JP2020138123A - 中空糸膜モジュールの補修方法、中空糸膜モジュール用補修針及び中空糸膜モジュール用補修針セット - Google Patents

中空糸膜モジュールの補修方法、中空糸膜モジュール用補修針及び中空糸膜モジュール用補修針セット Download PDF

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【課題】濾過水側への原水のリークをより確実に抑制することが可能な中空糸膜モジュールの補修方法を提供する。【解決手段】中空糸膜モジュールの補修方法は、多数の中空糸膜を有する外圧濾過式の中空糸膜モジュールにおいて、多数の前記中空糸膜のうち破断した前記中空糸膜の中空部内に補修針を挿入して前記中空糸膜モジュールを補修する方法である。この方法は、引張弾性率が2000MPaを超える樹脂材料からなり、前記中空糸膜の内径に対する針径の比率が105%以上120%以下である補修針を準備する工程と、破断した前記中空糸膜の開口であって濾過水が流出する前記開口から前記中空部内に前記補修針を挿入し、前記補修針により前記開口を塞ぐ工程と、を有する。【選択図】図6

Description

本発明は、中空糸膜モジュールの補修方法、中空糸膜モジュール用補修針及び中空糸膜モジュール用補修針セットに関する。
従来、純水回収や飲料水製造等の各種浄水処理において、中空糸膜モジュールが用いられている。中空糸膜モジュールは、多数の中空糸膜を束ねたエレメントと当該エレメントを収容するハウジングとを有し、ハウジング内に導入された原水を中空糸膜に透過させて濾過処理するものである。ここで、モジュールの使用中に多数の中空糸膜のうち一部において膜の破断が生じる場合があり、この場合には、濾過水側への原水のリークを防ぐために中空糸膜モジュールの補修が必要になる。このような中空糸膜モジュールの補修技術に関して、例えば特許文献1,2に記載されている。
特許文献1には、複数の中空糸膜からなる中空糸膜束と、当該中空糸膜束の両端部で複数の中空糸膜同士をそれぞれ固定する樹脂部と、当該中空糸膜束を収容するケーシングと、を備えた膜モジュールの補修方法であって、リークが発生した中空糸膜の開口に開口封止部材を挿着する封止工程を有する方法が記載されている。この方法では、ポリエチレンやポリプロピレン等の可撓性を有する樹脂からなる開口封止部材が用いられている。また特許文献2には、円筒形、円錐形又は両者の複合形を有する物体を、損傷中空糸のユニット開口部の密栓に用いることが記載されている。
特許第6290616号公報 特開昭51−32487号公報
本発明者らが鋭意検討を行った結果、特許文献1に記載されるような柔軟な材質からなる開口封止部材を用いた場合には、中空糸膜の開口を十分に封止するのが困難な場合があることが明らかになった。このため、従来では、開口封止部材を挿着した後も濾過水側への原水のリークを阻止するのが困難であり、補修効果が不十分になるという課題がある。また特許文献2に記載された補修技術においても同様の課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、濾過水側への原水のリークをより確実に抑制することが可能な中空糸膜モジュールの補修方法、中空糸膜モジュール用補修針及び中空糸膜モジュール用補修針セットを提供することである。
本発明の一局面に係る中空糸膜モジュールの補修方法は、多数の中空糸膜を有する外圧濾過式の中空糸膜モジュールにおいて、多数の前記中空糸膜のうち破断した前記中空糸膜の中空部内に補修針を挿入して前記中空糸膜モジュールを補修する方法である。この方法は、引張弾性率が2000MPaを超える樹脂材料からなり、前記中空糸膜の内径に対する針径の比率が105%以上120%以下である補修針を準備する工程と、破断した前記中空糸膜の開口であって濾過水が流出する前記開口から前記中空部内に前記補修針を挿入し、前記補修針により前記開口を塞ぐ工程と、を有する。
上記中空糸膜モジュールの補修方法によれば、引張弾性率が2000MPaを超える樹脂材料からなると共に中空糸膜の内径に対する針径の比率(以下、「径比率」とも称する)が105%以上120%以下である補修針を、破断した中空糸膜の開口から中空部内に挿入して当該開口を塞ぐことにより、引張弾性率及び径比率が上記範囲を満たさない補修針を用いた場合に比べて、補修後における濾過水側への原水のリークをより確実に抑制することができる。したがって、中空糸膜モジュールの補修効果をより向上させることができる。
上記中空糸膜モジュールの補修方法において、ポリスルホン又はポリエーテルスルホンからなる前記補修針を前記中空糸膜の前記中空部内に挿入してもよい。ポリスルホン又はポリエーテルスルホンは、引張弾性率が高いことに加えて耐薬品性能にも優れるため、補修針の素材として好ましい。
上記中空糸膜モジュールの補修方法において、前記中空糸膜は、前記中空糸膜の外表面を含む外側膜部分と、前記中空糸膜の内表面を含むと共に前記外側膜部分よりも密度が小さい内側膜部分と、を有し、前記中空部内に挿入された前記補修針により前記内側膜部分を前記外側膜部分に向かって圧縮してもよい。この時、前記内側膜部分を、前記補修針を挿入する前の原水の通過を許容する状態から、原水の通過を阻止する状態まで、前記補修針により圧縮してもよい。これにより、中空糸膜の中空部を通じた原水のリークだけでなく、中空糸膜の内側膜部分を通じた原水のリークを抑制することができる。
本発明の他の局面に係る中空糸膜モジュール用補修針は、多数の中空糸膜を有する外圧濾過式の中空糸膜モジュールにおいて、多数の前記中空糸膜のうち破断した前記中空糸膜の中空部内に挿入して前記中空糸膜モジュールを補修するための補修針であって、引張弾性率が2000MPaを超える樹脂材料からなっている。この補修針によれば、引張弾性率が上記範囲を満たさない補修針に比べて、補修後における濾過水側への原水のリークをより確実に抑制することができる。
上記中空糸膜モジュール用補修針は、ポリスルホン又はポリエーテルスルホンからなっていてもよい。ポリスルホン又はポリエーテルスルホンは、引張弾性率が高いことに加えて耐薬品性能にも優れるため、補修針の素材として好ましい。
本発明のさらに他の局面に係る中空糸膜モジュール用補修針セットは、上記中空糸膜モジュール用補修針を複数有し、複数の前記中空糸膜モジュール用補修針が互いに分離可能に繋がって構成されている。この中空糸膜モジュール用補修針セットによれば、金型を用いた樹脂の射出成形等により、補修針を効率的且つ安価に製造することができる。そして、モジュールの補修時には、個々の補修針を必要な数だけ分離して使用することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、濾過水側への原水のリークをより確実に抑制することが可能な中空糸膜モジュールの補修方法、中空糸膜モジュール用補修針及び中空糸膜モジュール用補修針セットを提供することができる。
本発明の実施形態に係る中空糸膜モジュールの補修方法の実施対象となる中空糸膜モジュールの構成を模式的に示す図である。 上記中空糸膜モジュールにおける中空糸膜の断面を模式的に示す図である。 図2中の領域IIIにおける拡大図である。 本発明の実施形態に係る中空糸膜モジュール用補修針及び中空糸膜モジュール用補修針セットの構成を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係る中空糸膜モジュールの補修方法の手順を示すフローチャートである。 上記中空糸膜モジュールの補修方法において中空糸膜の中空部内に補修針を挿入する様子を模式的に示す図である。 本発明のその他実施形態における中空糸膜モジュールの補修方法を説明するための模式図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る中空糸膜モジュールの補修方法、中空糸膜モジュール用補修針及び中空糸膜モジュール用補修針セットについて詳細に説明する。
(中空糸膜モジュール)
まず、本発明の実施形態に係る中空糸膜モジュールの補修方法の実施対象となる中空糸膜モジュール1の構成について、図1〜図3を参照して説明する。中空糸膜モジュール1は、例えば水道水や飲料水の製造等の各種浄水処理に用いられるものである。図1に示すように、中空糸膜モジュール1は、ハウジング10と、導水管20と、散気盤30と、膜エレメント40と、キャップ50と、を主に有している。
膜エレメント40は、多数(例えば1万本程度)の中空糸膜41と、当該多数の中空糸膜41を束状に固定する樹脂固定部42と、を有している。中空糸膜41は、原水(浄化対象の水)を濾過するための中空円筒状の膜であり、一方向(上下方向)に延びると共に上端41A及び下端41Bを有している。中空糸膜41には、長さ方向の全体に亘って中空部H1(図2)が形成されており、上端41A側の開口がキャップ50内の空間に開放されていると共に下端41B側の開口が樹脂等により封止されている。中空糸膜41の素材は特に限定されないが、例えば、親水化処理されたポリフッ化ビニリデン(PVDF;PolyVinylidene DiFluoride)等が用いられる。
図2は、1本の中空糸膜41を長さ方向に対して垂直に切断した時の断面を示している。図2に示すように、中空糸膜41には、外表面43と当該外表面43と反対側を向く内表面44とが設けられており、且つ当該内表面44により画定される中空部H1が内部に形成されている。
図3は、図2中の領域IIIにおける拡大図である。中空糸膜41は、外表面43を含むと共に径方向に所定の厚さを有する外側膜部分46と、内表面44を含むと共に径方向に所定の厚さを有する内側膜部分47と、を有している。この内側膜部分47は、外側膜部分46よりも密度が小さい部分である。すなわち、図3において模式的に示すように、中空糸膜41の細孔45は、外側膜部分46よりも内側膜部分47において大きくなっている。換言すれば、内側膜部分47は、外側膜部分46に比べて膜の空隙率が大きくなっており、例えば20%以上になっている。内側膜部分47は、膜断面全体における50%以上を占めており、中空糸膜41の長さ方向に沿って原水やエアが通過可能な部分である。一方、外側膜部分46は、中空糸膜41の長さ方向に沿って原水やエアが通過できない部分である。外側膜部分46は、小径の細孔45により原水中の不純物を効果的に分離する緻密層として機能し、一方で内側膜部分47は、外側膜部分46を内側から支持する支持層として機能する。
図1に示すように、ハウジング10は、上下方向に長い形状の容器であり、膜エレメント40を収容する。ハウジング10の上部10Aは開口しており、当該開口から膜エレメント40を挿抜することができる。ハウジング10内の空間は原水が導入される原水空間S1となっており、当該原水空間S1内の原水が中空糸膜41により濾過される。またハウジング10の内表面には、樹脂固定部42の外周面が密着している。ハウジング10には、原水空間S1から原水を排出するための排水口11が下部に設けられ、中空糸膜41の洗浄用エアを導入するためのエア導入口12が下部に設けられ、またエアを抜くためのエア抜き口13が上部に設けられている。
導水管20は、ハウジング10内(原水空間S1)に原水を導入するための部材である。図1に示すように、導水管20は、ハウジング10内において束状の中空糸膜41の内側を上下に延びており、上端が樹脂固定部42に固定されている。導水管20には、通水孔21が周方向及び管軸方向(上下方向)に間隔を空けて多数形成されており、導水管20内の原水が当該通水孔21を通じて原水空間S1に導入される。
散気盤30は、エア導入口12からハウジング10内の下部空間に導入された洗浄用エアを、膜エレメント40の径方向に広がるように分散させる部材である。図1に示すように、散気盤30は、ハウジング10内において中空糸膜41の下端41Bよりも下方に配置されており、その中央部に導水管20が挿通されている。
キャップ50は、ハウジング10の上部開口に被せられており、バンド等の所定の固定具(図示しない)によりハウジング10の上部に固定されている。中空糸膜41の上端41Aは樹脂固定部42を貫通しており、当該上端41A側の開口がキャップ50内の空間に連通している。このキャップ50内の空間は、中空糸膜41の上端41A側の開口から流出した濾過水が流入する濾過水空間S2であり、樹脂固定部42により原水空間S1に対して液密に仕切られている。またキャップ50の上部には、濾過水をモジュールの外に取り出すための濾過水出口51が設けられている。
上記構成の中空糸膜モジュール1により、以下のようにして原水を濾過することができる。まず、原水槽(図示しない)から送水ポンプにより導水管20内に導入された原水が、通水孔21を通じてハウジング10内の原水空間S1に導入される。そして、導入された原水が中空糸膜41の外表面43から内表面44に向かって透過することにより、原水中の不純物が除去される。その後、清浄な濾過水が、中空糸膜41の上端41Aに向かって中空部H1(図2)内を流れ、上端41A側の開口を通じて濾過水空間S2に流入した後、濾過水出口51を通じて中空糸膜モジュール1の外に取り出される。このように、中空糸膜モジュール1は、原水を外表面43から内表面44に向かって透過させる外圧濾過式のものとなっている。
ここで、図1中の符号B1で示すように、中空糸膜モジュール1の使用中に、多数の中空糸膜41のうち一部の中空糸膜41が破断することがある。この場合、原水が当該破断部位B1を通じて中空糸膜41の中空部H1内に流入し、多量の不純物を含んだ状態のまま濾過水空間S2に流入してしまう。したがって、濾過水側への原水のリーク(濾過水と原水との混水)を防止するために、中空糸膜モジュール1の補修が必要になる。以下、このような中空糸膜モジュール1の補修に用いられる中空糸膜モジュール用補修針60(以下、単に「補修針60」とも称する)、当該補修針60を複数有する中空糸膜モジュール用補修針セット70(以下、単に「補修針セット」とも称する)及び当該補修針60を用いて実施される中空糸膜モジュールの補修方法についてそれぞれ説明する。
(中空糸膜モジュール用補修針、中空糸膜モジュール用補修針セット)
まず、本実施形態に係る中空糸膜モジュール用補修針60及び中空糸膜モジュール用補修針セット70の構成について説明する。補修針60は、中空糸膜モジュール1において、多数の中空糸膜41のうち破断した中空糸膜41(図1中の破断部位B1を含む中空糸膜41)の中空部H1内に挿入して中空糸膜モジュール1を補修するためのものである。具体的には、補修針60は、破断部位B1を含む中空糸膜41の上端41A側の開口から中空部H1内に挿入することにより、当該上端開口を塞ぐためのものである。
図4は、補修針60及び補修針セット70の構成を模式的に示している。補修針60は、把持部61と、当該把持部61に連設された針本体部62と、を有している。把持部61は、補修作業を行う作業者が把持するための部位であり、例えば、図4に示すような長方形の平板形状を有している。しかし、把持部61の形状は特に限定されるものではなく、長方形状以外の形状を有していてもよい。
針本体部62は、中空糸膜41の中空部H1内に挿入される部位である。図4に示すように、針本体部62は、把持部61の一辺部(長方形状における一方の短辺部)に接続される基端62Aと、当該基端62Aと反対側の先端62Bと、を含み、基端62Aから先端62Bに向かって略一定の径で延びる形状を有している。そして、先端62Bの近傍の部位のみが、中空糸膜41内へ挿入し易いようにテーパ状に形成されている。
本発明者らは、破断した中空糸膜41の中空部H1内に補修針を挿入して中空糸膜モジュール1を補修する際に、補修後における濾過水側への原水のリークをより確実に抑制するために、補修針の素材やサイズ等について詳細な検討を行った。その結果、本発明者らは、引張弾性率及び中空糸膜41の内径に対する針径の比率が所定の範囲を満たす補修針60を用いることにより、中空糸膜モジュール1の補修効果(原水のリーク抑制効果)が顕著に改善されることを新たに見出した。
本実施形態に係る補修針60は、引張弾性率が2000MPaを超える樹脂材料からなると共に、中空糸膜41の内径に対する針径(針本体部62における径が一定の部分の外径)の比率が105%以上120%以下となっている。このように、引張弾性率及び径比率が適切な範囲に調整された補修針60を、破断した中空糸膜41の上端41A側の開口から中空部H1内に挿入することにより、引張弾性率及び径比率が上記範囲を満たさない補修針を用いる場合に比べて、補修後における原水のリークをより確実に抑制することができる。補修針60は、補修対象の中空糸膜41(内側膜部分47)よりも硬いものである。
すなわち、引張弾性率が2000MPa以下の樹脂材料、例えばポリエチレンやポリプロピレンからなる補修針を用いる場合に比べて、本実施形態に係る補修針60によれば、原水のリーク抑制効果を向上させることができる。補修針60の引張弾性率は、2200MPa以上であることが好ましく、2400MPa以上であることがより好ましい。一方、補修針60の引張弾性率の上限値は特に限定されないが、引張弾性率が高すぎると、補修針60が変形した時に割れ易くなる。このため、当該引張弾性率は、例えば3000MPa以下となっている。
このような引張弾性率の範囲を満たす補修針60の素材としては、例えば、ポリスルホンやポリエーテルスルホン等を用いることができる。
また、径比率が105%未満である場合及び120%を超える場合に比べて、本実施形態に係る補修針60によれば、原水のリーク抑制効果を向上させることができる。径比率が105%未満である場合には、中空糸膜41の開口を十分に封止することが困難である。また径比率が120%を超える場合には、補修針を挿入した際に、中空糸膜41の上端41Aと樹脂固定部42との界面において剥離が発生し、これが原水のリークを引き起こす。このため、補修針60の径比率は、105%以上120%以下となっており、110%以上であることが好ましく、115%以上であることがより好ましい。
また樹脂材料からなる補修針60は、金属製の補修針と異なり酸やアルカリ等に対する耐薬品性能を有しており、また製造コストの面でも金属製の補修針に比べて有利である。さらに、上述した通り、樹脂製の補修針60は、金型を用いた射出成形によって効率的に製造することも可能である。
補修針セット70は、上記補修針60を複数有すると共に、当該複数の補修針60が互いに分離可能に繋がって構成されたものである。具体的には、補修針セット70は、金型を用いた樹脂の射出成形により製造されるものであり、隣接する2つの補修針60(把持部61)が被切り離し部71を介して互いに接続されている。被切り離し部71は、射出成形におけるランナーに相当する部位であり、これを切断することにより、個々の補修針60に分けて使用することができる。
(中空糸膜モジュールの補修方法)
次に、本実施形態に係る中空糸膜モジュールの補修方法について説明する。本補修方法は、上記中空糸膜モジュール1において、多数の中空糸膜41のうち破断した中空糸膜41の中空部H1内に補修針60を挿入して中空糸膜モジュール1を補修する方法であり、図5のフローチャートの通り実施される。
まず、多数の中空糸膜41のうち破断した中空糸膜41を特定する工程が実施される(S10)。この工程S10では、中空糸膜モジュール1内(原水空間S1及び濾過水空間S2)を充水し、中空糸膜41をエアによって外表面43側から加圧する。この時、破断した中空糸膜41では、エアが破断部位B1を通じて中空部H1内に流入するため、上端41A側の開口からのエアの抜けが確認される。したがって、エアの抜けが確認された中空糸膜41を、補修対象の膜として特定する。
次に、補修針60を準備する工程が実施される(S20)。この工程S20では、上記工程S10で特定した補修対象の中空糸膜41の数に応じて、補修針セット70(図4)から補修針60を必要数だけ切り離す。
次に、補修針60を中空糸膜41の中空部H1内に挿入する工程が実施される(S30)。この工程S30では、破損した中空糸膜41の上端41A側の開口(濾過水が流出する開口)から中空部H1内に補修針60を挿入し、補修針60により当該開口を塞ぐ(封止する)。具体的には、キャップ50がハウジング10から取り外された状態で、図6に示すように、補修針60を先端62Bから補修対象の中空糸膜41の中空部H1内に挿入する。この時、例えばハンマー等を用いて補修針60を中空部H1内に打ち込んでもよい。
この工程S30では、図6中の白抜き矢印で示すように、中空部H1内に挿入された補修針60により、中空糸膜41の内側膜部分47(支持層)を外側膜部分46(緻密層)に向かって径方向外向きに圧縮する(押し潰す)。より具体的には、内側膜部分47を、補修針60を挿入する前の原水の通過を許容する状態から、原水の通過を阻止する状態まで、補修針60により圧縮する。このように、補修針60を中空部H1内に圧入することにより、内側膜部分47が補修針60(針本体部62における一定径の部分)の外周面によって押し潰され、内側膜部分47の空隙率が補修針60の挿入前に比べて小さくなる。
図6中の破線矢印W1で示すように、原水空間S1から破断部位B1を通じて中空部H1内に原水が流入しても、補修針60によって上端41A側の開口を塞ぐことにより、当該原水が濾過水空間S2へ流入するのを防ぐことができる。一方、図6中の破線矢印W2で示すように、中空糸膜41の上端41A側の開口を塞いだ場合でも、内側膜部分47内を原水が上端41Aに向かって通過することにより、濾過水空間S2に原水が流入してしまう場合がある。これに対し、上述のように、補修針60により内側膜部分47を圧縮して原水の通過を阻止することにより、内側膜部分47を通水ルートとした濾過水空間S2への原水のリークを防止することができる。
次に、中空糸膜モジュール1の補修効果を確認する工程が実施される(S40)。この工程S40では、上記工程S10と同様にして、中空糸膜モジュール1内を充水し、中空糸膜41をエアによって外表面43側から加圧する。そして、補修された中空糸膜41の上端41Aからエアの抜けがないことを確認する。以上のような手順で、本実施形態に係る中空糸膜モジュールの補修方法が実施される。
(その他実施形態)
ここで、本発明のその他実施形態について説明する。
上記実施形態に係る中空糸膜モジュールの補修方法は、内側膜部分47の密度が外側膜部分46の密度よりも小さい中空糸膜モジュール1を対象として実施されるものであるが、これに限定されない。図7に示すように、内側膜部分47と外側膜部分46の密度が略同じであり、細孔45の大きさが外表面43から内表面44に向かって略一定である中空糸膜モジュールが、補修対象とされてもよい。この場合、内側膜部分47は、中空糸膜41の長さ方向に沿った原水の通過を許容するものではないため、内側膜部分47を圧縮しなくてもよい。なお、図7は、図3に対応する中空糸膜断面の拡大図である。
上記実施形態では、引張弾性率が2000MPaを超える樹脂材料として、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンを例示したがこれらに限定されず、他の樹脂材料が補修針60の素材として採用されてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例により制限されるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
上記中空糸膜モジュール1の補修を以下の手順で行った。中空糸膜41の内径及び外径は、下記の表1及び表2に示す通りとした(内径が0.6mmで且つ外径が1mmのもの(株式会社クラレ製 M02−100)、又は内径が0.75mmで且つ外径が1.25mmのもの(株式会社クラレ製 US02−125)を使用)。また補修針60としては、下記の表1及び表2に示す通り、ポリスルホン(PSF)からなり針径が0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm及び1.0mmのもの、及びポリプロピレン(PP)からなり針径が0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm及び1.0mmのものをそれぞれ準備した。PSFからなる補修針の引張弾性率は2450MPaであり、PPからなる補修針の引張弾性率は1500MPaであった。
そして、下記の表1及び表2のサンプルNo.1〜12に示す通りの補修針と中空糸膜の組み合わせで、図6に示すように、補修針60を破断した中空糸膜41の上端41A側の開口から中空部H1内に挿入した。その後、上記工程S40で説明した通り、中空糸膜41をエアによって外表面43側から加圧し、上端41A側の開口からのエアの抜けを確認した。下記の表1及び表2において、エアの抜けが確認されなかった場合には補修の可否の項目欄に「○」印を記し、エアの抜けが確認された場合には同項目に「×」印を記している。
Figure 2020138123
Figure 2020138123
上記表1及び表2に示す通り、補修針の素材がPPであるサンプルNo.4〜6及び10〜12(引張弾性率が2000MPa以下)、及び中空糸膜の内径に対する補修針の径の比率が105%未満又は120%超えであるサンプルNo.1,3及び9では、補修後の確認において中空糸膜の上端からのエアの抜けが確認された。これに対し、補修針の素材がPSF(引張弾性率が2000MPa超え)で且つ中空糸膜の内径に対する補修針の径の比率が105%以上120%以下の範囲内であるサンプルNo.2,7及び8では、補修後の確認においてエアの抜けが確認されず、良好な補修効果が得られることが分かった。
今回開示された実施形態及び実施例は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 中空糸膜モジュール
41 中空糸膜
43 外表面
44 内表面
46 外側膜部分
47 内側膜部分
60 中空糸膜モジュール用補修針(補修針)
70 中空糸膜モジュール用補修針セット(補修針セット)
H1 中空部

Claims (7)

  1. 多数の中空糸膜を有する外圧濾過式の中空糸膜モジュールにおいて、多数の前記中空糸膜のうち破断した前記中空糸膜の中空部内に補修針を挿入して前記中空糸膜モジュールを補修する方法であって、
    引張弾性率が2000MPaを超える樹脂材料からなり、前記中空糸膜の内径に対する針径の比率が105%以上120%以下である補修針を準備する工程と、
    破断した前記中空糸膜の開口であって濾過水が流出する前記開口から前記中空部内に前記補修針を挿入し、前記補修針により前記開口を塞ぐ工程と、を有する、中空糸膜モジュールの補修方法。
  2. ポリスルホン又はポリエーテルスルホンからなる前記補修針を前記中空糸膜の前記中空部内に挿入する、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
  3. 前記中空糸膜は、前記中空糸膜の外表面を含む外側膜部分と、前記中空糸膜の内表面を含むと共に前記外側膜部分よりも密度が小さい内側膜部分と、を有し、
    前記中空部内に挿入された前記補修針により前記内側膜部分を前記外側膜部分に向かって圧縮する、請求項1又は2に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
  4. 前記内側膜部分を、前記補修針を挿入する前の原水の通過を許容する状態から、原水の通過を阻止する状態まで、前記補修針により圧縮する、請求項3に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
  5. 多数の中空糸膜を有する外圧濾過式の中空糸膜モジュールにおいて、多数の前記中空糸膜のうち破断した前記中空糸膜の中空部内に挿入して前記中空糸膜モジュールを補修するための補修針であって、
    引張弾性率が2000MPaを超える樹脂材料からなる、中空糸膜モジュール用補修針。
  6. ポリスルホン又はポリエーテルスルホンからなる、請求項5に記載の中空糸膜モジュール用補修針。
  7. 請求項5又は6に記載の中空糸膜モジュール用補修針を複数有し、複数の前記中空糸膜モジュール用補修針が互いに分離可能に繋がって構成されている、中空糸膜モジュール用補修針セット。
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