JP3538411B2 - 木材の寸法安定化処理法 - Google Patents

木材の寸法安定化処理法

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JP3538411B2
JP3538411B2 JP2001359166A JP2001359166A JP3538411B2 JP 3538411 B2 JP3538411 B2 JP 3538411B2 JP 2001359166 A JP2001359166 A JP 2001359166A JP 2001359166 A JP2001359166 A JP 2001359166A JP 3538411 B2 JP3538411 B2 JP 3538411B2
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久寛 西岡
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株式会社コシイプレザービング
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は木材の寸法安定化処
理法に関し、より詳細には、木材加工品はもとより、そ
の木材を用いた建造物や家具等の収縮、膨張、変形を可
及的に防止し得ると共に、従来例に比べて効率的で処理
時間を大幅に短縮することができ、更には木材加工品と
しての歩留りも大幅に向上させることのできる処理法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】木材を建材や家具等の材料として使用す
るに当たり、木材加工品の寸法安定性は最終製品の品質
を支配する重要な特性となる。特に、昨今における住宅
部材としての建材は、耐久性向上のため防腐・防蟻処理
され、人工乾燥等によって乾燥された防腐・防蟻・乾燥
処理材の供給が望まれている。これは、施工後ある一定
期間を経過した後に、建材の寸法変化による床鳴りが生
じたり戸が閉まらなくなるといった問題をなくすためで
ある。
【0003】木材は、生材から乾燥(天然乾燥あるいは
人工乾燥)した場合、大きな寸法変化やそれに伴う割れ
や反りが生じる。これは、木材を生材から乾燥する過程
で含水率が変化するためである。例えば、生材の含水率
は樹種や部位によっても異なるが、スギの辺材で伐採直
後のものの含水率は160%程度であり、これらの水分
は生材を乾燥する過程でその大部分が放散され、最終的
には、平衡含水率として11〜18%(使用環境や目的
によって多少異なる)で安定化した状態となる。この間
における含水率の変化によって木材は著しい寸法変化を
起こし、それに伴って割れや反り等を引き起こす。
【0004】従って木材製品を製造する際には、中間加
工製品以降の状態で生じる寸法変化を極力少なくするた
め、生材から中間加工製品を製造するまでの過程で十分
に乾燥し、寸法変化に伴う変形をほぼ完了させた状態で
中間品形状に加工してから出荷される。具体的には、建
材を対象とした場合、例えば105mm角の製品を生産
するには、110〜120mm角程度の生材を15〜2
0%程度まで乾燥させ、105mm角の製品として切り
出し寸法精度を確保している。
【0005】また、防腐剤や防蟻剤等を浸潤させること
により防腐・防蟻作用を付加させることもあるが、これ
らの浸潤に水溶性薬剤を使用した場合は、その後に再度
の乾燥が必要となり、この再乾燥工程で寸法変化を生じ
るので、再度の寸法調整が必要となる。
【0006】ところで、生材あるいは天然乾燥によって
予備乾燥された木材を角材や板材等として切り出した後
に行なわれる人工乾燥工程では、乾燥機内(缶内)に適量
の水蒸気を吹き込んで(送り込んで)加湿しながら、各ス
ケジュールで乾湿球の差をコントロールし段階的に乾燥
する方法が採用されている。これは、加湿調整すること
なく加熱乾燥を行うと、乾燥初期に木材表層部からの脱
水が急激に進行し、該脱水により表層部で収縮が進行し
て割れや反り等を生じるからである。一般にスギ新持ち
材を乾燥させる場合、加湿調整することなく加熱乾燥す
ると、殆どの材で表層割れや芯割れを起こし、歩留りが
著しく低下する。
【0007】その予防策として、素材に背割りを施し加
湿調整しながら乾燥が行なわれている。しかしながらス
ギ材の場合、この予防策を講じたとしても、不良率とし
て10%以上生じる。
【0008】そして該加熱乾燥では、複雑な温度・湿度
管理が必要となるばかりでなく、目標含水率まで乾燥す
るのに長時間を要し、工業的規模で実用化されている乾
燥機を用いた場合の該乾燥では、例えばスギ105mm
角材で通常15〜20日程度を要している。
【0009】即ちこの加熱乾燥では、乾燥という目的の
ために、加湿という相反する工程を必要としており、経
済的にマイナスとなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記の様
な従来技術の下で、特に生材や天然乾燥材、防腐・防蟻
処理木材を強制乾燥(加熱乾燥)する際の寸法変化によ
る「狂い」、あるいは割れ・反り等による不良率を抑制
すると共に、乾燥期間の短縮を期して鋭意研究を進めて
きた。
【0011】従って、本発明の目的は、木材を乾燥する
際に、寸法変化、割れ、反りを抑制すると共に、加湿管
理を行わない加熱乾燥で乾燥期間の短縮を可能とし、寸
法安定性の高い木材製品を効率良く経済的に製造するこ
とのできる寸法安定化処理法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る木材の寸法安定化処理法とは、下
記(1)〜(4)の工程を順次実施するところに要旨を有して
いる。
【0013】(1)木材を予備乾燥し表層部の含水率を2
5〜60%とする工程、(2)所定形状に加工する工程、
(3)前記表層部に寸法安定化剤を注入する工程、(4)その
後、実質的に外部からの加湿を行うことなく脱気しつつ
加熱乾燥する工程。
【0014】上記本発明を実施するに当たっては、前記
工程(1)において、表層から少なくとも8mm以上の深
さ位置まで、あるいは、木材の厚さに対し表面から少な
くとも10%以上の深さ位置までを表層側として予備乾
燥することにより、寸法安定化剤の浸透が容易となり、
本発明の特徴をより効果的に発揮させることができるの
で好ましい。
【0015】また、前記工程(1)の予備乾燥に先立っ
て、表層側にインサイジング処理を施しておけば、予備
乾燥時の木材外への水分放出を著しく促進することがで
き、予備乾燥に要する時間を著しく短縮できるばかりで
なく、予備乾燥における寸法安定化剤(あるいは更に、
防腐剤や防蟻剤など)の注入(以下、浸潤ということが
ある)を深部まで効率よく行うことができるので好まし
い。
【0016】このとき、前記表層部への寸法安定化剤の
注入に加圧注入を採用すれば、浸潤をより効率よく行う
ことができるので好ましい。また、該寸法安定化剤の注
入量を10kg/m3以上、より好ましくは20kg/
3以上にしてやれば、その後の加熱乾燥工程での寸法
変化を一層効果的に防止できる。
【0017】本発明で使用する寸法安定化剤の種類は特
に制限されないが、追って詳述する本発明の作用を有効
に発揮させると共に、建材や家具などとして用いたとき
に人体に悪影響を与えることがなく、且つ木材加工品と
しての品質にも悪影響を及ぼすことのないものとして、
尿素、グリコール系化合物、グルコース等の糖類、塩化
マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化バリウムなどの寸
法安定化剤が推奨される。
【0018】また、前記工程(3)で寸法安定化剤を表層
側に注入する際に、防腐剤や防蟻剤なども同時に注入す
れば、寸法安定性に加えて防腐作用や防蟻作用にも優れ
た木材加工品を得ることができるので好ましい。この際
の寸法安定化剤や防腐剤、防蟻剤などを含めた水溶性
(水希釈した)作業液(注入される薬液)のトータル注
入量は木材全量に対し200kg/m3以上とすること
が望ましい。
【0019】本発明によれば、上記構成を採用すること
によって寸法安定性に優れた乾燥木材を得ることができ
るが、上記工程(4)の後に更に寸法調整のための仕上げ
切削加工などを行えば、乾燥木材の寸法精度を更に高め
ることができるので好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述した様な従来技
術の問題点に着目し、寸法安定性に優れた木材加工品を
高歩留りで且つより短い処理時間で効率よく製造するこ
とのできる処理法の開発を期して、様々の角度から研究
を進めてきた。その結果、前述した如く下記(1)〜(4)の
工程を順次行えば、当初の目的が見事に達成されること
を知り、上記本発明に到達したものである。
【0021】(1)木材を予備乾燥し表層側の含水率を2
5〜60%とする工程、(2)所定形状に加工する工程、
(3)前記表層部に寸法安定化剤を注入する工程、(4)その
後、実質的に外部からの加湿を行うことなく抜気しつつ
加熱乾燥する工程。
【0022】以下、上記処理工程を定めた理由、更には
各工程を実施する際の好ましい条件、好ましい付加的要
件などについて詳細に説明していく。
【0023】本発明では、先ず第1の工程(1)で予備乾
燥が行われる。この予備乾燥は、生材あるいは未乾燥状
態の原木を所定形状に加工する前、或いは適当なサイズ
に切出し加工した後に行なわれる乾燥工程であり、一般
に実施されている天然乾燥などもこれに相当する。但し
本発明では、該予備乾燥工程における表層側の含水率を
25〜60%の範囲、好ましくは25〜40%の範囲に
コントロールすることが極めて重要となる。
【0024】ちなみにこの予備乾燥工程(1)は、工程(3)
の注入工程で、木材の表層部に必要量の寸法安定化剤を
効率よく浸潤(含浸)させるため、木材内部の水分の一
部を放出させて放出跡に空隙を生じさせるための予備乾
燥として不可欠の工程であり、上記寸法安定剤を必要十
分量浸潤させるには、少なくとも表層部の含水率を60
%以下、より好ましくは40%以下にしなければならな
い。但し、該予備乾燥工程で過度に乾燥を進めて含水率
を低くし過ぎると、該予備乾燥工程での木材の反りや歪
みが顕著となり、予備乾燥品としての歩留りが低下する
原因になるので、該予備乾燥工程での含水率は25%以
上、より好ましくは30%程度以上に止めることが望ま
しい。
【0025】一般に木材内に存在する水分は、細胞内腔
や細胞間隙等に液状で存在する水分(以下、「自由水」
と記す)と、細胞壁内に存在する水分(以下、「結合
水」と記す)に分けられる。自由水は一般に含水率とし
て30%以上の水分をいい、結合水は含水率30%以下
の水分に相当する。細胞膜内が完全に水分で飽和され、
細胞内腔や細胞間隙等の空隙中に液状水分が存在しない
状態は、繊維飽和点(F.S.P:fiber saturation point)
と呼ばれ、その含水率は全ての木材を通じて25〜30
%(平均で約28%)である。
【0026】そして乾燥工程における木材の収縮は、一
般に繊維飽和点以下の含水率範囲で水分が減少すること
によって細胞壁の厚さが減少し、全体の寸法が縮むため
に生じると考えられている。しかし、実際の乾燥ではこ
の収縮以外に、細胞の変形や潰れ(落ち込み)によって
収縮量が異常に増大することが多い。
【0027】また、生材、全乾材ないしは任意含水率の
木材をある温・湿度の大気中に放置すると、木材は、大
気中の水蒸気圧と木材中の水分に基づく水蒸気圧が等し
くなるまで吸・放出を繰り返し、雰囲気の温・湿度に応
じた平衡状態に達する。この時の含水率を、その温度お
よび相対湿度における平衡含水率(equilibrium moistu
re content)という。これは、全ての樹種でほぼ等し
く、使用環境や目的によって多少異なるものの、約15
%程度と言われている。そして木材は、長期間をかけて
平衡含水率状態の含水率で安定化することになる。
【0028】従って通常の木材乾燥処理では、予備乾燥
工程で水分量が平衡含水率以下となるまで乾燥を進め、
乾燥による木材の反りなどの変形をほぼ完了させてから
加工を行うことにより、その後の加工物の変形を防止し
ている。この間、木材は平衡含水率となるまで乾燥を進
めることによってかなりの収縮・変形を起こすので、そ
の後の中間加工時における寸法調整などで変形部を切削
しなければならず、中間加工品としての歩留りはかなり
低下するのが実態である。
【0029】これに対し本発明では、上記の様に予備乾
燥工程で木材表層部の含水率を25%まで、より好まし
くは繊維飽和点である30%程度までに止めることによ
り、予備乾燥時の変形を最小限に抑制し、該乾燥による
変形を抑えて中間加工品としての歩留り向上を図ってい
る。なお、該予備乾燥処理後に行なわれる寸法調整剤な
どの浸潤に必要な空隙は、細胞外の水分の放出によって
生じる放出跡によって確保されるので、浸潤不足となる
恐れはない。
【0030】但し、予備乾燥後の含水率が60%を超え
ると、水分の放出によって生じる放出跡の空隙が不足気
味となり、浸潤不足となって本発明の目的を達成できな
くなるので、該含水率は60%以下、より好ましくは4
0%程度以下にすることが必要となる。
【0031】かくして、本発明の第(1)工程で行なわれ
る予備乾燥工程で含水率を25〜60%、より好ましく
は25〜40%の範囲とすることにより、予備乾燥工程
での寸法変化による歩留り低下を可及的に抑えつつ、そ
の後の寸法調整剤の浸潤に必要な空隙を十分に生成させ
ることが可能となる。
【0032】尚この予備処理工程では、木材の厚み方向
全体の含水率を上記範囲に調整することが望ましい。し
かし、一般に水分の揮発による寸法変化によって生じる
割れは、太径材の場合で表面から少なくともの8mm以
上、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm
以上、薄板材の場合では全板厚の10%以上、より好ま
しくは15%以上を、前記含水率範囲に制御してやれ
ば、当該厚さの表層部で内部水分放出時の収縮応力に耐
えるバルキング効果(寸法収縮抑制効果)が確保されて
割れを回避できると共に、当該深さまでの寸法安定剤の
浸潤で寸法変化も十分に抑えることができる。よって、
予備乾燥時における前記範囲の含水率を確保すべき領域
は、表層からの深さ位置で太径材の場合は8mm以上、
好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以
上、板材の場合は全板厚の10%以上、より好ましくは
15%以上とすべきである。
【0033】予備乾燥は通常自然乾燥によって行なわれ
るが、時間短縮のため人工乾燥(強制乾燥)を行った
り、自然乾燥と人工乾燥を組み合わせて実施することも
可能であり、予備乾燥手段そのものは一切制限されな
い。
【0034】また上記予備乾燥に当たっては、表層部を
前記含水率にまで乾燥するために要する時間を短縮する
と共に、その後の寸法安定剤の浸潤を短時間で効率よく
実施するため、予備乾燥に先立って表層部にインサイジ
ング処理を施すことも極めて有用である。なおインサイ
ジングのピッチは特に制限されず、樹種によって異なる
木材の密度、或いは被処理木材の表面が芯材部であるか
辺材部であるか等、木材の乾燥および浸潤のし難さや目
標乾燥時間などを考慮してその都度適宜に決めればよ
い。
【0035】インサイジングの深さも特に制限されない
が、本発明では前述の如く表層8mm以上の乾燥もしく
は浸潤促進が有効となるので、その深さもそれに応じて
8mm程度以上とすることが望ましい。しかしインサイ
ジング深さを5〜7mm程度に止めても、インサイジン
グを施さない場合に比べると乾燥および浸潤を大幅に促
進することが可能となる。
【0036】被処理木材が比較的薄肉の板材である場
合、あるいは辺材のみからなるものでは、インサイジン
グ処理をしなくとも乾燥や寸法安定剤の浸潤を効率よく
行うことができるが、特に芯材部が露出した部分では乾
燥や浸潤促進のためインサイジング処理を施すことが望
ましい。
【0037】かくして予備乾燥を終えた予備乾燥材は、
次いで(2)の工程で所定形状への加工が行われる。この
加工には、基礎材の場合は、寸法・形状を整えるための
切削加工、或いは更に、ノミやプレカット機械等を用い
たアリやカマ等の継手加工や仕口加工、溝・加飾彫刻、
ダボ加工、金具の下穴加工等を行う処理が含まれる。
【0038】かくして加工された加工品は、次工程(3)
で表層部に寸法安定化剤の注入(浸潤)が行われる。こ
の工程では、前記(1)の工程で表層部が所定の含水率ま
で予備乾燥され、或いはインサイジング処理により表層
部に多数の細孔が形成されているので、これに寸法安定
化剤を加圧注入すると、予備乾燥工程で水分の抜けた跡
の空隙部に寸法安定化剤が速やかに浸潤される。そし
て、該寸法安定化剤の注入された木材加工品は、表層側
の水分の抜けた空隙部が寸法安定化剤で満たされている
ので、次工程(4)で行なわれる乾燥時にも寸法変化を起
こすことなく短時間で速やかな乾燥が可能となる。
【0039】木材内部への薬剤注入の具体的条件は特に
制限されず、防腐剤などを注入する際に採用される通常
の条件を適用すればよく、例えば浸漬処理、温冷浴処
理、減圧注入処理、加圧式注入処理等を採用すればよ
い。しかし、薬剤の注入を短時間で効率よく行うには、
加圧注入処理を採用することが望ましい。加圧注入処理
では、圧力条件も特に制限されないが、少なくとも表層
から深さ8mm程度、もしくは全板厚の10%程度まで
の浸潤を短時間で完了させるには、圧力を4kgf/c
2以上、より好ましくは15kgf/cm2程度以上に
高めることが望ましい。
【0040】また注入される寸法安定化剤の量は、その
後の乾燥工程、あるいは最終製品として実用化する際の
寸法安定性を高めるため、10kg/m3以上、より好
ましくは20kg/m3程度以上とすることが望まし
い。
【0041】ここで使用される寸法安定化剤の種類は特
に制限がなく、公知の種々の安定化剤、例えばエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ルなどのアルキレングリコール類;ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコ
ールなどのポリアルキレングリコール類;グリセリン;
1,3−ブタンジオール、ポリオキシエチレントリデシ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリ
ビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;酢酸ビニ
ル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、
ソルビタンモノオレート、D−グルコース等の糖類;尿
素、メチロール尿素などの尿素系化合物;フェノール樹
脂;塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム
などの無機塩などが例示され、これらは単独で、もしく
は2種以上を適宜組み合わせて使用できるが、これらに
限定されるものではない。寸法安定化性能、家屋や家具
などとして実用化する際の安全性などを考慮して、より
一般的なのはグリコール系化合物や尿素である。
【0042】尚、上記寸法安定化剤を注入する際に、同
時に防腐剤や防蟻剤などを注入すれば、寸法安定化と同
時に防腐処理や防蟻処理などを施すことができるので好
ましい。これら防腐剤や防蟻剤を同時注入する際の好ま
しい注入量は、注入薬剤の作用を有効に活かすため、寸
法安定化剤や防腐剤、防蟻剤などを含めた水溶性(水希
釈した)作業液(浸潤処理する場合の薬液)のトータル
注入量で、木材全量に対し200kg/m3以上とする
ことが望ましい。
【0043】防腐剤や防蟻剤には特に制限がなく、公知
の剤を全て使用できるが、代表的な防腐剤としては、高
級有機第4級アンモニウム化合物、芳香族ベンゾイミダ
ゾール誘導体である2-(4-チアゾリル)-1H-ベンツイミダ
ゾール、2-(4-チオシアノメチルチオ)-ベンゾチアゾー
ル、芳香族キノリン誘導体である8-オキシキノリン銅、
芳香族トリアゾール誘導体である1-[2-(2',4'-ジクロロ
フェニル)-4-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イル-メチ
ル]-1H-1,2,4-トリアゾール、1-[2-(2',4'-ジクロロフ
ェニル1,3-ジオキソラン-2-イル)メチル]-1H-1,2,4-ト
リアゾール、α-(2,4-クロロフェニルエチル)-α-(1,1-
ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノー
ル、α-(4-クロロフェニル)-d-(1-シクロプロピルエチ
ル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール、酸化第二銅
などの銅化合物、等が挙げられるがこれらに限定される
ものではない。
【0044】また代表的な防蟻剤としては、カーバメイ
ト系化合物としてフェノブカルブ、カルバリル等、ピレ
スロイド化合物としてトラロメスリン、ペルメトリン、
ビフェントリン等、その他、エトフェンプロックス、シ
ラフルオフェン、イミダクロプリド、アセタミプリド、
ほう酸、高級第4級アンモニウム塩などが例示されるが
これらに限定されるものではない。
【0045】また本発明においては、上記防腐剤や防蟻
剤の他、例えば防火・防燃剤などを必要に応じて同時注
入することも可能である。
【0046】注入を終えた後は、工程(4)で最終の乾燥
が行われる。本発明で採用される該乾燥工程は、「実質
的に外部から加湿を行うことなく抜気しつつ加熱乾燥す
る」という点で、従来の「外部から適度に加湿しながら
乾燥を行う」方法とは著しく異なる。
【0047】即ち従来から実施されている強制乾燥工程
では、乾燥機内に適量の水蒸気を吹込んで加湿しながら
段階的に乾燥する方法が採用されている。これは、先に
説明したように加湿調整することなく加熱乾燥を行う
と、乾燥の初期に木材の表層部からの脱水が急速に進行
して表層側が収縮を起こし、心部側が乾燥されるまでの
間に表層側に割れや反り等を起こすからである。そのた
め、目標含水率にまで到達するのに長時間を要してい
た。
【0048】ところが本発明では、前記工程(1)〜(3)
で、乾燥時の反りや変形の原因となる表層部の水分の所
定量を前述の如く揮発除去し、その空隙部を所定量の寸
法安定化剤で埋めているので、乾燥工程で表層側の収縮
を生じることなく心部側の水分の揮発除去を進めること
ができる。即ち該強制乾燥工程では、乾燥機内を加湿調
整することなく加熱し、心部側から放出されてくる水蒸
気を抜気しながら加熱乾燥を行った場合でも、表層側の
収縮を伴うことなく心部の乾燥を進めることができるの
で、乾燥に要する時間を大幅に短縮することが可能とな
る。
【0049】ちなみに、加湿調整しながら加熱乾燥を行
う従来法では、30m3レベルの乾燥機を使用した場
合、通常スギ芯持ち材で300時間(13日間)程度の
乾燥時間を要し、しかも木材の暴れを起こすことなく乾
燥を進めるには、乾燥の進行に応じて乾燥機内の温度と
湿度を厳密にコントロールしなければならない。また、
スギ材の場合、芯持ち材という製材特性がある為、割れ
防止の目的で背割り加工を施す必要がある。しかし本発
明では、上記のように乾燥時における表層部の乾燥・収
縮とそれに伴う反りや変形を全く心配する必要がないの
で、加湿することなく加熱し、生成する水蒸気を乾燥機
外へ吸引して抜気するだけでよい。
【0050】そのため、乾燥に要する時間は、上記と同
レベルの乾燥機を用いた場合、樹種によっても異なるが
5〜8日程度で乾燥を完結することができ、乾燥に要す
る時間を大幅に短縮することが可能となる。しかも本発
明では、従来技術の如く乾燥時の複雑且つ厳密な温度−
湿度管理は全く不要であり、単に抜気しつつ加熱するだ
けであるから、乾燥操作も極めて簡素化される。それと
共に、寸法安定化薬剤の収縮抑制効果により木材表層部
等の割れ等を防止しているので、割れ防止目的の背割り
加工は不要となる。
【0051】乾燥温度は樹種の種類によっても変わって
くるので一律に決めることはできないが、木材の材質変
化やそれに伴う変色などを起こすことなく乾燥をより短
時間で進める上では、95℃以下、より好ましくは85
℃以下で、70℃以上、より好ましくは80℃以上を採
用することが望ましい。
【0052】また本発明では、前記(1)の予備乾燥工程
で寸法変化の原因となる水分の多くは予め除去されてお
り、その後は寸法調整剤の注入により表層部の空隙を寸
法調整剤で埋めてしまっているので、(4)の乾燥工程は
もとより、その後最終製品として組み立てた後において
も寸法変化を殆ど起こすことがなく、寸法精度が高く且
つ組み立て後の変形や歪みなどを起こすことのない建材
や木工製品を得ることができる。
【0053】この様に本発明では、(1)〜(4)の工程を順
次実施することで、寸法精度が高く且つ組み立て後の変
形や歪み等を可及的に抑えることができるが、最終製品
に求められる寸法精度のレベルによっては、上記(4)の
工程の後に更なる仕上げ研削加工などを施し、寸法精度
の一段と高められた高級木工加工品用の素材として使用
することも勿論有効である。
【0054】本発明で使用される木材の種類には特に制
限がなく、ヒノキ、ベイヒノキ、ヒバ、ベイヒバ、ス
ギ、ベイマツ、ベイツガ、アカマツ、クロマツ、カラマ
ツ、ベイモミ、スプルース、トドマツ、エゾマツなどの
針葉樹、クリ、ケヤキ、ブナ、カエデ、クヌギなどの広
葉樹などの全てが使用できるが、本発明の特徴が格別有
効に発揮されるのはベイツガ、ヒノキ、スギ、ベイヒ
バ、ヒバなどである。
【0055】
【実施例】以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実験例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0056】実験例1 本発明の寸法安定化処理法では、その効果を有効に発揮
させるため薬剤の浸透(浸潤)が必須となる。そこで、住
宅部材として一般に流通しているベイツガ材(ヘムロッ
ク)について、素材含水率毎の浸透性確認試験を実施し
た。なお、含水率の測定にはワカール式含水率測定器
(ハンディータイプ)を用いて試験材の表層(表面から
深さ約10mmまで)含水率を測定し、含水率グループ
として40%以下、41〜60%、61〜80%、81
〜100%の4区分とした。用いた木材の寸法は105
mm×105mm×3,000mmである。
【0057】供試薬剤は、防腐・防蟻剤として「マイト
レックACQ」(コシイプレザービング社製の銅・アル
キルアンモニウム化合物系木材防腐剤:JIS K 1570規格
品)の4.0%(W/W)水溶液を使用し、寸法安定化
剤としては、ポリオキシエチレントリデシルエーテル
(以下、POと記す)4.7%(W/W)、尿素5.3
%(W/W)の混合剤を用いた。
【0058】加圧注入はJIS A 9002に準拠して行い、そ
の際のスケジュールは、前排気30分(600mmHg
以上)、加圧120分(15.2kgf/cm2)、後
排気30分(600mmHg以上)の条件で実施した。
尚、注入量は、下記の式(I)によって算出した。
【0059】また、寸法安定化の効力確認の為、温度8
0℃、湿度管理無しの強制排気条件下で5日間人工乾燥
を行い、試験材の寸法収縮を測定した。結果を図1に示
す。 注入量(kg/cm3)=(木材加圧式注入処理後重量−木材加圧式注入処理前重量 )/材積……(I)
【0060】図1からも明らかな様に、表層部の含水率
が60%を超える試験材では、薬剤の浸透性が減少す
る。これは、木材内部の細胞内が水分で満たされてお
り、加圧注入処理によっても薬剤浸透が困難であること
が考えられる。従って、薬剤効力によって寸法安定性を
与えるには、加圧注入処理を実施する前の段階で、何ら
かの含水率調整を行うことが必要となる。
【0061】また、この試験材を用いて人工乾燥を行っ
て寸法収縮量の測定を行った結果、下記表1に示す如
く、寸法安定化剤の注入量に大きく影響することが確認
された。
【0062】
【表1】
【0063】また図2は、供試木材の予備乾燥による含
水率の低下と寸法収縮率の関係を調べた結果を示したグ
ラフであり、供試木材を屋外放置(天然乾燥)により予
備乾燥したときの含水率の低下と、それに伴う寸法収縮
率の変化を示したものである。なお収縮率とは、下記式
により算出される値を意味する。
【0064】収縮率=[(予備乾燥前寸法−予備乾燥後
寸法)/予備乾燥前寸法]×100(%) 本発明においては、前述した如く薬剤注入を可能にする
ため予備乾燥が行われ、この予備乾燥工程では水分率の
低下につれて寸法収縮を起こすが、図2からも明らかな
様に、予備乾燥により含水率が25%程度まで達するま
での寸法収縮率は比較的少なく、収縮率は1.0%レベ
ルに止まっている。ところが、予備乾燥後の含水率が2
5%未満に達するまで乾燥を進めると収縮率は急激に立
ち上がり、大幅な収縮率の増大が認められる。
【0065】即ちこのグラフからは、原料木材を予備乾
燥する際に、当該木材の予備乾燥工程における含水率を
25%レベルに止めてやれば、原料木材の寸法変化(従
ってそれに伴う原料木材の変形)を最小限に抑えること
ができ、それにより切削加工の如き寸法矯正のため処理
量を低減することができ、木材加工品としての歩留りを
高め得ることが分る。
【0066】他方、図3は、所定の含水率にまで予備乾
燥した供試木材に対して薬剤を注入(浸潤)したとき
の、含水率と薬剤注入量の関係を調べると共に、薬剤注
入後、前記(4)の工程に従って外部から加湿を行うこと
なく脱気しつつ加熱乾燥した時の寸法収縮抑制効果(A
SE)の関係を調べた結果を示したグラフである。ここ
で、ASEとは下記式によって求められる値を意味す
る。
【0067】ASE=[(無処理木材の収縮率−処理木
材の収縮率)/無処理木材の収縮率]×100(%) 無処理木材の収縮率=[(薬剤注入前寸法−無処理材の
乾燥後寸法)/薬剤注入前寸法]×100(%) 処理木材の収縮率=[(薬剤注入前寸法−処理木材の乾
燥後寸法)/薬剤注入前寸法]×100(%)
【0068】図3からも明らかなように、予備乾燥後の
含水率が低くなるほど薬剤注入量は増大し、それに伴っ
てASE値も増大する傾向が明確に現われており、特に
予備乾燥後の含水率が60%を超えるものでは、乾燥不
足による薬剤注入量不足が顕著となり、結果的に低レベ
ルのASE値しか得ることができない。ところが含水率
が60%以下、より好ましくは40%以下になるまで予
備乾燥したものでは、薬剤注入量が大幅に増大すると共
に、高レベルのASE値が得られている。
【0069】上記図2,3の結果より、予備乾燥工程で
の寸法変化量を最小限に抑えつつ、しかも十分な薬剤注
入量を確保して乾燥後の状態で高レベルのASE値を確
保するには、予備乾燥時の含水率を25〜60%、より
好ましくは25〜40%の範囲に調整すべきであること
が分る。
【0070】なお図4(A)〜(C)は、上記実験で得た薬
剤注入前の含水率が27%、39%、72%の予備乾燥
材に薬剤注入を行った試験材について、各試験材の中央
部分(木口から1,500mm部分)で切断し、木材表層
部分からの薬剤浸潤状況を示したものである。
【0071】これらの図からも明らかな様に、図4
(A),(B)では、木材表層部に均一な薬剤浸潤層が認
められるが、図4(C)では、注入前の含水率が60%を
超えているため、薬剤浸潤の不足部分が確認される。
【0072】よって、薬剤を用いた寸法安定化の観点か
ら十分な薬剤注入量を確保するには、薬剤注入前の含水
率で60%程度以下、より好ましくは40%程度以下に
すべきであり、それにより寸法安定化の目的を有効に発
揮させ得ることが分る。
【0073】実験例2 前記実験例1において、表層部の含水率を40%以下に
調整することが、本発明を効果的に発揮させる大きなポ
イントになることが確認された。そこで本実験例では、
供試木材としてヘムロック材を使用し、加圧注入処理前
にインサイジング処理を行い、その後に自然乾燥(屋外
放置)を行って素材の含水率変化を確認した。
【0074】供試材は、実験例1と同様に一般流通材の
ベイツガ材を対象として100本を用いた。また含水率
は、インサイジング処理前に繊維方向に対し3ケ所測定
し、同一箇所を経時的に測定した。その際のインサイジ
ング処理は、4,500個/m2、表面から約10mm
とし、放置条件としては、供試材の両木口から約500
mm部分と中央部の3ケ所に厚さ25mmのさん木を設
置し、通気性を与えた状態で屋外放置とした。結果を図
5に示す。
【0075】図5からも明らかな様に、インサイジング
処理を施した供試材については、屋外曝露後2週間程度
で、木材表層部の含水率は約40%に減少した。この結
果から、インサイジング処理を施すと、インサイジング
無しの場合に比べて乾燥速度を3倍程度に高めることが
でき、効率的に低コストで乾燥し得ることが分る。
【0076】また、この供試材について、前記実験例1
と同様に、JIS A 9002に準じて薬剤の加圧注入処理を行
ったところ、全薬液の注入量で平均245.6kg/m
3を確保でき、寸法安定化剤としての注入量は、POと
して11.5kKg/m3、尿素として13.0k/m3
が確認され、その後の乾燥処理でも十分な寸法安定化効
果を得ることができた。
【0077】実験例3 前記実験例1において、寸法安定化薬剤の加圧注入によ
って木材本来の特性である収縮を抑制できることが確認
されたので、次に、乾燥速度の向上を目的とし人工乾燥
試験を行った。尚、供試樹種は、乾燥割れという点で最
も乾燥の困難なスギ芯持ち材(背割り無し)を使用し、本
発明を適用した場合と従来の乾燥法との比較実験を行っ
た。
【0078】従来法では、前述した様に木材を人工乾燥
する際に、木材表層部の乾燥割れや収縮、ねじれ、反り
等を最小限に抑制するため加湿管理を行い、段階的なス
ケジュールを組んで乾燥を行っている。具体的な従来法
の乾燥スケジュール例は表2に示す通りであり、中温乾
燥(約60〜90℃範囲)と呼ばれる乾燥条件が組まれ
ている。そこで本実験例では、表2のスケジュールを従
来法として採用し、また、本発明例としては、加湿管理
無しのスケジュールで表3に示す条件で人工乾燥を行っ
た。
【0079】なお寸法安定化薬剤としては、ポリオキシ
エチレントリデシルエーテル(PO)4.7%(W/
W)と尿素5.3%(W/W)の混合剤および、1,3-ブ
タンジオール(以下、BGと記す)4.7%(W/W)
と尿素5.3%(W/W)の混合剤の2種の製剤を使用
した。また加圧注入処理は、前記実験例1および2と同
様に、JIS A 9002に準じて行った。
【0080】人工乾燥は、加圧注入処理後に従来法は表
2のスケジュールで、また本発明法は表3の条件で8日
間行った。含水率測定は、予め推定全乾重量を算出し、
経過時間毎に適時重量測定を行って推定全乾重量から含
水率を算出した。
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】図6に、従来法と本発明法を採用したとき
の含水率の経時変化を対比して示す。尚この図には、寸
法安定化剤としてPOおよびBO(ブチレングリコー
ル)を使用した場合を示している。この図からも分る様
に、本発明法を採用すれば、乾燥を極めて効率よく行う
ことができ、本発明では8日間の乾燥で含水率が20%
以下にまで低減しているのに対し、従来法では40%程
度までにしか含水率が低下していない。
【0084】これは、本発明法では乾燥初期から効率の
よい乾燥が行われるのに対し、従来法では、木材の割れ
および反り等を防ぐため、昇温→スチーミング→乾燥と
いう工程を採用しなければならず、乾燥速度が著しく遅
延するためであり、且つ加湿により最終含水率レベルも
十分に下がり難くなるためである。すなわち本発明によ
れば、乾燥を短時間で効率よく実施し得ることが分る。
【0085】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、木
材を乾燥処理する際に、予備乾燥時の表層部の含水率を
特定すると共に、加工後の寸法安定剤の浸潤とその後の
加湿なしの加熱乾燥を組み合わせることにより、乾燥時
における原料木材の寸法変化に起因する割れや反り、歪
みなどを可及的に抑えて加工品としての歩留りを高める
と共に、その後の寸法変化も抑えて高精度の木材製品を
得ることができ、しかもこの方法を採用すれば、従来の
乾燥法に比べて乾燥に要する時間を大幅に短縮すること
ができる。
【0086】また本発明により乾燥して得た乾燥木材
は、上記の様に優れた寸法精度を有すると共にその後の
寸法変化も少ないが、需要者の要望によっては、上記工
程(4)の後に更に仕上げ研削加工などの最終寸法調整を
行い、一段と寸法精度の高められた高級木材を得ること
も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】予備乾燥後の木材の含水率が薬剤注入量に与え
る影響を示すグラフである。
【図2】供試木材の予備乾燥後の含水率と寸法収縮率の
関係を示したグラフである。
【図3】予備乾燥後の含水率と薬剤注入量の関係およ
び、その後乾燥時の寸法収縮抑制効果(ASE)の関係
を示すグラフである。
【図4】実験例で得た薬剤含浸後の含浸状態を示す断面
説明図である。
【図5】インサイジング処理の有無が含水率の推移にお
よぼす影響を対比して示すグラフである。
【図6】本発明法と従来法を採用したときの含水率の推
移を対比して示すグラフである。
【符号の説明】
1 薬剤含浸部 2 薬剤未含浸部

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)〜(4)の工程を順次実施すること
    を特徴とする木材の寸法安定化処理法。 (1)木材を予備乾燥し表層部の含水率を25〜60%と
    する工程、 (2)所定形状に加工する工程、 (3)前記表層部に寸法安定化剤を注入する工程、 (4)その後、実質的に外部からの加湿を行うことなく脱
    気しつつ加熱乾燥する工程。
  2. 【請求項2】 前記工程(1)において、表層から少なく
    とも8mm以上の表層部を予備乾燥する請求項1に記載
    の処理法。
  3. 【請求項3】 前記工程(1)において、木材の厚さに対
    し表層から少なくとも10%以上の表層部を予備乾燥す
    る請求項1に記載の処理法。
  4. 【請求項4】 前記工程(1)の予備乾燥処理に先立っ
    て、表層部にインサイジング処理を施す請求項1〜3の
    いずれかに記載の処理法。
  5. 【請求項5】 寸法安定化剤の注入量を10kg/m3
    以上とする請求項1〜4のいずれかに記載の処理法。
  6. 【請求項6】 前記工程(3)の注入を加圧注入とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の処理法。
  7. 【請求項7】 寸法安定化剤として尿素及び/又はグリ
    コール系化合物を使用する請求項1〜6のいずれかに記
    載の処理法。
  8. 【請求項8】 前記工程(3)で、寸法安定化剤と共に防
    腐剤及び/又は防蟻剤を注入する請求項1〜7のいずれ
    かに記載の処理法。
  9. 【請求項9】 前記工程(4)の後、更に寸法調整のため
    の切削加工を行う請求項1〜8のいずれかに記載の処理
    法。
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