JP2020132899A - プラント部材用の黒色ステンレス鋼板 - Google Patents

プラント部材用の黒色ステンレス鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れるプラント部材用の黒色ステンレス鋼板を実現する。【解決手段】Mn:0.04〜1.20質量%を含み、さらにTi:0.05〜0.50質量%、Al:0.04〜1.00質量%、およびNb:0.05〜1.00質量%のうち1種以上を含むステンレス鋼板を素地(BM)とし、素地(BM)の表面に酸化皮膜(L)が形成されており、酸化皮膜(L)は、素地(BM)から近い順に、Al、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物を含む第1領域(L1)と、主としてCrの酸化物からなる第2領域(L2)と、Mnの濃化層、またはMnおよびTiの濃化層からなる第3領域(L3)とが積層された膜であり、第1領域(L1)の任意の断面において、第2領域(L2)との界面から深さ0.5μmまでの範囲に、断面積0.001μm2以上のAl、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物が、単位面積1μm2あたり10個以上分布している。【選択図】図1

Description

本発明は、プラント部材用の黒色ステンレス鋼板に関する。
ステンレス鋼は、耐食性、意匠性に優れた素材であり、ステンレス無垢材が有する光沢のある銀白色の地肌を活かし、内装・外装材、排ガス経路部材等に使用されている。一方で、銀白色以外の意匠が求められる場合は、様々な色調を持つステンレス鋼が適用される。ステンレス鋼に黒色の色調を付与する手段としては、化学発色法、塗装法、酸化処理法等が採用されている。
酸化処理法は、酸化性雰囲気でステンレス鋼を加熱し、表面に形成した酸化皮膜によって黒色の色調を付与するものである。酸化処理法は、ステンレス鋼の製造工程における焼鈍処理を利用できるので、工程数を追加する必要がなく、化学発色法および塗装法に比べて安価に黒色の色調を付与することが可能である。
特許文献1には、黒色の色調を付与するために黒色の外観を呈するめっきを施した黒色めっき鋼板が開示されている。この黒色めっき鋼板の主な用途として同文献には、車両設備用、架台(床板)用、容器(タンク)用、建築用、プラント部材用、および施設用の各用途が開示されている。
特開2017−190496号公報(2017年10月19日公開)
ここで、特にプラント部材用の鋼板には通常高い耐熱性を有することが求められるが、上記特許文献1に開示された黒色めっき鋼板は、プラント部材用として必ずしも十分な耐熱性を有していなかったという問題点がある。
本発明の一態様は、上記の問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、耐熱性に優れるプラント部材用の黒色ステンレス鋼板を実現することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るプラント部材用の黒色ステンレス鋼板は、Mn:0.04〜1.20質量%を含み、さらにTi:0.05〜0.50質量%、Al:0.04〜1.00質量%、およびNb:0.05〜1.00質量%のうち1種以上を含むステンレス鋼板を素地とし、当該素地の表面に酸化皮膜が形成されており、上記酸化皮膜は、上記素地から近い順に、Al、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物を含む第1領域と、主としてCrの酸化物からなる第2領域と、Mnの濃化層、またはMnおよびTiの濃化層からなる第3領域とが積層された膜であり、上記第1領域の任意の断面において、上記第2領域との界面から深さ0.5μmまでの範囲に、断面積0.001μm以上のAl、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物が、単位面積1μmあたり10個以上分布している。
上記構成によれば、耐熱性に優れるプラント部材用の黒色ステンレス鋼板を実現することができる。
本発明の一態様に係るプラント部材用の黒色ステンレス鋼板は、上記黒色ステンレス鋼板を、300℃〜700℃の加熱温度で、6時間〜100時間で加熱したときの、加熱前後の色差ΔEが1.8以下である。
上記構成によれば、加熱によっても色調が変わりにくいプラント部材用の黒色ステンレス鋼板を実現することができる。
本発明の一態様に係るプラント部材用の黒色ステンレス鋼板は、上記黒色ステンレス鋼板の表面に洗浄液を滴下し、3分後に拭き取る試験を行ったときの試験前後の色差ΔEが1.0以下である。
上記構成によれば、耐熱性かつ耐薬品性に優れるプラント部材用の黒色ステンレス鋼板を実現することができる。
本発明の一態様によれば、耐熱性に優れるプラント部材用の黒色ステンレス鋼板を実現することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る黒色ステンレス鋼板の表面構造を説明するための模式図である。 本発明の実施例に係る黒色ステンレス鋼板および比較例のステンレス鋼板の化学成分を示す表である。 本発明の実施例に係る黒色ステンレス鋼板および比較例のステンレス鋼板の昇温温度、酸化皮膜、黒色度、皮膜密着性、および耐食性の評価結果を示す表である。 本発明の実施例に係る黒色ステンレス鋼板および比較例のステンレス鋼板の耐熱性および皮膜密着性の評価結果を示す表である。 本発明の実施例に係る黒色ステンレス鋼板の耐薬品性の評価結果を示す表である。
(ステンレス鋼:素地と酸化皮膜)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るステンレス鋼板(黒色ステンレス鋼板)10は、Mn:0.04〜1.20質量%を含み、さらにTi:0.05〜0.50質量%、Al:0.04〜1.00質量%、およびNb:0.05〜1.00質量%のうち1種以上を含むステンレス鋼を素地BMとしている。また、ステンレス鋼板10は、素地BMの表面に酸化皮膜Lが形成されている。酸化皮膜Lの厚みは、0.70μm以上である。
また、同図に示すように、酸化皮膜Lは、素地BMから近い順に、Al、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物を含む第1領域L1と、主としてCrの酸化物からなる第2領域L2と、Mnの濃化層、またはMnおよびTiの濃化層からなる第3領域L3とが積層された膜となっている。第1領域L1では、Alの酸化物、Tiの酸化物、Mnの酸化物、またはそれらの複合酸化物のそれぞれが、第1領域L1内に点在する構造を有している。第3領域L3では、Mnの酸化物、またはMnおよびTiの酸化物を含む濃化層が存在している。L2+L3の皮膜の厚みは、0.30μm以上、より好ましくは0.40μm以上である。
この第1領域L1の任意の断面において、第2領域L2との界面から深さ0.5μmまでの範囲に、断面積0.001μm以上のAl、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物が、単位面積1μmあたり10個以上分布している。
ステンレス鋼を高温に加熱すると、Crを始めとする合金成分が酸素と結合し、Crの酸化物を主な組成とする酸化皮膜Lが生成する。そして、素地BMから成分元素が表面側に拡散していくこと、および雰囲気中から酸素、水蒸気等が酸化皮膜Lを介して素地BMに向けて拡散することにより、酸化皮膜Lが成長する。ステンレス鋼は、この酸化皮膜Lの成長に伴って表面が着色される。
酸化皮膜Lの主組成であるCrの酸化物が成長する過程では、素地BMから表面へのCrの拡散よりも表面におけるCrの酸化反応の方が速い速度で進行する。そのため、酸化皮膜L直下にある素地BM部分のCr濃度は、バルク部分のCr濃度に比較して著しく低下する現象が生じる。この現象は、Crの貧化現象と称されている。
酸化皮膜L直下のCr貧化の度合いと耐食性との間に密接な相関関係があり、Crの貧化が大きい材料ほど耐食性が低い。Crの貧化が耐食性を劣化させる原因は、次のように推察される。酸化処理で形成される酸化皮膜Lは、通常の2D仕上げ等の無垢のステンレス鋼板表面に形成されている酸化皮膜、いわゆる不動態皮膜に比較すると緻密さが非常に低いものと考えられる。そのため、酸化処理で形成された酸化皮膜Lは不動態皮膜に比べて保護能に劣り、得られるステンレス鋼板の耐食性が低くなる。
上述した図1に示す構造によれば、Crの貧化を小さくできるため耐食性を向上させることができる。ここで、Crの貧化が大きい程、耐食性が低下する。また、上記構造によれば、Cr酸化皮膜/母材界面に点在するAl、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物のアンカー効果により、酸化皮膜の皮膜密着性が向上し、高温からの冷却時の剥離が抑制される。これにより黒色皮膜が維持されることに加えて、皮膜による保護性を高め耐食性を維持することができる。また、この内部酸化物が生成する過程で生じた酸化皮膜/母材界面の凹凸により、Cr酸化皮膜を透過した光を酸化皮膜/母材界面で散乱させ反射を抑制することで、黒色度を高めるものと推察される。
なお、本発明の一態様に係る黒色ステンレス鋼板は、C:0.020質量%以下、Si:1.10質量%以下、Mn:0.04〜1.20質量%、P:0.040質量%以下、S:0.006質量%以下、Ni:0.10〜0.50質量%以下、Cr:13.55〜22.50質量%、Mo:0.03〜2.10質量%、およびN:0.006〜0.020質量%を含み、さらにTi:0.05〜0.50質量%、Al:0.04〜1.00質量%、およびNb:0.05〜1.00質量%のうち1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
酸化皮膜Lに酸化物として含まれるMnは、酸化処理で生成する酸化皮膜Lの最も表側の第3領域L3および/または内側の第1領域L1に濃化する。本発明者等の調査・研究によると、第3領域L3におけるMn酸化物の濃化が大きいほど黒色化が促進されていることが判った。黒色の目標色調を付与するためには、マトリックスに0.04質量%以上のMnが含まれ、このマトリックス濃度の5倍以上にMnが第3領域L3に濃化されていることが必要とされる。
しかし、ステンレス鋼板10に多量のMnが含まれると、鋼板中のSと結合し、孔食や発銹の起点となる非金属介在物を形成し、母材の耐食性を低下させる。そのため、本実施形態では、Mnの有害な影響がでないように、Mn含有量の上限を1.20質量%に設定した。
次に、Tiの酸化物は、酸化皮膜Lの表側の第3領域L3および内側の第1領域L1の両方に濃化する。黒色性に及ぼすTi酸化物の作用・効果を確保するためには、マトリックスのTi含有量を0.05質量%以上とし、第3領域L3でマトリックス濃度の5倍以上、第1領域L1でマトリックス濃度の7倍以上に酸化物としてのTiを濃化させることが有効である。しかし、ステンレス鋼板に多量のTiが含まれると、ステンレス鋼板の表面に疵が発生し易くなり、また鋳造スラブの靭性低下等によって製造性が悪くなる。そこで、本実施形態においては、Tiの有害な影響がでないように、Ti含有量の上限を0.50質量%に設定した。
次に、Alの酸化物は、酸化皮膜Lの内側の第1領域L1に濃化する。黒色化の効果を発揮させるためには、マトリックスのAl含有量を0.04質量%以上とし、マトリックス濃度の6倍以上にAlが第1領域L1に濃化されていることが有効である。しかし、ステンレス鋼板に多量のAlが含まれると、Tiと同様に表面疵が発生し易くなる。そこで、本実施形態においては、Al含有量の上限を1.00質量%に設定した。本発明が対象とするステンレス鋼板10は、Mnを含み、Ti、AlおよびNbのうち1種以上を含むことを必須とするが、これら元素以外に黒色性を損なうことなく耐食性や加工性の向上に有効な合金成分を含むこともできる。
(黒色性)
ステンレス鋼板10の表面は、明度指数(L)がL≦45、クロマティクネス指数(a、b)が、−5≦a≦5、−5≦b≦5、および黒色度(E)がE=(L*2+a*2+b*21/2≦45の範囲にあることが好ましい。これにより、鋼板表面の黒色性を向上させることができるため、意匠性に優れたステンレス鋼板10を実現できる。
(黒色ステンレス鋼板の製造方法)
本実施形態のステンレス鋼板10の製造方法では、Mn:0.04〜1.20質量%を含み、さらにTi:0.05〜0.50質量%、Al:0.04〜1.00質量%、およびNb:0.05〜1.00質量%のうち1種以上を含むステンレス鋼板に、露点が+20℃以上の酸化性雰囲気中で最高到達温度を800℃以上とし、500℃から800℃の温度範囲を10℃/秒以下の昇温速度で加熱する酸化処理を施す。
このうち、500〜600℃の範囲を緩やかに昇温することにより、Crの酸化皮膜の生成前に、Mn、またはMnおよびTiを酸化させることができる。600〜800℃の範囲を緩やかに昇温することにより、生成したCr酸化皮膜と母材の界面での酸素分圧を下げつつ、Al、Ti、およびMnのいずれか1つ以上を内部酸化させ点在させることができる。この内部酸化物の存在により、皮膜の密着性を向上させることができる。
上記方法によれば、上記の酸化処理は、通常のステンレス鋼板製造ラインに組み込まれている焼鈍工程で実施することができるため、工程数を増やすことなく、ステンレス鋼板10が製造される。
また、上記方法によれば、露点が+20℃以上の酸化性雰囲気中で加熱する酸化処理を施すため、Crの貧化を小さくでき、耐食性を向上させることができる。また、上記方法によれば、Cr酸化皮膜/母材界面に点在するAl、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物のアンカー効果により、高温からの冷却時の剥離を抑制し、酸化皮膜の皮膜密着性が向上する。これにより黒色度を維持することに加えて、皮膜による保護性を高め耐食性を維持することができる。また、この内部酸化物が生成する過程で生じた酸化皮膜/母材界面の凹凸により、Cr酸化皮膜を透過した光を、酸化皮膜/母材界面で散乱させ反射を抑制することで、黒色度を高めていると推察される。
〔実施例〕
以下、本発明に係る実施例について説明する。なお、本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
図2に示す化学成分を有するステンレス鋼を溶製し、熱間圧延によって板厚3mmの熱延板を作製した。この熱延板に1050℃で3分間焼鈍を施した後、ドライホーニングを用いて表面の酸化皮膜を除去した。その後、板厚1mmまで冷間圧延し、1030℃で1分間の仕上焼鈍を施した後、120番、240番および400番の乾式研磨紙を順次用いて手研磨を行った。図2の鋼組成は、質量%で示されており、残部がFeおよび不可避的不純物である。なお、図中の下線は、本発明の範囲外であることを示す。
その後、得られた鋼板の表面を黒色化するため、露点+40℃、10質量%O、90質量%Nの混合ガス雰囲気中で、1100℃、均熱3分の熱処理を行った。なお、500℃から800℃の温度範囲における昇温速度を変化させた実験を行った。
(皮膜密着性の評価試験)
圧縮試験機を用いて、試験片をR=2mmで角度90°に曲げ、曲げ部における酸化皮膜の剥離の有無を目視で確認した。剥離が無かったものを合格(○)、剥離が生じたものを不合格(×)と評価した。
(耐食性の評価試験)
孔食電位の測定には、3.5%のNaCl水溶液を使用し、30℃でAr脱気において試験を行った。上記のNaCl水溶液中に試験面を完全に浸し、10分間放置した後、ポテンショスタットを用いた動電位法により、電位掃引速度20mV/minで、自然電位からアノード分極曲線を得た。孔食電位は、アノード分極曲線において100μA/cmに対応する電位のうち、最も貴な値とした。
黒色ステンレス鋼板の孔食電位を、その素材(無垢材)との差異により評価した。同等以上もしくは低下幅50mV以下の場合を合格(○)、50mVを超えて低下した場合を不合格(×)と評価した。
上記の皮膜密着性および耐食性についての評価結果を図3に示す。実施例の鋼種では皮膜密着性に優れるともに、耐食性も良好であることが確認された。
図3において、トータル皮膜厚みは、GDS(Glow Discharge Spectroscopy)分析において、酸素強度がピークの1/4となる位置までの厚みを示す。また、内部酸化物の個数密度は、FIB加工により作製した断面試料のTEM観察において、酸化皮膜/母材界面から深さ0.5μmまでの範囲に存在する、断面積0.001μm以上のAl、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物の個数密度(個/μm)を示す。
また、皮膜密着性は、90°曲げ部の目視観察による評価を示す。また、耐食性は、孔食電位の素材(無垢材)との差異を示す。なお、図中の下線は、本発明の範囲外であることを示す。
以上の方法により得られたステンレス鋼板10は、プラント用途として、石油・ガス系発電設備の熱交換機、煙道、煙突や、石油・化学工場設備の各種タンク、集塵機、焼却炉、煙突、鉄鋼製造設備の焼結設備や熱風炉、ダクト・ダンパー・換気扇等の空調・換気設備,浄化設備,廃棄物処理設備,排煙設備,樋等の部材として使用される。
(耐熱性の評価試験)
次に、図4に示すように、No.1〜No.14の各鋼材について、耐熱性評価を行った。ここで、No.1〜No.6の作製方法は、図2に示す鋼種Aの化学成分を有するステンレス鋼を溶製し、熱間圧延によって板厚3mmの熱延板とした。この熱延板に1050℃で3分間焼鈍を施した後、ドライホーニングを用いて表面の酸化皮膜を除去した。その後、板厚1mmまで冷間圧延し、1030℃で1分間の仕上焼鈍を施した後、120番、240番および400番の乾式研磨紙を順次用いて手研磨を行った。その後、得られた鋼板の表面を黒色化するため、露点+40℃、10質量%O、90質量%Nの混合ガス雰囲気中で、1100℃、均熱3分の熱処理を行った。なお、500℃から800℃の温度範囲における昇温速度は、9.8℃/sとした。
一方、No.7〜No.10は、鋼種Aを原板とし、黒色化処理の代わりに市販のシリコーン系樹脂からなる500℃耐熱塗料による黒色塗装を施したものであり、塗膜厚みは約5μmである。No.11〜No.14の評価に用いた鋼材は、上記No.1〜No.6同様の工程で途中まで作製し、黒色化のための加熱処理を施さず400番までの乾式研磨仕上げとしたものである。耐熱性の評価は、これらの鋼材について、300℃〜900℃の加熱温度で、大気雰囲気下で、6時間または100時間加熱し、加熱前後の色差ΔE測定および皮膜剥離有無の評価試験を行った。
CIELAB色空間は、国際照明委員会(CIE)が策定したほぼ完全な色空間である。CIELAB色空間は、L、aおよびbの3つの座標で構成され、色差ΔEは、次式で与えられる。
ΔE=〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2
は色の明度を表し、L=0が黒、L=100が白の拡散色となる。aは、赤色/マゼンタ色と緑色との間の位置を表し、負の値が緑色寄りとなり、正の値が赤色/マゼンタ色寄りとなる。bは、黄色と青色との間の位置を表し、負の値が青色寄りとなり、正の値が黄色寄りとなる。
No.1〜No.5の各鋼材は、本発明の実施例に係る鋼材であり、加熱前後の色差ΔEがそれぞれ、0.4、0.3、0.9、1.8となり、何れの鋼材の色差ΔEも1.8以下となった。また、これらの鋼材は、加熱後の皮膜剥離はなかった。以上により、加熱によって色調が変わりにくいプラント部材用のステンレス鋼板10を実現することができる。
なお、ステンレス鋼板10の酸化皮膜は、高温で生成した酸化皮膜であるため、高温に強い。このため、ステンレス鋼板10はプラント部材用として十分な耐熱性を備える。
また、ステンレス鋼板10は、内部酸化物の存在(アンカー効果)により皮膜密着性を高めているため、皮膜剥離しにくいという特性を有する。
(耐薬品性の評価試験)
次に、図5に示すように、実施例1および2の各鋼材について、サンプル表面に500μLの洗浄液を滴下し、3分後に水で濡らした布にて洗浄液を拭き取り、各鋼材の色調の変化を観察した。
実施例1および2の各鋼材の試験前後の色差ΔEは、それぞれ、0.1および0.0となり、何れも1.0以下となった。以上により、実施例1および2の各鋼材は耐薬品性に優れていることが分かる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
BM 素地
L 酸化皮膜
L1 第1領域:Al、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物を含む
L2 第2領域:主としてCrの酸化物からなる
L3 第3領域:Mnの濃化層、またはMnおよびTiの濃化層からなる
10 ステンレス鋼板(黒色ステンレス鋼板)

Claims (3)

  1. Mn:0.04〜1.20質量%を含み、さらにTi:0.05〜0.50質量%、Al:0.04〜1.00質量%、およびNb:0.05〜1.00質量%のうち1種以上を含むステンレス鋼板を素地とし、当該素地の表面に酸化皮膜が形成されており、
    上記酸化皮膜は、上記素地から近い順に、Al、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物を含む第1領域と、主としてCrの酸化物からなる第2領域と、Mnの濃化層、またはMnおよびTiの濃化層からなる第3領域とが積層された膜であり、
    上記第1領域の任意の断面において、上記第2領域との界面から深さ0.5μmまでの範囲に、断面積0.001μm以上のAl、Ti、およびMnのいずれか1つ以上の内部酸化物が、単位面積1μmあたり10個以上分布していることを特徴とするプラント部材用の黒色ステンレス鋼板。
  2. 上記黒色ステンレス鋼板を、300℃〜700℃の加熱温度で、6時間〜100時間で加熱したときの、加熱前後の色差ΔEが1.8以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラント部材用の黒色ステンレス鋼板。
  3. 上記黒色ステンレス鋼板の表面に洗浄液を滴下し、3分後に拭き取る試験を行ったときの試験前後の色差ΔEが1.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラント部材用の黒色ステンレス鋼板。
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