JP2020141354A - 積層型振動子 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の作動帯域を確保すること。【解決手段】低周波数用圧電振動子は、低周波数の音響信号の送受波を行う。フロントマス及びリアマスは、低周波数用圧電振動子の共振系を形成しかつ低周波数用圧電振動子を相互間で挾持する。音響整合層は、フロントマスの音響放射面側に配設される。コンポジット振動子は、音響整合層とフロントマスとの間に配設されかつ高周波数の音響信号の送受波を行う。バッキング材は、コンポジット振動子とフロントマスとの間に配設されてコンポジット振動子を固着する。【選択図】図1

Description

本発明は、積層型振動子に関し、特に送受波器に用いられる水中超音波用振動子に関する。
振動子として、周波数が大きく離れている2周波数を使用する送受波器に使用される振動子が知られている。
特許文献1は、2周波以上の振動子を同一面内に適切な配列長で配列し、指向性のサイドローブを低下させるようした「複合型振動子」を開示している。特許文献1に開示された複合型振動子は、高周波数用振動子をランジュバン型振動子に積層し、高周波数用振動子と低周波数用振動子とをそれぞれ適切な配列ピッチで配列することにより、2周波数の振動子を同一面内に配列して、サイドローブを低下させている。
より具体的に述べると、特許文献1において、その第4実施の形態の複合型振動子は、低周波数用圧電振動子と、フロントマス及びリアマスと、音響整合層と、複数の高周波数用圧電振動子と、バッキング板と、を含む。低周波数用圧電振動子は、低周波数の音響信号の送受波を行うための振動子である。フロントマス及びリアマスは、低周波数用圧電振動子の共振系を相互間で挟持するための部材である。音響整合層は、フロントマスの音響放射面側に配設されかつ低周波数用圧電振動子の作動帯域を拡大するための層である。複数の高周波数用圧電振動子は、音響整合層とフロントマスとの間に配設されかつ高周波数の音響信号の送受波を行うための振動子である。バッキング板は、複数の高周波数用圧電振動子とフロントマスとの間に配設されて複数の高周波数用圧電振動子各々を固着しかつ高周波数でのリアマス方向への振動伝達を抑圧するための板である。
特許第2972741号公報
しかしながら、特許文献1には、次に述べるような問題がある。
特許文献1に開示された複合型振動子は、負荷媒体である水とランジュバン型振動子との間に圧電素子(セラミック)を配設している。セラミックは基本的には音響インピーダンスが高いため、水との音響インピーダンスの整合を図ることが困難である。そのことから、特許文献1に開示された複合型振動子では、広帯域の作動帯域を確保することが難しくなり、感度性能が劣化してしまうことが課題として挙げられる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、所望の作動帯域を確保することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の1つの態様として、積層型振動子は、低周波数の音響信号の送受波を行うための低周波数用圧電振動子と;前記低周波数用圧電振動子の共振系を形成しかつ前記低周波数用圧電振動子を相互間で挾持するためのフロントマス及びリアマスと;前記フロントマスの音響放射面側に配設された音響整合層と;前記音響整合層と前記フロントマスとの間に配設されかつ高周波数の音響信号の送受波を行うコンポジット振動子と;前記コンポジット振動子と前記フロントマスとの間に配設されて前記コンポジット振動子を固着するバッキング材と;を含む。
本発明によれば、所望の作動帯域を確保することが可能である。
本発明の第1の実施例のコンポジット積層型振動子を示す断面図である。 上記特許文献1(特許第2972741号公報)に記載された第4実施の形態(関連技術)の複合型振動子を示す断面図である。 図1に示したコンポジット積層型振動子を示す断面図である。 図2に示した複合型振動子と、図3に示したコンポジット積層型振動子とを簡易的に模擬した2次元軸対象解析モデルを用いた有限要素法解析により得られた送波電圧感度の比較結果を示す図である。 本発明の第2の実施例のコンポジット積層型振動子を示す断面図である。 図5の線VI−VIについての断面図である。 スリットがある場合とスリットがない場合とにおける、コンポジット積層型振動子の指向特性を示す図である。
本発明の実施形態の概要について説明する。
本発明の実施形態では、低周波数用ランジュバン型振動子に高周波数用振動子としてコンポジット振動子を積層している。コンポジット振動子は、圧電素子のセラミックと樹脂とを混ぜた振動子である。コンポジット振動子の圧電素子の体積を減らすことにより密度を下げ、結果として圧電素子単体よりも音響インピーダンスを低くすることができるという低音響インピーダンス特性を利用している。負荷媒体である水との間にコンポジット振動子を配設することで、水との音響インピーダンスの整合を図ることができ、コンポジット振動子は周知の音響整合層と同様に音響整合部材として作動し、低周波数の広帯域化の実現が可能となる。
換言すれば、本発明の実施形態では、高周波数用としてコンポジット振動子を採用することで、適切な配列長によるサイドローブの低下、およびコンポジット振動子の低音響インピーダンス特性を活かし、コンポジット振動子を音響整合部材としてみなし作動させる。このことで作動帯域を拡大する、2つの機能を両立するコンポジット積層型振動子により、広帯域化を目指している。
本発明の第1の実施例について、図面を参照して説明する。以下の説明において、前後上下左右の用語を用いて方向を説明するが、これらは説明のために用いるものであって、本発明を限定する趣旨ではない。
図1は本発明の第1の実施例のコンポジット積層型振動子10を示す断面図である。ここでは、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。図1に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸は前後方向(奥行方向;軸方向)であり、Y軸は左右方向(幅方向)であり、Z軸は上下方向(高さ方向)である。
図1において、コンポジット積層型振動子10は、2周波数(低周波数及び高周波数)にそれぞれ対応する低周波数用圧電振動子11及び高周波数用コンポジット振動子12を備えている。図示の例では、低周波数用圧電振動子11は、軸方向Xに積層された第1乃至第4の低周波数用圧電振動子111、112、113、および114から成る。
第1乃至第4の低周波数用圧電振動子111〜114は、フロントマス13及びリアマス14の間に挾持され、ボルト15で締め付けられて固定されている。また、第1乃至第4の低周波数用圧電振動子111〜114の各々は、円環状に形成されており、その円環の中空部分をボルト115が通っている。第1乃至第4の低周波数用圧電振動子111〜114は、隣り合った低周数波用圧電振動子と分極方向が交互になるような方向に配設されている。
ボルト15からフロントマス13までの全長は、2分の1波長(λ/2)(ここで、λは基本共振周波数における音響信号の波長を表す)に設定されている。フロントマス13は、円柱形状をなしており、その円形の片面中心軸には、ボルト15の先端部が螺合されるネジ穴131が設けられている。リアマス14は、フロントマス13よりも外径の小さい円筒形状をなしており、中心軸に形成された貫通孔141にボルト15が挿通されるようになっている。
高周波数用コンポジット振動子12の第1の端面12aは、第1の端面16aをフロントマス13の第1の端面13aに固着されたバッキング材16の第2の端面16bに固着されている。バッキング材16は、高周波数でリアマス13の方向へ振動伝達を抑圧するための部材である。高周波数用コンポジット振動子12の第2の端面12bには、樹脂製の音響整合層17が積層されて固着されている。音響整合層17は、低周波数用圧電振動子11の作動帯域を拡大するための層である。高周波数用コンポジット振動子12は、低周波数用圧電振動子11の作動帯域を拡大するための音響整合部材としても機能する。
音響整合層17は、積層構造の存在する面の逆側が、ゴム等で作られた音響放射面18に接着される。音響放射面18は、音響整合層17と接着された第1の面18aと逆の第2の面18bを水中19に接している。
所望の作動帯域を確保するために、高周波数用コンポジット振動子12は、次のように構成されている。高周波数用コンポジット振動子12は、音響整合層17との音響インピーダンスを限りなく等しくするように構成される。このように構成することにより、負荷媒体である水との音響インピーダンスの整合を図ることが可能となる。または、高周波数用コンポジット振動子12内のセラミックと樹脂の比率を変更して音響インピーダンスを変更してもよい。あるいは、高周波数用コンポジット振動子12は、樹脂の種類を変更して特性を変更させてもよい。
コンポジット積層型振動子10は、低周波数用圧電振動子11用の第1乃至第5の電極21、22、23、24および25を有する。第1の電極21は、フロントマス13と第1の低周波数用圧電振動子111との間に配置されている。第2の電極22は、第1の低周波数用圧電振動子111と第2の低周波数用圧電振動子112との間に配置されている。第3の電極23は、第2の低周波数用圧電振動子112と第3の低周波数用圧電振動子113との間に配置されている。第4の電極24は、第3の低周波数用圧電振動子113と第4の低周波数用圧電振動子114との間に配置されている。第5の電極25は、第4の低周波数用圧電振動子114とリアマス14との間に配置されている。
コンポジット積層型振動子10は、高周波数用コンポジット振動子12用の第1および第2のフレキシブル基板31および32を有する。第1のフレキシブル基板31は、高周波数用コンポジット振動子12の第1の端面12a上に配置されている。第2のフレキシブル基板32は、高周波数用コンポジット振動子12の第2の端面12b上に配置されている。第1のフレキシブル基板31は第1の電極31aを持ち、第2のフレキシブル基板32は第2の電極32aを持つ。
次に図1を参照して、第1の実施例の動作の詳細を記載する。
第1、第3および第5の電極21、23、25の組と、第2および第4の電極22、24の組がそれぞれ同電位になるように電線を接続して、交流電気信号を入力する。すると、第1乃至第4の低周波数用圧電振動子111〜114でそれぞれ電気機械変換が行われ、第1乃至第4の低周波数用圧電振動子111〜114は同期した伸縮動作を行う。この伸縮動作によるエネルギーは、音響放射面18を伝達して水中19に低周波数の音響信号として放射される。
交流電気信号の周波数、および電圧を変化させることで、所要の音響信号を得ることができる。
引き続いて、高周波数用コンポジット振動子12の動作に関して図1を参照して、説明を記載する。
高周波数用コンポジット振動子12から引き出した第1のフレキシブル基板31の第1の電極31aと第2のフレキシブル基板32の第2の電極32aに交流電気信号を入力する。すると、高周波数用コンポジット振動子12で電気機械変換が行われ、高周波数用コンポジット振動子12は伸縮動作を行う。この伸縮動作によるエネルギーは、音響放射面18を伝達して水中19に高周波数の音響信号として放射される。
次に、第1の実施例の効果について説明する。
図2は、上記特許文献1に記載された第4実施の形態(関連技術)の複合型振動子10Aを示す断面図である。図示の複合型振動子10Aは、高周波数用振動子として、複数の高周波数用圧電振動子12Aを使用している点を除いて、上記第1の実施例のコンポジット積層型振動子10と同様の構成を有する。
図3は、上記第1の実施例に係るコンポジット積層振動子10を示す断面図である。
図4は、図2に示した複合型振動子10Aと、図3に示したコンポジット積層型振動子10とを簡易的に模擬した2次元軸対象解析モデルを用いた有限要素法解析により得られた送波電圧感度の比較結果を示す図である。図4において、横軸に周波数を表し、縦軸に送波電圧感度を表している。点線は複合型振動子10Aの送波電圧感度特性を示し、実線はコンポジット積層型振動子10の送波電圧感度特性を示す。
図4に示す結果より、コンポジット振動子12を採用したことにより、複合型振動子10Aよりもコンポジット積層型振動子10のほうが作動帯域BWとなる分広帯域となっていることがわかる。これは、コンポジット振動子12を使用した第1の実施例に係るコンポジット積層型振動子10は、低音響インピ―ダンスの特性を利用し、コンポジット振動子12を音響整合部材として作動させている為、複合型振動子10Aと比べ広い作動帯域BWを示しているからである。
本発明の第2の実施例について、図面を参照して説明する。
図5は本発明の第2の実施例のコンポジット積層型振動子40を示す断面図である。図6は図5の線VI−VIについての断面図である。ここでも、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。図5および図6に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸は前後方向(奥行方向;軸方向)であり、Y軸は左右方向(幅方向)であり、Z軸は上下方向(高さ方向)である。
図5おいて、コンポジット積層型振動子40は、2周波数(低周波数及び高周波数)にそれぞれ対応する低周波数用圧電振動子41及び高周波数用コンポジット振動子42を備えている。図示の例では、低周波数用圧電振動子41は、軸方向Xに積層された第1乃至第4の低周波数用圧電振動子411、412、413、および414から成る。
第1乃至第4の低周波数用圧電振動子411〜414は、フロントマス43及びリアマス44の間に挾持され、ボルト45で締め付けられて固定されている。また、第1乃至第4の低周波数用圧電振動子411〜414の各々は、円環状に形成されており、その円環の中空部分をボルト45が通っている。第1乃至第4の低周波数用圧電振動子411〜414は、隣り合った低周波数用圧電振動子と分極方向が交互になるような方向に配設されている。
図6に示されるように、高周波数用コンポジット振動子42は、圧電素子のセラミック422に溝加工処理を行い、その溝の中に樹脂424を充填した構造を有する。高周波数用コンポジット振動子42は樹脂424の部分にスリット426を入れ、チャネルchがそれぞれ物理的に分割されている。
このように、チャネルchがスリット426により物理的に分割されているため、図2に示した複合型振動子10Aと同様に、各チャネルchを1/2波長ピッチ(λ/2)(ここで、λは高周波数の音響信号の波長を表す)で格子状に配列でき、サイドローブを低下することが可能となる。
図5に戻って、高周波数用コンポジット振動子42の第1の端面42aは、第1の端面46aがフロントマス43の第1の端面43aに固着されたバッキング材46の第2の端面46bに固着されている。高周波数用コンポジット振動子42の第2の端面42bには、樹脂製の音響整合層47が積層されて固着されている。
音響整合層47は、積層構造の存在する面の逆側が、ゴム等で作られた音響放射面48に接着される。音響放射面48は、音響整合層47と接着された第1の面48aと逆の第2の面48bを水中49に接している。
前述したように、高周波用コンポジット振動子42はそのチャネルchが物理的にそれぞれ分割されていることから、各チャネルch個別で送信、受信が可能となる。加えて各チャネルchを物理的に分割することで、図7で示すように、スリット426を入れることで、複合型振動子10Aと同じようにサイドローブを抑制することができる。なお、スリット426によりチャネルchを分割しても、コンポジット振動子42としての機能は有しており、音響用整合部材としても作動する。
次に、第2の実施例の効果について説明する。
第1の効果は、上記第1の実施例の効果と同様に、所望の作動帯域BWを確保することができることである。
第2の効果は、サイドローブを低下させることができることである。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、これらに限られるものではない。例えば、本発明は、これまで説明した実施例の一部又は全部を適宜組み合わせた形態、その形態に適宜変更を加えた形態をも含む。
例えば、上記第1および第2の実施例では、低周波数用圧電振動子11、41として、軸方向Xに積層された複数個の低周波数用圧電振動子111〜114、411〜414を用いているが、一つの低周波数用圧電振動子を用いてもよい。この場合、ボルト15を削除することができる。
本発明に係る積層型振動子は、水中用アクティブソーナーの他、現在、ボルト締めランジュバン振動子を使用する機器、例えば、魚群探知機、超音波洗浄層とそれに類する洗浄用装置、超音波モーターや超音波手術装置など、ランジュバン振動子を駆動元に用いる装置等、ボルト締めランジュバン振動子の代替手段としての利用が考えられる。
10 コンポジット積層型振動子
11 低周波数用圧電振動子
111 第1の低周波数用圧電振動子
112 第2の低周波数用圧電振動子
113 第3の低周波数用圧電振動子
114 第4の低周波数用圧電振動子
12 高周波数用コンポジット振動子
12a 第1の端面
12b 第2の端面
13 フロントマス
13a 第1の端面
131 ネジ穴
14 リアマス
141 貫通孔
15 ボルト
16 バッキング材
16a 第1の端面
16b 第2の端面
17 音響整合層
18 音響反射面
18a 第1の面
18b 第2の面
19 水中
21 第1の電極
22 第2の電極
23 第3の電極
24 第4の電極
25 第5の電極
31 第1のフレキシブル基板
31a 第1の電極
32 第2のフレキシブル基板
32a 第2の電極
40 コンポジット積層型振動子
41 低周波数用圧電振動子
411 第1の低周波数用圧電振動子
412 第2の低周波数用圧電振動子
413 第3の低周波数用圧電振動子
414 第4の低周波数用圧電振動子
42 高周波数用コンポジット振動子
42a 第1の端面
42b 第2の端面
422 セラミック
424 樹脂
426 スリット
43 フロントマス
43a 第1の端面
44 リアマス
45 ボルト
46 バッキング材
46a 第1の端面
46b 第2の端面
47 音響整合層
48 音響反射面
48a 第1の面
48b 第2の面
49 水中
X 前後方向(奥行方向;軸方向)
Y 左右方向(幅方向)
Z 上下方向(高さ方向)
BW 作動帯域
λ 高周波数の音響信号の波長

Claims (4)

  1. 低周波数の音響信号の送受波を行うための低周波数用圧電振動子と、
    前記低周波数用圧電振動子の共振系を形成しかつ前記低周波数用圧電振動子を相互間で挾持するためのフロントマス及びリアマスと、
    前記フロントマスの音響放射面側に配設された音響整合層と、
    前記音響整合層と前記フロントマスとの間に配設されかつ高周波数の音響信号の送受波を行うコンポジット振動子と、
    前記コンポジット振動子と前記フロントマスとの間に配設されて前記コンポジット振動子を固着するバッキング材と、
    を含む積層型振動子。
  2. 前記コンポジット振動子は、前記低周波数用圧電振動子の作動帯域を拡大するための音響整合部材としても機能する請求項1に記載の積層型振動子。
  3. 前記コンポジット振動子は、前記音響整合層との音響インピーダンスを限りなく等しくするように構成されている、請求項1又は2に記載の積層型振動子。
  4. 前記コンポジット振動子の樹脂にスリットが入っている請求項1乃至3のいずれか1つに記載の積層型振動子。
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