JP2020132856A - ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡シート - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡シート Download PDF

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Abstract

【課題】均一微細な発泡セルが得られ、外観、熱成形性、耐衝撃性、軽量性、剛性、耐熱性、断熱性、耐油性等に優れた発泡シートおよび熱成形品を製造できるポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。【解決手段】(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)を67.5〜2.5重量部、(Y−i)〜(Y−v)の特性を有し、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなる多段重合体であるプロピレン系ブロック共重合体(Y)を2.5〜67.5重量部、及び、(Z−i)〜(Z−iii)の特性を有するプロピレン−・α−オレフィンランダム共重合体(Z)を10〜75重量部含むポリプロピレン系樹脂混合物100重量部に対して、結晶化核剤(K)を0.01〜1.0重量部含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物などである。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡成形時に発泡セルの独立気泡性が高く、セルが緻密でサイズが比較的均一に揃った発泡シートを提供することができ、特にTダイ法で3.0倍以上の高発泡倍率のシートを製造するために好適なポリプロピレン系樹脂組成物、これを用いた発泡シート、及び、それを使用して熱成形した成形体に関する。
ポリプロピレン樹脂の重要な成形加工法の一つとして、発泡成形がある。押出発泡成形や射出発泡成形で得られた各種の成形体は、断熱性や遮音性、クッション性、エネルギー吸収特性などの優れた特性を生かし、幅広い用途で使用されている。特に近年は、環境問題の観点から、材料の軽量化と環境負荷の低減が重要な技術開発の課題となり、発泡成形体が使われる技術領域が広がる傾向にあり、発泡性能が高い樹脂に対する需要は、強まっている。
発泡性能については気泡の独立性やサイズが重要な因子となっており、如何に気泡の独立性を高め、サイズを均一に緻密にするかが重要である。また、このような成形体は高い外観性を有する点でも好適である。特に食品包装分野においては惣菜容器、弁当容器等が発泡成形にて生産されているが、これらは食品を保存した状態で店頭に陳列されることもある為、容器に対しても高い外観性(意匠性)が求められている。
一般に食品用発泡トレー、発泡容器等の成形方法としては、押出発泡成形が用いられており、押出発泡成形の中でもTダイ法や丸ダイ法がある。Tダイ法の利点としては一般に押出直後に発泡シートが鏡面ロールで冷却されることにより発泡シート表面の光沢に優れ、後述する丸ダイ法と比較して比較的良好な外観性を有することがあるが、反面、鏡面ロールで発泡シートが扱かわれることにより、気泡の独立性維持が難しく、如何に気泡の破泡による外観性の低下を防ぐかが重要である。これは特に発泡倍率が3.0倍を超えるような高発泡倍率のシートになるに従い、気泡の成長に起因する気泡壁の破壊により気泡の合一が生じやすくなる為、気泡の独立性維持や高外観性の維持が難しくなる。
また、丸ダイ法によるシートの成形については、鏡面ロールでの速やかな発泡シート冷却がないため、Tダイ法と比較してシート表面の光沢や外観性に劣る傾向があるが、反面、高発泡倍率のシートが得られる特徴もある。
発泡性にも優れる材料については、従来、発泡成形に適した高溶融張力を有する長鎖分岐ポリプロピレンをベースとして、チーグラー・ナッタ触媒で重合された特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体をブレンドして発泡適性と容器外観性の両立を目的として材料開発が行われている(特許文献1〜3)。
一方で、Tダイ法を代表とする押出成形においては、生産性を高めるために、押出機のスクリュー回転数を上げ、シートの引取速度を上げることが一般に行われているが、このような高速でシートが成形される環境では、樹脂のせん断発熱による、樹脂温度の上昇や、引取速度を上げることで発泡シートに過度の引取張力が生じて、気泡の変形、合一、破壊等が引き起こされやすくなる。また、このような環境下で、特にTダイ法で3.0倍以上の発泡シートを得ることは従来の材料では不可能であり、生産性に優れるだけでなく、外観性にも優れる発泡シートを得る為の材料の開発を市場より強く求められていた。
特許第5624851号公報 特許第6064668号公報 特許第6089765号公報
本発明の目的は、従来技術の現状に鑑み、特に押出発泡のTダイ法で高速成形される環境下において、特に3.0倍以上の発泡倍率において、均一微細な発泡セルを有し、成形品の外観が良好なポリプロピレン系樹脂(多層)発泡体を得るための樹脂組成物を提供し、さらにそれを用いたポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シート、また、それを使用して熱成形した成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂、特定のプロピレン(共)重合体およびプロピレン−エチレン共重合体からなる多段重合体であるプロピレン系ブロック共重合体、特定のチーグラー・ナッタ触媒で重合されたプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体成分、および、結晶化核剤(K)を特定の配合量で調整することにより、特にTダイ発泡法で3.0倍以上の高発泡倍率においても、均一微細な発泡セルを有し、成形品の外観が良好で、かつ、耐熱変形性に優れる発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)を67.5〜2.5重量部、下記の(Y−i)〜(Y−v)の特性を有し、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなる多段重合体であるプロピレン系ブロック共重合体(Y)を2.5〜67.5重量部、及び、下記の(Z−i)〜(Z−iii)の特性を有するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)を10〜75重量部含むポリプロピレン系樹脂混合物100重量部(ただし、(X)、(Y)、(Z)の合計は100重量部である)に対して、結晶化核剤(K)を0.01〜1.0重量部含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(X−i)MFRが0.1〜30.0g/10分であること。
(X−ii)GPCによる分子量分布Mw/Mnが3.0〜10.0、且つMz/Mwが2.5〜10.0であること。
(X−iii)溶融張力(MT)(単位:g)は、log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または、MT≧15、のいずれかを満たすこと。
(X−iv)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)の全重量に対して5.0重量%未満であること。
(Y−i)(Y−1)と(Y−2)の割合は、(Y−1)が50〜99重量%、(Y−2)が1〜50重量%であること(但し、プロピレン系ブロック共重合体(Y)の全重量を100重量%とする。)。
(Y−ii)プロピレン系ブロック共重合体(Y)のMFRが0.1〜200.0g/10分であること。
(Y−iii)プロピレン系ブロック共重合体(Y)の融解ピーク温度が155℃を超えること。
(Y−iv)プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)中のエチレン含量が11〜60重量%であること(但し、プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)の構成モノマーの全重量を100重量%とする。)。
(Y−v)プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)の135℃デカリン中での固有粘度が5.3dl/g以上であること。
(Z−i)チーグラー・ナッタ触媒で重合されていること。
(Z−ii)DSCにて測定される融解ピーク温度が157℃以下であること。
(Z−iii)MFRが21.0g/10分以上であること。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において前記ポリプロピレン樹脂(X)が下記の特性(X−v)を有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される
(X−v):絶対分子量Mabsが100万における分岐指数gは、0.30以上0.95未満であること。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において前記ポリプロピレン樹脂(X)が下記の特性(X−vi)を有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(X−vi):13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上であること。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜第3のいずれかの発明において、前記結晶化核剤(K)が下記一般式(1)〜(2)で示されることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
Figure 2020132856

(式中、Rは、直接結合、硫黄、炭素数1〜9のアルキレン又は炭素数2〜9のアルキリデンであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素、炭素数1〜8のアルキル又は炭素数7〜9のアルキルアリールであり、MはLi、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlであり、nはMの価数である。)
Figure 2020132856

(式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素又は炭素数1〜12のアルキルであり、Mは、周期表第13族又は第14族の金属であり、Xは、Mが周期表第13族の金属である場合には、HO−であり、Mが周期表第14族の金属である場合には、O=又は(HO)−である。)
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜第3のいずれかの発明において、前記結晶化核剤(K)が下記一般式(3)で示されることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
Figure 2020132856

(式中、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立して、同一又は異なって、水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル又はフェニルであり、Rは、炭素数1〜20のアルキルである。)
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物であって、前記ポリプロピレン系樹脂混合物100重量部に対し、発泡剤を0.05〜6.0重量部含有することを特徴とする発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明に係る発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を押出成形してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡シートが提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートと、熱可塑性樹脂組成物からなる非発泡層とを、共押出してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂多層発泡シートが提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第7の発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートまたは第8の発明に係る多層発泡シートを、熱成形してなることを特徴とする成形体が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物または第6の発明に係る発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形法、熱成形法、押出成形法、ブロー成形法またはビーズ発泡成形法のいずれかの成形法で成形することにより得られることを特徴とする成形体が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、過酷な成形条件下でも均一微細な発泡セルが得られる特徴を有し、かつ、特にTダイ成形法で得られる発泡シートにおいては、3.0倍以上の高発泡倍率になっても均一微細な発泡セルが得られることより、外観が良好で、かつ、耐熱変形性に優れる成形品が得られる特徴を有する。
そして、得られるポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートおよびそれを用いた熱成形体は、発泡倍率に優れ、均一微細な発泡セルが得られ、外観、熱成形性、耐衝撃性、軽量性、剛性、耐熱性、断熱性、耐油性等に優れていることより、トレー、皿、カップなどの食品容器や自動車ドアトリム、自動車トランクマットなどの車両内装材、包装、文具、建材などに好適に利用することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と記載することもある。)は、下記の(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)を67.5〜2.5重量部、下記の(Y−i)〜(Y−v)の特性を有し、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなる多段重合体であるプロピレン系ブロック共重合体(Y)を2.5〜67.5重量部、及び、下記の(Z−i)〜(Z−iii)の特性を有するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)を10〜75重量部含有するポリプロピレン系樹脂混合物100重量部(ただし、(X)、(Y)、(Z)の合計は100重量部である)に対して、結晶化核剤(K)を0.01〜1.0重量部含むことを特徴とする。また、本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、上記のポリプロピレン系樹脂組混合物100重量部に対し、発泡剤を0.05〜6.0重量部含有することを特徴とする。
以下で、成分(X)、(Y)、(Z)、結晶化核剤(K)が満たすべき特性などについて、項目毎に、詳細に述べる。
I.長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、まず、以下の(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)を使用することを特徴とする。
特性(X−i):MFRが0.1〜30.0g/10分であること。
特性(X−ii):GPCによる分子量分布Mw/Mnが3.0〜10.0、且つMz/Mwが2.5〜10.0であること。
特性(X−iii):溶融張力(MT)(単位:g)は、
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7 または MT≧15
のいずれかを満たすこと。
特性(X−iv):25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)の全重量に対して5.0重量%未満であること。
以下、本発明で規定する上記各特性要件、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の製造方法などについて、具体的に述べる。
1.特性(X−i):MFR
本発明における長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜30.0g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは0.3〜20.0g/10分、更に好ましくは0.5〜10.0g/10分である。ポリプロピレン樹脂(X)のMFRが0.1g/10分以上であると、流動性不足による各種の成形に対して押出機の負荷が高すぎるなどの問題が生じにくく、一方、30.0g/10分以下であると、張力が十分あり、高溶融張力材としての特性が良好であり、適するものとなる。
なお、MFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」の附属書A表1、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定したもので、単位はg/10分である。
2.特性(X−ii):GPCによる分子量分布
また、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、分子量分布が比較的広いことが必要であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる分子量分布Mw/Mn(ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)が3.0以上10.0以下であることが必要である。長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の分子量分布Mw/Mnは、その好ましい範囲としては3.5〜8.0、更に好ましくは4.1〜6.0の範囲である。
さらに、分子量分布の広さをより顕著に表すパラメータとして、Mz/Mw(ここで、MzはZ平均分子量である)が2.5以上10.0以下であることが必要である。Mz/Mwの好ましい範囲は2.8〜8.0、更に好ましくは3.0〜6.0の範囲である。
分子量分布の広いものほど成形加工性が向上するが、Mw/MnおよびMz/Mwがこの範囲にあるものは、成形加工性に特に優れるものである。
なお、Mn、Mw、Mzの定義は「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算可能である。
GPCの具体的な測定手法は、以下の通りである。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工(株)製AD806M/S(3本直列)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
3.特性(X−iii):溶融張力(MT)
さらに、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、以下の条件(1)を満たす必要がある。
・条件(1)
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7
又は
MT≧15
のうちの少なくとも1つを満たす。
ここでMTは、(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Bを用いて、キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm、シリンダー径:9.55mm、シリンダー押出速度:20mm/分、引き取り速度:4.0m/分、温度:230℃の条件で、測定したときの溶融張力を表し、単位はグラムである。ただし、成分(X)のMTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引き取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。また、MFRの測定条件、単位は前述の通りである。
この規定は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が発泡成形のために充分な溶融張力を有するための指標であり、一般に、MTは、MFRと相関を有していることから、MFRとの関係式によって記述している。
このように、MTをMFRとの関係式で規定する手法は、当業者にとって通常の手法であって、例えば、特開2003−25425号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
log(MS)>−0.61×log(MFR)+0.82 (230℃)
(ここでMSは、上記MTと同義である。)
また、特開2003−64193号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
11.32×MFR−0.7854≦MT (230℃)
さらに、特開2003−94504号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
MT≧7.52×MFR−0.576
(MTは190℃、MFRは230℃で測定した値である。)
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が、上記条件(1)を満たせば、充分に溶融張力の高い樹脂といえ、発泡成形に有用である。また、以下の条件(1)’を満たすことがより好ましく、条件(1)”を満たすことが更に好ましい。
・・条件(1)’
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.9
又は
MT≧15
のうちの少なくとも1つを満たす。
・・条件(1)”
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+1.1
又は
MT≧15
のうちの少なくとも1つを満たす。
MTの上限値については、これを特に設ける必要はないが、MTが40g以下であるような場合には、上記測定手法では引き取り速度が著しく遅くなることはなく、測定が容易となる。このような場合は、樹脂の延展性も良好と考えられるため、好ましくは40g以下、さらに好ましくは35g以下、もっとも好ましくは30g以下である。
4.特性(X−iv):25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)
本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、製品となったときにベタツキやブリードアウトの原因となる低結晶性成分が少ないことが好ましい。この低結晶性成分は、25℃キシレン可溶成分量(CXS)によって評価され、それが成分(X)の全重量に対して、5.0重量%未満であることが必要であり、好ましくは3.0重量%以下であり、より好ましくは1.0重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以下である。下限については、特に制限されないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上である。CXS測定法の詳細は、以下の通りである。
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥し室温でキシレン可溶成分を回収する。この回収成分の重量の仕込み試料重量に対する割合[重量%]をCXSと定義する。
本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の付加的な特徴として、以下の(X−v)〜(X−vi)の特性が挙げられる。
5.特性(X−v):分岐指数g’
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が長鎖分岐構造を有することの直接的な指標として、分岐指数gをあげることができる。gは、長鎖分岐構造を有するポリマーの固有粘度[η]brと同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度[η]linの比、すなわち、[η]br/[η]lin によって与えられ、長鎖分岐構造が存在すると、1よりも小さな値をとる。
分岐指数g’の定義は、例えば、「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に記載されており、当業者にとって公知の指標である。
は、例えば、下記に記すような光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用することによって、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。
本発明で使用する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、光散乱によって求めた絶対分子量Mabsが100万の時に、g’が0.30以上0.95未満であることが好ましく、より好ましくは0.55以上0.95未満、更に好ましくは0.75以上0.95未満、最も好ましくは0.78以上0.95未満である。
以下に詳細に記述するとおり、本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、その重合機構から、分子構造としては櫛型鎖が生成すると考えられ、g’が0.30以上であると、主鎖が少なく側鎖の割合が極めて多いことにはならず、このような場合には、溶融張力が向上し、ゲルが生成するおそれがないため、発泡成形において好ましい。一方、g’が0.95未満である場合には、分岐が存在するため、溶融張力が不足しやすくなる傾向にはならず、発泡成形に適する。
なお、g’の下限値が上記の値であると好ましいのは、以下の理由による。
「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering vol.2」(John Wiley & Sons 1985 p.485)によると、櫛型ポリマーのg値は、以下の式で表されている。
Figure 2020132856
ここで、gは、ポリマーの回転半径比で定義される分岐指数であり、εは分岐鎖の形状と溶媒によって決まる定数で、同文献のp.487のTable3によれば、良溶媒中の櫛型鎖では、おおよそ0.7〜1.0程度の値が報告されている。λは櫛型鎖における主鎖の割合、pは平均の分岐数である。この式によると、櫛型鎖であれば、分岐数が極めて大きくなる、すなわち、pが無限大の極限で、g=gε=λεとなり、λεの値以下にはならないことになり、一般に下限値が存在することになる。
一方、電子線照射や過酸化物変成の場合において生じると考えられる、従来公知のランダム分岐鎖の式は、同文献中の485ページ式(19)で与えられており、これによると、ランダム分岐鎖では、分岐点が多くなるにつれ、g’およびg値は、特に下限値が存在することなく、単調に減少する。つまり、本発明において、g’値に下限値があるということは、本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、櫛型鎖に近い構造を有しているということを意味しており、これにより、電子線照射や過酸化物変成によって生成されるランダム分岐鎖との区別が、より明確となる。
また、g’が上記の範囲にある櫛型鎖に近い構造を有する分岐状ポリマーにおいては、混練を繰り返した際の溶融張力の低下度合いが小さく、工業的に成形体を生産する工程で発生する、例えばシート、フィルム成形時に端部をカットすることで生じる端材や、射出成形のランナー等の部材を、リサイクル材として再度成形に供する際に、物性や成形性の低下が小さくなることになり、好ましい。
具体的なg’の算出方法は、以下の通りである。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いる。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いる。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続する。移動相溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼン(BASFジャパン(株)製酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。
流量は1mL/分で、カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いる。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとし、注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。
MALLSから得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
[分岐指数(g’)の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度([η]br)と、別途、線状ポリマーを測定して得られる極限粘度([η]lin)との比([η]br/[η]lin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐構造が導入されると、同じ分子量の線状のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると、極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐構造が導入されるに従い同じ分子量の線状ポリマーの極限粘度([η]lin)に対する分岐ポリマーの極限粘度([η]br)の比([η]br/[η]lin)は、小さくなっていく。
したがって、分岐指数(g’=[η]br/[η]lin)が1.0より小さい値になる場合には、分岐が導入されていることを意味する。ここで、[η]linを得るための線状ポリマーとしては、市販のホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製ノバテックPP(登録商標) グレード名:FY6)を用いる。線状ポリマーの[η]linの対数は分子量の対数と線形の関係があることは、Mark−Houwink−Sakurada式として公知であるから、[η]linは、低分子量側や高分子量側に適宜外挿して数値を得ることができる。
6.特性(X−vi):13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率
本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、立体規則性が高いことが好ましい。立体規則性の高さは、13C−NMRによって評価することができ、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95.0%以上の立体規則性を有するものが好ましい。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合であり、その上限は100%である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。mm分率がこの値より小さいと、製品の弾性率が低下するなど機械的物性が低下する傾向にある。
従って、mm分率は、95.0%以上が好ましく、より好ましくは96.0%以上であり、さらに好ましくは97.0%以上である。なお、特性(X−iv)及び(X−vi)は、共に立体規則性に関連する特性であり、特性(X−iv)及び(X−vi)の要件を同時に満たしていることが特に好ましい。
なお、13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃においてプロトン完全デカップリング法で測定する。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定する。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
データポイント数:32768
mm分率の解析は、前記の条件により測定された13C−NMRスペクトルを用いて行う。
スペクトルの帰属は、Macromolecules,(1975年)8卷,687頁やPolymer, 30巻 1350頁(1989年)を参考に行う。
なお、mm分率決定のより具体的な方法は、特開2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に詳細に記載されており、本願明細書においても、この方法に従って行うものとする。
本発明において、特性(X−iii)がlog(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7を満たし、かつMabsが100万において、g’<1を満たすポリプロピレン樹脂は、長鎖分岐構造を有するといえる。
7.特性:長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の配合量
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の配合量は、67.5〜2.5重量部、好ましくは60.0〜10.0重量部、より好ましくは55.0〜15.0重量部、さらに好ましくは52.5〜17.5重量部である(ただし、(X)、(Y)、(Z)の合計は100重量部である)。長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の配合量がこの範囲内にあると、特にTダイ法で高速で成形され、かつ、3.0倍を超えるような高発泡倍率においても、せん断発熱や引取張力によりシートにかかる負荷を低減することが出来、気泡の独立性や緻密性に優れ、かつ、高い外観性を有する発泡シートを得ることが出来る。また、前記配合量が67.5重量部以下であると、流動性が十分となり、各種の成形に対して押出機の負荷が高すぎるなどの問題がなく、2.5重量部以上であると、溶融張力が十分となり、高溶融張力材としての特性に優れ、発泡成形に好適なものとなる。
8.長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の製造方法
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、上記した(X−i)〜(X−iv)、及び、好ましくは(X−v)〜(X−vi)の特性を満たす限り、特に製造方法を限定するものではないが、前述のように、高い立体規則性、低い低結晶性成分量、比較的広い分子量分布、分岐指数gの範囲、高い溶融張力等の全ての条件を満足するための好ましい製造方法は、メタロセン触媒の組み合わせを利用したマクロマー共重合法を用いる方法である。このような方法の例としては、例えば、特開2009−57542号公報に開示される方法が挙げられる。
この手法は、マクロマー生成能力を有する特定の構造の触媒成分と、高分子量でマクロマー共重合能力を有する特定の構造の触媒成分とを組み合わせた触媒を用いて、長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを製造する方法であり、これによれば、バルク重合法や気相重合法といった工業的に有効な方法で、特に実用的な圧力温度条件下の単段重合で、しかも、分子量調整剤である水素を用いて、目的とする物性を有する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の製造が可能である。
また、従来は、立体規則性の低いポリプロピレン成分を使用して結晶性を落とすことによって、分岐生成効率を高めなければならなかったが、上記の方法では、充分に立体規則性の高いポリプロピレン成分を、側鎖に簡便な方法で、導入することが可能であり、本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)として好ましい、高い立体規則性と低い低結晶性成分量に係る(X−vi)及び(X−iv)の特性を満足するのに好適である。
また、上記手法を用いれば、重合特性の大きく異なる二種の触媒を使用することで、分子量分布を広くでき、本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)に必要な(X−i)〜(X−iii)の特性を同時に満たすことが可能であり、好ましい。
そこで、以下に、本発明に使用される長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の好ましい製造法について、詳細に記載する。
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)を製造する好ましい方法として、プロピレン重合触媒に下記の触媒成分(A)、(B)および(C)を用いるプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。
(A):下記一般式(a1)で表される化合物である成分[A−1]から少なくとも1種類、および下記一般式(a2)で表される化合物である成分[A−2]から少なくとも1種類を選んだ2種以上の周期表4族の遷移金属化合物。
成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物
成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物
(B):イオン交換性層状珪酸塩
(C):有機アルミニウム化合物
以下、触媒成分(A)、(B)および(C)について、詳細に説明する。
(1)触媒成分(A)
(i)成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物
Figure 2020132856
一般式(a1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を示す。また、R13およびR14は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を表す。さらに、X11およびY11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。
上記R11およびR12の炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基としては、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
上記R13およびR14の炭素数6〜16の、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、または、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジ−t−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13およびR14が互いに同一である場合が好ましい。
一般式(a1)中、X11およびY11は、補助配位子であり、触媒成分(B)の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X11とY11は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基を示す。
一般式(a1)中、Q11は、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(a1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
これらのうち、更に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
(ii)成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物
Figure 2020132856
一般式(a2)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、R23およびR24は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基である。X21およびY21は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。M21は、ジルコニウムまたはハフニウムである。
上記R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R23およびR24は、それぞれ独立して、炭素数6〜16の、好ましくは炭素数6〜12の、ハロゲン、ケイ素、または、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としてはフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
また、上記X21およびY21は、補助配位子であり、触媒成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX21およびY21は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基を示す。
また、上記Q21は、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基であり、好ましくは置換シリレン基または置換ゲルミレン基である。
ケイ素、ゲルマニウムに結合する置換基は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、二つの置換基が連結していてもよい。具体的な例としては、メチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
さらに、上記M21は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
上記一般式(a2)で表されるメタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
ただし、以下は、煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載しており、本発明はこれら化合物に限定して解釈されるものではなく、種々の配位子や架橋結合基または補助配位子を任意に使用しうることは自明である。また中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、ジルコニウムに代替した化合物も本願明細書に開示されたものとして取り扱われる。
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などが挙げられる。
これらの中で好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
(2)触媒成分(B)
ポリプロピレン樹脂(X)を製造するのに好ましく使用される触媒成分(B)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の種類
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある。)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、触媒成分(B)に含まれる。
本発明で使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよく、また、それらを含んでもよい。
珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
(ii)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
本発明に係る触媒成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
<酸処理>:
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
処理に用いる塩類(次項で説明する)および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は、室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
なお、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
<塩類処理>:
塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な周期表1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、周期表1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、周期表2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、CおよびCから成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
このような塩類の具体例としては、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC等が挙げられる。
また、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr等が挙げられる。
また、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF3、FeCl、FeC等が挙げられる。
また、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等が挙げられる。
さらに、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI等が挙げられる。
<アルカリ処理>:
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
<有機物処理>:
また、有機物処理に用いられる有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
また、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して触媒成分(B)として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の触媒成分(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHg(133Pa)の条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
以上のように、本発明において、触媒成分(B)として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する有機アルミニウム化合物の触媒成分(C)で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する触媒成分(C)の使用量に制限はないが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限はなく、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合法やスラリー重合法で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
また、触媒成分(B)は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば、天然物または市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
(3)触媒成分(C)
触媒成分(C)は、有機アルミニウム化合物である。触媒成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR31 3−qで示される化合物が適当である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合してまたは併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、R31は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。R31としては、アルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、p=1、q=3のトリアルキルアルミニウムおよびp=1、q=2のジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R31が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
(4)触媒の形成・予備重合について
触媒は、上記の各触媒成分(A)〜(C)を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、または一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば、次の通りである。
触媒成分(C)を使用する場合、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させる前に、触媒成分(A)と、または触媒成分(B)と、または触媒成分(A)および触媒成分(B)の両方に触媒成分(C)を接触させること、または、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させるのと同時に触媒成分(C)を接触させること、または、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させた後に触媒成分(C)を接触させることが可能であるが、好ましくは、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させる前に、触媒成分(C)といずれかに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
使用する触媒成分(A)、(B)および(C)の使用量は任意である。例えば、触媒成分(B)に対する触媒成分(A)の使用量は、触媒成分(B)1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。また触媒成分(A)に対する触媒成分(C)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜1×10、の範囲内が好ましい。
本発明で使用する前記成分[A−1](一般式(a1)で表される化合物)と前記成分[A−2](一般式(a2)で表される化合物)の割合は、プロピレン系重合体の前記特性を満たす範囲において任意であるが、各成分[A−1]と[A−2]の合計量に対する[A−1]の遷移金属のモル比で、好ましくは0.30以上、0.99以下である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[A−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[A−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。したがって、成分[A−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
より高い歪硬化のプロピレン系重合体を製造するために、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.40以上であり、更に好ましくは0.5以上である。また、上限に関しては好ましくは0.99以下であり、高い触媒活性で効率的にポリプロピレン樹脂(X)を得るためには、より好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[A−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
本発明に係る触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付される。予備重合処理を行うことにより、本重合を行った際に、ゲルの生成を防止できる。その理由としては、本重合を行った際の重合体粒子間で長鎖分岐が均一に分布させることができるためと考えられ、また、そのことにより溶融物性を向上することができる。
予備重合時に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にまたは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が触媒成分(B)に対し、重量比で、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に触媒成分(C)を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
また、上記の各成分の接触の際または接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
(5)触媒の使用/プロピレン重合について
重合様式は、前記触媒成分(A)、触媒成分(B)および触媒成分(C)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー重合法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク重合法、溶液重合法または実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相重合法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合法の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合法を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75℃以下である。
さらに、気相重合法を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下であることが好ましい。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合法を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.7MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.3MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また活性向上効果のために、補助的に水素をプロピレンに対してモル比で1.0×10−6以上、1.0×10−2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、MFR、歪硬化度、溶融張力MT、溶融延展性といった、長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを特徴付ける溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10−6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10−5以上であり、さらに好ましくは1.0×10−4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10−2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10−2以下であり、更に好ましくは0.8×10−2以下である。
また、プロピレンモノマー以外に、用途に応じて、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンコモノマー、例えば、エチレンおよび/又は1−ブテンをコモノマーとして使用する共重合をおこなってもよい。
そこで、本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)として、触媒活性と溶融物性のバランスのよいものを得るためには、エチレンおよび/又は1−ブテンを、プロピレンに対して15モル%以下で使用することが好ましく、より好ましくは10.0モル%以下であり、更に好ましくは7.0モル%以下である。
ここで例示した触媒、重合法を用いてプロピレンを重合すると、触媒成分[A−1]由来の活性種から、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応により、ポリマー片末端が主としてプロペニル構造を示し、所謂マクロマーが生成する。このマクロマーは、より高分子量を生成することができ、より共重合性がよい触媒成分[A−2]由来の活性種に取り込まれ、マクロマー共重合が進行すると考えられる。したがって、生成する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の分岐構造としては、櫛型鎖が主であると、考えられる。
8.長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)のその他の特性
上記の手法にて製造される、本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の更なる付加的特徴として、歪み速度0.1s−1での伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax(0.1))が好ましくは6.0以上であることが挙げられる。
歪硬化度(λmax(0.1))は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、発泡成形を行ったときに、独立気泡率を高くできる。この歪硬化度は、好ましくは6.0以上であると、独立気泡性をより高く保持することができ、より好ましくは8.0以上である。
λmax(0.1)の算出方法の詳細を、以下に記す。
・λmax(0.1)算出方法
温度180℃、歪み速度=0.1s−1の場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似する。
具体的には、まず伸張粘度を時間に対してプロットした際の各々の時刻での傾きを求めるが、それに当っては伸張粘度の測定データは離散的であることを考慮し、種々の平均法を利用する。たとえば隣接データの傾きをそれぞれ求め、周囲数点の移動平均をとる方法等が挙げられる。
伸張粘度は、低歪み量の領域では、単純増加関数となり、次第に一定値に漸近し、歪み硬化がなければ充分な時間経過後にトルートン粘度に一致するが、歪み硬化のある場合には、一般的に歪み量(=歪み速度×時間)1程度から、伸張粘度が時間と共に増大を始める。すなわち、上記傾きは、低歪み領域では時間と共に減少傾向があるが、歪み量1程度から逆に増加傾向となり、伸張粘度を時間に対してプロットした際の曲線上に、変曲点が存在する。そこで歪み量が0.1〜2.5程度の範囲で、上記で求めた各々の時刻の傾きが最小値をとる点を求めて、その点で接線を引き、直線を歪み量が4.0となるまで外挿する。歪み量4.0となるまでの伸長粘度ηの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの上記近似直線上の粘度をηlinとする。ηmax/ηlinを、λmax(0.1)と定義する。
本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、上に述べたように高立体規則性を有することが好ましく、それにより成形体の剛性の高いものを製造することができる。ポリプロピレン樹脂(X)は、ホモポリプロピレンであるか、または上に述べた種々の特性を満足する限り、少量のエチレンや1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンその他のコモノマーとのプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であってもよい。ポリプロピレン樹脂(X)がホモポリプロピレンである場合には、結晶性が高く、融解ピーク温度が高くなるが、ポリプロピレン樹脂(X)がプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である場合にも、融解ピーク温度が高いことが好ましい。
より具体的には、示差走査熱量測定(DSC)によって得られた融解ピーク温度が145℃以上であることが好ましく、150℃以上がより好ましい。融解ピーク温度が145℃より高いと、製品の耐熱性の観点から好ましいが、ポリプロピレン樹脂(X)の融解ピーク温度の上限は、通常170℃以下である。
なお、融解ピーク温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって求められ、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。
II.プロピレン系ブロック共重合体(Y)
本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物を構成する成分であるプロピレン系ブロック共重合体(Y)としては、従来公知の逐次重合によって製造された、プロピレン(共)重合体(Y−1)(以下「(Y−1)」とも言う)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)(以下「(Y−2)」とも言う)からなる多段重合体であるプロピレン系ブロック共重合体(Y)を用いる。
ここで用いるブロック共重合体という語は、当業者によって慣用的に使用されている、逐次重合法によって多段階の重合を行って得られたプロピレン系樹脂組成物の通称であって、各段階で重合された成分同士が化学結合によって結合された、いわゆる(リアル)ブロック共重合体またはグラフト共重合体とは異なるものである。多段階重合それぞれの工程で製造された成分は、化学的には結合していないため、一般に、それぞれの成分に結晶性や分子量、または溶媒への溶解度等の差を利用して、結晶性分別や分子量分別、または溶解度分別等の手法によって、各工程で製造された成分それぞれを、分離することが可能である。
また、この従来公知の逐次重合法によるブロック共重合体(Y)には、前記ポリプロピレン樹脂(X)のような化学結合による長鎖分岐構造は、分析可能な精度では存在が認められない。
プロピレン系ブロック共重合体(Y)は、従来公知のチーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン触媒等のいずれの触媒を使用して製造してもよく、製造法としても、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等の種々の組み合わせのものを、使用可能である。
ここで、チーグラー・ナッタ系触媒は、たとえば「ポリプロピレンハンドブック」エドワード・P・ムーアJr.編著、保田哲男・佐久間暢翻訳監修、工業調査会(1998)の2.3.1節(20〜57ページ)に概説されているような触媒系のことであり、例えば、三塩化チタンとハロゲン化有機アルミニウムからなる三塩化チタニウム系触媒や、塩化マグネシウム、ハロゲン化チタン、電子供与性化合物を必須として含有する固体触媒成分と有機アルミニウムと有機珪素化合物からなるマグネシウム担持系触媒や、固体触媒成分を有機アルミニウム及び有機珪素化合物を接触させて形成した有機珪素処理固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒のことを指す。また、メタロセン触媒については、上記「ポリプロピレン樹脂(X)の製造方法」の説明において、既に詳しく記述してある。上記の例示のうち、特に触媒成分(A)として、成分[A−2]を用いたものが、プロピレン系ブロック共重合体(Y)の製造には、好ましく用いられる。
好ましい触媒としては、例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照。)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照。)等を例示することができる。
逐次重合の前段で製造するプロピレン(共)重合体(Y−1)は、プロピレン単独重合体か、または本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、少量のコモノマーを共重合させたプロピレンランダム共重合体である。コモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンといった炭素数が3を除く10程度までのα−オレフィンが通常用いられる。コモノマーを含む場合、プロピレン(共)重合体(Y−1)中のコモノマー含量は0.1〜5.0重量%であることを例示することができる(ただし、プロピレン(共)重合体(Y−1)を構成するモノマーの全重量を100重量%とする。)。
1.特性(Y−i):(Y−1)と(Y−2)の量比
本発明において、(Y−1)と(Y−2)の重量割合は、(Y−1)が50〜99重量%、好ましくは55〜97重量%、更に好ましくは60〜95重量%である。これに対応して、(Y−2)が1〜50重量%、好ましくは3〜45重量%、更に好ましくは5〜40重量%である。
(但し、プロピレン系ブロック共重合体(Y)の全重量を100重量%とする)
(Y−2)の量が1重量%以上であると、溶融張力が低くなり過ぎることがなく発泡成形に適しており、一方、50重量%以下であると、結晶性成分(Y−1)の量が少なくなりすぎることがないため、組成物の耐熱性や剛性が損なわれない。
2.特性(Y−ii):MFR
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体(Y)のMFRの範囲は、0.1〜200g/10分の範囲であり、好ましくは0.2〜190g/10分、更に好ましくは0.5〜180g/10分、特に好ましくは2.1〜170g/10分の範囲である。
これは、各種の成形に供する樹脂のMFRの範囲として、常用の範囲であって、0.1g/10分以上である場合には、押出機の負荷が過大になったり、樹脂に流動不安定性が生じたりすることがなく、一方、200g/10分以下の場合には、押出成形時にネックインが大きくなったり、シート引き取りが困難になるなどの問題が生じにくい。
なお、MFRの測定法は、前述のポリプロピレン樹脂(X)における測定方法と同じである。
3.特性(Y−iii):融解ピーク温度
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体(Y)の融解ピーク温度は、シートの耐熱性の維持の観点から、155℃を超えるものであることが必要であり、157℃以上であると好ましい。融解ピーク温度の上限値は、特に制限する必要はないが、事実上、融解ピーク温度が170℃を超えるものを製造することは困難である。
なお、融解ピーク温度は、示差操作熱量測定(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。
4.特性(Y−iv):プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)中のエチレン含量
本発明において、プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)中のエチレン含量が11〜60重量%であることが必要である(ただし、プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)を構成するモノマーの全重量を100重量%とする。)。プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)中のエチレン含量の好ましい範囲としては、11〜38重量%、より好ましくは16〜36重量%、更に好ましくは18〜35重量%である。
エチレン含量が上記の範囲のものを使用すると、ポリプロピレン系樹脂組成物中での(Y−2)の分散状態が良好になり、発泡適性に優れる。
5.特性(Y−v):プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)の固有粘度
本発明者らは、多くの実験検討の結果、ポリプロピレン樹脂組成物に配合されるプロピレン系ブロック共重合体(Y)を構成するプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)の135℃デカリンを溶媒として測定される固有粘度値が、5.3dl/g以上であることが必要であり、好ましくは6.0dl/g以上、更に好ましくは7.0dl/g以上、最も好ましくは7.5dl/g以上であることを見出した。
固有粘度値が5.3dl/g以上であると、溶融張力が高く発泡適性が良好である。
上限値は、特に規定する必要はないが、あまり高すぎるとゲルの発生の原因となるため、25.0dl/g以下、好ましくは20.0dl/g以下、更に好ましくは18.0dl/g以下、最も好ましくは16.0dl/g以下である。
ここでの固有粘度は、温度135℃、溶媒にデカリンを用い、ウベローデ型毛管粘度計を用いて測定した値とする。(Y−2)の固有粘度を求めるためには、前述のCXSの記載と同じ手法を用いて、(Y−2)成分を25℃パラキシレン可溶成分として回収し、これの固有粘度測定を行うものとする。ただし、(Y−2)成分のエチレン含量が15重量%を下回ると、CXSの手法によっては十分に(Y−2)成分を分離することが難しくなる。このような場合には、逐次重合途中であって逐次重合の前段の重合で製造するプロピレン(共)重合体(Y−1)の製造終了後の(Y−1)成分を少量抜き取って、固有粘度測定を行い、さらに、逐次重合終了後の(Y)全体の固有粘度を測定し、以下の式によって求めるものとする。
(Y−2)成分の固有粘度=[(Y)全体の固有粘度−{(Y−1)成分の固有粘度×(Y−1)成分の重量分率/100}]/{(Y−2)成分の重量分率/100}
ここで、成分(Y)中の、(Y−1)と(Y−2)の比率や、(Y−2)中のエチレン含量の決定手法としては、従来公知のIRやNMR、または溶解度分別法とIR法を組み合わせた分析手法等によって、決定することができる。
本発明においては、主に成分(Y)の各種のインデックスは、以下に記載のクロス分別法とFT−IR法の組み合わせの手法により決定した。
(1)使用する分析装置
(i)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR分析装置:パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段のGPCカラムは、昭和電工(株)製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(2)CFCの測定条件
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
(3)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
CFC−FT−IRの概念図は、例えば特開2018−135419号公報、特開2017−031359号公報等に示される。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
(4)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IR測定によって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は、各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。具体的な手法は、上に記載したものと同じである。
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンの13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレンラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して、予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
(5)プロピレン−エチレン共重合体含有量
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体(Y)のプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)(以下、EPと記載)含有量は、下記式(I)で定義され、以下のような手順で求められる。
EP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100+W140×A140/B140 (I)
W40、W100、W140は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100、A140は、W40、W100、W140に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100、B140は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量(単位:重量%)である。
A40、A100、A140、B40、B100、B140の求め方は後述する。
(I)式の意味は、以下の通りである。(I)式右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるEPの量を算出する項である。フラクション1がEPのみを含み、PPを含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のEP含有量に寄与するが、フラクション1には、EP由来の成分のほかに少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこで、W40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、EP成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるEPのエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はEP由来、残りの1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からEPの寄与を算出することを意味する。右辺第二項以後も同様であり、各々のフラクションについて、EPの寄与を算出して加え合わせたものがEP含有量となる。
(i)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜3に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100、A140とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
(ii)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2および3については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では、B100=B140=100と定義する。B40、B100、B140は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するPPとEPを完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100、B140は、エチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるEPの量がフラクション1に含まれるEPの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、ともに100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=B140=100として、解析を行うこととしている。
(iii)以下の式に従い、EP含有量を求める。
EP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100+W140×A140/100 (II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たないEP含有量(重量%)を示し、第二項と第三項の和であるW100×A100/100+W140×A140/100は、結晶性を持つEP含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40、A100、A140は、次のようにして求める。
結晶分布の違いによって分別されたフラクション1をCFC分析装置の一部を構成するGPCカラムで分子量分布を測定した曲線、および、当該GPCカラムの後ろに接続されたFT−IRによって、分子量分布曲線に対応して測定されるエチレン含有量の分布曲線を求める。微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。
また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和が、平均エチレン含有量A40となる。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は、次の通りである。
本発明のCFC分析においては、40℃とは、結晶性を持たないポリマー(例えば、EPの大部分、またはプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。また、100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えば、EP中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。さらに、140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、PP中特に結晶性の高い成分、およびEP中の極端に分子量が高くかつエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140に含まれるEP成分は、極めて少量であり、実質的には無視できる。
EP中のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100+W140×A140)/[EP] (III)
但し、[EP]は、先に求めたEP含有量(重量%)である。
EPのうち、結晶性を持たない部分のエチレン含有量(E)(重量%)は、ゴム部分の溶出がほとんど40℃以下で完了することから、B40の値をもって近似する。
しかしながら、上述のクロス分別法とFT−IR法の組み合わせによる分析方法では、(Y−2)のエチレン含量が15重量%を下回り、(Y−1)との結晶性に大きな差がなくなり、温度による分別が充分に行うことができないような場合では、正確な分析が難しくなる。このような場合は、逐次重合の途中であって逐次重合の前段の重合で製造するプロピレン(共)重合体(Y−1)の製造終了後の(Y−1)成分を抜き取っておき、その分子量(コモノマーを共重合する場合には、コモノマー含量も測定する)を測定し、さらに、マテリアルバランスによる計算によって、(Y−1)成分と(Y−2)成分の量比を決定し、さらに、逐次重合終了時の成分(Y)全体のコモノマー含量を測定することで、以下の重量の単純な加成則を使用することで、(Y−2)成分のコモノマー含量を求めることが好ましい。コモノマーとして、エチレンを使用する場合、以下の式によって(Y−2)のエチレン含量を求めるものとする。
(Y−2)成分のエチレン含量=[(Y)全体のエチレン含量−{(Y−1)成分のエチレン含量×(Y−1)成分の重量分率/100}]/{(Y−2)成分の重量分率/100}
(Y−1)成分と(Y−2)成分の量比を求める他の手法については、(Y−1)成分と(Y−2)成分の平均分子量がある程度異なるものを製造する場合には、逐次重合終了後の(Y)全体のGPC測定を行って、得られる多峰性の分子量分布曲線を市販のデータ解析ソフトウェア等を用いてピーク分離し、その重量比を計算することで、求めることもできる。
6.特性:プロピレン系ブロック共重合体(Y)の配合量
プロピレン系ブロック共重合体(Y)の配合量は、2.5〜67.5重量部、好ましくは10.0〜60.0重量部、より好ましくは15.0〜55.0重量部、さらに好ましくは17.5〜52.5重量部である(ただし、(X)、(Y)、(Z)の合計は100重量部である)。プロピレン系ブロック共重合体(Y)の配合量がこの範囲内にあると、特にTダイ法で高速で成形され、かつ、3.0倍を超えるような高発泡倍率においても、せん断発熱や引取張力によりシートにかかる負荷を低減することが出来、気泡の独立性や緻密性に優れ、かつ、高い外観性を有する発泡シートを得ることが出来る。また、前記配合量が67.5重量部以下であると、流動性が十分となり、各種の成形に対して押出機の負荷が高すぎるなどの問題がなく、2.5重量部以上であると、溶融張力が十分となり、高溶融張力材としての特性に優れ、発泡成形に好適なものとなる。
III.プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)は、従来公知のチーグラー・ナッタ触媒を使用して製造され、製造法としては、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等の種々の組み合わせのものを、使用可能である。
ここで、チーグラー・ナッタ触媒は、たとえば「ポリプロピレンハンドブック」エドワード・P・ムーアJr.編著、保田哲男・佐久間暢翻訳監修、工業調査会(1998)の2.3.1節(20〜57ページ)に概説されているような触媒系のことであり、例えば、三塩化チタンとハロゲン化有機アルミニウムからなる三塩化チタニウム系触媒や、塩化マグネシウム、ハロゲン化チタン、電子供与性化合物を必須として含有する固体触媒成分と有機アルミニウムと有機珪素化合物からなるマグネシウム担持系触媒や、固体触媒成分を有機アルミニウム及び有機珪素化合物を接触させて形成した有機珪素処理固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒のことを指す。
好ましい触媒としては、例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照。)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照。)等を例示することができる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンといった炭素数が3を除く10程度までのα−オレフィンを選択することが出来る。
本発明者らは、多くの実験検討の結果、ポリプロピレン樹脂組成物に配合されるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)が、以下の特性を有する場合に、特に高速で成形されるTダイ発泡成形において、特に3.0倍を超えるような高発泡倍率の発泡シートにおいても、均一微細で独立性に優れる発泡セルを有し、成形品の外観が良好なポリプロピレン系発泡体が得られることを見出した。それを以下に、詳細に述べる。
1.特性(Z−i):チーグラー・ナッタ触媒で重合されていること
本発明で使用するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)はチーグラー・ナッタ触媒で重合されている必要がある。チーグラー・ナッタ触媒で重合されるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン触媒で重合されるそれと比較してプラントでの生産性に優れると共に、分子量分布が広いため、発泡成形機内での溶融下での流動性にも優れ、発泡シートの生産性にも優れる特徴がある。
2.特性(Z−ii):DSCにて測定される融解ピーク温度が157℃以下であること
本発明で使用するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)の融解ピーク温度は、発泡成形時の樹脂の延展性の改善の為、157℃以下である必要があり、好ましくは156℃以下であり、より好ましくは155℃以下であり、特に好ましくは154℃以下であり、最も好ましくは153℃以下である。なお、融解ピーク温度は、示差操作熱量測定(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。
融解ピーク温度が157℃以下であると気泡の独立性維持の効果が発揮される。融解ピーク温度の下限については特に規定はないが、成形体としての耐熱変形性の観点から100℃が好ましい。
3.特性(Z−iii):メルトフローレート
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)のメルトフローレート(MFR)は、21.0g/10分以上である必要があり、好ましくは21.0〜100.0g/10分の範囲であり、より好ましくは22.0〜80.0g/10分、さらに好ましくは23.0〜70.0g/10分、より一層好ましくは24.0〜60.0g/10分、特に好ましくは25.0〜55.0g/10分、最も好ましくは26.0〜50.0g/10分である。プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)のMFRがこの範囲内であると均一微細な発泡セルを有し、延展性が改善され、成形品の外観が良好なポリプロピレン系発泡体が得られる。また、メルトフローレートが21.0g/10分以上であると成形を行った際に配向誘起結晶化を生じにくく、特にTダイ成形法における押出シート成形時に気泡壁の破壊を生じることなく、外観に優れる成形品となる。メルトフローレートが100.0g/10分以下であると、溶融張力が高くなり、発泡に好適となる。
なお、MFRの測定法は、前述のポリプロピレン樹脂(X)における測定方法と同じである。
4.特性:プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)の配合量
本発明で使用するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の配合量は、10〜75重量部、好ましくは25〜75重量部、より好ましくは30〜70重量部、さらに好ましくは35〜65重量部、特に好ましくは40〜60重量部である(ただし、(X)、(Y)、(Z)の合計は100重量部である)。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)の配合量がこの範囲内にあると、特にTダイ法で高速で成形され、かつ、3.0倍を超えるような高発泡倍率においても、せん断発熱や引取張力によりシートにかかる負荷を低減することが出来、気泡の独立性や緻密性に優れ、かつ、高い外観性を有する発泡シートを得ることが出来る。また、前記配合量が10重量部以上であると、ポリプロピレン系樹脂組成物の延展性が十分となり発泡適性に優れ、75重量部以下であると、ポリプロピレン系樹脂組成物としての剛性や融解ピーク温度が向上して、高温下での使用時に成形品として変形や融解がない。
5.特性:α−オレフィン含有量
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンといった炭素数が3を除く10程度までのα−オレフィンを選択することができるが、好ましくはエチレンである。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)中のα−オレフィン含有量としては、好ましくは0.5〜5.0重量%であり、より好ましくは0.8〜4.5重量%、さらに好ましくは0.9〜4.0重量%である。α−オレフィン含有量がこの範囲内であると均一微細な発泡セルを有し、延展性が改善され、成形品の外観が良好なポリプロピレン系発泡体が得られる。また、α−オレフィン量が0.5重量%以上であると、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)としての延展性に優れ、α-オレフィン量が5.0重量%以下であると、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)として剛性や融解ピーク温度が向上して、高温下での使用時に成形品として変形や融解を生じない。
IV.結晶化核剤(K)
本発明のプロピレン系樹脂組成物には結晶化核剤(K)が含まれている必要がある。
1.特性:結晶化核剤の種類
結晶化核剤としては、トリアミノベンゼン誘導体からなる造核剤、有機燐酸エステル金属塩、有機モノカルボン酸金属塩、有機ジカルボン酸金属塩、ポリマー核剤、ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体、ジテルペン酸類の金属塩等が使用される。
上記トリアミノベンゼン誘導体としては、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[シクロヘキシルカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[4−メチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,4−ジメチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,5−ジメチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[シクロペンタンカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[1−アダマンタンカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−メチルプロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−エチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−シクロヘキシル−アセチルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3−シクロヘキシル−プロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[4−シクロヘキシル−ブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[5−シクロヘキシル−バレロイルアミノ]ベンゼン、1−イソブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、2,2−ジメチルブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、3,3−ジメチルブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−(2,2−ジメチル−ブチリル)アミノベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−(3,3−ジメチル−ブチリル)アミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−イソブチリルアミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−(3,3−ジメチルブチリル)−アミノベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノ−ベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−イソブチリル−アミノベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−(2,2−ジメチル−ブチリルアミノ)アミノベンゼン又は、1,3,5−トリス[3−(トリメチルシリル)プロピオニルアミノ]ベンゼンを挙げることができる。この中では、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼンが好ましい。
上記有機燐酸エステル金属塩としては、例えば、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ジンク−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フオスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ジンク−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等が例示される。
上記有機モノカルボン酸金属塩としては、例えば、安息香酸、アリル置換酢酸、等の金属の塩であり、具体的には、安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、o−第3級ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、モノフェニル酢酸、ジフェニル酢酸、フェニルジメチル酢酸、アジピン酸等の金属塩(例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlの正塩若しくは塩基性塩)、等が例示される。上記有機ジカルボン酸金属塩としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、シクロヘキサンカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の金属塩(例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlの正塩若しくは塩基性塩)などを挙げることができる。上記ポリマー核剤としては、例えば、ポリビニルシクロヘキサン、ポリ−3−メチル−ブテン−1等が例示される。
上記ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、例えば、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールなどを例示することができる。特に好ましくは、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトール等が例示される。
上記ジテルペン酸類の金属塩は、ジテルペン酸類とマグネシウム化合物、アルミニウム化合物等の所定の金属化合物との反応生成物である。ジテルペン酸は、一般に、マツ科植物から得られる天然樹脂として知られているロジン、具体的には、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;及び前記天然ロジンや変性ロジンの精製物などを原料として得られる。ジテルペン酸類としては、例えば、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などが挙げられる。
これらのうち、好ましい結晶化核剤としては、下記一般式(1)〜(3)で示されるものが特に、発泡性と機械物性のバランスが良好で、かつ、発泡性見合いの耐熱変形性が良好になる傾向があり好ましい。
Figure 2020132856

(式中、Rは、直接結合、硫黄、炭素数1〜9のアルキレン又は炭素数2〜9のアルキリデンであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素、炭素数1〜8のアルキル又は炭素数7〜9のアルキルアリールであり、MはLi、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlであり、nはMの価数である。)
一般式(1)で表される有機リン酸金属塩化合物の具体例としては、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス−(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス−(4,6−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、およびこれらの2種以上の混合物を例示することができる。これらのうち特に、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート及びリチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
この様な結晶化核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブNA−11及びアデカスタブNA−71を挙げることができる。
Figure 2020132856

(式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素又は炭素数1〜12のアルキルであり、Mは、周期表第13族又は第14族の金属であり、Xは、Mが周期表第13族の金属である場合には、HO−であり、Mが周期表第14族の金属である場合には、O=又は(HO)−である。)
一般式(2)で表される芳香族燐酸エステル類の具体例としては、例えば、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびこれらの2種以上の混合物を例示することができる。
一般式(2)で表される芳香族燐酸エステル類は、有機アルカリ金属塩と併用させることが効果的である。
該有機アルカリ金属塩とは、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機アルカリ金属塩を示すことができる。
該有機アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプトプロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−ラウロイルアミノプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式モノ又はポリカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族モノ又はポリカルボン酸等が挙げられる。
上記アルカリ金属β−ジケトナートを構成するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセトン、ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
また、上記アルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル酢酸ラウリル等が挙げられる。
該有機アルカリ金属塩の成分であるアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アルカリ金属とカルボン酸、β−ジケトン化合物又はβ−ケト酢酸エステルとの塩であり、従来周知の方法で製造することができる。また、これら各アルカリ金属塩化合物の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカルボン酸塩、特に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好ましく、とりわけ炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩が好ましい。
この様な結晶化核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブNA−21を挙げることができる。
Figure 2020132856

(式中、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立して、同一又は異なって、水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル又はフェニルであり、Rは、炭素数1〜20のアルキルである。ここで、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル及びフェニルは、ハロゲン等の置換基で置換されていてもよい。)
好ましくは、一般式(3)において、nは、0〜2の整数であり、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子であり、RおよびRは、同一または異なって、それぞれ炭素数が1〜20のアルキル基である。
さらに好ましくは、式(3)において、nは、0〜2の整数であり、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子であり、Rは、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、−CHCH=CH、−CH(CH)CH=CH、−CHCHX−CH−X、−CHCHX−CHCH、−CHCHX−CHOHもしくは−CHOH−CH(OH)−CHOHであり(但し、X〜Xは、それぞれ独立したハロゲン基である。)、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基であることが好ましい。
このような結晶化核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、ミリケン社製、商品名:ミラッドNX8000、ミラッドNX8000Jを挙げることができる。
2.特性:結晶化核剤(K)の配合量
結晶化核剤(K)の配合量としては、成分(X)、(Y)、及び、(Z)から成るポリプロピレン系樹脂混合物100重量部(ただし、(X)、(Y)、(Z)の合計は100重量部である)に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.8重量部、より好ましくは0.03〜0.7重量部、最も好ましくは0.05〜0.6重量部である。結晶化核剤(K)の配合量がこの範囲であると、連続気泡率が良好になり、耐熱変形性を代表とする種々機械物性と発泡性のバランスが良好となる。
3.特性:結晶化核剤(K)の配合方法
成分(X)、(Y)、及び、(Z)から成るポリプロピレン系樹脂混合物100重量部(ただし、(X)、(Y)、(Z)の合計は100重量部である)に対する結晶化核剤(K)の配合方法としては、結晶化核剤(K)そのものを配合する方法のほかに、各種市販の結晶化核剤(K)マスターバッチとして添加することもできる。結晶化核剤(K)マスターバッチとして添加する場合は、ポリプロピレン混合物への分散を考慮して、一般に、融解ピーク温度が150℃未満のポリプロピレンもしくはポリエチレンが用いられる事が多い。
V.ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分、調製方法、用途
1.ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
以下に、発泡成形に好適なポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分について、詳細に述べる。
(1)発泡剤
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、さらに、発泡剤を配合することが好ましい。
発泡剤は、プラスチックやゴム等に使用されている公知公用の発泡剤を問題なく使用できる。物理発泡剤、分解性発泡剤(化学発泡剤)、熱膨張剤を含有させたマイクロカプセル等、従来から使用されている発泡剤が使用できる。
物理発泡剤として、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素、水、炭酸ガス、窒素などの無機ガスなどの1種または2種以上の組合せが挙げられる。
なかでも、プロパン、ブタン、ペンタンのような脂肪族炭化水素および炭酸ガスが、安価かつポリプロピレン樹脂(X)への溶解性が高いという点から好ましい。炭酸ガスは、7.4MPa以上、31℃以上で超臨界状態となり、重合体への拡散、溶解性に優れた状態になる。
物理発泡剤によるポリプロピレン系発泡体を得るに際しては、必要に応じて、気泡調整剤を使用することができる。気泡調整剤としては、炭酸アンモニウム、重曹、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機系分解性発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル及びジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタンメチレンテトラミン及びN,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、バリウムアゾジカルボキシレート等の分解性発泡剤、タルク、シリカ等の無機粉末、多価カルボン酸等の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重曹との反応混合物等が挙げられ、これらは、単独でも組み合わせて使用することもできる。
また、分解性発泡剤(化学発泡剤)により、ポリプロピレン系発泡体を得るに際しては、分解性発泡剤(化学発泡剤)として、例えば、重炭酸ソーダとクエン酸などの有機酸との混合物、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのスルホヒドラジド系発泡剤、トリヒドラジノトリアジンなどが挙げられる。
発泡剤の配合量は、成分(X)、(Y)、及び、(Z)の合計100重量部に対し、好ましくは0.05〜6.0重量部の範囲であり、より好ましくは0.05〜3.0重量部、さらに好ましくは0.5〜2.5重量部、特に好ましくは1.0〜2.0重量部である。
発泡剤の配合量が6.0重量部以下であると、過発泡とならず、発泡セルの均一微細化が容易となり、一方、発泡剤の配合量が0.05重量部以上であると、発生するガス量が多く、好ましい。
また、気泡調整剤を使用する際には、気泡調節剤の配合量は、成分(X)、(Y)、及び、(Z)の合計100重量部に対して、純分で0.01〜5重量部の範囲とすることが好ましい。
(2)その他の配合剤
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、前記成分(X)、(Y)、及び、(Z)、結晶化核剤(K)、及び、発泡剤、必要に応じて、気泡調整剤の他に、他の重合体、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
他の重合体としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、上記記載以外のポリプロピレン系樹脂、プロピレン−α−オレフィンコポリマー(α−オレフィンは炭素数4以上のもの)、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン、エチレン−プロピレンエラストマー等のオレフィン系エラストマー、またはこれらと共重合可能な他の単量体、例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の共重合体およびそれらの混合物等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤およびチオ系酸化防止剤などが例示でき、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類が例示でき、光安定剤および紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などが例示できる。
また、無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが例示でき、滑剤としては、ステアリン酸アマイドなどの高級脂肪酸アマイド類が例示できる。
また、帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類が例示でき、金属不活性剤としては、トリアジン類、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類などが例示できる。
2.ポリプロピレン系樹脂組成物の調製方法
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の調製方法としては、パウダー状またはペレット状の前記ポリプロピレン樹脂(X)、プロピレン系ブロック共重合体(Y)、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)、結晶化核剤(K)、発泡剤、および、必要に応じて用いるその他の配合剤をドライブレンド、ヘンシェルミキサー(商品名)等で混合する方法を挙げることができる。または、あらかじめ単軸混練機、二軸混練機、ニーダ等によって、溶融混練してもよい。ただし、化学発泡剤を同時に溶融混練する場合は、混練温度は、化学発泡剤の分解温度より低い温度に制御して、行う必要がある。
また、状況に応じて、発泡剤のみ、ポリプロピレン系発泡体の製造時に、別フィードしてもよい。
3.用途
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、高い溶融張力を必要とする各種成形法及び用途、例えば、射出成形(体)、押出成形(体)、ビーズ発泡成形(体)、押出発泡成形(体)、射出発泡成形(体)、ブロー成形(体)、射出ブロー成形(体)、発泡ブロー成形(体)、深絞り成形(体)、熱成形(体)等に、好適に用いることができるが、中でも特に、溶融張力の特性の優劣が最も顕著に現れる、発泡成形の分野において、好適に用いることができる。
4.ポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シート
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(発泡剤含有)から得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートは、平均気泡径が500μm以下であることが好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下が更に好ましい。平均気泡径が500μm以下であると、ポリプロピレン系発泡シートおよび該シートをさらに熱成形して得られる熱成形体の両者において、穴開き等の外観不良が発生しないため好ましい。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートは、連続気泡率が30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。連続気泡率が30%以下であると、熱成形する際に、発泡シート内の発泡セルの膨張が生じることによって、熱成形体の厚みが増加するため、好ましい。また、熱成形体の断熱性能の向上にも、繋がるので好ましい。
また、本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚みは、特に限定しないが、0.3mm〜10mm程度が好ましい。更に好ましくは0.5mm〜5mmである。なお、特にTダイ成形法で発泡シートを成形する際の厚みとしては、0.3mm〜3mm程度が好ましく、0.5mm〜2.0mmがより好ましい。
また、本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度は、特に限定しないが、一般に低密度であるほど軽量化や断熱性等、発泡体としての性能に優れる傾向がある為、例えば0.500g/cm以下、好ましくは、0.391g/cm以下、より好ましくは0.300g/cm以下、更に好ましくは、0.265g/cm以下、最も好ましくは、0.257g/cm以下である。
また、本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートの発泡倍率は、特に限定しないが、一般に高発泡倍率であるほど軽量化や断熱性等、発泡体としての性能に優れる傾向がある為、例えば1.8倍以上、好ましくは、2.3倍以上、更に好ましくは3.0倍以上、特に好ましくは3.4倍以上、最も好ましくは3.5倍以上である。特に、本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートは、Tダイ法で3.0倍以上の高発泡倍率であっても、均一微細な発泡セルを達成することができる。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る方法としては、射出成形法、熱成形法、押出成形法、ブロー成形法またはビーズ発泡成形法などの成形法が挙げられ、例えば押出成形法であれば、ポリプロピレン系樹脂組成物を押出機で溶融し、押出機先端に設けられたダイスより押出される公知の押出成形法により得ることができる。押出機は、一軸押出機、二軸押出機のいずれであってもよく、例えば、二軸押出機と単軸押出機を前段―後段に組み合わせたタンデム方式であってもよい。
物理発泡にあっては、炭酸ガスやブタンなどの物理発泡剤を押出機シリンダーの途中から導入(圧入)する。押出機先端に取り付けられるダイは、Tダイでもよく、円形(サーキュラー)ダイでもよい。
また、ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートとする場合は、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡層と、熱可塑性樹脂組成物からなる非発泡層とを、共押出成形することにより、得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートは、複数の押出機を用いたフィードブロックやマルチダイなどによる公知の共押出法、押出ラミネート法等により、製造できるが、共押出法が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートに用いられる非発泡層は、発泡層のいずれの面に設けられてもよく、また、発泡層を二つの非発泡層の間に存在させた構成(サンドイッチ構造)とすることもできる。
非発泡層が設けられたポリプロピレン系樹脂多層発泡シートは、強度において優れたものとなり、少なくとも該発泡層の外側に非発泡層が設けられることにより、表面平滑性や外観においても、優れたものとなる。更に、非発泡層に機能性の熱可塑性樹脂を使用することにより、抗菌性、ソフト感、耐受傷性等の付加的機能をポリプロピレン系樹脂多層発泡シートに兼備させることが容易にできる点からも、好ましい。
非発泡層に用いられる熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂としては、本発明の効果を阻害しない範囲で、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、成分(X)、(Y)、及び、(Z)の各成分と同一であってもよいポリプロピレンやプロピレン−α−オレフィンコポリマー、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン、エチレン−プロピレンエラストマー等のオレフィン系エラストマー、またはこれらと共重合可能な他の単量体、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の共重合体およびそれらの混合物等を選択することができる。
これらの中でも、リサイクル性、接着性、耐熱性、耐油性、剛性などの点から、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィンコポリマーが好適である。プロピレン−α−オレフィンコポリマーとしては、プロピレン(共)重合体とエチレン−プロピレンランダム共重合体を複数または単槽の重合槽を使用して、多段階重合して得られた、いわゆる耐衝撃性ポリプロピレンまたはプロピレンブロック共重合体と通称されている多段重合体であるものを含む。
ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの厚みは、特に限定しないが、0.3mm〜10mm程度が好ましい。更に好ましくは0.5mm〜5mmである。なお、特にTダイ成形法で発泡シートを成形する際の厚みとしては、0.3mm〜3mm程度が好ましく、0.5mm〜2.0mmがより好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートにおける非発泡層の合計の厚さは、得られるポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの全厚みの1〜50%、より好ましくは5〜20%になるように形成することが望ましい。非発泡層の厚みが50%以下であると、発泡層の気泡の成長を妨げることがない。
また、本発明に係るポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートは、印刷性や塗装性などのために発泡シートの表面に、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等の表面処理をしても、何ら差し支えない。
5.ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよび熱成形体の用途
本発明に係るポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートおよび該(多層)発泡シートを熱成形してなる成形体(熱成形体)は、均一微細な発泡セルが得られ、外観、熱成形性、耐衝撃性、軽量性、剛性、耐熱性、断熱性、耐油性等に優れていることより、トレー、皿、カップなどの食品容器や自動車ドアトリム、自動車トランクマットなどの車両内装材、包装、文具、建材などに好適に利用できる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、ポリプロピレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートおよびその構成成分についての諸物性は、下記の評価方法に従って、測定、評価し、使用した樹脂として、下記のものを用いた。
1.評価方法
(1)メルトフローレートMFR:
JIS K7210:1999の附属書A表1、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。ダイ形状は直径2.095mm、長さ8.000mmである。単位はg/10分である。
(2)溶融張力MT:
(株)東洋精機製作所製キャピログラフを用いて、以下の条件で測定した。
・キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
・シリンダー径:9.55mm
・シリンダー押出速度:20mm/分
・引き取り速度:4.0m/分
・温度:230℃
MTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。単位はグラムである。
(3)分子量分布Mw/MnおよびMz/Mn:
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(4)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS):
明細書中に記載の方法で測定した。
(5)mm分率:
日本電子(株)製、GSX−400、FT−NMRを用い、前述したとおり、特開平2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に記載の方法で測定した。
単位は%である。
(6)分岐指数g
前述したように、示差屈折計(RI)、粘度検出器(Viscometer)、光散乱検出器(MALLS)を検出器として備えたGPCによって求めた。
(7)歪み硬化度λmax:
伸張粘度測定は以下の条件で行った。
・装置:Rheometorics社製Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:180℃
・歪み速度:0.1/sec
・試験片の作製:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作製する。
λmaxの算出法の詳細は、前述した通りである。
(8)融解ピーク温度:
示差操作熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融解ピーク温度とした。
(9)(Y−1)、(Y−2)の比率、(Y−2)中のエチレン含量:
明細書中に記載のクロス分別法とFT−IR法の組み合わせの手法により決定した。
(10)(Y−2)成分の固有粘度:
プロピレン系ブロック共重合体(Y)のCXS成分に対して、温度135℃、溶媒にデカリンを用い、ウベローデ型毛管粘度計を用いて測定した。ただし、(Y−2)のエチレン含量が15重量%未満のものについては、(Y−1)成分と(Y)成分全体の固有粘度を測定し、明細書中記載の計算式によって求めた。
(11)密度:
実施例および比較例により得られたポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートから試験片を切出し、試験片重量(g)を、該試験片の外形寸法から求められる体積(cm)で割って求めた。JIS K7222に準じて測定し、密度を求めた。
(12)発泡倍率:
(11)で求めた密度に対して一般的な非発泡ポリプロピレンの密度である0.900g/cmで割って求めた。
(12)連続気泡率:
実施例および比較例により得られたポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートから試験片を切出し、エアピクノメーター(東京サイエンス(株)製)を用いて、ASTM D2856に記載の方法に準じて測定した。
(13)シート外観評価:
発泡シートの外観評価は、実施例及び比較例で得られたポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートを以下の基準で評価した。
◎:気泡形状が微細かつ均一で、シート外観が美麗。
○:気泡形状が均一で、シート外観が美麗。
△:ある程度気泡の合一が見られ、シート外観に劣る。
×:気泡の合一が著しく、シート外観が著しく劣る。
(14)耐ドローダウン性:
実施例及び比較例で得られたポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートから、300mm×300mmの大きさの試験片を切り出し、内寸260mm×260mmの枠に固定した。三鈴エリー(株)製垂れ試験機を用いて、ヒーターが上下に配列してある試験機内の加熱炉に導いて雰囲気温度200℃で加熱し、加熱開始からのサンプル中央部の変位をレーザー光線により逐次測定した。
加熱とともにシートは、一旦垂れ下がり(マイナス方向へ変位)、応力緩和によって張り戻った(プラス方向へ変位)後に再び垂れ下がるため、加熱開始点のシート位置をA(mm)、最大張り戻り点位置をB(mm)、最大張り戻り点Bから10秒後の位置をC(mm)として、耐ドローダウン性を、以下の基準で評価した。
◎:B−A≧0mmかつC−B≧−5mm
○:B−A≧−5mmかつC−B≧−10mm(B−A≧0mmかつC−B≧−5mmの場合を除く)
△:B−A≧−5mmかつC−B<−10mm、または、B−A<−5mmかつC−B≧−10mm
×:B−A<−5mmかつC−B<−10mm
ここで、B−A≧−5mmであることは、容器成形時にシートが緊張し、皺のない美麗な外観形成が可能であることを意味し、C−B≧−10mmであることは、良好な容器を得るための成形時間範囲が充分広いことを意味する。
(15)成形体の耐熱変形性試験
実施例および比較例で得られたポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートから45cm×45cmの大きさに試験片を切り出し、テスト用真空圧空成型機(株式会社 浅野研究所製 FKS型)を用いて、両面を加熱した後、真空成型にてどんぶり型容器を成型した。次いで、得られたどんぶり型容器を130℃に熱したオイルバス(オイルは日清オイリオ(株)製の日清キャノーラ油を使用)中に5分間含侵させた後、取り出し、オイルバス含侵前後の容器形状の比較を以下の基準で実施した。
◎:オイルバス含侵前後で容器形状に差が見られない。
○:オイルバス含侵後にわずかな容器形状の変形が確認される。
△:オイルバス含侵後に大きな形状の変形が確認される。
×:オイルバス含侵後に著しい容器形状の変形が確認される。
2.使用材料
(1)長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)
下記の製造例1で製造した重合体(PP−1)及び下記の製造例2で製造した重合体(PP−2)を用いた。
[製造例1(PP−1の製造)]
<触媒成分(A)の合成例1>
以下の手順によって、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成(成分[A−1](錯体1)の合成)を行った。
(i)4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に、4−i−プロピルフェニルボロン酸15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応混合物を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
(ii)2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に4−(4−i−プロピルフェニル)インデン15.4g(67mmol)、蒸留水7.2ml、DMSO 200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド17g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応混合物を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2g(11mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応混合物を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの黄色液体19.8g(収率96%)を得た。
(iii)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82m1mol)、DME100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応混合物に蒸留水50mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム223gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン19.8g(63mmol)を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。
放冷後、反応混合物を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
(iv)ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに、1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(2mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。反応混合物に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応混合物を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの淡黄色固体8.6g(収率88%)を得た。
(v)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応混合物の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムのラセミ体を黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体についてのH−NMRによる同定値を以下に記す。
H−NMR(C)同定結果
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.10(d,12H),δ2.08(s,6H),δ2.67(m,2H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.74(dd,2H),δ7.07(d,2H),δ7.13(d,4H),δ7.28(s,2H),δ7.30(d,2H),δ7.83(d,4H)。
<触媒成分(A)の合成例2>
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−2](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様にして、実施した。
<触媒合成例1>
(i)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
セパラブルフラスコ中で蒸留水2,264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水澤化学工業(株)製ベンクレイSL:平均粒径19μm)400gを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーに蒸留水4,000gを加えた後に、ろ過したところ、ケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1,924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ状固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4Lを加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH5〜6まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、直径53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理スメクタイト220gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
(ii)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(132mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を68.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100以下になるまで洗浄し、全体の液量を100mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A)の合成例1で調製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(210μmol)をトルエン(42mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A)の合成例2で調製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(90μmol)をトルエン(18mL)に溶解した(溶液2)。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.84mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を1.2mL)を加えた後、上記溶液1を加えて20分間室温で撹拌した。その後、更にトリイソブチルアルミニウム(0.36mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.50mL)を加えた後、上記溶液2を加えて、1時間室温で攪拌した。
その後、ヘプタンを338mL追加し、このスラリーを、1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのち、プロピレンを10g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を17.0mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒52.8gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.64であった。
以下、このものを「予備重合触媒1」という。
<重合>
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン40kgを導入した。これに水素9.5リットル(標準状態の体積として)、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液470ml(0.12mol)を加えた後、内部温度を70℃まで昇温した。次いで、予備重合触媒1を1.9g(予備重合ポリマーを除いた重量で)、アルゴンで圧入して重合を開始させ、内部温度を70℃に維持した。2時間経過後に、エタノールを100ml圧入し、未反応のプロピレンをパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより重合を停止した。
得られたポリマーを90℃窒素気流下で1時間乾燥し、18.4kgの重合体(以下、「PP−1」という)を得た。
触媒活性は、9200(g−PP/g−cat)であった。MFRは9.3g/10分であった。
[製造例2(PP−2の製造)]
添加する水素を4.8リットル、使用する予備重合触媒1を2.3g(予備重合ポリマーを除いた重量で)で行う以外は、製造例1と同様に実施した。16.1kgの重合体(以下、「PP−2」という。)を得た。
触媒活性は、6980(g−PP/g−cat)であった。MFRは1.9g/10分であった。
[PP−1〜PP−2のペレット(X1)〜(X2)の製造]
製造例1〜2で製造した重合体(PP−1〜PP−2)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、BASFジャパン(株)製)0.125重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン(株)製)0.125重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−、商品名)を用い室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、ポリプロピレン樹脂(X)のペレット(X1)〜(X2)を得た。
なお、二軸押出機には、テクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は400RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、210、230(以降、ダイス出口まで同温度)℃設定とした。
得られたペレット(X1)〜(X2)について、MFR、CXS、13C−NMR、GPC、分岐指数、MT、伸張粘度の評価を行った。評価結果を表1に示した。
Figure 2020132856
(2)プロピレン系ブロック共重合体(Y)
下記の製造例3で製造したプロピレン系ブロック共重合体(Y1)を用いた。
[製造例3:プロピレン系ブロック共重合体(Y1)の製造]
<触媒の分析方法>
触媒成分、固体触媒、予備重合触媒の分析に際しては、以下の方法を使用した。
・Ti含量(wt%) 試料を精確に秤量し、加水分解した上で比色法を用いて測定した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含量を計算した。
・ケイ素化合物含量(wt%)
試料を精確に秤量し、メタノールで分解した。ガスクロマトグラフィーを用いて標準サンプルと比較することにより、得られたメタノール溶液中のケイ素化合物濃度を求めた。メタノール中のケイ素化合物濃度と試料の重量から、試料に含まれるケイ素化合物の含量を計算した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含量を計算した。
<予備重合触媒B1の調製>
(1)固体成分B1の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g投入し、TiClを1Lゆっくりと添加した。徐々に温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応混合物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応混合物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応混合物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分B1のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分B1のTi含量は2.7wt%であった。
(2)固体触媒B1の調製
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分B1のスラリーを固体成分として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなる様に調整した。SiClを50ml加え、90℃で1hr反応を行った。反応混合物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、t−BuMeSi(OMe)を30ml、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応混合物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、固体成分B1を有機珪素処理して形成した固体触媒B1を得た。得られた固体触媒B1のスラリーの一部をサンプリングして乾燥し、分析を行った。固体触媒B1にはTiが1.2wt%、t−BuMeSi(OMe)が8.9wt%含まれていた。
(3)予備重合
上記で得られた固体触媒B1を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体触媒の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応混合物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って予備重合触媒B1を得た。この予備重合触媒B1は、固体触媒1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この予備重合触媒B1のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0wt%、t−BuMeSi(OMe)が8.3wt%含まれていた。
重合は、2槽連続の気相重合反応装置を用いて実施した。逐次重合の第1工程を実施する第1重合槽と、第2工程を実施する第2重合槽は、共に内容積230リットルの流動床式反応器である。使用する原料ガスは充分に精製したものを使用した。
(第1工程:プロピレン重合体の製造)
第1重合槽のガス組成については、プロピレンの分圧が1.8MPaA、重合槽の全圧が3.0MPaG、となる様に、プロピレンと窒素を連続的に供給した。また、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.020となるように連続的に供給した。重合温度は60℃となるように制御した。この第1重合槽に、EtAlを4.0g/hで供給し、更に、上記の予備重合触媒B1を第1重合槽におけるプロピレン重合体の生産速度が17.5kg/hとなるように連続的に供給し、プロピレン単独重合体の製造を行った。第1重合槽で生産したパウダー(プロピレン重合体)は、重合槽内のパウダー保有量が40kgとなるように連続的に抜き出し、第2重合槽に連続的に移送した。第1重合槽から第2重合槽へ移送するパウダーの一部をサンプリングして分析した所、MFRは20.0g/10分であった。なお、MFRの測定の際には、サンプルであるプロピレン重合体に、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、BASFジャパン(株)製)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン(株)製)、ステアリン酸カルシウム、をそれぞれ適量(500wtppm程度)添加するため、これらをポリ袋に入れ、袋ごと手で上下左右に振とうして内容物を充分撹拌することにより混合(ドライブレンド)した上で測定を行った。
また、MPaGは大気圧を基準にしたゲージ圧であり、真空圧を基準にしたMPaA(絶対圧)とは、XX[MPaG]=XX+0.10133[MPaA]の関係を有する。
(第2工程:プロピレン−エチレン共重合体の製造)
第2重合槽のガス組成については、プロピレンの分圧が1.15MPaA、エチレンの分圧が0.35MPaA、重合槽の全圧が2.5MPaG、となる様に、プロピレン、エチレン、窒素を連続的に供給した。また、分子量制御剤としての水素を、水素/(プロピレン+エチレン)のモル比で260ppmとなるように連続的に供給した。重合温度は70℃となるように制御した。更に、重合抑制剤として、エタノールを2.0g/hとなる様に連続的に供給し、プロピレン−エチレン共重合体の製造を行った。第2重合槽で生産が終了したパウダー(プロピレン重合体とプロピレン−エチレン共重合体とからなる多段重合体であるプロピレン系ブロック共重合体)は、重合槽内のパウダー保有量が60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。このベッセルに、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体(Y1)を得た。
[プロピレン系ブロック共重合体(Y)ペレットの製造]
製造例3で得られたプロピレン系ブロック共重合体(Y1)100重量部に対し、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート(商品名:Cyanox1790、日本サイテックインダストリーズ(株)製)0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン(株)製)0.10重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−、商品名)を用い室温下で3分間混合した。その後、二軸押出機で溶融混練して押し出し、冷水槽を通した後にストランドカッターにてストランドをカットしてペレットを得た。
なお、二軸押出機にはテクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は300RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、180、200、200、200、210、210、210℃(ダイス出口)に設定した。
得られたプロピレン系ブロック共重合体(Y1)のペレットを分析した結果、MFRが1.2g/10分、プロピレン系ブロック共重合体(Y)中のプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)の含量が28.0重量%、プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)中のエチレン含量が26.0重量%、プロピレン系ブロック共重合体(Y)の融解ピーク温度が160.0℃、プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)の固有粘度が9.4dl/gであった。
なお、プロピレン系ブロック共重合体(Y1)のペレットを成分(Y)のペレット(Y1)とも称する。
(3)プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)
本発明のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)は市販のグレードを用いることができる。
(Z1)ノバテックPP MG03BF(商品名、日本ポリプロ(株)製)、触媒:チーグラー・ナッタ触媒、融解ピーク温度:148℃、MFR:30g/10分
(Z2)ノバテックPP MG03EQ (商品名、日本ポリプロ(株)製)、触媒:チーグラー・ナッタ触媒、融解ピーク温度:144℃、MFR:30g/10分)
(Z3)ノバテックPP MG3F(商品名、日本ポリプロ(株)製)、触媒:チーグラー・ナッタ触媒、融解ピーク温度:152℃、MFR:8g/10分
(4)プロピレン単独重合体
(H1)ノバテックPP MA1B(商品名、日本ポリプロ(株)製)、触媒:チーグラー・ナッタ触媒、融解ピーク温度:158℃、MFR:20g/10分
(5)結晶化核剤(K)のマスターバッチ
(K1)MBN05A(商品名、日本ポリプロ(株)製)、(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブNA−11を5重量%含む結晶化核剤マスターバッチ
(K2)MBN05B(商品名、日本ポリプロ(株)製)、(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブNA−21を5重量%含む結晶化核剤マスターバッチ
(K3)STX0691D(商品名、日本ポリプロ(株)製)、ミリケン社製、商品名:ミラッドNX8000Jを10重量%含む結晶化核剤マスターバッチ
[実施例1]
発泡層を得るために、成分(X)のペレット(X1)と成分(Y)のペレット(Y1)と、成分(Z)のペレット(Z1)の重量比率を35:15:50とした混合物100重量部と、結晶化核剤(K)のマスターバッチ(K1)2重量部、気泡調整剤として化学発泡剤(商品名:ハイドロセロールCF40E−J、日本ベーリンガーインゲルハイム(株)製)0.5重量部とを、リボンブレンダーにより均一に攪拌混合し、バレル途中に物理発泡剤注入用のバレル孔を有するスクリュー径65mmΦの押出機に投入した。
押出機のシリンダー設定温度を250℃、スクリュー回転数を105rpmとして樹脂を加熱溶融して可塑化するとともに気泡調整剤を分解させながら、該混合物100重量部に対して、発泡剤として二酸化炭素を0.45重量部にて、圧入混練して発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物とした。
押出機の後段でその発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を冷却し、最終的な樹脂温度が205℃となるように冷却した。
また、非発泡層を得るために、スクリュー径40mmΦ押出機に、プロピレン-エチレンブロック共重合体樹脂(日本ポリプロ(株)製商品名:ノバテックPP、グレード名「BC3BRFA」、MFR=13g/10分)100重量部からなる熱可塑性樹脂組成物を投入して、220℃で加熱溶融後、180℃まで冷却しながら、上記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物とともにフィードブロックを介してTダイ(ギャップ=0.4mm)より非発泡層−発泡層−非発泡層からなる2種3層構成で大気中に83kg/hrの速度で共押出して、ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートとした。
該発泡体を冷却ロールおよびエアナイフにより冷却しつつ、ピンチロール引取りによる延展を行なって厚みを調整、厚み1.50mmの発泡シートを形成した。
得られた該多層発泡シートは、非発泡層:発泡層:非発泡層の厚みが3.2:93.6:3.2の層構成を有し、密度が0.259g/cm、連続気泡率が11.5%の外観良好なものであった。発泡シートの評価結果を表2に示す。
[実施例2]
まず、成分(Z2)のパウダーをペレット化する為、成分(Z2)100重量部に対し、テトラキス[メチレンー3―(3,5―ジーt―ブチルー4―ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名:IRGANOX 1010、BASFジャパン(株)製)0.10重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン(株)製)0.10重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−、商品名)を用い室温下で3分間混合した。その後、二軸押出機で溶融混練して押し出し、冷水槽を通した後にストランドカッターにてストランドをカットしてペレットを得た。
なお、二軸押出機にはテクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は300RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、180、200、200、200、210、210、210℃(ダイス出口)に設定した。
そして、成分(X)のペレット(X1)と成分(Y)のペレット(Y1)と、得られた成分(Z2)のペレットの重量比率を35:15:50とした混合物100重量部と、結晶化核剤(K)のマスターバッチ(K1)2重量部、及び、気泡調整剤として実施例1記載の化学発泡剤0.5重量部とを混合して、実施例1記載と同様の方法で、多層発泡シートを作製した。得られた発泡シートの評価結果を表2に示す。
[実施例3〜4]
表2に示すような種類及び重量比率で成分(X)と成分(Y)と成分(Z)のペレット及び結晶化核剤(K)のマスターバッチと、気泡調整剤として実施例1記載の化学発泡剤0.5重量部とを混合して、実施例1記載と同様の方法で、多層発泡シートを作製した。得られた発泡シートの評価結果を表2に示す。
[比較例1]
発泡層を得るために、成分(X)のペレット(X1)と成分(Y)のペレット(Y1)のみを重量比率70:30とした混合物100重量部と、結晶化核剤(K)のマスターバッチ(K1)2重量部、気泡調整剤として化学発泡剤を0.5重量部で用いた以外は、実施例1に記載と同様の方法で発泡シートを得た。その発泡シートは連続気泡率が著しく高く、シートの外観性に劣るものであった。
[比較例2]
発泡層を得るために、成分(X)のペレット(X1)と成分(Y)のペレット(Y1)と本願の特許請求の範囲外であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)のペレット(Z3)を重量比率35:15:50で用いた以外は、実施例1に記載と同様の方法で発泡シートを得た。その発泡シートは連続気泡率が著しく高く、シートの外観性に劣り、かつ、シート厚みや発泡倍率が目標に達しないものであった。これについてはシートの独立性が極めて低いため、発泡中に二酸化炭素がシート表面から大気中に散逸してしまい、シート厚みと発泡倍率が上がらなかったと考える。
[比較例3]
発泡層を得るために、成分(X)のペレット(X1)と成分(Y)のペレット(Y1)と本願の特許請求の範囲外であるポリプロピレン単独重合体のペレット(H1)を重量比率35:15:50とした混合物100重量部と、結晶化核剤(K)のマスターバッチ(K1)2重量部、気泡調整剤として化学発泡剤を0.5重量部で用いた以外は、実施例1に記載と同様の方法で発泡シートを得た。その発泡シートは連続気泡率が著しく高く、シートの外観性に劣り、かつ、シート厚みや発泡倍率が目標に達しないものであった。これについてはシートの独立性が極めて低いため、発泡中に二酸化炭素がシート表面から大気中に散逸してしまい、シート厚みと発泡倍率が上がらなかったと考える。
[比較例4]
結晶化核剤(K)のマスターバッチ(K1)を処方しなかった以外は、実施例1に記載と同様の方法で発泡シートを得た。その発泡シートは連続気泡率が高く、かつ、成形体としての耐熱変形性が劣るものであった。
[比較例5]
結晶化核剤(K)のマスターバッチ(K1)を処方しなかった以外は、実施例2に記載と同様の方法で発泡シートを得た。その発泡シートは連続気泡率が高く、成形体としての耐熱変形性が劣るものであった。
Figure 2020132856
[実施例5〜6]
表3に示すような種類及び重量比率で成分(X)と成分(Y)と成分(Z)のペレット及び結晶化核剤(K)のマスターバッチと、気泡調整剤として実施例1記載の化学発泡剤0.75重量部とを混合して、実施例1記載と同様の方法で、多層発泡シートを作製した。なお、実施例5〜6では、多層発泡シートの厚みを表3に示される値に変更した。得られた発泡シートの評価結果を表3に示す。
Figure 2020132856
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、それから得られるポリプロピレン系樹脂(多層)発泡シートおよび該発泡シートを用いた熱成形体は、均一微細な発泡セルが得られ、外観、熱成形性、耐衝撃性、軽量性、剛性、耐熱性、断熱性、耐油性等に優れていることより、トレー、皿、カップなどの食品容器や自動車ドアトリム、自動車トランクマットなどの車両内装材、包装、文具、建材などに好適に利用でき、工業的価値は極めて高い。

Claims (10)

  1. 下記の(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)を67.5〜2.5重量部、
    下記の(Y−i)〜(Y−v)の特性を有し、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなる多段重合体であるプロピレン系ブロック共重合体(Y)を2.5〜67.5重量部、及び
    下記の(Z−i)〜(Z−iii)の特性を有するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(Z)を10〜75重量部含むポリプロピレン系樹脂混合物100重量部(ただし、(X)、(Y)、(Z)の合計は100重量部である)に対して、結晶化核剤(K)を0.01〜1.0重量部含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    (X−i)MFRが0.1〜30.0g/10分であること。
    (X−ii)GPCによる分子量分布Mw/Mnが3.0〜10.0、且つMz/Mwが2.5〜10.0であること。
    (X−iii)溶融張力(MT)(単位:g)は、
    log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または
    MT≧15
    のいずれかを満たすこと。
    (X−iv)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)の全重量に対して5.0重量%未満であること。
    (Y−i)(Y−1)と(Y−2)の割合は、(Y−1)が50〜99重量%、(Y−2)が1〜50重量%であること(但し、プロピレン系ブロック共重合体(Y)の全重量を100重量%とする。)。
    (Y−ii)プロピレン系ブロック共重合体(Y)のMFRが0.1〜200.0g/10分であること。
    (Y−iii)プロピレン系ブロック共重合体(Y)の融解ピーク温度が155℃を超えること。
    (Y−iv)プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)中のエチレン含量が11〜60重量%であること(但し、プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)の構成モノマーの全重量を100重量%とする。)。
    (Y−v)プロピレン−エチレン共重合体(Y−2)の135℃デカリン中での固有粘度が5.3dl/g以上であること。
    (Z−i)チーグラー・ナッタ触媒で重合されていること。
    (Z−ii)DSCにて測定される融解ピーク温度が157℃以下であること。
    (Z−iii)MFRが21.0g/10分以上であること。
  2. 前記ポリプロピレン樹脂(X)が下記の特性(X−v)を有することを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    (X−v):絶対分子量Mabsが100万における分岐指数gは、0.30以上0.95未満であること。
  3. 前記ポリプロピレン樹脂(X)が下記の特性(X−vi)を有することを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    (X−vi):13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上であること。
  4. 前記結晶化核剤(K)が下記一般式(1)〜(2)で示されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2020132856

    (式中、Rは、直接結合、硫黄、炭素数1〜9のアルキレン又は炭素数2〜9のアルキリデンであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素、炭素数1〜8のアルキル又は炭素数7〜9のアルキルアリールであり、MはLi、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlであり、nはMの価数である。)
    Figure 2020132856

    (式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素又は炭素数1〜12のアルキルであり、Mは、周期表第13族又は第14族の金属であり、Xは、Mが周期表第13族の金属である場合には、HO−であり、Mが周期表第14族の金属である場合には、O=又は(HO)−である。)
  5. 前記結晶化核剤(K)が下記一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2020132856

    (式中、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立して、同一又は異なって、水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル又はフェニルであり、Rは、炭素数1〜20のアルキルである。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物であって、前記ポリプロピレン系樹脂混合物100重量部に対し、発泡剤を0.05〜6.0重量部含有することを特徴とする発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を押出成形してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  8. 請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートと、熱可塑性樹脂組成物からなる非発泡層とを、共押出してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
  9. 請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートまたは請求項8に記載の多層発泡シートを、熱成形してなることを特徴とする成形体。
  10. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物または請求項6に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形法、熱成形法、押出成形法、ブロー成形法またはビーズ発泡成形法のいずれかの成形法で成形することにより得られることを特徴とする成形体。
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