JP2020131430A - 高圧タンクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】巻き付け時間を短縮できると共に強度が高い高圧タンクを製造することができる高圧タンクの製造方法を提供することである。【解決手段】回転するライナ(11)に対し複数のアイクチ(30)で樹脂含浸された帯状の強化繊維束(35)を繰り出しながら案内し、複数方向から強化繊維束をライナの外面に同時に巻き付けて繊維強化樹脂層を形成する高圧タンクの製造方法であって、ライナの回転軸周りに複数の案内部を等角度間隔に配置させ、隣り合う案内部から繰り出される強化繊維束がライナの外面にて交差する交差角度をθ、強化繊維束の幅をw、ライナの半径をrとしたときに、交差角度θがw=r×sinθの関係式を満たす構成にした。【選択図】図4
Description
本発明は、高圧タンクの製造方法に関する。
高圧タンクとして、ガス等の高圧流体が充填されるライナを強化繊維によって外側から補強したものが知られている。高圧タンクの製造方法では、いわゆるフィラメントワインディング工法(以下、FW工法)によって、樹脂含浸された帯状の強化繊維束がライナの外面に巻き付けられる。FW工法では、ライナの回転軸に略直交する巻き付け角度でライナに強化繊維束を巻き付けるフープ巻きと、回転軸に対して斜めに交差する巻き付け角度でライナに強化繊維束を巻き付けるヘリカル巻きが実施されて、ライナの外面に繊維強化樹脂層が形成される。
FW工法のヘリカル巻きとしては、複数の強化繊維束をライナに対して複数方向から同時に巻き付ける多給糸方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の多給糸方法では、ライナの回転軸周りの全周に亘って複数の案内部が等角度間隔に配置されており、複数の案内部を通してライナに対して複数の強化繊維束が案内されて、複数の強化繊維束がライナに巻き付けられる。これにより、単一の強化繊維束をライナに対して巻き付ける単給糸方法と比較して、多給糸FWによる強化繊維束の巻き時間が短縮されている。
しかしながら、特許文献1に記載の多給糸方法によるヘリカル巻きによって高圧タンクを製造すると、ライナに対する強化繊維束の巻き時間を短くできる一方で、高圧タンクの強度が低下するという問題があった。
本発明では、巻き付け時間を短縮できると共に強度が高い高圧タンクを製造することができる高圧タンクの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る高圧タンクの製造方法は、回転するライナに対し複数の案内部で樹脂含浸された帯状の強化繊維束を繰り出しながら案内し、複数方向から前記強化繊維束を前記ライナの外面に同時に巻き付けて繊維強化樹脂層を形成する高圧タンクの製造方法であって、前記ライナの回転軸周りに前記複数の案内部を等角度間隔に配置させ、隣り合う案内部から繰り出される前記強化繊維束が前記ライナの外面にて交差する交差角度をθ、前記強化繊維束の幅をw、前記ライナの半径をrとしたときに、前記交差角度θがw=r×sinθの関係式を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、複数の案内部によってライナに強化繊維束が巻き付けられると、隣り合う案内部から繰り出された強化繊維束がライナの外面において最小の角度で交差される。隣り合う強化繊維束の交差角度が小さくなることで、交差箇所における強化繊維束の屈曲に起因した高圧タンクの強度低下が抑えられる。また、複数の強化繊維束がライナに対して同時に巻き付けられることで、ライナに対する強化繊維束の巻き付け時間を短縮することができる。
以下、本実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る高圧タンクの模式断面図である。図2は、一般的な多給糸方法によるヘリカル巻きでライナに強化繊維束を巻き付けた状態を示す図である。図3は、高圧タンクの強度低下の説明図である。なお、以下では、高圧タンクとして車載用の燃料電池システムで燃料電池に水素等の燃料ガスを貯蔵する燃料タンクを例示して説明するが、高圧タンクは燃料電池システム以外の任意の用途で使用されてもよい。
[高圧タンクについて]
図1に示すように、高圧タンク10は、タンクの基材となるライナ11の外面を繊維強化樹脂層12によって被覆したタンク本体13を有している。タンク本体13は、筒状の胴体部14の両端から一対のドーム部15、16を半球状に膨出させた外面形状を有している。各ドーム部15、16の頂点箇所には一対の口金21、26が設けられている。一方の口金21には貫通孔24が形成されており、貫通孔24に取り付けられたバルブ(不図示)によってタンク本体13内のガスの放出及び流入が行われている。他方の口金26には貫通孔が形成されておらず、口金26によってタンク本体13が封止されている。
図1に示すように、高圧タンク10は、タンクの基材となるライナ11の外面を繊維強化樹脂層12によって被覆したタンク本体13を有している。タンク本体13は、筒状の胴体部14の両端から一対のドーム部15、16を半球状に膨出させた外面形状を有している。各ドーム部15、16の頂点箇所には一対の口金21、26が設けられている。一方の口金21には貫通孔24が形成されており、貫通孔24に取り付けられたバルブ(不図示)によってタンク本体13内のガスの放出及び流入が行われている。他方の口金26には貫通孔が形成されておらず、口金26によってタンク本体13が封止されている。
ライナ11は、高圧タンク10の基材になるものであり、燃料ガスの貯留空間20を持つように中空形状に形成されている。ライナ11は、円筒部17と、円筒部17の軸方向外側に向かってライナ径を縮径するように円筒部17から膨出した一対の側端部18、19とを有している。ライナ11の樹脂材料としては、例えば、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。ライナ11には、燃料ガスとして水素ガスの他に、例えば、CNG(圧縮天然ガス)等の各種圧縮ガス、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)等の各種液化ガス、その他の各種加圧物質が充填されてもよい。なお、ライナ11は、樹脂材料に代えてアルミニウム合金等の金属材料によって形成されていてもよい。
繊維強化樹脂層12は、未硬化樹脂(未硬化の熱硬化性樹脂)が含浸された帯状の強化繊維束35(図2参照)がライナ11に巻き付けられて、加熱によって未硬化樹脂が硬化されることで形成される。繊維強化樹脂層12は、ライナ11の円筒部17に強化繊維束35がフープ巻きされることで形成されるフープ層L1と、ライナ11の全体に強化繊維束35がヘリカル巻きされることで形成されるヘリカル層L2とを有している。フープ層L1によってライナ11の円筒部17の径方向の強度が確保され、ヘリカル層L2によってライナ11の回転軸方向の強度が確保される。
なお、フープ巻きとは、ライナ11の回転軸CXに略直交する巻き付け角度で、ライナ11に対して強化繊維束35を巻き付ける巻き付け態様である。ヘリカル巻きとは、ライナ11の回転軸CXに斜めに交差する巻き付け角度で、ライナ11に対して強化繊維束35を巻き付ける巻き付け態様である。強化繊維としては炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が採用されてもよい。未硬化樹脂としては熱可塑性樹脂が採用されてもよい。未硬化樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂が軟化した状態でライナ11の外面に強化繊維束35が巻き付けられた後に、放冷によって熱可塑性樹脂が硬化される。
一方の口金21は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属によって形成されている。一方の口金21は、本体となる筒状部22の外周にフランジ部23が形成され、筒状部22の一部をドーム部15から突出させるようにライナ11に取り付けられている。筒状部22の内側の貫通孔24には、貯留空間20に対する燃料ガスを充填及び排出するバルブ(不図示)が取り付けられている。他方の口金26は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属によって形成されている。他方の口金26は、一方の口金21と略同様な外形に形成されているが、一方の口金21とは筒状部27の内側が閉塞されている点で相違している。
[高圧タンクの強度低下について]
このような高圧タンク10の製造時には、巻き付け時間を短縮するために、多方向から複数の強化繊維束35をライナ11の外面に同時に巻き付ける多給糸方法によるヘリカル巻きが実施される場合がある。図2の比較例に示すように、一般的な多給糸方法によるヘリカル巻きでは、ライナ11の回転軸周りの全周に亘って複数のアイクチ(案内部)30が等角度間隔に配置され、隣り合うアイクチ30の角度間隔が十分に確保されている。複数のアイクチ30から繰り出された強化繊維束35がライナ11に巻き取られることで、ライナ11の外面に複数の強化繊維束35が巻き付けられる。
このような高圧タンク10の製造時には、巻き付け時間を短縮するために、多方向から複数の強化繊維束35をライナ11の外面に同時に巻き付ける多給糸方法によるヘリカル巻きが実施される場合がある。図2の比較例に示すように、一般的な多給糸方法によるヘリカル巻きでは、ライナ11の回転軸周りの全周に亘って複数のアイクチ(案内部)30が等角度間隔に配置され、隣り合うアイクチ30の角度間隔が十分に確保されている。複数のアイクチ30から繰り出された強化繊維束35がライナ11に巻き取られることで、ライナ11の外面に複数の強化繊維束35が巻き付けられる。
この場合、ライナ11の側端部18の口金21の周辺に複数の強化繊維束35が巻き付けられ、側端部18に巻き付けられた複数の強化繊維束35が交差する。複数のアイクチ30の配置間隔が大きく確保されているため、側端部18に巻き付けられた強化繊維束35の交差角度が大きくなる傾向がある。例えば、ライナ11の全周に亘って40度間隔で配置された9つのアイクチ30による9給糸のヘリカル巻きでは、強化繊維束35が交差角度40度で重なる交差箇所Saや強化繊維束35が交差角度90度で重なる交差箇所Sbが多くなる。強化繊維束35の交差角度が大きくなると、強化繊維束35の屈曲によって高圧タンクの強度が低下する。
より詳細には、図3(A)に示すように、下側の強化繊維束35の上に上側の強化繊維束35が巻き付けられると、下側の強化繊維束35と上側の強化繊維束35の交差箇所では、下側の強化繊維束35の両側辺に沿って上側の強化繊維束35が屈曲する。なお、図3(A)は球面に対して強化繊維束35を巻き付けた状態を示している。交差角度30度と交差角度90度のときの上側の強化繊維束35の屈曲範囲を比較すると、交差角度30度の強化繊維束35の屈曲範囲R1よりも交差角度90度の強化繊維束35の屈曲範囲R2が短い。また、交差角度30度の強化繊維束35よりも交差角度90度の強化繊維束35が急峻に屈曲している。よって、交差角度30度の強化繊維束35の屈曲範囲R1に生じる応力よりも、交差角度90度の強化繊維束35の屈曲範囲R2に生じる応力が高くなる。
図3(B)は、交差角度30度、交差角度60度、交差角度90度の上側の強化繊維束35に作用する最大主応力の測定結果である。交差角度30度では上側の強化繊維束35に約220[MPa]の最大主応力が生じ、交差角度60度では上側の強化繊維束35に約260[MPa]の最大主応力が生じ、交差角度90度では上側の強化繊維束35に約275[MPa]の最大主応力が生じている。このように、強化繊維束35の交差角度が大きくなるのに伴って、上側の強化繊維束35の屈曲範囲が短くなり、この屈曲範囲に生じる主応力が高くなって強化繊維束35の強度が低下する。
そこで、本実施形態の高圧タンク10の製造方法では、ライナ11の回転軸周りの複数のアイクチ30の角度間隔を狭めて、ライナ11の外面における強化繊維束35の交差角度を小さくしている。特に、ライナ11(円筒部17)の外周面に強化繊維束35が周方向に隙間なく並ぶように、複数のアイクチ30からライナ11の外面に強化繊維束35を巻き付けることで、強化繊維束35の交差角度を最小にすることができる。これにより、強化繊維束35の交差箇所において上側の強化繊維束35に生じる主応力を低減して、高圧タンク10(図1参照)の強度を向上させることができる。
[最小の交差角度について]
以下、図4及び図5を参照して、強化繊維束の最小の交差角度について説明する。図4は、ライナの半径と強化繊維束の幅と交差角度の関係を示す説明図である。図5は、最小の交差角度で複数の強化繊維束をライナに巻き付けた状態を示す図である。なお、図5では、ライナに対して複数の強化繊維束を1回だけ巻き付けた状態を示しているが、実際にはライナの全体に亘って複数の強化繊維束が複数回巻き付けられる。
以下、図4及び図5を参照して、強化繊維束の最小の交差角度について説明する。図4は、ライナの半径と強化繊維束の幅と交差角度の関係を示す説明図である。図5は、最小の交差角度で複数の強化繊維束をライナに巻き付けた状態を示す図である。なお、図5では、ライナに対して複数の強化繊維束を1回だけ巻き付けた状態を示しているが、実際にはライナの全体に亘って複数の強化繊維束が複数回巻き付けられる。
図4に示すように、ライナ11の回転軸周りに複数のアイクチ30が等角度間隔に配置されている。このとき、隣り合うアイクチ30の角度間隔は、ライナ11の回転軸CXと隣り合うアイクチ30の中心を結ぶ直線L同士が成す角度によって表される。各アイクチ30から繰り出される強化繊維束35は上記直線L方向(ライナ11の外周面の法線方向)に対して傾けられた状態でライナ11に巻き付けられている。全ての強化繊維束35が一様に同じ角度で傾けられているため、隣り合う直線Lの交差角度、すなわち隣り合うアイクチ30の角度間隔は、これらのアイクチ30から繰り出される強化繊維束35がライナ11にて交差する交差角度θに一致する。
また、ライナ11の外周面に帯状の強化繊維束35が隙間なく並べられると、隣り合う強化繊維束35の間隔と強化繊維束35の幅wが略一致する。また、ライナ11の回転軸CXから強化繊維束35までの距離はライナ11の半径rである。したがって、隣り合う強化繊維束35の交差角度θと強化繊維束35の幅wとライナ11の半径rの関係が、交差角度を内角、強化繊維束35の幅を高さ、ライナ11の半径を斜辺とした略直角三角形によって表すことができる。この略直角三角形を利用することで、ライナ11の外面における強化繊維束35の最小の交差角度を求めることが可能である。
この場合、隣り合うアイクチ30から繰り出される強化繊維束35がライナの外面にて交差する交差角度をθ、強化繊維束35の幅をw、ライナ11の半径をrとしたときに、交差角度θがw=r×sinθの関係式を満たしている。この関係式を満たすことで、ライナ11における強化繊維束35の交差角度を最小にすることができる。よって、複数のアイクチ30の角度間隔を、ライナ11の半径rと強化繊維束35の幅wから求めた交差角度θにすることで、最小の交差角度θで複数の強化繊維束35をライナ11に巻き付けることができる。
図5に示すように、多給糸のヘリカル巻きは、回転するライナ11に対し複数のアイクチ30によって複数の強化繊維束35を繰り出しながら案内し、複数方向から強化繊維束をライナ11の外面に同時に巻き付けている。ライナ11の外周面に強化繊維束35が周方向に略隙間なく並ぶため、ライナ11の側端部18において隣り合う強化繊維束35が最小の交差角度θで交差している。よって、隣り合う強化繊維束35が上下に重なる交差箇所において、上側の強化繊維束35の屈曲範囲R3が大きくなる。すなわち、下側の強化繊維束35の両側辺に沿った上側の強化繊維束35の屈曲範囲R3が長くなって、上側の強化繊維束35に生じる主応力が小さくなることで高圧タンク10の強度が向上される。
なお、強化繊維束35の交差角度が最小になる一例について説明したが、上記式を満たさなくても、複数のアイクチ30の角度間隔を狭めることで強化繊維束35の交差角度を小さくできる。すなわち、ライナ11の回転軸周りの一部の範囲に複数のアイクチ30を等角度間隔に配置すれば、ライナ11の回転軸周りの全周に亘って複数のアイクチ30を等角度間隔に配置する構成と比較して、強化繊維束35の交差角度を小さくできる。なお、強化繊維束35に生じる主応力を考慮すると、強化繊維束35の交差角度は30度以下であることが好ましい。
[複数のアイクチの角度間隔を狭めた一例について]
図6を参照して、複数のアイクチの角度間隔を狭めた一例について説明する。図6は、交差角度20度で複数の強化繊維束をライナに巻き付けた状態を示す図である。なお、図6では、説明の便宜上、ライナに対して複数の強化繊維束を1回だけ巻き付けた状態を示しているが、実際にはライナの全体に亘って複数の強化繊維束が複数回巻き付けられる。
図6を参照して、複数のアイクチの角度間隔を狭めた一例について説明する。図6は、交差角度20度で複数の強化繊維束をライナに巻き付けた状態を示す図である。なお、図6では、説明の便宜上、ライナに対して複数の強化繊維束を1回だけ巻き付けた状態を示しているが、実際にはライナの全体に亘って複数の強化繊維束が複数回巻き付けられる。
図6に示すように、ライナ11の回転軸周りにおいて鉛直方向上方を0度としたときに、0度から160度の範囲に9つのアイクチ30が20度間隔で配置されて、ライナ11に対して9給糸のヘリカル巻きが実施される。上記したように、複数のアイクチ30の角度間隔は、隣り合うアイクチ30から繰り出される強化繊維束35がライナ11の側端部18にて交差する交差角度に一致する。したがって、隣り合う強化繊維束35の交差角度が20度になって、ライナ11の回転軸周りの全周に亘ってアイクチ30を40度間隔で配置した9給糸のヘリカル巻き(図2参照)と比較して、強化繊維束35の交差角度が小さくなる。
なお、複数のアイクチ30の角度間隔が20度の場合、全ての強化繊維束35が交差角度20度で重なるわけではない。交差角度20度で重なる交差箇所Scの他にも、交差角度20度よりも大きな角度で重なる交差箇所Sdも存在する。しかしながら、大部分の強化繊維束35が交差角度20度で重なり、強化繊維束35が交差角度20度よりも大きな角度で重なる交差箇所Sdは少ない。よって、複数のアイクチ30が20度間隔で配置される構成であっても、図2に示す比較例と比べて、複数の強化繊維束35の交差角度が大きな交差箇所が少ないため、強化繊維束35の屈曲に起因した高圧タンク10の強度低下が抑えられる。
以上のように、本実施形態の高圧タンク10の製造方法では、複数のアイクチ30を通してライナ11に強化繊維束35が巻き付けられると、隣り合うアイクチ30から繰り出された強化繊維束35がライナ11の外面において狭い角度で交差される。隣り合う強化繊維束35の交差角度が小さくなることで、交差箇所における強化繊維束35の屈曲に起因した高圧タンク10の強度低下が抑えられる。また、複数の強化繊維束35がライナ11に対して同時に巻き付けられることで、ライナ11に対する強化繊維束35の巻き付け時間を短縮できる。
[バースト強度の評価]
図7を参照して、アイクチの角度間隔を狭めて、強化繊維束の交差角度を小さくした際の高圧タンクのバースト強度について説明する。図7は、アイクチの角度間隔と高圧タンクのバースト強度との関係を示すグラフである。
図7を参照して、アイクチの角度間隔を狭めて、強化繊維束の交差角度を小さくした際の高圧タンクのバースト強度について説明する。図7は、アイクチの角度間隔と高圧タンクのバースト強度との関係を示すグラフである。
本願発明者は、40度間隔の9つのアイクチ30によって9給糸のヘリカル巻きを実施した高圧タンク10(図2参照)と、20度間隔の9つのアイクチ30によって9給糸のヘリカル巻きを実施した高圧タンク10(図6参照)のバースト強度を測定した。この結果、40度間隔のアイクチ30を用いて製造した高圧タンク10のバースト強度は約70[MPa]になり、20度間隔の9つのアイクチ30を用いて製造した高圧タンク10のバースト強度は約75[MPa]になった。このように、アイクチ30の角度間隔を狭くして、強化繊維束35の交差角度を小さくすることで高圧タンク10のバースト強度が向上することが確認された。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、本実施形態の高圧タンク10の製造方法は、回転するライナ11に対し複数のアイクチ30によって樹脂含浸された帯状の強化繊維束35を繰り出しながら案内し、複数方向から強化繊維束35をライナ11の外面に同時に巻き付けて繊維強化樹脂層12を形成する高圧タンク10の製造方法であって、ライナ11の回転軸周りの一部の範囲に複数のアイクチ30が等角度間隔に配置され、複数のアイクチ30からライナ11に対して強化繊維束35を同時に巻き付ける構成であればよい。具体的には、ライナ11の回転軸周りにおいて鉛直方向上方を0度としたときに、0度から240度の範囲に9つのアイクチ30が30度間隔で配置されて、9つのアイクチ30からライナ11に強化繊維束35を同時に巻き付ける構成でもよい。
また、本実施形態について説明したが、他の実施形態として実施形態および変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。さらに、本開示の技術は本実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩または派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
10:高圧タンク、11:ライナ、12:繊維強化樹脂層、30:アイクチ(案内部)、35:強化繊維束、CX:回転軸、θ:強化繊維束の交差角度、r:ライナの半径、w:強化繊維束の幅
Claims (1)
- 回転するライナに対し複数の案内部で樹脂含浸された帯状の強化繊維束を繰り出しながら案内し、複数方向から前記強化繊維束を前記ライナの外面に同時に巻き付けて繊維強化樹脂層を形成する高圧タンクの製造方法であって、
前記ライナの回転軸周りに前記複数の案内部を等角度間隔に配置させ、
隣り合う案内部から繰り出される前記強化繊維束が前記ライナの外面にて交差する交差角度をθ、前記強化繊維束の幅をw、前記ライナの半径をrとしたときに、前記交差角度θがw=r×sinθの関係式を満たすことを特徴とする高圧タンクの製造方法。
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