以下、図面を参照しつつ、本発明に係るトンネル施工管理方法の実施形態について説明する。トンネル施工管理方法には、トンネル内の形状を三次元的に測量することができる管理システムが用いられる。先ず、管理システムについて説明する。
図1に示されるように、トンネル施工管理方法において用いられる管理システム1は、トンネル内の三次元形状を測量するレーザースキャナー10(三次元スキャナー)と、レーザースキャナー10の測量データに基づいてトンネルの施工を管理する管理装置20とを備える。
レーザースキャナー10は、例えば、レーザー光を照射して反射光の一部を受光するレーザーセンサー11と、レーザーセンサー11を回転自在に支持すると共に回転駆動する本体部12とを備える。レーザーセンサー11は、レーザー光の発光部(不図示)と、受光部(不図示)とを備える。レーザーセンサー11は、例えば、上下方向や左右方向に回転しながら面的にレーザー光を対象物に照射して、対象物から反射した一部の反射光を受信した時間を計測し、点群データを生成する。
レーザーセンサー11は、本体部12によりy軸回り(チルト方向に)に回転自在に支持されていると共に、回転駆動される。これによりレーザーセンサー11は、対象物に対して上下方向をスキャンすることができる。本体部12は、三脚Sに載置されている。本体部12は、自体を三脚Sに対してz軸回りに回転駆動する。これにより、レーザーセンサー11は、z軸回り(水平方向に)に回転自在に支持されていると共に、回転駆動される。
このよう、レーザースキャナー10は、対象物の所定領域を三次元的にスキャンすることができ、所定領域における対象物の表面形状のデータを取得することができる。
図2に示されるように、レーザースキャナー10は、例えば、掘削が終了した際にトンネルの掘削面や、切羽鏡面の表面を測量し、表面形状のデータを取得する。点群データを管理装置20に出力する。レーザースキャナー10は、例えば、掘削面にコンクリートが一次吹付けされた後にコンクリートの吹付け面を測量し、表面形状のデータを取得する。また、レーザースキャナー10は、例えば、支保工が建て込まれコンクリートが支保工の表面を覆うように二次吹付けされた後にコンクリートの吹付け面の表面形状を測量し、表面形状のデータを取得する。
管理装置20は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型端末装置、スマートフォン等の端末装置により実現される。管理装置20は、有線または無線によりレーザーセンサー11と通信可能に接続されている。
図3に示されるように、管理装置20は、レーザーセンサー11から取得したデータに基づいて対象物の三次元形状を演算する演算部21と、演算部21の演算結果に基づいて生成される各種の情報を表示する表示部22と、各種データを記憶する記憶部23とを備える。
演算部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
演算部21は、レーザーセンサー11が対象物に対して三次元スキャンした計測データを取得する。演算部21は、取得したデータに基づいて、対象物の三次元形状の画像データを生成する。演算部21による計測原理の詳細な説明は特許文献1に記載されている。演算部21は、例えば、対象物の三次元形状の画像データや数値データを生成することの他に、記憶部23に記憶された設計データと測定データとを比較した管理情報を生成する。演算部21は、表示部22を制御して生成した画像データ等の表示内容を表示させる。
表示部22は、演算部21により生成されたトンネル内の三次元形状の画像IMや管理情報を表示する。表示部22は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ等の表示装置により実現される。
記憶部23は、レーザーセンサー11により測量された測量データ、演算部により生成された画像データ、トンネルの設計事項を含む設計データ等を記録する。記憶部23は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置である。
次に、トンネルの掘削を管理するトンネル施工管理方法について説明する。トンネル施工管理方法は、例えば、山岳トンネルの工事において適用される。山岳トンネルの施工では、地山を発破、機械または人力を用いて掘削した後、地山を支持するための支保工を構築して内部空間を保ちながら地山を掘り進めてトンネルを建設する。
この施工方法によれば、切羽を形成する掘削後から支保工の構築完了までの間は、切羽付近の地山が自立するという前提で施工が進められる。そのため、山岳トンネルの施工管理は、地山の崩落を防止するために掘削が行われた後の施工手順などを事前に十分に検討を行って設定する必要がある。
山岳トンネルの施工は、施工箇所に関する工事用の図面及び仕様書などのトンネル設計図書に従って施工される。実際の施工管理においては、トンネル設計図書に記載された設計事項に対して余裕を考慮して施工するようにトンネル施工管理が行われる。例えば、トンネルの掘削箇所は、設計上の覆工の巻厚を確保するために、トンネルの設計断面積より大きくなるように余掘りが行われる。
従って、トンネルの掘削箇所は、余掘りの幅を含めて正確に掘削されることが求められる。正確な施工がなされずにトンネルを掘削してトンネルの線形のずれや余掘り部の不足などが生じた場合、トンネルの表面を整えるための覆工を施工した後に、設計に対する出来形の不足が顕在化し、再施工を余儀なくされる可能性がある。また、トンネルの掘削面において過剰な余掘り部が生じた部分にトンネル支保構造が施工されると、トンネルの覆工面の形状が不連続な凹凸状の部分が生じて、トンネル支保構造およびトンネルの覆工の力学的安定性と長期的な耐久性に悪影響をおよぼす可能性がある。
このように不適切な施工を進めて再施工をする必要が生じた場合、材料や施工時間のロスが多く発生する可能性がある。このようなことから、トンネルの掘削のサイクルの施工過程においては、掘削切羽形状、鏡吹付け厚、トンネル掘削面の余掘り、吹付けコンクリート厚、支保工仕上がり面などの出来形を正確に測定して数値で確認すると共に、測定結果を設計事項と対比して出来形が設計通りであるか否かを評価してトンネル施工にフィードバックさせるという施工管理が求められる。
例えばこのようなフィードバックをトンネルの掘削の工程において、所定の距離を掘削する一つの施工単位のサイクル毎に行えば、早い段階で施工箇所を修正することができる。山岳部に施工される山岳トンネルの施工においては、掘削する地山性状に応じて、一掘進の進長が例えば、1.0、1.2、1.5、2.0[m]などの所定距離で定められた施工単位で管理されている。
山岳トンネルの施工には、例えば、掘削に爆薬を用いた爆破(発破)による掘削方式が用いられる。爆破による掘削方式では、例えば、以下の複数の工程が一進長の掘削の1サイクルとして施工管理される。
トンネル掘削方向における先端の掘削面における発破パターンを計画する。次に、計画に従って掘削面に火薬を挿入するための複数の孔を穿孔する。次に、穿孔した孔に火薬を装薬し、起爆用の配線(配管)を行う。次に火薬を爆破することにより一掘進長分の掘削を行い、爆破によって形成された掘削面を整形する。このとき、爆破で破砕された岩を施工現場に応じてホイルローダー、ダンプトラック、ベルトコンベアー、トロッコ等を用いてトンネルの外部に運搬する。
掘削箇所の形状を三次元的に測量し、掘削面に支保工を施工するための位置出しを行う。次に、成形した掘削面に対して岩石等が落下する肌落ちを防止するためのコンクリートの一次吹付けを行う。次に、トンネルに生じる地圧の荷重を支えて崩落を防止するためのアーチ形状の鋼鉄製の枠体からなる支保工を施工する。支保工の施工後は、一次吹付けコンクリート面及び支保工を覆うように例えば10[cm]〜25[cm]程度の厚さのコンクリートの二次吹付けを行い、トンネル支保構造を形成する。
次に、トンネルの断面方向から見て壁面から地山に対して放射状に、3[m]〜4[m]程度の鋼棒製のロックボルトを複数個所に打ち込み、地山の不連続面を縫い付ける。そして、トンネル出来形を確認し、掘削の1サイクルの工程が終了する。このような掘削の1サイクルの工程を繰り返すことにより、トンネル掘削面に支保工が所定の間隔で施工される。
上記の掘削の1サイクルの工程が所定回数行われて所定数の支保工が施工された後、覆工コンクリートを施工する。この覆工の施工は、トンネル変位の収束を確認してから行われ、吹付けコンクリート表面に防水シートを張り付け、トンネル内への漏水を防止する。そして、鉄筋構造区間では、トンネルの壁面に沿って覆工を補強するための鉄筋が組まれる。次に、吹付けコンクリートの壁面が形成されたトンネルの断面よりやや小さい断面積の半円筒形の移動型枠(セントル)を用いてトンネルの壁面と鉄筋とをコンクリートで覆工して覆工面を形成する。
次に、レーザースキャナー10を用いたトンネルの施工箇所の測量工程と、管理装置20により測量結果を用いて施工箇所の三次元情報を生成する工程について説明する。
図4は、トンネルの施工の各工程において測量のタイミングが設定されたトンネル施工工程の一例を示す図である。図示するようにトンネル施工工程は、上述した一掘進の施工単位のサイクルを施工する過程において、レーザースキャナー10によるデジタル測量を実施して、トンネル掘削箇所の出来形を可視化すると共に、測定された数値で確認し、掘削箇所の施工状態を評価して、合理的にトンネル施工管理をするものである。レーザースキャナー10を用いると、トンネルの掘削面の三次元の形状を短時間でデジタル測量することができる。
トンネル掘削の1サイクルの各工程の中では、レーザースキャナー10による測量のタイミングは、コンクリートの吹付け工程の前後で計2回行われる。
図5に示されるように、管理装置20は、測量により得られた測量結果に基づいて、トンネルT内の三次元形状の画像IMを生成する。トンネルTの掘削方向の先端には、掘削施工により半円形の切羽鏡面T1が形成されている。切羽とは、山岳トンネル工事現場におけるトンネルの掘削の最先端の場所において地山が露出している領域全体をいう。切羽鏡面T1は、切羽において、掘削の進行方向に対して略垂直に形成された面である。
切羽鏡面T1には、後述のように肌落ちを防止するためにコンクリートが吹付けられる。切羽鏡面T1に接してアーチ状のトンネル掘削面T2が形成されている。トンネル掘削面T2には、コンクリートが吹付けられる。トンネル掘削面T2の壁面には、アーチ状に形成された鋼鉄製の支保工50が設けられる。支保工50の後方の所定幅の領域には、コンクリートが吹付けられて、一間後方吹付け面T3が形成される。
掘削によって形成される切羽の位置は、掘削後に設計値との比較による評価対象となる。例えば、施工済みの支保工50の先端位置から前後に最大2.0〜6.0[m]の領域は評価対象となる。トンネル施工管理方法では、トンネルを掘削する1サイクルにおいて、掘削が行われた直後の切羽鏡面T1、トンネル掘削面T2、およびコンクリートに二次吹付けが行われた後の支保工50の表面がレーザースキャナー10で測定される。
図6は、レーザースキャナー10による測量に基づいて評価される評価対象の一例を示す図である。次に、トンネルTの掘削工程の後とコンクリートの二次吹き工程の後とに実施される測量工程について説明する。先ず、トンネルTの掘削工程の後において実施される測量工程とその後の処理について説明する。トンネルTの掘削工程の後には、例えば、切羽鏡面T1と、トンネル掘削面T2の測量が実施される。
演算部21は、トンネルの掘削工程が施工された後の測量結果に基づいて、例えば、切羽鏡面T1の三次元形状の画像及び数値データを表示部22に表示させる。管理者は、管理装置20の表示部22に表示された画像及び数値を確認し、合理的な切羽形状であるか否か、切羽を掘削する際に施工された掘削補助工が適切であるか否か等のトンネルの掘削工程が施工された後の状態を確認することができる。
演算部21は、また、切羽鏡面T1の形状の画像及び測量データと設計データとを比較し、切羽鏡面の目標形状と、切削により形成された切羽鏡面T1の表面形状との差を演算し、例えば、切羽鏡面T1の三次元画像に目標形状を重畳した画像や差分の数値データを表示部22に表示させる。この時、演算部21は、測量データと設計データとを比較して、基準以上の誤差が生じていると判定した場合、表示部22にその旨を表示させてもよい。
管理者は、表示部22に表示された画像及び数値等の情報を確認し、合理的な切羽形状であるか否か、切羽を掘削する際に施工された掘削補助工が適切であるか否か等のトンネルの掘削工程が施工された後の状態を確認することができ、施工箇所に基準に対して許容範囲を超える施工不良が生じている場合、施工箇所の修正を行うことができる。例えば、切羽形状が設計値と異なる場合、設計値に合わせて切羽鏡面T1の周囲を掘削して形状を整えるように修正する施工が行われる。
また、演算部21は、トンネルTの掘削工程が施工された後の測量結果に基づいて、例えば、トンネル掘削面T2の三次元形状の画像及び数値データを表示部22に表示させる。管理者は、管理装置20の表示部22に表示された画像及び数値を確認し、トンネル掘削面T2の形状が適切であるか否か、余掘り量が適切であるか否か、発破による掘削のパターンが適切か否か等、トンネルTの掘削工程が施工された後の状態を確認することができる。
管理者は、上記と同様に、施工箇所に基準を満たさない施工不良が生じている旨の情報が表示部22に表示された場合、施工箇所の修正を行うことができる。例えば、トンネル掘削面T2の余掘り量が少ない場合やトンネルの中心線のずれが生じた場合、設計許容範囲を満たすように、トンネル掘削面T2を更に掘削する等の修正する施工が行われる。この時点でこのような施工管理を行えば、早い段階でトンネルの線形のずれを修正できることに加え、後述する覆工コンクリートを打設した際の設計巻厚を確保することができる。
次に、コンクリートの二次吹き工程の後において実施される測量工程とその後の確認項目について説明する。コンクリートの二次吹き工程の後には、例えば、鏡吹付け面、二次吹付け面、および一間後方吹付け面T3のコンクリートの厚さや範囲の測量が実施される。
先ず、鏡吹付け面の測量工程について説明する。鏡吹付け面は、切羽鏡面T1にコンクリートが吹付けられて形成された壁面である。鏡吹付けは、例えば、切羽鏡面T1に対し吹付け用のコンクリートを吹き付けることである。掘削により露出した地山からなる切羽鏡面T1を早期に吹付けコンクリートで覆うことにより、トンネル横断方向だけでなく、縦断方向の緩みも抑えることができる。
演算部21は、コンクリートの二次吹き工程の後の測量結果に基づいて、例えば、鏡吹付け面の三次元形状の画像及び数値情報を生成し、表示部22に表示させる。管理者は、管理装置20の表示部22に表示された画像及び数値を確認し、鏡吹付け面のコンクリートの吹付け厚と範囲が適切であるか否か等のコンクリートの二次吹き工程が施工された後の状態を確認することができる。
演算部21は、例えば、上記の切羽鏡面T1の測量工程で生成した切羽鏡面T1の情報(例えば、三次元座標)と鏡吹付け面の情報(例えば、三次元座標)とを比較して切羽鏡面T1の表面形状と鏡吹付け面の表面形状との差分に基づいて、鏡吹付け厚を算出する。
演算部21は、例えば、切羽鏡面T1の画像に鏡吹付け厚の画像を重畳して切羽鏡面T1における鏡吹付けの範囲と吹付け厚の分布を表示部22に表示させる。この時、演算部21は、鏡吹付け厚を厚さに応じて2階調に色分けして表示部22に表示させる。演算部21は、例えば、演算結果に基づいて、鏡吹付け面の三次元画像に目標形状を重畳した画像や差分の数値を表示部22に表示させてもよい。
鏡吹付けの施工に当たっては、地山の状態に応じて、適切な吹付け厚さを確保する必要があるので、管理者は、表示部22に表示された画像及び数値を確認し、設計通りの鏡吹付け面が形成されているか否か等、コンクリートの二次吹き工程が施工された後の状態を確認することができる。
管理者は、上記と同様に、施工箇所に基準に対して許容範囲を超える施工不良が生じている旨の情報が表示部22に表示された場合、直ちに施工箇所の修正を行うことができる。例えば、設計値と比較して、鏡吹付け面のコンクリートの吹付け厚さに不足が生じている領域が確認された場合、対象範囲に対してコンクリートを増吹きして設計値に合わせるように修正する施工が行われる。
次に二次吹付け面の測量工程について説明する。二次吹付け面は、トンネル掘削面T2と支保工50とにコンクリートが吹付けられて形成された壁面である。
演算部21は、コンクリートの二次吹き工程の後の測量結果に基づいて、例えば、二次吹付け面の三次元形状の画像及び数値データを表示部22に表示させる。演算部21は、この時、上記のトンネル掘削面T2の測量工程で生成したトンネル掘削面T2の情報(例えば、三次元座標)と二次吹付け面の情報(例えば、三次元座標)とを比較してトンネル掘削面T2の表面形状と二次吹付け面の表面形状との差分に基づいて、コンクリートの吹付け厚を算出する。
演算部21は、上記の算出に加えて、トンネル掘削面T2の表面形状と二次吹付け面の表面形状との差分に基づいて、余掘り吹付け範囲と余掘り吹付け厚を算出する。
演算部21は、例えば、トンネル掘削面T2の画像に二次吹付け面の画像を重畳してトンネル掘削面T2における吹付け厚の分布を表示部22に表示させる。この時、演算部21は、二次吹付け面の画像を吹付け厚の厚さに応じて3階調に色分けして表示部22に表示させる。また、演算部21は、例えば、二次吹付け面の画像において余掘り吹付け範囲と余掘り吹付け厚の情報を厚さに応じて3階調に色分けした画像を重畳して表示部22に表示させてもよい。
演算部21は、例えば、演算結果に基づいて、二次吹付け面の三次元画像に目標形状を重畳した画像や差分の数値を表示部22に表示させてもよい。管理者は、表示部22に表示された画像及び数値を確認し、施工目標に対して余裕がある二次吹付け面が形成されているか否か等、コンクリートの二次吹き工程が施工された後の状態を確認することができる。
管理者は、表示部22に表示された二次吹付け面の三次元形状の画像の情報を見て施工状態を直感的に確認することができる。管理者は、例えば、二次吹付け面のコンクリートの吹付け厚と範囲が適切であるか否か等のコンクリートの二次吹き工程が施工された後の状態を表示部22に表示された情報により確認することができる。
管理者は、上記と同様に、施工箇所に基準に対して許容範囲を超える施工不良が生じている旨の情報が表示部22に表示された場合、直ちに施工箇所の修正を行うことができる。例えば、施工目標値と比較して、吹付け厚に不足が生じている領域が確認された場合、対象範囲に対してコンクリートを増吹きして設計値に合わせるように修正する施工が行われる。
次に、一間後方吹付け面T3の測量工程について説明する。一間後方吹付け面T3は、支保工50の後方一間程度の幅の吹付けコンクリート壁面である。演算部21は、コンクリートの二次吹き工程の後の測量結果に基づいて、例えば、一間後方吹付け面T3の三次元形状の画像及び数値データを表示部22に表示させる。
演算部21は、例えば、演算結果に基づいて、一間後方吹付け面T3の三次元画像に目標形状を重畳した画像や差分の数値を表示部22に表示させてもよい。管理者は、表示部22に表示された画像及び数値を確認し、施工目標に対して余裕がある一間後方吹付け面T3が形成されているか否か等、コンクリートの二次吹き工程が施工された後の状態を確認することができる。
管理者は、表示部22に表示された一間後方吹付け面T3の三次元形状の画像の情報を見て施工状態を直感的に確認することができる。管理者は、二次吹き工程が施工された後のトンネル出来形状態を表示部22に表示された情報により確認することができる。
管理者は、上記と同様に、施工箇所に基準に対して許容範囲を超える施工不良が生じている旨の情報が表示部22に表示された場合、直ちに施工箇所の修正を行うことができる。例えば、施工目標値と比較して、一間後方吹付け厚に不足が生じている領域が確認された場合、対象範囲に対してコンクリートを増吹きして設計値に合わせるように修正する施工が行われる。
次に、コンクリートで覆工された覆工面の測量工程について説明する。上記のトンネル掘削の1サイクルの各工程の中で行われる測量に加えて、掘削のサイクルが複数回行われ、この覆工施工区間のトンネル変位が収束した後に、吹付けコンクリート表面と覆工施工後のコンクリート覆工面(内空表面形状)の三次元形状の測量が行われる。
演算部21は、覆工コンクリートの覆工面の表面形状の測量結果に基づいて、覆工面の三次元形状の画像を生成し、生成した画像及び数値データを表示部22に表示させる。演算部21は、この時、防水シートを張る工程より以前の工程で形成された二次吹付け面の表面形状の情報と、覆工面の表面形状の情報(例えば、三次元座標)とを比較して、二次吹付け面の表面形状と覆工面の表面形状との差分に基づいて、覆工コンクリートの巻厚を算出する。
演算部21は、また、トンネルの内空の設計値と覆工面の表面形状の情報とを比較して、トンネルの内空の設計値に対する覆工面の余裕を算出する。
演算部21は、覆工面の画像を巻厚の厚さに応じて3階調に色分けして表示部22に表示させる。また、演算部21は、例えば、覆工面の画像において巻厚の情報を厚さに応じて3階調に色分けした画像を重畳して表示部22に表示させてもよい。
管理者は、表示部22に表示された画像及び数値を確認し、施工目標に対して余裕がある覆工面が形成されているか否か等、覆工工程が施工された後の検測を行うことができる。
仮に覆工面において設計値に対する巻厚の不足や位置のずれが発見された場合、管理者は、覆工の施工をやり直しする。しかしながら、上述したように、トンネル施工管理方法により、一つの掘削のサイクル毎または1日1回の三次元測量が行われて適宜修正が行われているため、覆工面の施工をやり直しする必要がなくなる。
次に、トンネル施工管理方法により管理されるトンネル掘削の各工程の流れを説明する。図7は、トンネル施工管理方法により管理されるトンネル掘削の各工程の流れの一例を示すフローチャートである。
管理者は、作業者にトンネルを一進長の距離で掘削させる(ステップS100)。管理者は、作業者にレーザースキャナー10を用いて掘削箇所を三次元測量させる(ステップS102)。管理者は、管理装置20を用いて測量で得られたデータに基づいて、掘削箇所の三次元画像および数値を生成し掘削箇所を可視化する(ステップS104)。
管理者は、管理装置20に表示された三次元画像及び数値に基づいて、設計値と測量値とを比較する(ステップS106)。管理者は、管理装置20に表示された比較結果の情報に基づいて、施工箇所の出来形が基準を満たすか否かを確認する(ステップS108)。ステップS108で施工箇所の出来形が基準を満たさないことを確認した場合、管理者は、施工箇所が基準を満たすように修正する施工を作業者に行わせる(ステップS110)。
ステップS108で施工箇所の出来形が基準を満たすことを確認した場合、管理者は、作業者に掘削箇所にコンクリートを吹き付けさせ、一次吹付け面を形成させる(ステップS112)。管理者は、作業者に一次吹付け面において支保工を設置させる(ステップS114)。管理者は、作業者に一次吹付け面と支保工を覆うコンクリート吹付けによる二次吹付け面等を形成させる(ステップS116)。
管理者は、作業者にレーザースキャナー10を用いて二次コンクリート吹付けの施工箇所を三次元測量させる(ステップS118)。管理者は、管理装置20を用いて測量で得られたデータに基づいて、二次コンクリート吹付けの施工箇所の三次元画像および数値を生成し二次コンクリート吹付けの施工箇所を可視化する(ステップS120)。管理者は、管理装置20に表示された三次元画像及び数値に基づいて、設計値と測量値とを比較する(ステップS122)。
管理者は、管理装置20に表示された比較結果の情報に基づいて、施工箇所の出来形が基準を満たすか否かを確認する(ステップS124)。ステップS108で施工箇所の出来形が基準を満たさないことを確認した場合、管理者は、施工箇所が基準を満たすように修正する施工を作業者に行わせる(ステップS126)。ステップS108で施工箇所の出来形が基準を満たすことを確認した場合、管理者は、掘削のサイクルが所定回数行われたか否かを確認する(ステップS128)。
掘削のサイクルが所定回数未満の場合、管理者は、ステップS100に戻り、掘削のサイクルを再開する。掘削のサイクルが所定回数に達した場合、管理者は三次元測量により覆工区間のトンネル変位が収束したか否かを確認する(ステップS130)。トンネル変位が収束していない場合、変位速度が基準値以下となるまで所定の測定頻度で監視を繰り返す。トンネル変位が収束している場合、管理者は、作業者にレーザースキャナー10を用いて覆工施工区間に対して吹付けコンクリート表面を三次元測量させる(ステップS132)。
その後、管理者は、施工者に吹付けコンクリート表面に防水シートを張り付けさせ、トンネル内への漏水を防止する。また、管理者は、鉄筋が必要な区間では、施工者に鉄筋を組ませる(ステップS134)。管理者は、施工者に二次コンクリート吹付けの施工箇所にセントルを用いて覆工コンクリートを打設させ、覆工面を形成させる(ステップS136)。管理者は、作業者にレーザースキャナー10を用いて覆工面を三次元測量させる(ステップS138)。
管理者は、管理装置20を用いて測量で得られたデータに基づいて、覆工面の三次元画像および数値を生成し覆工面を可視化する(ステップS140)。管理装置20に表示された三次元画像及び数値に基づいて、覆工面の設計値と測量値とを比較して検測する(ステップS142)。
上述したように、トンネル施工管理方法によれば、レーザースキャナーを用いた三次元測量を行うことにより、トンネル内の形状を三次元的に測量してトンネルの出来形を評価し、評価結果を施工に反映することができる。また、トンネル施工管理方法によれば、施工者がリアルタイムでトンネルの出来形を確認すると共に、事業者がトンネルの出来形を検測することができる。更に、トンネル施工管理方法によれば、トンネルの一掘進毎の施工箇所の三次元測量の測量結果に基づいて、設計や施工目標に対する出来形を三次元形状の画像により可視化すると共に、数値化することができ、計画に対する余裕をリアルタイムに確認、照査でき、トンネルの合理的な施工を確実にすることができる。
以上、本発明に係るトンネル施工管理方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上述した実施形態では、トンネルの施工部分の測量にレーザースキャナーを用いたがこれに限らず、測定対象物の三次元形状が測定できればどのようなものを用いてもよい。また、管理装置20に表示される三次元画像に重畳される色分けされた画像は、3階調、5階調だけでなくより多くあるいはより少ない階調で表示されてもよい。