JP2014141566A - ポリプロピレン系樹脂組成物及び射出発泡成形体 - Google Patents

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Kenji Masuda
憲二 増田
Kazumasa Kondo
和匡 近藤
Naoya Aoki
直也 青木
Masashi Shimouse
正史 下鵜瀬
Shinichi Kitade
愼一 北出
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Abstract

【課題】発泡倍率が高く、サイズが均一微細な発泡セルを有し、成形品の外観が良好なポリプロピレン系射出発泡体を得るためのポリプロピレン系樹脂組成物および射出発泡成形体を提供する。
【解決手段】(PP−i)〜(PP−iii)の特性を有し、逐次重合によって製造されたプロピレン(共)重合体(PP−1)及びプロピレン−エチレン共重合体(PP−2)からなるプロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対して、(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)2〜35重量部、並びに(Y−i)〜(Y−vi)の特性を有し、逐次重合によって製造されたプロピレン(共)重合体(Y−1)及びプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなるプロピレン系ブロック共重合体(Y)2〜35重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いて成形してなる射出発泡成形体など。
【選択図】なし

Description

本発明は、高溶融張力を有するポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる射出発泡成形体に関し、さらに詳しくは、射出発泡成形時に発泡倍率が高く、また、発泡セルが緻密でサイズが比較的均一に揃い、かつ表面外観に優れた射出発泡成形体を製造するために好適なポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いて成形してなる射出発泡成形体に関する。
ポリプロピレン樹脂の重要な成形加工法の一つとして射出発泡成形があり、得られた成形体は、断熱性や遮音性、クッション性、エネルギー吸収特性などの優れた特性を生かし、幅広い用途で使用されている。特に近年は、環境問題の観点から、材料の軽量化と環境負荷の低減が重要な技術開発の課題となり、発泡成形体が使われる技術領域が広がる傾向に有り、発泡性能が高い樹脂に対する需要は、強まっている。
一般的なポリプロピレン樹脂は、その分子構造が線状であり、分子量もそれほど大きくないために、発泡特性に重要な指標である溶融張力が低い樹脂であり、そのため、発泡成形には不向きである。その欠点を補うために、過去に様々な技術開発がなされてきた。
ポリプロピレン系樹脂を高発泡化させる技術としては、型開き可能に保持された金型の空間内に発泡剤を含む樹脂を射出成形した後、金型を開くことにより、前記空間を拡大して樹脂を発泡させるいわゆるコアバック法(Moving Cavity法)がある(例えば、特許文献1参照。)。
通常の線状ポリプロピレン系樹脂は、結晶性でメルトテンション(溶融張力)が低く、気泡が破壊されやすい。その結果、成形体表面にシルバーストリーク(またはスワールマーク)と呼ばれる外観不良が発生しやすく、さらには内部にボイドが発生しやすく、発泡倍率を高くすることが困難であった。また、発泡成形品の鏡面の表面においては、気泡が破壊され穴があくことにより、表面が非常に荒れた状態の部位が多数見られるなど外観上の問題が大きい。
このような発泡性の課題を改良する方法として、架橋剤やシラングラフト熱可塑性樹脂を添加して、ポリプロピレン系樹脂のメルトテンションを高める方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
しかし、これらの方法では、高発泡倍率の発泡成形体が得られるものの、溶融時の粘度が上がりすぎ、得られた成形体の表面性も悪いものであった。
また、溶融張力の高いプロピレン系樹脂とせん断時の張力が高いプロピレン系樹脂とを組み合わせ、発泡倍率、セル形態、シルバーストリームを改良した樹脂組成物および射出発泡成形体が提案されているが、表面の荒れについては、検討がなされていない(例えば、特許文献4参照。)。
WO2005/026255号公報 特開昭61−152754号公報 特開平7−109372号公報 特開2011−068819号公報
本発明の目的は、上記従来技術の現状に鑑み、各種の成形に好適に用いることができ、得られる製品の物性に優れたポリプロピレン樹脂組成物を提供することにある。特に、射出発泡成形の分野において、発泡倍率が高く、サイズが均一微細な発泡セルを有し、成形品の外観が良好なポリプロピレン系射出発泡体を得るためのポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いて成形してなる射出発泡成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、高いメルトテンションを有した長鎖分岐構造を有するポリプロピレンと、ある特定の物性を有する2種類のプロピレン−エチレンブロック共重合体とを、選択的に組み合わせることにより、顕著な効果を奏することを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明者らは、長鎖分岐構造を有する特定のポリプロピレン樹脂と、2種類の特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体とを、特定の割合で組み合わせたポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、射出発泡成形の際に、全く驚くべきことに、高い発泡倍率、均一微細な発泡セルを有し、外観が美麗なポリプロピレン系射出発泡成形体が得られることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の(PP−i)〜(PP−iii)の特性を有し、逐次重合によって製造された、プロピレン(共)重合体(PP−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(PP−2)からなるプロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対して、下記の(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)2〜35重量部、並びに、下記の(Y−i)〜(Y−vi)の特性を有し、逐次重合によって製造された、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなるプロピレン系ブロック共重合体(Y)2〜35重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
特性(PP−i):(PP−1)と(PP−2)の割合は、(PP−1)が65〜99重量%、(PP−2)が1〜35重量%であること(但し、(PP−1)と(PP−2)の重量割合は、プロピレン系ブロック共重合体(PP)全量を100重量%とする。)。
特性(PP−ii):プロピレン系ブロック共重合体(PP)のMFRが15〜200g/10分であること。
特性(PP−iii):プロピレン−エチレン共重合体成分(PP−2)の135℃デカリン中での固有粘度[η](単位dl/g)が4.0以下であること。
特性(X−i):MFRが0.1〜30.0g/10分であること。
特性(X−ii):GPCによる分子量分布Mw/Mnが3.0〜10.0、且つMz/Mwが2.5〜10.0であること。
特性(X−iii):溶融張力(MT)(単位:g)は、
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7 または MT≧15
のいずれかを満たすこと。
特性(X−iv):25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)全量に対して5.0重量%未満であること。
特性(Y−i):(Y−1)と(Y−2)の割合は、(Y−1)が50〜99重量%、(Y−2)が1〜50重量%であること(但し、(Y−1)、(Y−2)の重量割合は、プロピレン系ブロック共重合体(Y)全量を100重量%とする。)。
特性(Y−ii):プロピレン系ブロック共重合体(Y)のMFRが0.1〜200.0g/10分であること。
特性(Y−iii):プロピレン系ブロック共重合体(Y)の融点が155℃を超えること。
特性(Y−iv):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)中のエチレン含量が11.0〜80.0重量%であること(但し、成分(Y−2)を構成するモノマーの全量を100重量%とする。)。
特性(Y−v):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)の135℃デカリン中での固有粘度[η](単位dl/g)が5.3以上であること。
特性(Y−vi):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)は、固有粘度[η]/((Y−2)中のエチレン含量)≧0.20 であること。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ポリプロピレン樹脂(X)は、さらに、下記の特性(X−v)を有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
特性(X−v):13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上であること。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記プロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対し、発泡剤を0.05〜6.0重量部含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第3の発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形してなる射出発泡成形体が提供される。
本発明は、上記の如くポリプロピレン系樹脂組成物などに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
第1又は2の発明において、さらに、(i)物理発泡剤、(ii)分解性発泡剤(化学発泡剤)または(iii)熱膨張剤を含有させたマイクロカプセルから選ばれる発泡剤を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出発泡成形に用いた際に、その発泡倍率が高く、得られる射出発泡成形体の外観が著しく改善される。また、得られる射出発泡成形体は、均一微細な発泡セルを有し、外観の向上に顕著な効果を示す。
そのため、得られるポリプロピレン系射出発泡成形体は、外観、耐衝撃性、軽量性、剛性、耐熱性、断熱性、耐油性等に優れていることより、自動車ドアトリム、自動車トランクマットなどの車両内装材、包装、文具、建材などに好適に利用することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(以下、樹脂組成物と記載することもある。)は、逐次重合によって製造され、プロピレン(共)重合体(PP−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(PP−2)からなり、特定の物性を有するプロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対して、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂成分、特に特定の物性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)2〜35重量部、並びに、逐次重合によって製造され、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなり、特定の物性を有するプロピレン系ブロック共重合体(Y)2〜35重量部を含有することを特徴とする。
また、本発明の射出発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物は、上記の特定の物性を有するプロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対して、発泡剤を0.05〜6.0重量部を含有することを特徴とする。
さらに、本発明の射出発泡成形体は、上記の射出発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形してなることを特徴とする。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、プロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対する、ポリプロピレン樹脂(X)の量の範囲としては、2〜35重量部、好ましくは3〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部、更に好ましくは6〜20重量部である。これに対応して、プロピレン系ブロック共重合体(Y)の量の範囲は、2〜35重量部、好ましくは3〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部、更に好ましくは6〜20重量部である。この範囲を外れるものでは、例えば、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が少なすぎる場合は、発泡成形性の不良現象が生じ、逆に、多すぎる場合には、外観不良の問題が生じる。
以下、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の構成樹脂成分である成分(PP)、成分(X)及び成分(Y)が満たすべき特性などについて、項目毎に、詳細に述べる。
I.ポリプロピレン系樹脂組成物の構成樹脂成分について
1.プロピレン系ブロック共重合体(PP)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、主成分のプロピレン系ブロック共重合体(PP)は、従来公知の逐次重合によって製造されたプロピレン系ブロック共重合体を用いる。
ここで用いるブロック共重合体という語は、当業者によって慣用的に使用されている、逐次重合法によって多段階の重合を行って得られたプロピレン系樹脂組成物の通称であって、各段階で重合された成分同士が化学結合によって結合された、いわゆる(リアル)ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体とは異なるものである。多段階重合それぞれの工程で製造された成分は、化学的には結合していないため、一般に、それぞれの成分に結晶性や分子量、または溶媒への溶解度等の差を利用して、結晶性分別や分子量分別、あるいは溶解度分別等の手法によって、各工程で製造された成分それぞれを、分離することが可能である。
また、この従来公知の逐次重合法によるプロピレン系ブロック共重合体(PP)および後述するプロピレン系ブロック共重合体(Y)には、ポリプロピレン樹脂(X)のような化学結合による長鎖分岐構造は、分析可能な精度では存在が認められない。
以下、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン系ブロック共重合体(PP)の製造方法について、説明する。
(1)プロピレン系ブロック共重合体(PP)の製造方法
本発明で用いられるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体の製造は、高立体規則性触媒を用いて重合する方法が好ましく用いられる。ポリプロピレン系樹脂を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、バッチ重合法や連続重合法のいずれも用いることができ、所望により、二段及び三段等の複数段の連続重合法を用いてもよい。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体部分(PP−1)とプロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)との反応混合物である。これは、結晶性プロピレン重合体部分であるプロピレン単独重合体部分(PP−1)の重合(前段)と、この後に続く、プロピレン・α−オレフィン共重合体(PP−2)の重合(後段)の製造工程により得られる。
上記重合に用いられる触媒としては、高立体規則性触媒であれば、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒(例えば、ポリプロピレンハンドブック(1998年5月15日初版第1刷発行)等に記載)、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報参照。)が使用できる。チーグラー・ナッタ触媒は、チタン化合物として有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し更に活性化したもの(例えば、特開昭47−34478号公報、特開昭58−23806号公報、特開昭63−146906号公報参照。)、塩化マグネシウム等の担体に四塩化チタンを担持させることにより得られるいわゆる担持型触媒(例えば、特開昭58−157808号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−5310号公報、特開昭61−218606号公報参照。)等が含まれる。
また、助触媒として使用される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルモキサン、テトラブチルアルモキサンなどのアルモキサン、メチルボロン酸ジブチル、リチウムアルミニウムテトラエチルなどの複合有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して使用することも可能である。
また、上述の触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御等を目的とする各種重合添加剤を使用することができる。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、ジブチルフタレートなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのアルコール類等の電子供与性化合物を挙げることができる。
一方、メタロセン触媒については、前述の文献のみならず、後記「ポリプロピレン樹脂(X)の製造方法」の説明において、詳しく記述したものが使用可能である。後記の例示のうち、特に触媒成分(A)として、成分(A−2)を用いたものが、プロピレン系ブロック共重合体(PP)およびプロピレン系ブロック共重合体(Y)の製造には、好ましく用いられる。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、また、原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。また、いずれの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。例えば、プロピレン単独重合体部分(PP−1)をバルク重合で行い、プロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)を気相重合で行う方法や、プロピレン単独重合体部分(PP−1)をバルク重合、続いて気相重合で行い、プロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)は、気相重合で行う方法などが挙げられる。
また、重合形式として、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよい。
さらに、重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられる攪拌機付き槽や、チューブ型反応器、気相重合に一般に用いられる流動床反応器、攪拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。
気相重合においては、プロピレン単独重合体部分(PP−1)の重合工程は、プロピレン、連鎖移動剤として水素を供給して、前記触媒の存在下に、温度0〜100℃、好ましくは30〜90℃、特に好ましくは40〜80℃、プロピレンの分圧0.6〜4.2MPa、好ましくは1.0〜3.5MPa、特に好ましくは1.5〜3.0MPa、滞留時間は0.5〜10時間で行う。プロピレン単独重合体部分(PP−1)には、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレン以外の炭素数が2〜10程度のα−オレフィン、例えばα−オレフィンがエチレンの場合は7重量%以下のエチレンが共重合されていても構わない。
本発明に用いられるプロピレン系ブロック共重合体(PP)のプロピレン単独重合体部分(PP−1)のMFRは、特に制限はないが、通常50〜500g/10分の範囲である。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部分(PP−1)をこの様な範囲とする為には、触媒の種類にもよるが、連鎖移動剤の水素を、水素/プロピレンのモル比で5×10−2〜0.3の範囲で行うことにより、所望のMFRに調節することが可能である。
プロピレン・α−オレフィン共重合体を製造する際は、引き続いて、即ち前段重合工程で製造されたプロピレン単独重合体部分(PP−1)の存在下、後段重合工程で、プロピレン、α−オレフィンと水素を供給して、前記触媒(前記プロピレン単独重合体部分(PP−1)の製造に使用した当該触媒)の存在下に0〜100℃、好ましくは30〜90℃、特に好ましくは40〜80℃、プロピレン及びα−オレフィンの分圧各0.1〜2.0MPa、好ましくは0.1〜1.5MPa、滞留時間は0.5〜10時間の条件で、プロピレンとα−オレフィンの共重合を行い、プロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)を製造し、最終的な生成物として、プロピレン系ブロック共重合体(PP)を得る。
プロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)には、本発明の効果を損なわない範囲でプロピレンと2種類以上のα−オレフィンが共重合されていても構わない。
本発明に用いられるプロピレン系ブロック共重合体(PP)のプロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)の固有粘度[η]は、1.5〜3.5dl/gである。この範囲にコントロールする場合、触媒の種類にもよるが、水素/(プロピレン+α−オレフィン)モル比を、10−3〜0.8の範囲で行うことにより、所望のMFRに調節することが可能である。また、プロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)中のα−オレフィン含量を特定の範囲内に維持するためには、後段のプロピレン濃度に対するα−オレフィン濃度を調整すればよい。さらに、ゲル発生やベタツキを抑えるために、プロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)の反応中あるいは反応前に、エタノールなどのアルコール類を添加することが望ましい。具体的には、アルコール類/有機アルミニウム化合物の比で、0.5〜3.0モル比の条件で行うことができる。また、このアルコール類の添加量で、プロピレン・α−オレフィン共重合体のプロピレン・α−オレフィン共重合体部分(PP−2)の割合も、コントロールすることができる。
また、このようなプロピレン・α−オレフィン共重合体は、各社から種々の市販品が上市されているので、これら市販品の物性を測定して、所望のものを用いることもできる。
1−1.特性(PP−i):(PP−1)と(PP−2)の量比
本発明において、(PP−1)と(PP−2)の重量割合は、(PP−1)が65〜99wt%、好ましくは67〜97wt%、更に好ましくは70〜95wt%である。これに対応して、(PP−2)が1〜35wt%、好ましくは3〜33wt%、更に好ましくは5〜30wt%である。
(但し、(PP−1)、(PP−2)の重量割合については、プロピレン系ブロック共重合体(PP)全量を100重量%とする)
このプロピレン系ブロック共重合体(PP)を、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(X)およびプロピレン系ブロック共重合体(Y)に配合することにより、良好な延展性が付与され、(X)および(Y)成分のみで使用する場合に比べて、各種の成形法での成形加工可能な温度範囲が広くなる、外観が良好になる等のメリットが得られる。(PP−2)成分の量が上記範囲を下回ると、これらのメリットが得られ難くなり、一方、上回ると、結晶性成分(PP−1)の量が少なくなりすぎるために、組成物の耐熱性や剛性が損なわれる。
1−2.特性(PP−ii):MFR
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体(PP)のMFRの範囲は、15〜200g/10分の範囲であり、好ましくは20〜190g/10分、更に好ましくは50〜180g/10分、特に好ましくは50〜170g/10分の範囲である。
これは、各種の成形に供する樹脂のMFRの範囲として、常用の範囲であって、この範囲を下回る場合には、充填不足などの問題が生じる。
なお、MFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定したもので、単位はg/10分である。
1−3.特性(PP−iii):成分(PP−2)の固有粘度[η]
本発明者らは、多くの実験検討の結果、プロピレン系ブロック共重合体(PP)を、ポリプロピレン樹脂(X)およびプロピレン系ブロック共重合体(Y)と組合せた際に、プロピレン−エチレンブロック共重合体成分(PP)を構成するプロピレン−エチレン共重合体成分(PP−2)の135℃デカリンを溶媒として測定される固有粘度[η]値が、4.0dl/g以下であることが必要であり、好ましくは3.9dl/g以下、更に好ましくは3.5dl/g以下、最も好ましくは3.3dl/g以下である。また、固有粘度[η]は、1.5dl/g以上が好ましい。
固有粘度が4.0dl/gを超えるものを使用すると、外観不良が起こり、1.5dl/gを下回る場合には、発泡倍率が低下する場合がある。
ここでの固有粘度は、温度135℃、溶媒にデカリンを用い、ウベローデ型毛管粘度計を用いて測定した値とする。(PP−2)の固有粘度を求めるためには、後述するCXSを求める際の記載と同じ手法を用いて(PP−2)成分を25℃パラキシレン可溶成分として回収し、これの固有粘度測定を行うものとする。ただし、(PP−2)成分のエチレン含量が15wt%を下回ると、CXSを求める際の手法によっては十分に(PP−2)成分を分離することが難しくなる。このような場合には、逐次重合途中の(PP−1)成分を少量抜き取って固有粘度測定を行い、さらに、逐次重合終了後の(PP)全体の固有粘度を測定し、以下の式によって求めるものとする。
(PP−2)成分の固有粘度=[(PP)全体の固有粘度−{(PP−1)成分の固有粘度×(PP−1)成分の重量分率/100}]/{(PP−2)成分の重量分率/100}
1−4.特性(PP−iv):融点
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体(PP)の融点は、必須の要件でないが、シートの耐熱性の維持の観点から、155℃を超えるものが好ましく、157℃以上であるとより好ましい。融点の上限値は、特に制限する必要は無いが、事実上、融点が170℃を超えるものを製造することは困難である。
なお、融点は、示差操作熱量測定(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。
1−5.特性(PP−v):成分(PP−2)中のエチレン含量
また、本発明において、必須の要件でないが、プロピレン−エチレン共重合体成分(PP−2)中のエチレン含量が11〜80重量%であることが好ましい(ただし、成分(PP−2)を構成するモノマーの全量を100重量%とする。)。プロピレン−エチレン共重合体成分(PP−2)中のエチレン含量のより好ましい範囲としては、16〜70重量%、更に好ましくは18〜60重量%である。
エチレン含量が上記の範囲のものを使用すると、(PP−2)部分によるバランスが不良となり外観、発泡倍率等に悪影響を与える。
ここで、成分(PP)中の、(PP−1)と(PP−2)の比率や、(PP−2)中のエチレン含量の決定手法としては、従来公知のIRやNMR、あるいは溶解度分別法とIR法を組み合わせた分析手法等によって、決定することができる。
本発明においては、主にプロピレン系ブロック共重合体(PP)や、後述する成分(Y)の各種のインデックスは、以下に記載のクロス分別法とFT−IR法の組み合わせの手法により決定した。
(1)使用する分析装置
(i)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段のGPCカラムは、昭和電工製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(2)CFCの測定条件
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位 重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
(3)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
(4)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は、各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。具体的な手法は、上に記載したものと同じである。
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン−ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して、予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
(5)プロピレン−エチレン共重合体含有量
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体(PP)のプロピレン−エチレン共重合体(PP−2)(以下、EPと記載)含有量は、下記式(I)で定義され、以下のような手順で求められる。
EP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100+W140×A140/B140 (I)
W40、W100、W140は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位 重量%)であり、A40、A100、A140は、W40、W100、W140に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位 重量%)であり、B40、B100、B140は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量(単位 重量%)である。
A40、A100、A140、B40、B100、B140の求め方は後述する。
(I)式の意味は、以下の通りである。(I)式右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるEPの量を算出する項である。フラクション1がEPのみを含み、PPを含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のEP含有量に寄与するが、フラクション1には、EP由来の成分のほかに少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこで、W40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、EP成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるEPのエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はEP由来、残りの1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からEPの寄与を算出することを意味する。右辺第二項以後も同様であり、各々のフラクションについて、EPの寄与を算出して加え合わせたものがEP含有量となる。
(i)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜3に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100、A140とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
(ii)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2および3については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では、B100=B140=100と定義する。B40、B100、B140は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するPPとEPを完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100、B140は、エチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるEPの量がフラクション1に含まれるEPの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、ともに100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=B140=100として、解析を行うこととしている。
(iii)以下の式に従い、EP含有量を求める。
EP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100+W140×A140/100 (II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たないEP含有量(重量%)を示し、第二項と第三項の和であるW100×A100/100+W140×A140/100は、結晶性を持つEP含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40、A100、A140は、次のようにして求める。
結晶分布の違いによって分別されたフラクション1をCFC分析装置の一部を構成するGPCカラムで分子量分布を測定した曲線、および、当該GPCカラムの後ろに接続されたFT−IRによって、分子量分布曲線に対応して測定されるエチレン含有量の分布曲線を求める。微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。
また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和が、平均エチレン含有量A40となる。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は、次の通りである。
本発明のCFC分析においては、40℃とは、結晶性を持たないポリマー(例えば、EPの大部分、もしくはプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。また、100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えば、EP中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。さらに、140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、PP中特に結晶性の高い成分、およびEP中の極端に分子量が高くかつエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140に含まれるEP成分は、極めて少量であり、実質的には無視できる。
EP中のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100+W140×A140)/[EP] (III)
但し、[EP]は、先に求めたEP含有量(重量%)である。
EPのうち、結晶性を持たない部分のエチレン含有量(E)(重量%)は、ゴム部分の溶出がほとんど40℃以下で完了することから、B40の値をもって近似する。
しかしながら、上述のクロス分別法とFT−IRの組み合わせによる分析方法では、(PP−2)のエチレン含量が15wt%を下回り、(PP−1)との結晶性に大きな差がなくなり、温度による分別が充分に行うことができないような場合では、正確な分析が難しくなる。このような場合は、逐次重合の途中で(PP−1)成分を抜き取っておき、その分子量(コモノマーを共重合する場合には、コモノマー含量も測定する)を測定し、さらに、マテリアルバランスによる計算によって、(PP−1)と(PP−2)成分の量比を決定し、さらに、逐次重合終了時の成分(PP)全体のコモノマー含量を測定することで、以下の重量の単純な加成則を使用することで、(PP−2)成分のコモノマー含量を求めることが好ましい。コモノマーとして、エチレンを使用する場合、以下の式によって(PP−2)のエチレン含量を求めるものとする。
(PP−2)成分のエチレン含量=[(PP)全体のエチレン含量−{(PP−1)成分のエチレン含量×(PP−1)成分の重量分率/100}]/{(PP−2)成分の重量分率/100}
(PP−1)成分と(PP−2)成分の量比を求める他の手法については、(PP−1)成分と(PP−2)成分の平均分子量がある程度異なるものを製造する場合には、逐次重合終了後の(PP)全体のGPC測定を行って、得られる多峰性の分子量分布曲線を市販のデータ解析ソフトウェア等を用いてピーク分離し、その重量比を計算することで、求めることも可能である。
2.長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂成分(X)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、上記のプロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対して、以下の(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)2〜35重量部を含有することを特徴とする。
特性(X−i):MFRが0.1〜30.0g/10分であること。
特性(X−ii):GPCによる分子量分布Mw/Mnが3.0〜10.0、且つMz/Mwが2.5〜10.0であること。
特性(X−iii):溶融張力(MT)(単位:g)は、
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7 または MT≧15
のいずれかを満たすこと。
特性(X−iv):25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)全量に対して5.0重量%未満であること。
以下、本発明で規定する上記各特性要件、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の製造方法などについて、具体的に述べる。
2−1.特性(X−i):MFR
本発明における長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜30.0g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは0.3〜20.0g/10分、さらに好ましくは0.5〜10.0g/10分である。この範囲を下回るものは、流動性不足となり、各種の成形に対して押出機の負荷が高すぎるなどの問題が生じ、一方、上回るものは、張力不足により、高溶融張力材としての特性が乏しくなり、適さないものとなる。
なお、MFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定したもので、単位はg/10分である。
2−2.特性(X−ii):GPCによる分子量分布
また、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、分子量分布が比較的広いことが必要であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる分子量分布Mw/Mn(ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)が3.0以上10.0以下であることが必要である。長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の分子量分布Mw/Mnは、その好ましい範囲としては3.5〜8.0、更に好ましくは4.1〜6.0の範囲である。
さらに、分子量分布の広さをより顕著に表すパラメータとして、Mz/Mw(ここで、MzはZ平均分子量である)が2.5以上10.0以下であることが必要である。Mz/Mwの好ましい範囲は2.8〜8.0、更に好ましくは3.0〜6.0の範囲である。
分子量分布の広いものほど成形加工性が向上するが、Mw/MnおよびMz/Mwがこの範囲にあるものは、成形加工性に特に優れるものである。
なお、Mn、Mw、Mzの定義は「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算可能である。
本発明で用いたGPCの具体的な測定手法は、以下の通りである。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
2−3.特性(X−iii):溶融張力(MT)
さらに、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、以下の条件(1)を満たす必要がある。
・条件(1)
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7
又は
MT≧15
のうちの少なくとも1つを満たす。
本発明では、MTは、(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Bを用いて、キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm、シリンダー径:9.55mm、シリンダー押出速度:20mm/分、引き取り速度:4.0m/分、温度:230℃の条件で、測定したときの溶融張力を表し、単位はグラムであるが、同等の装置を用いて、測定することもできる。ただし、成分(X)のMTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引き取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。また、MFRの測定条件、単位は前述の通りである。
この規定は、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が発泡成形のために充分な溶融張力を有するための指標であり、一般に、MTは、MFRと相関を有していることから、MFRとの関係式によって記述している。
このように、MTをMFRとの関係式で規定する手法は、当業者にとって通常の手法であって、例えば、特開2003−25425号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
log(MS)>−0.61×log(MFR)+0.82 (230℃)
(ここでMSは、MTと同義である。)
また、特開2003−64193号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
11.32×MFR−0.7854≦MT (230℃)
さらに、特開2003−94504号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
MT≧7.52×MFR−0.576
(MTは190℃、MFRは230℃で測定した値である。)
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が、上記条件(1)を満たせば、充分に溶融張力の高い樹脂といえ、発泡成形に有用である。また、以下の条件(1)’を満たすことがより好ましく、条件(1)”を満たすことが更に好ましい。
・・条件(1)’
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.9
又は
MT≧15
のうちの少なくとも1つを満たす。
・・条件(1)”
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+1.1
又は
MT≧15
のうちの少なくとも1つを満たす。
MTの上限値については、これを特に設ける必要は無いが、MTが40gを超えるような場合には、上記測定手法では引き取り速度が著しく遅くなり、測定が困難となる。このような場合は、樹脂の延展性も悪化しているものと考えられるため、好ましくは40g以下、さらに好ましくは35g以下、もっとも好ましくは30g以下である。
2−4.特性(X−iv):25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)
本発明で用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、立体規則性が高い方が、製品となったときにベタツキやブリードアウトの原因となる低結晶性成分が少なくなるので、好ましい。この低結晶性成分は、25℃キシレン可溶成分量(CXS)によって評価され、それが成分(X)全量に対して、5.0重量%未満であることが必要であり、好ましくは3.0重量%以下であり、より好ましくは1.0重量%以下あり、さらに好ましくは0.5重量%以下である。下限については、特に制限されないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上である。CXSの測定法の詳細は、以下の通りである。
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥し室温キシレン可溶成分を回収する。この回収成分の重量の仕込み試料重量に対する割合[重量%]をCXSと定義する。
本発明に係る長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の付加的な特徴として、以下の(X−v)の特性を有することが好ましく、さらに、(X−vi)の特性を有することがより好ましい。
2−5.特性(X−v):13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率
本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、立体規則性が高いことが好ましい。立体規則性の高さは、13C−NMRによって評価することができ、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95.0%以上の立体規則性を有するものが好ましい。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合であるの上限は100%である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。mm分率がこの値より小さいと、製品の弾性率が低下するなど機械的物性が低下する傾向にある。
従って、mm分率は、95.0%以上が好ましく、より好ましくは96.0%以上であり、さらに好ましくは97.0%以上である。
なお、特性(X−iv)及び次に記載する(X−vi)は、共に立体規則性に関連する特性であり、特性(X−v)に加えて、特性(X−iv)及び(X−v)の要件を同時に満たしていることが特に好ましい。
なお、13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2、−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃においてプロトン完全デカップリング法で測定する。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定する。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
データポイント数:32768
mm分率の解析は、前記の条件により測定された13C−NMRスペクトルを用いて行う。
スペクトルの帰属は、Macromolecules,8卷,687頁(1975年)やPolymer,30巻,1350頁(1989年)を参考にして行う。
なお、mm分率決定のより具体的な方法は、特開2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に詳細に記載されており、本発明においても、この方法に従って行うものとする。
2−6.特性(X−vi):分岐指数g’
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)が分岐を有することの直接的な指標として、分岐指数g’を挙げることができる。g’は、長鎖分岐構造を有するポリマーの固有粘度[η]brと同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度[η]linの比、すなわち、[η]br/[η]lin によって与えられ、長鎖分岐構造が存在すると、1よりも小さな値をとる。
定義は、例えば「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers,1983)に、記載されており、当業者にとって公知の指標である。
g’は、例えば、下記に記すような光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用することによって、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。
本発明で使用する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、光散乱によって求めた絶対分子量Mabsが100万の時に、g’が0.30以上1.00未満であることが好ましく、より好ましくは0.55以上0.98以下、更に好ましくは0.75以上0.96以下、最も好ましくは0.78以上0.95以下である。
以下に詳細に記述するとおり、本発明に係る長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、その重合機構から、分子構造としては櫛型鎖が生成すると考えられ、g’が0.30未満であると、主鎖が少なく側鎖の割合が極めて多いこととなり、このような場合には、溶融張力が向上しなかったり、ゲルが生成するおそれがあるため、発泡成形において好ましくない。一方、1.00である場合には、これは分岐が存在しないことを意味し、溶融張力が不足しやすくなる傾向にあり、発泡成形に適さない。
なお、g’の下限値が上記の値であると好ましいのは、以下の理由による。
「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering vol.2」(John Wiley & Sons 1985 p.485)によると、櫛型ポリマーのg’値は、以下の式で表されている。
Figure 2014141566
ここで、gは、ポリマーの回転半径比で定義される分岐指数であり、εは分岐鎖の形状と溶媒によって決まる定数で、同文献のp.487のTable3によれば、良溶媒中の櫛型鎖では、おおよそ0.7〜1.0程度の値が報告されている。λは櫛型鎖における主鎖の割合、pは平均の分岐数である。この式によると、櫛型鎖であれば、分岐数が極めて大きくなる、すなわち、pが無限大の極限で、g’=gε=λεとなり、λεの値以下にはならないことになり、一般に下限値が存在することになる。
一方、電子線照射や過酸化物変成の場合において生じると考えられる、従来公知のランダム分岐鎖の式は、同文献中の485ページ式(19)で与えられており、これによると、ランダム分岐鎖では、分岐点が多くなるにつれ、g’およびg値は、特に下限値が存在することなく、単調に減少する。つまり、本発明において、g’値に下限値があるということは、本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、櫛型鎖に近い構造を有しているということを意味しており、これにより、電子線照射や過酸化物変成によって生成されるランダム分岐鎖との区別が、より明確となる。
また、g’が上記の範囲にある櫛型鎖に近い構造を有する分岐状ポリマーにおいては、混練を繰り返した際の溶融張力の低下度合いが小さく、工業的に成形体を生産する工程で発生する、例えばシート、フィルム成形時に端部をカットすることで生じる端材であるとか、射出成形のランナー等の部材を、リサイクル材として再度成形に供する際に、物性や成形性の低下が小さくなることになり、好ましい。
具体的なg’の算出方法は、以下の通りである。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いる。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technoogy社のDAWN−Eを用いる。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続する。移動相溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼン(BASFジャパン社製酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。
流量は1mL/分で、カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いる。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとし、注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。
MALLSから得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
[分岐指数(g’)の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度([η]br)と、別途、線状ポリマーを測定して得られる極限粘度([η]lin)との比([η]br/[η]lin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐構造が導入されると、同じ分子量の線状のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると、極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐構造が導入されるに従い同じ分子量の線状ポリマーの極限粘度([η]lin)に対する分岐ポリマーの極限粘度([η]br)の比([η]br/[η]lin)は、小さくなっていく。
したがって、分岐指数(g’=[η]br/[η]lin)が1より小さい値になる場合には、分岐が導入されていることを意味する。ここで、[η]linを得るための線状ポリマーとしては、市販のホモポリプロピレン(日本ポリプロ社製ノバテックPP(登録商標) グレード名:FY6)を用いる。線状ポリマーの[η]linの対数は分子量の対数と線形の関係があることは、Mark−Houwink−Sakurada式として公知であるから、[η]linは、低分子量側や高分子量側に適宜外挿して数値を得ることができる。
本発明において、特性(X−iii)がlog(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7を満たし、かつMabsが100万において、g’<1を満たすポリプロピレン樹脂は、長鎖分岐構造を有するといえる。
2−7.長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の製造方法
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、上記した(X−i)〜(X−vi)の特性を満たす限り、特に製造方法を限定するものではないが、前述のように、高い立体規則性、低い低結晶性成分量、比較的広い分子量分布、分岐指数g’の範囲、高い溶融張力等の全ての条件を満足するための好ましい製造方法は、メタロセン触媒の組み合わせを利用したマクロマー共重合法を用いる方法である。このような方法の例としては、例えば、特開2009−57542号公報に開示される方法が挙げられる。
この手法は、マクロマー生成能力を有する特定の構造の触媒成分と、高分子量でマクロマー共重合能力を有する特定の構造の触媒成分とを組み合わせた触媒を用いて、長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを製造する方法であり、これによれば、バルク重合や気相重合といった工業的に有効な方法で、特に実用的な圧力温度条件下の単段重合で、しかも、分子量調整剤である水素を用いて、目的とする物性を有する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の製造が可能である。
また、従来は、立体規則性の低いポリプロピレン成分を使用して結晶性を落とすことによって、分岐生成効率を高めなければならなかったが、上記の方法では、充分に立体規則性の高いポリプロピレン成分を、側鎖に簡便な方法で、導入することが可能であり、本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)として好ましい、高い立体規則性と低い低結晶性成分量に係る(X−iv)及び(X−vi)の特性を満足するのに好適である。
また、上記手法を用いれば、重合特性の大きく異なる二種の触媒を使用することで、分子量分布を広くでき、本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)に必要な(X−i)〜(X−iii)の特性を同時に満たすことが可能であり、好ましい。
そこで、以下に、本発明に使用される長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の好ましい製造法について、詳細に記載する。
長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)を製造する好ましい方法として、プロピレン重合触媒に下記の触媒成分(A)、(B)および(C)を用いるプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。
(A):下記一般式(a1)で表される化合物である成分[A−1]から少なくとも1種類、および下記一般式(a2)で表される化合物である成分[A−2]から少なくとも1種類を選んだ2種以上の周期表第4族の遷移金属化合物
成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物
成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物
(B):イオン交換性層状珪酸塩
(C):有機アルミニウム化合物
以下、触媒成分(A)、(B)および(C)について、詳細に説明する。
(1)触媒成分(A)
(i)成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物
Figure 2014141566
(一般式(a1)中、各々R11およびR12は、独立して、炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を示す。また、各々R13およびR14は、独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を表す。さらに、X11およびY11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。)
上記R11およびR12の炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基としては、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
上記R13およびR14の炭素数6〜16の、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−iプロピルフェニル基、4−tブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジtブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−iプロピルフェニル基、4−tブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13およびR14が互いに同一である場合が好ましい。
一般式(a1)中、X11およびY11は、補助配位子であり、触媒成分(B)の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X11とY11は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基を示す。
一般式(a1)中、Q11は、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(a1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
これらのうち、更に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
(ii)成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物
Figure 2014141566
(一般式(a2)中、各々R21およびR22は、独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、R23およびR24は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基である。X21およびY21は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。M21は、ジルコニウムまたはハフニウムである。)
上記R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R23およびR24は、それぞれ独立して、炭素数6〜16の、好ましくは炭素数6〜12の、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としてはフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
また、上記X21およびY21は、補助配位子であり、触媒成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X21およびY21は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基を示す。
また、上記Q21は、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基であり、好ましくは置換シリレン基あるいは置換ゲルミレン基である。
ケイ素、ゲルマニウムに結合する置換基は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、二つの置換基が連結していてもよい。具体的な例としては、メチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
さらに、上記M21は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
上記一般式(a2)で表されるメタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
ただし、以下は、煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載しており、本発明は、これら化合物に限定して解釈されるものではなく、種々の配位子や架橋結合基あるいは補助配位子を任意に使用しうることは自明である。また、中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、ジルコニウムに代替した化合物も、本明細書に開示されたものとして取り扱われる。
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などが挙げられる。
これらの中で好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
(2)触媒成分(B)
ポリプロピレン樹脂(X)を製造するのに好ましく使用される触媒成分(B)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の種類
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある。)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、触媒成分(B)に含まれる。
本発明で使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよく、また、それらを含んでもよい。
珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
(ii)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
本発明に係る触媒成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
<酸処理>:
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
処理に用いる塩類(次項で説明する)および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は、室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
なお、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
<塩類処理>:
塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、第1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、第2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、CおよびCから成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
このような塩類の具体例としては、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC等が挙げられる。
また、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr等が挙げられる。
また、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF3、FeCl、FeC等が挙げられる。
また、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等が挙げられる。
さらに、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI等が挙げられる。
<アルカリ処理>:
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
<有機物処理>:
また、有機物処理に用いられる有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
また、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して触媒成分(B)として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の触媒成分(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
以上のように、本発明において、触媒成分(B)として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する有機アルミニウム化合物の触媒成分(C)で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する触媒成分(C)の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
また、触媒成分(B)は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば、天然物あるいは市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により、粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
(3)触媒成分(C)
触媒成分(C)は、有機アルミニウム化合物である。触媒成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR31 3−q で示される化合物が好適である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、R31は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。R31としては、アルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、p=1、q=3のトリアルキルアルミニウムおよびアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R31が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
(4)触媒の形成・予備重合について
触媒は、上記の各触媒成分(A)〜(C)を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば、次の通りである。
触媒成分(C)を使用する場合、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させる前に、触媒成分(A)と、あるいは触媒成分(B)と、または触媒成分(A)および触媒成分(B)の両方に触媒成分(C)を接触させること、または、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させるのと同時に触媒成分(C)を接触させること、または、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させた後に触媒成分(C)を接触させることが可能であるが、好ましくは、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させる前に、触媒成分(C)といずれかに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
使用する触媒成分(A)、(B)および(C)の使用量は任意である。例えば、触媒成分(B)に対する触媒成分(A)の使用量は、触媒成分(B)1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。また触媒成分(A)に対する触媒成分(C)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜1×10、の範囲内が好ましい。
本発明で使用する前記成分[A−1](一般式(a1)で表される化合物)と前記成分[A−2](一般式(a1)で表される化合物)の割合は、プロピレン系重合体の前記特性を満たす範囲において任意であるが、各成分[A−1]と[A−2]の合計量に対する[A−1]の遷移金属のモル比で、好ましくは0.30以上、0.99以下である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[A−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[A−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。したがって、成分[A−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
より高い歪硬化のプロピレン系重合体を製造するために、0.30以上が必要であり、好ましくは0.40以上であり、更に好ましくは0.5以上である。また、上限に関しては0.99以下であり、高い触媒活性で効率的にポリプロピレン樹脂(X)を得るためには、好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[A−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
本発明に係る触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付される。予備重合処理を行うことにより、本重合を行った際に、ゲルの生成を防止できる。その理由としては、本重合を行った際の重合体粒子間で長鎖分岐が均一に分布させることができるためと、考えられ、また、そのことにより溶融物性を向上することができる。
予備重合時に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が触媒成分(B)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に触媒成分(C)を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
また、上記の各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
(5)触媒の使用/プロピレン重合について
重合様式は、前記触媒成分(A)、触媒成分(B)および触媒成分(C)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75度以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下であることが好ましい。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.7MPa以上である。また、上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.3MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また活性向上効果のために、補助的に水素をプロピレンに対してモル比で1.0×10−6以上、1.0×10−2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、MFR、歪硬化度、溶融張力MT、溶融延展性といった、長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを特徴付ける溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10−6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10−5以上であり、さらに好ましくは1.0×10−4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10−2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10−2以下であり、更に好ましくは0.8×10−2以下である。
また、プロピレンモノマー以外に、用途に応じて、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンコモノマー、例えば、エチレンおよび/又は1−ブテンをコモノマーとして使用する共重合をおこなってもよい。
そこで、本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)として、触媒活性と溶融物性のバランスのよいものを得るためには、エチレンおよび/又は1−ブテンを、プロピレンに対して15モル%以下で使用することが好ましく、より好ましくは10.0モル%以下であり、更に好ましくは7.0モル%以下である。
ここで例示した触媒、重合法を用いてプロピレンを重合すると、触媒成分[A−1]由来の活性種から、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応により、ポリマー片末端が主としてプロペニル構造を示し、所謂マクロマーが生成する。このマクロマーは、より高分子量を生成することができ、より共重合性がよい触媒成分[A−2]由来の活性種に取り込まれ、マクロマー共重合が進行すると考えられる。したがって、生成する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の分岐構造としては、櫛型鎖が主であると、考えられる。
2−8.長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)のその他の特性
上記の手法にて製造される、本発明に係る長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)の更なる付加的特徴として、歪み速度0.1s−1での伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax(0.1))が6.0以上であることが挙げられる。
歪硬化度(λmax(0.1))は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、発泡成形を行ったときに、独立気泡率を高くできる。この歪硬化度は、6.0以上であると、独立気泡性をより高く保持することができ、好ましくは8.0以上である。
λmax(0.1)の算出方法の詳細を、以下に記す。
・λmax(0.1)算出方法
温度180℃、歪み速度=0.1s−1の場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似する。
具体的には、まず伸張粘度を時間に対してプロットした際の各々の時刻での傾きを求めるが、それに当っては伸張粘度の測定データは離散的であることを考慮し、種々の平均法を利用する。たとえば隣接データの傾きをそれぞれ求め、周囲数点の移動平均をとる方法等が挙げられる。
伸張粘度は、低歪み量の領域では、単純増加関数となり、次第に一定値に漸近し、歪み硬化がなければ、充分な時間経過後にトルートン粘度に一致するが、歪み硬化のある場合には、一般的に歪み量(=歪み速度×時間)1程度から、伸張粘度が時間と共に増大を始める。すなわち、上記傾きは、低歪み領域では時間と共に減少傾向があるが、歪み量1程度から逆に増加傾向となり、伸張粘度を時間に対してプロットした際の曲線上に、変曲点が存在する。そこで歪み量が0.1〜2.5程度の範囲で、上記で求めた各々の時刻の傾きが最小値をとる点を求めて、その点で接線を引き、直線を歪み量が4.0となるまで外挿する。歪み量4.0となるまでの伸長粘度ηの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの上記近似直線上の粘度をηlinとする。ηmax/ηlinを、λmax(0.1)と定義する。
本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)は、上に述べたように高立体規則性を有することが好ましく、それにより成形体の剛性の高いものを製造することができる。ポリプロピレン樹脂(X)は、ホモポリプロピレンであるか、または上に述べた種々の特性を満足する限り、少量のエチレンや1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンその他のコモノマーとのプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であってもよい。ポリプロピレン樹脂(X)がホモポリプロピレンである場合には、結晶性が高く、融点が高くなるが、ポリプロピレン樹脂(X)がプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である場合にも、融点が高いことが好ましい。
より具体的には、示差走査熱量測定(DSC)によって得られた融点が145℃以上であることが好ましく、150℃以上がより好ましい。融点が145℃より高いと、製品の耐熱性の観点から好ましいが、ポリプロピレン樹脂(X)の融点の上限は、通常170℃以下である。
なお、融点は、示差走査熱量測定(DSC)によって求められ、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。
3.プロピレン系ブロック共重合体(Y)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、前記のプロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対して、上記の長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)2〜35重量部、並びに、下記の(Y−i)〜(Y−vi)の特性を有し、逐次重合によって製造された、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなるプロピレン系ブロック共重合体(Y)2〜35重量部を含有することを特徴とする。
特性(Y−i):(Y−1)と(Y−2)の割合は、(Y−1)が50〜99重量%、(Y−2)が1〜50重量%であること(但し、(Y−1)、(Y−2)の重量割合は、プロピレン系ブロック共重合体(Y)全量を100重量%とする。)。
特性(Y−ii):プロピレン系ブロック共重合体(Y)のMFRが0.1〜200.0g/10分であること。
特性(Y−iii):プロピレン系ブロック共重合体(Y)の融点が155℃を超えること。
特性(Y−iv):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)中のエチレン含量が11.0〜80.0重量%であること(但し、成分(Y−2)を構成するモノマーの全量を100重量%とする。)。
特性(Y−v):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)の135℃デカリン中での固有粘度[η](単位dl/g)が5.3以上であること。
特性(Y−vi):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)は、固有粘度[η]/((Y−2)中のエチレン含量)≧0.20 であること。
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体(PP)およびプロピレン系ブロック共重合体(Y)は、従来公知の逐次重合によって製造されたプロピレン系ブロック共重合体を用いる。
一般的なプロピレン系ブロック共重合体の説明については、前記プロピレン系ブロック共重合体(PP)の項で、説明したとおりであり、ここでは、プロピレン系ブロック共重合体(Y)の特徴について、説明する。
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体(Y)は、下記の(Y−i)〜(Y−vi)の特性を有し、逐次重合によって製造された、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなるものである。
3−1.特性(Y−i):(Y−1)と(Y−2)の量比
本発明において、(Y−1)と(Y−2)の重量割合は、(Y−1)が50〜99重量%、好ましくは55〜97重量%、更に好ましくは60〜95重量%である。これに対応して、(Y−2)が1〜50重量%、好ましくは3〜45重量%、更に好ましくは5〜40重量%である。(Y−2)の割合が減少し、この範囲を下回る場合には、外観性能に劣る傾向となり、(Y−2)の割合が増加し、この範囲を上回る場合には、発泡倍率が低下する場合がある。
(但し、(Y−1)、(Y−2)の重量割合については、プロピレン系ブロック共重合体(Y)全量を100重量%とする)
3−2.特性(Y−ii):MFR
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体(Y)のMFRの範囲は、0.1〜200.0g/10分の範囲であり、好ましくは0.2〜190g/10分、更に好ましくは0.5〜180g/10分、特に好ましくは2.1〜170g/10分の範囲である。
この範囲を下回る場合には、外観性能に劣り、上回る場合には、発泡倍率の低下が考えられる。
なお、MFRの測定法は、前述のポリプロピレン樹脂(PP)における測定方法と同じである。
3−3.特性(Y−iii):融点
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体(Y)の融点は、成形品の耐熱性の問題から、155℃を超えるものであることが必要であり、157℃以上であると好ましい。融点の上限値は、特に制限する必要は無いが、事実上、融点が170℃を超えるものを製造することは困難である。
3−4.特性(Y−iv):成分(Y−2)中のエチレン含量
本発明において、プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)中のエチレン含量が11.0〜80.0重量%であることが必要である(ただし、成分(Y−2)を構成するモノマーの全量を100重量%とする。)。プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)中のエチレン含量の好ましい範囲としては、16〜70重量%、更に好ましくは18〜60重量%である。成分(Y−2)中のエチレン含量がこの範囲を下回る場合には、発泡倍率が劣る傾向となり、成分(Y−2)中のエチレン含量がこの範囲を上回る場合には、外観性能が劣る場合がある。
3−5.特性(Y−v):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)の固有粘度[η]
本発明者らは、多くの実験検討の結果、前記のプロピレン系ブロック共重合体(PP)とポリプロピレン樹脂(X)に、配合されるプロピレン系ブロック共重合体(Y)を構成するプロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)の135℃デカリンを溶媒として測定される固有粘度[η]値が、5.3dl/g以上であることが必要であり、好ましくは6.0dl/g以上、更に好ましくは7.0dl/g以上、最も好ましくは7.5dl/g以上である。一方、固有粘度[η]値の上限は、12dl/gである。
固有粘度がこの値(12dl/g)以上のものを使用すると、発泡倍率は向上するものの、外観が著しく悪化する。また、5.3dl/g未満の場合には、発泡倍率が低下する。
尚、プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)の固有粘度[η]は、前記のとおり、プロピレン−エチレン共重合体成分(PP−2)の固有粘度と同様の方法により求めることができる。
3−6.特性(Y−vi):(Y−2)の固有粘度[η]と(Y−2)中のエチレン含量比
上記特性(Y−iv)、(Y−v)で述べた(Y−2)成分の特性としては、さらに、下記式(1)を満たすことが必要である。(Y−2)成分として、この式(1)を満たすものを使用すると、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(X)が剪断流動下で形成するシシ−ケバブ構造の形成を抑制する効果が現れ、これを下回る場合には、抑制効果が小さくなる。
固有粘度[η]/((Y−2)中のエチレン含量)≧0.20 ・・・式(1)
尚、式(1)の算出に用いる固有粘度[η]の値の単位は、[dl/g]を、また、(Y−2)中のエチレン含量の値の単位は、[重量%]を使用する。
本発明者らは、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(X)と組み合わせることにより、発泡成形に適する樹脂組成物を得るためのプロピレン系ブロック共重合体(Y)について、特に、(Y−2)成分の特性について、鋭意検討した結果、特性(Y−iv)、(Y−v)の規定の要件に加えて、上記式(1)の関係を有するものが特異的に優れた性能を発揮することを、実験的な結果から、見出したものである。
尚、プロピレン系ブロック共重合体(Y)における(Y−1)と(Y−2)の量比や(Y−2)中のエチレン含量は、前記のとおり成分(PP)と同様の方法により、求めることができる。
II.ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分、調製方法、用途
1.ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
以下に、発泡成形に好適なポリプロピレン系樹脂組成物の前記樹脂成分以外の構成成分について、詳細に述べる。
(1)発泡剤
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、さらに、発泡剤を配合することが好ましい。
発泡剤は、プラスチックやゴム等に使用されている公知公用の発泡剤を問題なく使用できる。物理発泡剤、分解性発泡剤(化学発泡剤)、熱膨張剤を含有させたマイクロカプセル等、従来から使用されている発泡剤が使用できる。
物理発泡剤として、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素、水、炭酸ガス、窒素などの無機ガスなどの1種または2種以上の組合せが挙げられる。
なかでも、プロパン、ブタン、ペンタンのような脂肪族炭化水素および炭酸ガスが、安価かつプロピレン系ブロック共重合体(PP、Y)やポリプロピレン樹脂(X)への溶解性が高いという点から好ましい。炭酸ガスは、大気圧に対する相対圧力で7.4MPa以上、31℃以上で超臨界状態となり、重合体への拡散、溶解性に優れた状態になる。
物理発泡剤によるポリプロピレン系発泡体を得るに際しては、必要に応じて、気泡調整剤を使用することができる。気泡調整剤としては、炭酸アンモニウム、重曹、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機系分解性発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル及びジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタンメチレンテトラミン及びN,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、バリウムアゾジカルボキシレート等の分解性発泡剤、タルク、シリカ等の無機粉末、多価カルボン酸等の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重曹との反応混合物等が挙げられ、これらは、単独でも組み合わせて使用することもできる。
また、分解性発泡剤(化学発泡剤)により、ポリプロピレン系発泡体を得るに際しては、分解性発泡剤(化学発泡剤)として、例えば、重炭酸ソーダとクエン酸などの有機酸の混合物、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのスルホヒドラジド系発泡剤、トリヒドラジノトリアジンなどが挙げられる。
発泡剤の配合量は、プロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対し、好ましくは0.05〜6.0重量部の範囲であり、より好ましくは0.1〜3.0重量部、さらに好ましくは0.5〜2.5重量部、特に好ましくは1.0〜2.0重量部である。
発泡剤の配合量が6.0重量部より著しく多いと、過発泡となり、発泡セルの均一微細化が困難となり、一方、発泡剤の配合量が0.05重量部より著しく少ないと、発生するガス量が少なく、好ましくない。
また、気泡調整剤を使用する際には、気泡調節剤の配合量は、成分(PP)、成分(X)と成分(Y)の合計100重量部に対して、純分で0.01〜5重量部の範囲とすることが好ましい。
(2)その他の配合剤
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、前記成分(PP)、成分(X)、成分(Y)および発泡剤、必要に応じて、気泡調整剤の他に、他の重合体、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
他の重合体としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、上記記載以外のポリプロピレン系樹脂、プロピレン−α−オレフィンコポリマー(α−オレフィンは炭素数4以上のもの)、ポリ−4−メチル−ペンテン−1等のα−ポリオレフィン、エチレン−プロピレンエラストマー等のオレフィン系エラストマー、またはこれらと共重合可能な他の単量体、例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の共重合体および混合物等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤およびチオ系酸化防止剤などが例示でき、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類が例示でき、光安定剤および紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などが例示できる。
また、無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが例示でき、滑剤としては、ステアリン酸アマイドなどの高級脂肪酸アマイド類が例示できる。
更に、帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類が例示でき、金属不活性剤としては、トリアジン類、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類などが例示できる。
2.ポリプロピレン系樹脂組成物の調製方法
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の調製方法としては、パウダー状もしくはペレット状の前記成分(PP)、成分(X)および成分(Y)、発泡剤、および、必要に応じて用いるその他の配合剤をドライブレンド、ヘンシェルミキサー等で混合する方法を挙げることができる。
また、あらかじめ単軸、二軸混練機、ニーダ等によって、溶融混練してもよい。ただし、化学発泡剤を同時に溶融混練する場合は、混練温度は、化学発泡剤の分解温度より低い温度に制御して、行う必要がある。
3.用途
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、高い溶融張力を必要とする射出発泡成形(体)に、好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、ポリプロピレン系樹脂組成物の諸物性は、下記の評価方法に従って、測定、評価し、使用した樹脂として、下記のものを用いた。
1.評価方法
(1)試験片の調製
スクリュー径50mmの加熱シリンダー及び型締め制御機構を有し最大型締め力が300トンの射出成形機を用い、加熱シリンダーの各加熱ゾーンの温度を、先端部から後方部へ順に230℃、230℃、230℃、210℃、及び180℃と設定し、背圧を9.8MPaとし、金型冷却水温度40℃で、移動型と固定型の間隔が2.0mmで容積が160cmであるキャビティ内に、加熱溶融した発泡成形体用材料を射出充填した。射出完了後1秒間一次冷却をし、次いで移動型を後退させて、キャビティ容積を拡大して発泡させた。その後20秒間二次冷却をしてポリプロピレン射出発泡成形体を得た。
(2)発泡倍率:
上記の成形方法においてキャビティの形状が再現できる最大の発泡倍率を求めた。
すなわち、型開量を変化させ、成形品の形状がキャビティ形状を再現できる最大の型開量の際に得られる成形品を発泡成形品とした。そして、型開を行わない試験片の厚みと発泡成形品の比から、発泡倍率を求めた。
(3)表面外観:
最大発泡倍率の成形品を目視にて、シルバーストリークと表面の荒れの状態を次の評価基準で判断した。
◎:シルバーストリーク無し、表面荒れ無し。
○:シルバーストリーク少し、表面荒れ無しもしくはシルバーストリーク無し、表面荒れ少し。
△:シルバーストリーク少し、表面荒れ少し。
×:シルバーストリークもしくは表面荒れが顕著にある。
(4)セル形態:
最大発泡倍率の発泡成形品を鋭利な刃物で切り出し、断面を20倍のルーペで拡大し目視にて次の評価基準で判断した。
◎:セルが均一で微細。
○:セルが一部不均一であるが、全体としては微細である。
△:セルが均一であるが、大きい。
×;セルが不均一で大きい。
2.材料の特性、性能
(1)(PP−1)、(PP−2)の比率、(PP−2)中のエチレン含量:
明細書中に記載のクロス分別法とFT−IR法の組み合わせの手法により決定した。ただし、(PP−2)のエチレン含量が15wt%未満のものについては、(PP)重合時のマテリアルバランスから(PP−1)と(PP−2)の比率を決定し、(PP−2)のエチレン含量については、明細書中に記載の計算式により決定した。
(2)(PP−2)成分の固有粘度:
プロピレン系ブロック共重合体(PP)のCXS測定時に回収された成分に対して、温度135℃、溶媒にデカリンを用い、ウベローデ型毛管粘度計を用いて測定した。ただし、(PP−2)のエチレン含量が15wt%未満のものについては、(PP−1)成分と(PP)成分全体の固有粘度を測定し、明細書中記載の計算式によって求めた。
(3)メルトフローレート(MFR):
JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。単位は、g/10分である。
(4)溶融張力MT:
東洋精機製作所製キャピログラフを用いて、以下の条件で測定した。
・キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
・シリンダー径:9.55mm
・シリンダー押出速度:20mm/分
・引き取り速度:4.0m/分
・温度:230℃
MTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。単位はグラムである。
(5)分子量分布Mw/MnおよびMz/Mn:
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(6)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS):
明細書中記載の方法で測定した。
(7)mm分率:
日本電子社製、GSX−400、FT−NMRを用い、前述したとおり、特開平2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に記載の方法で測定した。単位は%である。
(8)歪み硬化度λmax:
伸張粘度測定は以下の条件で行った。
・装置:Rheometorics社製Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:180℃
・歪み速度:0.1/sec
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
λmaxの算出法の詳細は、前述した通りである。
(9)融点:
示差操作熱量計(DSC、セイコーインスツルメンツ社製DSC6200型)を用い、サンプル5.0mgにて、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とした。
(10)(Y−1)、(Y−2)の比率、(Y−2)中のエチレン含量:
明細書中に記載のクロス分別法とFT−IR法の組み合わせの手法により決定した。ただし、(Y−2)のエチレン含量が15wt%未満のものについては、(Y)重合時のマテリアルバランスから(Y−1)と(Y−2)の比率を決定し、(Y−2)のエチレン含量については、明細書中に記載の計算式により決定した。
(11)(Y−2)成分の固有粘度:
プロピレン系ブロック共重合体(Y)のCXS測定時に回収された成分に対して、温度135℃、溶媒にデカリンを用い、ウベローデ型毛管粘度計を用いて測定した。ただし、(Y−2)のエチレン含量が15wt%未満のものについては、(Y−1)成分と(Y)成分全体の固有粘度を測定し、明細書中記載の計算式によって求めた。
3.使用材料
(1)長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)
下記の製造例1〜3で製造した重合体(XX−1)〜重合体(XX−3)を用いた。
[製造例1(XX−1の製造)]
<触媒成分(A)の合成例1>
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体1)の合成):
(i)4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に、4−i−プロピルフェニルボロン酸15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
(ii)2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に4−(4−i−プロピルフェニル)インデン 15.4g(67mmol)、蒸留水7.2ml、DMSO 200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド17g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2g(11mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの黄色液体19.8g(収率96%)を得た。
(iii)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82m1mol)、DME 100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水50mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム223gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン 19.8gg(63mmol)を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。
放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
(iv)ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン 9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(2mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの淡黄色固体8.6g(収率88%)を得た。
(v)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムのラセミ体を黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体についてのH−NMRによる同定値を以下に記す。
H−NMR(C6D6)同定結果
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.10(d,12H),δ2.08(s,6H),δ2.67(m,2H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.74(dd,2H),δ7.07(d,2H),δ7.13(d,4H),δ7.28(s,2H),δ7.30(d,2H),δ7.83(d,4H)。
<触媒成分(A)の合成例2>
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様にして、実施した。
<触媒合成例1>
(i)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
セパラブルフラスコ中で蒸留水2,264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)4Lを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーを蒸留水4,000g加えた後にろ過したところ、ケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1,924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ上固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4L加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH5〜6まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理スメクタイト220gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
(ii)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(132mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を68.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A)の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(210μmol)をトルエン(42mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A)の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(90μmol)をトルエン(18mL)に溶解した(溶液2)。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.84mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を1.2mL)を加えた後、上記溶液1を加えて20分間室温で撹拌した。その後更にトリイソブチルアルミニウム(0.36mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.50mL)を加えた後、上記溶液2を加えて、1時間室温で攪拌した。
その後、ヘプタンを338mL追加し、このスラリーを、1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのち、プロピレンを10g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を17.0mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒52.8gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.64であった。
以下、このものを「予備重合触媒1」という。
<重合>
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン40kgを導入した。これに水素3.8リットル(標準状態の体積として)、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液470ml(0.12mol)を加えた後、内温を70℃まで昇温した。次いで、予備重合触媒1を2.8g(予備重合ポリマーを除いた重量で)、アルゴンで圧入して重合を開始させ、内部温度を70℃に維持した。2時間経過後に、エタノールを100ml圧入し、未反応のプロピレンをパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより重合を停止した。
得られたポリマーを90℃窒素気流下で1時間乾燥し、17.4kgの重合体(以下、「XX−1」という)を得た。
触媒活性は、6210(g−XX/g−cat)であった。MFRは0.60g/10分であった。
[製造例2(XX−2の製造)]
添加する水素を4.4リットル、使用する予備重合触媒1を2.4g(予備重合ポリマーを除いた重量で)で行う以外は、製造例1と同様に実施した。16.5kgの重合体(以下、「XX−2」という。)を得た。
触媒活性は、6880(g−XX/g−cat)であった。MFRは1.0g/10分であった。
[製造例3(XX−3の製造)]
添加する水素を6.6リットル、使用する予備重合触媒1を1.9g(予備重合ポリマーを除いた重量で)で行う以外は、製造例1と同様に実施した。16.5kgの重合体(以下、「XX−3」という。)を得た。
触媒活性は、8050(g−XX/g−cat)であった。MFRは4.6g/10分であった。
[XX−1〜XX−3のペレット(X1)〜(X3)の製造]
製造例1〜3で製造したプロピレン系樹脂(XX−1〜XX−3)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−、商品名)を用い室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、ポリプロピレン樹脂(X)のペレット(X−1)〜(X−3)を得た。
なお、二軸押出機には、テクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は400RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、210、230(以降、ダイス出口まで同温度)℃設定とした。
これらのペレット(X1)〜(X3)について、MFR、CXS、13C−NMR、GPC、分岐指数、MT、伸張粘度の評価を行った。評価結果を表1に示した。
Figure 2014141566
(2)プロピレン系ブロック共重合体(Y)
下記の製造例4で製造したプロピレン系ブロック共重合体(Y1)、製造例5で製造したプロピレン系ブロック共重合体(Y2)を用いた。
[製造例4(Y1の製造)]
(i)固体触媒成分(c)の製造
充分に窒素置換した内容積50リットルの攪拌機付槽に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン、20リットルを導入し、次いでMgCl2を10モル、Ti(O−n−Cを20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を12リットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5リットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5リットルにSiCl 5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次いで前記攪拌機付槽へn−ヘプタン2.5リットル導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl 2リットルを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(c)を製造するための固体成分(c1)を得た。この固体成分のチタン含量は2.0重量%であった。
次いで、窒素置換した前記攪拌機付槽にn−ヘプタンを8リットル、上記で合成した固体成分(c1)を400グラム導入し、成分(c2)としてSiCl 0.6リットルを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに成分(c3)として(CH=CH)Si(CH 0.54モル、成分(c4)として(t−C)(CH)Si(OCH 0.27モルおよび成分(c5)としてAl(C 1.5モルを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする触媒成分(c)390gを得た。このもののチタン含量は、1.8重量%であった。
(ii)プロピレン系ブロック共重合体の製造
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素91リットル、および前記触媒成分(c)を30g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを20.25Kg/Hr、水素を202.5L/Hrで供給。200分後にプロピレン、水素の供給を停止した。プロピレン、水素の供給の間、器内の圧力は徐々に上昇し、最終的に0.66MPaGまで上昇。その後、残重合を行い、器内の圧力が0.35MPaGになった時点で、反応器内のガスを0.03MPaGまでパージし、プロピレン重合体を得た(前段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを12.5cc導入、次いで、プロピレンを2.25Kg/Hr、エチレンを0.96Kg/Hrで供給。140分後エチレン、プロピレンの供給を停止、重合を終了した。圧力はエチレン、プロピレン供給開始時0.03MPaGであったが、供給停止時0.02MPaGであった(後段重合工程)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを2.5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム20gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、59.6KgのY1を得た。
[製造例5(Y2の製造)]
製造例4で使用した触媒および重合方法を用い、上記前段重合工程における水素供給を、180L/Hrに変更し、上記後段重合工程におけるエチレンを0.86Kg/Hrで供給した以外は、製造例4に準じて行いプロピレン系ブロック共重合体(Y2)を製造した。また、前段重合工程におけるプロピレン、水素供給停止時の最終圧力は、0.61MPaG、後段重合工程におけるプロピレン、エチレン供給停止時の最終圧力は、0.02MPaGであった。
これらの製造例にて得られた原料パウダーを、下記の条件でペレタイズして、各種の評価を行った結果を表2に示す。
[プロピレン系ブロック共重合体(Y)ペレットの製造]
上記製造例で製造したプロピレン系ブロック共重合体(Y)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、BASFジャパン株式会社製)0.05重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン株式会社製)0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−、商品名)を用い室温下で3分間混合した。その後、二軸押出機で溶融混練して押し出し、冷水槽を通した後にストランドカッターにてストランドをカットしてペレットを得た。
なお、二軸押出機にはテクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は300RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、180、200、200、200、210、210、210℃(ダイス出口)に設定した。
(3)プロピレン系ブロック共重合体(PP)
プロピレン系ブロック共重合体(PP)として、下記のものを用いた。
PP−A:日本ポリプロ社より市販されている、ポリプロピレン樹脂、グレード名「BC04G」を用いた。
PP−B:日本ポリプロ社より市販されている、ポリプロピレン樹脂、グレード名「NBC03HRA」を用いた。
各種の評価を行った結果を表3に示す。
Figure 2014141566
Figure 2014141566
[実施例1〜7、比較例1〜6]
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物の調製
成分(PP)、成分(X)および成分(Y)を表4に示す割合で配合し、小型タンブラーにて混合し、調製した。
(2)ポリプロピレン系樹脂組成物の成形、評価
前記混合物を用いて、化学発泡剤として、永和化成社製、ポリスレンEE25Cを用いて、発泡成形体用材料を作製し、前記試験・評価方法で示した要領にて、ポリプロピレン射出発泡成形体を得て、発泡倍率、表面外観、セル形態の性能評価を行った。結果を表4に示す。
尚、比較例3では、発泡が不良で発泡成形ができなかったため、評価を行わなかった。
Figure 2014141566
表4に示す結果から、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の特定事項を満たしている実施例1〜7の射出発泡成形体は、発泡倍率が大きく、表面外観が良好で、セル形態も微細であり、優れた発泡特性を示している。
一方、上記本発明の特定事項を満たさない比較例において、比較例1〜6に示す組成を持ったポリプロピレン系樹脂組成物及びその射出発泡成形体は、これらの性能バランスが不良で、実施例1〜7のものに対して、発泡特性が見劣りしている。
以上における各実施例と各比較例の結果から、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかである。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出発泡成形の際に、発泡倍率が高く、サイズが均一微細な発泡セルを有し、成形品の外観が良好なポリプロピレン系射出発泡体を得ることができ、また、得られた射出発泡成形体は、均一微細な発泡セルを有し、外観に優れているために、自動車ドアトリム、自動車トランクマットなどの車両内装材、包装、文具、建材などに好適に利用することができ、産業上の利用可能性が高い。

Claims (4)

  1. 下記の(PP−i)〜(PP−iii)の特性を有し、逐次重合によって製造された、プロピレン(共)重合体(PP−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(PP−2)からなるプロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対して、下記の(X−i)〜(X−iv)の特性を有し、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X)2〜35重量部、並びに、下記の(Y−i)〜(Y−vi)の特性を有し、逐次重合によって製造された、プロピレン(共)重合体(Y−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(Y−2)からなるプロピレン系ブロック共重合体(Y)2〜35重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    特性(PP−i):(PP−1)と(PP−2)の割合は、(PP−1)が65〜99重量%、(PP−2)が1〜35重量%であること(但し、(PP−1)と(PP−2)の重量割合は、プロピレン系ブロック共重合体(PP)全量を100重量%とする。)。
    特性(PP−ii):プロピレン系ブロック共重合体(PP)のMFRが15〜200g/10分であること。
    特性(PP−iii):プロピレン−エチレン共重合体成分(PP−2)の135℃デカリン中での固有粘度[η](単位dl/g)が4.0以下であること。
    特性(X−i):MFRが0.1〜30.0g/10分であること。
    特性(X−ii):GPCによる分子量分布Mw/Mnが3.0〜10.0、且つMz/Mwが2.5〜10.0であること。
    特性(X−iii):溶融張力(MT)(単位:g)は、
    log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7 または MT≧15
    のいずれかを満たすこと。
    特性(X−iv):25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(X)全量に対して5.0重量%未満であること。
    特性(Y−i):(Y−1)と(Y−2)の割合は、(Y−1)が50〜99重量%、(Y−2)が1〜50重量%であること(但し、(Y−1)、(Y−2)の重量割合は、プロピレン系ブロック共重合体(Y)全量を100重量%とする。)。
    特性(Y−ii):プロピレン系ブロック共重合体(Y)のMFRが0.1〜200.0g/10分であること。
    特性(Y−iii):プロピレン系ブロック共重合体(Y)の融点が155℃を超えること。
    特性(Y−iv):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)中のエチレン含量が11.0〜80.0重量%であること(但し、成分(Y−2)を構成するモノマーの全量を100重量%とする。)。
    特性(Y−v):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)の135℃デカリン中での固有粘度[η](単位dl/g)が5.3以上であること。
    特性(Y−vi):プロピレン−エチレン共重合体成分(Y−2)は、固有粘度[η]/((Y−2)中のエチレン含量)≧0.20 であること。
  2. 前記ポリプロピレン樹脂(X)は、さらに、下記の特性(X−v)を有することを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    特性(X−v):13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上であること。
  3. 前記プロピレン系ブロック共重合体(PP)100重量部に対し、発泡剤を0.05〜6.0重量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形してなる射出発泡成形体。
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