JP2020137157A - 電気自動車用のモータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本明細書は、モータ制御装置において、冷却器で異常が生じたときに、スイッチング素子を過熱から保護しつつ、できるだけ長い時間を走行できるようにする。【解決手段】本明細書が開示するモータ制御装置は、インバータと、インバータのスイッチング素子を冷却する冷却器と、コントローラを備えている。インバータは、電源の電力を走行用のモータの駆動電力に変換する複数のスイッチング素子を備えているとともに、複数のスイッチング素子のいずれかの温度を測定する温度センサを備えている。コントローラは、温度センサの測定値が所定の出力制限開始温度を超えている場合、インバータの出力上限値に対して1より小さい出力制限係数を乗じる。コントローラは、さらに、冷却器の異常が検知された場合、出力上限値を第1上限値P1から第2上限値P2へ下げるとともに出力制限開始温度を第1開始温度T1から第2開始温度T2へ引き上げる。【選択図】図2

Description

本明細書が開示する技術は、電気自動車用のモータ制御装置に関する。本明細書における「電気自動車」には、モータとエンジンの双方を備えるハイブリッド車、モータ用の電源として燃料電池を搭載している自動車を含む。
電気自動車用のモータ制御装置は、電源の電力を走行用のモータの駆動電力に変換するインバータを備えている。インバータは、複数のスイッチング素子によって電力を変換する。スイッチング素子は発熱量が大きいため、モータ制御装置はスイッチング素子を冷却する冷却器も備えている(例えば特許文献1)。
インバータが大電流を出力し続けると冷却器で冷却してもスイッチング素子の温度上昇を抑えられない場合が生じ得る。そのような状況を回避するため、特許文献1のモータ制御装置は、冷却器の水温が所定の水温閾値を超えるとモータの出力上限値を下げる。冷却器で異常が生じると、冷却性能が低下するため、特許文献1の技術では、冷却器の異常が検知されると水温閾値を下げる。なお、特許文献1における水温閾値は、モータの出力上限値の制限(インバータの出力制限)を開始する温度であるので、以下では出力制限開始温度と称する。また、制限対象を以下ではインバータの出力とする。インバータの出力上限値を制限する処理を、説明の便宜上、出力制限制御と称する。
特開2010−68641号公報
冷却器で異常が生じて冷却性能が低下すると、スイッチング素子の温度が上昇し易くなる。そのような場合に出力制限開始温度を下げると、出力制限制御が実行され易くなってしまう。すなわち、冷却器の異常発生後に走行可能な時間(あるいは走行可能な距離)が短くなってしまう。本明細書は、冷却器で異常が生じたときに、スイッチング素子を過熱から保護しつつ、できるだけ長い時間を走行できるようにする技術を開示する。
本明細書が開示するモータ制御装置は、インバータと、インバータのスイッチング素子を冷却する冷却器と、コントローラを備えている。インバータは、電源の電力を走行用のモータの駆動電力に変換する複数のスイッチング素子を備えているとともに、複数のスイッチング素子のいずれかの温度を測定する温度センサを備えている。コントローラは、温度センサの測定値が所定の出力制限開始温度を超えている場合、インバータの出力上限値に対して1より小さい出力制限係数を乗じる。コントローラは、さらに、冷却器の異常が検知された場合、出力上限値を第1上限値から第2上限値へ下げるとともに出力制限開始温度を第1開始温度から第2開始温度へ引き上げる。本明細書が開示するモータ制御装置は、出力制限開始温度が引き上げられるので、出力制限制御が起動され難くなる。冷却器の異常が検知された場合、出力制限開始温度は引き上げられるが、代わりにインバータの出力上限値を下げるので、スイッチング素子を過熱から保護することができる。冷却器の異常が検知された場合、出力制限開始温度は引き上げられるので、走行可能な時間(あるいは距離)が従来よりも長くできる。
コントローラは、温度センサの測定値が出力制限開始温度よりも高いときにその測定値が高くなるにつれて小さくなる出力制限係数の下降勾配を記憶している。そのような場合、本明細書が開示するモータ制御装置では、第1上限値と第1開始温度と冷却器の異常検知前の下降勾配によって定まる関係に基づいて得られる第2上限値に対応する温度よりも第2開始温度を高くしてもよい。本明細書が開示するモータ制御装置では、冷却水温ではなく、スイッチング素子の温度を測定する温度センサを備えている。温度センサの測定値は、出力制限開始温度と比較される。出力制限開始温度は、温度センサの測定値に含まれ得る誤差を考慮して、所定の安全マージンだけ低く設定される。複数のスイッチング素子のいずれかのスイッチング素子の温度の測定値を出力制限制御の開始のトリガに用いる場合、様々な要因に基づいて安全マージンが定められる。詳しくは実施例で述べるが、インバータの出力上限値を下げることで、安全マージンを小さく見積もることができるようになる。それゆえ、冷却器の異常検知時の出力制限開始温度(すなわち上記した第2開始温度)を高めに設定できるようになる。
また、出力制限係数の下降勾配には、温度センサの測定値のオーバーシュートが考慮される。測定値のオーバーシュートとは、スイッチング素子が停止した後も熱容量によって所定時間の間スイッチング素子の温度が上昇し続けることを意味する。オーバーシュートが大きい場合は、出力制限係数の下降勾配を急勾配にする必要がある。逆に、オーバーシュートが小さい場合は、出力制限係数の下降勾配は緩やかでもよい。インバータの出力上限値を下げることで、オーバーシュートが小さくなることが見込まれるため、下降勾配を緩やかにすることができる。下降勾配が緩やかにできるので、出力制限制御が起動され難くなる。その結果、冷却器の異常の検知後に走行可能な時間(あるいは走行可能な距離)が従来よりもさらに長くできる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例のモータ制御装置を含む電気自動車の電力系のブロック図である。 図2(A)は、温度センサの測定値と出力制限係数の関係を示すグラフである。図2(B)は、温度センサの測定値とインバータ出力上限値の関係を示すグラフである。 冷媒温度と温度センサの測定値の時間変化の一例を示すグラフである。
図面を参照して実施例のモータ制御装置2を説明する。モータ制御装置2は、電気自動車に搭載され、バッテリの電力を走行用のモータの駆動電力に変換するデバイスである。図1に、モータ制御装置2を含む電気自動車100の電力系のブロック図を示す。
電気自動車100は、バッテリ3と、走行用のモータ4と、モータ制御装置2を備えている。バッテリ3は、たとえばリチウムイオン電池であり、その出力電圧は100ボルト以上である。電気自動車100は、バッテリ3の代わりに燃料電池を電源として備えてもよい。走行用のモータ4は、三相交流モータである。
モータ制御装置2は、インバータ10、冷却器20、コントローラ30を備えている。インバータ10は、バッテリ3が出力する直流電力をモータ4の駆動電力(三相交流)に変換する。インバータ10は、6個のスイッチング素子6a−6fと、それぞれのスイッチング素子に逆並列に接続されているダイオードと、モータコントローラ32を備えている。6個のスイッチング素子6a−6fは、2個ずつ、正極線14aと負極線14bの間に直列に接続されている。別言すれば、正極線14aと負極線14bの間に2個のスイッチング素子の直列接続の組が3組並列に接続されている。それぞれの直列接続において正極線14aに近い側のスイッチング素子6a、6c、6eは上アームスイッチング素子と呼ばれ、負極線14bに近い側のスイッチング素子6b、6d、6fは、下アームスイッチング素子と呼ばれる。それぞれの直列接続において上アームスイッチング素子6a(6c、6e)と下アームスイッチング素子6b(6d、6f)が交互にオンとオフを繰り返すことで直列接続の中点から交流が出力される。上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子の直列接続の組が3組あり、それぞれの中点から交流が出力され、合計で三相交流が出力される。
スイッチング素子6a−6fは、モータコントローラ32によって制御される。モータコントローラ32は、上位のコントローラである管理コントローラ31からインバータ10の出力目標の指令値を受信する。モータコントローラ32は、出力目標が実現されるように、スイッチング素子6a−6fを駆動する。スイッチング素子6a−6fは、電力変換用のスイッチング素子であり、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。モータコントローラ32は、電流センサ7によってインバータ10の出力を測定し、インバータ10の実際の出力が出力目標に追従するように、スイッチング素子6a−6fをフィードバック制御する。
モータコントローラ32は、インバータ10の出力上限値を記憶しており、管理コントローラ31から出力上限値を超える出力目標を受信した場合、インバータ10の出力が出力上限値に追従するようにスイッチング素子6a−6fを制御する。
管理コントローラ31は、アクセル開度と車速から、モータ4の出力目標、すなわち、インバータ10の出力目標を定める。なお、モータ4の出力目標はトルク(ニュートン)あるいは電力(ワット)の単位で表される。インバータ10の出力電圧は一定であるため、インバータ10の出力目標は電流(アンペア)の単位で表される。単位系は異なるが、モータ4の出力目標とインバータ10の出力目標は実質的に等価である。
スイッチング素子6a−6fは、大電流を扱うため、発熱量が大きい。冷却器20が、スイッチング素子6a−6fを冷却する。冷却器20は、冷媒の流路21、ポンプ22、ラジエータ23、リザーブタンク24、冷却器コントローラ33を備えている。流路21は、インバータ10の中を通っているが、図1では、インバータ10の中の流路21は破線で示してある。冷媒は水あるいは不凍液である。
ポンプ22がリザーブタンク24の中の冷媒を流路21に圧送する。流路21は、スイッチング素子6a−6fの近傍を通過しており、スイッチング素子6a−6fの熱を吸収し、スイッチング素子6a−6fを冷却する。スイッチング素子6a−6fから熱を吸収して温度が上昇した冷媒は、ラジエータ23で冷却され、リザーブタンク24へと戻される。
インバータ10は、6個のスイッチング素子6a−6fを備えているが、そのうち、スイッチング素子6fの近傍に温度センサ5が配置されている。温度センサ5は、スイッチング素子6fの温度を測定する。冷却器コントローラ33は、温度センサ5の測定値に基づいて、ポンプ22を駆動する。具体的には、冷却器コントローラ33は、温度センサ5の測定値が大きいほど、ポンプ22の出力を高める。冷却器コントローラ33は、ポンプ22の状態をモニタしており、ポンプ22で異常が生じると、異常発生を管理コントローラ31へ送る。管理コントローラ31は、冷却器20の異常(ポンプ22の異常)を検知すると、モータコントローラ32に対して、インバータ10の出力上限値を下げるように指令する。このように、管理コントローラ31、モータコントローラ32、冷却器コントローラ33は連携して処理を遂行する。以下では、管理コントローラ31、モータコントローラ32、冷却器コントローラ33を合わせてコントローラ30と総称する。
コントローラ30は、スイッチング素子6a−6fが耐熱温度を超えないように、冷却器20のポンプ22を制御する。冷却器20の冷却能力ではスイッチング素子6a−6fの温度上昇を抑制できない可能性が高い場合、コントローラ30は、インバータ10の出力を所定の値以下に制限する。インバータ10の出力を制限する制御を出力制限制御と称する。以下、出力制限制御について説明する。
コントローラ30は、温度センサ5の測定値(スイッチング素子6fの温度)が所定の温度(出力制限開始温度と称する)以下の場合は、車速とアクセル開度に基づいて決定される出力目標にインバータ10の出力が追従するようにスイッチング素子6a−6fを制御する。温度センサ5の測定値が出力制限開始温度を超えると、コントローラ30は、出力上限値に1より小さい係数(出力制限係数)を乗じる。以下では、出力上限値に出力制限係数を乗じた値を現在出力上限値と称する。コントローラ30は、出力目標が現在出力上限値を超えている場合、出力目標を現在出力上限値に制限する。
出力制限係数は、温度センサ5の測定値が高くなるにつれて小さくなるように設定されている。図2(A)に温度センサ5の測定値(横軸)に対する出力制限係数(縦軸)の関係を示す。通常状態、すなわち、冷却器20に異常が生じていない場合の関係を太実線グラフG1aで示す。通常状態では、測定値が第1開始温度T1を超えると、出力制限係数が1よりも小さくなる。第1開始温度T1より高い範囲では、測定値の増加とともに、出力制限係数はdC1の下降勾配で下がっていく。
コントローラ30は、冷却器20の異常発生が検知されると、インバータ10の出力上限値を下げるとともに、出力制限開始温度を第1開始温度T1からそれよりも高い第2開始温度T2へ引き上げる。図2(A)の太点線グラフG2aが、異常検知後の出力制限係数の変化を示している。第2開始温度T2より温度が高い範囲では、測定値の増加とともに、出力制限係数はdC2の下降勾配で下がっていく。冷却器の異常検知後の出力制限係数の下降勾配dC2は、通常時(異常検知前)の下降勾配dC1よりも緩やかになっている。その理由は後に説明する。
なお、異常が検知されると、コントローラ30は、出力制限開始温度(第1開始温度T1)よりも低い範囲でも出力上限値を下げる。異常検知前は第1開始温度T1以下では出力上限値は第1上限値P1で一定である。冷却器20の異常が検知されると、コントローラ30は、第2開始温度T2よりも低い温度域の出力上限値を第1上限値P1よりも低い第2上限値P2に変更する。第2開始温度T2よりも低い温度域では、出力上限値は第2上限値P2で一定となる。
図2(B)は、温度センサ5の測定値(横軸)に対するインバータ10の現在出力上限値(縦軸)の変化を示すグラフである。先に述べたように、現在出力上限値は、インバータ10の出力上限値に出力制限係数を乗じた値である。太実線グラフG1bは、冷却器20の異常検知前の現在出力上限値の変化を示している。第1開始温度T1以下では、出力制限係数は1であるので、現在出力上限値は第1上限値P1に等しい。第1上限値P1は、もともとの(すなわち、通常時の)インバータ10の出力上限値である。
コントローラ30は、冷却器20の異常が検知されると、インバータ10の出力上限値を第1上限値P1から第2上限値P2へ下げる(P1>P2)。冷却器20の異常検知後、出力制限開始温度が第2開始温度T2に変更されている。それゆえ、図2(B)に示すように、冷却器20の異常検知後は、温度センサ5の測定値が第2開始温度T2を超えるまでは、現在出力上限値は第2上限値P2に等しく、測定値が第2開始温度T2を超えると、現在出力上限値は測定値が高くなるにつれて徐々に下がっていく。
コントローラ30は、冷却器20の異常が検知されると出力制限開始温度を第1開始温度T1から第2開始温度T2へ引き上げるとともに(T1<T2)、インバータ10の出力上限値を第1上限値P1から第2上限値P2へ引き下げる(P1>P2)、そのような閾値変更の効果を説明する。
冷却器20で異常が発生すると、スイッチング素子6a−6fの温度が上昇し易くなる。出力制限係数と現在出力上限値が冷却器の異常検知前(グラフG1a及びグラフG1b)のままであると、出力制限制御が起動され易くなる。その結果、冷却器20の異常が検知された後の走行可能距離(あるいは走行可能時間)が短くなる。一方、出力制限開始温度を第1開始温度T1から第2開始温度T2へ引き上げることによって、出力制限制御が起動され難くなり、冷却器20の異常が検知された後の走行可能距離(あるいは走行可能時間)を引き延ばすことができる。出力制限開始温度を第1開始温度T1から第2開始温度T2へ引き上げるかわりに、インバータ10の出力上限値を第1上限値P1から第2上限値P2へ引き下げることで、スイッチング素子6a−6fの過熱を回避できる。
図3を用いて出力制限開始温度と出力上限値を変更することによる効果を再度説明する。図3は、冷媒温度と温度センサの測定値の時間変化の一例を示すグラフである。図3の横軸が時間軸であり、縦軸は温度を表す。図3の例では、時刻te1に冷却器20で異常が発生し、時刻te2でコントローラ30が冷却器20の異常を検知したと仮定している。
時刻te2以降、冷却器20の異常により、冷媒温度が上昇する。図3において一点鎖線のグラフG3が冷媒温度を示している。冷媒温度(グラフG3)の上昇に伴って、スイッチング素子の温度を計測する温度センサ5の測定値も上昇していく。図3において太実線グラフG1cと太点線グラフG2cが、温度センサ5の測定値を示している。太実線グラフG1cは、出力制限開始温度と出力上限値を変更しない場合の測定値の変化を示している。
冷媒温度(グラフG3)と温度センサ5の測定値(グラフG1c)の差dWは、スイッチング素子6fの発熱量による温度上昇分を表している。
出力制限開始温度と出力上限値を変更しない場合、時刻te3で測定値が第1開始温度T1に達するので出力制限制御が開始され、現在出力上限値が下げられる。時刻te3以降、現在出力上限値は下げられるが、冷却器20の異常により、冷媒温度は上昇し続ける(グラフG3)。
時刻te5に冷媒温度が第1開始温度T1に達すると、スイッチング素子6fがわずかでも発熱すると第1開始温度T1を超えてしまうから、コントローラ30はスイッチング素子6a−6fを停止せざるを得なくなる。すなわち、時刻te5において出力制限係数がゼロとなり、インバータ10は停止する。すなわち、車両が停止してしまう。時刻te3から時刻te5までの期間dt1が、出力制限制御が働いている期間に相当する。
太破線グラフG4は、出力制限開始温度の変更を示している。時刻te2で冷却器20の異常が検知されるので、出力制限開始温度が第1開始温度T1から第2開始温度T2へ引き上げられる。図3の太点線グラフG2cは、出力制限開始温度と出力上限値を変更した場合の測定値の変化を示している。
出力制限開始温度が第1開始温度T1から第2開始温度T2へ引き上げられたので、温度センサ5の測定値が第2開始温度T2となるまでは出力制限制御は起動しない。時刻te4に温度センサ5の測定値が第2開始温度T2に達する。時刻te4以降、出力制限制御が動作し、スイッチング素子6fの温度、すなわち、温度センサ5の測定値は第2開始温度T2より大きくはならない。一方、冷却器20の異常により、冷媒温度は上昇し続ける(グラフG3)。時刻te6に冷媒温度が第2開始温度T2に達すると、スイッチング素子6a−6fがわずかでも発熱すると第2開始温度T2を超えてしまうから、コントローラ30はスイッチング素子6a−6fを停止する。すなわち、時刻te6において出力制限係数がゼロとなり、インバータ10は停止する。すなわち、車両が停止してしまう。時刻te4から時刻te6までの期間dt2が、出力制限開始温度と出力上限値を変更した場合において出力制限制御が働いている期間に相当する。
図3から理解される通り、出力制限開始温度と出力上限値を変更した場合、変更しない場合と比較して車両が走行可能な時間が延びる。すなわち、出力制限開始温度と出力上限値を上記のように変更することで、冷却器20の異常検知後の走行可能時間(あるいは走行可能距離)を延ばすことができる。
図2に戻り、出力制限開始温度と出力上限値を変更することの技術的な意味を説明する。図2において、記号Tcは、スイッチング素子の耐熱温度Tcを示している。耐熱温度Tcと第1開始温度T1との差(温度差Ma)は、出力制限開始温度を決定する際の安全マージンを意味する。安全マージンMaには、3種類のマージン(第1マージンM1、第2マージンM2、第3マージンM3)が含まれる。
第1マージンM1は、インバータ10が複数のスイッチング素子6a−6fを有しているにも関わらず、1個のスイッチング素子6fの温度の測定値をそれら複数のスイッチング素子6a−6fの温度として用いていることに起因するマージンである。別言すれば、第1マージンM1は、複数のスイッチング素子6a−6fの温度ばらつきに起因するマージンである。例えば、温度計測対象であるスイッチング素子6fよりも温度計測非対象のスイッチング素子6aの熱抵抗が大きい場合、温度センサ5の測定値が耐熱温度Tcを下回っていても、スイッチング素子6aの実際の温度は耐熱温度Tcに達している危険性がある。第1マージンM1は、そのような危険性を排除するためのマージンである。第1マージンは、スイッチング素子6a−6fの設計上の最大発熱量相当の温度上昇分(最大温度上昇分dTtyp)に対して1より小さい所定の係数(第1係数C1)を乗じて得られる。最大温度上昇分dTtypは、スイッチング素子6a−6fに最大電流を流したときの設計上の発熱量に相当する。第1係数C1は、例えば0.2である。
第2マージンM2は、インバータ10の三相間での発熱量のばらつきを吸収するためのマージンである。第2マージンM2も、スイッチング素子6a−6fの最大温度上昇分dTtypに1より小さい別の所定の係数(第2係数C2)を乗じて得られる。第2係数C2は、例えば、0.2である。
第3マージンM3は、温度センサ5自体の量産ばらつきを吸収するためのマージンである。第3マージンM3は、量産される温度センサ5そのものばらつきであるため、一定値である。図2の右上に、安全マージンMの算出式を記してある。
図2(A)に示しているように、インバータ10の出力上限値が第1上限値P1のときの安全マージンMaより、出力上限値が第2上限値P2(<P1)のときの安全マージンMbが小さい。これは次の理由による。出力上限値が第1上限値P1のときの最大温度上昇分dTtyp1より、第2上限値P2のときの最大温度上昇分dTtyp2は小さくなる。なぜならば、出力上限値が第1上限値P1のときにスイッチング素子6a−6fに流れ得る最大電流よりも、第2上限値P2のときにスイッチング素子6a−6fに流れ得る最大電流が小さいからである。第1マージンM1と第2マージンM2で説明したように、最大温度上昇分dTtypが小さいほど、第1マージンM1と第2マージンM2が小さくなる。それゆえ、インバータ10の出力上限値を下げることで、安全マージンを小さくできる(Ma>Mb)。インバータ10の出力上限値を下げることで、安全マージンMを小さくできるので、スイッチング素子6a−6fが耐熱温度Tcに達する可能性を排除しつつ、出力制限開始温度を高めることができるようになる。すなわち、第2開始温度T2を第1開始温度T1よりも高く設定することができるようになる。
例えば、インバータ10の出力上限値が第1上限値P1のときの最大温度上昇分dTtyp1が50度であり、第1係数C1が0.2、第2係数が0.2、第3マージンM3が20度の場合、第1上限値P1のときの安全マージンMaは、Ma=50×0.2+50×0.2+20=40度となる。一方、出力上限値が第2上限値P2のときの最大温度上昇分dTtyp2が25度の場合、第2上限値P2のときの安全マージンMbは、Mb=25×0.2+25×0.2+20=30度となる。すなわち、Ma(=40度)>Mb(=30度)となる。スイッチング素子の耐熱温度Tcが150度の場合、第1開始温度T1は、T1=Tc−Ma=150−40=110度となり、第2開始温度T2は、T2=Tc−Mb=150−30=120度となる(第2開始温度T2>第1開始温度T1となる)。
さらにまた、スイッチング素子6a−6fが耐熱温度Tcに達する可能性を排除しつつ、安全マージンを小さくすることができるので、図2(B)に示すように、第2開始温度T2は、温度T3よりも高くなる。ここで、温度T3は、第1上限値P1と第1開始温度T1と冷却器20の異常検知前の出力制限係数の下降勾配dC1(図2(A)参照)によって定まる関係(図2(B)のグラフG1b)に基づいて得られる第2上限値P2に対応する温度である。第2開始温度T2が温度T3よりも高くなることで、冷却器20の異常が検知された後の走行可能時間(あるいは走行可能距離)が延びる。
例えば、冷却器20の異常が検知されても出力上限値と出力制限係数を変更しない場合(図2(B)の太実線グラフG1bの場合)において、インバータ10が出力P2を維持した場合を想定する。その場合、温度センサ5の測定値が温度T3に達すると出力制限制御が起動しインバータ10の出力は太実線グラフG1bに沿って低下する。
一方、冷却器20の異常検知後に出力上限値と出力制限係数を変更した場合(図2(B)の太点線グラフG2bの場合)において、インバータ10が出力P2を維持すると、温度センサ5の測定値が第2開始温度T2(>温度T3)に達するまで出力制限制御が起動しない。すなわち、出力上限値と出力制限係数を変更することによって第2開始温度T2が温度T3よりも高くなることで、冷却器20の異常が検知された後の走行可能時間(あるいは走行可能距離)が延びる。
さらにまた、冷却器20の異常検知後の出力制限係数の下降勾配dC2は、検知前の下降勾配dC1よりも緩やかである。一方、冷却器20の異常検知後に出力上限値と出力制限係数を変更した場合(図2(B)の太点線グラフG2bの場合)において、インバータ10が出力P2を維持すると、インバータ10の出力は太点線グラフG2bに沿って下降する。下降勾配dC2が緩やかなことも、冷却器20の異常が検知された後の走行可能時間(あるいは走行可能距離)が延びることに貢献する。
冷却器20の異常検知後の出力制限係数の下降勾配dC2は、検知前の下降勾配dC1よりも緩やかにできる理由は以下の通りである。下降勾配dC2は、温度センサ5の測定値のオーバーシュートに基づいて定められる。測定値のオーバーシュートとは、スイッチング素子が停止した後も惰性でスイッチング素子の温度が上昇し続ける傾向を意味する。オーバーシュートが大きい場合は、出力制限係数の下降勾配を急勾配にする必要がある。逆に、オーバーシュートが小さい場合は、出力制限係数の下降勾配は緩やかでもよい。インバータの出力上限値を下げることで、オーバーシュートが小さくなることが見込まれるため、下降勾配を緩やかにすることができる。下降勾配が緩やかにできるので、出力制限制御が起動され難くなる。その結果、冷却器の異常の検知後の走行可能時間(あるいは走行可能距離)を従来よりも長くできる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:モータ制御装置
3:バッテリ
4:モータ
5:温度センサ
6a−6f:スイッチング素子
10:インバータ
20:冷却器
21:流路
22:ポンプ
23:ラジエータ
24:リザーブタンク
31:管理コントローラ(コントローラ30)
32:モータコントローラ(コントローラ30)
33:冷却器コントローラ(コントローラ30)
100:電気自動車

Claims (3)

  1. 電源の電力を走行用のモータの駆動電力に変換する複数のスイッチング素子を備えているとともに、前記複数のスイッチング素子のいずれかの温度を測定する温度センサを備えているインバータと、
    前記インバータの前記スイッチング素子を冷却する冷却器と、
    コントローラと、
    を備えており、
    前記コントローラは、
    前記温度センサの測定値が所定の出力制限開始温度を超えている場合、前記インバータの出力上限値に対して1より小さい出力制限係数を乗じ、
    前記冷却器の異常が検知された場合、前記出力上限値を第1上限値から第2上限値へ下げるとともに前記出力制限開始温度を第1開始温度から第2開始温度へ引き上げる、電気自動車用のモータ制御装置。
  2. 前記コントローラは、前記測定値が前記出力制限開始温度よりも高いときに前記測定値が高くなるにつれて小さくなる前記出力制限係数の下降勾配を記憶しており、
    前記第1上限値と前記第1開始温度と前記冷却器の異常検知前の前記下降勾配の関係に基づいて得られる前記第2上限値に対応する温度よりも前記第2開始温度が高い、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記冷却器の異常検知後の前記下降勾配が前記冷却器の異常検知前の前記下降勾配よりも緩やかである、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
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