以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
[第1実施形態]
図1を参照して、蓄電モジュールを備える蓄電装置の一例について説明する。図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してモジュール積層体2の積層方向に拘束荷重を負荷する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5とを含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側とにそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
なお、積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向の外側には、導電板5が配置されていなくてもよい。この場合、蓄電モジュール4が、蓄電装置1における蓄電モジュール4と導電板5との積層体の最外層(スタック最外層)となっていてよい。蓄電モジュール4がスタック最外層を構成する場合、正極端子6は、積層端に位置する一方の蓄電モジュール4に接続され、負極端子7は、積層端に位置する他方の蓄電モジュール4に接続されることとなる。
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持っている。なお、図1の例では、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さくなっているが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくなっていてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向に挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。エンドプレート8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8におけるモジュール積層体2側の面には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。なお、蓄電モジュール4がスタック最外層を構成する場合には、フィルムFにより、エンドプレート8と蓄電モジュール4との間が絶縁されることとなる。
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12とを備えている。電極積層体11は、セパレータ13を介して蓄電モジュール4の積層方向D1に沿って積層された複数の電極によって構成されている。これらの電極は、複数のバイポーラ電極14の積層体と、負極終端電極18と、正極終端電極19とを含む。
バイポーラ電極14は、一方面15a及び一方面15aの反対側の他方面15bを含む電極板15と、一方面15aに設けられた正極16と、他方面15bに設けられた負極17とを有している。正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向D1の一方に隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向D1の他方に隣り合う別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
負極終端電極18は、電極板15と、電極板15の他方面15bに設けられた負極17とを有している。負極終端電極18は、他方面15bが電極積層体11における積層方向D1の中央側を向くように、積層方向D1の一端に配置されている。負極終端電極18の電極板15の一方面15aは、電極積層体11の積層方向における一方の外側面を構成し、蓄電モジュール4に隣接する一方の導電板5(図1参照)と電気的に接続されている。負極終端電極18の電極板15の他方面15bに設けられた負極17は、セパレータ13を介して、積層方向D1の一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
正極終端電極19は、電極板15と、電極板15の一方面15aに設けられた正極16とを有している。正極終端電極19は、一方面15aが電極積層体11における積層方向D1の中央側を向くように、積層方向D1の他端に配置されている。正極終端電極19の一方面15aに設けられた正極16は、セパレータ13を介して、積層方向D1の他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。正極終端電極19の電極板15の他方面15bは、電極積層体11の積層方向における他方の外側面を構成し、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5(図1参照)と電気的に接続されている。
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の縁部15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。封止体12は、電極板15の縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに設けられている。封止体12は、側面11aにおいて縁部15cを保持している。封止体12は、電極板15の縁部15cに接合された複数の第1封止部21と、側面11aに沿って第1封止部21を外側から包囲し、第1封止部21のそれぞれに接合された第2封止部22とを有している。第1封止部21及び第2封止部22は、例えば、耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂である。第1封止部21及び第2封止部22の構成材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
第1封止部21は、電極板15の一方面15aにおいて縁部15cの全周にわたって連続的に設けられ、積層方向D1から見て矩形枠状をなしている。後述のように、第1封止部21は、矩形枠状をなすように配置された複数(図示例では4つ)のシート体121によって形成されている。本実施形態では、バイポーラ電極14の電極板15のみならず、負極終端電極18の電極板15及び正極終端電極19の電極板15に対しても第1封止部21が設けられている。負極終端電極18では、電極板15の一方面15aの縁部15cに第1封止部21が設けられ、正極終端電極19では、電極板15の一方面15a及び他方面15bの双方の縁部15cに第1封止部21が設けられている。
第1封止部21は、例えば超音波又は熱によって電極板15の一方面15aに溶着され、気密に接合されている。第1封止部21は、例えば積層方向D1に所定の厚さを有するフィルムである。第1封止部21の内側は、積層方向D1に互いに隣り合う電極板15の縁部15c同士の間に位置している。第1封止部21の外側は、電極板15の縁よりも外側に張り出しており、その先端部分は、第2封止部22に埋設されている。積層方向D1に沿って互いに隣り合う第1封止部21同士は、互いに離間していてもよく、接していてもよい。また、第1封止部21の外縁部分同士は、例えば熱板溶着などによって互いに接合していてもよい。
電極板15と第1封止部21とが重なる領域は、電極板15と第1封止部21との接合領域Kとなっている。接合領域Kにおいて、電極板15の表面は、粗面化されている。粗面化された領域は、接合領域Kのみでもよいが、本実施形態では電極板15の全面が粗面化されている。粗面化は、例えば電解メッキによる複数の突起の形成により実現し得る。複数の突起が形成されることにより、電極板15と第1封止部21との接合界面では、溶融状態の樹脂が粗面化により形成された複数の突起間に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、電極板15と第1封止部21との間に接合強度を向上させることができる。粗面化の際に形成される突起は、例えば基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。これにより、隣り合う突起の間の断面形状がアンダーカット形状となり、アンカー効果を高めることが可能となる。
第2封止部22は、電極積層体11及び第1封止部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2封止部22は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、積層方向D1に沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2封止部22は、積層方向D1を軸方向として延在する矩形の枠状を呈している。第2封止部22は、例えば射出成形時の熱によって第1封止部21の外表面に溶着されている。
第1封止部21及び第2封止部22は、隣り合う電極の間に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止する。より具体的には、第2封止部22は、第1封止部21と共に、積層方向D1に沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、積層方向D1に沿って互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び積層方向D1に沿って互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、隣り合うバイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16、及び負極17内に含浸されている。封止体12の側面には、内部空間Vに電解液を注入するための注液口が設けられている。
次に、上述した蓄電装置1の製造工程について説明する。
図3は、蓄電装置1の製造工程の一例を示すフローチャートである。図3に示されるように、蓄電装置1の製造工程は、電極ユニット製造工程(S01)と、積層工程(S02)と、封止体形成工程(S03)と、注入工程(S04)と、組立工程(S05)とを含んでいる。
電極ユニット製造工程S01では、後述する電極ユニット製造方法によって電極ユニット30が製造される。電極ユニット30は、バイポーラ電極14と、バイポーラ電極14の縁部15cに接合された矩形枠状の第1封止部21とを含む。
積層工程S02では、セパレータ13を介して電極ユニット30を積層し、積層体を得る。また、電極ユニット30の積層体の積層端に負極終端電極18及び正極終端電極19を更に積層することにより、電極積層体11を得る。積層にあたり、負極終端電極18、及び正極終端電極19のそれぞれの電極板15の縁部15cには、矩形枠状の第1封止部21が溶着等によって接合されている。
封止体形成工程S03では、例えば射出成形によって電極積層体11に対して第2封止部22を形成し、封止体12を形成する。具体的には、積層工程S02で得られた電極積層体11を金型内に配置し、流動性を有する樹脂材料を金型内に流し込むことによって、電極積層体11の側面に第2封止部22を形成する。第2封止部22によって電極積層体11の第1封止部21同士が接合され、封止体12が得られる。このとき、封止体12の側面に、内部空間Vに電解液を注入するための注液口が形成される。
注入工程S04では、電極積層体11の内部空間Vのそれぞれに電解液の注入を行う。ここでは、封止体12の側面に設けられた注液口を介して内部空間Vへの電解液の注入を実施する。電解液の注入後、注液口をシール材等によって封止し、蓄電モジュール4を得る。なお、シール材に変えて、注液口に圧力調整弁等を設けてもよい。
組立工程S05では、まず、導電板5を介して複数の蓄電モジュール4を積層する。このとき、積層方向の一方側に配置する導電板5には正極端子6を予め接続し、他方側に配置する導電板5には負極端子7を予め接続しておくことが好適である。次に、電気絶縁性を有するフィルムFを介して蓄電モジュール4の積層方向の両端に一対のエンドプレート8,8を配置する。そして、エンドプレート8の挿通孔8aに締結ボルト9を挿通させると共に、エンドプレート8から突出した締結ボルト9の先端にナット10を螺合する。これにより、複数の蓄電モジュール4をユニット化し、蓄電装置1を得る。
続いて、電極ユニット30の構成について説明する。図4は電極ユニットを説明するための平面図であり、バイポーラ電極14の各辺とシート体121との対応関係を示す。図5は、電極ユニットを説明するための平面図であり、バイポーラ電極14に接合されたシート体121が展開されている状態を示す。図6は、電極ユニットを示す平面図である。図7は、電極ユニットを示す断面図である。なお、図4〜図6では、正極16及び負極17の図示を省略している。
本実施形態における電極ユニット30は、バイポーラ電極14と、バイポーラ電極14の縁部15cに接合される第1封止部(封止体)21とによって構成されている。一例の第1封止部21は、矩形状をなす4つのシート体121によって構成されている。この4つのシート体121は、バイポーラ電極14が形成する矩形の各辺に対応している。すなわち、4つのシート体121は、バイポーラ電極14の長辺に対応する2つのシート体121Lと、バイポーラ電極14の短辺に対応する2つのシート体121Sとによって構成されている。
シート体121Lは、バイポーラ電極14の長辺の方向に沿った長辺と、バイポーラ電極14の短辺の方向に沿った短辺とを有する矩形状をなしている。シート体121Lは、第1部分122Lと第2部分123Lとを含む。第1部分122Lは、バイポーラ電極14の縁部15cに接合される部分を含む。第2部分123Lは、第1部分122Lに向かって折り返される部分である。図示例では、第1部分122Lと第2部分123Lとの境界が二点鎖線によって示されている。第2部分123Lは、この二点鎖線(折り線121a)に沿って第1部分122L側に折り返される。
図示例では、シート体221Lの折り線121aがシート体121Lの長辺に平行に形成されている。そのため、第1部分122L及び第2部分123Lは、いずれも矩形状をなしている。バイポーラ電極14における対応する辺に沿った方向に交差する方向(幅方向)において、第1部分122Lの長さは第2部分123Lの長さよりも大きい。すなわち、第1部分122Lの短辺の長さL1は、第2部分123Lの短辺の長さL2よりも大きい。また、バイポーラ電極14における対応する辺に沿った方向において、シート体121Lの長さはバイポーラ電極14の長さよりも小さい。すなわち、シート体121Lの長辺の長さL3は、バイポーラ電極14の長辺の長さよりも小さい。
シート体121Sは、バイポーラ電極14の短辺の方向に沿った長辺と、バイポーラ電極14の長辺の方向に沿った短辺とを有する矩形状をなしている。シート体121Sは、第1部分122Sと第2部分123Sとを含む。第1部分122Sは、バイポーラ電極14の縁部15cに接合される部分を含む。第2部分123Sは、第1部分122Sに向かって折り返される部分である。図示例では、第1部分122Sと第2部分123Sとの境界が二点鎖線によって示されている。第2部分123Sは、この二点鎖線(折り線121a)に沿って第1部分122S側に折り返される。
図示例では、シート体221Sの折り線121aがシート体121Sの長辺に平行に形成されている。そのため、第1部分122S及び第2部分123Sは、いずれも矩形状をなしている。対応する辺に沿った方向に交差する方向(幅方向)において、第1部分122Sの長さは第2部分123Sの長さよりも大きい。すなわち、第1部分122Sの長辺方向に沿った長さL4は、第2部分123Sの長辺方向に沿った長さL5よりも大きい。また、バイポーラ電極14における対応する辺に沿った方向において、シート体121Sの長さはバイポーラ電極14の長さよりも大きい。すなわち、シート体121Sの長辺の長さL6は、バイポーラ電極14の短辺の長さよりも大きい。
なお、本実施形態では、シート体121Lの第1部分122Lの幅方向の長さL1と、シート体121Sの第1部分122Sの幅方向の長さL4とが同じとなっている。また、シート体121Lの第2部分123Lの幅方向の長さL2と、シート体121Sの第2部分123Sの幅方向の長さL5とが同じとなっている。
上述の4つのシート体121は、バイポーラ電極14におけるそれぞれの対応する辺の縁部15cに接合されている。図5に示すように、本実施形態では、バイポーラ電極14の長辺の縁部15cに沿ってシート体121Lの第1部分122Lの一部が接合される。シート体121Lの第2部分123Lは、バイポーラ電極14と重複しない。すなわち、二点鎖線で示される第1部分122Lと第2部分123Lとの境界(折り線121a)は、バイポーラ電極14の外側に位置している。
また、バイポーラ電極14の短辺の縁部15cに沿ってシート体121Sの第1部分122Sの一部が接合される。シート体121Sの第2部分123Sは、バイポーラ電極14と重複しない。すなわち、二点鎖線で示される第1部分122Sと第2部分123Sとの境界(折り線121a)は、バイポーラ電極14の外側に位置している。
バイポーラ電極14における隣り合う辺に対応するシート体121Lとシート体121Sとにおいて、第1部分122Lの端部と第1部分122Sの端部とが互いに重複した重複部125が形成されている。図示例では、シート体121Sの第1部分122Sの端部がシート体121Lの第1部分122Lの端部に重ねられている。バイポーラ電極14の長辺方向における重複部125の長さは、バイポーラ電極14の短辺方向における重複部125の長さよりも小さい。一例として、バイポーラ電極14の長辺方向における重複部125の長さは、シート体121Sの第1部分122Sの幅方向の長さL4からシート体121Sの第2部分123Sの幅方向の長さL5の長さを差し引いた長さに等しくてよい。また、バイポーラ電極14の短辺方向における重複部125の長さは、シート体121Lの第1部分122Lの幅方向の長さL1と同じであってよい。
図6、図7に示すように、電極ユニット30では、シート体121Sの第2部分123Sが重複部125を避けて第1部分122Sに向かって折り返されている。折り返された第2部分123Sは、重複部125に接していてもよいし、重複部125から離間していてもよい。また、シート体121Lの第2部分123Lは、重複部125にさらに重複するように、第1部分122Lに向かって折り返されている。
4つのシート体121によって構成される第1封止部21は、平面視において矩形枠状をなしている。第1封止部21は、電極板15の縁部15cを囲み、当該縁部15cに対して接合されている。第1封止部21の内縁25sは電極板15の周縁15dよりも内側に位置している。第1封止部21は、電極板15の周縁15dよりも外側の位置でシート体121が折り返されることによって、部分的に2層になっている。すなわち、第1封止部21は、バイポーラ電極14に接合された第1部分122L,122Sによって形成される第1層25と、第1層25側に折り返されて積層された第2部分123L,123Sによって形成される第2層27と、を含んでいる。第2層27は、第1層25におけるバイポーラ電極14との接合面の反対側の面25aに設けられる。第1層25の内周端(すなわち第1封止部21の内縁25s)は、第2層27の内縁27sよりも内側に位置している。第1層25における内縁25sを含む内周縁部25bには、セパレータ13が接合され得る。すなわち、第2層27は、積層される電極ユニット30間にセパレータ13を配置するためのスペーサ層として機能する。電極ユニット30では、第1封止部21の内縁25sから電極板15の周縁15dまでの領域において、第1封止部21と電極板15との接合領域が形成されている。
続いて、電極ユニット製造工程S01による電極ユニット製造方法について説明する。図8は、電極ユニット製造工程の一例を示すフローチャートである。本実施形態における電極ユニット製造工程S01は、配置工程S11、接合工程S12及び折り返し工程S13を含む。
配置工程S11では、矩形をなすバイポーラ電極14の各辺に対応する4つのシート体121を対応する各辺上に配置する。この工程では、隣り合う辺に対応するシート体121同士における互いの第1部分122S,122Lの端部同士を重複させて、重複部125を形成する。
接合工程S12では、配置されたシート体121をバイポーラ電極14に接合する。第1封止部21とバイポーラ電極14とを接合する方法としては、例えば超音波又は熱による溶着が挙げられる。なお、負極終端電極18及び正極終端電極19にも、同様に第1封止部21を接合する。
折り返し工程S13では、接合されたシート体121のうちのバイポーラ電極14に接合される部分を含む第1部分122L,122Sに向かって、第2部分123L,123Sを折り返す。この工程では、重複部125を避けて第2部分123L,123Sを第1部分122L,122Sに折り返す。この場合、対応する辺の方向に交差する幅方向において、第2部分123L,123Sの縁部(すなわち内縁27s)が第1部分122L,122Sの縁部(すなわち内縁25s)よりもシート体121の内側に位置するように第2部分を折り返す。シート体121の第2層27が折り線121aの位置で折り返されることによって、第2層27が第1層25上に積層される。
以上説明したように、上記の電極ユニット30では、4つのシート体121のうち、隣り合うシート体121同士によって、重複部125が形成されている。そのため、隣り合うシート体121同士の間に間隙が形成されることがない。また、対応する辺に沿った方向に交差する幅方向において、第1部分の長さは、第2部分の長さよりも大きい。この場合、第2部分123L,123Sが第1部分122L,122Sに向かって折り返された状態では、第2部分123L,123Sの縁部(すなわち内縁27s)は、幅方向において、第1部分122L,122Sの縁部(すなわち内縁25s)よりもシート体の内側に位置する。このような構成では、内縁27sの内側において、第1部分122L,122Sと重複するようにセパレータを配置することができる。この場合、隣り合う電極同士の短絡の発生が効果的に抑制される。
また、矩形枠状の第1封止部21を形成する方法としては、例えば、シート状の母材を枠状に切り出すことが考えられる。この場合、母材から切り出された枠状の部分が第1封止部として使用される一方で、枠状の部分に囲まれた中央部分は廃棄される。本実施形態では、矩形枠状をなす第1封止部21を矩形状の4つのシート体によって形成している。そのため、シート状の母材から効率的にシート体121を切り出すことができ、母材の廃棄量を低減することができる。
また、第2部分を折り返すための折り線121aの位置は、バイポーラ電極14の周縁15dよりも外側であってよい。この構成では、バイポーラ電極14の周縁15dが第1封止部21の外側に露出することが抑制される。
また、矩形状をなす重複部125では、バイポーラ電極14の長辺に沿った辺の長さがバイポーラ電極14の短辺に沿った辺の長さよりも小さくてよい。このような構成とするために、本実施形態では、シート体121Sの長辺の長さL6がバイポーラ電極14の短辺の長さよりも大きくなっている。本実施形態では、封止体12の側面に、内部空間Vに電解液を注入するための注液口が形成される。この場合、注液口に連通する連通口となる部分をシート体121に形成する場合がある。例えば、シート体121Sにおける第2部分123Sに矩形の切欠部を形成し、この切欠部を連通口とすることができる。シート体121Sの長辺の長さL6が大きく形成されている場合、切欠部をシート体121Sの長辺方向の端部寄りに形成したとしても、第2部分123Sを容易に折り返すことができる。
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、以下のように、第1実施形態のシート体と異なる形状を有するシート体によって第1封止部21が形成されてもよい。
[第2実施形態]
図9は電極ユニットの他の例を説明するための平面図であり、バイポーラ電極14の各辺とシート体221との対応関係を示す。図10は、電極ユニットを説明するための平面図であり、バイポーラ電極14に接合されたシート体221が展開されている状態を示す。図11は、電極ユニットを示す平面図である。
本実施形態における電極ユニット30は、バイポーラ電極14と、バイポーラ電極14の縁部15cに接合される第1封止部(封止体)21とによって構成されている。一例の第1封止部21は、矩形状をなす4つのシート体221によって構成されている。この4つのシート体221は、バイポーラ電極14が形成する矩形の各辺に対応している。すなわち、4つのシート体221は、バイポーラ電極14の長辺に対応する2つのシート体221Lと、バイポーラ電極14の短辺に対応する2つのシート体221Sとによって構成されている。
シート体221Lは、バイポーラ電極14の長辺の方向に沿った長辺と、バイポーラ電極14の短辺の方向に沿った短辺とを有する矩形状をなしている。シート体221Lは、第1部分222Lと第2部分223Lとを含む。第1部分222Lは、バイポーラ電極14の縁部15cに接合される部分を含む。第2部分223Lは、第1部分222Lに向かって折り返される部分である。図示例では、第1部分222Lと第2部分223Lとの境界が二点鎖線によって示されている。第2部分223Lは、この二点鎖線(折り線221a)に沿って第1部分222L側に折り返される。
図示例では、シート体221Lの折り線221aがシート体221Lの長辺に平行に形成されている。そのため、第1部分222L及び第2部分223Lは、いずれも矩形状をなしている。バイポーラ電極14における対応する辺に沿った方向に交差する方向(幅方向)において、第1部分222Lの長さは第2部分223Lの長さよりも大きい。すなわち、第1部分222Lの短辺の長さL21は、第2部分223Lの短辺の長さL22よりも大きい。また、バイポーラ電極14における対応する辺に沿った方向において、シート体221Lの長さはバイポーラ電極14の長さよりも大きい。すなわち、シート体221Lの長辺の長さL23は、バイポーラ電極14の長辺の長さよりも大きい。
シート体221Sは、バイポーラ電極14の短辺の方向に沿った長辺と、バイポーラ電極14の長辺の方向に沿った短辺とを有する矩形状をなしている。シート体221Sは、第1部分222Sと第2部分223Sとを含む。第1部分222Sは、バイポーラ電極14の縁部15cに接合される部分を含む。第2部分223Sは、第1部分222Sに向かって折り返される部分である。図示例では、第1部分222Sと第2部分223Sとの境界が二点鎖線によって示されている。第2部分223Sは、この二点鎖線(折り線221a)に沿って第1部分222S側に折り返される。
図示例では、シート体221Sの折り線221aがシート体221Sの長辺に平行に形成されている。そのため、第1部分222S及び第2部分223Sは、いずれも矩形状をなしている。対応する辺に沿った方向に交差する方向(幅方向)において、第1部分222Sの長さは第2部分223Sの長さよりも大きい。すなわち、第1部分222Sの長辺方向に沿った長さL24は、第2部分223Sの長辺方向に沿った長さL25よりも大きい。また、バイポーラ電極14における対応する辺に沿った方向において、シート体221Sの長さはバイポーラ電極14の長さよりも小さい。すなわち、シート体221Sの長辺の長さL26は、バイポーラ電極14の短辺の長さよりも小さい。
なお、本実施形態では、シート体221Lの第1部分222Lの幅方向の長さL21と、シート体221Sの第1部分222Sの幅方向の長さL24とが同じとなっている。また、シート体221Lの第2部分223Lの幅方向の長さL22と、シート体221Sの第2部分223Sの幅方向の長さL25とが同じとなっている。
上述の4つのシート体221は、バイポーラ電極14におけるそれぞれの対応する辺の縁部15cに接合されている。図10に示すように、本実施形態では、バイポーラ電極14の長辺の縁部15cに沿ってシート体221Lの第1部分222Lの一部が接合される。シート体221Lの第2部分223Lは、バイポーラ電極14と重複しない。すなわち、二点鎖線で示される第1部分222Lと第2部分223Lとの境界(折り線221a)は、バイポーラ電極14の外側に位置している。
また、バイポーラ電極14の短辺の縁部15cに沿ってシート体221Sの第1部分222Sの一部が接合される。シート体221Sの第2部分223Sは、バイポーラ電極14と重複しない。すなわち、二点鎖線で示される第1部分222Sと第2部分223Sとの境界(折り線221a)は、バイポーラ電極14の外側に位置している。
バイポーラ電極14における隣り合う辺に対応するシート体221Lとシート体221Sとにおいて、第1部分222Lの端部と第1部分222Sの端部とが互いに重複した重複部225が形成されている。図示例では、シート体221Sの第1部分222Sの端部がシート体221Lの第1部分222Lの端部に重ねられている。バイポーラ電極14の長辺方向における重複部225の長さは、バイポーラ電極14の短辺方向における重複部225の長さよりも大きい。一例として、バイポーラ電極14の長辺方向における重複部225の長さは、シート体221Sの第1部分222Sの幅方向の長さL24と同じであってよい。また、バイポーラ電極14の短辺方向における重複部225の長さは、シート体221Lの第1部分222Lの幅方向の長さL21からシート体221Lの第2部分223Lの幅方向の長さL22の長さを差し引いた長さに等しくてよい。
図11に示すように、電極ユニット30では、シート体221Lの第2部分223Lが重複部225を避けて第1部分222Lに向かって折り返されている。折り返された第2部分223Lは、重複部225に接していてもよいし、重複部225から離間していてもよい。また、シート体221Sの第2部分223Sは、重複部225にさらに重複するように、第1部分222Sに向かって折り返されている。
以上、第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、例えば、第1実施形態における各構成と、第2実施形態における各構成とは互いに流用されてもよい。例えば、第1実施形態では、シート体121によって第1封止部21が形成された電極ユニット30(第1の電極ユニット)が積層されることによって積層体が形成されている。一方、第2実施形態では、シート体221によって第1封止部21が形成された電極ユニット30(第2の電極ユニット)が積層されることによって積層体が形成されている。この場合、シート体121によって第1封止部21が形成された電極ユニット30と、シート体221によって第1封止部21が形成された電極ユニット30とが交互に積層されることによって積層体が形成されてもよい。
例えば、重複部に対して、折り返された第2部分が重複されている場合、重複部の位置における厚みが、他の部分に比べて大きくなることが考えられる。第1実施形態の電極ユニット30と第2実施形態の電極ユニット30とが交互に積層されると、積層方向において、第1実施形態の電極ユニット30の重複部125と第2実施形態の電極ユニット30の重複部225とが交互に配置される。この場合、積層方向から見て、第1実施形態の電極ユニット30の重複部125と第2実施形態の電極ユニット30の重複部225とが完全に重なり合うことがない。そのため、積層体が形成された際に、重複部の厚みが分散されることになる。