JP2020131662A - 印刷装置、及び印刷方法 - Google Patents

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Takuya Saiga
拓也 齋賀
拓哉 山崎
Takuya Yamazaki
拓哉 山崎
原田 成之
Nariyuki Harada
成之 原田
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Abstract

【課題】付与されたブラックインクにより形成される画像を加熱する場合、画像の耐擦性向上と、画像濃度低下の抑制と、を両立する印刷装置を提供する。
【解決手段】カーボンブラック、及び樹脂を含むインクを記録媒体7に付与するインク付与手段2と、前記インクが付与された前記記録媒体を30℃以上50℃以下の温度で加熱する第一の加熱手段3と、加熱された前記記録媒体を、前記インクの乾固物のガラス転移温度Tg以上の温度で加熱する第二の加熱手段4と、を有する印刷装置100である。
【選択図】図1

Description

本発明は、印刷装置、及び印刷方法に関する。
近年、画像形成方法として、インクジェット記録方式が普及してきている。インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られる利点があることから、これらの用途は、パーソナルからオフィス、商業印刷や工業印刷の分野へと広がりつつある。特に、産業用途では、コート紙やフィルム等の様々な液体吸収性を有する記録媒体に対応するため、インクを付着させた後に、記録媒体を加熱して乾燥させる機構を設けることが必要となってきている。
コート紙やフィルム等の液体吸収性が低い記録媒体または非液体吸収性の記録媒体を用いる場合、インク中に樹脂を含有させ、加熱乾燥した際に樹脂に被膜を形成させ、色材である顔料を記録媒体上に定着させる方法が一般的である。但し、このようなインクでは、加熱乾燥が不十分だと被膜が脆弱になり、画像面を擦った際に画像が色移りするなど、耐擦性の低さが課題となる。
特許文献1では、水不溶性樹脂によって被覆されている顔料、ガラス転移温度が100℃以上の水不溶性ポリマー粒子、固体湿潤剤、水溶性有機溶剤、融点が40℃以上100℃未満のワックス粒子及び水を含有するインク組成物を用い、インク組成物の付与により形成されたインク画像を、ローラーを用いて加熱しながら加圧することで記録媒体に定着させ、耐擦性を高めることが開示されている。
しかしながら、付与されたブラックインクにより形成される画像を加熱する場合、画像の耐擦性向上と、画像濃度低下の抑制と、を両立することが困難である課題がある。
請求項1に係る発明は、カーボンブラック、及び樹脂を含むインクを記録媒体に付与するインク付与手段と、前記インクが付与された前記記録媒体を30℃以上50℃以下の温度で加熱する第一の加熱手段と、加熱された前記記録媒体を、前記インクの乾固物のガラス転移温度Tg以上の温度で加熱する第二の加熱手段と、を有する印刷装置である。
本発明は、付与されたブラックインクにより形成される画像を加熱した場合において、画像の耐擦性向上と、画像濃度低下の抑制と、を両立することができる優れた効果を奏する。
図1は、連続する記録媒体を用いる印刷装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<<印刷装置>>
本実施形態の印刷装置は、インクを記録媒体に付与するインク付与手段と、インクが付与された記録媒体を加熱する第一の加熱手段と、加熱された記録媒体を更に加熱する第二の加熱手段と、を有し、必要に応じて他の手段を有する。
まず、本実施形態の印刷装置が優れた効果を奏する理由について説明する。通常、カーボンブラックを含むインクにより形成されるブラック画像は、画像表面に入射した光が高効率で吸収されて画像表面から生じる散乱光が減少することにより、濃い黒色に見える。従って、ブラック画像の画像濃度を向上させる場合、画像表面のナノメートルレベルにおける平滑性を高めることが好ましい。そして、画像表面の平滑性を高めるためには、記録媒体に付与されたインク中のカーボンブラックと樹脂が、乾燥過程においても均一に分散された状態を維持していることが好ましい。
なお、インク中にはカーボンブラックや樹脂の他に、水、ノズルからの吐出を安定化するために用いられる有機溶剤、インク中の固形分の分散安定性を向上させるために用いられる有機溶剤などの成分が含まれる。しかし、記録媒体にインクが付与された後、これら成分の多くが残留した状態で急速に加熱される場合、カーボンブラックや樹脂の分散状態が破壊されることで画像表面の平滑性が損なわれ、ブラック画像の画像濃度が低下する。
そこで、第一の加熱手段を用いた第一の加熱工程により、記録媒体に付与されたインクの表面を緩やかに加熱しつつ液体成分の蒸発を促進し、ブラック画像の画像濃度低下を抑制する。
一方で、画像の耐擦性はインク膜の強度や硬度を高めることで向上する。これらを高めるためには、インクの乾固物のガラス転移温度Tgを高くすることが好ましい。しかし、乾固物のガラス転移温度Tgを高くすると、乾固物を形成する成分の1つである樹脂が、穏やかな加熱条件下では互いに融着せず、脆弱なインク膜となるので、画像の耐擦性が低下する。
そこで、第一の加熱工程の後で、第二の加熱手段を用いた第二の加熱工程により、記録媒体に付与されたインクを、乾固物のガラス転移温度Tgより高い温度で加熱し、強固なインク膜を形成することで画像の耐擦性を向上させる。
以上より、第一の加熱工程と、第一の加熱工程後に実行される第二の加熱工程と、により、画像濃度低下の抑制と、画像の耐擦性向上と、を両立することができる
次に、本実施形態の印刷装置について図1を用いて説明する。図1は、連続する記録媒体を用いる印刷装置の一例を示す模式図である。図1に示す印刷装置100は、記録媒体供給手段1、インク付与手段2、第一の加熱手段3、第二の加熱手段4、及び記録媒体回収手段5を有する。
<記録媒体供給手段>
記録媒体供給手段1は、回転駆動することにより、ロール状に巻かれて収納された記録媒体7を印刷装置100内の搬送経路8に供給する。搬送経路8における記録媒体7の搬送方向を矢印Dで示す。
記録媒体7は、印刷装置100の搬送方向Dに連続するシート状の被搬送物であり、具体的には連続紙などである。連続紙としては、例えば、ロール状に丸められたロール紙、所定の間隔ごとに折り曲げられた連帳紙等が挙げられる。記録媒体7は、記録媒体供給手段1と記録媒体回収手段6の間の搬送経路8に沿って搬送される。
<インク付与手段>
インク付与手段2は、複数のノズルが配列された複数のノズル列を有するインクジェット吐出ヘッドであり、ノズルからのインクの吐出方向が、記録媒体7の搬送経路8を向くように設けられている。これにより、インク付与手段2は、記録媒体7に対し、カーボンブラック及び樹脂を含むインクを吐出する。
なお、本実施形態では、一例として、インクがインクジェット吐出ヘッドで記録媒体7に付与される場合について説明したが、他の手段で付与されてもよい。例えば、スピンコート、スプレーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート等の各種公知の手段を用いることができる。
<第一の加熱手段>
第一の加熱手段3は、記録媒体7に付与されたインクを加熱することでインクを乾燥させる。第一の加熱手段3は、搬送経路8における記録媒体7の搬送方向に対し、インク付与手段の下流側に設けられる。インクを加熱する手段は、例えば、熱風(温風)を吹き付けることで加熱する手段、記録媒体が接するドラムローラーを暖めることで加熱する手段、ニクロム線ヒーターを用いることで加熱する手段、ハロゲンヒーターを用いることで加熱する手段、セラミックヒーターを用いることで加熱する手段、及びカーボンヒーターを用いることで加熱する手段などを目的に応じて適宜選択することができるが、これらに限定されるものではない。なお、記録媒体に付与されたインクの表面を効率的に加熱乾燥させて画像濃度を向上させるためには、本実施形態のように、記録媒体7のインクが付与された面側から加熱することが好ましく、加熱する手段としては、熱風(温風)を吹き付けることで加熱する手段、ニクロム線ヒーターを用いることで加熱する手段、ハロゲンヒーターを用いることで加熱する手段、セラミックヒーターを用いることで加熱する手段、及びカーボンヒーターを用いることで加熱する手段などを用いることが好ましい。
第一の加熱手段3は、記録媒体を30℃以上50℃以下の温度で加熱することで記録媒体に付与されたインクを乾燥させる。加熱温度が30℃以上であることで、記録媒体に付与されたインク中の液体成分である水や有機溶剤が記録媒体に吸収されることを促進し、また、記録媒体に付与されたインク表面から液体成分が蒸発することを促進することで画像の耐擦性を向上させる。また、加熱温度が50℃以下であることで、第二の加熱手段で行われる加熱を経ても画像濃度の低下が抑制させる。
<第二の加熱手段>
第二の加熱手段4は、記録媒体7に付与されたインクを加熱することで、インクに含まれる定着樹脂や顔料分散剤などの樹脂を互いに融着させ、強固なインク膜を形成させる。第二の加熱手段4は、搬送経路8における記録媒体7の搬送方向に対し、第一の加熱手段の下流側に設けられる。インクを加熱する手段は、例えば、熱風(温風)を吹き付けることで加熱する手段、記録媒体が接するドラムローラーを暖めることで加熱する手段、ニクロム線ヒーターを用いることで加熱する手段、ハロゲンヒーターを用いることで加熱する手段、セラミックヒーターを用いることで加熱する手段、及びカーボンヒーターを用いることで加熱する手段などを目的に応じて適宜選択することができるが、これらに限定されるものではない。なお、インクに含まれる定着樹脂や顔料分散剤などの樹脂をより互いに融着させ、より強固なインク膜を形成させるためには、本実施形態のように、記録媒体7のインクが付与された面側から加熱することが好ましく、記録媒体7のインクが付与された面に直接接触するローラーを用いて加熱することがより好ましい。
第二の加熱手段4は、記録媒体をインクの乾固物のガラス転移温度Tg以上の温度で加熱することで、インクに含まれる定着樹脂や顔料分散剤などの樹脂を互いに融着させ、強固なインク膜を形成させる。加熱温度は、例えば、90℃以上120℃以下であることが好ましい。加熱温度が90℃以上であることで、画像に残存している水および有機溶剤などの液体成分が効率的に蒸発して耐擦過性が向上する。また、加熱温度が120℃以下であることで、樹脂の融解が過度に進まず、それによりカーボンブラックがインク膜表面に析出して凹凸を形成することが抑制されるため、画像濃度の低下が抑制される。
<記録媒体回収手段>
記録媒体回収手段5は、回転駆動することにより、インクを付与することで画像が形成された記録媒体7を巻き取ってロール状に収納する。
<<印刷方法>>
本実施形態の印刷方法は、インクを記録媒体に付与するインク付与工程と、インクが付与された記録媒体を加熱する第一の加熱工程と、加熱された記録媒体を更に加熱する第二の加熱工程と、を有し、必要に応じて他の工程を有する。
<インク付与工程>
インク付与工程は、記録媒体供給手段1から供給された記録媒体7に、インクを付与する工程である。これにより、記録媒体7上にインクが付与された領域が形成される。
<第一の加熱工程>
第一の加熱工程は、インク付与工程の後に、付与されたインクを加熱することで乾燥させる工程であり、記録媒体を30℃以上50℃以下の温度で加熱する。
<第二の加熱工程>
第二の加熱工程は、第一の加熱工程の後に、付与されたインクを加熱することで、インクに含まれる定着樹脂や顔料分散剤などの樹脂を互いに融着させ、強固なインク膜を形成させる工程であり、記録媒体をインクの乾固物のガラス転移温度Tg以上の温度で加熱する。第二の加熱工程における加熱温度は、例えば、90℃以上120℃以下であることが好ましい。
<<インク>>
本実施形態の印刷装置に用いられるインクは、カーボンブラック及び樹脂を含有し、必要に応じて、有機溶剤、水、及び界面活性剤等の成分を含有する。
<カーボンブラック>
インクは、黒色顔料としてカーボンブラックを含有する。ここで、色材としてカーボンブラックを使用する理由について説明する。本願の課題は、付与されたブラックインクにより形成される画像を加熱する場合に生じる画像濃度低下であるが、これはカラー顔料を含有するカラーインクでは問題視されず、カーボンブラックを含有するブラックインク特有の課題である。上記課題がブラックインクで顕著になる原因として、カラーインクとブラックインクの発色のメカニズムの違いがある。各色の画像濃度を決定する要素として、色相・彩度・明度があるが、カラーインクでは色相と彩度が画像濃度に強く影響し、ブラックインクでは明度が画像濃度に強く影響する。すなわち、カラーインクでは、カラー顔料に入射した光のうち特定の色の光が吸収され他の色の光が反射されることで、人間の目には濃いカラー画像として認識されるが、ブラックインクでは、ブラック顔料に入射した光が吸収され、余分な反射光(散乱光)が少ないことで人間の目には濃いブラック画像として認識される違いがある。ここで、本願のように画像が加熱された場合に生じる現象としては、前述した通り、画像表面における平滑性の低下がある。画像表面における平滑性の低下は、余分な反射光(散乱光)の増加をもたらし、特にブラックインクで画像濃度低下の課題を引き起こすので、本実施形態における印刷装置の構成を採用することが有効となる。
カーボンブラックは、ファーネス法、チャネル法で製造されたものであることが好ましく、一次粒径が10〜40nm、BET法による比表面積が200〜800m/g、DBP吸油量が40〜150mL/100g、揮発分が0.5〜10質量%、pHが2〜9であるものが好ましい。
カーボンブラックとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、カーボンブラックNo.600、No.950、No.970、No.980、No.2650、No.2600、No.2350、No.2300(三菱化学社製)、COLOUR BLACK FW 171、COLOUR BLACK FW 285、COLOUR BLACK FW 255、COLOUR BLACK FW 1、COLOUR BLACK FW 2、COLOUR BLACK FW 200、NIPex 90、PRINTEX 90、COLOUR BLACK FW 18、COLOUR BLACK FW 182、NIPex 180 IQ、PRINTEX 95(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)、SBX15、SBX45、SB900、SB905、SB910、SB915、SB935、SB960、SB805(旭カーボン社製)などが挙げられる。
カーボンブラックの含有量は、インクに対して1.0質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。含有量が1.0質量%以上であるとインク塗膜内の顔料に光が効率的に吸収されて濃度が高くなるため好ましく、8.0質量%以下であるとインクの保存安定性が向上するため好ましい。
カーボンブラックをインク中に分散させる手段としては特に制限はなく、界面活性剤(アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)または吸着性の樹脂と、カーボンブラックと、水と、を混合して分散させる方法、有機溶剤の存在下で顔料の表面を樹脂で被覆して水に転相乳化する方法などが挙げられる。
<樹脂>
インクに添加する樹脂の種類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。樹脂は、樹脂粒子の形態であることが好ましい。ここで、樹脂粒子とは水中またはインク中に分散した微細な樹脂の粒である。
インクに用いる樹脂粒子はメジアン径(D50)が500nm以下であることが好ましく、50〜250nmであることがより好ましく、50〜200nmであることが更に好ましい。ここで、樹脂粒子のメジアン径は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAを用い、動的光散乱法により測定したものである。
樹脂粒子の具体例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、アクリル−スチレン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。この中でも、ポリ(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−シリコーン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン樹脂を使用することが好ましい。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<有機溶剤>
本インクに使用できる有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
その他の有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤として、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。

(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。

上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。

上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
<<インクの乾固物>>
本インクを乾燥して得られるインクの乾固物は、インクに含まれている成分である樹脂(定着樹脂や顔料分散剤など)と、カーボンブラックを含み、その他各種添加剤を含んでいてもよい。インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、30℃以上90℃以下であることが好ましく、40℃以上90℃以下であることがより好ましい。この温度範囲であることで、樹脂の融着が発生して表面が平滑化するためブラック画像の画像濃度が向上する。また、乾固物のガラス転移温度Tgが30℃以上であると、画像表面のタックが低下することで耐擦性が向上する。また、乾固物のガラス転移温度Tgが90℃以下であると、加熱によって樹脂粒子が融着して強固な塗膜を形成することで耐擦性が向上する。乾固物のガラス転移温度Tgを30℃以上90℃以下に調整する手法としては、例えば、インクに含まれる樹脂の種類、含有量、配合比などを調整することが挙げられる。なお、インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、DSCシステムQ−2000(TAインスツルメント社製)等の示差走査熱量計を用いて測定できる。具体的には、まず、インクをアルミカップに入れ、80℃のオーブンで12時間乾燥させた後、80℃の真空オーブンで6時間乾燥してインクの乾固物を得る。次に、得られたインクの乾固物をアルミニウム製の試料容器に5.0mg入れ、窒素雰囲気下にて測定を行う。下記(1)〜(4)の2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてTgを求める。
(1)−80まで冷却後5分保持
(2)10℃/minで160℃まで昇温
(3)−80まで冷却後5分保持
(4)10℃/minで160℃まで昇温
<<インクの製造方法>>
インクの製造方法としては、例えば、カーボンブラック、樹脂、その他の成分を溶媒中に分散又は溶解し、撹拌混合して製造する方法が挙げられる。分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散等により行うことができる。撹拌混合は、例えば、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等により行うことができる。
<<記録媒体>>
本実施形態の印刷装置は、インクが付与される記録媒体として、低吸収性基材、非吸収性基材を用いたときに最も効果を発揮するが、インク吸収性を有する基材に対しても用いることができる。なお、非吸収性基材とは、水透過性、水吸収性及び/又は水吸着性が低い表面を有する基材を指しており、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材を指す。低吸収性機材としては、例えば、光沢紙、コート紙、合成紙などが挙げられる。非浸透性基材としては、例えば、プラスチックフィルムおよびシート(塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン)などを好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り、「質量部」及び「質量%」である。
<顔料分散体:DP−1の作製>
1,12−ドデカンジオール(東京化成社製)62.0gを塩化メチレン700mLに溶解し、ピリジン20.7gを加えた。この溶液に、2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成社製)50.0gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液を、2時間かけて攪拌しながら滴下した後、室温で6時間攪拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステル52.5gを得た。
次に、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステル42.1gを乾燥メチルエチルケトン80mLに溶解し、60℃に加熱した。この溶液に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)24.0gを乾燥メチルエチルケトン20mLに溶解した溶液を、1時間かけて攪拌しながら滴下した後、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、57.0gのモノマーM−1を得た。
次いで、アクリル酸(アルドリッチ社製)1.20g、及びモノマーM−1を7.12g、乾燥メチルエチルケトン40mLに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(東京化成社製)0.273gを溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出した共重合体をろ別し、減圧乾燥して共重合体(重量平均分子量(Mw):8700、数平均分子量(Mn):3000)を8.21g得た。
なお、共重合体の分子量測定はGPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%の共重合体を1mL注入し、上記の条件で測定した共重合体の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して共重合体の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。
次に、得られた共重合体2.00gを、共重合体の濃度が11.9%、且つpHが8.0となるように、テトラエチルアンモニウム(TEA)ヒドロキシド水溶液に溶解させて、分散剤水溶液を調製した。
分散剤水溶液44.1部に、顔料としてNIPex 160(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)21.0部、イオン交換水34.0部を加えて12時間攪拌した。得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで24時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、顔料分散体DP−1(顔料固形分濃度:21%)100.0部を得た。
<樹脂エマルション:EM−1の作製>
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管を備えた1Lのフラスコ(A)内に、イオン交換水89.0部を仕込み、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。さらに、10%アクアロンHS−10(第一工業製薬社製)水溶液3.0部、5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を投入した。
また、フラスコ(B)内にて、メタクリル酸メチル20.0部、アクリル酸2−エチルヘキシル40.0部、スチレン40.0部、アクアロンHS−10を1.5部、イオン交換水42.9部をホモミキサーで混合し、乳化液を得た。
フラスコ(A)の溶液を撹拌しながら、フラスコ(B)の乳化液を4時間かけて連続的に滴下した。また、滴下開始から3時間経過するまでの間1時間毎に5%過硫酸アンモニウム水溶液を計1.6部投入した。滴下終了後70℃で2時間熟成した後に冷却し、28%アンモニア水でpHを7〜8となるように調節し、樹脂エマルションEM−1を得た。
<樹脂エマルション:EM−2の作製>
T−5650E(ポリカーボネート系ポリマーポリオール、旭化成ケミカルズ社製)50.0部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸3.1部、トリエチルアミン2.3部、アセトン53.0部からなる混合物を、攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに仕込み攪拌、窒素を導入しながら40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート23.2部、2−エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温して2時間反応させた。その後40℃に降温し、イオン交換水142.0部を加えて微粒子化し1時間攪拌、ジエチレントリアミン0.9部を加えてさらに2時間反応させた。pHが8未満の場合はトリエチルアミンで適宜中和し、アセトンを除去することにより、樹脂エマルションEM−2を得た。
<樹脂エマルション:EM−3の作製>
樹脂エマルションEM−1の合成において、アクリル酸2−エチルヘキシルを60.0部、スチレンを20.0部とした他は同様にして、樹脂エマルションEM−3を得た。
<樹脂エマルション:EM−4の作製>
テフロンAF1600(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)をペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に溶解させた樹脂溶液(固形分濃度:15質量%)200質量部をジャケット付きガラス容器(内容量:2L)に仕込み、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)で撹拌した(回転速度:600rpm)。その後、撹拌しながら、あらかじめ水に溶解しておいた界面活性剤(商品名:ユニダイン DSN−403N、ダイキン工業株式会社製)の10質量%水溶液を10質量部添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水を190質量部添加した。蒸留水を全量添加する間、系内温度は常に15℃以下であった。蒸留水添加終了後、30分間撹拌して固形分濃度が8質量%のフッ素樹脂エマルジョンを得た。さらに、この水性分散体400質量部を1Lフラスコ入れ、約50℃に加熱されたオイルバスにて加熱し、減圧で濃縮を行った。濃縮を「フラスコ+水性分散体」の質量が約260質量部減量したところで一度終了し、室温まで冷却後、蒸留水を200質量部添加した。この水性分散体340質量部を再び1Lフラスコに入れ、50℃に加熱されたオイルバスで加熱し、減圧で濃縮を行った。濃縮は「フラスコ+水性分散体」の質量が240g減量したところで終了し、室温まで冷却した。以上の操作により、固形分濃度が30質量%の樹脂エマルションEM−4を得た。
<樹脂エマルション:EM−5の作製>
T−5650E(ポリカーボネート系ポリマーポリオール、旭化成ケミカルズ社製)50.0部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸4.6部、トリエチルアミン3.7部、アセトン53.0部からなる混合物を、攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに仕込み攪拌、窒素を導入しながら40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート35.0部、2−エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温して2時間反応させた。その後40℃に降温し、イオン交換水174.0部を加えて微粒子化し1時間攪拌、トリエチルアミン0.3部を加えてさらに2時間反応させた。pHが8未満の場合はトリエチルアミンで適宜中和し、アセトンを除去することにより、樹脂エマルションEM−5を得た。
<インク:Ink−1の作製>
顔料分散体:DP−1を28.0部、プロパン−1,2−ジオール18.0部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール2.0部、TEGO Wet270(EVONIK INDUSTRIES製)1.0部、樹脂エマルション:EM−1(固形分量30.0%)17.0部、プロキセルLV(アビシア製)0.1部、1,2,3−ベンゾトリアゾール0.1部、及びイオン交換水33.8部を混合し、1時間攪拌した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、水性インクInk−1を得た。
<インク:Ink−2の作製>
インクInk−1の作製において、樹脂エマルションをEM−2とした他は同様にして、水性インクInk−2を得た。
<インク:Ink−3の作製>
インクInk−1の作製において、樹脂エマルションをEM−3とした他は同様にして、水性インクInk−3を得た。
<インク:Ink−4の作製>
インクInk−1の作製において、樹脂エマルションをEM−4とした他は同様にして、水性インクInk−4を得た。
<インク:Ink−5の作製>
インクInk−1の作製において、樹脂エマルションをEM−5とした他は同様にして、水性インクInk−5を得た。
<乾固物のガラス転移温度Tgの測定>
インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSCシステムQ−2000、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。具体的には、インクをアルミカップに入れ、80℃のオーブンで12時間乾燥させた後、80℃の真空オーブンで6時間乾燥してインクの乾固物を得た。得られたインクの乾固物をアルミニウム製の試料容器に5.0mg入れ、窒素雰囲気下にて測定を行った。下記(1)〜(4)の2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてTgを求めた。結果を表1に示す。
(1)−80まで冷却後5分保持
(2)10℃/minで160℃まで昇温
(3)−80まで冷却後5分保持
(4)10℃/minで160℃まで昇温
<印刷装置の作製>
[実施例1]
インクInk−1をインクジェットプリンター(IPSiO GXe5500、リコー製)に充填して実施例1の印刷装置とし、温度24±0.5℃、湿度50±5%RHに調整された環境下でコート紙(Lumi Art Gloss 130gsm紙、Stora Enso社製)に、解像度600dpiでベタ画像を形成した。印刷後は40℃に加熱した送風定温恒温器DKN302(ヤマト科学社製)で60秒加熱し、次いで100℃の同型の恒温器で60秒加熱した。
[実施例2〜実施例12]
実施例1において、加熱条件とインクを表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、実施例2から実施例12の印刷装置を作製し、画像を印刷した。ただし、実施例8の第一の加熱工程ではホットプレートを使用し、印刷面の反対側の面から加熱した。また、実施例8の第二の工程では実施例1同様に送風定温恒温器DKN302(ヤマト科学社製)を使用した。
[比較例1〜比較例5]
実施例1において、乾燥条件とインクを表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、比較例1から比較例5の印刷装置を作製し、画像を印刷した。
<画像濃度>
上記条件で印刷されたベタ画像に対し、ハンディー測色計(X−Rite eXact、X−Rite社製)を用いて濃度測定した。画像濃度を以下の基準で評価し、C以上を許容範囲とした。
〔評価基準〕
A:画像濃度が1.90以上
B:画像濃度が1.70以上1.90未満
C:画像濃度が1.50以上1.70未満
D:画像濃度が1.50未満
<耐擦性>
上記条件で印刷されたベタ画像に対し、1.1cm四方に切ったろ紙(製品名:円形定量ろ紙#5A 185mm、ADVANTEC社製)を、1cm四方に切ったポリウレタンフォームテープ4016(スリーエム社製)を使ってクロックメーター(大栄科学精器製作所製)に貼り付け、貼り付けたろ紙でベタ画像部を10回擦り、ろ紙へのインクの転写具合を目視観察した。耐擦性を以下の基準で評価し、C以上を許容範囲とした。
〔評価基準〕
A:ろ紙への転写が見られない
B:僅かにろ紙への転写が見られる
C:ろ紙への転写が見られる
D:ろ紙への転写が著しく見られる
1 記録媒体供給手段
2 インク付与手段
3 第一の加熱手段
4 第二の加熱手段
5 記録媒体回収手段
7 記録媒体
8 搬送経路
100 印刷装置
特開2011−162692号公報

Claims (6)

  1. カーボンブラック、及び樹脂を含むインクを記録媒体に付与するインク付与手段と、
    前記インクが付与された前記記録媒体を30℃以上50℃以下の温度で加熱する第一の加熱手段と、
    加熱された前記記録媒体を、前記インクの乾固物のガラス転移温度Tg以上の温度で加熱する第二の加熱手段と、を有する印刷装置。
  2. 前記第一の加熱手段は、前記記録媒体を前記インクが付与された面側から加熱する請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記第二の加熱手段における加熱温度は、90℃以上120℃以下である請求項1又は2に記載の印刷装置。
  4. 前記乾固物のガラス転移温度Tgは、30℃以上90℃以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷装置。
  5. 前記記録媒体は、低吸収性基材または非吸収性基材である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
  6. カーボンブラック、及び樹脂を含むインクを記録媒体に付与するインク付与工程と、
    前記インクが付与された前記記録媒体を30℃以上50℃以下の温度で加熱する第一の加熱工程と、
    加熱された前記記録媒体を、前記インクの乾固物のガラス転移温度Tg以上の温度で加熱する第二の加熱工程と、を有する印刷方法。
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