JP2020139039A - ポリイミドフィルム - Google Patents

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公康 新美
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公康 新美
孔一 澤崎
Koichi Sawazaki
孔一 澤崎
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Abstract

【課題】フレキシブルプリント基板用などとして利用しうるポリイミドフィルム提供する。【解決手段】ジアミン成分(A)及びテトラカルボン酸成分(B)を重合成分とするポリイミドで構成されたポリイミドフィルムにおいて、ジアミン成分(A)を、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分をジアミン成分(A)全体に対して70モル%超含むジアミン成分(A)とし、テトラカルボン酸成分(B)を、テトラカルボン酸成分(B)全体に対して70モル%超の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、及びピロメリット酸成分を含むテトラカルボン酸成分(B)とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム等に関する。
エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化に伴い、フレキシブルプリント配線板(FPC)の需要が伸びている。FPCは絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有しているが、耐熱性、寸法安定性から絶縁性フィルムにはポリイミドフィルムが好んで用いられてきた。
近年、電子機器の高機能化が進んでおり、多くの電気信号を伝送する要求が具体化してきており、伝送損失を抑制する検討が盛んに行われている。FPCに関しては、伝送損失を抑制の検討の一つとして、絶縁性フィルムであるポリイミドフィルムの低誘電特性化による高周波帯域での伝送損失改善が進められている。
ポリイミド樹脂の化学構造には、極性の高いイミド構造を含んでいるため、比誘電率、誘電正接が高くなりやすく、また吸水率が高いため、エレクトロニクス製品の使用環境の影響を受けやすく、高周波対応機器への対応が難しい。そのため、伝送損失が求められるFPCには誘電特性や吸水率が低い液晶ポリマーフィルム(LCPフィルム)が使用されているが、金属箔との接着性や耐熱性、寸法特性が悪いという欠点がある。このような状況の中で、低誘電特性を持つポリイミドフィルムの検討が進められている。
例えば、特許文献1には、ポリイミドとフッ素樹脂フィルムを積層することで、誘電特性を改善したポリイミドフィルムが開示されている。
また、特許文献2には、誘電正接が0.007以下、吸水率が0.8%以下、50〜200℃における線膨張係数が30ppm/℃以下であるポリイミドフィルムが開示されている。
特許4029732号公報 特開2018−165346号公報
本発明の目的は、新規なポリイミドフィルムを提供することにある。
前記特許文献1のように、FPCなどの絶縁層には、フッ素樹脂フィルムとポリイミドフィルムとの積層フィルムなどが使用されている。このように2つの樹脂フィルムを組み合わせているのは、各種物性のバランスを考慮したものと考えられる。例えば、ポリイミドフィルムでは通信速度が十分でない場合がある一方で、フッ素樹脂フィルムでは強度や寸法安定性において十分でない場合があるが、これらを組み合わせることで両樹脂のこのような欠点を低減できることが想定される。
しかし、本発明者らの検討によれば、このような積層フィルムにおいても、依然として、寸法精度が十分でない場合やスルーホール形成の選択が狭くなる(例えば、UVレーザーを使用できないなど)場合があるなど、改善すべき点があることがわかった。
一方、特許文献2のポリイミドフィルムでは、異なる樹脂を積層するのではなく、ポリイミドの単層フィルムにより形成しているため、このような積層フィルムにおける問題はないと考えられる。
そして、この特許文献2では、前記の通り、誘電正接が0.007以下、吸水率が0.8%以下、50〜200℃における線膨張係数が30ppm/℃以下と規定され、低誘電特性、低吸水性能及び寸法精度を満足しうる。
そこで、本発明者らは、特許文献2のような単層フィルムについて鋭意研究を重ねた結果、単層フィルムであっても、機械的強度等に改善の余地があったり、特に、特許文献2に具体的に開示されている組成のポリイミドを使用した場合であっても、延伸フィルムにおいては各種物性に改善の余地が生じること等がわかった。
このような中、本発明者らは、フィルムを構成するポリイミドを特定の組成とすること等により、機械的強度をより一層改善したり、延伸フィルムにおける物性・特性をさらに改善しうること等を見出し、さらなる検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のポリイミドフィルム等に関する。
[1]
ジアミン成分(A)及びテトラカルボン酸成分(B)を重合成分とするポリイミドで構成されたポリイミドフィルムであって、
ジアミン成分(A)が、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分をジアミン成分(A)全体に対して70モル%超含み、
テトラカルボン酸成分(B)が、テトラカルボン酸成分(B)全体に対して70モル%超の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、及びピロメリット酸成分を含む、ポリイミドフィルム。
[2]
ジアミン成分(A)が、さらに、屈曲構造を有するジアミン成分を含む他のジアミン成分を含み、ジアミン成分(A)全体に対する2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分の割合が71モル%以上である、[1]記載のポリイミドフィルム。
[3]
テトラカルボン酸成分(B)が、テトラカルボン酸成分(B)全体に対して71モル%以上の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、及びテトラカルボン酸成分(B)全体に対して1モル%以上のピロメリット酸成分を含む、[1]又は[2]記載のポリイミドフィルム。
[4]
ジアミン成分(A)が、さらに、4,4’−オキシジアニリン成分、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン成分から選択された少なくとも1種を含む他のジアミン成分をジアミン成分(A)全体に対して3モル%以上の割合で含み、
ジアミン成分(A)が、ジアミン成分(A)全体に対して2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分を73モル%以上含み、
テトラカルボン酸成分(B)が、テトラカルボン酸成分(B)全体に対して73モル%以上の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、及びテトラカルボン酸成分(B)全体に対して3モル%以上のピロメリット酸成分を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[5]
延伸フィルムである[1]〜[4]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[6]
50〜200℃における線膨張係数が0ppm/℃以上の延伸フィルムである、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[7]
破断伸度が20%以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[8]
引張弾性率が4.8GPa以上である、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[9]
引裂伝播抵抗が1.5N/mm以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[10]
50〜200℃における線膨張係数が0.1〜18ppm/℃、破断伸度が35%以上、引張弾性率が5GPa以上、厚み20〜30μmにおける引裂伝播抵抗が3.5N/mm以上の延伸フィルムである、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[11]
比誘電率が3.5以下、誘電正接が0.007以下、吸水率が1.3%以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[12]
銅張り積層体の基材フィルム、及び/又はカバーレイに用いる[1]〜[11]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[13]
化学閉環法により自己支持性のゲルフィルムを得、このゲルフィルムを延伸処理する延伸工程を含む、[1]〜[12]のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
[14]
延伸工程において、搬送方向および幅方向に対して、それぞれ、1.05倍以上の倍率で延伸処理する、[13]記載の製造方法。
[15]
[1]〜[12]のいずれかに記載のポリイミドフィルムを用いた金属積層体。
[16]
ポリイミドフィルムを基材フィルムとする銅張り積層体である[15]記載の金属積層体。
[17]
ポリイミドフィルムが金属層を保護するカバーレイを構成している[15]又は[16]記載の金属積層体。
本発明では、新規なポリイミドフィルムを提供できる。
このようなポリイミドフィルムでは、低CTE(線膨張係数)、特に、延伸フィルムにおいても、低CTEを実現しうる。そのためか、金属層に積層する(特に延伸フィルムとして積層する)場合等でも、寸法安定性が高く、好適である。特に、延伸フィルムであっても、CTEを小さすぎない値(例えば、0ppm/℃以上等)とすることができ、金属層に貼り合わせた際のソリ等の発生を抑制ないし防止しやすい。
本発明の別の態様では、機械的強度に優れたポリイミドフィルムを提供しうる。例えば、このようなポリイミドフィルムは、比較的大きな破断伸度、引張弾性率や引裂伝播抵抗を実現しうる。このような機械的強度は、フィルム又はフィルム製造において非常に重要なものであり、このような機械的強度を有するポリイミドフィルムの有用性は極めて高いものといえる。
本発明の別の態様では、低誘電特性や低吸水性(ひいては水蒸気やガスの低透過性)などの特性を実現しうる。そのため、例えば、FPC用途、例えば、FPC用のフィルム(基材フィルム、カバーレイなど)などとして好適に使用でき、特に、高周波対応基板用に好適に使用することができる。
特に、延伸フィルムにおいて、低誘電特性や低吸水性と、高い寸法精度とを両立させること、さらにはこれらと優れた機械的強度を両立させて実現することは容易ではなく、これらを両立、しかも、単層のポリイミドフィルムにおいて両立できることは意外であり、本発明の有用性は極めて高いものである。
さらに、本発明のポリイミドフィルムは、樹脂フィルムの積層が必要でないため、容易に薄膜化にも対応しうる。
[ポリイミドフィルム]
本発明のポリイミドフィルムは、後述するように、通常、特定の成分(及び割合)を重合成分とするポリイミドで構成されている。
このようなポリイミドフィルム(又はポリイミド)は、特定の物性(特性)を有していてもよい。なお、このような物性(特性)は、後述するように、延伸フィルムにおける物性(特性)であってもよい。
例えば、ポリイミドフィルムは、特定の線膨張係数(CTE)を有していてもよい。
ポリイミドフィルムの線膨張係数(又はその絶対値)は、40ppm/℃以下(例えば、37ppm/℃以下)程度の範囲から選択でき、例えば、35ppm/℃以下(例えば、33ppm/℃以下)、好ましくは32ppm/℃以下(例えば、31ppm/℃以下)、さらに好ましくは30ppm/℃以下(例えば、28ppm/℃以下)、特に25ppm/℃以下(例えば、22ppm/℃以下)、特に好ましくは20ppm/℃以下(例えば、19ppm/℃以下)であってもよく、18ppm/℃以下などであってもよい。
なお、線膨張係数(又はその絶対値)の下限値は、特に限定されず、用途等に応じて選択でき、0ppm/℃、0.1ppm/℃、0.5ppm/℃、0.7ppm/℃、0.8ppm/℃、1ppm/℃、1.2ppm/℃、1.5ppm/℃、1.8ppm/℃、2ppm/℃、2.5ppm/℃、3ppm/℃、3.5ppm/℃、4ppm/℃、、5ppm/℃、6ppm/℃、7ppm/℃、8ppm/℃、9ppm/℃、10ppm/℃などであってもよい。
一方、ポリイミドフィルムの線膨張係数は、あまりに小さくならないものであってもよく、例えば、−5ppm/℃以上(例えば、−3ppm/℃以上、−2ppm/℃以上、−1ppm℃/以上、−0.5ppm℃以上)、好ましくは0又は正の値(例えば、0ppm/℃以上)であってもよい。このようなポリイミドフィルムの線膨張係数において、下限値や上限値は、特に限定されず、上記の範囲から適宜選択してもよい[例えば、0〜40ppm/℃、0.1〜25ppm/℃、0.1〜18ppm/℃、0.5ppm/℃以上(例えば、0.5〜20ppm/℃)、0.7ppm/℃以上(例えば、0.8〜30ppm/℃)等であってもよい]。
このようなポリイミドフィルムでは、後述のように金属層に積層する場合等において、ソリ等の発生を抑制又は防止しやすい。本発明者らの検討によれば、特許文献2に記載の組成のポリイミドでは、延伸等により小さな線膨張係数となる場合があったが、後述のようにポリイミドを特定の組成とすることにより、上記のように小さすぎない線膨張係数(例えば、0ppm/℃以上の線膨張係数)を有するポリイミドフィルムを効率よく得やすいようである。
なお、後述のように金属積層体を構成する場合、例えば、ポリイミドフィルムの線膨張係数は、後述の金属層又は金属層を構成する金属の線膨張係数と近づけてもよく、同じ又は小さくしてもよい。例えば、金属層又は金属層を構成する金属が銅である場合、ポリイミドフィルムの線膨張係数は、0〜25ppm/℃、0〜22ppm/℃、0〜20ppm/℃、0〜18ppm/℃、5〜13ppm/℃などであってもよい。
なお、線膨張係数は、特定の温度範囲(例えば、50〜200℃)における線膨張係数であってもよい。
線膨張係数の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載の方法で測定してもよい。
ポリイミドフィルムの破断伸度は、10%以上(例えば、15%以上)程度の範囲から選択でき、例えば、20%以上、22%以上、25%以上、28%以上、30%以上、32%以上、35%以上、38%以上、40%以上などであってもよい。
破断伸度の上限値は、特に限定されず、適宜選択でき、例えば、85%、80%、75%、72%、70%、68%、65%、62%、60%、58%、56%などであってもよい。
なお、破断伸度の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載の方法で測定してもよい。
ポリイミドフィルムの引張弾性率は、1GPa以上(例えば、2GPa以上、3GPa以上、4GPa以上、4.5GPa以上、4.7GPa以上)程度の範囲から選択でき、例えば、4.8GPa以上、4.9GPa以上、5GPa以上、5.1GPa以上、5.2GPa以上などであってもよい。
引張弾性率の上限値は、特に限定されず、適宜選択でき、例えば、30GPa、25GPa、20GPa、18GPa、16GPa、15GPa、14GPa、13GPa、12GPa、11GPa、10GPa、9GPaなどであってもよい。
なお、引張弾性率の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載の方法で測定してもよい。
ポリイミドフィルムの引裂伝播抵抗は、0.5N/mm以上(例えば、0.7N/mm以上、1N/mm以上、1.2N/mm以上)程度の範囲から選択でき、例えば、1.5N/mm以上、1.8N/mm以上、2N/mm以上、2.2N/mm以上、2.5N/mm以上、2.8N/mm以上、3N/mm以上、3.2N/mm以上、3.5N/mm以上、3.8N/mm以上、4N/mm以上、4.2N/mm以上、4.5N/mm以上などであってもよい。
引裂伝播抵抗の上限値は、特に限定されず、適宜選択でき、例えば、20N/mm、18N/mm、15N/mm、12N/mm以上、10N/mm、9N/mm、8N/mm、7N/mm、6.5N/mm、6N/mm、5.8N/mm、5.5N/mm、5.2N/mmなどであってもよい。
なお、引裂伝播抵抗の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載の方法で測定してもよい。
ポリイミドフィルムの誘電正接は、0.015以下(例えば、0.012以下)程度の範囲から選択でき、例えば、0.01以下(例えば、0.0095以下)、好ましくは0.009以下(例えば、0.0085以下)、さらに好ましくは0.008以下(例えば、0.0075以下)、特に0.007以下(例えば、0.0065以下)、特に好ましくは0.006以下(例えば、0.0058以下)であってもよく、0.0055以下、0.0050以下などであってもよい。
誘電正接の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.001、0.0015、0.002、0.0025、0.0030、0.0035、0.0040などであってもよい。
ポリイミドフィルムの比誘電率は、4以下(例えば、3.9以下)程度の範囲から選択でき、例えば、3.8以下(例えば、3.7以下)、好ましくは3.6以下(例えば、3.55以下)、さらに好ましくは3.5以下(例えば、3.45以下)であってもよく、3.4以下(例えば、3.35以下)、3.3以下(例えば、3.25以下)、3.2以下(例えば、3.15以下)などであってもよい。
比誘電率の下限値は、特に限定されないが、例えば、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.05などであってもよい。
なお、誘電正接及び誘電率の測定方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。誘電正接及び誘電率の測定周波数は、例えば、2.54GHz、5.8GHz等であってもよい。
ポリイミドフィルムは、誘電特性のうち、誘電正接及び比誘電率の少なくともいずれかにおいて上記範囲を充足してもよい。好ましくは、少なくとも誘電正接において上記範囲を充足してもよく、より好ましくは誘電正接及び比誘電率の双方において上記範囲を充足してもよい。
ポリイミドフィルムの吸水率は、2%以下(例えば、1.8%以下)程度の範囲から選択でき、例えば、1.6%以下(例えば、1.5%以下)、好ましくは1.4%以下(例えば、1.3%以下)、さらに好ましくは1.2%以下(例えば、1.15%以下)であってもよく、1.1%以下(例えば、1.05%以下)、1%以下(例えば、0.95%以下)、0.9%以下(例えば、0.85%以下)などであってもよい。
吸水率の下限値は、特に限定されず、例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%などであってもよい。
なお、吸水率の測定方法は、特に限定されず、例えば、JIS K 7209等に従ってよいし、また、吸水率は、後述する実施例に記載の方法で測定してもよい。
ポリイミドフィルム(又はポリイミドフィルムを構成するポリイミド)のガラス転移温度は、特に限定されないが、例えば、150℃以上(例えば、180〜450℃)、好ましくは200℃以上(例えば、230〜400℃)、さらに好ましくは250℃以上(例えば、260〜380℃)であってもよい。
ガラス転移温度の上限値は、特に限定されず、例えば、450℃、400℃、380℃、350℃、330℃、320℃、315℃、310℃、308℃、305℃、302℃、300℃、298℃、295℃などであってもよい。
なお、ガラス転移温度の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載の方法で測定してもよい。
ポリイミドフィルムの厚みは、特に限定されず、用途などに応じて適宜選択できる。例えば、ポリイミドフィルムの厚みは、1〜200μm(例えば、2〜150μm)、好ましくは3〜100μm(例えば、4〜90μm)、さらに好ましくは5〜80μm(例えば、7〜60μm)であってもよく、50μm以下、40μm以下、30μm以下などとすることもできる。
本発明のポリイミドフィルムは、フッ素樹脂フィルムと積層しなくても所望の性能を充足しうるので、薄型化にも容易に対応できる。
なお、ポリイミドフィルムは、複数のポリイミドフィルムの積層体であってもよく、通常、単一のポリイミドフィルムであってもよい。
ポリイミドフィルムは、延伸フィルムであってもよい。このような延伸フィルムにおいて、延伸条件(例えば、TD方向及び/又はMD方向の延伸倍率等)は、後述の条件であってもよい。
本発明では、延伸フィルムにおいても、上記のような物性・特性を効率よく実現しやすい。
[ポリイミド及びポリイミドフィルムの製造方法]
ポリイミドフィルム(又はポリイミドフィルムを構成するポリイミド、又はポリアミック酸)は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを重合成分とする。なお、重合成分は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分を主成分とする限り、他の重合成分を含んでいてもよい。
具体的には、ポリイミド(又はポリイミドフィルム)を製造するに際して、まず、ジアミン成分(ジアミン成分(A))とテトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸成分(B))とを有機溶媒中で重合させることにより、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)溶液を得る。
なお、ポリアミック酸は環化反応に供されるが、本発明では後述のように化学閉環法により環化するのが好ましい。そのため、ポリアミック酸(ジアミン成分(A)及びテトラカルボン酸成分(B))は、化学閉環法を適用可能(化学閉環可能)な成分(又は化学閉環法により効率よく環化できる成分)であるのが好ましい。
ジアミン成分(A)は、通常、少なくとも芳香族ジアミン成分を含む。また、テトラカルボン酸成分(B)は、通常、芳香族テトラカルボン酸成分を含む。
ポリイミドは、通常、フッ素を含有してもよい。このようなフッ素含有ポリイミド(ポリイミドフィルム)において、フッ素を含有させる方法は特に限定されないが、通常、重合成分として、フッ素含有重合成分を少なくとも使用してもよい。
具体的には、ジアミン成分(A)及びテトラカルボン酸成分(B)から選択された少なくとも1種の成分(特に少なくともジアミン成分(A))が、フッ素を含有してもよい。
なお、フッ素を含有する態様としては特に限定されず、例えば、ジアミン成分やテトラカルボン酸成分を構成する水素原子をフッ素原子に置換する態様などであってもよい。例えば、ジアミン成分やテトラカルボン酸成分として、フッ素原子が置換した骨格{例えば、フルオロアルカン骨格[例えば、トリフルオロメタン骨格(又はトリフルオロメチル基)などのパーフルオロアルカン骨格(又はパーフルオロアルキル基)など]、フルオロアレーン骨格(例えば、フルオロベンゼン骨格など)などの炭化水素骨格}を有する成分を使用してもよい。
具体的なジアミン成分(A)としては、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分と、他のジアミン成分(2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分でないジアミン成分)とに大別できる。
ジアミン成分(A)は、通常、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分を含んでいてもよい。2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分としては、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、そのアミド形成性誘導体が挙げられる。
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
このようなジアミン成分(A)において、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分の割合は、例えば、ジアミン成分(A)の(ジアミン成分(A)全体に対して、以下、同様の表現において同じ)70モル%超(例えば、71モル%以上)であってもよく、71モル%以上(例えば、72モル%以上)、好ましくは73モル%以上(例えば、74モル%以上)、さらに好ましくは75モル%以上であってもよく、77モル%以上、78モル%以上、80モル%以上、82モル%以上、83モル%以上、84モル%以上、85モル%以上などであってもよい。
なお、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分の割合の上限値は、特に限定されないが、例えば、ジアミン成分(A)の100モル%であってもよく、100モル%未満(例えば、99モル%、98.5モル%、98モル%、97.5モル%、97モル%、96.5モル%、96モル%、95.5モル%、95モル%、94モル%、93モル%、92モル%、91モル%、90モル%など)であってもよい。
他のジアミン成分としては、例えば、ジアミノアレーン(例えば、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレンなど)、ジアミノビアリール[又はビス(アミノアリール)、例えば、ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン]、ジ(アミノアルキル)アレーン(例えば、パラキシリレンジアミンなど)、ジ(アミノアリール)エーテル(例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなど)、ジ(アミノアリール)アルカン(例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン)、ジ(アミノアリール)スルホン(例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)、ジ(アミノアリール)アレーン[例えば、1,4−ビス(3−メチル−5−アミノフェニル)ベンゼンなど]、ジ(アミノアリールオキシ)アレーン[例えば、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン]、ジ[(アミノアリールオキシ)アリール]アルカン{例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなど}、これらのアミド形成性誘導体などが挙げられる。
中でも、他のジアミン成分として、屈曲した構造(屈曲構造)を有するジアミン成分を好適に使用してもよい。このような他のジアミン成分としては、例えば、下記式で表されるジアミン及びそのアミド形成性誘導体などが挙げられる。
(式中、Aは、酸素原子、アルカンジイル基(例えば、2−プロピリデン基又は2,2−プロパンジイル基等)、非対称アリーレン基(例えば、1,3−フェニレン基等の非対称フェニレン基)、又はこれらが2以上連結した基(例えば、下記式(A1)、(A2)で表される基など)を示す)
代表的な屈曲構造を有するジアミン成分としては、例えば、4,4’−オキシジアニリン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、これらのアミド形成性誘導体等が挙げられる。
そのため、他のジアミン成分は、特に、屈曲構造を有するジアミン成分(例えば、4,4’−オキシジアニリン成分、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン成分から選択された少なくとも1種)を含んでいてもよい。
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分に対して、他のジアミン成分(特に、屈曲構造を有するジアミン成分)を組み合わせる(特に特定の割合で組み合わせる)ことにより、延伸処理を行った際のCTEが低くなり過ぎる(例えば、負のCTEになる)ことを効率よく抑制しうる。
なお、他のジアミン成分(例えば、屈曲構造を有するジアミン成分)の分子量は、特に限定されないが、例えば、150以上(例えば、180以上)であってもよい。
他のジアミン成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
ジアミン成分(A)が、他のジアミン成分を含む場合、他のジアミン成分(2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分でないジアミン成分)の割合は、例えば、ジアミン成分(A)(又は2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分及び他のジアミン成分の総量)の0.1モル%以上(例えば、0.3モル%以上、0.5モル%以上、0.7モル%以上)であってもよく、1モル%以上(例えば、1.2モル%以上)、好ましくは1.5モル%以上(例えば、1.8モル%以上)、さらに好ましくは2モル%以上(例えば、2.2モル以上)、特に2.5モル%以上(例えば、2.8モル%以上)であってもよく、3モル%以上(例えば、3.2モル%以上)、3.5モル%以上(例えば、3.8モル%以上)、4モル%以上(例えば、4.2モル%以上)、4.5モル%以上(例えば、4.8モル%以上)、5モル%以上などであってもよい。
なお、他のジアミン成分の割合の上限値は、特に限定されないが、例えば、ジアミン成分(A)(又は2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分及び他のジアミン成分の総量)の30モル%未満(例えば、29モル%、28モル%、27モル%、26モル%、25モル%、24モル%、23モル%、22モル%、21モル%、20モル%、19モル%、18モル%、17モル%、16モル%、15モル%など)であってもよい。
他のジアミン成分が、屈曲構造を有するジアミン成分(例えば、4,4’−オキシジアニリン成分、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン成分から選択された少なくとも1種)を含む場合、屈曲構造を有するジアミン成分の割合は、他のジアミン成分の10モル%以上、20モル%以上、30モル%以上、40モル%以上、50モル%以上、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、85モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、96モル%以上、97モル%以上、98モル%以上、99モル%以上、100モル%などであってもよい。
具体的なテトラカルボン酸成分(B)としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と、ピロメリット酸成分と、他のテトラカルボン酸成分とに大別でき、通常、テトラカルボン酸成分(B)は、少なくとも3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、特に、少なくとも3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分及びピロメリット酸成分を含有する場合が多い。
テトラカルボン酸成分(B)は、通常、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分を含んでいてもよい。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸無水物(二無水物等)等が挙げられる。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
このようなテトラカルボン酸成分(B)において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分の割合は、例えば、テトラカルボン酸成分(B)の(テトラカルボン酸成分(B)全体に対して)70モル%超(例えば、71モル%以上)であってもよく、71モル%以上(例えば、72モル%以上)、好ましくは73モル%以上(例えば、74モル%以上)、さらに好ましくは75モル%以上であってもよく、77モル%以上、78モル%以上、80モル%以上、82モル%以上、83モル%以上、84モル%以上、85モル%以上、86モル%以上、87モル%以上、88モル%以上、89モル%以上、90モル%以上などであってもよい。
なお、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分の割合の上限値は、特に限定されないが、例えば、通常、テトラカルボン酸成分(B)の100モル%未満(例えば、99モル%、98.5モル%、98モル%、97.5モル%、97モル%、96.5モル%、96モル%、95.5モル%、95モル%、94モル%、93モル%、92モル%、91モル%、90モル%など)であってもよい。
また、テトラカルボン酸成分(B)は、通常、ピロメリット酸成分を含んでいてもよい。ピロメリット酸成分としては、ピロメリット酸、その酸無水物(二無水物等)等が挙げられる。
ピロメリット酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分に対して、ピロメリット酸成分を組み合わせる(特に特定の割合で組み合わせる、さらには、前記のジアミン成分と組み合わせる)ことにより、延伸処理を行った際のCTEが低くなり過ぎる(例えば、負のCTEになる)ことを効率よく抑制しうる。
テトラカルボン酸成分(B)が、ピロメリット酸成分を含む場合、ピロメリット酸成分の割合は、例えば、テトラカルボン酸成分(B)(又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分及びピロメリット酸成分の総量)の0.1モル%以上(例えば、0.3モル%以上、0.5モル%以上、0.7モル%以上)であってもよく、1モル%以上(例えば、1.2モル%以上)、好ましくは1.5モル%以上(例えば、1.8モル%以上)、さらに好ましくは2モル%以上(例えば、2.2モル以上)、特に2.5モル%以上(例えば、2.8モル%以上)であってもよく、3モル%以上(例えば、3.2モル%以上)、3.5モル%以上(例えば、3.8モル%以上)、4モル%以上(例えば、4.2モル%以上)、4.5モル%以上(例えば、4.8モル%以上)、5モル%以上(例えば、5.2モル%)、5.5モル%以上(例えば、5.8モル%以上)、6モル%以上(例えば、6.2モル%以上)、6.5モル%以上(例えば、6.8モル%以上)、7モル%以上(例えば、7.2モル%以上)、7.5モル%以上(例えば、7.8モル%以上)、8モル%以上(例えば、8.2モル%以上)、8.5モル%以上(例えば、8.8モル%以上)、9モル%以上(例えば、9.2モル%以上)、9.5モル%以上(例えば、9.8モル%以上)などであってもよい。
なお、ピロメリット酸成分の割合の上限値は、特に限定されないが、例えば、テトラカルボン酸成分(B)(又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分及びピロメリット酸成分の総量)の30モル%未満(例えば、29モル%、28モル%、27モル%、26モル%、25モル%、24モル%、23モル%、22モル%、21モル%、20モル%、19モル%、18モル%、17モル%、16モル%、15モル%、14モル%、13モル%、12モル%、11モル%、10.5モル%など)であってもよい。
他のテトラカルボン酸成分としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分及びピロメリット酸成分以外のテトラカルボン酸成分であれば特に限定されず、例えば、アレーンテトラカルボン酸成分(例えば、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、これらの酸無水物など)、ビス(ジカルボキシアリール)エーテル成分(例えば、4,4’−オキシジフタル酸、4,4’−オキシジフタル酸無水物など)、ビアリールテトラカルボン酸成分(例えば、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸及びその酸無水物など)、ビス(ジカルボキシフェニル)アルカン成分[例えば、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸及びその酸無水物など]、ジアリールケトンテトラカルボン酸成分(例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びその無水物など)、ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]アルカン成分{例えば、5,5’−[1−メチル−1,1−エタンジイルビス(1,4−フェニレン)ビスオキシ]ビス(イソベンゾフラン−1,3−ジオン)及びその酸無水物など}などが挙げられる。
他のテトラカルボン酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
テトラカルボン酸成分(B)が、他のテトラカルボン酸成分を含む場合、他のテトラカルボン酸成分の割合は、例えば、テトラカルボン酸成分(B)(又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、ピロメリット酸成分及び他のテトラカルボン酸成分の総量)の0.1モル%以上、0.3モル%以上、0.5モル%以上、0.7モル%以上、1モル%以上、1.2モル%以上)、1.5モル%以上、1.8モル%以上、2モル%以上などであってもよい。
なお、他のテトラカルボン酸成分の割合の上限値は、特に限定されないが、例えば、テトラカルボン酸成分(B)(又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、ピロメリット酸成分及び他のテトラカルボン酸成分の総量)の20モル%以下(例えば、19モル%、18モル%、17モル%、16モル%、15モル%、14モル%、13モル%、12モル%、11モル%、10モル%、9モル%、8モル%、7モル%、6モル%、5モル%、4モル%、3モル%、2モル%、1モル%、0.5モル%など)であってもよい。
ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は2種以上を使用した混合物として用いるのが望ましいが、さらにはキシレン、トルエン等の芳香族炭化水素の使用も可能である。
重合方法は、公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば
(1)先にジアミン成分全量を溶媒中に入れ、その後、テトラカルボン酸成分をジアミン成分全量と当量(等モル)になるように加えて重合する方法。
(2)先にテトラカルボン酸成分全量を溶媒中に入れ、その後、ジアミン成分をテトラカルボン酸成分と当量になるように加えて重合する方法。
(3)一方のジアミン成分(a1)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方のテトラカルボン酸成分(b1)が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方のジアミン成分(a2)を添加し、続いて、もう一方のテトラカルボン酸成分(b2)を全ジアミン成分と全テトラカルボン酸成分とがほぼ当量になるように添加して重合する方法。
(4)一方のテトラカルボン酸成分(b1)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方のジアミン成分(a1)が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方のテトラカルボン酸成分(b2)を添加し、続いてもう一方のジアミン成分(a2)を全ジアミン成分と全テトラカルボン酸成分とがほぼ当量になるように添加して重合する方法。
(5)溶媒中で一方のジアミン成分とテトラカルボン酸成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(A)を調整し、別の溶媒中でもう一方のジアミン成分とテトラカルボン酸成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(B)を調整する。こうして得られた各ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。
重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。
ポリアミック酸溶液は、通常、5〜40重量%程度の固形分を含有し、好ましくは10〜30重量%程度の固形分を含有してもよい。また、ポリアミック酸溶液の粘度は、ブルックフィールド粘度計による測定値で通常10〜2000Pa・s程度であってもよく、安定した送液のために、好ましくは100〜1000Pa・s程度であってもよい。また、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
次に、ポリイミドフィルムの製造方法について説明する。ポリイミドフィルムの製膜(製造)は、例えば、ポリアミック酸溶液を環化反応させてゲルフィルムを得る(ポリアミック酸又はポリアミック酸溶液をゲルフィルムに転化する)工程(1)、得られたゲルフィルムを乾燥(及び脱溶媒)処理し、熱処理する工程(2)を経て得ることができる。なお、乾燥及び熱処理により、乾燥及びイミド化が進行する。
工程(1)において、ポリアミック酸溶液を環化反応させる方法は、特に限定されないが、具体的には、(i)ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし、熱的に脱水環化させてゲルフィルムを得る方法(熱閉環法)、又は(ii)ポリアミック酸溶液に触媒(環化触媒)及び脱水剤(転化剤)を混合し化学的に脱環化させてゲルフィルムを作製し、加熱により、ゲルフィルムを得る方法(化学閉環法)等が挙げられ、特に後者の方法(化学閉環法)が好ましい。
化学閉環法(さらには、前記のような特定のジアミン成分及び/又はテトラカルボン酸成分を選択しつつ、化学閉環法を選択すること)によれば、意外にも、本発明のポリイミドフィルムに要求される物性・特性(誘電特性、吸水率、CTEなど)を効率よく得やすいようである。また、量産性の観点からも、化学閉環法は好適である。
なお、上記ポリアミック酸溶液は、ゲル化遅延剤等を含有してもよい。ゲル化遅延剤としては、特に限定されず、アセチルアセトン等を使用することができる。
環化触媒としては、アミン類、例えば、脂肪族第3級アミン(トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなど)、芳香族第3級アミン(ジメチルアニリンなど)、複素環第3級アミン(例えば、イソキノリン、ピリジン、β−ピコリンなど)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、β−ピコリンなどの複素環式第3級アミンが好ましい。
脱水剤としては、酸無水物、例えば、脂肪族カルボン酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸など)、芳香族カルボン酸無水物(例えば、無水安息香酸など)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましく、特に無水酢酸が好ましい。
環化触媒及び脱水剤の使用量は、特に限定されないが、それぞれ、ポリアミック酸(又はポリアミド酸)のアミド基(又はカルボキシル基)1モルに対して、例えば、1モル以上(例えば、1.5〜10モル)程度であってもよい。
ゲルフィルムは、通常、ポリアミック酸溶液(特に環化触媒及び転化剤を混合したポリアミック酸溶液)を、支持体上に流延(塗布)して部分的に乾燥及び硬化(イミド化)させることで得ることができる。
より具体的には、ポリアミック酸溶液を、スリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成型し、支持体からの受熱、熱風又は電気ヒーター等の熱源からの受熱により、加熱して閉環反応させ、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることによりゲルフィルムとした後、支持体から剥離することにより得てもよい。
ここで、ゲルフィルムは剥離するために自己支持性を備える必要があるが、通常、化学閉環法で得られたゲルフィルムと、熱閉環法で得られたゲルフィルムとでは、その態様が大きく異なる。すなわち、化学閉環法では、触媒によりゲル化(転化)できるため、溶媒を多く含む自己支持性のゲルフィルム(柔軟又はウェットなゲルフィルム)が得られる一方、熱閉環法では、ゲル化の(自己支持性を持たせる)ために多大な熱処理が必要となり、結果として比較的硬い(残存溶媒の少ない)ゲルフィルムが得られる。
本発明では、化学閉環法を経たゲルフィルムを用いることで、所望の特性を有するポリイミドフィルムを効率よく形成しやすい。
支持体としては、特に限定されないが、金属(例えばステンレス)製の回転ドラム、エンドレスベルト等が例として挙げられる。支持体の温度は、特に限定されず、例えば、30〜200℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃であってもよい。
なお、支持体の温度は、(i)液体又は気体の熱媒体、(ii)電気ヒーター等の輻射熱等により制御できる。
工程(2)では、ゲルフィルムを乾燥(脱溶媒)後、熱処理する。通常、工程(2)は、ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱炉(テンター加熱炉など)を通過させて、乾燥し、その後、熱処理を行う工程を含んでいてもよい。
具体的には、ゲルフィルム(支持体から剥離されたゲルフィルム)は、特に限定されないが、搬送方向(機械搬送方向、MD方向)及び/又は幅方向(TD方向)、特にMD方向及びTD方向に延伸処理してもよい。本発明では、ゲルフィルムを延伸処理しても、前記のような所望の物性・特性を有するポリイミドフィルムを効率よく得やすい。
以下、具体的な延伸方法(延伸条件)を記載する。
ゲルフィルムは、通常、回転ロールにより走行速度を規制しながら搬送方向に延伸されてもよい。搬送方向への延伸は、所定の温度(例えば、140℃以下の温度)で実施されてもよい。その延伸倍率(MDX)は、通常1.05〜1.9倍であり、好ましくは1.05〜1.6倍であり、さらに好ましくは1.05〜1.5倍(例えば、1.1〜1.4倍)であってもよく、通常1.05倍以上(例えば、1.07倍以上、1.1倍以上、1.15倍以上、1.2倍以上など)であってもよい。
乾燥において、乾燥温度は、例えば、210℃以上(例えば、213〜500℃)、好ましくは215℃以上(例えば、218〜400℃)、さらに好ましくは220℃以上(例えば、220〜300℃)で行ってもよい。
また、乾燥は、フィルム幅方向における乾燥ムラ(バラツキ)を抑えつつ行ってもよい。例えば、フィルム幅方向の乾燥温度ムラは、例えば、25℃未満(例えば、0〜24℃)、好ましくは22℃以下(例えば、1〜21℃)、さらに好ましくは20℃以下(例えば、2〜19℃)、特に18℃以下(例えば、3〜18℃)であってもよい。
なお、乾燥温度ムラは、例えば、フィルム幅方向に沿って所定の間隔(例えば、200mm)で複数点をとり、測定した乾燥温度の最大値と最小値との差(幅)を乾燥温度ムラとして測定できる。
ゲルフィルム(特に、搬送方向に延伸されたゲルフィルム)は、乾燥後、熱処理される。熱処理温度は、特に限定されず、例えば、200℃以上(例えば、250〜600℃)、好ましくは300℃以上、さらに好ましくは350℃以上であってもよい。
ゲルフィルム(例えば、乾燥後のゲルフィルム)は、幅方向に延伸処理されていてもよい。代表的には、乾燥後、さらに、幅方向へ延伸されてもよい。幅方向への延伸は、熱処理と共に行ってもよい。
幅方向への延伸において、延伸倍率(TDX)は、例えば、通常1.05〜1.9倍であり、好ましくは1.05〜1.6倍であり、さらに好ましくは1.05〜1.5倍(例えば、1.1〜1.4倍)であってもよく、通常1.05倍以上(例えば、1.07倍以上、1.1倍以上、1.15倍以上、1.2倍以上など)であってもよい。
このようにしてポリイミドフィルムが得られる。得られたポリイミドフィルムに対しては、さらにアニール処理や、易接着処理(例えば、コロナ処理、プラズマ処理のような電気処理又はブラスト処理)を行ってもよい。
[金属積層体]
本発明のポリイミドフィルム(特に延伸フィルム)は、金属層(金属箔)と積層して金属積層体を形成するために好適に使用できる。
特に、本発明のポリイミドフィルムは、回路基板用、特に、フレキシブルプリント基板(FPC)用のフィルム(特に、絶縁性フィルム、カバーレイフィルム)などとして好適である。
そのため、本発明には、前記ポリイミドフィルムを備えた(用いた)金属積層体を包含する。このような金属積層体は、特に、フレキシブルプリント基板(フレキシブル基板)を構成してもよい。このような金属積層体(又は基板)において、ポリイミドフィルムは、金属層に積層されていればよく、金属積層体における基材フィルムを構成してもよく、カバーレイ(フィルム)を構成してもよく、これらの双方を構成してもよい。
例えば、基材フィルムと、この基材フィルム上に積層(形成)された金属層(配線又はパターンが形成された金属層)と、この金属層上に積層(形成)されたフィルム(金属層を保護するためのフィルム、カバーレイフィルム)とを備えた金属積層体において、基材フィルム及びカバーレイの少なくとも一方を前記ポリイミドフィルムで構成してもよい。
特に、本発明のポリイミドフィルムは、少なくとも基材フィルム(金属層を形成するための基材フィルム)として好適に使用してもよい。
金属層(金属箔)を構成する金属の種類は特に限定はないが、例えば、銅(銅単体、銅合金など)、ステンレス鋼及びその合金、ニッケル(ニッケル単体、ニッケル合金など)、アルミニウム(アルミニウム、アルミニウム合金など)などが挙げられる。
好ましくは銅である。このような金属層とポリイミドフィルムとを積層することで、銅張積層体が得られる。また、これらの金属表面に防錆層や耐熱層(例えば、クロム、亜鉛等のメッキ処理)、シランカップリング剤等を形成したものも利用できる。好ましくは銅及び/又は、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム、コバルト、モリブテン、タングステン、バナジウム、ベリリウム、チタン、スズ、マンガン、アルミニウム、燐、珪素等のうち、少なくとも1種以上の成分と銅を含む銅合金であり、これらは回路加工上好まれて使用される。特に望ましい金属層としては圧延又は電解メッキ法によって形成された銅などが挙げられる。
金属層の厚みは特に限定されないが、例えば、1〜150μm(例えば、3〜50μm)程度であってもよい。
金属積層体は、ポリイミドフィルム及び金属層を備えている限り、その積層の形態は特に限定されず、ポリイミドフィルムの使用目的(基材フィルムであるか、カバーレイであるかなど)などにもよるが、例えば、ポリイミドフィルムと金属層とが直接的に積層されていてもよく、接着層(接着剤層)を介してポリイミドフィルムと金属箔とが積層され(貼り合わせられ)てもよい。
接着層を構成する接着成分は、特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれであってもよい。
金属積層体は、金属層をエッチングして所望のパターン配線を形成すれば、各種の小型化、高密度化された部品を実装したフレキシブル配線板に用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属層を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら
の例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で作製したポリイミドフィルムについて、以下の特性を測定した。
[フィルム厚み]
Mitutoyo製ライトマチック(Series318)厚み計を使用して、フィルム全面から任意に15箇所を選び、この15箇所について厚みを測定し、その平均を算出し、厚みとした。
[CTE(線膨張係数)]
島津製作所製TMA−50熱機械分析装置を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定した。荷重を0.25Nとし、まず35℃から10℃/分で昇温して230℃まで温度を上げた。230℃にて5分間保持し、その後10℃/分で降温して35℃まで温度を下げ、35℃で30分間保持し、しかる後に10℃/分で昇温して230℃まで温度を上げた。2度目の35℃から230℃までの昇温の時のデータを読み、50〜200℃の部分の平均から線膨張係数を算出した。
[引張弾性率および破断伸度の評価]
RTM−250(エー・アンド・デイ製)を使用し、サンプル幅:10mm、チャック間距離:50mm、引張速度:100mm/分の条件で測定した。フィルム厚みは、[フィルム厚み]記載の方法で測定した。
[引裂伝播抵抗]
軽荷重引裂試験機(東洋精機製TYPE:D)を使用して、試料サイズ:63.5mmx50mm、試料厚み:25±3μm(22〜28μm)のフィルムサンプルで引裂強さ(N)を測定し、下記計算式により引裂伝播抵抗を求めた。フィルム厚みは、[フィルム厚み]記載の方法で測定した。
引裂伝播抵抗(N/mm)= 引裂強さ(N)/試料厚み(mm)
[ガラス転移温度]
日立ハイテクサイエンス製動的粘弾性測定装置DMS6000を使用し、測定温度範囲:25〜400℃、昇温速度:2℃/分、周波数:5Hz、窒素雰囲気下で測定した。得られたTanδのピークトップの温度をガラス転移温度とした。フィルム厚みは、[フィルム厚み]記載の方法で測定した。
[吸水率]
蒸留水中に2日間静置し、乾燥時重量に対しての増加重量%で評価した。具体的には6cm径の円形にフィルムを切り取り、200℃1時間熱処理した後の重量(W0)を乾燥時の重量として測定し、蒸留水中に2日間静置し吸水させたフィルムの重量(W1)を測定し、下記計算式により吸水率を求めた。
吸水率(%)=(W1−W0)/W0×100
[誘電特性の評価]
測定サンプルは、23±1℃/50±5%RHに調整された温調室で3日以上調整した。同じ温調室内に設置されたアジレント・テクノロジー株式会社/株式会社関東電子応用開発製の摂動法誘電率測定装置CP521(5.8GHz用)を同軸ケーブルでネットワークアナライザ8722A/C/Dに接続して誘電特性を測定した。フィルム厚みは、[フィルム厚み]記載の方法で測定した。
[実施例1]
DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン24.4g(ジアミン成分(A)全体の75モル%)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン7.4g(ジアミン成分(A)全体の25モル%)、N,N−ジメチルアセトアミド239.1gを入れ窒素雰囲気下、ウォーターバスを用いて40℃で攪拌した。30分撹拌後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物26.9g(テトラカルボン酸成分(B)全体の90モル%)、ピロメリット酸二無水物1.6g(テトラカルボン酸成分(B)全体の7モル%)を、数回に分けて投入した。最後にピロメリット酸二無水物0.7g(テトラカルボン酸成分(B)全体の3モル%)を固形分濃度5%となるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を調製し、上記反応溶液の粘度を測定しながら、この溶液を上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
冷却した上記ポリアミック酸溶液100gにβ−ピコリン18gと無水酢酸20g、N,N−ジメチルアセトアミド10gを添加し、アプリケーターを用いてガラス板状に流延し、自己支持性のゲルフィルムを得た。得られたゲルフィルム(無延伸フィルム)を、クリップ付きの二軸延伸機にセットし、縦方向(搬送方向)に1.1倍、その後横方向(幅方向)に1.1倍の倍率になるように段階的に延伸処理を行い、延伸したゲルフィルムを10cm角針付きの金枠にピンニングし、200℃30分、300℃20分、360℃5分の条件で熱処理を行うことにより、厚さ25μmのポリイミドフィルム(逐次二軸延伸フィルム)を得た。
[実施例2〜8、参考例1]
実施例1において、ジアミン成分(A)やテトラカルボン酸成分(B)の種類・割合を、表1に記載の種類・割合に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを得た。
[参考例2]
DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン24.6g(ジアミン成分(A)全体の85モル%)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン5.6g(ジアミン成分(A)全体の15モル%)、N,N−ジメチルアセトアミド239.1gを入れ窒素雰囲気下、ウォーターバスを用いて40℃で攪拌した。30分撹拌後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物17.8g(テトラカルボン酸成分(B)全体の67モル%)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物12.1g(テトラカルボン酸成分(B)全体の30モル%)を、数回に分けて投入した。最後に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.8g(テトラカルボン酸成分(B)全体の3モル%)を固形分濃度5%となるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を調製し、上記反応溶液の粘度を測定しながら、この溶液を上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
得られたポリアミック酸溶液を用いて、実施例1記載の方法で、延伸フィルムを得た。
[参考例3]
DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン31.7g(ジアミン成分(A)全体の100モル%)、N,N−ジメチルアセトアミド239.1gを入れ窒素雰囲気下、ウォーターバスを用いて40℃で攪拌した。30分撹拌後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物28.3g(テトラカルボン酸成分(B)全体の97モル%)、数回に分けて投入した。最後に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.9g(テトラカルボン酸成分(B)全体の3モル%)を固形分濃度5%となるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を調製し、上記反応溶液の粘度を測定しながら、この溶液を上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
得られたポリアミック酸溶液を用いて、実施例1記載の方法で、延伸フィルムを得た。
なお、実施例2〜8及び参考例1〜3で得られた延伸フィルムの厚みは、実施例1と概ね同じ(25±3μm)であった。
上記で得られたポリイミドフィルムの各種物性・特性を、ポリイミドの組成などとともに下記表に示す。
なお、表において、各種記号の意味は下記の通りである。
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
ODA:4,4’−オキシジアニリン
RODA:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
6FDA:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物
CTE:線膨張係数
本発明では、フレキシブルプリント基板用などに好適に使用できるポリイミドフィルムを提供できる。

Claims (17)

  1. ジアミン成分(A)及びテトラカルボン酸成分(B)を重合成分とするポリイミドで構成されたポリイミドフィルムであって、
    ジアミン成分(A)が、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分をジアミン成分(A)全体に対して70モル%超含み、
    テトラカルボン酸成分(B)が、テトラカルボン酸成分(B)全体に対して70モル%超の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、及びピロメリット酸成分を含む、ポリイミドフィルム。
  2. ジアミン成分(A)が、さらに、屈曲構造を有するジアミン成分を含む他のジアミン成分を含み、ジアミン成分(A)全体に対する2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分の割合が71モル%以上である、請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. テトラカルボン酸成分(B)が、テトラカルボン酸成分(B)全体に対して71モル%以上の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、及びテトラカルボン酸成分(B)全体に対して1モル%以上のピロメリット酸成分を含む、請求項1又は2記載のポリイミドフィルム。
  4. ジアミン成分(A)が、さらに、4,4’−オキシジアニリン成分、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン成分から選択された少なくとも1種を含む他のジアミン成分をジアミン成分(A)全体に対して3モル%以上の割合で含み、
    ジアミン成分(A)が、ジアミン成分(A)全体に対して2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分を73モル%以上含み、
    テトラカルボン酸成分(B)が、テトラカルボン酸成分(B)全体に対して73モル%以上の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、及びテトラカルボン酸成分(B)全体に対して3モル%以上のピロメリット酸成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  5. 延伸フィルムである請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  6. 50〜200℃における線膨張係数が0ppm/℃以上の延伸フィルムである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  7. 破断伸度が20%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  8. 引張弾性率が4.8GPa以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  9. 引裂伝播抵抗が1.5N/mm以上である、請求項1〜8のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  10. 50〜200℃における線膨張係数が0.1〜18ppm/℃、破断伸度が35%以上、引張弾性率が5GPa以上、厚み20〜30μmにおける引裂伝播抵抗が3.5N/mm以上の延伸フィルムである、請求項1〜8のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  11. 比誘電率が3.5以下、誘電正接が0.007以下、吸水率が1.3%以下である、請求項1〜10のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  12. 銅張り積層体の基材フィルム、及び/又はカバーレイに用いる請求項1〜11のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  13. 化学閉環法により自己支持性のゲルフィルムを得、このゲルフィルムを延伸処理する延伸工程を含む、請求項1〜12のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  14. 延伸工程において、搬送方向および幅方向に対して、それぞれ、1.05倍以上の倍率で延伸処理する、請求項13記載の製造方法。
  15. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリイミドフィルムを用いた金属積層体。
  16. ポリイミドフィルムを基材フィルムとする銅張り積層体である請求項15記載の金属積層体。
  17. ポリイミドフィルムが金属層を保護するカバーレイを構成している請求項15又は16記載の金属積層体。
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