JP2020120564A - 電力変換器の製造方法 - Google Patents

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Fumikazu Niwa
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【課題】複数のスイッチング素子を備えるとともにスイッチング素子の数よりも少ない数の温度センサを備え、スイッチング素子の耐熱上限温度と熱保護制御を開始する温度閾値との間の安全マージンを小さくすることができる電力変換器の製造方法を提供する。【解決手段】電気自動車100の電力変換器10の製造方法は、分別工程と、配置工程を含んでいる。分別工程では、複数のスイッチング素子のそれぞれの損失を特定し、損失が所定の閾値を超えているスイッチング素子を他のスイッチング素子から分別する。配置工程では、分別工程にて分別されたスイッチング素子が温度センサの計測対象スイッチング素子となるように複数のスイッチング素子を電力変換器に配置する。さらに、計測対象スイッチング素子は、残りのスイッチング素子が配置されている場所の周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所に配置される。【選択図】図1

Description

本明細書が開示する技術は、複数のスイッチング素子を備える電力変換器の製造方法に関する。
電力変換器は、複数のスイッチング素子を備えていることが多い。例えば、直流電力を交流電力に変換するインバータは、少なくとも6個のスイッチング素子を備えている。電力変換用のスイッチング素子には大電流が流れるので発熱量が大きい。電力変換器では、スイッチング素子の温度管理が必要であり、そのために電力変換器は、スイッチング素子の温度を計測する温度センサを備えている。複数のスイッチング素子を備える場合、総てのスイッチング素子のそれぞれに温度センサを割り当てることが望ましいが、それではコストが嵩んでしまう。例えば特許文献1に開示されているインバータは、6個のスイッチング素子の温度管理を1個の温度センサで行う。1個の温度センサは、6個のスイッチング素子のいずれかの近傍に配置され、そのスイッチング素子の温度を計測する。特許文献1のインバータでは、1個の温度センサの計測値から、複数のスイッチング素子の中の最も温度の高いスイッチング素子の温度を推定する。推定された温度が温度閾値を超えないように、熱保護制御を実行する。熱保護制御の典型は、インバータの出力電力の上限値を下げることである。インバータに限らず、複数のスイッチング素子を備えている電圧コンバータでも熱保護制御は必要である。
特開2013−162732号公報
スイッチング素子の温度管理を行う場合、熱保護制御開始の指標となる温度閾値は、スイッチング素子の耐熱上限温度よりも低い値に設定される。別言すれば、耐熱上限温度と温度閾値の間には所定の安全マージンが確保される。複数のスイッチング素子の温度管理を1個の温度センサ(あるいは、スイッチング素子の数よりも少ない数の温度センサ)の計測値に基づいて行う場合、安全マージンには、複数のスイッチング素子の温度の中の最高温度と計測温度との間に生じ得る温度差が含まれる。なお、安全マージンには、温度計測回路の誤差、温度センサそのものの誤差なども考慮される。安全マージンは小さい方が望ましい。安全マージンが小さいということは、温度閾値を高く設定できることを意味し、熱保護制御を実施せずにスイッチング素子を使うことのできる動作温度範囲が拡がるからである。一方、安全マージンが小さすぎると計測温度が温度閾値を超えていないにも関わらずに複数のスイッチング素子のいずれかで熱負荷が過大となる事態が生じ得る。本明細書は、複数のスイッチング素子を備えるとともにスイッチング素子の数よりも少ない数の温度センサを備える電力変換器の製造方法に関し、上記した安全マージンを小さく設定することのできる技術を提供する。
本明細書が開示する製造方法は、分別工程と、配置工程を含んでいる。分別工程では、複数のスイッチング素子のそれぞれの損失を特定し、損失が所定の閾値を超えているスイッチング素子を他のスイッチング素子から分別する。配置工程では、分別工程にて分別されたスイッチング素子が温度センサの計測対象スイッチング素子となるように複数のスイッチング素子を電力変換器に配置する。さらに、計測対象スイッチング素子は、残りのスイッチング素子が配置されている場所の周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所に配置される。
スイッチング素子の損失が大きいということは、発熱量が大きいことを意味する。上記の製造方法によれば、他のスイッチング素子と比較して温度が上昇し易いスイッチング素子が温度センサの計測対象となる。さらに、周囲の熱抵抗が大きい場所に配置されることによっても、計測対象スイッチング素子の温度が他のスイッチング素子の温度よりも高くなりやすくなる。本明細書が開示する製造方法によれば、製造された電力変換器は次の特徴を有する。(1)温度の計測対象のスイッチング素子の発熱量が他のスイッチング素子の発熱量よりも大きい。(2)計測対象のスイッチング素子の設置場所の熱抵抗が他のスイッチング素子の設置場所の熱抵抗よりも大きい。上記2点の特徴により、電力変換器が作動している間、温度計測対象のスイッチング素子の温度が他のスイッチング素子の温度よりも高くなる。それゆえ、安全マージンを設定する際、複数のスイッチング素子の温度の中の最高温度と計測温度との間に生じ得る温度差を考慮する必要がなくなる。その結果、上記した安全マージンを小さく設定することができる。
なお、特定のスイッチング素子を温度センサの計測対象スイッチング素子にするということは、次の(1)と(2)のいずれの場合であってもよい。(1)特定のスイッチング素子が温度センサの最も近くに位置するように複数のスイッチング素子を配置する。(2)総てのスイッチング素子が温度センサを備えているが特定のスイッチング素子の温度センサだけを実際に使う。
本明細書は、上記した製造方法と技術的思想が同じ別の製造方法も提供する。別の製造方法は、スイッチング素子のゲート抵抗に着目する。別の製造方法は、準備工程と、配置工程を含んでいる。準備工程では、第1スイッチング素子と、ゲート抵抗が第1スイッチング素子のゲート抵抗よりも高い第2スイッチング素子を準備する。配置工程では、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子を電力変換器に配置する。配置工程では、第1スイッチング素子の周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所に第2スイッチング素子を配置するとともに、第2スイッチング素子の隣に温度センサを配置する。ゲート抵抗が大きいということは、損失が大きいことを意味する。従ってゲート抵抗が大きい第2スイッチング素子は第1スイッチング素子よりも発熱量が大きい。発熱量が大きいスイッチング素子(第2スイッチング素子)を熱抵抗の大きい箇所に配置するとともにその第2スイッチング素子の隣に温度センサを配置する。すなわち、ゲート抵抗の大きい第2スイッチング素子を計測対象スイッチング素子とする。この製造方法によっても、上記した安全マージンを小さくすることができる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の製造方法で製造される電力変換器を含む電気自動車の電力系のブロック図である。 複数のスイッチング素子の損失分布を示すグラフである。 温度閾値を設定する際の安全マージンを説明する図である。
実施例の製造方法を説明する前に、実施例の製造方法で製造される電力変換器10について説明する。電力変換器10は、電気自動車100に搭載される。電力変換器10は、メインバッテリ8の電力を、走行用のモータ9の駆動電力に変換するデバイスである。
電力変換器10は、メインバッテリ8の電力を昇圧するとともに、昇圧後の直流電力をモータ9の駆動電力(三相交流)に変換する。電力変換器10は、複数のスイッチング素子6a−6hを備えている。スイッチング素子6a−6hは電力変換用のパワーデバイスであり、発熱量が大きい。電気自動車100は冷却器20を備えており、冷却器20が、スイッチング素子6a−6hとともにモータ9を冷却する。
電力変換器10は、電圧コンバータ回路12、インバータ回路13、平滑コンデンサ5、モータ制御器15を備えている。電圧コンバータ回路12は、メインバッテリ8の電圧を昇圧してインバータ回路13に出力する昇圧機能と、モータ9が発電し、インバータ回路13が交流から直流に変換した回生電力を降圧してメインバッテリ8に出力する降圧機能を備えている。すなわち、電圧コンバータ回路12は、双方向DC−DCコンバータである。
電圧コンバータ回路12は、フィルタコンデンサ3、リアクトル4、2個のスイッチング素子6a、6b、2個の還流ダイオードを備えている。フィルタコンデンサ3は、電圧コンバータ回路12の低圧側(バッテリ側)の正極と負極の間に接続されている。2個のスイッチング素子6a、6bは、正極線14aと負極線14bの間に直列に接続されている。正極線14aと負極線14bは、昇圧後のメインバッテリ8の電力が流れる電力線であり、電圧コンバータ回路12とインバータ回路13に共通である。
2個のスイッチング素子6a、6bのそれぞれに還流ダイオードが逆並列に接続されている。リアクトル4は、2個のスイッチング素子6a、6bの直列接続の中点と、低圧側の正極との間に接続されている。
2個のスイッチング素子6a、6bは、モータ制御器15によって駆動される。モータ制御器15は、不図示の上位制御器から与えられる目標電圧比が実現されるように、スイッチング素子6a、6bを駆動する。スイッチング素子6a、6bは、目標電圧比によって定められるデューティ比のPWM信号で駆動される。モータ制御器15は、スイッチング素子6a、6bに対して相補的なPWM信号を供給する。相補的なPWM信号によって、スイッチング素子6a、6bは交互にオンオフする。2個のスイッチング素子6a、6bに相補的なPWM信号を与えることで、電圧コンバータ回路12では、低圧側(メインバッテリ8の側)の電圧と、高圧側(インバータ回路13の側)の電圧のバランスによって昇圧と降圧が受動的に切り替わる。すなわち、モータ9の回転数よりも高い周波数の交流がインバータ回路13から出力されるようにインバータ回路13が制御されると、モータ9がトルクを発生するようにメインバッテリ8からインバータ回路13へ電力が流れる。モータ9の回転数よりも低い周波数の交流がインバータ回路13から出力されるようにインバータ回路13が制御されると、モータ9が出力軸の側から逆駆動されて発電する。発電で得られた交流電力はインバータ回路13へ流れ込み、直流電力に変換される。このとき電圧コンバータ回路12では電力が高圧側(インバータ回路13の側)から低圧側(メインバッテリ8の側)へ流れ、回生電力でメインバッテリ8が充電される。電圧コンバータ回路12の動作は良く知られているので詳しい説明は省略する。
インバータ回路13は、6個のスイッチング素子6c−6hと、6個の還流ダイオードを備えている。2個のスイッチング素子6c、6dは、正極線14aと負極線14bの間で直列に接続されている。2個のスイッチング素子6c、6dが交互にオンオフすることで、それらの直列接続の中点から交流が出力される。2個のスイッチング素子6e、6fも、正極線14aと負極線14bの間で直列に接続されており、2個のスイッチング素子6g、6hも、正極線14aと負極線14bの間で直列に接続されている。スイッチング素子6e、6f(6g、6h)が交互にオンオフすることで、それらの直列接続の中点から交流が出力される。スイッチング素子6c−6hのそれぞれに、還流ダイオードが逆並列に接続されている。インバータ回路13のスイッチング素子6c−6hも、モータ制御器15によって駆動される。モータ制御器15は、不図示の上位制御器から与えられる目標周波数の三相交流が出力されるように、6個のスイッチング素子6c−6hを制御する。インバータ回路13の動作も良く知られているので詳しい説明は省略する。
正極線14aと負極線14bの間に平滑コンデンサ5が接続されている。平滑コンデンサ5は、スイッチング素子6a−6hのスイッチング動作に伴うノイズを吸収するために備えられている。
スイッチング素子6a−6hには大電流が流れる。それゆえ、スイッチング素子6a−6hは発熱量が大きい。スイッチング素子6a−6hは、耐熱上限温度を超えると大きなダメージを受ける。それゆえ、モータ制御器15は、スイッチング素子6a−6hが耐熱上限温度を超えないように、スイッチング素子6a−6hの温度を管理する。スイッチング素子6a−6hの温度を管理するためには、スイッチング素子6a−6hの温度を検知する必要がある。ただし、電力変換器10では、コスト低減のため、電圧コンバータ回路12については、スイッチング素子6a、6bの夫々に温度センサ17a、17bを備え、インバータ回路13については、スイッチング素子6hのみに温度センサ16が備えられている。電力変換器10は、温度センサ17a、17bの計測値に基づいて、電圧コンバータ回路12のスイッチング素子6a、6bの温度を管理する。また、電力変換器10は、温度センサ16の計測値に基づいて、インバータ回路13のスイッチング素子6c−6hの温度を管理する。以下では、スイッチング素子6c−6hの温度管理について説明する。スイッチング素子6a、6bの温度管理については説明を割愛する。
電気自動車100は冷却器20を備えている。冷却器20は、電力変換器10を冷却するとともに、モータ9を冷却する。次に、冷却器20について説明する。
冷却器20は、冷媒流路21、ポンプ23、ラジエータ24、リザーブタンク26、温度センサ27を備えている。冷媒流路21は、電力変換器10とモータ9を通っている。なお、図1では、図を見易くするために、冷媒流路21のうち、電力変換器10の中を通る部分は破線で描いてある。冷媒流路21に沿って描かれている矢印線が冷媒の流れの方向を示している。冷媒流路21を流れる冷媒は水、あるいは、不凍液である。冷媒は、ポンプ23によって冷媒流路21を循環する。
冷媒流路21のリザーブタンク26よりも下流にポンプ23が接続されている。冷媒流路21は、ポンプ23から下流側に向けて、電力変換器10、モータ9、ラジエータ24を通り、リザーブタンク26へと戻る。
冷媒流路21は、電力変換器10の中において、スイッチング素子6c、6d、6f、6e、6g、6hの順に、スイッチング素子の近傍を通っている(ここでは、スイッチング素子6a、6bは無視する)。冷媒は、スイッチング素子の近傍を通る間に近傍のスイッチング素子から熱を吸収する。スイッチング素子6hが、インバータ回路13の複数のスイッチング素子6c−6hの中で最も冷媒流の下流に位置する。従って、複数のスイッチング素子6c−6hの中では、スイッチング素子6hの近傍を通るときが冷媒の温度が最も高い。複数のスイッチング素子6c−6hの中でスイッチング素子6hが最も冷却され難い。別言すれば、複数のスイッチング素子6c−6hの中では、スイッチング素子6hの周囲の熱抵抗(冷媒温度を含む熱抵抗)が、他のスイッチング素子の周囲の熱抵抗よりも高い。
冷媒流路21は、電力変換器10の下流側でモータ9を通る。電力変換器10とモータ9で熱を吸収した冷媒は、ラジエータ24により熱を大気へ放出する。その結果、冷媒の温度が下がり、再び電力変換器10とモータ9の熱を吸収することができるようになる。
冷媒流路21には温度センサ27が備えられている。温度センサ27は、ポンプ23の下流側に備えられている。温度センサ27は、電力変換器10へ入る前の冷媒の温度を計測する。モータ制御器15は、温度センサ16、27の計測値に基づいて冷却器20(ポンプ23)を制御し、スイッチング素子6c−6hとモータ9の過熱を防ぐ。
モータ制御器15は、複数のスイッチング素子6c−6hの総ての温度が耐熱上限温度を超えないように冷却器20を制御する。モータ制御器15は、冷却器20の冷却性能ではスイッチング素子6c−6hの温度を耐熱上限温度以下に抑えることができない場合には、モータ9(インバータ回路13)の出力上限を下げ、スイッチング素子6c−6hの発熱量を抑える。モータ9(インバータ回路13)の出力上限を下げてスイッチング素子6c−6hの発熱量を抑える制御を熱保護制御と称する。
インバータ回路13の複数のスイッチング素子6c−6hのうち、温度を計測するのはスイッチング素子6hのみである。モータ制御器15は、スイッチング素子6hの温度に基づいて、総てのスイッチング素子6c−6hが耐熱上限温度を超えないように冷却器20を制御するとともに、状況に応じて熱保護制御を実行する。
先に述べたように、複数のスイッチング素子6c−6hの中では、温度計測対象のスイッチング素子6hの周囲の熱抵抗(冷媒温度を含む熱抵抗)が、他のスイッチング素子の周囲の熱抵抗よりも高い。それゆえ、他のスイッチング素子と比較して、電力変換器10の動作中はスイッチング素子6hの温度が上昇し易い。さらに、スイッチング素子6hには、他のスイッチング素子と比較して損失が大きい素子が選定されている。この点でも、電力変換器10の動作中にスイッチング素子6hの温度が他のスイッチング素子の温度よりも高くなり易い。すなわち、温度センサ16で計測される温度は、複数のスイッチング素子6c−6hの温度の中で最も高くなる蓋然性が高い。それゆえ、スイッチング素子6hの温度に基づいて冷却器20を制御することで、インバータ回路13の総てのスイッチング素子6c−6hに対して耐熱上限温度を超えないようすることができる。
(第1実施例)電力変換器10の製造方法について説明する。特に、インバータ回路13の複数のスイッチング素子6c−6hの温度を1個のスイッチング素子6hの計測温度に基づいて管理するのに好適な製造方法について説明する。第1実施例の製造方法は、分別工程と、配置工程を含んでいる。
(分別工程)電力変換器10の製造に用いられる複数のスイッチング素子の損失を評価し、損失が所定の閾値(損失閾値)を超えているスイッチング素子を分別する。なお、ここで、複数のスイッチング素子とは、量産される複数の電力変換器10の総数に対するスイッチング素子の個数を意味する。スイッチング素子の損失は発熱量と正の相関を有する。それゆえ、損失評価は、スイッチング素子に通電したときの発熱量で評価する。発熱量の大きいスイッチング素子が損失の大きいスイッチング素子である。複数のスイッチング素子の損失(発熱量)を評価すると、例えば図2のように、複数のスイッチング素子の分布は、ほぼ正規分布をなす。
次に、損失を評価したスイッチング素子のなかから、損失(発熱量)が所定の損失閾値(閾値発熱量)を超えるスイッチング素子を分別する。図2の例の場合、斜線ハッチングを施した範囲Aに属するスイッチング素子が、損失が損失閾値を超えたスイッチング素子として分別される。
(配置工程)分別工程にて分別されたスイッチング素子が温度センサの計測対象スイッチング素子となるように複数のスイッチング素子を電力変換器10に配置する。分別工程にて分別されなかったスイッチング素子が温度計測対象外のスイッチング素子として配置される。また、計測対象スイッチング素子は、残りのスイッチング素子の周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所に配置される。すなわち、分別工程にて分別されたスイッチング素子が、図1で説明した電力変換器10のスイッチング素子6hに割り当てられる。別言すれば、配置工程では、分別工程にて分別されたスイッチング素子(損失の大きいスイッチング素子)を、他のスイッチング素子(損失の小さいスイッチング素子)の周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所に配置するとともに、その分別されたスイッチング素子の隣に温度センサを配置する。
上記した分別工程と配置工程を経て製造された電力変換器は、次の2点の特徴を有することになる。(1)温度の計測対象のスイッチング素子(スイッチング素子6h)の発熱量が他のスイッチング素子の発熱量よりも大きい。(2)計測対象のスイッチング素子の設置場所の熱抵抗が他のスイッチング素子の設置場所の熱抵抗よりも大きい。具体的には、温度計測対象のスイッチング素子6hは、インバータ回路13の複数のスイッチング素子6c−6hの中で、冷媒流の最も下流側に配置されている。上記2点の特徴により、電力変換器が作動している間、温度計測対象のスイッチング素子6hの温度が他のスイッチング素子6c−6gの温度よりも高くなる。それゆえ、安全マージンを設定する際、複数のスイッチング素子の温度の中の最高温度と計測温度との間に生じ得る温度差を考慮する必要がなくなる。その結果、上記した安全マージンを小さく設定することができる。
(第2実施例)次に、第2実施例の製造方法について説明する。第2実施例の製造方法は、準備工程と配置工程を含んでいる。準備工程では、第1スイッチング素子と、ゲート抵抗が第1スイッチング素子のそれよりも大きい第2スイッチング素子を準備する。第1スイッチング素子と第2スイッチング素子は、ゲート抵抗が異なるだけで、その他の電気特性は同じである。先の分別工程において、ゲート抵抗が他のスイッチング素子のそれよりも高いスイッチング素子を第2スイッチング素子として分別してもよい。ゲート抵抗が大きいスイッチング素子は損失も大きい。それゆえ、先の分別工程を第2実施例の準備工程として活用してもよい。その場合は、同じ製造工程で作られた複数のスイッチング素子の中から製造ばらつきの範囲でゲート抵抗が大きい素子を第2スイッチング素子として準備し、ゲート抵抗の小さい素子を第1スイッチング素子として準備する。
第2スイッチングは、仕様としてゲート抵抗が第1スイッチング素子とは異なる素子を準備してもよい。別言すれば、第1スイッチング素子よりもゲート抵抗が大きくなるように作られた別の素子を第2スイッチング素子として準備してもよい。
次に、第2実施例における配置工程を説明する。配置工程では、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子を電力変換器に配置する。配置工程では、第1スイッチング素子の周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所(図1のスイッチング素子6hの位置)に第2スイッチング素子を配置するとともに、第2スイッチング素子の隣に温度センサを配置する。ゲート抵抗が大きいということは、損失が大きいことを意味する。従ってゲート抵抗が大きい第2スイッチング素子は第1スイッチング素子よりも発熱量が大きい。発熱量が大きいスイッチング素子(第2スイッチング素子)を熱抵抗の大きい箇所に配置するとともにその第2スイッチング素子の隣に温度センサを配置する。すなわち、他の場所に配置される第1スイッチング素子よりもゲート抵抗の大きい第2スイッチング素子を計測対象スイッチング素子とする。第2実施例の製造方法によっても、上記した安全マージンを小さくすることができる。
図3を参照して安全マージンについて説明する。図3の縦軸はスイッチング素子の温度である。図3(A)が、本実施例で製造された電力変換器における安全マージンを示しており、図3(B)は、比較例の電力変換器における安全マージンを示している。安全マージンは、スイッチング素子の耐熱上限温度Tmaxと、熱保護制御を開始する指標となる温度閾値との温度差である。電力変換器10のモータ制御器15は、温度センサ16によってスイッチング素子6hの温度を計測し、計測温度が温度閾値を超えないように冷却器20(ポンプ23)を制御する。それでも計測温度が温度閾値を超えたら、モータ制御器15は、熱保護制御(モータ9の出力上限値を下げる制御)を開始する。安全マージンは、熱保護制御を開始してからスイッチング素子の温度が下がり始めるまでの遅延時間の間にスイッチング素子の温度が上昇したとしても、スイッチング素子の温度が耐熱上限温度を超えないようにするために設けられる。また、安全マージンには、温度計測に関わる誤差が含まれる。
図3(B)の比較例の場合、安全マージンには、次の3種類が含まれる。(1)計測温度と実温度の最大誤差(マージンMa)。(2)温度センサ素子の計測値を温度に変換する回路の誤差(マージンMc)。(3)複数のスイッチング素子の温度の中の最高温度と温度計測対象のスイッチング素子の温度との差(マージンMb)。なお、マージンMaには、過渡応答における遅れ(すなわち、熱保護制御を開始してからスイッチング素子の温度が下がり始めるまでの遅延時間におけるスイッチング素子の温度上昇分)が含まれる。図3(B)の場合、スイッチング素子の耐熱上限温度Tmaxから、マージンMa−Mcの総和を減じた温度Tbが、温度閾値として設定される。
第1、第2実施例で製造した電力変換器10の場合、インバータ回路13の複数のスイッチング素子6c−6hのなかでスイッチング素子6h(温度計測対象のスイッチング素子)の温度が最も高くなるので、マージンMbを考慮する必要がなくなる。それゆえ、図3(A)に示すように、実施例の電力変換器10の場合は、スイッチング素子の耐熱上限温度TmaxからマージンMaとマージンMcを減じた温度Taが温度閾値として設定される。実施例の製造方法で製造された電力変換器における温度閾値Taは、従来の方法で製造された電力変換器の温度閾値Tbよりも高く設定することができる。
実施例の製造方法で製造された電力変換器10では、安全マージンを小さくすることができるので、熱保護制御を実施せずにスイッチング素子6c−6hを使用できる動作温度範囲が広くなる。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。配置工程では、温度の計測対象のスイッチング素子6hは、インバータ回路13の残りのスイッチング素子6c−6gの周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所に配置される。より具体的には、温度の計測対象のスイッチング素子6hは、インバータ回路13の総てのスイッチング素子6c−6hのなかで、冷媒流の最も下流に配置される。また、配置工程では、分別工程にて分別されたスイッチング素子が温度の計測対象のスイッチング素子として電力変換器の中に配置され、分別工程にて分別されなかったスイッチング素子が温度計測の非対象のスイッチング素子として電力変換器の中に配置される。
複数のスイッチング素子が温度計測対象となってもよい。ただし、温度計測対象となるスイッチング素子の個数は、電力変換器で使われるスイッチング素子の総数よりも少ない。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
3:フィルタコンデンサ
4:リアクトル
5:平滑コンデンサ
6a−6h:スイッチング素子
8:メインバッテリ
9:モータ
10:電力変換器
12:電圧コンバータ回路
13:インバータ回路
15:モータ制御器
16、17a、17b、27:温度センサ
20:冷却器
21:冷媒流路
23:ポンプ
24:ラジエータ
26:リザーブタンク
100:電気自動車

Claims (2)

  1. 複数のスイッチング素子を備えている電力変換器の製造方法であり、
    複数の前記スイッチング素子の夫々の損失を特定し、損失が所定の閾値を超えている前記スイッチング素子を分別する分別工程と、
    前記分別工程にて分別された前記スイッチング素子が温度センサの計測対象スイッチング素子となるように複数の前記スイッチング素子を前記電力変換器に配置するとともに、前記計測対象スイッチング素子は、残りの前記スイッチング素子の周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所に配置される配置工程と、
    を備えている、電力変換器の製造方法。
  2. 複数のスイッチング素子を備えている電力変換器の製造方法であり、
    第1スイッチング素子と、ゲート抵抗が前記第1スイッチング素子のゲート抵抗よりも高い第2スイッチング素子を準備する準備工程と、
    前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子を前記電力変換器に配置する配置工程であって、前記第1スイッチング素子の周囲の熱抵抗よりも熱抵抗が高い場所に前記第2スイッチング素子を配置するとともに、前記第2スイッチング素子の隣に温度センサを配置する配置工程と、
    を備えている、電力変換器の製造方法。
JP2019099571A 2019-01-28 2019-05-28 電力変換器の製造方法 Pending JP2020120564A (ja)

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