JP2020133934A - 化学蓄熱反応器、および、化学蓄熱装置 - Google Patents

化学蓄熱反応器、および、化学蓄熱装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 化学蓄熱反応器において、化学蓄熱反応器を構成する部品の点数を少なくし、軽量で体格を小さくする技術を提供する。【解決手段】 化学蓄熱反応器は、反応媒体と結合することで発熱し、反応媒体が脱離することで蓄熱する複数の蓄熱材と、複数の蓄熱材のそれぞれの外面を覆う筒状の外壁であって、反応媒体が通過可能な孔が形成されている外壁を有する複数の蓄熱材拘束カバーと、互いに隣接する一方の蓄熱材拘束カバーから他方の蓄熱材拘束カバーにわたって配置されており、一方の蓄熱材拘束カバーと他方の蓄熱材拘束カバーとの間の空間部を覆うことによって反応媒体が流れる流路を形成する流路形成部材と、を備え、流路は、複数の蓄熱材拘束カバーの孔によって蓄熱材拘束カバーの内側に連通している。【選択図】 図2

Description

本発明は、化学蓄熱反応器、および、化学蓄熱装置に関する。
従来、蓄熱材と反応媒体との化学反応を利用して熱を出し入れする化学蓄熱反応器が知られている。化学蓄熱反応器では、蓄熱材は、反応媒体と結合することで発熱し反応媒体が脱離することで蓄熱する。例えば、特許文献1には、筒状に形成されている蓄熱材であるゼオライト内に、熱輸送流体を流通可能な流路を有する化学蓄熱反応器が記載されている。
特開2018−165580号公報
特許文献1に記載の化学蓄熱反応器では、筒状に形成されているゼオライトの内側に、熱輸送流体が透過可能なウィック構造体が設けられている。このため、蓄熱材の充填体積を大きくしようとするとウィック構造体も大きくなるため、化学蓄熱反応器の体格は大きくなる。また、化学蓄熱反応器を構成する部品の点数が多いため、重量が重くなる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、化学蓄熱反応器において、化学蓄熱反応器を構成する部品の点数を少なくし、軽量で体格を小さくする技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、化学蓄熱反応器が提供される。この化学蓄熱反応器は、反応媒体と結合することで発熱し、前記反応媒体が脱離することで蓄熱する複数の蓄熱材と、前記複数の蓄熱材のそれぞれの外面を覆う筒状の外壁であって、前記反応媒体が通過可能な孔が形成されている外壁を有する複数の蓄熱材拘束カバーと、互いに隣接する一方の前記蓄熱材拘束カバーから他方の前記蓄熱材拘束カバーにわたって配置されており、前記一方の蓄熱材拘束カバーと前記他方の蓄熱材拘束カバーとの間の空間部を覆うことによって前記反応媒体が流れる流路を形成する流路形成部材と、を備え、前記流路は、前記蓄熱材拘束カバーの孔によって前記蓄熱材拘束カバーの内側に連通している。
この構成によれば、流路形成部材は、一方の蓄熱材拘束カバーと他方の蓄熱材拘束カバーとの2つの蓄熱材拘束カバーの間の空間部を利用して、蓄熱材と反応する反応媒体が流れる流路を形成する。また、流路は、反応媒体が通過可能な蓄熱材拘束カバーの孔によって蓄熱材拘束カバーの内側に連通している。これにより、反応媒体は、流路形成部材によって2つの蓄熱材拘束カバーの間の空間部に形成された流路と孔を通って蓄熱材拘束カバーの内側に出入りすることができる。したがって、反応媒体との反応によって放熱と蓄熱とを繰り返すことが可能な化学蓄熱反応器を構成する部品の点数を少なくすることができる。また、化学蓄熱反応器は、構成する部品の点数が少なくなるため、軽量で体格を小さくすることができる。
(2)上記形態の化学蓄熱反応器において、前記複数の蓄熱材拘束カバーは、横断面が円形状となるように形成され、前記一方の蓄熱材拘束カバーと前記他方の蓄熱材拘束カバーとは、互いに沿うように配置されており、前記流路形成部材と前記複数の蓄熱材拘束カバーの横断面において、前記流路形成部材は、前記一方の蓄熱材拘束カバーと前記他方の蓄熱材拘束カバーのそれぞれの接点に接していてもよい。
この構成によれば、流路形成部材は、流路形成部材と蓄熱材拘束カバーの横断面において、一方の蓄熱材拘束カバーと他方の蓄熱材拘束カバーとのそれぞれの接線となるように形成され配置されている。これにより、互いに沿うように配置されている2つの蓄熱材拘束カバーによってその大きさが決定される化学蓄熱反応器の体格を大きくすることなく、流路の体積を大きくすることができる。
(3)上記形態の化学蓄熱反応器において、複数の前記蓄熱材拘束カバーは、互いに平行な状態で、全体として環形状に並んで配置されており、前記流路は、前記環形状の内側に位置してもよい。
この構成によれば、環形状に配置されている複数の蓄熱材拘束カバーの内側に、蓄熱材と熱交換する熱交換流体を流すことが可能な熱交換流路を形成することができる。これにより、熱交換流路を別途設ける必要がなくなるため、化学蓄熱反応器の体格をさらに小さくすることができる。また、反応媒体が流れる流路は、複数の蓄熱材拘束カバーが配置されている形状である環形状の内側に配置されるため、環形状の外側に位置する複数の蓄熱材拘束カバーの外面を化学蓄熱反応器の伝熱面とすることができる。これにより、化学蓄熱反応器は、効率的に放熱と蓄熱とを繰り返すことができる。
(4)上記形態の化学蓄熱反応器において、前記流路形成部材は、前記環形状に並んだ前記複数の蓄熱材拘束カバーの内側に配置されている筒状の部材であってもよい。
この構成によれば、反応媒体が流れる複数の流路を、1つの筒状の部材から形成することができる。これにより、化学蓄熱反応器を構成する部品の数を低減することができる。
(5)上記形態の化学蓄熱反応器において、前記複数の蓄熱材拘束カバーは、環形状に配置されている第1のグループの内側に、環形状に配置されている第2のグループが位置してもよい。
この構成によれば、第2グループの蓄熱材拘束カバーは、環形状に配置されることによって熱交換流体が流れる熱交換流路を形成している第1グループの蓄熱材拘束カバーの内側に配置されている。これにより、熱交換流路を流れる熱交換流体との熱交換を、第1グループの蓄熱材拘束カバーの蓄熱材と、第2グループの蓄熱材拘束カバーの蓄熱材とによって同時に行うことができる。したがって、熱交換をさらに効率的に行うことができるため、熱の回収率を向上することができる。
第1実施形態の化学蓄熱反応器を備える化学蓄熱装置の模式図である。 図1のA−A線断面図である。 第2実施形態の化学蓄熱反応器の模式図である。 第3実施形態の化学蓄熱反応器の模式図である。 第4実施形態の化学蓄熱反応器の模式図である。 第5実施形態の化学蓄熱反応器の模式図である。 第6実施形態の化学蓄熱反応器の模式図である。 第7実施形態の化学蓄熱反応器の模式図である。 第7実施形態の別の化学蓄熱反応器の模式図である。 第1実施形態の変形例の化学蓄熱反応器の模式図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の化学蓄熱反応器1を備える化学蓄熱装置10の模式図である。図1(a)は、化学蓄熱装置10の斜視図であって、図1(b)は、化学蓄熱装置10の分解斜視図である。図2は、図1のA−A線断面図である。なお、図1、2中に示す矢印xは、後述する複数の蓄熱材拘束カバー21、22が並べられている方向を示し、矢印yは、蓄熱材拘束カバー21、22の軸心A21、A22方向と平行な方向を示し、矢印zは、矢印yが示す方向と矢印xが示す方向との両方に垂直な方向を示す。また、図1、2中には、矢印xの方向に平行な方向のx軸と、矢印yの方向に平行な方向のy軸と、矢印zの方向に平行な方向のz軸とを示す。
化学蓄熱装置10は、化学蓄熱反応器1と、蒸発凝縮器10aと、を備える。化学蓄熱装置10は、化学蓄熱反応器1での「反応媒体」としての蒸気との反応によって、発熱と蓄熱とを繰り返すことが可能である。
化学蓄熱反応器1は、二つの蓄熱材11、12(図2参照)と、二つの蓄熱材拘束カバー21、22と、流路形成部材30とを備える。
蓄熱材11、12は、例えば、アルカリ土類金属の酸化物の一つである酸化カルシウムの成形体である。蓄熱材11、12は、酸化カルシウムの粒状物を、例えば、粘土鉱物などのバインダと混練し焼成することで所定の形状となるように成形されている。本実施形態では、蓄熱材11、12は、円柱状に形成されている。蓄熱材11、12は、式(1)に示す脱水反応によって蓄熱し、式(2)に示す水和反応によって発熱するものであり、蓄熱と発熱とを可逆的に繰り返すことが可能である。
Ca(OH)2 +Q1 →CaO + H2O ・・・(1)
CaO + H2O →Ca(OH)2 +Q2 ・・・(2)
なお、式(1)のQ1は、脱水反応における蓄熱量を示し、式(2)のQ2は、水和反応における発熱量を示す。
蓄熱材拘束カバー21は、円筒状の部材であって、円筒部21aと、二つの閉塞部21b、21cとを含む。
円筒部21aは、横断面が円形状の筒状の部位であって、例えば、エッチングフィルターなどの、一部がメッシュ状となっているシート状の部材を円筒状に加工し、蓄熱材11の径外方向の外面を覆うように形成されている。円筒部21aの外壁の一部には、蓄熱材11を構成する粒状物の平均粒径より小さい貫通孔23が形成されている(図1(b)および図2参照)。貫通孔23は、蓄熱材11を構成する粒状物の通過を制限する一方、蒸気の通過を許容する。本実施形態では、貫通孔23は、図1に示すように、蓄熱材拘束カバー21の軸心A21の方向に連続して形成されている。また、貫通孔23は、図2に示すように、円筒部21aの横断面において、中心角α1が約90度の扇型の円弧に対応する円筒部21aの外壁に形成されている。なお、本実施形態では、円筒部21aは、円筒状に形成されているが、断面が矩形の筒状や他の形状であってもよい。
閉塞部21bは、円筒部21aのy軸のマイナス側に位置する円板状の部位である。閉塞部21bは、円筒部21aのy軸のマイナス側の開口を塞ぐように配置されている。
閉塞部21cは、円筒部21aのy軸のプラス側に位置する円板状の部位である。閉塞部21cは、円筒部21aのy軸のプラス側の開口を塞ぐように配置されている。
二つの閉塞部21b、21cは、貫通孔23を除いて、円筒部21aの気密を保っている。
蓄熱材拘束カバー22は、円筒状の部材であって、円筒部22aと、二つの閉塞部22b、22cとを含む。
円筒部22aは、横断面が円形状の筒状の部位であって、例えば、エッチングフィルターなどの、一部がメッシュ状となっているシート状の部材を円筒状に加工し、蓄熱材12の径外方向の外面を覆うように形成されている。円筒部22aの外壁の一部には、蓄熱材12を構成する粒状物の平均粒径より小さい貫通孔24が形成されている(図1(b)および図2参照)。貫通孔24は、蓄熱材12を構成する粒状物の通過を制限する一方、蒸気の通過を許容する。本実施形態では、貫通孔24は、図1に示すように、蓄熱材拘束カバー22の軸心A22の方向に連続して形成されている。また、貫通孔24は、円筒部22aの横断面において、中心角α2が約90度の扇型の円弧に対応する円筒部22aの外壁に形成されている。なお、本実施形態では、円筒部22aは、円筒状に形成されているが、断面が矩形の筒状や他の形状であってもよい。
閉塞部22bは、円筒部22aのy軸のマイナス側に位置する円板状の部位である。閉塞部22bは、円筒部22aのy軸のマイナス側の開口を塞ぐように配置されている。
閉塞部22cは、円筒部22aのy軸のプラス側に位置する円板状の部位である。閉塞部22cは、円筒部22aのy軸のプラス側の開口を塞ぐように配置されている。
二つの閉塞部22b、22cは、貫通孔24を除いて、円筒部22aの気密を保っている。
蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22とは、図1、2に示すように、互いに沿うように配置され、隣接している。このとき、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22とは、図2に示すように、円筒部21aの貫通孔23が形成されていない外壁と、円筒部22aの貫通孔24が形成されていない外壁とが、ろう付や溶接などによって接合されている。
流路形成部材30は、第1流路形成部30aと、第2流路形成部30b、30cとを含む。流路形成部材30は、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22との間の空間部を覆うことによって、蒸気が流れる流路35を形成する。流路形成部材30は、流路35の圧力変化によって自身が変形しても、流路35に蒸気が流れることができる程度の体積を確保可能な強度の部材から形成されている。
第1流路形成部30aは、円筒部21a、22aの接線方向に伸びるように形成されている平板状の部材であって、具体的には、図2に示すように、第1流路形成部30aと蓄熱材拘束カバー21、21の横断面において、円筒部21aの接点P21と円筒部22aの接点P22とに接するように配置されている。図2に示すように、第1流路形成部30aのx軸のマイナス側の端部は、円筒部21aの貫通孔23が形成されていない外壁であって、貫通孔23が形成されている部位を挟んで蓄熱材拘束カバー22と接合されている部位とは反対側の外壁に接合されている。また、第1流路形成部30aのx軸のプラス側の端部は、円筒部22aの貫通孔24が形成されていない円筒部22aの外壁であって、貫通孔24が形成されている部位を挟んで蓄熱材拘束カバー21と接合されている部位とは反対側の外壁に接合されている。
第2流路形成部30bは、第1流路形成部30aのy軸のマイナス側に位置し、第1流路形成部30aからz軸のマイナス方向に伸びるように形成されている三角形状の部位である。第2流路形成部30bは、第1流路形成部30aのy軸のマイナス側の端部と、蓄熱材拘束カバー21の閉塞部21bと、蓄熱材拘束カバー22の閉塞部22bとに、流路35の気密を保つように接合されている。第2流路形成部30bには、後述する蒸気流路10bに連通する開口30dが形成されている。
第2流路形成部30cは、第1流路形成部30aのy軸のプラス側に位置し、第1流路形成部30aからz軸のマイナス方向に伸びるように形成されている三角形状の部位である。第2流路形成部30cは、第1流路形成部30aのy軸のプラス側の端部と、蓄熱材拘束カバー21の閉塞部21cと、蓄熱材拘束カバー22の閉塞部22cとに、流路35の気密を保つように接合されている。
流路形成部材30は、図2に示すように、第1流路形成部30aの、蓄熱材拘束カバー21の軸心A21に垂直な断面形状が、蓄熱材拘束カバー21の軸心A21に垂直な断面形状である円形と、蓄熱材拘束カバー22の軸心A22に垂直な断面形状である円形とのそれぞれに対する接線となっている。また、第2流路形成部30b、30cは、第1流路形成部30aからz軸のマイナス方向に伸びるように形成されている。これにより、流路形成部材30は、図2に示すように、部材の肉厚を除くと、隣接する2つの蓄熱材拘束カバー21、22のそれぞれに対する接線VL1より蓄熱材拘束カバー21、22側、すなわち、y軸のマイナス側に配置されている。
流路35は、図2に示すように、y軸に垂直な断面形状が、略三角形状となるように形成されている。流路35には、蓄熱材拘束カバー21の貫通孔23の全てと、蓄熱材拘束カバー22の貫通孔24の全てと、第2流路形成部30bの開口30dとが、連通している。
蒸発凝縮器10aは、蒸気流路10bと開口30dを介して、流路35に接続している。蒸発凝縮器10aは、化学蓄熱反応器1において発生する蒸気を凝縮し貯留することから、「凝縮部」として機能を有する。
次に、化学蓄熱装置10の作用について説明する。
化学蓄熱反応器1に蓄熱するとき、蓄熱材11、12がCa(OH)2となっている化学蓄熱装置10を、例えば、排ガスなどの高温熱源を用いて加熱する。これにより、蓄熱材11、12は、式(1)に示す脱水反応によって、CaOになるとともに、蒸気を生成する。蓄熱材11、12の脱水反応によって生成された蒸気は、貫通孔23、24と、流路35と、蒸気流路10bを通って蒸発凝縮器10aに流入する。蒸発凝縮器10aに流入した蒸気は、図示しない冷温媒体によって液化される。これにより、化学蓄熱反応器1に高温熱源の熱が蓄えられる。
化学蓄熱反応器1を発熱させるとき、図示しない蒸気生成装置で生成した蒸気を、蓄熱材11、12がCaOとなっている化学蓄熱装置10の流路35に供給する。流路35に供給された蒸気が貫通孔23、24を通って蓄熱材拘束カバー21、22内に流入すると、蓄熱材11、12は、式(2)に示す水和反応によってCa(OH)2になるとともに、発熱する。
以上説明した、本実施形態の化学蓄熱反応器1によれば、流路形成部材30は、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22との間の空間部を利用して、蓄熱材11、12と反応する蒸気が流れる流路35を形成する。また、流路35は、蒸気が通過可能な蓄熱材拘束カバー21、22の貫通孔23、24によって、蓄熱材拘束カバー21、22の内側に連通している。これにより、蒸気は、流路形成部材30によって蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22との間の空間部に形成された流路35と貫通孔23、24を通って蓄熱材拘束カバー21、22の内側に出入りすることができる。したがって、蒸気との反応によって放熱と蓄熱とを繰り返すことが可能な化学蓄熱反応器1を構成する部品の点数を少なくすることができる。また、化学蓄熱反応器1は、構成する部品の点数が少なくなるため、軽量で体格を小さくすることができる。
また、本実施形態の化学蓄熱反応器1によれば、流路形成部材30は、流路形成部材30と蓄熱材拘束カバー21、22の横断面において、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22の接点に接している平板状の部材である。これにより、流路形成部材30は、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22とのそれぞれの接線となるように配置されることとなる。したがって、2つの蓄熱材拘束カバー21、22によってその大きさが決定される化学蓄熱反応器1の体格を大きくすることなく、蒸気が流れる流路35の体積を大きくすることができる。
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態における化学蓄熱反応器2の模式図である。第2実施形態の化学蓄熱反応器2は、第1実施形態の化学蓄熱反応器1(図2)と比較すると、流路形成部材の形状および流路形成部材が接合される位置が異なる。
化学蓄熱反応器2は、2つの蓄熱材11、12と、2つの蓄熱材拘束カバー21、22と、流路形成部材40とを備える。
本実施形態では、円筒部21aの貫通孔23は、図3に示すように、円筒部21aの横断面において、中心角α1が180度より若干小さい扇形状の円弧に対応する円筒部21aの外壁に形成されている。また、円筒部22aの貫通孔24は、図3に示すように、円筒部22aの横断面において、中心角α2が約180度より若干小さい扇形状の円弧に対応する円筒部22aの外壁に形成されている。本実施形態では、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22とは、貫通孔23が形成されている円筒部21aの外壁と貫通孔24が形成されている円筒部21aの外壁とが対向するように配置されている。
流路形成部材40は、2つの第1流路形成部40a、40bと、2つの第2流路形成部40cと、を含む。流路形成部材40は、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22との間の空間部を覆うことによって、蒸気が流れる流路45を形成する。流路形成部材40は、流路45の圧力変化によって自身が変形しても、流路45で蒸気が流れることができる程度の体積を確保可能な強度の部材から形成されている。本実施形態の流路形成部材40は、図3に示すように、部材の肉厚を除くと、隣接する2つの蓄熱材拘束カバー21、22のそれぞれに対する接線のうち、軸心A21、A22を挟んだ位置の2つの接線VL21と接線VL22の間に配置されている。
第1流路形成部40aは、第1流路形成部40aと蓄熱材拘束カバー21、22の横断面において、中央部分がy軸のマイナス側に湾曲している曲面状の部材であって、円筒部21aの接点P21と円筒部22aの接点P22とに接するように配置されている。第1流路形成部40aのx軸のマイナス側の端部は、円筒部21aの貫通孔23が形成されていない外壁に接合されている。また、第1流路形成部40aのx軸のプラス側の端部は、円筒部22aの貫通孔24が形成されていない外壁に接合されている。
第1流路形成部40bは、第1流路形成部40bと蓄熱材拘束カバー21、22の横断面において、中央部分がy軸のプラス側に湾曲している曲面状の部材であって、円筒部21aの接点P23と円筒部22aの接点P24とに接するように配置されている。第1流路形成部40bのx軸のマイナス側の端部は、図3に示すように、円筒部21aの貫通孔23が形成されていない外壁であって、貫通孔23が形成されている部位を挟んで第1流路形成部40aと接合されている部位とは反対側の外壁に接合されている。また、第1流路形成部40bのx軸のプラス側の端部は、円筒部22aの貫通孔24が形成されていない外壁であって、貫通孔24が形成されている部位を挟んで第1流路形成部40aと接合されている部位とは反対側の外壁に接合されている。
第2流路形成部40cの1つは、第1流路形成部40a、40bのy軸のマイナス側に位置する略矩形状の部位である。第2流路形成部40cは、第1流路形成部40aのy軸のマイナス側の端部と、第1流路形成部40bのy軸のマイナス側の端部と、蓄熱材拘束カバー21の閉塞部21bと、蓄熱材拘束カバー22の閉塞部22bとに、流路45の気密を保つように接合されている。第2流路形成部40cには、蒸気流路10bと流路45とを連通する2つの開口40dが形成されている。
第2流路形成部40cのもう1つは、第1流路形成部40a、40bのy軸のプラス側に位置する略矩形状の部位である。第2流路形成部40cは、第1流路形成部40aのy軸のプラス側の端部と、第1流路形成部40bのy軸のプラス側の端部と、蓄熱材拘束カバー21の閉塞部21cと、蓄熱材拘束カバー22の閉塞部22cとに、流路45の気密を保つように接合されている。
以上説明した、本実施形態の化学蓄熱反応器2によれば、流路形成部材40は、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22との間の空間部を利用して、蓄熱材11、12とに反応する蒸気が流れる流路45を形成する。これにより、化学蓄熱反応器2を構成する部品の点数を少なくすることができるとともに、軽量で体格を小さくすることができる。
また、本実施形態の化学蓄熱反応器2によれば、流路形成部材40は、流路形成部材40と蓄熱材拘束カバー21、22の横断面において、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22の接点に接している曲面状の部材である。これにより、2つの蓄熱材拘束カバー21、22によってその大きさが決定される化学蓄熱反応器2の体格を大きくすることなく蒸気が流れる流路45の体積を大きくしつつ、流路45の圧力変化による流路45の変形の度合いを小さくすることができる。
<第3実施形態>
図4は、第3実施形態における化学蓄熱反応器3の模式図である。第3実施形態の化学蓄熱反応器3は、第1実施形態の化学蓄熱反応器1(図2)と比較すると、流路形成部材の形状および流路形成部材が接合される位置が異なる。
化学蓄熱反応器3は、二つの蓄熱材11、12と、二つの蓄熱材拘束カバー21、22と、流路形成部材50とを備える。
本実施形態では、円筒部21aの貫通孔23は、図4に示すように、円筒部21aの横断面において、中心角α1が90度より小さい扇形状の円弧に対応する円筒部21aの外壁に形成されている。また、円筒部22aの貫通孔24は、図4に示すように、円筒部22aの横断面において、中心角α2が90度より小さい扇形状の円弧に対応する円筒部22aの外壁に形成されている。本実施形態では、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22とは、貫通孔23が形成されている円筒部21aの外壁と貫通孔24が形成されている円筒部21aの外壁とが対向するように配置されている。
流路形成部材50は、2つの第1流路形成部50a、50bと、2つの第2流路形成部50cと、を含む。流路形成部材50は、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22との間の空間部を覆うことによって、蒸気が流れる流路55を形成する。流路形成部材50は、流路55の圧力変化によって自身が変形しても、流路55で蒸気が流れることができる程度の体積を確保可能な強度の部材から形成されている。本実施形態の流路形成部材50は、図4に示すように、隣接する2つの蓄熱材拘束カバー21、22のそれぞれに対する接線のうち、軸心A21、A22を挟んだ位置の2つの接線VL21と接線VL22の間に配置されている。
第1流路形成部50aは、第1流路形成部50aと蓄熱材拘束カバー21、22の横断面において、中央部分がy軸のマイナス側に湾曲している曲面状の部材である。第1流路形成部50aのx軸のマイナス側の端部は、円筒部21aの貫通孔23が形成されていない外壁であってz軸のプラス側の外壁に接合されている。また、第1流路形成部50aのx軸のプラス側の端部は、円筒部22aの貫通孔24が形成されていない外壁であってz軸のプラス側の外壁に接合されている。
第1流路形成部50bは、第1流路形成部50bと蓄熱材拘束カバー21、22の横断面において、中央部分がy軸のプラス側に湾曲している曲面状の部材である。第1流路形成部50bのx軸のマイナス側の端部は、図4に示すように、円筒部21aの貫通孔23が形成されていない外壁であって、貫通孔23が形成されている部位を挟んで第1流路形成部50aと接合されている部位とは反対側の外壁に接合されている。また、第1流路形成部50bのx軸のプラス側の端部は、円筒部22aの貫通孔24が形成されていない外壁であって、貫通孔24が形成されている部位を挟んで第1流路形成部50aと接合されている部位とは反対側の外壁に接合されている。
第2流路形成部50cの1つは、第1流路形成部50a、50bのy軸のマイナス側に位置する略矩形状の部位である。第2流路形成部50cは、第1流路形成部50aのy軸のマイナス側の端部と、第1流路形成部50bのy軸のマイナス側の端部と、蓄熱材拘束カバー21の閉塞部21bと、蓄熱材拘束カバー22の閉塞部22bとに、流路55の気密を保つように接合されている。第2流路形成部50cには、蒸気流路10bと流路55とを連通する2つの開口50dが形成されている。
第2流路形成部50cのもう1つは、第1流路形成部50a、50bのy軸のプラス側に位置する矩形状の部位である。第2流路形成部50cは、第1流路形成部50aのy軸のプラス側の端部と、第1流路形成部50bのy軸のプラス側の端部と、蓄熱材拘束カバー21の閉塞部21cと、蓄熱材拘束カバー22の閉塞部22cとに、流路55の気密を保つように接合されている。
以上説明した、本実施形態の化学蓄熱反応器3によれば、流路形成部材50は、蓄熱材拘束カバー21と蓄熱材拘束カバー22との間の空間部を利用して、蓄熱材11、12とに反応する蒸気が流れる流路55を形成する。これにより、化学蓄熱反応器3を構成する部品の点数を少なくすることができるとともに、軽量で体格を小さくすることができる。
<第4実施形態>
図5は、第4実施形態における化学蓄熱反応器4の模式図である。第4実施形態の化学蓄熱反応器4は、第1実施形態の化学蓄熱反応器1(図2)と比較すると、複数の蓄熱材拘束カバーが環形状に配置されている点が異なる。なお、図5では、蓄熱材拘束カバーの構成をわかりやすくするため、蓄熱材の大きさに対して蓄熱材拘束カバーの厚みを大きく示している。
化学蓄熱反応器4は、複数の蓄熱材15と、複数の蓄熱材拘束カバー25と、複数の内側流路形成部材60と、複数の外側流路形成部材61と、を備える。
蓄熱材15は、第1実施形態と同様に、例えば、酸化カルシウムの円柱状の成形体である。本実施形態では、化学蓄熱反応器4は、12本の蓄熱材15を備えている。
蓄熱材拘束カバー25は、円筒状の部材であって、円筒部25aと、図示しない二つの閉塞部とを含む。本実施形態では、化学蓄熱反応器4は、12本の蓄熱材拘束カバー25を備えている。12本の蓄熱材拘束カバー25は、図5に示すように、それぞれの軸心A25が互いに平行な状態で、それぞれの軸心A25上の点が、仮想円VL4上に並んで配置されている。これにより、12本の蓄熱材拘束カバー25は、全体として環形状に並んで配置されている。
円筒部25aは、第1実施形態の円筒部21a、22aと同様に、横断面が円形状の筒状の部位であって、円筒状に加工した一部がメッシュ状となっているシート状の部材を、蓄熱材15の径外方向の外面を覆うように形成されている。円筒部25aの外壁の一部には、蓄熱材15を構成する粒状物の通過を制限し蒸気の通過を許容する貫通孔26が形成されている。本実施形態では、貫通孔26は、図5に示すように、円筒部25aの横断面において、軸心A25を挟む位置の2か所の外壁に形成されている。
円筒部25aは、y軸のプラス側とマイナス側の開口のそれぞれを、二つの閉塞部によって塞がれている。これにより、蓄熱材拘束カバー25は、貫通孔26を除いて、内部の気密が保たれている。なお、本実施形態では、円筒部25aは、断面が円形状の筒状に形成されているが、断面が矩形の筒状や他の形状であってもよい。
内側流路形成部材60は、環形状に並んで配置されている12本の蓄熱材拘束カバー25のうち、互いに隣接している蓄熱材拘束カバー25の一方から他方にわたって配置されている。したがって、本実施形態では、化学蓄熱反応器4は、図5に示すように、12個の内側流路形成部材60を備える。
内側流路形成部材60は、仮想円VL4の内側において、互いに隣接する蓄熱材拘束カバー25の外壁に接合されている。これにより、内側流路形成部材60と、蓄熱材拘束カバー25との間に形成される12個の流路65は、仮想円VL4の内側に位置する。流路65は、円筒部25aの貫通孔26を介して蓄熱材拘束カバー25の内側と連通するとともに、蒸気流路10bにも連通している。
外側流路形成部材61は、仮想円VL4の外側において、互いに隣接している蓄熱材拘束カバー25の一方から他方にわたって配置され、互いに隣接する蓄熱材拘束カバー25の外壁に接合されている。したがって、本実施形態では、化学蓄熱反応器4は、図5に示すように、12個の外側流路形成部材61を備える。外側流路形成部材61と、蓄熱材拘束カバー25との間に形成される12個の流路66は、円筒部25aの貫通孔26を介して蓄熱材拘束カバー25の内側と連通するとともに、蒸気流路10bにも連通している。
以上説明した、本実施形態の化学蓄熱反応器4によれば、環形状に配置されている複数の蓄熱材拘束カバー25の内側に、蓄熱材15と熱交換する熱交換流体を流すことが可能な熱交換流路68(図5参照)を形成することができる。これにより、熱交換流路を別途設ける必要がなくなるため、化学蓄熱反応器4の体格をさらに小さくすることができる。
また、本実施形態の化学蓄熱反応器4によれば、蒸気が流れる流路65は、複数の蓄熱材拘束カバー25が配置されている環形状の内側に形成されるため、環形状の外側に位置する複数の蓄熱材拘束カバー25の外面を、主に化学蓄熱反応器4の外部への伝熱面とすることができる。これにより、化学蓄熱反応器4は、効率的に放熱と蓄熱とを繰り返すことができる。
<第5実施形態>
図6は、第5実施形態における化学蓄熱反応器5の模式図である。第5実施形態の化学蓄熱反応器5は、第4実施形態の化学蓄熱反応器4(図5)と比較すると、複数の蓄熱材拘束カバー間の位置関係、および、流路形成部材の形状が異なる。なお、図6では、蓄熱材拘束カバーの構成をわかりやすくするため、蓄熱材の大きさに対して蓄熱材拘束カバーの厚みを大きく示している。
化学蓄熱反応器5は、複数の蓄熱材15と、複数の蓄熱材拘束カバー25と、複数の流路形成部材70と、を備える。
化学蓄熱反応器5は、6本の蓄熱材拘束カバー25を備えている。6本の蓄熱材拘束カバー25は、図6に示すように、それぞれの軸心A25が互いに平行な状態で、それぞれの軸心A25上の点が、仮想楕円VL5上に並んで配置されている。これにより、6本の蓄熱材拘束カバー25は、全体として楕円形状に並んで配置されている。
流路形成部材70は、1つの筒状の部材であって、複数の蓄熱材拘束カバー25に対して、蓄熱材拘束カバー25の外壁のうち仮想楕円VL5の内側に位置する外壁のそれぞれに接続する。流路形成部材70は、蓄熱材拘束カバー25とともに、蒸気が流れる流路75を形成する。本実施形態では、図6に示すように、1つの流路形成部材70によって、6つの流路75が形成される。
蓄熱材拘束カバー25の貫通孔26は、図6に示すように、円筒部25aの外壁において、仮想楕円VL5の内側に形成されている。貫通孔26は、蓄熱材拘束カバー25の内側と流路75とを連通する。
以上説明した、本実施形態の化学蓄熱反応器5によれば、複数の流路75を、1つの筒状の部材である流路形成部材70を用いて形成することができる。これにより、化学蓄熱反応器5を構成する部品の数を低減することができる。
また、本実施形態の化学蓄熱反応器5では、筒状に形成されている流路形成部材70の内側を、熱交換流路68(図6参照)とすることができる。これにより、熱交換流路を別途設ける必要がなくなるため、化学蓄熱反応器5の体格をさらに小さくすることができる。
<第6実施形態>
図7は、第6実施形態における化学蓄熱反応器6の模式図である。第6実施形態の化学蓄熱反応器6は、第4実施形態の化学蓄熱反応器4(図5)と比較すると、複数の蓄熱材拘束カバーの一部が、環形状に配置される蓄熱材拘束カバーの内側に配置されている点が異なる。なお、図7では、蓄熱材拘束カバーの構成をわかりやすくするため、蓄熱材の大きさに対して蓄熱材拘束カバーの厚みを大きく示している。
化学蓄熱反応器6は、複数の蓄熱材15、17と、複数の蓄熱材拘束カバー25、27と、複数の内側流路形成部材60と、複数の外側流路形成部材61と、複数の流路形成部材62と、を備える。
蓄熱材17は、第1実施形態と同様に、例えば、酸化カルシウムの円柱状の成形体である。蓄熱材17は、蓄熱材15より外径が小さい。本実施形態では、化学蓄熱反応器6は、12本の蓄熱材15と、8本の蓄熱材17を備えている。
蓄熱材拘束カバー27は、横断面が円形状の筒状の部材であって、外径が蓄熱材拘束カバー25の外径より小さい。蓄熱材拘束カバー27は、互いに平行な状態で配置されている。本実施形態では、蓄熱材拘束カバー27は、軸心A27上の点が、図7に示す仮想円VL4より直径が小さい仮想円VL6上に並んで配置されている。
流路形成部材62は、互いに隣接している蓄熱材拘束カバー27の一方から他方にわたって配置されており、当該隣接している蓄熱材拘束カバー27の間の空間部を覆い、流路67を形成する。流路67は、仮想円VL6の外側に位置する。
以上説明した、本実施形態の化学蓄熱反応器6によれば、蓄熱材拘束カバー27は、環形状に配置されることによって熱交換流路68を形成している蓄熱材拘束カバー25の内側に配置されている。これにより、熱交換流路68が大きくなっても、熱交換流路68を流れる熱交換流体との熱交換を、環形状に配置されている蓄熱材拘束カバー25と、蓄熱材拘束カバー27とによって同時に行うことができる。したがって、熱交換をさらに効率的に行うことができるため、熱の回収率を向上することができる。
<第7実施形態>
図8は、第7実施形態における化学蓄熱反応器7の模式図である。図9は、第7実施形態における別の化学蓄熱反応器7の模式図である。第7実施形態の化学蓄熱反応器7は、第1実施形態の化学蓄熱反応器1(図2)と比較すると、一方向に並べられている複数の蓄熱材拘束カバーが当該一方向とは異なる方向に積層されている点が異なる。なお、図8と図9では、蓄熱材拘束カバーの構成をわかりやすくするため、蓄熱材の大きさに対して蓄熱材拘束カバーの厚みを大きく示している。
化学蓄熱反応器7は、図8に示すように、8つの蓄熱材11と、互いに接合されている8つの蓄熱材拘束カバー21と、2つの流路形成部材81、82とを備える。
8つの蓄熱材拘束カバー21のうち化学蓄熱反応器7のz軸のマイナス側に位置する4つの蓄熱材拘束カバー21(以下、「蓄熱材拘束カバー21d」という)は、互いに平行な状態で、x軸方向に一列に並べられている。4つの蓄熱材拘束カバー21dのz軸のマイナス側には、4つの蓄熱材拘束カバー21dに接合する流路形成部材81が配置されている。流路形成部材81は、4つの蓄熱材拘束カバー21dとの間に、蒸気が流れる流路83を形成する。流路83は、蓄熱材拘束カバー21dの貫通孔21eを介して蓄熱材拘束カバー21dの内側に連通している。
8つの蓄熱材拘束カバー21のうち化学蓄熱反応器7のz軸のプラス側に位置する4つの蓄熱材拘束カバー21(以下、「蓄熱材拘束カバー21f」という)は、互いに平行な状態で、x軸方向に一列に並べられている。4つの蓄熱材拘束カバー21fのz軸のプラス側には、4つの蓄熱材拘束カバー21fに接合する流路形成部材82が配置されている。流路形成部材82は、4つの蓄熱材拘束カバー21fとの間に、蒸気が流れる流路84を形成する。流路84は、蓄熱材拘束カバー21fの貫通孔21gを介して蓄熱材拘束カバー21fの内側に連通している。
図8に示す化学蓄熱反応器7では、隣接する3つの蓄熱材拘束カバー21dと蓄熱材拘束カバー21fとの間の隙間85に、蓄熱材拘束カバー21d、21fの蓄熱材11と反応する蒸気が流れる。
また、化学蓄熱反応器7は、図9に示すように、z軸方向に4段に積層されてもよい。この場合、蓄熱材拘束カバー21dの列と蓄熱材拘束カバー21fの列との間には、蓄熱材11の外面を覆う蓄熱材拘束カバー21hが配置されている。蓄熱材拘束カバー21hは、隣接する者同士で接合されるとともに、蓄熱材拘束カバー21dまたは蓄熱材拘束カバー21fとも接合されている。
本実施形態では、隣接する3つの蓄熱材拘束カバー21hの間の隙間86と、隣接する蓄熱材拘束カバー21dと蓄熱材拘束カバー21hの間の隙間87と、隣接する蓄熱材拘束カバー21fと蓄熱材拘束カバー21hの間の隙間88に、蓄熱材拘束カバー21d、21f、21hの蓄熱材11と反応する蒸気が流れる。
以上説明した、本実施形態の化学蓄熱反応器7によれば、積層される蓄熱材拘束カバー21において、端に位置する蓄熱材拘束カバー21d、21fには、流路形成部材81、82によって形成される流路83、84を利用することによって、蓄熱材拘束カバー21d、21fの内側の蓄熱材11に蒸気を供給することができる。これにより、化学蓄熱反応器7を構成する部品の点数を少なくすることができるとともに、軽量で体格を小さくすることができる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
[変形例1]
第1実施形態では、流路形成部材30の第1流路形成部30aは、2つの蓄熱材拘束カバー21、22のz軸のプラス側に配置されるとした。しかしながら、流路形成部材30は、2つの蓄熱材拘束カバーのz軸のマイナス側に配置されてもよい。
また、第2実施形態では、流路形成部材40の第1流路形成部40a、40bのそれぞれは、2つの蓄熱材拘束カバー21、22のz軸のプラス側とマイナス側とに配置されるとした。第3実施形態では、流路形成部材50の第1流路形成部50a、50bのそれぞれは、2つの蓄熱材拘束カバー21、22のz軸のプラス側とマイナス側とに配置されるとした。プラス側またはマイナス側のいずれか片方であってもよい。
また、第4実施形態および第6実施形態では、内側流路形成部材60によって環形状の内側に流路65が形成され、外側流路形成部材61によって環形状の外側に流路66が形成されるとした。しかしながら、環形状の内側と外側のいずれか一方であってもよい。
[変形例2]
第1実施形態では、貫通孔23、24は、円筒部21a、22aの横断面において、中心角α1、α2が約90度の扇型の円弧に対応する円筒部21a、22aの外壁に形成されているとした。第2実施形態では、貫通孔23、24は、円筒部21a、22aの横断面において、中心角α1、α2が180度より若干小さい扇形状の円弧に対応する円筒部21a、22aの外壁に形成されているとした。第3実施形態では、貫通孔23、24は、円筒部21a、22aの横断面において、中心角α1、α2が90度より小さい扇形状の円弧に対応する円筒部21a、22aの外壁に形成されているとした。第4〜7実施形態では、流路65、75に連通可能な幅いっぱいに貫通孔26は、形成されている。しかしながら、貫通孔23、24、26が形成される角度は、これに限定されない。
図10は、第1実施形態の変形例の化学蓄熱反応器1の模式図である。図10に示されている貫通孔23、24は、円筒部21a、22aの横断面において、中心角α1、α2が45度より小さい扇形状の円弧に対応する円筒部21a、22aの外壁に形成されている。貫通孔23、24は、図10に示すように、流路35に連通している。これにより、化学蓄熱反応器1が蓄熱するとき蓄熱材拘束カバー21、22の内側で生成される蒸気は、貫通孔23、24および流路35を通って、化学蓄熱反応器1の外部に排出されるため、構成する部品の点数が少なくなり、軽量で体格を小さくすることができる。
[変形例3]
第1実施形態では、図1に示すように、貫通孔23、24は、蓄熱材拘束カバー21、22の軸心A21、A22の方向に連続して形成されているとした。しかしながら、貫通孔23、24は、連続して形成されていなくてもよい。不連続に形成されていてもよい。
[変形例4]
第1実施形態では、化学蓄熱装置が備える蒸発凝縮器10aは、化学蓄熱反応器1において発生する蒸気を凝縮し貯留する機能を有するとした。しかしながら、蒸発凝縮器10aが有する機能は、これに限定されない。蒸発凝縮器10aは、蒸気を凝縮し貯留する機能の他に、化学蓄熱反応器1が放熱するとき、蓄熱材11、12に蒸気を供給する機能を有してもよい。
[変形例5]
第2実施形態および第3実施形態では、第1流路形成部40a、40b、50a、50bは、中央部分が蓄熱材拘束カバー21、22に向かって湾曲している曲面状の部材であるとした。しかしながら、第1流路形成部40a、40b、50a、50bの形状はこれに限定されない。中央部分が蓄熱材拘束カバー21、22とは反対方向に向かって湾曲してもよい。この場合、第2実施形態および第3実施形態のように、第1流路形成部は、2つの蓄熱材拘束カバー21、22のそれぞれに対する2つの接線の間に配置されることが、化学蓄熱反応器の大型化を抑制するためには、望ましい。
[変形例6]
第4実施形態では、複数の蓄熱材拘束カバー25は、円形状に配置されるとした。第5実施形態では、複数の蓄熱材拘束カバー25は、楕円形状に配置されるとした。しかしながら、複数の蓄熱材拘束カバー25が配置される形状は、これに限定されない。閉じられていない曲線状に配置されていてもよく、本発明の化学蓄熱反応器では、流路形成部材と隣接する蓄熱材拘束カバーとによって流路を形成できるため、複数の蓄熱材拘束カバーの配置の自由度を比較的高くすることができる。
[変形例7]
第6実施形態では、複数の蓄熱材拘束カバー27は、環形状に配置されている蓄熱材拘束カバー25の内側において、環形状に配置されるとした。しかしながら、蓄熱材拘束カバー27が配置される形状は、これに限定されない。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1、2、3、4、5、6、7…化学蓄熱反応器
10…化学蓄熱装置
10a…蒸発凝縮器
10b…蒸気流路
11、12、15、17…蓄熱材
21、21d、21f、21h、22、25、27…蓄熱材拘束カバー
21a、22a、25a…円筒部
21b、21c、22b、22c…閉塞部
21e、21g、23、24、26…貫通孔
30、40、50、62、70、81、82…流路形成部材
30a、40a、40b、50a、50b…第1流路形成部
30b、30c、40c、50c…第2流路形成部
30d、40d、50d…開口
35、45、55、65、66、67、75、83、84…流路
60…内側流路形成部材
61…外側流路形成部材
68…熱交換流路
85、86、87、88…隙間
90…燃焼炉
91…ダクト
95…熱生成装置
96…蒸気生成装置

Claims (6)

  1. 化学蓄熱反応器であって、
    反応媒体と結合することで発熱し、前記反応媒体が脱離することで蓄熱する複数の蓄熱材と、
    前記複数の蓄熱材のそれぞれの外面を覆う筒状の外壁であって、前記反応媒体が通過可能な孔が形成されている外壁を有する複数の蓄熱材拘束カバーと、
    互いに隣接する一方の前記蓄熱材拘束カバーから他方の前記蓄熱材拘束カバーにわたって配置されており、前記一方の蓄熱材拘束カバーと前記他方の蓄熱材拘束カバーとの間の空間部を覆うことによって前記反応媒体が流れる流路を形成する流路形成部材と、を備え、
    前記流路は、前記蓄熱材拘束カバーの孔によって前記蓄熱材拘束カバーの内側に連通している、
    化学蓄熱反応器。
  2. 請求項1に記載の化学蓄熱反応器であって、
    前記複数の蓄熱材拘束カバーは、横断面が円形状となるように形成され、
    前記一方の蓄熱材拘束カバーと前記他方の蓄熱材拘束カバーとは、互いに沿うように配置されており、
    前記流路形成部材と前記複数の蓄熱材拘束カバーの横断面において、前記流路形成部材は、前記一方の蓄熱材拘束カバーと前記他方の蓄熱材拘束カバーのそれぞれの接点に接している、
    化学蓄熱反応器。
  3. 請求項1に記載の化学蓄熱反応器であって、
    複数の前記蓄熱材拘束カバーは、互いに平行な状態で、全体として環形状に並んで配置されており、
    前記流路は、前記環形状の内側に位置している、
    化学蓄熱反応器。
  4. 請求項3に記載の化学蓄熱反応器であって、
    前記流路形成部材は、前記環形状に並んだ前記複数の蓄熱材拘束カバーの内側に配置されている筒状の部材である、
    化学蓄熱反応器。
  5. 請求項3または請求項4に記載の化学蓄熱反応器であって、
    前記複数の蓄熱材拘束カバーは、環形状に配置されている第1のグループの内側に、環形状に配置されている第2のグループが位置する、
    化学蓄熱反応器。
  6. 化学蓄熱装置であって、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の化学蓄熱反応器と、
    前記流路に接続し、前記反応媒体を凝縮する凝縮部と、を備える、
    化学蓄熱装置。
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