JP2020131679A - 薬剤処理材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬剤含浸量を抑制しつつ、所望の性能を得ることができる薬剤処理材の製造方法を提供する。【解決手段】木質材1に薬剤2を含浸させた薬剤含浸材11を得る薬剤含浸工程と、薬剤含浸材11を乾燥して薬剤処理材12を得る乾燥工程とを含む薬剤処理材の製造方法を対象とする。乾燥工程を、薬剤含浸材11の表面1aを開放状態とし、裏面1bを閉塞状態または半閉塞状態として行う。薬剤含浸材11の表面1aを化粧面として形成する。【選択図】図1

Description

この発明は、不燃性能、準不燃性能、難燃性能等の性能を付与するために木質材に薬剤を含浸させるようにした薬剤処理材の製造方法およびその関連技術に関する。
商業施設や公共施設等においては、火災時に内装材への着火を遅らせるために、建築基準法によって不燃性、準不燃性、難燃性等の防火性を備えた柱材、壁材、天井材等の防火材を使用することが義務付けられている。
建築用防火材としては、ケイカル板、火山性ガラス質積層板等の無機材料を使用したものや、無垢材等の木質材に難燃性等の薬剤が含有された薬剤処理材を使用するものが周知である。
後者の薬剤処理材としての防火材を製造する場合例えば、下記特許文献1に示すような薬剤処理材の製造方法が周知である。
同文献等に示すような従来一般的な薬剤処理材の製造方法は、図3(a)に示す木質材101に対し薬剤102を内部全域に含浸させて図3(b)に示すように薬剤含浸材111を得、その薬剤含浸材111を乾燥させて内部の水分を外部に放出させることにより、内部に薬剤102を所定の濃度で含有させた防火材等の薬剤処理材を製造するようにしている。
特許第6251434号
しかしながら、上記従来の薬剤処理材の製造方法においては、木質材101の密度や組織構造等が個々に異なるため、木質材毎に薬剤102の入り具合に大きなバラツキが生じ、適量の薬剤102をバラツキなく含浸させることが困難であり、難燃性能、不燃性能等の所望の性能を確実に得ることが困難であるという課題があった。
一方、薬剤102の含浸量のバラツキを解消するためには、全体的に薬剤102の含浸量を増加させれば良い。しかしながら、(1)薬剤102の種類によって溶解度が決定されるため、薬剤濃度(含浸量)を増加させるには限界がある。(2)木質材101の密度や組織構造等によっても、薬剤含浸量を増加させるのに限界がある。(3)単に薬剤量を増加させるとその分、コストの増大を来たすとともに、製造される木材製品(薬剤処理材)の重量も増加するため、好ましくない。(4)単に薬剤量を増加させると、含浸している薬剤102が薬剤処理材から溶脱し易くなり、難燃性能の低下、表面のベタツキ、白華現象の発生等の不具合が生じるため、好ましくない。これら(1)〜(4)の事情から木質材101に対し全体的に薬剤の含浸量を増加させることが困難であるという課題も抱えている。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、全体としての薬剤含浸量を抑制しつつ、含浸された薬剤による所望の性能を確実に得ることができる薬剤処理材の製造方法およびその関連技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]木質材に薬剤を含浸させた薬剤含浸材を得る薬剤含浸工程と、前記薬剤含浸材を乾燥して薬剤処理材を得る乾燥工程とを含む薬剤処理材の製造方法であって、
前記乾燥工程を、前記薬剤含浸材の表面を開放状態とし、裏面を閉塞状態または半閉塞状態として行う一方、
前記薬剤含浸材の表面を化粧面として形成するようにしたことを特徴とする薬剤処理材の製造方法。
[2]前記薬剤含浸材の裏面を吸水性の低い部材に載置した状態で前記乾燥工程を行う前項1に記載の薬剤処理材の製造方法。
[3]2枚の前記薬剤含浸材を互いの裏面同士を重ね合わせて各裏面を閉塞状態または半閉塞状態として前記乾燥工程を行うようにした前項1または2に記載の薬剤処理材の製造方法。
[4]薬剤は水溶性である前項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
[5]前記薬剤処理材の表面を塗装する塗装工程を含む前項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
[6]前記薬剤処理材の裏面に基材を貼り付けるようにした前項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
[7]前記薬剤処理材の表面に凹凸加工を施すようにした前項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
[8]前記薬剤処理材の裏面を切削除去するようにした前項1〜7のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
[9]木質材に薬剤が含浸された薬剤処理材であって、
表面および裏面のうち表面が化粧面として構成され、
表面付近の薬剤含有量が裏面付近の薬剤含有量よりも多く調整されるとともに、その表面付近の薬剤含有量が350kg/m以上に調整されていることを特徴とする薬剤処理材。
[10]表面に塗装が施されている前項9に記載の薬剤処理材。
[11]表面付近の材料密度と、裏面付近の材料密度との差が100kg/m以上に調整されている前項9または10に記載の薬剤処理材。
[12]裏面側に基材が貼り付けられている前項9〜11のいずれか1項に記載の薬剤処理材。
発明[1]の薬剤処理材の製造方法によれば、薬剤含浸材を乾燥する際に開放状態とする表面を化粧面として使用するものであるため、化粧面付近に多くの薬剤が含浸した薬剤処理材を確実に得ることができる。この薬剤処理材においては、化粧面付近の薬剤は性能に大きく寄与するものであるため、表面付近の薬剤が少ない薬剤処理材と比較して、全体としての薬剤含有量が等しい場合でも、薬剤による性能を十分に得ることができる。つまり、本発明によって得られる薬剤処理材は、性能への影響が乏しい裏面付近や中心部の薬剤濃度を低くして、性能に大きく寄与する表面付近の薬剤濃度を高くしているため、全体としての薬剤含浸量を低く抑えつつ、薬剤による十分な性能を確実に得ることができる。
発明[2][3]の薬剤処理材の製造方法によれば、裏面を確実に閉塞または半閉塞状態とした状態で薬剤含浸材を乾燥することができる。
発明[4]の薬剤処理材の製造方法によれば、薬剤による性能を確実に得ることができる。
発明[5][6]の薬剤処理材の製造方法によれば、薬剤処理材を木質化粧板等の所定の建築用材料として形成することができる。
発明[7][8]の木質化粧材の製造方法によれば、所望の性能を有する木質化粧材を確実に得ることができる。
発明[9]〜[12]の薬剤処理材によれば、表面付近は薬剤の含有量が多いため、上記と同様に、全体としての薬剤含浸量を低く抑えつつ、薬剤による十分な性能を確実に得ることができる。
図1はこの発明の実施形態である薬剤処理材として木質化粧材の製造手順を説明するための断面図である。 図2は実施形態の製造方法によって製造された木質化粧材を示す断面図である。 図3は従来の薬剤処理材の製造手順を説明するための断面図である。
以下に、この発明の実施形態である薬剤処理材としての木質化粧材の製造方法について詳細に説明する。本実施形態によって得られる木質化粧材は、難燃性の薬剤によって処理された難燃性等の防火性を備えるものである。
まず図1(a)に示すように原材料として木質材1を準備する。本実施形態において木質材1としては、無垢材、集成材、合板、単板積層材等を好適に使用でき、無垢材や集成材をスライスした突板や、鋸で挽いた挽板も好適に使用することができる。
木質材1の厚さ(板厚)としては、1mm以上に設定するのが良い。さらに意匠性の向上や、薬剤含有量の増加による各種の性能の向上を図るためには、木質材1は厚くするのが良い。例えば木質材1の厚さは3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、6mm以上がさらに好ましく、7mm以上がより一層好ましい。逆に含浸処理時間や乾燥処理時間の短縮による作業性の効率化を図るためには、木質材1は薄くするのが良い。例えば木質材1の厚さは、20mm以下が好ましく、18mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましく、12mm以下がより一層好ましい。
次に図1(b)に示すように木質材1に対し含浸工程を実施して木質材1に所定の薬剤2を含浸させて薬剤含浸材11を得る。
この含浸工程においては、減圧含浸方法、加圧含浸方法、減圧・加圧含浸方法等を好適に用いることができる。例えば木質材1を収容した含浸室内を減圧して木質材1の内部に減圧した状態で、木質材1を薬剤2に浸漬し、その後、加圧することによって、薬剤2を木質材1の内部全域に均等に含浸させて、薬剤含浸材11を得る。
この含浸工程においては、桟木等を使用して木質材1の外周面全域を薬剤に接触した状態で行うのが好ましい。
含浸させる薬剤2としては、リン酸系の難燃薬剤、リン酸ジグアニジンを含む難燃薬剤等を好適に用いることができる。
なお本実施形態においては、薬剤2に難燃薬剤を用いて、製造品としての木質化粧材13に不燃性、難燃性を付与するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、付与しようとする性能に合わせて適宜の薬剤2を用いるようにすれば良い。例えば防腐性や防蟻性を向上させるために、ピレスロイド系化合物、ネオニコチノイド系化合物等の防腐・防蟻用薬剤を使用したり、防虫性を向上させるために、ホウ素系、有機リン系等の防虫用薬剤を使用したり、さらには防カビ性を向上させるために、ベンゾイミダゾール系、有機ヨウ素系等の防カビ用薬剤を使用しても良い。
次に薬剤2を含浸した薬剤含浸材11に対し乾燥工程を施して、余計な水分を放出して木質材1内に、濃縮された所定の薬剤2が含有する薬剤処理材12を得る。
この乾燥工程においては、天然乾燥(天乾)や、乾燥機によって、木質材1内の含水率を例えば20%以下になるまで乾燥する。乾燥機を用いる場合には、温度条件を30℃〜60℃に設定するのが一般的である。
本実施形態において、薬剤含浸材11の外周面(外面)とは、表面(一方の主面)1aおよび裏面(他方の主面)1b、前後両端面、両側端面の周囲6面の全ての面を言う。
ここで本実施形態の乾燥工程を説明する前に、従来多く用いられている乾燥工程を行った際の薬剤等の挙動について説明する。従来用いられる乾燥工程は、図3(a)に示す木質材101に対し、同図(b)に示すように薬剤102を内部全域に含浸させた薬剤含浸材111を準備しておき、その薬剤含浸材111をその外周面(6面)全域を実質的に開放した状態で乾燥させて、内部の水分を外部に放出させて、内部に所定の濃度で薬剤102を残存させるものである。この薬剤含浸材111を乾燥させる際に、内部の水分は木材外周面に移動していき、木材外周面から外部に放出される。そして乾燥中には同図(c)に示すように、水分の木材外周面への移動に伴って、薬剤102も木材外周面に移動していくため、乾燥後の薬剤処理材112は外周面付近の薬剤濃度が高く、内部の薬剤濃度が低くなっている。このように乾燥時に開放された状態の外周面の近傍は薬剤濃度が高くなっている。
このようなメカニズムを踏まえた上で、本実施形態において乾燥工程を行うに際して、薬剤含浸材11の外面のうち、表面1aを開放状態とし、裏面1bを閉塞状態または半閉塞状態として行う。なお、薬剤含浸材11の前後両端面および両側端面は共に開放状態とする。例えば図1(c)に示すように薬剤含浸材11の裏面1bを、閉塞用部材(閉塞手段)3によって閉塞されるように閉塞用部材3上に載置し、かつ表面1aと、周囲4側端面(前後両端面および両側端面)とを開放した状態で乾燥処理を行う。
言うまでもなく、乾燥工程においては、薬剤含浸材11の表面1aを必ずしも上面(上側)に設置する必要はなく、薬剤含浸材11の表面1aを下面(下側)に設置し、裏面1bを上面(上側)に設置するようにしても良い。すなわち薬剤含浸材11の表面1aを下側にしてその下面(表面)1aを桟木等で支持して開放状態とし、薬剤含浸材11の上面(裏面)1bに閉塞用部材3を載置して、閉塞状態または半閉塞状態とする。
閉塞用部材3としては、金属板、樹脂板、木材、無機質板等を用いることができ、特に吸水性が低い部材である非吸水性シートを用いるのが好ましい。非吸水性シートとしては、金属板、樹脂板の他、木質板や無機板等を金属箔、樹脂フィルム、樹脂塗膜で被覆したものを例示することができる。
ここで本実施形態において、閉塞状態とは、薬剤含浸材11の裏面1bが、非吸水性シート等の閉塞用部材3によって隙間なく完全に接触している場合(密着状態)に限られず、反りや不陸等によって部分的に隙間が生じている場合(一部接触した場合)も含む。
さらに半閉塞状態とは、桟木等を使用して、薬剤含浸材11の裏面1bと閉塞用部材3との間に小さい隙間を設けた状態、つまり裏面1bから水分が蒸発し難い状態である。この小さい隙間は、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がより一層好ましい。
また薬剤含浸材11をその裏面1b側を有孔板の上に載置することで裏面1bを半閉塞状態とすることもできる。この場合、有孔板の下側は、桟木等を使用して孔を通して水分が蒸発できる程度に調整するのが良い。用いられる有孔板としては、開口部の面積が20%以上、70%以下のものを使用でき、開口部面積の下限が30%以上のものが好ましく、40%以上のものがより一層好ましい。また開口部面積の上限が60%以下のものが好ましく、50%以下のものがより一層好ましい。さらに有孔板における開口部の形状は、長方形(格子状)、円形等、どのような形状であっても良く、各開口部の大きさも任意に設定すれば良い。
このように裏面1bを半閉塞状態で薬剤含浸材11を乾燥することにより、閉塞(全閉塞)状態で乾燥する場合と比較して、表面から奥部に向かう際の薬材含浸量の分布の傾斜が緩やかになる。よって必要な性能や表面加工の形状等に応じて、最適な薬剤含浸量の分布の材料(薬剤処理材)を提供することができる。
開放状態とは、桟木等を使用して、薬剤含浸材11の表面1aと閉塞用部材との間にある程度の隙間を設けた状態、つまり表面1aから水分が蒸発し易い状態である。このある程度の隙間は、10mm以上が好ましく、12mm以上がより好ましい。
薬剤含浸材11を乾燥する際に開放状態(開放面)とする表面1aに桟木を設置する場合、桟木が薬剤含浸材11に広い面で接触しない状態で乾燥するのが良い。この理由は、桟木が、薬剤含浸材11に接触した部分は、閉塞状態となるため、その部分の外面付近は薬剤量が少なくなるためである。従って桟木を使用しないか、薬剤含浸材11との接触面積が少ない桟木を使用すれば、薬材量の低下を防止することができる。接触面積が少ない桟木とは、例えばH型に組んで線接触となる桟木や、点接触(点支持)となる桟木等が考えられる。点支持の例としては、先端面(支持面)が1cm程度の木片で支持したり、剣山のように複数の針状の部材が配列されたもので支持したり、中空状(円筒状)等の部材で支持する方法等が考えられる。
図1(c)に示すようにこの薬剤含浸材11の乾燥処理において、薬剤含浸材11の内部に含まれる水分は、露出した面、すなわち裏面1b以外の外周面(表面1a、前後両端面および両側端面)から蒸発して外部に放出される。この放出時には、内部にほぼ均等に含浸した薬剤2は、水分と共に外周面側に移動していき、外周面付近で高濃度の状態で残留する。この際、裏面1bは閉塞されて、その裏面1bからは水分はほとんど蒸発しないため、薬剤2も裏面1b側へは移動せず、裏面1bの近傍の薬剤濃度は低い状態となっている。このように裏面付近は薬剤2の濃度が低く、裏面1b以外の外周面、つまり表面1a、前後両端面、両側端面の各外面付近には薬剤2が高濃度で含有されている。特に表面1a付近には、その反対側の裏面1b側からも薬剤2も移動してくるため、厚さ方向にも厚い範囲にわたって高い濃度で薬剤2が含有されている。
本実施形態において、乾燥工程で薬剤含浸材11の裏面1bを閉塞または半閉塞する方法としては、非吸水性シート等の閉塞手段(閉塞用部材)を用いるものだけに限られず、どのような方法を用いても良い。例えば2枚の薬剤含浸材11,11を互いの裏面1b,1b同士を重ね合わせて閉塞または半閉塞した状態で乾燥工程を行うようにしても良い。このように2枚合わせで薬剤含浸材11,11を乾燥するような場合、その2枚合わせの薬剤含浸材11,11を、設置台としての桟木の上に平積みして乾燥させたり、縦置きにして乾燥することができる。
また本実施形態においては、乾燥時に薬剤含浸材11の裏面1bを閉塞または半閉塞し、残りの外周面(5面)を開放するようにしているが、本発明においては、薬剤含浸材11の表面1aを開放した状態で、裏面1bを閉塞または半閉塞した状態で乾燥するようにすれば良い。すなわち乾燥時には、薬剤含浸材11の前後両端面、両側端面等の周囲4側端面は閉塞または半閉塞されていても、開放されていても良い。例えば乾燥時に周囲4側端面を全て開放しておいても良いし、全て閉塞または半閉塞しておいても良いし、周囲4側端面のうちいずれかの面を閉塞または半閉塞し、かつ残りの面を開放しておいても良い。
また本発明において乾燥時には、薬剤含浸材11の反りが発生するのを防止するために、おもりやクランプ等の固定具を利用しても良い。
こうして薬剤含浸材11を乾燥することによって、表面1a付近は高濃度で薬剤2が含有され、裏面1b付近は薬剤2の濃度が低い本実施形態の薬剤処理材12が製造される。
なお、本実施形態においては、含浸工程で処理される木質材1と、乾燥工程で処理される薬剤含浸材11とは必ずしも同じ形状である必要はない。例えば含浸工程が完了した後、薬剤含浸材11を切断してから乾燥するようにしても良い。
以上のように得られた本実施形態の薬剤処理材12は、図2に示すように必要に応じて、薬剤処理材12に基材4を貼り付ける。基材4としては、合板、MDF、それらの複合板等の木質ボード、ケイカル板、火山性ガラス質積層板等の不燃基材等を好適に用いることができる。
本実施形態においては、基材4を薬剤処理材12の裏面1bに接着剤を用いて貼り付ける。これにより基材4上の薬剤処理材12は薬剤濃度が高い表面1aを化粧面とする積層板、つまり木質化粧材13を製作するものである。
本実施形態の薬剤処理材12(木質化粧材13)は、薬剤濃度が高い表面1a側を化粧面として使用するものであり、居住空間に対向する化粧面(表面1a)側に多くの薬剤2が含浸している。従って本実施形態の薬剤処理材12は、表面1a付近の薬剤2が性能に大きく寄与するため、全体に均一に薬剤が分布している薬剤処理材等と比較して、全体としての薬剤含有量が等しい場合でも、薬剤による性能を十分に発揮でき、難燃性等の性能を十分に向上させることができる。換言すると、本実施形態の薬剤処理材12は、性能にほとんど影響しない裏面1b付近や内部(中心部)の薬剤濃度を低くしながら、性能に大きく寄与する化粧面(表面1a)付近の薬剤濃度を高くしているため、全体として薬剤含有量を低く抑えつつ、難燃性等の薬剤による性能を十分に確保することができる。
なお化粧面とは、後述するようにその面に切削や塗装等の仕上げ加工を施すような化粧下地面も含む意味で用いられている。
ここで本実施形態において、薬剤による性能を十分に確保するために、表面1a付近の薬剤含有量を、350kg/m以上に設定するのが良く、より好ましくは360kg/m以上に調整するのが良く、より一層好ましくは400kg/m以上に調整するのが良い。
また本実施形態の薬剤処理材12は、裏面側の薬剤濃度が低いため、裏面1bに基材4を貼り付ける際に、薬剤による接着剤への悪影響を回避でき、基材4を接着する際の接着阻害要因を排除でき、基材14を確実に貼り付けることができ、接着不良等のない高品質の木質化粧材13を製作することができる。
なお本実施形態の薬剤処理材12(木質化粧材13)は、薬剤量の低減を防止するために、表面(化粧面)1に対し切削加工を施さない方が好ましいが、表面1aに、薬剤量の低減をほとんど来さないような以下の(1)〜(4)の加工は施すようにしても良い。
(1)表面1aを平滑にするために、表面1aをサンダー等で研削する。この場合、研削量は0.5mm以下に設定するのが良く、より好ましくは0.3mm以下に設定するのが良い。
(2)木目を際立たせるために、表面1aに対しブラシやブラストによって「うづくり加工」を行う。この場合、最大深さは1mm以下に設定するのが良い。
(3)意匠性を向上させるために、表面1aにV形状やR形状の化粧溝を刻設する。
(4)意匠性を向上させるために、表面1aに凹凸加工を施す。この凹凸加工は、例えばモルダーやNC加工機等を用いて行うのが良い。言うまでもなく、表面1aの切削量が少ない加工形状を採用するのが好ましい。
また本実施形態においては図2に示すように、薬剤処理材12の表面(化粧面)1aに対し塗装処理を施して塗装膜5を形成して仕上げ面を形成するようにしている。この塗装に用いられる材料は特に限定されるものではないが、例えばウレタン系、アクリル系等の樹脂塗装材料の他に、難燃性能を有する塗装材料を好適に使用することができる。
なお本実施形態の薬剤処理材12は、薬剤濃度が表面1a、中心層、裏面1bの順に低下していくものであるため、濃度が低い裏面側の部分を切削してとしても、全体としての薬剤濃度(体積あたりの薬材料)を上昇させることができ、薬剤による性能を十分に得ることができる。
参考までに、従来一般的な薬剤処理材112は図3(c)に示すように薬剤濃度が、表面101a側および裏面側101b側が高く、中心層が低くなっている。このため、従来の薬剤処理材112では図3(d)に示すように、薬剤濃度が高い裏面101bを切削すると、全体としての薬剤濃度も低下してしまうおそれがあり、裏面側の切削加工を行うことができなかった。換言すると、従来一般的な薬剤処理材112は、裏面101b付近の薬剤濃度が高いものの、この裏面101b付近の薬剤は性能にほとんど影響しないため、無駄な薬剤が含浸していることになり、不用意なコスト増を来すおそれがある。さらに裏面101b側に多量の薬剤が含浸していると、裏面101bに基材を貼り付ける際に、接着剤に対し薬剤による悪影響が生じて、接着不良等が生じて、基材を貼り付けることができない可能性がある。
これに対し既述した通り本実施形態においては図1(c)に示すように、薬剤処理材12の裏面1b付近は薬剤の含有量が少ないため、図1(d)に示すように裏面1bを切削したとしても、その切削によって木材内部の薬剤2が除去されることはほとんどなく、薬剤2の含有量がほとんど低減することはない。このため本実施形態においては、切削後の薬剤処理材12に薬剤2の含有量を十分に確保することができ、薬剤2の含浸による所定の性能を確実に保有することができる。
なお本実施形態では、薬剤処理材12に基材4を貼り付けて木質化粧材13を製作するようにしているが、本発明において、木質化粧材13は必ずしも基材4が必要ではなく、基材4を貼り付けない薬剤処理材12を木質化粧材13として構成するようにしても良い。
また薬剤処理材12に基材4を貼り付けるに際して、基材4のサイズが大きいような場合には、1枚の基材4上に複数〜多数の薬剤処理材12を並べて貼り付けても良いし、薬剤処理材12および基材4が同サイズの場合には、1枚の基材4上に1枚の薬剤処理材12を貼り付けるようにしても良い。
Figure 2020131679
<試験片の説明>
木質材(原材料)として、スギの無垢材(厚み9mm×長さ600mm×幅180mm)を準備した。
その木質材に対し、リン酸系の不燃薬剤を減圧加圧方式で含浸させて薬剤含浸材を得た。
こうして得られた薬剤含浸材をその一方の板目面(表面)を開放状態とし、かつ他方の板目面(裏面)を非吸水性シートに載置して閉塞状態または半閉塞状態として乾燥機を用いて乾燥処理を行って内部の水分を所定量蒸発させて実施例1の薬剤処理材(試験片)を得た。
上記と同様の薬剤含浸材を、表面および裏面を共に開放状態として、上記と同様に乾燥処理を行って比較例1の薬剤処理材(試験片)を得た。
<発燃性試験>
実施例1および比較例1の薬剤処理材の裏面にそれぞれ6mm厚のケイカル板を貼り付けて、ケイカル板付きの各薬剤処理材に対し、ISO 5660−1:2002に準拠して、コーンカロリーメータを使用して発熱性試験を行った。その結果を表1に示す。なお比較例1に関しては、試験体を2つ準備してそれぞれ発熱性試験を行った。
表1から明らかなように、実施例1の薬剤処理材(木質化粧材)は、基準値(7.2MJ/mを大幅に上回っており、十分な不燃性を備えている。これに対し、比較例1の薬剤処理材は、基準値は上回っているものの、実施例1に比べて不燃性に劣っており、材料や試験条件等によるバラツキがあると、基準値を満たさない可能性も否定できない。
<薬剤量の密度分布の測定>
上記実施例1の薬剤処理材を厚さ方向に3等分するように厚さ3mm毎に切り出して、乾燥時に露出(開放)された表面(化粧面)側の上層部材と、中間に位置する中心層部材と、乾燥時に閉塞された裏面側の下層部材とを得た。さらにこれらの各部材を長さ方向に10等分するように長さ60mm毎にそれぞれカットすることにより、実施例1の薬剤処理材による上層(表面側)カット部材、中心層カット部材および下層(裏面側)カット部材をそれぞれ10個ずつ作製した。
こうして得られたカット部材を、各カット部材の材料密度(含浸乾燥後の材料密度)を測定し、その材料密度(kg/m)から、予め測定しておいた含浸する前(木質材)の材料密度(kg/m)を差し引いて、各層毎に10箇所の位置での薬剤含有量(kg/m)を測定し、各層毎の平均値を測定した。その結果を表2に示す。なお表2においては、上記発熱性試験の結果も併せて示す。
Figure 2020131679
上記比較例1の薬剤含浸材を、上記実施例1と同様にして上層(表面側)部材と、中心層部材と、下層(裏面側)部材との材料密度(平均値)を測定した。その結果を表1に併せて示す。
比較例1および実施例1を対比すると、実施例1の薬剤処理材における上層(表面)側の薬剤含有量は、比較例1に比べて多くなっており、実施例1の薬剤処理材では、上層(表面)側に薬剤が多く分布しているのが判る。
表2の実施例1を参照すると、上層(表面側)の薬剤含浸量が400kg/m以上の場合には、十分な不燃性能を確実に得られると考えられる。比較例2を参照すると、上層(表面側)の薬剤含浸量が300kg/m以下の場合には、バラツキ等を考慮すると十分な不燃性能を得ることができないおそれがあると考えられる。これらの測定結果から、上層の薬剤含浸量が少なくとも350kg/m以上であれば、バラツキ等を考慮しても所定の不燃性能が得られると思われる。
また表2から判るように、実施例1のように上層の薬剤含浸量が多い場合には、全体としての薬剤含浸量が実質的に同じであっても、より高い不燃性能を得ることができる。つまり、実施例1のように上層の薬剤含浸量を多くすれば、全体としての薬剤含有量が少なくとも所定の不燃性能を得ることができる。
この発明の薬剤処理材の製造方法は、不燃性、準不燃性、難燃性等の所定の性能を備えた木質化粧材等を製造する際に好適に用いることができる。
1:木質材
1a:表面(化粧面)
1b:裏面
11:薬剤含浸材
12:薬剤処理材
2:薬剤
3:非吸水性シート
4:基材
5:塗装膜

Claims (12)

  1. 木質材に薬剤を含浸させた薬剤含浸材を得る薬剤含浸工程と、前記薬剤含浸材を乾燥して薬剤処理材を得る乾燥工程とを含む薬剤処理材の製造方法であって、
    前記乾燥工程を、前記薬剤含浸材の表面を開放状態とし、裏面を閉塞状態または半閉塞状態として行う一方、
    前記薬剤含浸材の表面を化粧面として形成するようにしたことを特徴とする薬剤処理材の製造方法。
  2. 前記薬剤含浸材の裏面を吸水性の低い部材に載置した状態で前記乾燥工程を行う請求項1に記載の薬剤処理材の製造方法。
  3. 2枚の前記薬剤含浸材を互いの裏面同士を重ね合わせて各裏面を閉塞状態または半閉塞状態として前記乾燥工程を行うようにした請求項1または2に記載の薬剤処理材の製造方法。
  4. 薬剤は水溶性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
  5. 前記薬剤処理材の表面を塗装する塗装工程を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
  6. 前記薬剤処理材の裏面に基材を貼り付けるようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
  7. 前記薬剤処理材の表面に凹凸加工を施すようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
  8. 前記薬剤処理材の裏面を切削除去するようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬剤処理材の製造方法。
  9. 木質材に薬剤が含浸された薬剤処理材であって、
    表面および裏面のうち表面が化粧面として構成され、
    表面付近の薬剤含有量が裏面付近の薬剤含有量よりも多く調整されるとともに、その表面付近の薬剤含有量が350kg/m以上に調整されていることを特徴とする薬剤処理材。
  10. 表面に塗装が施されている請求項9に記載の薬剤処理材。
  11. 表面付近の材料密度と、裏面付近の材料密度との差が100kg/m以上に調整されている請求項9または10に記載の薬剤処理材。
  12. 裏面側に基材が貼り付けられている請求項9〜11のいずれか1項に記載の薬剤処理材。
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