(第1実施形態)
以下、液体噴射装置を備える記録装置の第1実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、記録装置11は、液体噴射装置11aを備え、全体として鉛直方向Zに長い略直方体状をなしている。鉛直方向Zは、重力方向である。液体噴射装置11aは、液体の一例であるインクを噴射可能な液体噴射部12を備える。液体噴射部12は、図中において二点鎖線で示す搬送経路13に沿って搬送される用紙14に対して液体を噴射することにより記録を行う。本実施形態において、液体噴射部12は、用紙14の幅方向Xに亘ってインクを同時に噴射可能な所謂ラインヘッドである。なお、幅方向Xとは、用紙14が搬送される搬送領域に沿う方向であって且つ用紙14の搬送方向Yと交差(例えば直交)する方向である。搬送領域とは、搬送経路13に沿う面状の領域であって、搬送部により搬送される用紙14が通過する領域である。
図2に示すように、液体噴射装置11aは、液体を収容可能な液体収容部15と、液体を噴射する複数の液体噴射ヘッド20と、液体収容部15に収容された液体を各液体噴射ヘッド20に供給する液体供給路30と、各液体噴射ヘッド20から液体を排出する液体排出路40と、を備える。液体収容部15は、記録装置11に装着した状態で図示しない注入孔を通じて液体を注入可能な液体タンクであってもよいし、記録装置11に着脱可能な液体カートリッジであってもよい。
図3及び図4に示すように、各液体噴射ヘッド20は、液体を噴射可能な複数のノズル21が開口するノズル面21aを備える。各液体噴射ヘッド20は、液体が供給される第1共通液室22を備える。第1共通液室22には、液体供給路30と接続される液体流入口22aが開口している。即ち、液体供給路30は、各液体噴射ヘッド20の液体流入口22aと接続されて各液体噴射ヘッド20に液体を供給する。
各液体噴射ヘッド20は、図4に示す第1連通路22bを介して第1共通液室22と通じる複数の噴射液室23を備える。複数のノズル21は、複数の噴射液室23に対応して設けられる。各噴射液室23は、第1共通液室22とノズル21とに通じる。各噴射液室23の壁面の一部は、振動板24によって形成される。
各液体噴射ヘッド20は、複数の噴射液室23に対応する複数のアクチュエーター25を備える。各アクチュエーター25は、振動板24において各噴射液室23と面する部分とは反対となる面に設けられる。各アクチュエーター25は、第1共通液室22と異なる位置に配置された収容室26に収容される。各液体噴射ヘッド20は、各アクチュエーター25の駆動により、各噴射液室23の液体を各ノズル21から液滴として吐出する。
本実施形態の各アクチュエーター25は、一例として、駆動電圧が印加された場合に収縮する圧電素子によって構成されてもよい。この場合、駆動電圧の印加による各アクチュエーター25の収縮に伴って振動板24を変形させた後、各アクチュエーター25への駆動電圧の印加を解除すると、容積が変化した各噴射液室23内の液体が各ノズル21から液滴として吐出される。
各液体噴射ヘッド20は、図4に示す第2連通路27bを介して各噴射液室23と通じる第2共通液室27を有する。第2共通液室27には、液体排出路40と接続される液体流出口27aが開口している。即ち、液体排出路40は、各液体噴射ヘッド20の液体流出口27aと接続されて各液体噴射ヘッド20から液体を排出する。
図2に示すように、液体噴射装置11aは、液体排出路40と液体収容部15とを接続する帰還流路50と、閉弁状態になることで帰還流路50を閉塞する第1開閉弁51と、液体を流動させる流動機構の一例としての流動ポンプ52と、を備える。流動ポンプ52は、帰還流路50のうち第1開閉弁51よりも液体収容部15側に設けられる。
液体供給路30には、液体供給路30の液体を脱気可能な脱気部60が設けられている。脱気部60は、例えば、液体供給路30の一部を形成する円筒状の中空糸膜61と、脱気のために液体供給路30の液体を減圧する減圧機構62と、を備えることができる。この場合、減圧機構62は、中空糸膜61を収容する減圧室63と、減圧室と接続される気体流路64と、減圧室63を減圧する真空ポンプ65と、を備える。そして、真空ポンプ65が減圧室63を減圧すると、中空糸膜61の外側の空間が減圧されて、中空糸膜61の内側の液体中に溶存する気体が中空糸膜61の外側に吸引されることによって、中空糸膜61の内側の液体が脱気される。
液体供給路30において脱気部60と各液体噴射ヘッド20との間には、各液体噴射ヘッド20に供給される液体の圧力を調整する供給側圧力調整機構の一例である複数の供給側圧力調整弁31が設けられている。
図3に示すように、各供給側圧力調整弁31は、壁部を構成する供給側可撓部32が撓むことで容積が変更される供給側液室33と、供給側液室33と連通する供給側連通室34と、供給側液室33と供給側連通室34とを遮断可能な供給側弁体35と、供給側弁体35が閉弁する方向に付勢する供給側付勢部材36と、を備える。各供給側圧力調整弁31の供給側液室33は、液体供給路30を通じて脱気部60と連通可能である。また、各供給側圧力調整弁31の供給側連通室34は、液体供給路30を通じて各液体噴射ヘッド20の第1共通液室22と連通している。
なお、各供給側圧力調整弁31における供給側液室33や供給側連通室34のように流路の断面積が拡大する部分や、供給側付勢部材36のように複雑な形状を有する部分などには、気泡などの異物が溜まりやすい。そのため、本実施形態においては、気泡等の異物を捕捉するために、各供給側圧力調整弁31の入口と各供給側圧力調整弁31の内部とに、それぞれフィルター37a,37bを設けている。これらフィルター37a,37bの数や配置は任意に変更することができるし、フィルター37a,37bの設置を省略することもできる。
図2に示すように、液体排出路40と帰還流路50とが接続される位置には、液体噴射ヘッド20に供給される液体の圧力を調整する排出側圧力調整弁41が設けられている。排出側圧力調整弁41は、壁部を構成する排出側可撓部42が撓むことで容積が変更される排出側液室43と、排出側液室43と第1連通孔43aを介して連通する第1排出側連通室44と、第1排出側連通室44と連通する第2排出側連通室45と、を有する。さらに、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43と第1排出側連通室44とを遮断可能な排出側弁体46と、排出側弁体46が閉弁する方向に付勢する排出側付勢部材47と、を有する。
排出側液室43は、第2連通孔43bを介して液体排出路40と連通している。即ち、排出側液室43は、液体排出路40を介して液体流出口27aと接続される。言い換えれば、液体排出路40は、排出側液室43と、第2共通液室27の液体流出口27aと、を接続している。また、排出側液室43は、第3連通孔43cを介して帰還流路50と連通している。言い換えれば、帰還流路50は、排出側液室43と、流動ポンプ52と、を接続している。即ち、流動ポンプ52は、排出側液室43を介して各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出可能である。また、排出側液室43は、帰還流路50を通じて液体収容部15と連通可能である。
液体噴射装置11aは、第2排出側連通室45と連通して第2排出側連通室45に流体を導入する流体導入路70を有する。流体導入路70は、第1切替弁71を介して、気体の一例である大気を導入可能な大気連通路72と接続される。また、流体導入路70は、第1切替弁71を介して、液体供給路30から液体を導入可能なバイパス流路73と接続される。第1切替弁71は、流体導入路70と大気連通路72とが連通する状態と、流体導入路70とバイパス流路73とが連通する状態と、を切り替え可能に構成されている。第1切替弁71は、一例として、流体導入路70と、大気連通路72と、バイパス流路73と、の3つの流路を個別に閉塞可能な3つの弁体を備える三方向弁とすることができる。
大気連通路72は、一端が流体導入路70に連通するとともに、他端が大気中に開放されることにより、流体導入路70を介して第2排出側連通室45に大気を導入可能に構成されている。言い換えれば、流体導入路70は、第2排出側連通室45及び第1排出側連通室44を介して排出側液室43に大気を導入可能に構成されている。バイパス流路73は、一端が流体導入路70に連通するとともに、他端が液体供給路30における脱気部60と供給側圧力調整弁31との間に接続されることにより、流体導入路70を介して第2排出側連通室45に液体を導入可能に構成されている。即ち、流体導入路70は、第2排出側連通室45及び第1排出側連通室44を介して排出側液室43に接続されるとともに、バイパス流路73を介して液体供給路30のうち供給側液室33よりも上流側となる上流側液体供給路30aと接続される。言い換えれば、流体導入路70は、排出側液室43と上流側液体供給路30aとを接続することにより、排出側液室43に液体を導入可能に構成されている。
液体噴射装置11aは、バイパス流路73と上流側液体供給路30aとの接続部分に、脱気部60から各液体噴射ヘッド20の第1共通液室22に向かう液体の流路を上流側液体供給路30aとバイパス流路73との間で切り替え可能な第2切替弁74を備えるのが好ましい。第2切替弁74は、一例として、バイパス流路73と、上流側液体供給路30aにおけるバイパス流路73との接続部分より上流側と、上流側液体供給路30aにおけるバイパス流路73との接続部分より下流側と、の3つの流路を個別に閉塞可能な3つの弁体を備える三方向弁とすることができる。なお、液体噴射装置11aは、大気連通路72及びバイパス流路73のうち何れか一方のみを備えていてもよい。即ち、流体導入路70は、大気連通路72及びバイパス流路73の何れか一方に連通していればよい。
排出側液室43において、第2連通孔43bは、第1連通孔43aよりも鉛直方向Zにおける下方に開口している。言い換えれば、液体排出路40は、流体導入路70から流入した流体が排出側液室43に流入する位置より下方となる位置で排出側液室43に開口している。
また、排出側液室43において、第3連通孔43cは、第1連通孔43aよりも鉛直方向Zにおける上方に開口している。言い換えれば、帰還流路50は、流体導入路70から流入した流体が排出側液室43に流入する位置より上方となる位置で排出側液室43に開口している。
液体供給路30において脱気部60と第2切替弁74との間には、脱気部60が脱気した液体を一時貯留する一時貯留部80を設けるのが好ましい。また、液体供給路30において脱気部60と液体収容部15との間には、脱気部60から各液体噴射ヘッド20に向けて液体を加圧した状態で供給する加圧ポンプ81を備えるのが好ましい。
加圧ポンプ81は、液体供給路30の液体を流動させる液体流動部として機能させることができる。即ち、脱気部60においては液体供給路30の液体が減圧されるので、脱気された液体を加圧ポンプ81で加圧した状態で一時貯留部80に貯留しておくことによって、各液体噴射ヘッド20に向けて液体を効率よく供給することが可能になる。
なお、液体供給路30において脱気部60と一時貯留部80との間には、脱気部60から一時貯留部80への液体の流動を許容する一方で、一時貯留部80から脱気部60への液体の流動を規制する一方向弁82を設けておくのが好ましい。このようにすれば、加圧により正圧状態にされた一時貯留部80から減圧により負圧状態にされた脱気部60に向けて液体が逆流することが抑制されるためである。
また、一時貯留部80として可撓性を有する収容袋を採用するとともに、このような収容袋からなる一時貯留部80を加圧室83に収容して、真空ポンプ65が減圧のために引いた気体を、気体流路64を通じて加圧室83に導入する構成にしてもよい。この場合には、真空ポンプ65を駆動して加圧室83に気体を導入することによって、収容袋を介してその内部にある液体を加圧することができる。
なお、この構成を採用する場合には、気体流路64において真空ポンプ65の上流側に第1三方向弁84を配置し、下流側に第2三方向弁85を配置すれば、減圧室63を減圧するタイミングと加圧室83を加圧するタイミングとを任意に設定することができる。
即ち、減圧室63の減圧と加圧室83の加圧とを同時に行う場合には、第1三方向弁84の外部に連通する第1弁84a及び第2三方向弁85の外部に連通する第2弁85aを閉弁して真空ポンプ65を駆動することで、減圧室63の気体を加圧室83に導入すればよい。また、減圧室63の減圧を単独で行う場合には、第1弁84aを閉弁するとともに第2弁85aを開弁して真空ポンプ65を駆動することで、減圧室63から引いた気体を外部に排出すればよい。また、加圧室83の加圧を単独で行う場合には、第1弁84aを開弁するとともに第2弁85aを閉弁して真空ポンプ65を駆動することで、外部の気体を気体流路64に取り入れて加圧室83に導入すればよい。
液体供給路30において脱気部60と液体供給路30との間には、液体に混入した気泡や塵埃、液体に溶存する溶質成分の固化物などの異物を捕捉するための異物捕捉部を備えるのが好ましい。異物捕捉部は、例えば液体を濾過するためのフィルター86であってもよいし、液体に混入した気泡を捕捉するためのエアートラップ87であってもよいし、混入する可能性の高い異物に応じてこれらを組み合わせて用いてもよい。
なお、エアートラップ87が、気体と液体とを分離可能な気液分離部87aを有する場合には、液体供給路30から気液分離部87aに向けて液体を流動させる吐出ポンプ88と、閉弁状態になることで吐出ポンプ88よりも液体収容部15側で液体供給路30を閉塞させる第2開閉弁89と、を備えるのが好ましい。
液体噴射装置11aは、各液体噴射ヘッド20を保持するヘッドホルダー90を備える。ヘッドホルダー90は、各液体噴射ヘッド20のノズル面21aが鉛直方向Zにおける下側に面して露出した状態で各液体噴射ヘッド20を保持する。また、ヘッドホルダー90は、各供給側圧力調整弁31及び排出側圧力調整弁41を保持する。ヘッドホルダー90は、図示しない駆動部の駆動により鉛直方向Zに沿って変位可能に構成されている。各液体噴射ヘッド20、各供給側圧力調整弁31、及び排出側圧力調整弁41は、ヘッドホルダー90に対して相対的に移動しない。即ち、各液体噴射ヘッド20、各供給側圧力調整弁31、及び排出側圧力調整弁41は、ヘッドホルダー90の移動に伴って移動する。また、各液体噴射ヘッド20、各供給側圧力調整弁31、及び排出側圧力調整弁41は、互いに相対的に移動しない状態でヘッドホルダー90に保持されている。
図3に示すように、液体噴射装置11aは、各液体噴射ヘッド20のメンテナンスを行うためのメンテナンス装置100を備える。メンテナンス装置100は、各液体噴射ヘッド20に設けられたノズル21が開口する閉空間を形成するキャップ101と、吸引機構102と、ワイパーユニット103と、を備える。
キャップ101は、各液体噴射ヘッド20のノズル面21aに接触することで、閉空間を形成可能に構成されている。以下の説明では、キャップ101が各液体噴射ヘッド20のノズル面21aに接触して閉空間を形成することをキャッピングと示す。なお、キャッピングは各液体噴射ヘッド20をキャップ101に近づく方向に移動させて行うこともできるし、キャップ101を各液体噴射ヘッド20に近づく方向に移動させて行うこともできる。また、キャッピング時にキャップ101が接触する対象はノズル面21aに限らず、例えば各液体噴射ヘッド20の側面部や各液体噴射ヘッド20を保持するヘッドホルダー90とキャップ101とを接触させることで、ノズル21が開口する閉空間を形成することもできる。キャップ101には、閉空間を大気開放するためのキャップ開放弁101aが設けられている。
吸引機構102は、廃液タンク102aと、廃液タンク102aとキャップ101とを接続する廃液流路102bと、廃液流路102bの途中位置に配置される減圧ポンプ102cとを備える。ワイパーユニット103は、ノズル面21aを払拭するワイパー103aと、ワイパー103aを保持して移動する移動体103bとを備える。
また、図5に示すように、液体噴射装置11aは、液体噴射装置11aを構成する構成要素の制御を行う制御部200を備える。制御部200は、各液体噴射ヘッド20、流動ポンプ52、真空ポンプ65、加圧ポンプ81、吐出ポンプ88、及び減圧ポンプ102cを制御する。また、制御部200は、第1開閉弁51、第2開閉弁89、第1切替弁71、第2切替弁74、第1三方向弁84、第2三方向弁85、キャップ開放弁101a、及び移動体103bを制御する。制御部200は、構成要素を個別に制御するものを複数設けることもできるし、複数の構成要素を総合的に制御するものを設けることもできる。
液体噴射装置11aは、制御部200の制御により、第1開閉弁51及びキャップ開放弁101aを閉弁状態にするとともに第2切替弁74が液体の流路を液体供給路30に切り替えた状態を通常状態とする。また、通常状態においては、制御部200がキャップ101によって各液体噴射ヘッド20をキャッピングすることによって、ノズル21の乾燥を抑制する。
液体噴射装置11aが起動されると、吐出ポンプ88及び加圧ポンプ81は、一時貯留部80内が所定の正圧(加圧状態)に保持されるように、制御部200によって駆動制御される。これにより、通常状態において、一時貯留部80、各供給側圧力調整弁31の供給側連通室34、及び一時貯留部80と供給側連通室34との間の液体供給路30は、所定の加圧状態に保持される。また、制御部200は、加圧ポンプ81の駆動に応じて真空ポンプ65、第1三方向弁84、及び第2三方向弁85を制御することで減圧室63の減圧を行い、脱気済みの液体が一時貯留部80に送られるようにする。
なお、各供給側圧力調整弁31の供給側連通室34の液体が加圧状態であっても、各供給側圧力調整弁31において供給側弁体35が供給側付勢部材36の付勢力によって供給側液室33と供給側連通室34とを遮断している状態が保持されている間は、供給側連通室34から供給側液室33へ液体が流動しない。
ここで、本実施形態の各供給側圧力調整弁31及び排出側圧力調整弁41について詳しく説明する。
図3に示すように、各供給側圧力調整弁31の供給側可撓部32は、供給側液室33の内面となる供給側内面32aで供給側液室33内の液体の圧力を受ける。供給側可撓部32は、供給側液室33の外面となる供給側外面32bで大気圧を受ける。このため、各供給側圧力調整弁31の供給側可撓部32は、供給側液室33内の圧力が変動すると撓む。なお、本実施形態の一例において、供給側液室33内の圧力とは、供給側可撓部32の中心部にかかる圧力のことを指す。
供給側可撓部32は、供給側液室33内の液体の量が変化した場合に撓むことにより供給側可撓部32の中心が変位し、供給側液室33の容積を変化させる。供給側液室33から液体が排出されることで供給側液室33内の液体の量が少なくなった場合、供給側液室33内の圧力が低下するため、供給側可撓部32は、供給側液室33の容積を小さくする方向に撓む。また、供給側液室33に液体が流入することで供給側液室33内の液体の量が多くなった場合、供給側液室33内の圧力が上昇するため、供給側可撓部32は、供給側液室33の容積を大きくする方向へ撓む。
各供給側圧力調整弁31において、供給側弁体35は、供給側可撓部32の供給側内面32aに接続されている。各供給側圧力調整弁31の供給側弁体35は、供給側内面32aの変位に応じて移動する。各供給側圧力調整弁31の供給側弁体35は、供給側可撓部32が供給側液室33の容積を小さくする方向へ変位する場合に開弁して、供給側液室33と供給側連通室34とを連通させる。また、各供給側圧力調整弁31の供給側弁体35は、供給側可撓部32が供給側液室33の容積を大きくする方向へ変位する場合に閉弁して、供給側液室33と供給側連通室34とを遮断する。
各供給側圧力調整弁31において、供給側付勢部材36は、供給側弁体35を閉弁させる方向に付勢する。各供給側圧力調整弁31において、供給側弁体35は、供給側液室33内の圧力が供給側液室33の外側の圧力となる大気圧より低い第1の圧力(例えば図2において、大気圧に対して−500Pa〜−1000Pa)になった場合に開弁して、供給側液室33と供給側連通室34とを連通させる。第1の圧力は、供給側付勢部材36の押付力、供給側可撓部32を変位させるために必要な力、供給側弁体35によって供給側液室33と供給側連通室34とを遮断するために必要な押付力であるシール荷重、供給側弁体35の表面に作用する供給側連通室34内の圧力、及び供給側液室33内の圧力に応じて決まる。即ち、供給側付勢部材36の押付力が大きいほど、閉弁状態から開弁状態になるための第1の圧力は低くなる。即ち、第1の圧力は、供給側付勢部材36の押付力を定めることにより設定できる。
第1の圧力は、各液体噴射ヘッド20のノズル21に形成される気液界面を維持可能な供給側液室33内の圧力に設定される。この場合、気液界面とは液体と気体とが接する境界である。ノズル21に形成される気液界面を維持可能な圧力(例えば、大気圧に対して+500Pa〜−3500Pa)とは、言い換えれば、ノズル21における気液界面にメニスカスを形成可能な圧力である。メニスカスとは、液体がノズル21と接してできる湾曲した液体表面である。ノズル21には、液滴の吐出に適した凹状のメニスカスが形成されることが好ましい。ノズル21に形成される気液界面にかかる圧力と供給側液室33内の圧力との差は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と供給側可撓部32の中心位置との距離D1によって変化する。このため、第1の圧力は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と供給側可撓部32の中心位置との距離D1(例えば図2において、50mm)を考慮して設定される。なお、以下の説明では、ノズル21に形成される気液界面にかかる圧力を、ノズル21にかかる圧力と示す。
各供給側圧力調整弁31では、供給側液室33内の圧力が第1の圧力となった場合、供給側弁体35が開弁して供給側連通室34から供給側液室33に液体が流入する。即ち、各供給側圧力調整弁31は、供給側液室33内の圧力をノズル21に形成される気液界面が維持される第1の圧力に調整可能である。言い換えれば、各供給側圧力調整弁31は、各液体噴射ヘッド20に供給される液体の圧力をノズル21に形成される気液界面が維持される圧力に調整する。
図2に示すように、排出側圧力調整弁41の排出側可撓部42は、排出側液室43の内面となる排出側内面42aで排出側液室43内の液体の圧力を受ける。排出側可撓部42は、排出側液室43の外面となる排出側外面42bで大気圧を受ける。このため、排出側可撓部42は、排出側液室43内の圧力が変動すると撓む。なお、本実施形態の一例において、排出側液室43内の圧力とは、排出側可撓部42の中心部にかかる圧力のことを指す。
排出側可撓部42は、排出側液室43内の液体の量が変化した場合に撓むことにより排出側可撓部42の中心が変位し、排出側液室43の容積を変化させる。排出側液室43から液体が排出されることで排出側液室43内の液体の量が少なくなった場合、排出側液室43内の圧力が低下するため、排出側可撓部42は、排出側液室43の容積を小さくする方向に撓む。また、排出側液室43に液体が流入することで排出側液室43内の液体の量が多くなった場合、排出側液室43内の圧力が上昇するため、排出側可撓部42は、排出側液室43の容積を大きくする方向へ撓む。
排出側弁体46は、排出側可撓部42の排出側内面42aに接触可能に配設されている。排出側弁体46は、排出側内面42aの変位に応じて排出側内面42aに接触して移動する。排出側弁体46は、排出側液室43の容積を小さくする方向へ変位する場合に開弁して、排出側液室43と第1排出側連通室44とを連通させる。排出側弁体46は、排出側可撓部42が排出側液室43の容積を大きくする方向へ変位する場合に閉弁して、排出側液室43と第1排出側連通室44とを遮断する。
排出側付勢部材47は、排出側弁体46を閉弁させる方向に付勢する。排出側弁体46は、排出側液室43内の圧力が排出側液室43の外側の圧力及び第1の圧力より低い第2の圧力(例えば図2において、大気圧に対して−1000Pa〜−3500Pa)になった場合に開弁して、排出側液室43と第1排出側連通室44とを連通させる。第2の圧力は、排出側付勢部材47の押付力、排出側可撓部42を変位させるために必要な力、排出側弁体46によって排出側液室43と第1排出側連通室44とを遮断するために必要な押付力であるシール荷重、排出側弁体46の表面に作用する第1排出側連通室44内の圧力、及び排出側液室43内の圧力に応じて決まる。即ち、排出側付勢部材47の押付力が大きいほど、閉弁状態から開弁状態になるための第2の圧力は低くなる。即ち、第2の圧力は、排出側付勢部材47の押付力を定めることにより設定できる。
第2の圧力は、ノズル21に形成される気液界面を維持可能な排出側液室43内の圧力であって、且つ第1の圧力よりも低い圧力に設定される。ノズル21にかかる圧力と排出側液室43内の圧力との差は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と排出側可撓部42の中心位置との距離D2によって変化する。このため、第2の圧力は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と排出側可撓部42の中心位置との距離D2(例えば図2において、D1と同じ50mm)を考慮して設定される。
本実施形態の一例において、排出側可撓部42の中心位置は、鉛直方向Zにおいて、供給側可撓部32の中心位置と一致する。即ち、本実施形態の一例において、距離D1は距離D2と一致する。
排出側圧力調整弁41では、排出側液室43内の圧力が第1の圧力となった場合、排出側弁体46が開弁して第1排出側連通室44から排出側液室43に液体が流入する。即ち、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43内の圧力をノズル21に形成される気液界面が維持される第2の圧力に調整可能である。言い換えれば、排出側圧力調整弁41は、各液体噴射ヘッド20に供給される液体の圧力をノズル21に形成される気液界面が維持される圧力に調整する。
本実施形態の一例において、排出側可撓部42は、供給側可撓部32よりも面積が大きい。このため、排出側可撓部42により変化させることが可能な排出側液室43の容積は、供給側可撓部32により変化させることが可能な供給側液室33の容積よりも大きい。
次に、液体が各供給側圧力調整弁31から各液体噴射ヘッド20へ供給され、各液体供給ヘッドから排出側圧力調整弁41へ排出される際の流路抵抗について説明する。以下の説明では、供給側圧力調整弁31から各液体噴射ヘッド20を介して排出側圧力調整弁41へ液体が流れるときの方向を流路方向と示す。
図4に示すように、ノズル21から排出側液室43までの間の第2流路R2は、各供給側圧力調整弁31の供給側液室33から各液体噴射ヘッド20のノズル21までの間の第1流路R1と比較して流路抵抗が小さい。なお、流路抵抗は、流路方向に直交する平面で切ったときの流路の断面積を大きくした場合に小さくなる一方で、流路方向に直交する平面で切ったときの流路の断面積を小さくした場合に大きくなる。また、流路抵抗は、流路方向における流路の長さを短くした場合に小さくなる一方で、流路方向における流路の長さを長くした場合に大きくなる。
ここで、液体噴射ヘッド20のノズル21から液体を噴射していないときに循環動作を行う場合に第1流路R1および第2流路R2を流れる液体の流量をQm(m3/s)、第1の圧力をP1(Pa)、第2の圧力をP2(Pa)、ノズル21における圧力をPn(Pa)、第1流路R1の流路抵抗をRu(Pa・s/m3)、第2流路R2の流路抵抗をRd(Pa・s/m3)とすると、
P1−P2=(Ru+Rd)*Qm
Pn−P2=Rd*Qm→Pn=P2+Rd*Qm
また、液体噴射ヘッド20のノズル21から液体を噴射しているときに循環動作を行う場合に第2流路R2を流れる液体の流量をQj(m3/s)、ノズル21から噴射される液体の流量をU(m3/s)とすると、
P1−P2=Ru*(U+Qj)+Rd*Qj
Pn−P2=Rd*Qj→Pn=P2+Rd*Qj
となり、いずれの場合もノズル21における液体の圧力を精度よく維持するためには、ノズルにおける液体の圧力Pnと第2の圧力P2との差が小さい方が良いため、第2流路R2の流路抵抗をRdは小さく設定することが好ましい。
本実施形態の一例では、第1流路R1のうち液体供給路30を流路方向に直交する平面で切ったときの断面積が、第2流路R2のうち液体排出路40を流路方向に直交する平面で切ったときの断面積よりも小さい。このため、各液体噴射ヘッド20から排出側圧力調整弁41までの間の液体排出路40の流路抵抗は、供給側圧力調整弁31から各液体噴射ヘッド20までの間の液体供給路30の流路抵抗よりも小さくなる。
また、本実施形態の一例では、第2流路R2のうち第2共通液室27における流路方向に直交する平面で切ったときの断面積が、第1流路R1のうち第1共通液室22における流路方向に直交する平面で切ったときの断面積よりも大きい。このため、第2共通液室27における第2連通路27bから液体流出口27aまでの間の流路抵抗は、第1共通液室22における液体流入口22aから第1連通路22bまでの間の流路抵抗よりも小さくなる。
一方で、本実施形態の一例では、第2流路R2のうち第2連通路27bの流路方向における流路の長さが、第1流路R1のうち第1連通路22bの流路方向における流路の長さよりも長い。このため、第2連通路27bの流路抵抗は、第1連通路22bの流路抵抗よりも大きくなる。
本実施形態の一例において、第1連通路22b及び第2連通路27bは、第2流路R2における流路抵抗が第1流路R1における流路抵抗よりも小さくなる範囲で、第1連通路22bの流路抵抗が第2連通路27bの流路抵抗よりも小さくなるように構成されている。なお、このように構成するには、第1流路R1及び第2流路R2について、第1流路R1のうち液体供給路30及び第1共通液室22における流路抵抗と、第2流路R2のうち液体排出路40及び第2共通液室27における流路抵抗と、の差が、第1連通路22bにおける流路抵抗と、第2連通路27bと、の差よりも大きくなるように構成すればよい。
次に、液体噴射装置11aをメンテナンスするメンテナンス動作及び制御部200が実行する各種処理について説明する。
液体噴射装置11aは、メンテナンス動作として、液体噴射装置11a内の液体を循環させる循環動作を実行可能である。液体噴射装置11aにおいて、液体の流れが停滞すると、液体が増粘しやすくなったり、気泡が溜まりやすくなったりする。この場合、ノズル21及び噴射液室23の状態が正常ではなくなるため、ノズル21による液体の吐出不良が生じやすくなる。そのため、液体噴射装置11aは、液体噴射装置11a内の液体を循環させる循環動作を実行するように構成される。以下、循環動作を行うための循環処理について説明する。
図6に示すように、制御部200は、ステップS11として、第1開閉弁51を開弁して、流動ポンプ52と排出側液室43とを連通させる。続いて、制御部200は、ステップS12として、流動ポンプ52を駆動して、排出側液室43内の液体を帰還流路50側に排出させる。即ち、制御部200は、ステップS12として、排出側液室43の減圧を開始する。これにより、制御部200は、液体噴射装置11a内の液体を循環させる。液体噴射装置11a内の液体が循環するときの液体の流れについて、詳しくは後述する。
続いて、制御部200は、ステップS13として、流動ポンプ52の駆動を停止する。即ち、制御部200は、ステップS13として、排出側液室43の減圧を停止する。その後、制御部200は、ステップS14として、第1開閉弁51を閉弁して、循環処理を終了する。
ここで、循環動作における液体の流れについて説明する。
図2に示すように、排出側液室43内の圧力が第2の圧力よりも高い場合には、排出側弁体46が開弁せず、排出側液室43と第1排出側連通室44とが遮断される。したがって、排出側液室43を減圧した場合、排出側液室43には、液体排出路40を介して各液体噴射ヘッド20の第2共通液室27から液体が流入する。各液体噴射ヘッド20において、第2共通液室27から排出側液室43に液体が流入すると、第2共通液室27内の圧力が低下するため、第2連通路27bを介して噴射液室23から第2共通液室27に液体が流入する。各液体噴射ヘッド20において、噴射液室23から第2共通液室27に液体が流入すると、噴射液室23内の圧力が低下する。本実施形態の一例において、第2の圧力は、ノズル21の気液界面にメニスカスを維持可能な圧力に設定される。このため、排出側液室43内の圧力が第2の圧力よりも高い場合、各液体噴射ヘッド20の噴射液室23内の圧力が低下したときには、ノズル21の気液界面にメニスカスが維持されたまま、第1共通液室22から噴射液室23に液体が流入する。即ち、排出側液室43内の圧力が第2の圧力よりも高い場合、各液体噴射ヘッド20の噴射液室23内の圧力が低下したときには、ノズル21から大気を引き込むことなく、第1共通液室22から液体が流入する。各液体噴射ヘッド20において、第1共通液室22の液体が噴射液室23に流入すると、第1共通液室22内の圧力が低下するため、液体供給路30を介して各供給側圧力調整弁31の供給側液室33から第1共通液室22に液体が流入する。
そして、各供給側圧力調整弁31の供給側液室33から各液体噴射ヘッド20の第1共通液室22に液体が流入したことにより供給側液室33内の圧力が第1の圧力まで低下すると、供給側弁体35が開弁して、供給側液室33と供給側連通室34とが連通される。本実施形態の一例において、各供給側圧力調整弁31の供給側連通室34は、加圧状態に保持される。このため、各供給側圧力調整弁31において、供給側弁体35が開弁して、供給側液室33と供給側連通室34とが連通されると、供給側連通室34から供給側液室33に液体が流入する。これにより、各供給側圧力調整弁31の供給側液室33内の圧力が上昇し、第1の圧力に調整される。
本実施形態の一例において、第1の圧力は、各液体噴射ヘッド20のノズル21の気液界面にメニスカスを維持可能な供給側液室33の圧力に設定される。このため、液体噴射装置11aでは、各供給側圧力調整弁31の供給側液室33内の圧力が第1の圧力に調整されることにより、各液体噴射ヘッド20のノズル21の気液界面にメニスカスを維持することができる。
一方、本実施形態の一例において、第2の圧力は、各液体噴射ヘッド20のノズル21の気液界面にメニスカスを維持可能な排出側液室43内の圧力であって、且つ第1の圧力よりも低い圧力に設定される。このため、循環処理において排出側液室43内の液体を帰還流路50側に排出させた場合、原則として、排出側液室43の圧力が第2の圧力まで低下して排出側弁体46が開弁するよりも前に、各供給側圧力調整弁31の供給側液室33の圧力が第1の圧力まで低下して供給側弁体35が開弁する。これによれば、液体噴射装置11aでは、排出側液室43内の圧力が第2の圧力となる前に、各供給側圧力調整弁31の供給側連通室34から供給側液室33、液体供給路30、及び第1共通液室22を介して噴射液室23に液体を供給することができる。このため、液体噴射装置11aでは、各液体噴射ヘッド20の噴射液室23内の圧力をノズル21の気液界面にメニスカスを維持できる圧力に調整できる。
ただし、流動ポンプ52の駆動によって排出側液室43内から液体を帰還流路50側に排出させるときの液体の排出量によっては、一時的に排出側液室43内の圧力が第2の圧力となることも想定できる。一例として、排出側液室43内から液体を帰還流路50側に排出させるときの液体の排出量が各供給側圧力調整弁31の供給側連通室34から供給側液室33への液体の供給量を上回る場合には、排出側液室43内の圧力が第2の圧力に達することも想定できる。
この場合、排出側弁体46が開弁して、排出側液室43と第1排出側連通室44とが連通される。このため、排出側液室43には、流体導入路70から第2排出側連通室45に導入された流体が第1排出側連通室44を介して流入する。これにより、排出側液室43内の圧力が上昇し、第2の圧力に調整される。このため、液体噴射装置11aでは、排出側液室43内の圧力が第2の圧力に調整されることにより、ノズル21の気液界面にメニスカスを維持することができる。
制御部200は、流体導入路70から第2排出側連通室45及び第1排出側連通室44を介して排出側液室43内に流体を流入させる場合、第1切替弁71を流体導入路70と大気連通路72とを連通させる状態に切り替えることにより、排出側液室43内に大気を流入させることができる。また、制御部200は、流体導入路70から第2排出側連通室45及び第1排出側連通室44を介して排出側液室43内に流体を流入させる場合、第1切替弁71を流体導入路70とバイパス流路73とを連通させる状態に切り替えることにより、排出側液室43内に一時貯留部80から液体を流入させることができる。
以上のようにして、循環動作では、ノズル21の気液界面にメニスカスを維持したまま、液体噴射装置11a内の液体が循環する。
また、液体噴射装置11aは、メンテナンス動作として、ワイパー103aでノズル面21aを払拭するワイピングを実行するように構成してもよい。ワイピングは、ノズル面21aに付着する液体、塵埃などの異物を取り除くために行うことができる。制御部200は、ワイパー103aの先端がノズル面21aに接触した状態で移動体103bがノズル面21aに沿って移動することでワイピングを実行可能である。なお、ワイピングは、ワイパー103aに接触した状態で各液体噴射ヘッド20が移動することによって行うこともできる。
また、液体噴射装置11aは、メンテナンス動作として、各液体噴射ヘッド20のノズル21からキャップ101に向けて液体を噴射することでノズル21内の液体を排出するフラッシングを実行するように構成してもよい。フラッシングは、印刷の合間などにノズル21の目詰まりを予防または解消するために行うこともできるし、例えばワイピングの後などに、ノズル21内に形成される液体のメニスカスを整えるために行うこともできる。
また、液体噴射装置11aは、メンテナンス動作として、ノズル21を通じて噴射液室23から液体を排出するクリーニング動作を実行するように構成してもよい。クリーニング動作は、フラッシングよりもノズル21から排出される液体の量が多いことから、フラッシングよりもノズル21の目詰まりを解消する効果が大きい動作であるといえる。
液体噴射装置11aは、クリーニング動作として、吸引クリーニングを実行するように構成してもよい。制御部200は、キャッピングを行った状態で減圧ポンプ102cを駆動して閉空間の圧力を低下させてノズル21から液体を排出させることにより、吸引クリーニングを行うことができる。
また、液体噴射装置11aは、クリーニング動作として、加圧クリーニングを実行するように構成してもよい。以下、加圧クリーニングを行うための加圧クリーニング処理について説明する。
図7に示すように、制御部200は、ステップS21として、各液体噴射ヘッド20のキャッピングを解除する。なお、キャッピングを解除したとき、キャップ101はノズル面21aの開口と対面する位置に配置しておく。
次に、制御部200は、ステップS22として、第1開閉弁51を開弁して、流動ポンプ52と排出側液室43とを連通させる。続いて、ステップS23として、制御部200が流動ポンプ52を駆動して、排出側液室43への加圧を開始する。排出側液室43内の圧力が上昇する場合、排出側弁体46が閉弁して排出側液室43と第1排出側連通室44とを遮断する。このため、排出側液室43の圧力が上昇した場合、排出側液室43に貯留された液体が液体排出路40を通じて各液体噴射ヘッド20の第2共通液室27に加圧供給される。すると、第2共通液室27内の液体が噴射液室23に流入し、ノズル21から流出して、キャップ101によって受容される。これにより、第2共通液室27や噴射液室23にあった気泡や、溶媒成分の蒸発によって増粘した液体など、噴射不良の要因となる異物が液体とともにノズル21を通じて排出される。
異物の排出に十分な量の液体がノズル21から排出されると、制御部200は、ステップS24として、流動ポンプ52の駆動を停止して、排出側液室43への加圧を停止する。また、制御部200は、ステップS25として、第1開閉弁51を閉弁して、流動ポンプ52と排出側液室43とを遮断する。
次に、制御部200は、ステップS26として、減圧ポンプ102cの駆動を開始させる。これにより、キャップ101内に溜まった液体が廃液流路102bを通じて廃液タンク102aに排出される。キャップ101内の液体の排出が終了すると、制御部200は、ステップS27として、減圧ポンプ102cの駆動を停止させる。
その後、制御部200は、ステップS28として、移動体103bを移動させて、ワイピングを実行する。これにより、ノズル21からの液体の排出に伴ってノズル面21aに付着した液滴等が除去される。
そして、制御部200は、ステップS29として、フラッシングを実行してノズル21のメニスカスを整えるとともに、ステップS30として、キャッピングを実行することで、加圧クリーニング処理を終了する。なお、加圧クリーニングの実行後、すぐに印刷を行う場合などには、ステップS30のキャッピングは行わなくてもよい。
次に、本実施形態の液体噴射装置11aの作用について説明する。
液体噴射装置11a内の液体を循環させる循環動作を行う場合、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43内の圧力が第2の圧力になったときには、排出側可撓部42が撓むことにより排出側弁体46が開弁して流体導入路70から排出側液室43に流体を流入させる。このため、排出側圧力調整弁41では、循環動作において液体を帰還流路50側に排出する場合であっても、排出側液室43内の圧力がノズル21の気液界面にメニスカスを形成可能な第2の圧力に調整される。
また、循環動作を行う場合、供給側圧力調整弁31は、供給側液室33内の圧力が第1の圧力になったときには、供給側可撓部32が撓むことにより供給側弁体35が開弁して供給側連通室34から供給側液室33に液体を流入させる。このため、供給側圧力調整弁31では、循環動作において液体を帰還流路50側に排出する場合であっても、供給側液室33内の圧力がノズル21の気液界面にメニスカスを形成可能な第1の圧力に調整される。
液体排出路40は、流体導入路70から流入した流体が排出側液室43に流入する第1連通孔43aよりも鉛直方向Zにおける下方に位置する第2連通孔43bにおいて排出側液室43と接続する。このため、液体噴射装置11aは、流体導入路70から流入した流体が第2連通孔43b側に流れることを抑制できる。
帰還流路50は、流体導入路70から流入した流体が排出側液室43に流入する第1連通孔43aよりも鉛直方向Zにおける上方に位置する第3連通孔43cにおいて排出側液室43と接続する。このため、液体噴射装置11aは、流体導入路70から流入した流体を第3連通孔43c側に案内できる。
流体導入路70は、液体供給路30のうち供給側液室33よりも上流側となる上流側液体供給路30aと接続するバイパス流路73と連通可能である。このため、液体噴射装置11aでは、液体供給路30から各液体噴射ヘッド20に供給される液体と同じ液体を流体導入路70から排出側液室43に流入させることができる。
流体導入路70は、大気連通路72と接続可能である。このため、液体噴射装置11aでは、大気を流体導入路70から排出側液室43に流入させることができる。
循環動作時における排出側液室43内の圧力とノズル21にかかる圧力との差は、排出側液室43からノズル21までの流路抵抗が大きくなるほど大きくなる。本実施形態の一例において、ノズル21から排出側液室43までの間の第2流路R2の流路抵抗は、供給側液室33からノズル21までの間の第1流路R1の流路抵抗よりも小さい。このため、排出側液室43内の圧力とノズル21にかかる圧力との差を小さくすることができる。
第2連通路27bの流路抵抗は、第1連通路22bの流路抵抗よりも大きい。このため、ノズル21から液体を吐出させた場合に、第1共通液室22から噴射液室23へ液体を流入させやすくし、第2共通液室27から噴射液室23に液体が流入することを抑制できる。
排出側圧力調整弁41は、排出側液室43から帰還流路50側に液体が排出される場合に、排出側可撓部42が撓むことにより排出側液室43の容積が小さくなる。このため、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43から帰還流路50側に液体が排出される場合に、液体排出路40を介して排出側液室43と接続する各液体噴射ヘッド20の第2共通液室27から引き込む液体の量を低減することができる。即ち、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43から帰還流路50側に液体が排出されるときに各液体噴射ヘッド20の内部に生じる圧力の変動を低減する。さらに、排出側可撓部42が変化可能な排出側液室43の容積は、供給側可撓部32が変化可能な供給側液室33の容積よりも大きい。このため、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43から帰還流路50側に排出される液体の量が多い場合であっても、好適に圧力の変動を低減できる。
各液体噴射ヘッド20、各供給側圧力調整弁31、及び排出側圧力調整弁41は、互いに相対的に移動しない状態でヘッドホルダー90に保持されている。このため、ノズル面21aと各供給側圧力調整弁31との鉛直方向Zにおける距離は、ヘッドホルダー90が鉛直方向Zに沿って変位した場合であっても変化しない。したがって、本実施形態の一例では、ノズル面21aと各供給側圧力調整弁31との鉛直方向Zにおける距離が変化することにより、ノズル21にかかる圧力が変化することを抑制できる。
また、ノズル面21aと排出側圧力調整弁41との鉛直方向Zにおける距離は、ヘッドホルダー90が鉛直方向Zに沿って変位した場合であっても変化しない。したがって、本実施形態の一例では、ノズル面21aと排出側圧力調整弁41との鉛直方向Zにおける距離が変化することにより、ノズル21にかかる圧力が変化することを抑制できる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)液体噴射装置11aは、各液体噴射ヘッド20から液体を排出する液体排出路40に排出側圧力調整弁41を有する。このため、液体噴射装置11aは、液体を循環させる循環動作において流動ポンプ52を駆動させることにより液体流出口27aから液体を排出するに際して、ノズル21における圧力変動を低減できる。したがって、液体噴射装置11aは、循環動作を行う際の圧力制御が複雑になることを抑制できる。
(2)液体噴射装置11aは、供給側圧力調整弁31により供給側液室33の圧力を調整できる。このため、液体噴射装置11aは、例えばポンプ及びセンサーを使用して供給側液室33の圧力を調整する場合と比較して、供給側液室33の圧力制御を容易にできる。
(3)液体噴射装置11aは、供給側可撓部32が撓むことにより供給側液室33内の圧力変動を低減できるため、供給側液室33の圧力制御を容易にできる。
(4)液体噴射装置11aは、排出側可撓部42が撓むことにより排出側液室43内の圧力変動を低減できるため、排出側液室43の圧力制御を容易にできる。
(5)液体噴射装置11aは、流体導入路70から排出側液室43に流入した流体が液体排出路40側に流入することを抑制できる。
(6)液体噴射装置11aは、流体導入路70から排出側液室43に流入した流体を、帰還流路50を介して排出側液室43から効率よく排出できる。
(7)液体噴射装置11aは、排出側液室43が第2の圧力となった場合、各液体噴射ヘッド20に供給される液体と同じ液体を排出側液室43に導入することにより排出側液室43の圧力を維持することができる。
(8)液体噴射装置11aは、第1切替弁71を流体導入路70と大気連通路72とを連通させる状態に切り替えた状態で排出側液室43内が第2の圧力より低くなるように流動ポンプ52を駆動することによって、帰還流路50を介して排出側圧力調整弁41及び帰還流路50内の液体を排出することができる。
(9)液体噴射装置11aは、第1切替弁71を流体導入路70と大気連通路72とを連通させる状態に切り替えた状態で排出側液室43内が第2の圧力より低くなるように流動ポンプ52を駆動することによって、排出側液室43内に大気を導入することができる。このため、液体の一例として、液体中の酸素の量が少なくなると凝固するインクを用いる場合に、液体の凝固を抑制できる。
(10)液体噴射装置11aは、脱気部60を備えるため、排出側液室43に大気を導入した場合であっても、液体が大気を含んだまま各液体噴射ヘッド20に供給されることを抑制できる。
(11)液体噴射装置11aは、ノズル21から排出側液室43までの間の第2流路R2の流路抵抗は、供給側液室33からノズル21までの間の第1流路R1の流路抵抗よりも小さい。このため、排出側液室43内の圧力とノズル21にかかる圧力との差を小さくすることができる。したがって、排出側液室43内の圧力を調整することにより、ノズル21にかかる圧力を精度よく調整できる。
(12)液体噴射装置11aは、ノズル21から液体を吐出させた場合に、第1共通液室22から噴射液室23へ液体を流入させやすくし、第2共通液室27から噴射液室23に液体が流入することを抑制できる。このため、ノズル21から液体を吐出させた場合に、液体供給路30側から噴射液室23へ液体を流入させることができる。
(13)排出側圧力調整弁41は、循環動作において排出側液室43から帰還流路50側に液体が排出される場合に、各液体噴射ヘッド20の内部に生じる圧力の変動を低減する。このため、液体噴射装置11aは、循環動作時においてノズル21にかかる圧力の変動を低減できる。
(14)排出側可撓部42が変化可能な排出側液室43の容積は、供給側可撓部32が変化可能な供給側液室33の容積よりも大きい。このため、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43から帰還流路50側に排出される液体の量が多い場合であっても、排出側可撓部42の変位によって排出側液室43の容積を小さくすることにより、排出側液室43内の圧力の変動を好適に低減できる。このため、液体噴射装置11aは、ノズル21にかかる圧力の変動を好適に低減できる。
(15)各液体噴射ヘッド20及び各供給側圧力調整弁31は、互いに相対的に移動しない状態でヘッドホルダー90に保持されている。このため、液体噴射装置11aは、ヘッドホルダー90が変位する場合に、ノズル面21aと各供給側圧力調整弁31との鉛直方向Zにおける距離が変化することにより、ノズル21にかかる圧力が変化することを抑制できる。
(16)各液体噴射ヘッド20及び排出側圧力調整弁41は、互いに相対的に移動しない状態でヘッドホルダー90に保持されている。このため、液体噴射装置11aは、ヘッドホルダー90が変位する場合に、ノズル面21aと排出側圧力調整弁41との鉛直方向Zにおける距離が変化することにより、ノズル21にかかる圧力が変化することを抑制できる。
(第2実施形態)
次に、液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法の第2実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第2実施形態は、排出側圧力調整弁41、帰還流路50、及び流体導入路70を備えていない一方で、液体収容部15の一例である液体タンクを配設する位置によってノズル21にかかる圧力を調整している点で第1実施形態の場合と異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明を省略する。
図8に示すように、液体排出路40は、液体供給路30における脱気部60と供給側圧力調整弁31との間に接続される。即ち、液体排出路40は、液体供給路30のうち供給側液室33よりも上流側となる上流側液体供給路30aと接続される。
液体噴射装置11aは、液体排出路40と液体供給路30との接続部分に、脱気部60から各液体噴射ヘッド20の第1共通液室22に向かう液体の流路を上流側液体供給路30aと液体排出路40との間で切り替え可能な第3切替弁110を備えるのが好ましい。第3切替弁110は、一例として、液体排出路40と、上流側液体供給路30aにおける液体排出路40との接続部分より上流側と、上流側液体供給路30aにおける液体排出路40との接続部分より下流側と、の3つの流路を個別に閉塞可能な3つの弁体を備える三方向弁とすることができる。
液体排出路40は、各液体噴射ヘッド20と第3切替弁110との間で分岐し、液体貯留部の一例である液体収容部15と接続されている。即ち、液体排出路40は、分岐する分岐部40aを有する。液体噴射装置11aは、液体排出路40のうち各液体噴射ヘッド20と液体収容部15との間に設けられた貯留部圧力調整機構の一例としての第3開閉弁120を有する。第3開閉弁120は、閉弁状態となることで、分岐部40aよりも液体収容部15側で液体排出路40を閉塞する。言い換えれば、第3開閉弁120は、開弁状態となることで、液体排出路40を介して液体収容部15と各液体噴射ヘッド20とを連通させる。即ち、第3開閉弁120は、開弁状態となることで、液体排出路40を介して液体収容部15内の圧力をノズル21に作用させる。なお、本実施形態の一例において、液体収容部15内の圧力は、液体収容部15内に収容される液体の液面にかかる圧力により定められる。液体収容部15内の圧力は、液体収容部15内の任意の位置にかかる圧力により定められてもよい。
液体噴射装置11aは、液体排出路40のうち分岐部40aと第3開閉弁120との間に、液体排出路40内の圧力の変動を低減する圧力ダンパー121を備える。即ち、液体噴射装置11aは、液体排出路40のうち各液体噴射ヘッド20と第3開閉弁120との間に、圧力ダンパー121を備える。圧力ダンパー121は、一例として、壁部を構成する圧力調整用可撓部122が撓むことで容積が変更される圧力調整室123を備える。圧力ダンパー121は、液体排出路40内の液体の量が増加したときには圧力調整室123の容積を大きくするように圧力調整用可撓部122が撓む一方で、液体排出路40内の液体の量が減少したときには圧力調整室123の容積を小さくするように圧力調整用可撓部122が撓む。これにより、液体噴射装置11aは、液体排出路40内の圧力の変動を低減できる。液体噴射装置11aは、液体排出路40のうち第3開閉弁120と液体収容部15との間に、液体を流動させる排出流動ポンプ124を備える。
液体噴射装置11aは、液体収容部15を保持する保持部15aを備える。液体収容部15は、鉛直方向Zにおける液体収容部15内の液面の位置が第1の位置H1から第2の位置H2の範囲内となるように保持部15aによって保持される。第1の位置H1は、液体収容部15が収容可能な最大の量の液体を収容しているときの液面の位置である。第2の位置H2は、液体収容部15から液体供給路30に液体を供給可能な最小の量の液体を収容しているときの液面の位置である。
本実施形態の一例において、第1の位置H1及び第2の位置H2は、図8のように液体収容部15内が大気開放されている場合に液体収容部15内の液体の持つ位置エネルギーとしての圧力が、第1の圧力より低く、且つノズル21に形成される気液界面が維持される圧力となるときの液体収容部15内の液面の位置である。即ち、本実施形態の一例において、液体収容部15内の圧力は、液体収容部15が保持部15aによって保持されることにより、第1の圧力より低く、且つノズル21に形成される気液界面が維持される第2の圧力に調整される。即ち、保持部15aは、液体排出路40を介してノズル21に作用する液体収容部15内の圧力が第2の圧力となる位置に液体収容部15を保持する。
このとき、ノズル21にかかる圧力と、液体収容部15内の圧力との差は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と液体収容部15における液面の位置との距離によって変化する。このため、液体収容部15における液面の位置が第1の位置H1であるときにノズル21にかかる圧力は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と第1の位置H1との距離D3によって変化する。また、液体収容部15における液面の位置が第2の位置H2であるときにノズル21にかかる圧力は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と第2の位置H2との距離D4によって変化する。
本実施形態において、制御部200は、第3開閉弁120及び排出流動ポンプ124を制御する。
次に、制御部200による液体噴射装置11aの制御方法について説明する。
制御部200は、第3開閉弁120を開弁することで、液体収容部15内の圧力をノズル21に作用させる。ここで、液体収容部15内の圧力は、第1の圧力より低く、且つノズル21に形成される気液界面が維持される第2の圧力に調整されている。このため、制御部200は、第1の圧力より低く、且つノズル21に形成される気液界面が維持される第2の圧力に調整された液体収容部15内の圧力をノズル21に作用させて、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させる。
次に、本実施形態における循環動作について説明する。
制御部200は、加圧ポンプ81及び吐出ポンプ88を駆動して液体収容部15内の液体を液体供給路30側に供給する。即ち、加圧ポンプ81及び吐出ポンプ88は、液体収容部15が貯留する液体を、液体供給路30を介して各供給側圧力調整弁31に向けて流動させる。本実施形態において、加圧ポンプ81及び吐出ポンプ88は、液体流動機構の一例である。
続いて、制御部200は、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させる場合に、第3開閉弁120を開弁して、液体排出路40を介して液体収容部15と各液体噴射ヘッド20とを連通させる。これによれば、各液体噴射ヘッド20のノズル21には、液体収容部15内の圧力が作用する。このため、各液体噴射ヘッド20内の液体をより圧力の低い液体収容部15側に排出させることができる。即ち、制御部200は、第3開閉弁120を制御して、液体収容部15内の圧力を、液体排出路40を介してノズル21に作用させることで、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させる。
このとき、液体収容部15内の圧力は、ノズル21に形成される気液界面が維持される第2の圧力に調整されている。このため、液体噴射装置11aでは、液体噴射装置11a内の液体を循環させるにあたって、ノズル21の気液界面にメニスカスを維持できる。
その後、制御部200は、第3開閉弁120を閉弁して、液体収容部15と各液体噴射ヘッド20とを遮断する。以上により、液体噴射装置11aは、液体噴射装置11a内の液体を循環させることができる。
次に、本実施形態の液体噴射装置11aの作用について説明する。
保持部15aは、液体収容部15を所定の位置に保持することにより、液体収容部15内の圧力をノズル21の気液界面にメニスカスを維持できる圧力に調整する。そして、制御部200は、液体噴射装置11a内の液体を循環させる循環動作を行う場合、第3開閉弁120を開弁することで、液体収容部15内の圧力をノズル21に作用させる。即ち、循環動作においてノズル21にかかる圧力は、ノズル21の気液界面にメニスカスを維持できる圧力に調整される。
本実施形態の効果について説明する。
(17)液体噴射装置11aは、各液体噴射ヘッド20に液体を供給する液体供給路30側に供給側圧力調整弁31を有するため、液体排出路40に接続される液体収容部15内の圧力を調整することでノズル21における圧力を調整できる。したがって、液体噴射装置11aは、液体を循環させる循環動作を行う際の圧力制御が複雑になることを抑制できる。
(18)液体噴射装置11aは、第3開閉弁120を開閉することで各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させる循環動作を容易に行うことができる。
(19)液体噴射装置11aは、液体排出路40のうち各液体噴射ヘッド20と第3開閉弁120との間に圧力ダンパー121を備えているため、第3開閉弁120を開閉する際の圧力変動が各液体噴射ヘッド20に作用することを低減することができる。
(20)液体噴射装置11aは、加圧状態の液体供給路30と供給側圧力調整弁31によって液体供給路30側の圧力を第1の圧力に調整し、液体収容部15の位置によって液体排出路40側の圧力を第2の圧力に調整することができる。
(21)制御部200による制御方法によれば、第1の圧力より低く、かつノズル21に形成される気液界面が壊れない第2の圧力に調整された液体収容部15内の圧力を、液体排出路40を介してノズル21に作用させて、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させることができる。このため、液体を循環させる循環動作を行う際の圧力制御が複雑になることを抑制できる。
(22)制御部200による制御方法によれば、第3開閉弁120を開弁することで、第1の圧力より低く、かつノズル21に形成される気液界面が壊れない第2の圧力に調整された液体収容部15内の圧力を、液体排出路40を介してノズル21に作用させる。このため、液体を循環させる循環動作を行う際の圧力制御が複雑になることを抑制できる。
(第3実施形態)
次に、液体噴射装置の第3実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第3実施形態は、排出側圧力調整弁41がヘッドホルダー90により保持されていない点、及びバイパス流路73を備えていない点で第1実施形態の場合と異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明を省略する。
図9及び図10に示すように、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43の圧力の中心位置が、鉛直方向Zにおいてノズル面21aよりも距離D5だけ下方となる位置に設けられている。また、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43の圧力の中心位置が、鉛直方向Zにおいて供給側液室33の圧力の中心位置よりも距離D6だけ下方となる位置に設けられている。そして、排出側圧力調整弁41は、ヘッドホルダー90外に設けられている。即ち、排出側圧力調整弁41は、ヘッドホルダー90が鉛直方向Zに沿って変位した場合であっても排出側液室43の鉛直方向Zにおける位置が変化しないように構成されている。
流体導入路70は、大気連通路72と接続されている。また、液体噴射装置11aは、閉弁状態となることで流体導入路70と大気連通路72とを遮断させる第4開閉弁130を備える。第4開閉弁130は、ノズル面21aよりも鉛直方向Zにおける上方に設けられている。そして、大気連通路72のうち大気中に開放される開放端72aは、ノズル面21aよりも鉛直方向Zにおける上方に設けられている。
次に、本実施形態の液体噴射装置11aの作用について説明する。
排出側液室43の鉛直方向Zにおける位置は、ヘッドホルダー90が鉛直方向Zに沿って変位した場合であっても変化しない。このため、排出側液室43内の圧力は、ヘッドホルダー90が鉛直方向Zに沿って変位した場合であっても変化しない。
また、第4開閉弁130及び大気連通路72の開放端72aは、ノズル面21aよりも鉛直方向Zにおける上方に設けられている。このため、第4開閉弁130を開弁状態とした場合、流体導入路70と大気連通路72とにより形成される流路内における気液界面は、第4開閉弁130よりも下方に形成される。
本実施形態の効果について説明する。
(23)排出側液室43内の圧力は、ヘッドホルダー90が鉛直方向Zに沿って変位した場合であっても変化しないため、排出側液室43内の圧力を精度良く制御できる。
(24)第4開閉弁130が開弁状態となった場合、流体導入路70と大気連通路72とにより形成される流路内における気液界面は、第4開閉弁130よりも下方に形成される。このため、大気連通路72の開放端72aから液体が漏出することを抑制できる。
(第4実施形態)
次に、液体噴射装置の第4実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第4実施形態は、供給側圧力調整機構として、供給側圧力調整弁31に代えて、液体を貯留可能な供給側液体貯留部140と、供給側液体貯留部140内の圧力を調整する供給側貯留部圧力調整機構141と、が設けられている点で第1実施形態の場合と異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明を省略する。
図11に示すように、供給側液体貯留部140は、液体供給路30において一時貯留部80と各液体噴射ヘッド20との間に設けられている。そして、供給側液体貯留部140は、液体供給路30を介して一時貯留部80と連通しているとともに、各液体噴射ヘッド20と連通している。
供給側貯留部圧力調整機構141は、供給側液体貯留部140内の気体の量を調整することにより供給側液体貯留部140内の圧力を調整可能である。なお、本実施形態の一例において、供給側液体貯留部140内の圧力は、供給側液体貯留部140内の所定の位置における気体の圧力により定められる。供給側液体貯留部140内の圧力は、供給側液体貯留部140内の任意の位置にかかる圧力により定められてもよい。一例として、供給側液体貯留部140内の圧力は、供給側液体貯留部140内に収容される液体の液面にかかる圧力により定められてもよいし、供給側液体貯留部140の底面にかかる圧力により定められてもよい。
本実施形態の一例では、供給側貯留部圧力調整機構141は、一端が供給側液体貯留部140に接続され他端が大気中に開放される大気開放路141aと、供給側液体貯留部140内の圧力を計測する圧力計141bと、供給側液体貯留部140内の気体を排出可能に駆動する気体排出ポンプ141cと、を備える。また、供給側貯留部圧力調整機構141は、閉弁状態となることにより大気開放路141aを閉塞させる大気開放弁141dを備える。なお、圧力計141bは大気圧との差圧を計測する相対圧力計が好ましい。
そして、制御部200は、圧力計141bにより計測された供給側液体貯留部140内の圧力が第1の圧力よりも高い場合には、大気開放弁141dを開放するとともに気体排出ポンプ141cを駆動して供給側液体貯留部140内の気体を排出して供給側液体貯留部140内を減圧するように制御する。
次に、本実施形態の液体噴射装置11aの作用について説明する。
供給側液体貯留部140は、液体供給路30を介して一時貯留部80と連通しているとともに各液体噴射ヘッド20と連通していることにより、一時貯留部80から供給される液体を貯留するとともに、貯留した液体を各液体噴射ヘッド20へ供給する。また、供給側液体貯留部140と各液体噴射ヘッド20とは連通していることから、各液体噴射ヘッド20のノズル21にかかる圧力は、供給側液体貯留部140内の圧力に応じて変動する。
そして、制御部200は、供給側液体貯留部140内の圧力が第1の圧力よりも高い場合に供給側液体貯留部140内を減圧して供給側液体貯留部140内の液体の液面に作用する気体の圧力が低くなるように制御することにより、供給側液体貯留部140内の圧力を第1の圧力以下に調整する。
本実施形態の効果について説明する。
(25)液体噴射装置11aは、制御部200の制御によって供給側液体貯留部140内の圧力を第1の圧力以下に調整できるため、ノズル21にかかる圧力を精度良く調整できる。
(第5実施形態)
次に、液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法の第5実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第5実施形態は、液体貯留部として、液体排出路40に設けられて液体を収容可能な副液体収容部150を備えている点で第2実施形態の場合と異なっている。そして、その他の点では第2実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明を省略する。
図12に示すように、副液体収容部150は、液体排出路40において第3開閉弁120と液体収容部15との間に設けられる。副液体収容部150は、液体排出路40を介して各液体噴射ヘッド20と連通しているとともに、液体排出路40を介して液体収容部15と連通している。また、液体噴射装置11aは、液体排出路40のうち副液体収容部150と液体収容部15との間に、閉弁状態となることで液体排出路40を閉塞する第5開閉弁151を備える。また、液体噴射装置11aは、貯留部圧力調整機構の一例として、副液体収容部150を保持する副保持部152を備える。
副液体収容部150は、鉛直方向Zにおける副液体収容部150内の液面の位置が第3の位置H3から第4の位置H4の範囲内となるように副保持部152によって保持されてもよい。第3の位置H3は、副液体収容部150が収容可能な最大の量の液体を収容しているときの液面の位置である。第4の位置H4は、副液体収容部150から各液体噴射ヘッド20及び液体収容部15に液体を供給可能な最小の量の液体を収容しているときの液面の位置である。
本実施形態の一例において、第3の位置H3から第4の位置H4の範囲内となる副液体収容部150内の液面の位置は、副液体収容部150内が大気開放されている場合に副液体収容部150内の液体の持つ位置エネルギーとしての圧力が、第1の圧力より低く、且つノズル21に形成される気液界面が維持される圧力となるときの副液体収容部150内の液面の位置である。即ち、本実施形態の一例において、副液体収容部150内の圧力は、副液体収容部150が副保持部152によって保持されることにより、第1の圧力より低く、且つノズル21に形成される気液界面が維持される第2の圧力に調整される。即ち、副保持部152は、液体排出路40を介してノズル21に作用する副液体収容部150内の圧力が第2の圧力となる位置に副液体収容部150を保持する。なお、本実施形態の一例において、副液体収容部150内の圧力は、副液体収容部150内の所定の位置における気体の圧力により定められる。副液体収容部150内の圧力は、副液体収容部150内の任意の位置にかかる圧力により定められてもよい。一例として、副液体収容部150内の圧力は、副液体収容部150内に収容される液体の液面にかかる圧力により定められてもよいし、副液体収容部150の底面にかかる圧力により定められてもよい。
このとき、ノズル21にかかる圧力と、副液体収容部150内の圧力との差は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と副液体収容部150における液面の位置との距離によって変化する。このため、副液体収容部150における液面の位置が第3の位置H3であるときにノズル21にかかる圧力は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と第3の位置H3との距離D7によって変化する。また、液体収容部15における液面の位置が第4の位置H4であるときにノズル21にかかる圧力は、鉛直方向Zにおけるノズル面21aの位置と第4の位置H4との距離D8によって変化する。
また、液体噴射装置11aは、貯留部圧力調整機構の一例として、副液体収容部150内の気体の量を調整することにより副液体収容部150内の圧力を調整する気体量調整機構153を備える。
気体量調整機構153は、一端が副液体収容部150に接続され他端が大気中に開放される副大気開放路153aと、副液体収容部150内の圧力を計測する副圧力計153bと、副液体収容部150内の気体の量を調整可能に駆動する気体量調整ポンプ153cと、を備える。また、気体量調整機構153は、閉弁状態となることにより副大気開放路153aを閉塞させる副大気開放弁153dを備える。なお、副圧力計153bは大気圧との差圧を計測する相対圧力計が好ましい。
そして、制御部200は、副圧力計153bにより計測された副液体収容部150内の圧力が第2の圧力ではない場合には、副大気開放弁153dを開放するとともに気体量調整ポンプ153cを駆動して副液体収容部150内の気体の量を調整し、副液体収容部150内の圧力が第2の圧力となるように制御する。
次に、本実施形態の液体噴射装置11aの作用について説明する。
副液体収容部150内の圧力は、副液体収容部150が副保持部152によって所定の位置に保持されることにより、ノズル21の気液界面にメニスカスを維持できる第2の圧力に調整される。言い換えれば、副保持部152は、副液体収容部150を所定の位置に保持することにより、副液体収容部150内の圧力をノズル21の気液界面にメニスカスを維持できる第2の圧力に調整する。そして、制御部200は、液体噴射装置11a内の液体を循環させる循環動作を行う場合、第3開閉弁120を開弁することで、副液体収容部150内の圧力をノズル21に作用させる。即ち、循環動作においてノズル21にかかる圧力は、ノズル21の気液界面にメニスカスを維持できる圧力に調整される。
また、制御部200は、副液体収容部150内の圧力が第2の圧力ではない場合には、気体量調整機構153を制御して、副液体収容部150内の圧力を第2の圧力に調整する。
次に、制御部200による液体噴射装置11aの制御方法について説明する。
制御部200は、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させる場合、副圧力計153bにより副液体収容部150内の圧力を計測するステップを実行する。続いて、制御部200は、計測した圧力に応じて副大気開放弁153dを開弁するとともに気体量調整ポンプ153cを駆動し、副液体収容部150内の圧力を、第1の圧力より低く、且つノズル21に形成される気液界面が維持される第2の圧力に調整するステップを実行する。その後、制御部200は、第3開閉弁120を開弁するステップを実行する。このような制御方法により、制御部200は、循環動作において副液体収容部150内の圧力をノズル21に作用させる。即ち、制御部200は、第1の圧力より低く、且つノズル21に形成される気液界面が維持される第2の圧力に調整された副液体収容部150内の圧力をノズル21に作用させて、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させる。
なお、循環動作において、副大気開放弁153dを開放して副液体収容部150内を大気開放し、第3の位置H3から第4の位置H4の範囲内に調整された副液体収容部150内の圧力をノズル21に作用させて、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させる場合には、制御部200は、貯留部圧力調整機構および各開閉弁を以下のように制御してもよい。
例えば、副液体収容部150内の液体の液面の位置が鉛直方向Zにおいて第3の位置H3より高い場合、制御部200は、第3開閉弁120を閉弁状態、第5開閉弁151を開弁状態とした状態で、副大気開放弁153dを開弁するとともに気体量調整ポンプ153cを駆動して副液体収容部150内を加圧することにより、副液体収容部150内の液体を液体収容部15側に排出し、副液体収容部150内の液体の液面の位置を第4の位置H4に調整し、気体量調整ポンプ153cの駆動を停止し、第5開閉弁151を閉弁状態とする。
また、例えば、副液体収容部150内の液体の液面の位置が鉛直方向Zにおいて第4の位置H4より低い場合、制御部200は、第3開閉弁120を閉弁状態、第5開閉弁151を開弁状態とした状態で、副大気開放弁153dを開弁するとともに気体量調整ポンプ153cを駆動して副液体収容部150内を減圧することにより、液体収容部15側から副液体収容部150内に液体を流入させ、副液体収容部150内の液体の液面の位置を第4の位置H4に調整し、気体量調整ポンプ153cの駆動を停止し、第5開閉弁151を閉弁状態とする。そして、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させて循環動作を行う場合、制御部200は、副大気開放弁153dを開放した状態で、第3開閉弁120を閉弁状態とする。
本実施形態の効果について説明する。
(26)液体噴射装置11aは、液体排出路40に接続される副液体収容部150内の圧力を調整することでノズル21における圧力を調整できる。したがって、液体噴射装置11aは、液体を循環させる循環動作を行う際の圧力制御が複雑になることを抑制できる。
(27)液体噴射装置11aは、制御部200の制御によって副液体収容部150内の圧力を第2の圧力に調整できるため、ノズル21にかかる圧力を精度良く調整できる。
(28)制御部200による制御方法によれば、第1の圧力より低く、かつノズル21に形成される気液界面が壊れない第2の圧力に調整された副液体収容部150内の圧力を、液体排出路40を介してノズル21に作用させて、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させることができる。このため、液体を循環させる循環動作を行う際の圧力制御が複雑になることを抑制できる。
(29)制御部200による制御方法によれば、第3開閉弁120を開弁することで、第1の圧力より低く、かつノズル21に形成される気液界面が壊れない第2の圧力に調整された副液体収容部150内の圧力を、液体排出路40を介してノズル21に作用させる。このため、液体を循環させる循環動作を行う際の圧力制御が複雑になることを抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・液体噴射装置11a内の液体を循環させている状態で、液体噴射部12が記録媒体としての用紙14に対して液体を噴射して記録を行ってもよい。
・第2実施形態における各供給側圧力調整弁31の供給側液室33から各液体噴射ヘッド20のノズル21までの間の流路を第1流路、ノズル21から液体収容部15までの間の流路を第2流路とした場合、第1実施形態と同様に、第2流路の流路抵抗を第1流路の流路抵抗より小さくしてもよい。
・第5実施形態における各供給側圧力調整弁31の供給側液室33から各液体噴射ヘッド20のノズル21までの間の流路を第1流路、ノズル21から副液体収容部150までの間の流路を第2流路とした場合、第1実施形態と同様に、第2流路の流路抵抗を第1流路の流路抵抗より小さくしてもよい。
・図2、図9、及び図10に示すように、第1実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態において、排出側圧力調整弁41の姿勢は適宜変更可能である。一例として、図2に示すように、排出側圧力調整弁41は、排出側可撓部42が排出側液室43の底面となる姿勢で設けられてもよい。また、図9及び図10に示すように、排出側圧力調整弁41は、排出側可撓部42が排出側液室43の側壁となる姿勢で設けられてもよい。即ち、排出側圧力調整弁41は、排出側液室43において、液体排出路40と連通する第2連通孔43bが第1排出側連通室44と連通する第1連通孔43aよりも鉛直方向Zにおける下方に位置し、帰還流路50と連通する第3連通孔43cが第1連通孔43aよりも鉛直方向Zにおける上方に位置する姿勢で設けられればよい。
・第3実施形態において、流体導入路70は、第1切替弁71を介して大気連通路72とバイパス流路73とに接続されてもよい。この場合、第1切替弁71及び大気連通路72の開放端72aは、ノズル面21aよりも鉛直方向Zにおける上方に設けられるとよい。また、流体導入路70は、バイパス流路73と接続される一方で、大気連通路72と接続されなくてもよい。
・第5実施形態において、制御部200は、副圧力計153bにより計測される副液体収容部150内の圧力が第2の圧力となるように副大気開放弁153dの開閉および気体量調整ポンプ153cの駆動を制御しながら、副液体収容部150内の圧力をノズル21に作用させて、各液体噴射ヘッド20内の液体を液体排出路40側に排出させてもよい。この場合、鉛直方向Zにおける副液体収容部150内の液面の位置は第3の位置H3から第4の位置H4の範囲内に調整されていなくてもよい。
・第5実施形態において、副液体収容部150を保持する副保持部152と、副液体収容部150内の圧力を調整する気体量調整機構153と、のうち何れか一方を備えることにより、副液体収容部150内の圧力を第2の圧力に調整してもよい。
第5実施形態において、副液体収容部150内の圧力を調整する気体量調整機構153を備えない場合、副液体収容部150を図8における液体収容部15と同様に副液体収容部150内が大気開放された状態とし、副液体収容部150内の液体の液面を検出する液面検出センサーを設け、鉛直方向Zにおける副液体収容部150内の液面の位置が第3の位置H3から第4の位置H4の範囲内となるように調整してもよい。例えば、循環動作によって液体排出路40を介して液体が副液体収容部150内に流入し、液面の位置が第3の位置H3になったことが検出された場合、制御部200は、第3開閉弁120を閉弁状態とし、第5開閉弁151および第2開閉弁89を開弁状態とした状態で、吐出ポンプを液面の位置が第4の位置H4になるまで駆動してもよい。また例えば、循環動作によって液体排出路40を介して液体が副液体収容部150内に流入し、液面の位置が第3の位置H3になったことが検出された場合、制御部200は、第3開閉弁120を閉弁状態とした状態で、第5開閉弁151を開弁状態とし、液体収容部15が副液体収容部150より鉛直方向Zにおける下方に配置されていることを利用して副液体収容部150内の液体を液体収容部15内に流入させ、液面の位置が第4の位置H4になったことが検出されたら第5開閉弁151を閉弁状態としてもよい。
・液体の脱気は、中空糸膜61を介した減圧に限らず、超音波脱気や遠心脱気など、任意の方法を採用することができる。
・加圧クリーニング処理において、ステップS21でキャッピングを解除する代わりにキャップ開放弁101aを開弁するようにしてもよい。この構成によれば、キャッピングを行ったまま加圧クリーニングを実行することができるので、ノズル21から流出する液体の飛散を抑制することができる。
・記録媒体は、用紙14に限らず、布帛でもよいし、プラスチックフィルムでも金属フィルムでもよい。
・制御部200は、プログラムを実行するCPUによりソフトウェアで実現する構成の他、例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific IC)等の電子回路(例えば半導体集積回路)によりハードウェアで実現したり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現したりしてもよい。
・各液体噴射ヘッド20が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、各液体噴射ヘッド20が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材または画素材料などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
液体噴射装置は、液体を噴射するノズルが開口するノズル面を有する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドの液体流入口と接続されて該液体噴射ヘッドに前記液体を供給する液体供給路と、前記液体噴射ヘッドの液体流出口と接続されて該液体噴射ヘッドから前記液体を排出する液体排出路と、前記液体供給路に設けられた供給側液室の内部の圧力を前記ノズルに形成される気液界面が維持される第1の圧力に調整可能な供給側圧力調整機構と、前記液体排出路に設けられて前記液体流出口と接続される排出側液室を有するとともに、前記排出側液室内の圧力が該排出側液室の外側の圧力及び前記第1の圧力より低く、かつ前記ノズルに形成される気液界面が維持される第2の圧力になった場合に開弁して、前記排出側液室と該排出側液室に該排出側液室外から流体を導入可能な流体導入路とを連通させる排出側弁体を有し、前記液体噴射ヘッドに供給される前記液体の圧力を前記ノズルに形成される気液界面が維持される圧力に調整する排出側圧力調整弁と、前記排出側圧力調整弁の前記排出側液室を介して前記液体噴射ヘッド内の前記液体を前記液体排出路側に排出可能に前記排出側液室と帰還流路で接続される流動機構と、を備える。
この構成によれば、液体噴射装置は、液体噴射ヘッドから液体を排出する液体排出路に排出側圧力調整弁を有する。このため、液体噴射装置は、液体を循環させる循環動作において流動機構を駆動させることにより液体流出口から液体を排出するに際して、ノズルにおける圧力変動を低減できる。したがって、液体噴射装置は、循環動作を行う際の圧力制御が複雑になることを抑制できる。
上記液体噴射装置において、前記供給側圧力調整機構は、前記供給側液室を有するとともに、前記供給側液室内の圧力が該供給側液室の外側の圧力より低い前記第1の圧力になった場合に開弁して、前記供給側液室と該供給側液室より上流側の前記液体供給路とを連通させる供給側弁体を有し、前記液体噴射ヘッドに供給される前記液体の圧力を前記ノズルに形成される気液界面が維持される圧力に調整する供給側圧力調整弁であってもよい。
この構成によれば、液体噴射装置は、供給側圧力調整弁により供給側液室の圧力を調整できる。このため、液体噴射装置は、例えばポンプ及びセンサーを使用して供給側液室の圧力を調整する場合と比較して、供給側液室の圧力制御を容易にできる。
上記液体噴射装置において、前記供給側圧力調整弁は、前記供給側液室の壁部を構成して該供給側液室内の圧力が変動すると撓む供給側可撓部と、前記供給側弁体が閉弁する方向に付勢する供給側付勢部材と、を有してもよい。
この構成によれば、液体噴射装置は、供給側可撓部が撓むことにより供給側液室内の圧力変動を低減できるため、供給側液室の圧力制御を容易にできる。
上記液体噴射装置において、前記排出側圧力調整弁は、前記排出側液室の壁部を構成して該排出側液室内の圧力が変動すると撓む排出側可撓部と、前記排出側弁体が閉弁する方向に付勢する排出側付勢部材と、を有してもよい。
この構成によれば、液体噴射装置は、排出側可撓部が撓むことにより排出側液室内の圧力変動を低減できるため、排出側液室の圧力制御を容易にできる。
上記液体噴射装置において、前記液体流出口と前記排出側圧力調整弁の前記排出側液室とを接続する前記液体排出路は、前記流体導入路から流入した流体が前記排出側液室に流入する位置より下方となる位置で前記排出側液室に開口してもよい。
この構成によれば、液体噴射装置は、流体導入路から排出側液室に流入した流体が液体排出路側に流入することを抑制できる。
上記液体噴射装置において、前記排出側圧力調整弁の前記排出側液室と前記流動機構とを接続する前記帰還流路は、前記流体導入路から流入した流体が前記排出側液室に流入する位置より上方となる位置で前記排出側液室に開口してもよい。
この構成によれば、液体噴射装置は、流体導入路から排出側液室に流入した流体を、帰還流路を介して排出側液室から効率よく排出できる。
上記液体噴射装置において、前記流体導入路は、前記排出側圧力調整弁の前記排出側液室と前記液体供給路の前記供給側液室より上流側となる上流側液体供給路とを接続してもよい。
この構成によれば、液体噴射装置は、排出側液室が第2の圧力となった場合、液体噴射ヘッドに供給される液体と同じ液体を排出側液室に導入することにより排出側液室の圧力を維持することができる。
上記液体噴射装置において、前記流体導入路は、前記排出側圧力調整弁の前記排出側液室に気体を導入可能に構成されていてもよい。
この構成によれば、液体噴射装置は、排出側圧力調整弁及び帰還流路内の液体を排出する場合、排出側液室内が第2の圧力より低くなるように流動機構を駆動することによって、帰還流路を介して排出することができる。