JPH10274392A - 耐外圧性に優れたfrp圧力容器 - Google Patents

耐外圧性に優れたfrp圧力容器

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JPH10274392A
JPH10274392A JP8064597A JP8064597A JPH10274392A JP H10274392 A JPH10274392 A JP H10274392A JP 8064597 A JP8064597 A JP 8064597A JP 8064597 A JP8064597 A JP 8064597A JP H10274392 A JPH10274392 A JP H10274392A
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buckling
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frp
pressure
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Yasuto Kataoka
保人 片岡
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 FWにおけるライナーへの繊維の巻き付け時
の外圧に対抗できる剛性を有し、かつ軽量となるライナ
ーで構成される、安価なプラスチック製ライナーFRP
圧力容器、特に、液化石油ガス用に用いられるプラスチ
ック製ライナーFRP圧力容器を提供する。 【解決手段】 圧力容器のライナーの外周面にライナー
の円周方向に耐座屈補強溝をリング状に形成し、軸方向
にFRP圧力容器の胴端部(円筒部と球面の境)を超え
て耐座屈補強溝を形成してなるFRP圧力容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐外圧性に優れた
FRP圧力容器に関するもので、特には、液化石油ガス
に用いられるプラスチック製ライナーを有する耐外圧性
に優れたFRP圧力容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】圧力容器は液化石油ガス(LPG)、圧
縮天然ガス(CNG)等の燃料用、及び空気呼吸器等の
医療・防災用に用いられている。これら圧力容器には、
主に鋼製圧力容器が用いられてきた。しかしながら、鋼
製圧力容器は重く、これら圧力容器はしばしば運搬して
使用されるために、その軽量化が強く望まれてきた。こ
の要望に対する解決策として、FRP(繊維強化プラス
チック)圧力容器が開発された。最初のFRP圧力容器
として、アルミ合金ライナーの外側をFRPで補強した
圧力容器が開発された。この圧力容器は、鋼製圧力容器
に比較して1/3〜1/2程度に軽量化されている。し
かし、アルミ合金ライナーを製作するためのコストが高
いことが問題であった。このため、最近になって、ライ
ナーを比較的安価に製作できるプラスチック製ライナー
FRP圧力容器(ライナーの外面にFRP層が積層され
てなるFRP圧力容器)が開発されている。
【0003】このプラスチック製ライナーFRP圧力容
器は、図10に示すように、プラスチック製ライナー、
FRPヘリカル層、FRPフープ層で構成されている。
プラスチック製ライナーは通常、ブロー成型法、回転成
型法でつくられる。また、FRPヘリカル層、フープ層
はFW法(フィラメント・ワインディング法)でつくら
れる。FW法は、繊維束(繊維を数千本束ねたもの)に
樹脂を含浸させ、張力を作用させながら繊維束をプラス
チック製ライナーに順次巻き付けていく成型法である。
【0004】ヘリカル層では繊維束は主に圧力容器軸方
向(長手方向)に巻き付けられ、圧力容器軸方向の補強
を、フープ層では繊維束は圧力容器周方向に巻き付けら
れ、圧力容器周方向の補強を担うことになる。FW法で
は、繊維束に張力を作用させながら巻き付けていくた
め、FW終了後には、プラスチックライナーに外圧力が
作用することになる。繊維束に作用させる張力は、応力
換算で29.4MPa(3kgf/mm2 )程度であ
る。強化繊維には、剛性の高いガラス繊維、炭素繊維や
ケブラー繊維が用いられている。
【0005】このように、プラスチック製ライナーFR
P圧力容器は強化繊維で強化され、さらに円筒型形状で
あるので、内圧に対して強い構造になっている。このプ
ラスチック製ライナーFRP圧力容器は、アルミ合金ラ
イナーFRP圧力容器とほぼ同等の軽量性(鋼製圧力容
器重量の1/3〜1/2)を有しており、アルミ合金ラ
イナーFRP圧力容器よりも安価に製造可能である。こ
のため、液化石油ガス(LPG)、圧縮天然ガス(CN
G)等の燃料用、及び空気呼吸器等の医療・防災用に用
いられつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、圧力容器の
軽量化の要求は大きい。特に、LPG用圧力容器は、L
PGの供給者と需要者との間で運搬されて使用するもの
であり、取扱いの面から軽量化の要求が大きい。また、
LPGを自動車の燃料として使用される場合には、LP
G用圧力容器は自動車に積載されるので、省エネルギー
の観点からの軽量化の要求が高い。このため、軽量化の
ために用いられているプラスチック製ライナーFRP圧
力容器のさらなる軽量化への要求が高まりつつある。
【0007】プラスチック製ライナーFRP圧力容器の
さらなる軽量化は、アルミ製圧力容器や鋼製圧力容器に
比べて、肉厚の厚いプラスチック製ライナーの肉厚を薄
くすることである。しかし、これ以上のライナーの肉厚
を薄くすることは、FWにおいて、ライナーへの繊維の
巻き付け時にライナーが、座屈して所定の形状が得られ
ない問題がある。座屈の状態について、図11に示す。
なお、プラスチックはアルミや鋼等の金属材料に比べて
剛性が低く、FW時のライナーの座屈を防止するため
に、ライナーの肉厚は6mm程度まで厚くしているのが
現状である。
【0008】このため、このプラスチック製ライナーの
肉厚を薄くしたい場合、(イ)FWにおけるライナーへ
の繊維の巻き付け圧(外圧)による座屈を防止するため
に、この外圧に対抗する内圧をライナーの内部に作用さ
せてFW成型を行う方法がある(特開平5−26394
号公報参照)。また、(ロ)プラスチック製ライナーの
外周に補強繊維シートで覆うことにより、FW時に必要
な剛性を確保してFW成型を行う方法がある(特公平5
−88665号公報参照)。
【0009】しかしながら、(イ)の、ライナーの内に
内圧を作用させる方法は、常にライナー内部への内圧の
負荷や除去、圧力の調節が煩雑であり、さらにはFW装
置に、このライナー内部への内圧を作用させる装置を増
設することによるコストアップも生ずることとなる。一
方、(ロ)のライナーの外周に補強繊維シートを覆う方
法は、製造工程を複雑にしてコストアップになるととも
に、新たに補強繊維シートを使用するために軽量化にも
に限界がある。
【0010】他に、FW時ではなく、内圧に対する圧力
容器の強化策として以下の圧力容器が提案されている。
(ハ)ライナーの円筒部を円周方向に波状に加工し、こ
こに補強繊維入りの樹脂を充填し、圧力容器の外構体全
体にわたって長手方向の引張荷重抵抗手段が設けられた
プラスチック製ライナーFRP圧力容器(特開平5−1
64295号公報参照)や、(ニ)圧力容器の外壁面、
内壁面のいずれか一方に断面形状が波状の構造として耐
圧力を向上させる金属製圧力容器である(実開平1−9
4700号公報参照)。いずれも、内圧に対するもので
あり、外圧に対しては圧力容器の軸方向の強化は期待で
きないものである。
【0011】そこで、本発明は上述の問題点を改善すべ
くなしたもので、その目的は、FWにおけるライナーへ
の繊維の巻き付け時の外圧に対抗できる剛性を有し、か
つ軽量となるライナーで構成される、安価なプラスチッ
ク製ライナーFRP圧力容器、特に、液化石油ガス用に
用いられるプラスチック製ライナーFRP圧力容器を提
供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、ライナ
ーの外面にFRP層が積層されてなるFRP圧力容器に
おいて、ライナーの外周面に前記ライナーの円周方向と
軸方向に耐座屈補強溝を設けてなることを特徴とするも
のである。ライナーの外周面に前記ライナーの円周方向
と軸方向に耐座屈補強溝を設けることによって、圧力容
器の外圧に対する剛性および強度が向上する。
【0013】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の発明の構成のうち、円周方向の耐座屈補強溝がリング
状に形成され、軸方向の耐座屈補強溝がFRP圧力容器
の胴端部(円筒部と球面の境)を超えて形成されてなる
ものである。円周方向の耐座屈補強溝をリング状に形成
し、軸方向の耐座屈補強溝をFRP圧力容器の胴端部を
超えて設けることによって、圧力容器のの全面で、圧力
容器の外圧に対する剛性および強度が向上する。
【0014】また請求項3記載の発明は、請求項1又は
2記載の発明の構成のうち、耐座屈補強溝の深さをライ
ナーの肉厚の1〜2.5倍の範囲にし、耐座屈補強溝の
幅をライナーの肉厚の5〜15倍の範囲にするものであ
る。耐座屈補強溝の深さをライナーの肉厚の1〜2.5
倍の範囲にし、耐座屈補強溝の幅をライナーの肉厚の5
〜15倍の範囲にすることによって、圧力容器の外圧に
対する剛性および強度がさらに向上する。ライナーの肉
厚が2.5から4.5mmの範囲のFRP圧力容器に適
用することが好ましい。
【0015】また請求項4記載の発明は、請求項1又は
2又は3記載の発明の構成うち、円周方向の耐座屈補強
溝の間隔をライナー半径の0.5〜1.0倍の範囲にあ
り、軸方向の耐座屈補強溝がライナーの円周に等間隔で
3本以上設けられることによって、より効果的に圧力容
器の外圧に対する剛性および強度を改善するもので圧力
容器の胴部の直径が200〜400mmで、ライナーの
肉厚が2.5から4.5mmの範囲のFRP圧力容器に
適用することが好ましい。
【0016】また請求項5記載の発明は、請求項1乃至
4のいずれかに記載の発明をライナーがプラスチック製
である液化石油ガス用FRP圧力容器に用いる。軽量で
製造コストが低いプラスチック製ライナーFRP圧力容
器の重量をさらに軽くすることができる。ライナーに用
いるプラスチックは、一般にはポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン6、ナイ
ロン66等)、ポリオエフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ
カーボネイト、ABS樹脂等より選ばれる。特に、液化
石油ガスの場合にはポリエチレンやナイロンを用いるこ
とが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】前述した目的を達成するために、
発明者らは、圧力容器の外圧に対する剛性および強度を
向上させるために鋭意研究を行い本発明を完成した。圧
力容器のライナーの外周面にライナーの円周方向に耐座
屈補強溝をリング状に形成し、軸方向にFRP圧力容器
の胴端部(円筒部と球面の境)を超えて耐座屈補強溝を
形成することにより、圧力容器の外圧に対する剛性およ
び強度を向上させることができ、この結果、ライナーの
肉厚を薄くすることが可能となり、圧力容器の軽量化が
できるという知見を得て本発明を完成した。
【0018】図1に示すように、圧力容器のライナーの
円周方向に凹状の溝3aを設けることにより、ライナー
の円周方向の変形を拘束することになり、補強リブのよ
うな働きをする。この結果、ライナーの円周方向の剛性
および強度を向上させるものである。また、圧力容器の
ライナーの軸方向に凹状の溝3bを設けることにより、
同様に、ライナーの軸方向の剛性および強度を向上させ
る。このようなライナーの円周方向及び軸方向の剛性の
増加により、FW時の外圧に対する座屈強度が上昇する
ことになり、凹状の溝は座屈補強溝として働くとにな
る。この座屈強度の増加により、従来プラスチック製ラ
イナーFRP圧力容器のライナーよりもライナーの肉厚
をさらに薄くすることが可能となり、結果として容器重
量を軽量化することができる。
【0019】まず、本発明に至った過程について説明す
る。最初に、プラスチック製ライナーの肉厚とプラスチ
ック製ライナーの座屈圧力との関係と、プラスチック製
ライナーの肉厚とFW後の巻き締め圧(FW後にライナ
ーに負荷される巻き締め圧)との関係を説明する。図4
はプラスチック製ライナーの肉厚と、プラスチック製ラ
イナーの座屈圧力およびFW後の巻き締め圧との関係を
示す図である。FW時のライナーへの繊維の巻き付け
は、通常、29.4MPa(3kgf/mm2 )の張力
で行われる。このときのプラスチックはポリエステル、
ナイロン等が相当する。
【0020】図4に示されるように、プラスチック製ラ
イナーの肉厚の増加とともに、ライナーの座屈圧力は急
激に向上する。一方、FW後の巻き締め圧もプラスチッ
ク製ライナーの肉厚の増加ととも増加する。ライナーの
座屈圧力がFW後の巻き締め圧より低い場合は、すなわ
ち、ライナーの肉厚が5mm以下では、プラスチック製
ライナーに座屈が生じ、圧力容器の所定の形状が保てな
くなる。このため、通常、肉厚が6mmのプラスチック
製ライナーが使用されている。本発明では、プラスチッ
ク製ライナーの肉厚が5mm以下の領域でも、プラスチ
ック製ライナーの座屈圧力をFW後の巻き締め圧より高
くすることにより、FRP圧力容器の軽量化を図るもの
である。
【0021】次に、FRP圧力容器に用いる、耐座屈補
強溝の形状について検討した結果を図2、5、6により
説明する。図2は本発明のFRP圧力容器のライナーを
軸方向に切断したときの耐座屈補強溝の形状を示す図で
ある。図5は座屈圧力と、耐座屈補強溝の深さHとライ
ナーの肉厚tとの比(H/t)との関係を示す図であ
り、図6は座屈圧力と,耐座屈補強溝の幅Bとライナー
の肉厚tとの比(B/t)との関係を示す図である。こ
れらは、LPG用圧力容器(50リットル)ライナ−外
径310mm、肉厚3mm(従来の1/2)、容器高さ
約750mm、胴部長さ480mmを想定したものであ
る。
【0022】まず、図2に示すように、耐座屈補強溝の
幅B=25mm、軸方向の耐座屈補強溝間の間隔L=1
00mm、ライナーの肉厚t=3mm一定として、耐座
屈補強溝の深さHを変化させて、FRP圧力容器の座屈
圧力を有限要素法により求めた。この結果を図5に示
す。
【0023】図5に示されるように、FRP圧力容器の
円周方向の座屈圧力は、H/t比が増加するとともに増
加し、一方、軸方向の座屈圧力はH/t比が増加すると
ともに減少している。これは、円周方向の座屈圧力の増
加は、耐座屈補強溝の深さHが増加すると、円周方向の
曲げ剛性が増加するためである。一方、軸方向の座屈圧
力の減少は、耐座屈補強溝の深さHが増加すると、軸方
向での曲げ変形が生じやすくなるためである。図5よ
り、プラスチック製のライナーの肉厚が3mmの場合の
FW後の巻締め圧(図では一点鎖線)以上の領域になる
のは、H/t比が1〜2.5であることが判明した。
【0024】また、図2に示すように、耐座屈補強溝の
深さH=5mm、軸方向の耐座屈補強溝間の間隔L=1
00mm、ライナーの肉厚t=3mm一定として、耐座
屈補強溝の幅Bを変化させて、FRP圧力容器の座屈圧
力を有限要素法により求めた。この結果を図6に示す。
【0025】図6に示されるように、FRP圧力容器の
座屈圧力は、B/t比との関係で極大値を持つことが判
明した。これは、耐座屈補強溝の幅Bが小さいと、ライ
ナーの平坦部の比率が大きいので曲がりやすくなりな
り、曲げ剛性が低下する。そして、耐座屈補強溝の幅B
の増加とともに曲げ剛性が向上して座屈圧力が増加す
る。しかしながら、さらに耐座屈補強溝の幅Bが増加す
ると、耐座屈補強溝の深さHに比べて耐座屈補強溝の幅
Bが大きくなることにより、耐座屈補強溝が補強材とし
ての役割を果たさなくなり、ライナーが変形しやすくな
ってくる。このため、耐座屈補強溝の深さHと幅Bのと
間には最適な値が存在し、この値を超えると座屈圧力が
減少することになる。図6より、プラスチック製のライ
ナーの肉厚が3mmの場合のFW後の巻締め圧(図では
一点鎖線)以上の領域になるのは、B/t比が5〜15
であることが判明した。なお、図5、図6は円周方向に
設けられた耐座屈補強溝(図2)を説明したが、軸方向
に設けられ耐座屈補強溝(図3)についても同様の考え
かたが成り立つ。
【0026】さらに、円周方向の耐座屈補強溝間の間隔
Lの影響について検討した結果を、図7〜9に示す。図
2に示すように、耐座屈補強溝の深さH=5mm、耐座
屈補強溝の幅B=25mm、一定として、軸方向の耐座
屈補強溝間の間隔Lを変化させて、ライナーの肉厚が、
t=2,3、4mmについてFRP圧力容器の座屈圧力
を有限要素法により求めた。この結果を図7〜9に示
す。
【0027】図7〜9に示されるように、耐座屈補強溝
間の間隔Lの増加とともに、座屈圧力は減少している。
FW後の巻締め圧(図では一点鎖線)以上になる領域
は、ライナーの肉厚tが2mm(従来の1/3)場合は
約75mm(ライナー半径の約0.5倍)、3mm(従
来の1/2)場合は約150mm(ライナー半径の約
1.0倍)、4mm(従来の2/3)の場合約270m
m(ライナー半径の約1.5倍)となることが判明し
た。
【0028】また、軽量のためにライナ−の肉厚は薄い
程よいが、ライナーはガスの透過バリヤとしての肉厚だ
け必要である。プラスチックライナーを用いる場合は、
LPG等の可燃性ガスでは、ライナ−の肉厚tは2.5
mm程度必要とすることを考慮すると、ライナーの肉厚
が2.5から4.5mmの範囲にあれば円周方向の耐座
屈補強溝の間隔はライナー半径の0.5〜1.0倍の範
囲にあればよい。肉厚が4.5mmを超えると軽量化の
効果がすくない。このとき、軸方向の耐座屈補強溝がラ
イナーの円周に等間隔で3本以上設けられておれば、所
定FW後の巻締め圧を超える座屈圧力を有することにな
る。
【0029】なお、プラスチックライナーを用いる場合
は、ガスの透過バリヤ改善のため、低ガス透過率のプラ
スチックとの複層化、ブロー成形時にフッ素ガスによる
ライナー内面のフッ素化処理や、金属メッキをすること
ができる。さらに、ライナー外面をアルミニューム等の
金属箔で覆うこともできる。これにより、ライナーの肉
厚をさらに薄くでき、軽量化をさらに実施できる。
【0030】
【実施例】さらに、本発明の実施例を、図示例とともに
説明する。図1は、本発明の実施例のFRP圧力容器の
外観およびとライナーとFRP層の構成を示す図であ
り、図2はFRP圧力容器のライナーを軸方向に切断し
たときの耐座屈補強溝の形状を示す図であり、図3は円
周方向に切断したときの耐座屈補強溝の形状を示す図で
ある。
【0031】本発明の実施例は、対象容器は一般家庭用
のLPG用50リットル圧力容器(外半径310mm、
高さ750mm)である。ライナーは高密度ポリエチレ
ンを素材として回転成形で成形した。ライナーの肉厚は
3mmと4mmとした。このとき、凹状の座屈補強溝に
対応する凸部をあらかじめ回転成型用金型に設けておい
た。比較例として、従来のLPG用プラスチックライナ
ーFRP圧力容器はライナーの肉厚を6mmとし、同じ
く溝なしのライナーを回転成形で成形した。
【0032】座屈補強溝の形状は、図2、3に示すよう
に、座屈補強溝の深さHを5mm、幅Bを25mmとし
た。座屈補強溝の配設方法は、ライナーの肉厚が3mm
の場合は、円周方向の座屈補強溝を、座屈補強溝の間隔
Lを100mm(ライナーの半径の0.65倍)にリン
グ状に配設した。一方、軸方向の座屈補強溝はライナー
の軸方向に、ライナーの円周に90°の等間隔で4本設
けた。ライナーの肉厚が4mmの場合は、円周方向の座
屈補強溝を、座屈補強溝の間隔Lを150mm(ライナ
ーの半径の0.99倍)にリング状に配設した。一方、
軸方向の座屈補強溝はライナーの軸方向に、ライナーの
円周に90°の等間隔で4本設けた。なお、前記軸方向
座屈補強溝はいずれも、圧力容器の胴端部を超えて形成
している。また、軸方向の座屈補強溝と円周方向の座屈
補強溝は図1のように、交差した構成になっているが、
座屈補強溝の働きには特に悪影響を与えない。
【0033】次に、破壊圧力65気圧として設計して、
ライナー上にFRP層を図10のよう、ガラス繊維で強
化されたされたFRPヘリカル層(厚さ:0.6mm)
とFRPフープ層(厚さ:1.0mm)を形成する。前
記実施例と比較例のライナ−にエポキシ樹脂を含浸した
ガラス繊維を巻込んで上記形状にFW成形し、その後硬
化処理を行った。
【0034】実施例と比較例のライナ−を用いたプラス
チック製ライナ−FRP圧力容器はには、FW成形時、
FW成形後の両方で座屈等の変形は見られなかった。さ
らに、これらプラスチック製ライナ−FRP圧力容器の
耐圧試験も実施したが、いずれの圧力容器も破壊圧力と
して、基準で定められた6.4MPa(65kgf/c
2 )以上を示し、本発明のライナーの凹状の座屈補強
溝が圧力容器の耐圧性能に悪影響を及ぼすことは無かっ
た。
【0035】FW成型後、ライナー肉厚6mmの従来容
器の重量を計測すると7kgであった。これに対して、
本発明による容器の重量を計測したところ、ライナー肉
厚3mmの容器は4kg、ライナー肉厚4mmの容器は
5kgであり、従来容器に比較して大幅な軽量化が可能
となった。
【0036】FW成形時に、ライナーの凹状の座屈補強
溝が存在することにより、ヘリカル層の繊維束角度によ
っては繊維束が凹状角部に引っかかる場合がある。この
引っかかりを防止するためには、凹状座屈補強溝を予め
樹脂で埋めた後にFW成型を実施することができる。
【0037】以上の本発明の実施例は、プラスチック製
のライナーを用い、LPG用圧力容器の実施例を中心に
説明したが、上述の実施例によって制限されるものでは
ない。すなわち、本発明は、金属製のライナーや、LP
G用圧力容器以外の圧縮天然ガス(CNG)等の燃料
用、及び空気呼吸器等の医療・防災用の高圧(最高使用
圧力が19.6Ma(200kgf/cm2 )程度の圧
力)の圧力容器に適用できるものである。なお、高圧タ
イプのFRP圧力容器では、容器の重量を約10〜20
%程度軽量化できる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明したように、ライナーに凹状
の座屈補強溝を設けることにより、従来の圧力容器のラ
イナーよりも薄い肉厚のライナーで、外圧に対して同等
の座屈強度を確保することができる。このためライナー
を薄くすることができ、従来のプラスチックライナー容
器に比較して、ライナーが薄くできるので容器を軽量化
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のFRP圧力容器の外観およびとライナ
ーとFRP層の構成を示す図である。
【図2】本発明のFRP圧力容器のライナーを軸方向に
切断したときの耐座屈補強溝の形状を示す図である。
【図3】本発明のFRP圧力容器のライナーを円周方向
に切断したときの耐座屈補強溝の形状を示す図である。
【図4】プラスチック製ライナーの肉厚と、プラスチッ
ク製ライナーの座屈圧力およびFW後の巻き締め圧との
関係を示す図である。
【図5】座屈圧力と、耐座屈補強溝の深さHとライナー
の肉厚tとの比(H/t)との関係を示す図である。
【図6】座屈圧力と,耐座屈補強溝の幅Bとライナーの
肉厚tとの比(B/t)との関係を示す図である。
【図7】座屈圧力と、耐座屈補強溝の間隔Lとの関係を
示す図である(ライナーの肉厚tが2mmの場合)。
【図8】座屈圧力と、耐座屈補強溝の間隔Lとの関係を
示す図である(ライナーの肉厚tが3mmの場合)。
【図9】座屈圧力と、耐座屈補強溝の間隔Lとの関係を
示す図である(ライナーの肉厚tが4mmの場合)。
【図10】従来のFRP圧力容器の断面の構成を示す図
である。
【図11】円筒の座屈状態を示す図であり、図aは横方
向からみた座屈状態を示し。図bは断面の座屈状態を示
し図である。
【符号の説明】
1:FRP圧力容器 2:圧力容器本体 3:耐座屈補強溝 3a:円周方向の耐座屈補強溝 3b:軸方向の耐座屈補強溝 4:FRP層 5:プラスチック製ライナー 6:頭部鏡部 7:胴部 8:底鏡部 9:付属品取付け部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ライナーの外面にFRP層が積層されて
    なるFRP圧力容器において、 前記ライナーの外周面に前記ライナーの円周方向と軸方
    向に耐座屈補強溝を設けてなることを特徴とする耐外圧
    性に優れたFRP圧力容器。
  2. 【請求項2】 前記円周方向の耐座屈補強溝はリング状
    に形成され、前記軸方向の耐座屈補強溝はFRP圧力容
    器の胴端部(円筒部と球面の境)を超えて形成されてな
    る請求項1記載の耐外圧性に優れたFRP圧力容器。
  3. 【請求項3】 前記耐座屈補強溝の深さがライナーの肉
    厚の1〜2.5倍の範囲であり、前記耐座屈補強溝の幅
    がライナーの肉厚の5〜15倍の範囲である請求項1又
    は2記載の耐外圧性に優れたFRP圧力容器。
  4. 【請求項4】 前記円周方向の耐座屈補強溝の間隔がラ
    イナー半径の0.5〜1.0倍の範囲にあり、前記軸方
    向の耐座屈補強溝がライナーの円周に等間隔で3本以上
    設けられてなる請求項1又は2又は3記載の耐外圧性に
    優れたFRP圧力容器。
  5. 【請求項5】 前記ライナーがプラスチック製である液
    化石油ガス用の請求項1乃至4のいずれかに記載の耐外
    圧性に優れたFRP圧力容器。
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