンはポリマーの溶解性が小さいため、狭い分子量分布を維持した状態で、高分子量のポリマー(例えば、Mn3万以上)を合成することは困難である。
<<温度、及び通過時間の影響>>
次に、図4に示すフローマイクロリアクターにおいて、温度(T)、及び流通路R1の通過時間(tR1)を表4に示すように変化させて、その影響を確認した。その他の条件は、以下の特記事項を除き、上記と同じである。結果を表4に示した。
・n−BuLiの溶液:ヘキサン中の濃度(X)は0.05M
・n−BuLiの溶液の流速:10mL/min
・THF(希釈溶媒:流通路P2に流す溶媒)の流速:10mL/min
・流通路R1:内径1,000μm、長さは、50cm、100cm、又は200cm
・スチレンの溶液(THF中2.0M)の流速:30mL/min
表4より、0℃〜30℃においては、tR1を変化させても、数平均分子量、及び狭い分子量分布が変化していないことが確認できる。このことは、上記条件下では、比較例1に示すような、経時での開始剤の分解が起こっていないことを示す。
(実施例2〜5、比較例3〜4)
次に、図3又は図4のフローマイクロリアクターの連続運転を行った。連続運転での安定性を確認するために、流量の変化、及び圧力の変化を確認した。
<比較例3>
<<開始剤の希釈なし>>
図3のフローマイクロリアクターの連続運転を行った。
比較例2において、フローマイクロリアクターの条件を以下の通りとした以外は、比較例2と同様にして、フローマイクロリアクターによりポリスチレンを連続合成した。なお、他の条件は、比較例2と同じである。
・n−BuLiの溶液:ヘキサン中の濃度(X)は0.05M
・n−BuLiの溶液の流速:10mL/min
・スチレンの溶液(THF中2.0M)の流速:30mL/min
結果を、図5A及び図5Bに示した。
図5Aは、流量の変化を示すグラフである。図5Bは、圧力の変化を示すグラフである。なお、流量及び圧力は、フローマイクロリアクターにおける開始剤送液ポンプ直下のMF及びPIで測定した値である。
図5Bより、圧力が安定していないことが確認できる。
<比較例4>
<<開始剤のヘキサン希釈>>
図4のフローマイクロリアクターの連続運転を行った。
実施例1において、フローマイクロリアクターの条件を以下の通りとした以外は、実施例1と同様にして、フローマイクロリアクターによりポリスチレンを連続合成した。なお、他の条件は、実施例1と同じである。
・n−BuLiの溶液:ヘキサン中の濃度(X)は0.05M
・n−BuLiの溶液の流速:10mL/min
・希釈溶媒(流通路P2に流す溶媒):THFに代えてヘキサンを使用
・ヘキサンの流速:10mL/min
・スチレンの溶液(THF中2.0M)の流速:30mL/min
結果を、図6A及び図6Bに示した。
図6Aは、流量の変化を示すグラフである。図6Bは、圧力の変化を示すグラフである。なお、流量及び圧力は、フローマイクロリアクターにおける開始剤送液ポンプ直下のMF及びPIで測定した値である。
図6Bより、経時で圧力が上昇していることが確認できる。これは、ヘキサンがポリマーの溶解性が小さいことが影響していると考えられる。
<実施例2>
図4のフローマイクロリアクターの連続運転を行った。
実施例1において、フローマイクロリアクターの条件を以下の通りとした以外は、実施例1と同様にして、フローマイクロリアクターによりポリスチレンを連続合成した。なお、他の条件は、実施例1と同じである。
・n−BuLiの溶液:ヘキサン中の濃度(X)は0.05M
・n−BuLiの溶液の流速:10mL/min
・希釈溶媒(流通路P2に流す溶媒):THF
・スチレンの溶液(THF中2.0M)の流速:30mL/min
結果を、図7A及び図7Bに示した。
図7Aは、流量の変化を示すグラフである。図7Bは、圧力の変化を示すグラフである。なお、流量及び圧力は、フローマイクロリアクターにおける開始剤送液ポンプ直下のMF及びPIで測定した値である。
図7Bより、比較例3及び4よりも、経時での圧力変化がほとんどなく、経時で圧力が安定していることが確認できる。
<実施例3>
<<30分間運転>>
実施例2において、連続運転時間を30分まで延ばした場合の流量の変化、及び圧力の変化を確認した。
結果を、図8A及び図8Bに示した。
図8Aは、流量の変化を示すグラフである。図8Bは、圧力の変化を示すグラフである。なお、流量及び圧力は、フローマイクロリアクターにおける開始剤送液ポンプ直下のMF及びPIで測定した値である。
図8Bより、30分間の連続運転でも、経時での圧力変化(圧力上昇)は小さく、経時で圧力が安定していることが確認できる。
<実施例4>
<<流速変化(20mL/min)>>
実施例3において、希釈溶媒(流通路P2に流す溶媒)であるTHFの流速を20mL/minに変更した以外は、実施例3と同様にして、ポリスチレンの連続合成を行い、流量の変化、及び圧力の変化を確認した。
結果を、図9A及び図9Bに示した。
図9Aは、流量の変化を示すグラフである。図9Bは、圧力の変化を示すグラフである。なお、流量及び圧力は、フローマイクロリアクターにおける開始剤送液ポンプ直下のMF及びPIで測定した値である。
図9Bより、30分間の連続運転でも、経時での圧力変化(圧力上昇)は実施例3よりも更に小さく、経時で圧力が非常に安定していることが確認できる。
<実施例5>
<<温度変化(20℃)>>
実施例3において、フローマイクロリアクターの冷却温度を20℃に変更した以外は、実施例3と同様にして、ポリスチレンの連続合成を行い、流量の変化、及び圧力の変化を確認した。
結果を、図10A及び図10Bに示した。
図10Aは、流量の変化を示すグラフである。図10Bは、圧力の変化を示すグラフである。なお、流量及び圧力は、フローマイクロリアクターにおける開始剤送液ポンプ直下のMF及びPIで測定した値である。
図10Bより、30分間の連続運転でも、経時での圧力変化(圧力上昇)は実施例3よりも更に小さく、経時で圧力が非常に安定していることが確認できる。
(実施例6)
<[M]/[I]の変化>
実施例1において、[M]/[I]を変化させて、その影響を確認した。その他の条件は、以下の特記事項を除き、実施例1と同じである。
・n−BuLiの溶液:ヘキサン中の濃度(X)は0.05M又は0.025M
・n−BuLiの溶液の流速:10mL/min
・THFの流速:20mL/min
・スチレンの溶液(THF中2.0M)の流速:20mL/min〜60mL/min
・フローマイクロリアクターの温度:20℃
図11は、[M]/[I]と、数平均分子量(Mn)との関係を示すグラフである。
図11より、[M]/[I]の増加に従い、数平均分子量(Mn)が直線的に増加していることがわかる。また、この間、分子量分布(Mw/Mn)は、1.061〜1.187であった。このことから、分子量が非常に制御されていることが確認できた。
(実施例7)
実施例1において、フローマイクロリアクターの条件を以下の通りとした以外は、実施例1と同様にして、フローマイクロリアクターによりポリスチレンを連続合成した。なお、他の条件は、実施例1と同じである。
・n−BuLiの溶液:ヘキサン中の濃度(X)は0.05M
・n−BuLiの溶液の流速:10mL/min
・希釈溶媒(流通路P2に流す溶媒):THF
・THFの流速:20mL/min
・スチレンの溶液(THF中2.0M)の流速:20mL/min
・フローマイクロリアクターの温度:20℃
・運転時間:4時間
なお、4時間の連続運転で約1kgのポリマーが得られた。
4時間の連続運転中のn−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速の変化を、図12に示した。図12より、4時間の連続運転でも、n−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速が安定していることが確認できた。
また、4時間の連続運転中の流通路P3(スチレンの溶液の流通路)の圧力の変化を、図13Aに示した。4時間の連続運転中の流通路P1(n−BuLiの溶液の流通路)の圧力の変化を、図13Bに示した。図13A及び図13Bより、4時間の連続運転でも、圧力が安定していることが確認できた。
また、4時間の連続運転中の数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)の変化を、図14に示した。図14より、4時間の連続運転でも、分子量が非常に制御されていることが確認できた。
(実施例8)
<分子量及び分子量分布>
数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により決定した。
具体的には、Shodex LF−804 カラム(昭和電工株式会社製)を2本備えた、Shodex GPC−101(昭和電工株式会社製)を用い、40℃、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用い、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器により測定した。
キャリブレーションは、市販のスチレン重合体(TSK社製、standard polystyrene TOSOHの A−500(TS−505) Mw=500、A1000(TS−501) Mw=1,050、A−2500(TS−502) Mw=2,500、A−5000(TS−503) Mw=5,870、F−1(TS−203) Mw=9,830、F−2(TS−504) Mw=17,100、F−4(TS−202) Mw=37,200、F−10(TS−144) Mw=98,900、F−20(TS−140) Mw=189,000、F−40(TS−85) Mw=354,000、F−80(TS−201) Mw=707,000、F128(TS−206) Mw=1,110,000)を標準サンプルとして用いて行った。
<試薬>
THF(テトラヒドロフラン)については、富士フイルム和光純薬株式会社から購入し、そのまま使用した。
ヘキサンについては、富士フイルム和光純薬株式会社から購入し、さらに精製することなく使用した。
スチレンおよび4-メチルスチレンについては、東京化成工業株式会社から購入し、使用前に蒸留した。
n−ブチルリチウム(n−BuLi)については、富士フイルム和光純薬株式会社からn−ヘキサン溶液(1.6M)として購入し、ヘキサンにより希釈して使用した。
メタノールについては、富士フイルム和光純薬株式会社から乾燥溶媒として購入し、さらに精製することなく使用した。
スチレンと4−メチルスチレンの共重合体の合成を、図15に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。連続運転での安定性を確認するために、流量の変化、及び圧力の変化を確認した。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P1:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P2:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P3:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P4:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路P5:内径1,000μm、長さ200cm
・流通路R1:内径1,000μm、長さ3.5cm
・流通路R2(反応部):内径1,000μm、長さ600cm
・流通路R3(反応部):内径1,000μm、長さ600cm
・流通路R4(反応部):内径1,000μm、長さ10cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M4:T型マイクロミキサー、内径500μm
なお、図中のMFは流量計を意味し、PIは圧力計を意味する。
n−BuLiの溶液(ヘキサン中0.05M)をスムーズフローポンプにより流速10mL/minで流通路P1を介して混合手段M1に導入した。溶媒(THF)を、スムーズフローポンプにより流速20mL/minで流通路P2を介して混合手段M1に導入した。混合手段M1により混合されて得られた溶液を、流通路R1を介して混合手段M2に導入した。スチレンの溶液(THF中1.5M)をスムーズフローポンプにより流速10mL/minで流通路P3を介して混合手段M2に導入した。混合手段M2により混合されて得られた溶液を、流通路R2(反応部)を通過させた後、混合手段M3に導入した。4−メチルスチレンの溶液(THF中0.5M)をスムーズフローポンプにより流速10mL/minで流通路P4を介して混合手段M3に導入した。混合手段M3により混合されて得られた溶液を、流通路R3(反応部)を通過させた後、混合手段M4内で、スムーズフローポンプにより流速10mL/minで流通路P5を通って来たメタノールの溶液(THF中0.15M)と混合させた。得られた溶液を、流通路R4を通過させた。反応を開始し、安定状態に達してから10分後ごとに生成物溶液を取り出した。モノマーの転化率を、内部標準物質としてテトラデカンを用いたGC(ガスクロマトグラフィー)により測定した。減圧により溶媒を除去し、得られたポリマーの数平均分子量及び分子量分布を求めた。連続運転を1時間行った。
連続運転中のn−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速の変化を、図16に示した。図16より、1時間の連続運転でも、n−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速が安定していることが確認できた。
また、1時間の連続運転中の流通路P3(スチレンの溶液の流通路)の圧力、及び流通路P1(n−BuLiの溶液の流通路)の圧力の変化を、図17に示した。図17より、1時間の連続運転でも、圧力が安定していることが確認できた。
また、1時間の連続運転中の数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)の変化を、図18に示した。図18より、1時間の連続運転でも、分子量が制御されていることが確認できた。
(実施例9)
実施例8において、4−メチルスチレンの濃度を1.0Mとした以外は、実施例8と同様にして、スチレンと4−メチルスチレンの共重合体の合成を、図19に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。連続運転での安定性を確認するために、流量の変化、及び圧力の変化を確認した。
結果を、図20および図21に示した。図20は、連続運転中のn−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速の変化である。図20より、1時間の連続運転でも、n−BuLiの溶液の流速、及びスチレンの溶液の流速が安定していることが確認できた。
図21は、1時間の連続運転中の流通路P3(スチレンの溶液の流通路)の圧力、及び流通路P1(n−BuLiの溶液の流通路)の圧力の変化である。図21より、1時間の連続運転でも、圧力が安定していることが確認できた。
また、1時間の連続運転中の数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)の変化を、図22に示した。図22より、1時間の連続運転でも、分子量が制御されていることが確認できた。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> フロー式のリアクターを用いたポリマーの製造方法であって、
前記フロー式のリアクターが、
第1の流通路と、
第2の流通路と、
前記第1の流通路と前記第2の流通路との合流部に設けられた第1の混合手段と、
前記第1の混合手段と接続し、前記第1の混合手段の下流側に配された第3の流通路と、
第4の流通路と、
前記第3の流通路と前記第4の流通路との合流部に設けられた第2の混合手段と、
前記第2の混合手段と接続し、前記第2の混合手段の下流側に配された第5の流通路と、
を有し、
アニオン重合開始剤及び炭化水素溶媒を含有する開始剤溶液を前記第1の流通路内に流通させ、かつ極性溶媒を前記第2の流通路内に流通させ、前記第1の混合手段で前記開始剤溶液及び前記極性溶媒を混合して混合液を得る混合工程と、
前記混合液を前記第3の流通路内に流通させ、かつアニオン重合性モノマーを含有するモノマー含有液を前記第4の流通路内に流通させ、前記第2の混合手段で前記混合液及び前記モノマー含有液を混合して、前記第5の流通路内で前記アニオン重合性モノマーをアニオン重合しポリマーを得る重合工程と、
を含むことを特徴とするポリマーの製造方法である。
<2> 前記アニオン重合開始剤が、有機リチウムである前記<1>に記載のポリマーの製造方法である。
<3> 前記炭化水素溶媒が、ヘキサン、及びベンゼンの少なくともいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載のポリマーの製造方法である。
<4> 前記極性溶媒が、テトラヒドロフランである前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリマーの製造方法である。
<5> 前記アニオン重合性モノマーが、ビニル基含有化合物である前記<1>から<4>のいずれかに記載のポリマーの製造方法である。
<6> 前記ビニル基含有化合物が、スチレンを含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のポリマーの製造方法である。
<7> 前記モノマー含有液が、極性溶媒を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載のポリマーの製造方法である。
<8> 前記モノマー含有液に含有される前記極性溶媒が、テトラヒドロフランである前記<1>から<7>のいずれかに記載のポリマーの製造方法である。
<9> 前記ポリマーの数平均分子量(Mn)が、1,000〜100,000である前記<1>から<8>のいずれかに記載のポリマーの製造方法である。
<10> 前記ポリマーの、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した分子量分布(Mw/Mn)が、1.30以下である、前記<1>から<9>のいずれかに記載のポリマーの製造方法である。
P1 流通路
P2 流通路
P3 流通路
P4 流通路
P5 流通路
R1 流通路
R2 流通路
R3 流通路
R4 流通路
M1 混合手段
M2 混合手段
M3 混合手段
M4 混合手段

Claims (10)

  1. フロー式のリアクターを用いたポリマーの製造方法であって、
    前記フロー式のリアクターが、
    第1の流通路と、
    第2の流通路と、
    前記第1の流通路と前記第2の流通路との合流部に設けられた第1の混合手段と、
    前記第1の混合手段と接続し、前記第1の混合手段の下流側に配された第3の流通路と、
    第4の流通路と、
    前記第3の流通路と前記第4の流通路との合流部に設けられた第2の混合手段と、
    前記第2の混合手段と接続し、前記第2の混合手段の下流側に配された第5の流通路と、
    を有し、
    アニオン重合開始剤及び炭化水素溶媒を含有する開始剤溶液を前記第1の流通路内に流通させ、かつ極性溶媒を前記第2の流通路内に流通させ、前記第1の混合手段で前記開始剤溶液及び前記極性溶媒を混合して混合液を得る混合工程と、
    前記混合液を前記第3の流通路内に流通させ、かつアニオン重合性モノマーを含有するモノマー含有液を前記第4の流通路内に流通させ、前記第2の混合手段で前記混合液及び前記モノマー含有液を混合して、前記第5の流通路内で前記アニオン重合性モノマーをアニオン重合しポリマーを得る重合工程と、
    を含むことを特徴とするポリマーの製造方法。
  2. 前記アニオン重合開始剤が、有機リチウムである請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  3. 前記炭化水素溶媒が、ヘキサン、及びベンゼンの少なくともいずれかである請求項1から2のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  4. 前記極性溶媒が、テトラヒドロフランである請求項1から3のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  5. 前記アニオン重合性モノマーが、ビニル基含有化合物である請求項1から4のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  6. 前記ビニル基含有化合物が、スチレンを含有する請求項1から5のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  7. 前記モノマー含有液が、極性溶媒を含有する請求項1から6のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  8. 前記モノマー含有液に含有される前記極性溶媒が、テトラヒドロフランである請求項1から7のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  9. 前記ポリマーの数平均分子量(Mn)が、1,000〜150,000である請求項1から8のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  10. 前記ポリマーの、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した分子量分布(Mw/Mn)が、1.30以下である、請求項1から9のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
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