JP2020142199A - 糸束挿入方法および装置 - Google Patents

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博司 梅谷
敏之 宮嶋
Toshiyuki Miyajima
敏之 宮嶋
健作 吉野
Kensaku Yoshino
健作 吉野
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Abstract

【課題】糸束の外観品位を損なわず、中空糸膜に損傷を与えることなく、常に安定して糸束をモジュールケースに挿入する糸束挿入方法および装置を提供すること。【解決手段】糸束をケースに挿入している途中で、案内ガイドの挿入路壁面で糸束の表面を押えることをやめるまたは、押える力を弱める。あるいは、糸束をケースに挿入している途中で、案内ガイドの挿入路での糸束の支持をやめることで、中空糸膜の整列の乱れなく外観品位を確保するとともに、中空糸膜の損傷なく、濾過性能の低下を回避することが可能となる。【選択図】図6

Description


本発明は、液体または気体の分離に用いる中空糸膜分離モジュールの製造方法および装置に関する。特に、中空糸膜の集合体である糸束をケース内に挿入する糸束挿入方法および装置に関する。
精密濾過膜や限外濾過膜は、微多孔の中空糸膜で構成されており、液体や気体を、その微多孔に通過させることで、汚染物質を濾過・分離して、所望の液体や気体を得られるようにしている。また、その濾過性能を利用して、飲料水や工業用水の濾過に利用されている。さらに、医療用途として、血液中の老廃物を透析や濾過により除去する人工腎臓等にも使用されている。このように濾過や分離に使用される中空糸膜分離モジュールは、用途により、中空糸膜の素材や内外径寸法、微多孔部の孔サイズや開口率等は異なるが、製造工程においては、その大半が、中空糸膜を複数本束ね糸束化した後に、この糸束を最終的に容器の内部に収めるべく、モジュールケースに挿入される。このように中空糸膜がモジュールケースに挿入されたものは、一般的に中空糸膜分離モジュールと呼ばれている。
これら中空糸膜分離モジュールは、その性能や使用寿命を向上するための一手段として、ケースの中に収める中空糸膜の本数をより多くする(中空糸膜の充填率を高める)ようにしていることがある。このため、特に同じ容積(内径,断面積)のケースにより多くの本数の中空糸膜の糸束を入れようとする場合や、製造工程における糸束への処理による外力の影響などの理由により、断面が略円形の糸束の外径や糸束の幅が糸束長手方向全体または、部分的にケース内径よりも大きい状態の糸束をケースに入れることがある。このような場合に、ケースに糸束を挿入する際に介入する挿入装置との摩擦で、中空糸膜にダメージを与えることなく、ケース内に糸束を挿入する技術は非常に重要である。つまり、ケース内に糸束を挿入する技術は、製品の品質確保および生産性に直結する。
このような課題に対し、ケース内径よりも、外径の大きい状態の中空糸膜の糸束をケース内にスムーズに入れる様々な手段が検討されている。
例えば、中空糸膜の糸束をケース挿入方向に向け、ケースと同芯軸上にケースと直列に配置し、ケースに近い側の開口部がケースから遠い側の開口部よりも小さいテーパー状につながる挿入路を有する、案内ガイドを介すことで、挿入時に徐々に糸束の太さを小さくしながら、糸束をケース内に案内し挿入する手段が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、別の手段として、糸束を一旦、薄手のフィルムなどのシート状物を丸めて略円筒状に形成したものの中に収め、シート状物を絞りあげることで、嵩ばった糸束の外周を押えることで、糸束の太さ(外径)を小さくした後に、シート状物と共に糸束をケース内に挿入する方法が開示されている(例えば、特許文献2)。
特開昭60−80463号公報 特許第3239693号公報
本発明者らは、特許文献1に記載されたように、案内ガイドを用いて糸束をケースに挿入する糸束挿入装置を使用した場合、糸束の形態や、糸束を形成する中空糸膜自体の弾性や表面の摩擦抵抗などによっては、案内ガイドの特に糸束挿入時の出口側の開口面積の小さい部分近傍と糸束の摩擦で、中空糸膜表面にダメージを受けることや、ケース内に挿入された糸束の糸の乱れを確認した。ここで言うダメージとは、代表的には、中空糸膜表面に亀裂が入ったり、中空糸膜が、切断したりすることである。ダメージを受けた中空糸膜を使い、そのまま中空糸膜分離モジュール化された場合、中空糸膜のダメージを受けた部分から流体(原水)がリークし、本来の分離性能が得られない場合があり、そのような場合、該当品は、不良品モジュールとして製品から排除される。また、糸束の糸の乱れとは、ケース内に挿入された糸束を構成する中空糸膜のうちの1本でも整列状態から外れている状態を言う。本来ケース内に挿入された糸束を構成する1本1本の中空糸膜は外観品位上整列した状態が好ましいので、製品によっては、この見た目の糸の乱れが外観不良として分別され、製品から排除される場合がある。
さらに、特許文献2に記載されたような、薄手のフィルムを丸めて略円筒状に成形したものの中に糸束を納め、フィルムを絞り上げることで、フィルム内の糸束の外径を小さくした後、ケースに挿入した糸束挿入装置を使用した場合においては、一日に数千個〜数万個以上生産する自動化量産設備に適用した場合、フィルムの絞りと開放動作を連続して複数回繰り返し行うことで、剛性の低いフィルムは次第に変形し、挿入するケースとの芯の位置がずれたり、絞り径や絞りの真円度が低下したりして、挿入がスムーズにできなくなることがある。また、酷い場合は、フィルムがケースに干渉し座屈して、全く挿入ができなくなり、一度座屈したフィルムは、折れ目が入り、再びケースと干渉し挿入不良を繰り返すことも確認した。挿入不良となった場合、その糸束はフィルムと共に座屈し不良品となるため、生産収率を低下させる。また、一度座屈したフィルムは、再び座屈して挿入不良を誘発することから、更に不良品の糸束を発生させ、著しく生産収率を低下させる。このため、フィルムが座屈して挿入不良になった場合は、マシンを停機して、フィルムの交換を行うようにしているが、フィルムを絞る機構部分(ワイヤー等を使用している)から、フィルムを取り外し交換する作業は多大な時間を要するため、マシンの稼動率を低下させ生産効率を大幅に低下させる。
本発明は、糸束をケースに挿入する際に生じる中空糸膜へのダメージや中空糸膜の乱れを回避すると同時に、量産設備として連続で複数回の挿入に対しても挿入性が悪化せず安定した糸束の挿入が可能となるケースへの糸束挿入方法および装置を提供する。
(1)上記課題を解決する、糸束をケースの内部へ挿入する本発明の糸束挿入方法は、
上記糸束を案内ガイドを介して前記ケースに向けて挿入し始め、
上記案内ガイドが、内側が前記糸束の挿入路になっており、挿入路の壁面で、糸束が上記ケースの挿入口の方向へ進行するように、それ以外の方向への糸束の進行を規制し、
上記案内ガイドの前記挿入路の少なくとも出口部分の壁面で、上記糸束の表面を全周
にわたって押さえつつ、糸束を上記ケースの上記挿入口から挿入させ、
上記ケースへ上記糸束を挿入している途中で、上記案内ガイドの上記挿入路の壁面によ
る糸束の表面を押えるのをやめ、または、押さえる力を弱め、押えるのをやめた状態、または、押さえる力を弱めた状態で糸束のケースへの挿入を完了させる。
(2)また、上記課題を解決する、糸束をケースの内部へ挿入する本発明の別の糸束挿入方法は、
上記糸束を案内ガイドを介して上記ケースに向けて挿入し始め、
上記案内ガイドが、内側が上記糸束の挿入路になっており、挿入路の壁面で、糸束が上記ケースの挿入口の方向へ進行するように、それ以外の方向への糸束の進行を規制し、
上記案内ガイドの上記挿入路で上記糸束を支持しつつ、糸束を上記ケースの上記挿入口から挿入させ、
上記ケースへ上記糸束を挿入している途中で、上記案内ガイドの上記挿入路によって糸束を支持するのをやめ、挿入路で糸束を支持していない状態で糸束のケースへの挿入を完了させる。
(3)上記課題を解決する、糸束をケースの内部へ挿入するための本発明の糸束挿入装置は、
ケースを固定するためのケース固定具と、
上記ケース固定具の隣に配置された案内ガイドであって、
内側に上記糸束の挿入路であって、壁面で、糸束が上記ケースの挿入口の方向へ進行するように、それ以外の方向への糸束の進行を規制する挿入路を有し、
上記挿入路の少なくとも出口部分が開口の広さが変わる構造である、案内ガイドと、
上記案内ガイドの上記挿入路の少なくとも出口部分の開口の広さを変える開口可変手段と、
上記ケース固定具に固定されるケースの内側に向けて、上記案内ガイドの上記挿入路を通して上記糸束を押し込むためのプッシャーと、
上記開口可変手段を、上記プッシャーが上記ケースへ上記糸束を押し込んでいる途中で、上記案内ガイドの上記挿入路の少なくとも出口部分の開口を広げ、糸束のケースへの挿入が完了するまで挿入路の少なくとも出口部分の開口を広げたまま維持させるように動作させる制御手段と、を備えている。
(4)本発明の糸束挿入装置は、好ましくは上記案内ガイドが、少なくとも上記挿入路の出口側となる端部で、挿入路の径方向に離隔できる複数のガイド部材で構成されている。
(5)本発明の糸束挿入装置は、好ましくは上記案内ガイドの上記挿入路が、開口が広がっていない状態において、入口から出口に向かうにつれて開口面積が連続的または断続的に小さくなっている。
本発明によれば、中空糸膜へのダメージや糸の乱れを回避すると同時に、量産設備として連続で複数回の挿入に対しても挿入性が悪化せず安定して糸束を挿入できる。
本発明で製造する中空糸膜分離モジュールの一実施形態の構造を示す正面図である。 本発明で製造する中空糸膜分離モジュールの一実施形態の構造を示す側面図である。 本発明により中空糸膜分離モジュール内に挿入される糸束の一実施形態を示す図である。 本発明により中空糸膜分離モジュール内に挿入される糸束の別の実施形態を示す図である。 本発明により中空糸膜分離モジュールのケースに挿入する糸束について、製造工程での外力による形態の変形状態を示す図である。 本発明の糸束挿入装置の一実施形態の構成を示す図である。 本発明の糸束挿入装置のケース固定具でケースを固定する状態を示す図である。 図6の糸束挿入装置をM−M矢視から見た案内ガイドの糸束の挿入路の開口部を示す図であり、開口部を閉じた状態(図a)と開口部を広げた状態(図b)の図である。 図6の糸束挿入装置をL−L矢視から見た、糸束挿入装置に糸束を搬送するコンベア部を示す図である。 本発明の糸束挿入装置の一実施形態の動作を説明する図であり、糸束をケースのおよそ半分の位置まで挿入した状態を示す図である。 図10で示す動作の後に、案内ガイドの開口広さを広げた状態を示す図である。 図11で示す動作の後に、糸束をケースの所定の位置まで押込んだ状態を示す図である。 図10の糸束挿入装置をG−G矢視から見た案内ガイドと糸束との状態を示す図であり、案内ガイドが糸束の全周を接圧している状態(図a)と、案内ガイドが糸束を支持している状態(図b)の図である。 本発明の糸束挿入装置の一実施形態で、糸束挿入時の状態をさらに詳しく説明するための図であり、糸束の一番外径(幅)の大きい部分と案内ガイドとの取合いを示す図である。 従来技術を模擬すべく、本発明の糸束挿入装置において、糸束挿入途中で案内ガイドの開口を広げず糸束を挿入した場合に生じる現象を説明する図であり、中空糸膜と案内ガイド間の摩擦抵抗の状態(図a)と、その摩擦抵抗により中空糸膜が乱れてダメージを受けた状態(図b)を示す図である。
以下、本発明の実施形態として、家庭向けの浄水器カートリッジ用の中空糸膜分離モジュールの製造工程におけるケースへの糸束挿入装置に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
1.中空糸膜分離モジュール
図1および図2に本実施形態に適用した家庭向け浄水器カートリッジ用の中空糸膜分離モジュール1の構成を示す。中空糸膜分離モジュール1は、ケース2、ケース2の中に装填されたU字形態に曲げられ複数本の中空糸膜3で構成された中空糸膜束4、および中空糸膜束4のU字形態に曲がった側とは反対側に位置し、ケース2の端部位置でケース2と中空糸膜束4との隙間を樹脂で埋めてケース2と固定するポッティング部5から構成されている。また、ポッティング部5は、ケース2の端部で、ケース2と中空糸膜束4とを液状の樹脂を硬化させることでシール接着したものであり、中空糸膜束4を形成する中空糸膜3の1本1本の隙間を全て樹脂で埋めている。中空糸膜分離モジュール1を矢印Z方向から見ると、図2に示すよう、中空糸膜束4を構成する1本1本の中空糸膜3の中空糸膜開口部6がケース2の端面に露出している状態である。このような中空糸膜分離モジュール1において水の濾過は、次のようにされる。図1に示す中空糸膜分離モジュール1の矢印A方向から原水が流入し、ケース2の内部に原水が充填され、次いで中空糸膜束4を構成する複数本の中空糸膜3の表面の複数の微細な孔(図示省略)から中空糸膜3の内側へと原水が流れ込もうとする。
この際に、中空糸膜3表面の微細な孔に入れない不純物の粒子は、中空糸膜3の表面で分離され、濾過された水(以下透過水と記載)だけが、中空糸膜3の内部に入り込むことができる。中空糸膜3の内部に入り込んだ透過水は、ケース2の中空糸膜3を固定したポッティング部5のある側のケース2の端部から、矢印B方向へ出てくる。本実施形態で、中空糸膜3の表面の微細な孔は、およそφ0.1μmのサイズであり、φ0.1μmよりも大きい粒子の不純物を、中空糸膜分離モジュール1で分離する。
本実施形態では、中空糸膜3の表面の微細な孔のサイズをおよそφ0.1μmとしているが、分離膜モジュール1の用途により、必要なサイズは異なり、中空糸膜分離膜モジュール1の諸寸法等は、本実施例の形態には限定されない。
2.糸束
次に、本実施形態に用いる家庭向け浄水器カートリッジ用の中空糸膜分離モジュール1の内部に装填される糸束の形態および製造方法について、図3および図4を用いて説明する。なお、糸束とは、中空糸膜3を束化し中空糸膜束4としたものであり、製造工程において、ケース2へ挿入する前の状態のものである。図3には、糸束の代表的な例を示している。先ず図(a)に示すように、破線で描いた記号Zの範囲にストレート形態に切り揃えた複数本の中空糸膜3を並べ、それを略中央部で矢印Y方向へ曲げてU字形態に形成することで中空糸膜束4aとする。次に図3(b)に示すように、U字形態を維持するために、中空糸膜束4aのU字形態に曲げた側とは反対側の中空糸膜3の端部近傍は覆わないよう、かつ、できるだけタイトに不織布8で包み込む。さらに、包んだ後で不織布8が緩まないよう、不織布8を、接着テープや溶着手段など(図示せず)で固定する。このようにして糸束7aが形成される。
また、図4には、上述した糸束とは、別の形態の代表例を示す。先ず図4(a)に示すように、中空糸膜3を2軸のカセ軸9(9a,9b)に巻き付けて、両端共にU字形態に形成した中空糸膜束4bを形成する。本形態においては、中空糸膜3のカセ軸9への巻付け開始端10と巻付け終了端11とは、双方共に、2軸あるカセ軸9の一方側方向(本実施形態ではカセ軸9b側)に配置している。そうすることで、巻付け開始端10、巻付け終了端11双方の中空糸膜開口部6を中空糸膜モジュール1のポッティング部5側に配置して、中空糸膜内部に直接原水が流れ込まない構造とすることができる。次に図4(b)に示すように、必要巻回数カセ軸9に巻付けた中空糸膜3を、カセ軸9から取り外したのちに、その形態を維持するために、中空糸膜3の巻付け開始端10と巻付け終了端11のある側の中空糸膜束4bの端部近傍を覆わないよう、かつ、できるだけタイトに不織布8で包み込む。さらに包んだ後で不織布8が緩まないよう、不織布8を、接着テープや溶着手段など(図示せず)で固定する。このようにして、中空糸膜束4bを不織布8で包装した糸束7bが形成される。
上述した2つの実施形態における糸束7aと糸束7b共に、中空糸膜束4を不織布8で包んだ形態のものを、糸束と呼んでいるが、中空糸膜束4の状態のものを糸束と呼ぶ場合もある。
上述した糸束7aと糸束7bの2つの製作方法において、糸束7aおよび糸束7bを不織布8で包んでいる。これは、製造工程において、本実施形態では、糸束を形成した後に、糸束の洗浄や熱処理等を行う工程を経るのであるが、それらの工程を通過する際の外力や糸束同士の擦れなどにより、糸束がダメージを受けることや、中空糸膜の配列の乱れを防ぐための糸束の保護のために実施している。また、不織布8で中空糸膜束4の片端部近傍を不織布8で覆わないのは、本実施形態においては、製品の構成上の理由から不織布8を後工程で取り除くための配慮である(詳細説明は省略)。別の実施形態では、中空糸膜束4全域を不織布8で包んでもよいし、不織布8を使用せず、テープ固定等のみ実施して、U字形態の維持のみで、不織布に包むことをしなくてもよい。また、本実施形態では、糸束7a、糸束7b共に、中空糸膜束4a,4bをU字形態に形成しているが、U字形態に曲げず、ストレート状態の糸束形態の場合もある。また、本実施形態において、中空糸膜束4の包装材として不織布を使用しているが、中空糸膜束4の外周に沿って包装できる薄手のシート状の材料であれば不織布以外のものでもよい。シート状の材料は透水性のあるものが好ましい。
以上のように形成された糸束7は、本実施形態においては、ケース2に挿入するまでの製造工程で外力の影響を受けるなどして、その形態が、次のような特徴をもつ。
このことについて、糸束7bを例にして、図5を用いて説明する。
図5に、図4(b)の矢印X方向から見た糸束7bを示す。糸束7bの不織布8で包まれていない側の端部の幅Rは、例えば不織布8で包まれている側の端部の略円形の糸束径(幅)Qよりも大きな寸法になることがある。この理由のひとつは、中空糸膜束4を不織布8で包装する際に、不織布8をタイトに絞って包んでいるが、不織布8で包装しない部分の中空糸膜束4は、他の部分に対しタイトに絞られないため、その部分の寸法は、他の部分よりも大きくなることがある。また、それ以外に、本実施形態における糸束7bの製造工程では、中空糸膜束4bを不織布8で包んだ後の糸束7bを水で洗浄したり、熱を加えての処理をするなどの工程を経るため、不織布8で覆ってない部分の中空糸膜3(中空糸膜束4b)は、それらの工程を通過する際の外力により大変乱れ易く、例えば矢印P1、P2方向に中空糸膜3が広がる場合がある。しかしながら本実施形態において、糸束7bのこの乱れ易い部分の中空糸膜3(中空糸膜束4b)は、後に切り取られ、製品にならない部分(非製品部)となるため、該当部分の見た目の乱れは、製品品位として問題にはならない。
3.糸束挿入装置
糸束7bをケース2へ挿入する糸束挿入装置について、本実施形態の装置について、図6から図11を用いて説明する。
図6に示すように、本実施形態における糸束挿入装置は、ケース2を固定するケース固定具20、糸束7bをケース2に案内する案内ガイド21、糸束7bをケース2に押し込むプッシャー25、案内ガイド21の開口の広さを変えるための、上側昇降装置26aと下側昇降装置26bからなる案内ガイド21の開口可変手段26、および開口可変手段26とプッシャー25の動作を制御するコントローラ28から構成される。
図6には、略円形の空洞を有する円筒状のケース2を把持するケース固定具20と、ケース2に隣接して、ケース2内空洞部の中心軸Oと略同軸上にセンターを有する案内ガイド21が配置されている。案内ガイド21は、上下2分割構成となっており、案内ガイド上部21aと案内ガイド下部21bとで構成されている。
案内ガイド21は、両端が開口し略円形の開口形状であり、矢視M−Mを図示した図8(a)に示すように、ケース2に近い側の開口部は、ケース2から遠い側の開口部よりも開口面積は小さくなっている。双方の開口部は連続的な壁面で繋がっており、この壁面で糸束7bの挿入路22が形成されている。なお、図6に示すように、本実施形態では、挿入路22は、ケース2に近い側の開口部から遠い側の開口部に向かうにつれて、開口面積が連続的に小さくなっているが、開口面積が一定の区間があって断続的に小さくなっていてもよい。
また、案内ガイド21に隣接して、糸束7bが配置される。糸束7bはコンベア23の上に設置された糸束トレー24の上に置かれている。さらに隣接して、糸束7bをケース2に挿入するために糸束7bをケース2方向に向けて、案内ガイド21を介して押し込むプッシャー25が配置されている。また、ケース2は、図7に示すよう、2本のアーム構成からなるケース固定具20で、ケース2を挟むように固定されている。
案内ガイド上部21aは、上側昇降装置26aに接続されており、上側昇降装置26aにて上方(矢印J方向)に移動させられることで、案内ガイド上部21aは、案内ガイド下部21bから離隔する。また、これと同様に、案内ガイド下部21bは、下側昇降装置26bに接続されており、下側昇降装置26bにて下方(矢印I方向)に移動させられることで、案内ガイド下部21bは、案内ガイド上部21aから離隔する構成となっている。
このように、案内ガイド上部21aと案内ガイド下部21bの双方が、それぞれに対し離隔する方向に移動すると、図8(a)で示した状態から離隔したあとの状態は図8(b)のようになる。なお、図8(b)のように、案内ガイド上部21aと案内ガイド下部21bとが離隔した状態では、案内ガイド21の挿入路22の断面形状は、挿入路22の壁面で囲まれた形状とはならない。本願発明においては、挿入路22の開口が壁面で囲まれた形状のまま広がる状態だけでなく、このような図8(b)の状態であっても、図8(a)の挿入路22の開口が広がった状態とみなす。
また、糸束7bは、図9に示すよう、コンベア23の上に複数設けられた糸束トレー24の上に前工程で配置されて、矢印K方向に搬送されてくる。糸束7bが案内ガイド21と同じセンター位置になると、コンベア23の移動が一時停止できるよう制御されている。また、プッシャー25と、上側昇降装置26aと下側昇降装置26bについて、それぞれの作動のタイミングや動作位置(移動距離)を制御するコントローラ28が、設けられている。
プッシャー25、上側昇降装置26aおよび下側昇降装置26bとコントローラ28との間は、コントローラ28からの指令をそれぞれに向けて電気的な信号として送信するため、電気配線29で接続されている。
本実施形態において、コントローラ28から、プッシャー25や上側昇降装置26aと下側昇降装置26bに向けて、指令を出すために電気配線29で接続しているが、指令のやり取りは、電波等を使用した無線方式でもよく、エアー圧力や油圧を用いる配管を接続する方式でも構わない。また、コントローラ28は、シーケンサーを使用しているが、プッシャー25と上側昇降装置26aと下側昇降装置26bのそれぞれの動くタイミングや、動く速度、および動く距離などを糸束7bやケース2の仕様に応じ、適切な条件に任意に設定し、動きをコントロールできるものであればよい。本実施形態において、案内ガイド21は、上下に離隔することで、挿入路22の開口が広がる2分割構成であるが、開口が広がる方向は、上下に関わらず、左右でも斜め方向でも、どの方向でよい。また、案内ガイドの分割数も、3分割以上の構成であってもよい。
4.糸束挿入動作
上述した糸束挿入装置においては、以下のように糸束が挿入される。その動作および特徴を図6から図13にて説明する。
最初に図6に示すように、ケース2が、ケース把持具20にて挟むように固定され、ほぼ同時にコンベア23にて搬送されてきた糸束7bが、コンベア23が停止して、ケース2の中心線Oと略同軸上に配置される。
その後、コントローラ28の指令で、プッシャー25が糸束トレー24の上の糸束7bを押して、糸束7bは、案内ガイド21のケース2から遠い側の開口部から案内ガイド21の内側の挿入路22に押し込まれる。案内ガイド21のケース2に近い側の開口部では、矢視G−Gを示した図13(a)に示すよう、糸束7bの全周を押えた状態で、糸束7bは、さらにケース2の長手方向略中央辺りまで挿入される。その時の状態が図10に示す通りであり、ケース2から離れた側の糸束7bの端部で、不織布8で包装されてない部分の外径(幅)の大きい一部の中空糸膜が、案内ガイド21内部の挿入路22に接触する直前の状態を示している。
この状態から、次いで図11に示すよう、コントローラ28の指令で、上側昇降装置26aを上昇、下側昇降装置26bを下降させることで、案内ガイド21のガイド上部21aとガイド下部21bとが離隔し、案内ガイド21の内部の挿入路22の開口の広さが上下に広がる。挿入路22の開口の広さが広がることで、糸束7bの外径(幅)の大きい不織布8で包装されてない部分の中空糸膜が挿入路22に接触することなく、さらに糸束7bはプッシャー25で、ケース2の方向に押され、図12に示す状態まで糸束7bをケース2内に押込まれる。コントローラ28の指令で、挿入路22の開口の広さは広がったまま維持され、プッシャー25の押込み動作は停止し、ケース2の所定位置への糸束7bの挿入が完了する。これら一連の動作による糸束挿入により、糸束7bの不織布8で包装されてない外径(幅)の大きい部分の中空糸膜3は、案内ガイド21の内部の挿入路22に一切接触することなく、糸束7bがケース2に挿入されるため、案内ガイド22のケース2に近い出口側での中空糸膜3との摩擦による中空糸膜3のダメージを回避することができる。すなわち、糸束7bの最も外径(幅)の大きい部分への、挿入路22の接圧により生じる摩擦を回避することで、中空糸膜3へのダメージを回避するのである。
本実施形態においては、糸束7bをケース2に挿入している途中で、案内ガイド21の開口を広げることで、糸束7bと案内ガイド21の内側である挿入路22とを完全に非接触となるようにして糸束7bをケース2に挿入している。これとは異なり、糸束7bの仕様によっては、案内ガイド21の開口量を少なくして、糸束7bと案内ガイド21の内側の挿入路22とを接触させた状態で、挿入路22が糸束7bを押える力(接圧力)を弱めることでもよい。この方法であっても、糸束7bと挿入路22との摩擦抵抗が減るので、案内ガイド21のケース2に近い出口側での中空糸膜3との摩擦による中空糸膜3のダメージを回避することができる。
上述した糸束挿入動作では、ケース2の内側空洞部の略円形の断面内径よりも、断面が略円形の糸束7bの外径の方が大きく、さらに挿入過程の大半で案内ガイド21の案内ガイド上部21aと案内ガイド下部21bを離隔させない状態(案内ガイド21が閉じた状態)であるので、糸束7bを案内ガイド21のケース2に近い側の開口部全周が糸束7bを押える状態(図13(a)参照)で、糸束7bをケース2に挿入している。
これとは異なり、糸束7bの仕様によっては、ケース2の内径よりも糸束7bの外径が小さい場合もある。このような場合には、案内ガイド21のケース2に近い側の開口部においては、図13(b)に示すように、糸束7bの全周を押える状態にはならず、案内ガイド21と糸束7bとは非接触な部分を有する状態となる。言い換えると、案内ガイド21は、その挿入路22の周方向で部分的に糸束7bを支持している状態となる。本発明の別の形態として、このような状態となる場合もある。このような場合においても、糸束7bの不織布8で包装されていない部分の中空糸膜束4bの外径(幅)が大きくなる場合があるので、案内ガイド21の挿入路22との摩擦抵抗により、中空糸膜3にダメージを受けることもある。したがって、このような実施形態においても、糸束7bをケース2に挿入している途中で案内ガイド21の開口を広げることで、案内ガイド21のケース2に近い出口側での中空糸膜3との摩擦による中空糸膜3のダメージを回避する効果が得られる。
なお、ここまでの説明では、案内ガイド21の挿入路22が、入口から出口までの全体の開口が広がる実施形態を説明してきたが、案内ガイド21のケース2に近い出口側での中空糸膜3との摩擦による中空糸膜3のダメージを回避することができればよいので、案内ガイド21の挿入路22の少なくともケース2に近い出口部分の開口が広がる実施形態であればよい。
5.本発明の効果(メカニズム)
本実施形態における、案内ガイド21の内部の挿入路22の開口の広さが、糸束7bをケース2に挿入する途中で広がり、挿入が完了するまで広がった位置を維持することが、製品である中空糸膜分離モジュールに及ぼす効果について、図14と図15を用いて説明する。
図14は、プッシャー25で糸束7bを押しながらケース2に糸束7bを挿入している途中で、案内ガイド21のガイド上部21aとガイド下部21bを離隔し、挿入路22の開口の広さを広げた直後の状態を示す。この後も、糸束7bの不織布8で包装されていない見かけ糸束径(幅)の大きい部分は、挿入路22の壁面に接触することなく、糸束7bはケース2に対し所定位置まで挿入が完了する。このため、糸束7bの製品となる部分である不織布9に包装された範囲の中空糸膜は、整列が乱れたり、表面にダメージを受けるなどの損傷は生じない。
一方、プッシャー25で糸束7bを押しながらケース2に糸束7bを挿入している途中で、案内ガイド21の挿入路22の開口の広さを広げることなく、糸束7bをケース2に対し所定の位置まで挿入した場合(従来の方法)について、糸束7bのケース2への挿入途中の状態を図15(a)に示す。糸束7bの不織布8で包装されていない見かけ糸束径(幅)の大きい部分は、挿入路22の壁面に接触し、H部で強い摩擦抵抗が生じる。この摩擦抵抗により、糸束7bに生じる状態について図15(b)に示す。図15(b)では、糸束7bの中空糸膜束4の状態が分かり易いよう、不織布8を省略し、さらに、本来の整列した糸の状態は破線で示し、中空糸膜束4bを形成し、中空糸膜束4bの外側に位置する中空糸膜3の巻付け開始端10と巻付け終了端11のみ実線で示している。
また、両端がU字形態である本実施形態での糸束7bでは、特に、糸束形成時の巻付け開始端10や巻付け終了端11が、挿入路22の内壁と糸束7bの外周との間(図15(a)、H部)で生じる摩擦力により、糸束7bのケース2への挿入方向とは相対的に反対(矢印E)方向に引っ張られた状態を示している。
巻付け開始端10と巻付け終了端11が、矢印E方向に引っ張られることで、巻付け開始端10と巻付け終了端11にそれぞれ連なる中空糸膜3は、製品範囲となるF部の範囲で、E1方向に引っ張られ破線で示す本来の中空糸膜3の並びから逸脱し、整列が乱れる。そのため、中空糸膜分離モジュールの製品の見た目の品位が低下し、外観検査で不合格品となる場合がある。また、図では示していないが、製品範囲となるF部の範囲で、挿入時の摩擦で引っ張られた中空糸膜3の表面に亀裂が入ったり、切断してしまう場合がある。このような場合は、中空糸膜分離モジュールに流れ込んだ原水は、中空糸膜の外周表面の微細な孔を通らず、直接、亀裂部分や切断断面から中空糸膜の内部に流れ込む。本来は、中空糸膜の内部に直接原水が流れ込むことは、水を濾過するための中空糸膜分離モジュールとしては、あってはならないものであり、中空糸膜の外側で分離すべき不純物が中空糸膜内部に入ることは、除去性能を低下させ、所定の除去性能が満たされない場合は、製品性能の不合格品となるのである。本実施形態の糸束7bにおいて、糸束挿入時の中空糸膜3の整列の乱れや、表面への亀裂や切断が生じ、ダメージを受ける例として、中空糸膜束4bの巻付け開始端10と巻付け終了端11を対象に記載しているが、糸束外周部(表面部)に位置する中空糸膜3であれば、どの中空糸膜においても、同様のダメージを受ける可能性はあり得る。本発明の糸束挿入方法および装置であれば、このようなダメージを回避できる。
<実施例1>
図4(a)のように、外径が460μmのポリスルホン中空糸膜を複数本重ねて巻き、両端をU字形態に形成した。U字形態の糸束の長手方向の長さは90mm(図4(a)のL1)であった。このU字形態に形成した糸束を、図4(b)のように、糸束長手方向長さが100mm(図4(b)のL2)の不織布で包装した。この際、不織布の片側には糸束を包装しない部分を残し、その部分の不織布の片端から糸束の片端までを20mm(図4(b)のL3)とした。この不織布で包装された糸束は、不織布で包装された部分の糸束の外径が約27mm、不織布で包装されていない部分の糸束の外径が約30mmであった。この糸束を、糸束挿入装置を用いて、内径が26mmで全長が70mmのケースに挿入した実施例について説明する。
糸束挿入装置は、案内ガイドと、コンベアで搬送されてきた糸束を案内ガイドを介してケース内に押し込むプッシャーとから構成されている。案内ガイドは、挿入路の出口側と入口側との内壁が連続的に直線で繋がっており、出口側の開口が入口側の開口よりも小さくなるよう、出口側の内径は25mmで、入口側の内径は40mmで、全長は100mmである。また、案内ガイドは、上下が均等に2分割に分離できる構成であり、上下の案内ガイドをそれぞれ昇降させることで開口を広げることができる。
この糸束挿入装置を用いて、糸束をケースへ挿入させた。まず、糸束をケースに向けて、プッシャーで押し込みを開始し、案内ガイド内の挿入路を通過させた。この際、糸束の不織布で包装された部分の外径(約27mm)が挿入路の出口側の内径(25mm)よりも大きいため、案内ガイドの挿入路出口側で、糸束はその外周全周に渡って案内ガイドに押えられながら、ケース内部に向けて押し込まれた。糸束外周を全周に渡り押えることで、糸束の外径をケース内径(26mm)と同等もしくはそれ以下の寸法に縮小させたので、糸束はスムーズにケース内部に挿入し始めた。
その後、不織布を除いた糸束の挿入方向の先頭部がケースのおよそ中央部を通過したタイミングで、案内ガイドの上側部分と下側部分を、それぞれ上下方向に各15mm移動させて離隔させ、案内ガイド内部の挿入路の開口を広げた。そして、開口を広げた状態で、ケース内の所定の位置まで糸束を押し込んだ。この際、案内ガイド内部の挿入路の開口を広げたので、外径が約30mmであり他の部分よりも外径が大きくなっていた糸束の不織布で包装されていない部分は、案内ガイドの挿入路出口側開口部付近で、押さえつけられることがなかった。このため、糸束と挿入路の間で摩擦抵抗なく挿入できたため、糸束外周の中空糸膜が引っ張られて、中空糸膜モジュールの製品部となる部分の糸束の糸の整列が乱れたり、引っ張られた抵抗で中空糸膜が損傷することもなく、ケースの所定位置まで、糸束の挿入を完了することができた。
このように糸束をケースに挿入して中空糸膜モジュールとして完成した製品に、評価用の粒子を含んだ水溶液を原水側から流して、分離性能を確認した。粒子径0.1mmよりも大きい粒子は、中空糸膜表面で分離されて透過水側に流れ込むことはなく、中空糸膜表面の微細口(口径0.1μm)からは水のみが流れて、確実に中空糸膜で水の濾過がされていることを確認でき、中空糸膜モジュールとして良好な性能であった。また、中空糸膜モジュール内部の糸の整列に乱れも見られず、外観品位についても問題なく良好な製品が得られた。
また、本実施形態の糸束挿入装置は、糸束をケースに挿入する際に、従来設備でよく使用されている糸束を小さく絞るフィルムなどの薄手で剛性の弱い部材を使用しないので、動作や位置決め精度の再現性が高かった。また、フィルム部材の変形などによる糸束挿入不良や、フィルム部材の交換による装置の停機が極めて少なく、安定して連続生産が行えることを確認した。
<実施例2>
不織布で包装された部分の糸束外径が約20mm、不織布で包装されてない部分の糸束の外径が約25mm、ケース内径が22mm、案内ガイドの挿入路の出口側の内径が22mm、案内ガイドの挿入路の入口側の内径が32mmであること以外は、実施例1と同じ寸法や構成の糸束、ケース、糸束挿入装置を用い、実施例1と同じ動作順序で糸束を挿入した。
この糸束挿入装置を用いて、糸束をケースへ挿入させた。まず、糸束をケースに向けて、プッシャーで押し込みを開始し、案内ガイド内の挿入路を通過させた。この際、糸束の不織布で包装された部分の外径(約20mm)が、挿入路の全長に渡って挿入路の内径よりも小さいため、案内ガイドの挿入路内では、糸束の外周が全周に渡って挿入路で押えられることなく、糸束の外周が挿入路で部分的に支持されながら、糸束はケース内部に向けて押し込まれた。糸束のケース挿入方向の先頭側である不織布で包装された部分の糸束の外径はケースの内径よりも小さいため、糸束はスムーズにケース内部に挿入し始めた。
その後、不織布を除いた糸束の先頭部がケースのおよそ中央部を通過したタイミングで、案内ガイドの上側部分と下側部分を、それぞれ上下方向に10mm移動させて離隔させ、案内ガイド内部の挿入路の開口を広げた。そして、開口を広げた状態で、ケース内の所定の位置まで、糸束を押し込んだ。この際、案内ガイド内部の挿入路の開口を広げたので、外径が約25mmであり他の部分よりも外径が大きくなっていた糸束の不織布で包装されていない部分は、案内ガイドの挿入路出口側開口部付近で押さえつけられることがなかった。このため、糸束と挿入路の間で摩擦抵抗なく挿入できたため、糸束外周の中空糸膜が引っ張られて、中空糸膜モジュールの製品部となる部分の糸束の糸の整列が乱れたり、引っ張られた抵抗で中空糸膜が損傷することもなく、ケースの所定位置まで、糸束の挿入を完了することができた。
このように糸束をケースに挿入して中空糸膜モジュールとして完成した製品に、評価用の粒子を含んだ水溶液を原水側から流して、分離性能を確認した。粒子径0.1μmよりも大きい粒子は、中空糸膜表面で分離されて透過水側に流れ込むことはなく、中空糸膜表面の微細口(口径0.1mm)からは水のみが流れて、確実に中空糸膜で水の濾過がされていることを確認でき、中空糸膜モジュールとして良好な性能であった。また、中空糸膜モジュール内部の糸の整列に乱れも見られず、外観品位についても問題なく良好な製品が得られた。
また、本実施形態の糸束挿入装置も、実施例1の実施形態を同じく、糸束を小さく絞るフィルムなどの薄手で剛性の弱い部材を使用していないので、動作や位置決め精度の再現性が高かった。また、フィルム部材の変形などによる糸束挿入不良や、フィルム部材の交換による装置の停機が極めて少なく、安定して連続生産が行えることを確認した。
<比較例1>
糸束の挿入途中で案内ガイドを上下に分離させない以外は、実施例1と同じ寸法や構成の糸束、ケース、糸束挿入装置を用い、実施例1と同じ動作順序で糸束を挿入した。
この糸束挿入装置を用いて、糸束をケースへ挿入させた。まず、糸束をケースに向けて、プッシャーで押し込みを開始し、案内ガイド内の挿入路を通過させた。この際、糸束の不織布で包装された部分の外径(約27mm)が挿入路の出口側の内径(25mm)よりも大きいため、案内ガイドの挿入路出口側で、糸束はその外周全周に渡って案内ガイドに押えられながら、ケース内部に向けて押し込まれた。糸束外周を全周に渡り押えることで、糸束の外径をケース内径(26mm)と同等もしくはそれ以下の寸法に縮小させたので、糸束はスムーズにケース内部に挿入し始めた。
しかしながら、その後、不織布を除いた糸束の先頭部が、ケースのおよそ中央部を通過している際に、案内ガイドを上下に分離させなかったので、入口側よりも内径が小さくなっている案内ガイドの挿入路出口側において、外径が大きい不織布で包装されてない糸束の部分が、案内ガイドの挿入路とより強く接触した。これは、不織布で包装した部分の糸束の外径(約27mm)よりも、不織布で包装されてない部分の糸束の外径(約30mm)の方が大きいために生じた現象であり、挿入路と糸束表面の間で、より高い摩擦抵抗が発生した。この状態でケースの所定位置まで、糸束の挿入を完了させたが、案内ガイドの挿入路出口側で、糸束外周の中空糸膜が引っ張られて、中空糸モジュールの製品部となる部分の糸束の糸の整列が乱れた。また、引っ張られた抵抗で中空糸膜の一部が切断された。
このように糸束をケースに挿入して中空糸膜モジュールとして完成した製品に、評価用の粒子を含んだ水溶液を原水側から流して、分離性能を確認した。糸束挿入時に挿入路との摩擦で引っ張られて切断した中空糸膜の部分から、直接原水が中空糸膜内部に流れ込み、0.1mmよりも大きい粒子が透過水側に流れ込んだため、製品検査で不良品として廃棄されることになった。また、糸束挿入時の挿入路との摩擦で中空糸膜が引っ張られた際に、製品部の糸束の整列が乱れたため、外観検査で不良品として廃棄されるものも発生した。これら不良品が発生したことにより、生産収率は低下し、生産コストが上がり、効率の良い生産性が得られなかった。
<比較例2>
実施例1と同じ寸法と構成の糸束とケースを使用したが、挿入装置および挿入動作については、実施例1から以下に説明するように変更した。
まず、コンベアで移載されてきた糸束を一旦フィルムを筒状に丸めた糸束絞り機構の内部にプッシャーで挿入し、その後、筒状のフィルムを絞り、フィルム内の内径を小さくして糸束の外径も小さくし、そのまま、筒状のフィルムの外径がケース内径よりも少し小さくなるまで絞った。絞った状態のまま、フィルム先端をケースの中に挿入した。その後、プッシャーで糸束をケースの中に挿入させ、フィルムをケースの中から抜き取ることで、ケース内に糸束だけを残して挿入を完了させた。このようにして糸束を挿入すると、特に、不織布で包装されていない糸束の外径の大きい部分で糸束外周と絞った状態のフィルム内面部との摩擦抵抗がより高くなり、糸束外周の中空糸膜が引っ張られて、中空糸モジュールの製品部となる部分の糸束の糸の整列が乱れ、引っ張られた抵抗で中空糸膜の一部が切断された。
このように糸束をケースに挿入して中空糸膜モジュールとして完成した製品に、評価用の粒子を含んだ水溶液を原水側から流して、分離性能を確認した。比較例1の結果と同様に不良品が発生し、生産収率は低下し、生産コストが上がり、効率の良い生産性が得られなかった。
さらに、本実施形態の糸束挿入装置では、剛性の弱いフィルムを部材に使用しているため、生産設備として連続して使用した場合に、少しずつフィルムが変形し、本来絞るべく糸束外径に絞れない状態になったり、ケースとの中心位置がずれたりして、糸束の挿入自体がうまくできなくなった。そのため、装置を停止して装置内の糸束を取り除いたり、糸束絞り機構のフィルムを交換したりする作業が必要になり、生産設備の稼働率を著しく悪化する結果となった。
本発明は、糸束をケースに挿入する糸束挿入装置に関し、特に流体を濾過する中空糸膜モジュールを製造する際の、中空糸膜の糸束をモジュールケースに挿入する装置に好適に用いることができ、家庭用飲料水の浄水濾過用の分離膜モジュールや、人工腎臓のモジュールなどの製造設備にも応用でき、中空糸膜の糸束に限らず、糸束をケースに挿入する必要のある製造設備であれば、分野や用途を問わず適用でき、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
1 中空糸膜分離モジュール
2 ケース
3 中空糸膜
4(4a,4b) 中空糸膜束
5 ポッティング部
6 中空糸膜開口部
7(7a,7b) 糸束
8 不織布
9 カセ軸
9a カセ軸a
9b カセ軸b
10 巻付け開始端
11 巻付け終了端
20 ケース固定具
21 案内ガイド
21a 案内ガイド上部
21b 案内ガイド下部
22 挿入路
23 コンベア
24 糸束トレー
25 プッシャー
26 開口可変手段
26a 上側昇降装置
26b 下側昇降装置
28 コントローラ
29 電気配線

Claims (5)

  1. 糸束をケースの内部へ挿入する糸束挿入方法であって、
    前記糸束を案内ガイドを介して前記ケースに向けて挿入し始め、
    前記案内ガイドが、内側が前記糸束の挿入路になっており、挿入路の壁面で、糸束が前記ケースの挿入口の方向へ進行するように、それ以外の方向への糸束の進行を規制し、
    前記案内ガイドの前記挿入路の少なくとも出口部分の壁面で、前記糸束の表面を全周
    にわたって押さえつつ、糸束を前記ケースの前記挿入口から挿入させ、
    前記ケースへ前記糸束を挿入している途中で、前記案内ガイドの前記挿入路の壁面によ
    る糸束の表面を押えるのをやめ、または、押さえる力を弱め、押えるのをやめた状態、または、押さえる力を弱めた状態で糸束のケースへの挿入を完了させる、
    糸束挿入方法。
  2. 糸束をケースの内部へ挿入する糸束挿入方法であって、
    前記糸束を案内ガイドを介して前記ケースに向けて挿入し始め、
    前記案内ガイドが、内側が前記糸束の挿入路になっており、挿入路の壁面で、糸束が前記ケースの挿入口の方向へ進行するように、それ以外の方向への糸束の進行を規制し、
    前記案内ガイドの前記挿入路で前記糸束を支持しつつ、糸束を前記ケースの前記挿入口から挿入させ、
    前記ケースへ前記糸束を挿入している途中で、前記案内ガイドの前記挿入路によって糸束を支持するのをやめ、挿入路で糸束を支持していない状態で糸束のケースへの挿入を完了させる、
    糸束挿入方法。
  3. 糸束をケースの内部へ挿入するための糸束挿入装置であって、
    ケースを固定するためのケース固定具と、
    前記ケース固定具の隣に配置された案内ガイドであって、
    内側に前記糸束の挿入路であって、壁面で、糸束が前記ケースの挿入口の方向へ進行するように、それ以外の方向への糸束の進行を規制する挿入路を有し、
    前記挿入路の少なくとも出口部分が開口の広さが変わる構造である、案内ガイドと、
    前記案内ガイドの前記挿入路の少なくとも出口部分の開口の広さを変える開口可変手段と、
    前記ケース固定具に固定されるケースの内側に向けて、前記案内ガイドの前記挿入路を通して前記糸束を押し込むためのプッシャーと、
    前記開口可変手段を、前記プッシャーが前記ケースへ前記糸束を押し込んでいる途中で、前記案内ガイドの前記挿入路の少なくとも出口部分の開口を広げ、糸束のケースへの挿入が完了するまで挿入路の少なくとも出口部分の開口を広げたまま維持させるように動作させる制御手段と、を備えた、
    糸束挿入装置。
  4. 前記案内ガイドが、少なくとも前記挿入路の出口側となる端部で、挿入路の径方向に離隔できる複数のガイド部材で構成された、請求項3の糸束挿入装置。
  5. 前記案内ガイドの前記挿入路が、開口が広がっていない状態において、入口から出口に向かうにつれて開口面積が連続的または断続的に小さくなっている、請求項3または4の糸束挿入装置。
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