JP2020131306A - ロボットハンド付きロボットアームの制御方法、制御装置および制御システム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームは、図2〜図4に示されるように、主に、ロボットハンド100およびロボットアームRAから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
本発明の実施の形態に係るロボットハンド100は、図2に示されるように、二指型のロボットハンドであって、ロボットアームRAの先端に固着されている。そして、このロボットハンド100は、図2に示されるように、主に、可動指110、固定指120、可動指往復動機構130、押当部140、押当部往復動機構150、スライド受け部160、スライド受け部付勢部材170および連結部180から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
可動指110は、図2に示されているように、基部111および爪部112から形成される。基部111は、略台形状の厚板部位である。爪部112は、細長い矩形の厚板部位であって、基部111の短辺側の側面から前方に向かって延びている。そして、この可動指110は、可動指往復動機構130の基部111の長辺側で昇降板132(後述)に固定されている。
固定指120は、図2に示されているように、基部121および爪部122から形成されている。基部121は、矩形の厚板部位である。爪部122は、細長い矩形の厚板部位であって、基部121の前方中央の側面から前方に向かって延びている。すなわち、この固定指120は、平面視において凸状を呈する厚板部材である。そして、この固定指120は、可動指往復動機構130の支持板131(後述)に固定されている。そして、この固定指120は、図2に示されるように、可動指110の往復動方向において可動指110と対向している。
可動指往復動機構130は、図2〜図4に示されるように、主に、支持板131、昇降板132、エアシリンダ機構133および昇降テーブル134から構成されている。支持板131は、エアシリンダ機構133を支持している。エアシリンダ機構133は、複動式のものであって、昇降テーブル134を昇降させる際の駆動源である。そして、このエアシリンダ機構133は、上述の通り支持板131に取り付けられている。そして、この昇降テーブル134には、昇降板132が取り付けられている。すなわち、エアシリンダ機構133は、昇降テーブル134を昇降させることによって昇降板132を昇降させている。また、このエアシリンダ機構133には、図3および図4に示されるようにエア給排気口135,136が設けられている。なお、このエア給排気口135,136には、エア給排気管(図示せず)が接続されている。
押当部140は、図2〜図4に示されるように、略凹状の板状部材であって、両側の起立部RUが可動指側に向かって延びるように、押当部往復動機構150のピストン152(後述)の連結片152b(後述)に取り付けられている。そして、この押当部140は、押当部往復動機構150によって前後方向に沿って往復動することができる。
押当部往復動機構150は、押当部140を前後方向に沿って往復動させるための複動式のエアシリンダ機構であって、図2〜図4に示されるように、主に、シリンダブロック151、ピストン152、エア給排気口153およびつまみ154から構成されている。シリンダブロック151は略直方体状の部材であって、図2に示されるように固定指120の可動指対向側の反対側に接合されている。そして、シリンダブロック151の内部には、長手方向に沿って二列のシリンダ孔(図示せず)が形成されている。ピストン152は、一対のピストン152aおよび連結片152bから形成されている。一対のピストン152aは、連結片152bの一面から同方向に向かって平行に延びている。そして、この一対のピストン152aは、それぞれ上記二列のシリンダ孔に挿入されている。連結片152bのピストン延在側と反対側には、上述の押当部140が接合されている。エア給排気口153は、左右に1つずつ設けられている。そして、これらのエア給排気口153にはそれぞれエア給排気管(図示せず)が接続される。つまみ154は、各エア給排気口153に取り付けられている。このつまみ154は、エアの給気量または排気量を調整するための部材であって、昇降テーブル134の昇降速度すなわち昇降板132の昇降速度を調整することができる。なお、このつまみ154は、速度調整のしやすさ(速度ムラの発生しにくさ)の観点から排気量を調整するものであることが好ましい。
スライド受け部160は、図2に示されるように固定指120の爪部122の両脇に配設される一対の長細い矩形の厚板部材であって、後述するスライド受け部付勢部材170によって前方に向かって付勢されている。また、このスライド受け部160の先端部の上面は、固定指120の爪部122の先端部の上面(可動指110に対向する側の面)を含む面上に存在する。なお、ここで、スライド受け部160の先端部の上面は、固定指120の爪部122の先端部の上面よりも僅かに下側に位置していても差し支えない。
スライド受け部付勢部材170は、引張りコイルばねであって、図2に示されるように固定指120の爪部122の両脇であって、スライド受け部160の後側に配設されており、スライド受け部160を前方に向かって付勢している。すなわち、スライド受け部160を後方に向かって押した後、スライド受け部160を解放すれば、スライド受け部付勢部材170によりスライド受け部160は初期位置まで押し戻されることになる。
連結部180は、ロボットハンド100をロボットアームRAに連結させる部位であって、例えば、フランジ等である。
ロボットアームRAは、例えば、既存の多軸ロボットアームである。
撮像装置DCは、例えば、CCDカメラ等のデジタル式カメラであって、図2〜図4に示されるようにロボットハンド100の可動指往復動機構130の支持板131から延びる支持アームSAにより可動指往復動機構130の右脇に固定されている。なお、この撮像装置DCは、間欠的に撮像を行いながら撮影した画像の電子データを制御装置400に送信する。
制御装置400は、図1に示されるように、主に、制御部410、導出部430、記憶部420および取得部440から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
制御部410は、例えば、コンピュータの中央処理演算装置の制御装置等であって、図1に示されるようにロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに通信接続されており、種々の制御信号をロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに送信することによってロボットアームRAおよびロボットハンド100の動作や、撮像装置DCの撮像処理を制御する。なお、図1に示されるように、制御部410は、記憶部420に格納される制御プログラムに記述される命令に従って、ロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに制御信号を送信したり、記憶部420および導出部430の少なくとも一方から制御信号の生成に必要なデータを読み出し、そのデータから制御信号を生成してロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに送信したりする。
導出部430は、例えば、コンピュータの中央処理演算装置の演算装置等であって、図1に示されるように、記憶部420に格納されるデータ、および、取得部440から送信されてくるデータから、制御信号の生成に必要なデータを生成してそのデータを制御部410に供給する役目を担っている。例えば、この導出部430は、取得部440を介して撮像装置DCから送られてくる画像データを受信し、その画像データを制御テーブル(後述)To0中の画像データDt2と照合して、その画像データDt2と最も一致する画像データDt2に対応する厚みデータDt4および状態指標値データDt5を導出し、それらのデータDt4,Dt5を制御部410に送信する。なお、状態指標値データDt5を導出する際、深層学習に代表される機械学習等を利用して画像データDt2から状態指標値を導出してもよい。
記憶部420には、制御プログラム、制御パラメータ、制御テーブル等が格納されている。制御テーブルには、図5に示される制御テーブルTo0が含まれている。なお、この制御テーブルTo0は、例えば、後述する紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1によって作成される。なお、ここで、紙葉類束とは、例えば、紙幣束(札束)等である。この制御テーブルTo0には、図5に示されるように、主に、IDフィールドFo1、画像フィールドFo2、厚みフィールドFo3および状態指標値フィールドFo4が設けられている。IDフィールドFo1には、1レコード毎に付される固有の数値データ(以下、IDデータという。)Dt1が格納されている。画像フィールドFo2には、種々の厚みや状態を有する紙葉類束を収容する紙葉類束収容箱(後述)200の正面画像データ(以下、画像データという。)Dt2が複数格納されている。なお、この画像では、紙葉類束収容箱200の前扉(後述)220が開けられた状態になっており、種々の厚みや状態を有する紙葉類束の一面が視認可能となっている。また、紙葉類束収容箱200の正面画像には、紙葉類束の他、紙葉類束収容箱200の筐体(後述)210の正面枠や、上側支持板(後述)230および下側支持板(後述)240等が含まれている。厚みフィールドFo3には、画像データDt2に対応する紙葉類束の厚みのデータ(以下、厚みデータという。)Dt4が格納されている。状態指標値フィールドFo4には、画像データDt2に対応する紙葉類束の状態指標値のデータ(以下、状態指標値データという。)Dt5が格納されている。なお、この状態指標値は、紙葉類束のシワや傷み等の損傷を表す0から1の指標値であって、損傷具合が少ないものほど、また、紙葉類間に隙間がないものほど1に近くなる。そして、上述の各フィールドFo1〜Fo4に入力されているデータDt1,Dt2,Dt4,Dt5は、1レコード毎(図5のメインテーブルTo0の行毎)に関連付けられており、データセットを構成している。
取得部440は、例えば、コンピュータの通信インターフェイス等であって、図1に示されるように、撮像装置DCによって得られた画像データを導出部430に送る役目を担っている。
ここでは、一例として、本実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームが紙葉類束収容箱から紙幣束を抜き出して、その紙幣束を紙幣整理機の載置トレイに移動させる例を説明する。なお、ここで、紙葉類束収容箱の一例として、図6に示される紙葉類束収容箱200を採用し、紙幣整理機の載置トレイの一例として、図7に示される紙幣整理機300の載置トレイ320を採用する。なお、この例は、本発明を限定するものでないことに留意すべきである。
制御テーブルTo0は、例えば、以下に説明する紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置によって生成される。
紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1は、いわゆる電子計算機(コンピュータ)であって、図10に示されるように、主に、本体10、入力装置31、及びディスプレイ32を備える。以下、これらの構成要素について詳述した後に紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の動作についても説明する。
(1)本体
本体10は、図10に示されるように、主に、中央処理部11、メインメモリ13、ストレージ14、接続部12、STRインターフェイス15、入力インターフェイス16およびDSPインターフェイス17から構成されている。そして、図10に示されるように、この本体10では、中央処理部11が第1バス線21を介して、メインメモリ13が第2バス線22を介して、各種インターフェイス15〜17が第3バス線23を介して接続部12に接続されている。以下、これらの構成要素について説明する。
中央処理部11は、例えば、マイクロプロセッサと呼ばれる半導体チップ等であって、主に、制御部11Aおよび演算部11Bから構成される(なお、この中央処理部11には、他に1次キャッシュメモリや2次キャッシュメモリ等が含まれてもよい)。
メインメモリ13は、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)等の揮発性高速メモリである。
接続部12は、チップセット等の半導体チップである。
ストレージ14は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。そして、このストレージ14には、図11に示されるように、オペレーティングシステム14a、デバイスドライバ14bおよび紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14c等のプログラム等が格納されている。なお、このストレージ14は、内蔵タイプに限られず、外付けタイプであってもかまわない。
STRインターフェイス15は、IDE(Integrated Drive Electronics)やSerial ATA等の補助記憶装置用インターフェイスであって、ストレージ14を接続部12に接続する。入力インターフェイス16は、例えば、PS/2、USB、IEEE1284、RS232あるいはIrDA(Infrared Data Association)等のインターフェイスであって、メインメモリ13にデータを入力するためのキーボード、マウス、スキャナ、あるいはOCR(Optical Character Reader)等といった入力装置31を接続する。DSPインターフェイス17は、例えば、AGP(Accelerated Graphics Port)、PCI(Peripheral Component Interconnect)あるいはRS232等のインターフェイス等であって、メインメモリ13から送信されてきたデータを文字や画像として表示するためのCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイ等といったディスプレイ32を接続する。
次に、図12を用いて紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の動作について説明する。
入力装置30は、例えば、キーボード、マウス、スキャナ、あるいはOCR(Optical Character Reader)等の入力装置である。
ディスプレイ32は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイ等の情報表示装置である。
上述の通り、本発明の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cは、深層学習に代表される機械学習用のビッグデータを人工的に生み出すプログラムである。この紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cは、データベース14jに保存されるメインテーブルTo1のデータセットに対してデータ加工を施した後に、加工済みのデータセットを新規のデータセットとしてメインテーブルTo1に保存することによってデータセットを増殖させるものである。以下、このデータセット増殖処理について詳述する。
先ず、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cを用いてメインテーブルTo1のデータセットを増殖させようとする者(以下「利用者」という。)は、厚みを測定すると共に第1状態指標値を付与した紙葉類束を、前扉を開けた状態の紙葉類束収容箱200の規定位置に収納した後、その状態でその紙葉類束収容箱200を正面側から定点デジタルカメラ(図示せず)で撮像し、紙葉類束を含む紙葉類束収容箱200の正面の実画像データ(以下「実画像データ」と略する。)を入手する。なお、ここで、第1状態指標値を付与する際、例えば、多人数による主観評価の平均値などが用いられることが好ましい。次に、利用者は、画像編集アプリケーション等を用いてその実画像中の紙葉類束以外の箇所をトリミングして紙葉類束の領域画像データ(以下、これを「領域データ」という。)を作成する。そして、その利用者は、紙葉類束の厚みや状態を変える度に、その紙葉類束の厚みを測定すると共にその紙葉類束に対して第1状態指標値を付与し、さらにその基本実画像データDt12を入手した後に領域データDt13を作成する。すなわち、基本実画像データDt12、領域データDt13、厚みデータDt14、第1状態指標値データDt15から成る複数種類のデータセットを用意する。なお、ここで、上述の紙葉類束の厚み測定、紙葉類束への第1状態指標値付与、紙葉類束を含む紙葉類束収容箱200の正面画像データ入手は、順不同で行われてもかまわない。
上述の準備が完了し、紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cにおいて自動データセット増殖処理が開始されると、以下の通りにして自動的に新たなデータセットが増殖される。なお、ここでは、基本モジュール14f、画像加工モジュール14g、厚み導出モジュール14hおよび第1状態指標値導出モジュール14iがその主な役割を担う。基本モジュール14fは、データベース14jのメインテーブルTo1からデータセットを読み出したり、画像加工用データテーブルTo2からデータセットを読み出したりした後、さらにメインテーブルTo1のデータセット中の基本実画像データDt12を読み出して、画像加工モジュール14gにその基本実画像データDt12を加工させる。画像加工モジュール14gは、その基本実画像データDt12を加工して厚みデータDt14’の導出用の加工画像データDt12’を作成するか、第1状態指標値データDt15’の導出用の加工画像データDt12’を作成する。なお、データセットを読み出す順序やデータ導出用の画像データの作成順序は、規則的であってもよいし、不規則的であってもよい。なお、この画像加工モジュール14gは、画像加工モジュール14gによって加工された加工画像データDt12’をさらに加工して厚みデータDt14’の導出用の加工画像データDt12’を作成するか、第1状態指標値データDt15’の導出用の加工画像データDt12’を作成してもよい。そして、厚み導出モジュール14hは厚みデータDt14’の導出用の画像作成時にその厚みデータDt14’を導出し、第1状態指標値導出モジュール14iは第1状態指標値データDt15’の導出用の画像作成時にその第1状態指標値データDt15’を導出する。このため、以下では、厚みデータDt14’の導出と第1状態指標値データDt15’の導出とを分けて自動データセット増殖処理の詳細について説明する。
以下、図15を用いて厚みデータ導出用画像データ作成および厚みデータ導出について説明する。なお、図15において(a)および(b)は共に紙葉類束収容箱CBを前から見た図であるが、(a)には元の実画像データDt12が示されており、(b)には加工画像データDt12’が示されている。すなわち、図15では、データセット中の領域データDt13を上下方向に沿って規定の倍率で引き伸ばす加工が行われている。図中の符号「OL」は元の実画像データにおける領域データDt13に対応する紙葉類束の厚みを示し、符号「ML」は加工画像データにおける領域データDt13’に対応する紙葉類束の厚みを示し、符号「MD」は加工前後における押え具部分PDの移動距離を示している。なお、押え具部分PDは、例えば、図6における実施の紙葉類束収容箱210では、上側支持板230とその上側に配設される付勢部材(コイルスプリング等)によって構成される。
先ず、画像加工モジュール14gが、図16に示されるように、データセット中の領域データDt13の一部または全部を、データベース14jの画像加工用データテーブルTo2から読み出した1または複数の置換画像データDt22で置換し、加工領域データDt13’を作成する。なお、この際、領域データDt13の置換位置、および、用いられる置換画像データDt22の種類は、規則的に決められてもよいし、不規則的に決められてもよい。次に、画像加工モジュール14gが、基本実画像データDt12中の領域データDt13を加工領域データDt13’で置き換えて加工画像データDt12’を作成する。そして、その領域データDt13に関連付けられている第1状態指標値データDt15、および、置換画像データDt22に関連付けられている第2状態指標値データDt23の少なくとも第2状態指標値データDt23の線形和を面積比率で算出して新たな第1状態指標値データDt15’を導出する。すなわち、図16における加工領域データDt13’において、置換画像データDt22bに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.90」であり、置換画像データDt22cに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.80」であり、置換画像データDt22eに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.60」であり、置換画像データDt22fに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.50」であり、置換画像データDt22hに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.30」である場合、新たな第1状態指標値データDt15’は0.61(=0.9×(2/8)+0.8×(1/8)+0.6×(2/8)+0.50×(1/8)+0.30×(2/8))となる。このようにして、元データセット(基本実画像データDt12,領域データDt13,厚みデータDt14,第1状態指標値データDt15)中3つのデータが新たにされた新データセット(加工画像データDt12’,加工領域データDt13’,厚みデータDt14,第1状態指標値データDt15’)が作成され、この新データセットが、固有の数値データDt11と共にデータベース14jのメインテーブルTo1に新たに登録される。
メインテーブルTo1の基本実画像データDt12および加工画像データDt12’が制御テーブルTo0の画像データDt2に対応し、メインテーブルTo1の厚みデータDt14,Dt14’が制御テーブルTo0の厚みデータDt4に対応し、メインテーブルTo1の第1状態指標値データDt15,Dt15’が制御テーブルTo0の状態指標値データDt5に対応する。
本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400が、ロボットハンド100およびロボットアームRAに対して、紙幣束MTの厚みや状態を加味した動作を行わせることができる。したがって、このロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400がロボットハンド付きロボットアームに対して紙葉類束収容箱200から紙幣束MTを抜き出させる際に、紙幣束MTの一部がロボットハンド100から脱落したりするおそれを低減させることができる。
(A)
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、ロボットハンド100に撮像装置DCが取り付けられていたが、撮像装置DCは、定点配置されてもかまわない。かかる場合、撮像装置DCは複数個配置されてもよい。
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ロボットハンド付きロボットアーム制御システム500の制御装置400に、紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の機能を全て持たせるようにしてもよい。
(C)
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400により、可動指110を下方に移動して固定指120と共に紙幣束MTを把持した後に、ロボットハンド100を後退させて紙葉類束収容箱200から紙幣束MTを抜き取るように制御されたが、ロボットハンド100が可動指110と固定指120により紙幣束MTを把持した後に、ロボットハンド100が一定距離だけ後退して紙幣束MTを一定長さだけ手前に引き出してから紙幣束MTを手放し、その引き出した紙幣束MTの部分をロボットハンド100が再び把持するように制御されてもよい。このようにすれば、ロボットハンド100の紙幣束MTの把持長さを長くとることができ、その把持状態をさらに安定化させることができる。なお、かかる段階において、制御装置400が厚みデータDt4や状態指標値データDt5を利用して紙幣束MTに対するロボットハンド100の引き出し代および再把持時の把持代(掴み代)の少なくとも一方を制御するようにしてもよい。具体的な制御内容としては、例えば、紙幣束MTの厚みが厚くなる程、紙幣束MTの状態指標値が小さくなる程、または、紙幣束MTの厚みが厚くなると共に紙幣束MTの状態指標値が小さくなる程、引き出し代および再把持時の把持代(掴み代)の少なくとも一方を長くすることが挙げられる。かかる場合、紙幣束MTの厚み、状態指標値を段階的に分けて、各段階でロボットハンド100による引き出し代、再把持時の把持代(掴み代)を規定してもよい。
先の実施の形態では紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置として図10に示されるようなスタンドアローン型の電子計算機が利用されたが、通信ネットワークで相互接続されたグリッドコンピュータ等が利用されてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では、データベース14jのメインテーブルTo1に領域フィールドFo13が設けられ、その領域フィールドFo13に予め領域データDt13が格納されていたが、(i)エッジ抽出プログラム等により基本実画像データDt12から領域データDt13が自動的に抽出され、その領域データDt13が領域フィールドFo13に自動的に格納されるようにしてもよいし、(ii)領域フィールドFo13を設けず、エッジ抽出プログラム等により基本実画像データDt12から領域データDt13が自動的に抽出された後に、それを用いて加工画像データDt12’を作成するようにしてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では特に言及しなかったが、紙葉類束が複数国の紙幣等である場合、メインテーブルTo1に国識別フィールドが追加されてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では、メインテーブルTo1に厚みデータとして厚みの実寸データが登録されたが、この実寸データに代えて相対データを登録してもよい。この相対データとしては、例えば、紙葉類束収容箱200の最大収容時厚みに対する紙葉類束の厚みの比率データ等が挙げられる。
先の実施の形態に係るロボットハンド100では固定指120が固定され、可動指110のみが可動したが、固定指120も可動指110と同様に可動化されてもよい。
先の実施の形態に係るロボットハンド100では可動指往復動機構130としてエアシリンダ機構が採用されたが、可動指往復動機構130として公知の往復動機構、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構、ボールネジ機構、エアシリンダ機構、モータシリンダ機構、電動スライダ機構、ベルトスライダ機構およびリニアスライダ機構などの機構が採用されてもかまわない。また、かかる場合、駆動源として電動機を採用してもかまわない。
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、ロボットハンド100に撮像装置DCが1つ取り付けられていたが、ロボットハンド100に複数の撮像装置DCが取り付けられてもよい。かかる場合、各撮像装置DCで取得された各画像データの照合結果から得られる値の平均値を採用してもよいし、各撮像装置DCで取得された画像データの平均画像を用いて照合処理を行ってもよい。
400 制御装置
410 制御部
420 記憶部
430 導出部
440 取得部
500 ロボットハンド付きロボットアーム制御システム
Dt4 厚みデータ(特性値情報,厚みに関する情報)
Dt5 状態指標値データ(特性値情報,状態指標値の情報)
RA ロボットアーム
DC 撮像装置
本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームは、図2〜図4に示されるように、主に、ロボットハンド100およびロボットアームRAから構成されている。
以下、これらの構成要素について詳述する。
本発明の実施の形態に係るロボットハンド100は、図2に示されるように、二指型のロボットハンドであって、ロボットアームRAの先端に固着されている。そして、このロボットハンド100は、図2に示されるように、主に、可動指110、固定指120、可動指往復動機構130、押当部140、押当部往復動機構150、スライド受け部160、スライド受け部付勢部材170および連結部180から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
可動指110は、図2に示されているように、基部111および爪部112から形成される。基部111は、略台形状の厚板部位である。爪部112は、細長い矩形の厚板部位であって、基部111の短辺側の側面から前方に向かって延びている。そして、この可動指110は、可動指往復動機構130の基部111の長辺側で昇降板132(後述)に固定されている。
固定指120は、図2に示されているように、基部121および爪部122から形成されている。基部121は、矩形の厚板部位である。爪部122は、細長い矩形の厚板部位であって、基部121の前方中央の側面から前方に向かって延びている。すなわち、この固定指120は、平面視において凸状を呈する厚板部材である。そして、この固定指120は、可動指往復動機構130の支持板131(後述)に固定されている。そして、この固定指120は、図2に示されるように、可動指110の往復動方向において可動指110と対向している。
可動指往復動機構130は、図2〜図4に示されるように、主に、支持板131、昇降板132、エアシリンダ機構133および昇降テーブル134から構成されている。支持板131は、エアシリンダ機構133を支持している。エアシリンダ機構133は、複動式のものであって、昇降テーブル134を昇降させる際の駆動源である。そして、このエアシリンダ機構133は、上述の通り支持板131に取り付けられている。そして、この昇降テーブル134には、昇降板132が取り付けられている。すなわち、エアシリンダ機構133は、昇降テーブル134を昇降させることによって昇降板132を昇降させている。また、このエアシリンダ機構133には、図3および図4に示されるようにエア給排気口135,136が設けられている。なお、このエア給排気口135,136には、エア給排気管(図示せず)が接続されている。
押当部140は、図2〜図4に示されるように、略凹状の板状部材であって、両側の起立部RUが可動指側に向かって延びるように、押当部往復動機構150のピストン152(後述)の連結片152b(後述)に取り付けられている。そして、この押当部140は、押当部往復動機構150によって前後方向に沿って往復動することができる。
押当部往復動機構150は、押当部140を前後方向に沿って往復動させるための複動式のエアシリンダ機構であって、図2〜図4に示されるように、主に、シリンダブロック151、ピストン152、エア給排気口153およびつまみ154から構成されている。シリンダブロック151は略直方体状の部材であって、図2に示されるように固定指120の可動指対向側の反対側に接合されている。そして、シリンダブロック151の内部には、長手方向に沿って二列のシリンダ孔(図示せず)が形成されている。ピストン152は、一対のピストン152aおよび連結片152bから形成されている。一対のピストン152aは、連結片152bの一面から同方向に向かって平行に延びている。そして、この一対のピストン152aは、それぞれ上記二列のシリンダ孔に挿入されている。連結片152bのピストン延在側と反対側には、上述の押当部140が接合されている。エア給排気口153は、左右に1つずつ設けられている。そして、これらのエア給排気口153にはそれぞれエア給排気管(図示せず)が接続される。つまみ154は、各エア給排気口153に取り付けられている。このつまみ154は、エアの給気量または排気量を調整するための部材であって、昇降テーブル134の昇降速度すなわち昇降板132の昇降速度を調整することができる。なお、このつまみ154は、速度調整のしやすさ(速度ムラの発生しにくさ)の観点から排気量を調整するものであることが好ましい。
スライド受け部160は、図2に示されるように固定指120の爪部122の両脇に配設される一対の長細い矩形の厚板部材であって、後述するスライド受け部付勢部材170によって前方に向かって付勢されている。また、このスライド受け部160の先端部の上面は、固定指120の爪部122の先端部の上面(可動指110に対向する側の面)を含む面上に存在する。なお、ここで、スライド受け部160の先端部の上面は、固定指120の爪部122の先端部の上面よりも僅かに下側に位置していても差し支えない。
スライド受け部付勢部材170は、引張りコイルばねであって、図2に示されるように固定指120の爪部122の両脇であって、スライド受け部160の後側に配設されており、スライド受け部160を前方に向かって付勢している。すなわち、スライド受け部160を後方に向かって押した後、スライド受け部160を解放すれば、スライド受け部付勢部材170によりスライド受け部160は初期位置まで押し戻されることになる。
連結部180は、ロボットハンド100をロボットアームRAに連結させる部位であって、例えば、フランジ等である。
ロボットアームRAは、例えば、既存の多軸ロボットアームである。
撮像装置DCは、例えば、CCDカメラ等のデジタル式カメラであって、図2〜図4に示されるようにロボットハンド100の可動指往復動機構130の支持板131から延びる支持アームSAにより可動指往復動機構130の右脇に固定されている。なお、この撮像装置DCは、間欠的に撮像を行いながら撮影した画像の電子データを制御装置400に送信する。
制御装置400は、図1に示されるように、主に、制御部410、導出部430、記憶部420および取得部440から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
制御部410は、例えば、コンピュータの中央処理演算装置の制御装置等であって、図1に示されるようにロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに通信接続されており、種々の制御信号をロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに送信することによってロボットアームRAおよびロボットハンド100の動作や、撮像装置DCの撮像処理を制御する。なお、図1に示されるように、制御部410は、記憶部420に格納される制御プログラムに記述される命令に従って、ロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに制御信号を送信したり、記憶部420および導出部430の少なくとも一方から制御信号の生成に必要なデータを読み出し、そのデータから制御信号を生成してロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに送信したりする。
導出部430は、例えば、コンピュータの中央処理演算装置の演算装置等であって、図1に示されるように、記憶部420に格納されるデータ、および、取得部440から送信されてくるデータから、制御信号の生成に必要なデータを生成してそのデータを制御部410に供給する役目を担っている。例えば、この導出部430は、取得部440を介して撮像装置DCから送られてくる画像データを受信し、その画像データを制御テーブル(後述)To0中の画像データDt2と照合して、その画像データDt2と最も一致する画像データDt2に対応する厚みデータDt4および状態指標値データDt5を導出し、それらのデータDt4,Dt5を制御部410に送信する。なお、状態指標値データDt5を導出する際、深層学習に代表される機械学習等を利用して画像データDt2から状態指標値を導出してもよい。
記憶部420には、制御プログラム、制御パラメータ、制御テーブル等が格納されている。制御テーブルには、図5に示される制御テーブルTo0が含まれている。なお、この制御テーブルTo0は、例えば、後述する紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1によって作成される。なお、ここで、紙葉類束とは、例えば、紙幣束(札束)等である。この制御テーブルTo0には、図5に示されるように、主に、IDフィールドFo1、画像フィールドFo2、厚みフィールドFo3および状態指標値フィールドFo4が設けられている。IDフィールドFo1には、1レコード毎に付される固有の数値データ(以下、IDデータという。)Dt1が格納されている。画像フィールドFo2には、種々の厚みや状態を有する紙葉類束を収容する紙葉類束収容箱(後述)200の正面画像データ(以下、画像データという。)Dt2が複数格納されている。なお、この画像では、紙葉類束収容箱200の前扉(後述)220が開けられた状態になっており、種々の厚みや状態を有する紙葉類束の一面が視認可能となっている。また、紙葉類束収容箱200の正面画像には、紙葉類束の他、紙葉類束収容箱200の筐体(後述)210の正面枠や、上側支持板(後述)230および下側支持板(後述)240等が含まれている。厚みフィールドFo3には、画像データDt2に対応する紙葉類束の厚みのデータ(以下、厚みデータという。)Dt4が格納されている。状態指標値フィールドFo4には、画像データDt2に対応する紙葉類束の状態指標値のデータ(以下、状態指標値データという。)Dt5が格納されている。なお、この状態指標値は、紙葉類束のシワや傷み等の損傷を表す0から1の指標値であって、損傷具合が少ないものほど、また、紙葉類間に隙間がないものほど1に近くなる。そして、上述の各フィールドFo1〜Fo4に入力されているデータDt1,Dt2,Dt4,Dt5は、1レコード毎(図5のメインテーブルTo0の行毎)に関連付けられており、データセットを構成している。
取得部440は、例えば、コンピュータの通信インターフェイス等であって、図1に示されるように、撮像装置DCによって得られた画像データを導出部430に送る役目を担っている。
ここでは、一例として、本実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームが紙葉類束収容箱から紙幣束を抜き出して、その紙幣束を紙幣整理機の載置トレイに移動させる例を説明する。なお、ここで、紙葉類束収容箱の一例として、図6に示される紙葉類束収容箱200を採用し、紙幣整理機の載置トレイの一例として、図7に示される紙幣整理機300の載置トレイ320を採用する。なお、この例は、本発明を限定するものでないことに留意すべきである。
制御テーブルTo0は、例えば、以下に説明する紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置によって生成される。
紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1は、いわゆる電子計算機(コンピュータ)であって、図10に示されるように、主に、本体10、入力装置31、及びディスプレイ32を備える。以下、これらの構成要素について詳述した後に紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の動作についても説明する。
(1)本体
本体10は、図10に示されるように、主に、中央処理部11、メインメモリ13、ストレージ14、接続部12、STRインターフェイス15、入力インターフェイス16およびDSPインターフェイス17から構成されている。そして、図10に示されるように、この本体10では、中央処理部11が第1バス線21を介して、メインメモリ13が第2バス線22を介して、各種インターフェイス15〜17が第3バス線23を介して接続部12に接続されている。以下、これらの構成要素について説明する。
中央処理部11は、例えば、マイクロプロセッサと呼ばれる半導体チップ等であって、主に、制御部11Aおよび演算部11Bから構成される(なお、この中央処理部11には、他に1次キャッシュメモリや2次キャッシュメモリ等が含まれてもよい)。
メインメモリ13は、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)等の揮発性高速メモリである。
接続部12は、チップセット等の半導体チップである。
ストレージ14は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。そして、このストレージ14には、図11に示されるように、オペレーティングシステム14a、デバイスドライバ14bおよび紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14c等のプログラム等が格納されている。なお、このストレージ14は、内蔵タイプに限られず、外付けタイプであってもかまわない。
STRインターフェイス15は、IDE(Integrated Drive Electronics)やSerial ATA等の補助記憶装置用インターフェイスであって、ストレージ14を接続部12に接続する。入力インターフェイス16は、例えば、PS/2、USB、IEEE1284、RS232あるいはIrDA(Infrared Data Association)等のインターフェイスであって、メインメモリ13にデータを入力するためのキーボード、マウス、スキャナ、あるいはOCR(Optical Character Reader)等といった入力装置31を接続する。DSPインターフェイス17は、例えば、AGP(Accelerated Graphics Port)、PCI(Peripheral Component Interconnect)あるいはRS232等のインターフェイス等であって、メインメモリ13から送信されてきたデータを文字や画像として表示するためのCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイ等といったディスプレイ32を接続する。
次に、図12を用いて紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の動作について説明する。
入力装置30は、例えば、キーボード、マウス、スキャナ、あるいはOCR(Optical Character Reader)等の入力装置である。
ディスプレイ32は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイ等の情報表示装置である。
上述の通り、本発明の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cは、深層学習に代表される機械学習用のビッグデータを人工的に生み出すプログラムである。この紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cは、データベース14jに保存されるメインテーブルTo1のデータセットに対してデータ加工を施した後に、加工済みのデータセットを新規のデータセットとしてメインテーブルTo1に保存することによってデータセットを増殖させるものである。以下、このデータセット増殖処理について詳述する。
先ず、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cを用いてメインテーブルTo1のデータセットを増殖させようとする者(以下「利用者」という。)は、厚みを測定すると共に第1状態指標値を付与した紙葉類束を、前扉を開けた状態の紙葉類束収容箱200の規定位置に収納した後、その状態でその紙葉類束収容箱200を正面側から定点デジタルカメラ(図示せず)で撮像し、紙葉類束を含む紙葉類束収容箱200の正面の実画像データ(以下「実画像データ」と略する。)を入手する。なお、ここで、第1状態指標値を付与する際、例えば、多人数による主観評価の平均値などが用いられることが好ましい。次に、利用者は、画像編集アプリケーション等を用いてその実画像中の紙葉類束以外の箇所をトリミングして紙葉類束の領域画像データ(以下、これを「領域データ」という。)を作成する。そして、その利用者は、紙葉類束の厚みや状態を変える度に、その紙葉類束の厚みを測定すると共にその紙葉類束に対して第1状態指標値を付与し、さらにその基本実画像データDt12を入手した後に領域データDt13を作成する。すなわち、基本実画像データDt12、領域データDt13、厚みデータDt14、第1状態指標値データDt15から成る複数種類のデータセットを用意する。なお、ここで、上述の紙葉類束の厚み測定、紙葉類束への第1状態指標値付与、紙葉類束を含む紙葉類束収容箱200の正面画像データ入手は、順不同で行われてもかまわない。
上述の準備が完了し、紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cにおいて自動データセット増殖処理が開始されると、以下の通りにして自動的に新たなデータセットが増殖される。なお、ここでは、基本モジュール14f、画像加工モジュール14g、厚み導出モジュール14hおよび第1状態指標値導出モジュール14iがその主な役割を担う。基本モジュール14fは、データベース14jのメインテーブルTo1からデータセットを読み出したり、画像加工用データテーブルTo2からデータセットを読み出したりした後、さらにメインテーブルTo1のデータセット中の基本実画像データDt12を読み出して、画像加工モジュール14gにその基本実画像データDt12を加工させる。画像加工モジュール14gは、その基本実画像データDt12を加工して厚みデータDt14’の導出用の加工画像データDt12’を作成するか、第1状態指標値データDt15’の導出用の加工画像データDt12’を作成する。なお、データセットを読み出す順序やデータ導出用の画像データの作成順序は、規則的であってもよいし、不規則的であってもよい。なお、この画像加工モジュール14gは、画像加工モジュール14gによって加工された加工画像データDt12’をさらに加工して厚みデータDt14’の導出用の加工画像データDt12’を作成するか、第1状態指標値データDt15’の導出用の加工画像データDt12’を作成してもよい。そして、厚み導出モジュール14hは厚みデータDt14’の導出用の画像作成時にその厚みデータDt14’を導出し、第1状態指標値導出モジュール14iは第1状態指標値データDt15’の導出用の画像作成時にその第1状態指標値データDt15’を導出する。このため、以下では、厚みデータDt14’の導出と第1状態指標値データDt15’の導出とを分けて自動データセット増殖処理の詳細について説明する。
以下、図15を用いて厚みデータ導出用画像データ作成および厚みデータ導出について説明する。なお、図15において(a)および(b)は共に紙葉類束収容箱CBを前から見た図であるが、(a)には元の実画像データDt12が示されており、(b)には加工画像データDt12’が示されている。すなわち、図15では、データセット中の領域データDt13を上下方向に沿って規定の倍率で引き伸ばす加工が行われている。図中の符号「OL」は元の実画像データにおける領域データDt13に対応する紙葉類束の厚みを示し、符号「ML」は加工画像データにおける領域データDt13’に対応する紙葉類束の厚みを示し、符号「MD」は加工前後における押え具部分PDの移動距離を示している。なお、押え具部分PDは、例えば、図6における実施の紙葉類束収容箱210では、上側支持板230とその上側に配設される付勢部材(コイルスプリング等)によって構成される。
先ず、画像加工モジュール14gが、図16に示されるように、データセット中の領域データDt13の一部または全部を、データベース14jの画像加工用データテーブルTo2から読み出した1または複数の置換画像データDt22で置換し、加工領域データDt13’を作成する。なお、この際、領域データDt13の置換位置、および、用いられる置換画像データDt22の種類は、規則的に決められてもよいし、不規則的に決められてもよい。次に、画像加工モジュール14gが、基本実画像データDt12中の領域データDt13を加工領域データDt13’で置き換えて加工画像データDt12’を作成する。そして、その領域データDt13に関連付けられている第1状態指標値データDt15、および、置換画像データDt22に関連付けられている第2状態指標値データDt23の少なくとも第2状態指標値データDt23の線形和を面積比率で算出して新たな第1状態指標値データDt15’を導出する。すなわち、図16における加工領域データDt13’において、置換画像データDt22bに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.90」であり、置換画像データDt22cに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.80」であり、置換画像データDt22eに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.60」であり、置換画像データDt22fに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.50」であり、置換画像データDt22hに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.30」である場合、新たな第1状態指標値データDt15’は0.61(=0.9×(2/8)+0.8×(1/8)+0.6×(2/8)+0.50×(1/8)+0.30×(2/8))となる。このようにして、元データセット(基本実画像データDt12,領域データDt13,厚みデータDt14,第1状態指標値データDt15)中3つのデータが新たにされた新データセット(加工画像データDt12’,加工領域データDt13’,厚みデータDt14,第1状態指標値データDt15’)が作成され、この新データセットが、固有の数値データDt11と共にデータベース14jのメインテーブルTo1に新たに登録される。
メインテーブルTo1の基本実画像データDt12および加工画像データDt12’が制御テーブルTo0の画像データDt2に対応し、メインテーブルTo1の厚みデータDt14,Dt14’が制御テーブルTo0の厚みデータDt4に対応し、メインテーブルTo1の第1状態指標値データDt15,Dt15’が制御テーブルTo0の状態指標値データDt5に対応する。
本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400が、ロボットハンド100およびロボットアームRAに対して、紙幣束MTの厚みや状態を加味した動作を行わせることができる。したがって、このロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400がロボットハンド付きロボットアームに対して紙葉類束収容箱200から紙幣束MTを抜き出させる際に、紙幣束MTの一部がロボットハンド100から脱落したりするおそれを低減させることができる。
(A)
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、ロボットハンド100に撮像装置DCが取り付けられていたが、撮像装置DCは、定点配置されてもかまわない。かかる場合、撮像装置DCは複数個配置されてもよい。
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ロボットハンド付きロボットアーム制御システム500の制御装置400に、紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の機能を全て持たせるようにしてもよい。
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400により、可動指110を下方に移動して固定指120と共に紙幣束MTを把持した後に、ロボットハンド100を後退させて紙葉類束収容箱200から紙幣束MTを抜き取るように制御されたが、ロボットハンド100が可動指110と固定指120により紙幣束MTを把持した後に、ロボットハンド100が一定距離だけ後退して紙幣束MTを一定長さだけ手前に引き出してから紙幣束MTを手放し、その引き出した紙幣束MTの部分をロボットハンド100が再び把持するように制御されてもよい。このようにすれば、ロボットハンド100の紙幣束MTの把持長さを長くとることができ、その把持状態をさらに安定化させることができる。なお、かかる段階において、制御装置400が厚みデータDt4や状態指標値データDt5を利用して紙幣束MTに対するロボットハンド100の引き出し代および再把持時の把持代(掴み代)の少なくとも一方を制御するようにしてもよい。具体的な制御内容としては、例えば、紙幣束MTの厚みが厚くなる程、紙幣束MTの状態指標値が小さくなる程、または、紙幣束MTの厚みが厚くなると共に紙幣束MTの状態指標値が小さくなる程、引き出し代および再把持時の把持代(掴み代)の少なくとも一方を長くすることが挙げられる。かかる場合、紙幣束MTの厚み、状態指標値を段階的に分けて、各段階でロボットハンド100による引き出し代、再把持時の把持代(掴み代)を規定してもよい。
先の実施の形態では紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置として図10に示されるようなスタンドアローン型の電子計算機が利用されたが、通信ネットワークで相互接続されたグリッドコンピュータ等が利用されてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では、データベース14jのメインテーブルTo1に領域フィールドFo13が設けられ、その領域フィールドFo13に予め領域データDt13が格納されていたが、(i)エッジ抽出プログラム等により基本実画像データDt12から領域データDt13が自動的に抽出され、その領域データDt13が領域フィールドFo13に自動的に格納されるようにしてもよいし、(ii)領域フィールドFo13を設けず、エッジ抽出プログラム等により基本実画像データDt12から領域データDt13が自動的に抽出された後に、それを用いて加工画像データDt12’を作成するようにしてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では特に言及しなかったが、紙葉類束が複数国の紙幣等である場合、メインテーブルTo1に国識別フィールドが追加されてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では、メインテーブルTo1に厚みデータとして厚みの実寸データが登録されたが、この実寸データに代えて相対データを登録してもよい。この相対データとしては、例えば、紙葉類束収容箱200の最大収容時厚みに対する紙葉類束の厚みの比率データ等が挙げられる。
先の実施の形態に係るロボットハンド100では固定指120が固定され、可動指110のみが可動したが、固定指120も可動指110と同様に可動化されてもよい。
先の実施の形態に係るロボットハンド100では可動指往復動機構130としてエアシリンダ機構が採用されたが、可動指往復動機構130として公知の往復動機構、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構、ボールネジ機構、エアシリンダ機構、モータシリンダ機構、電動スライダ機構、ベルトスライダ機構およびリニアスライダ機構などの機構が採用されてもかまわない。また、かかる場合、駆動源として電動機を採用してもかまわない。
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、ロボットハンド100に撮像装置DCが1つ取り付けられていたが、ロボットハンド100に複数の撮像装置DCが取り付けられてもよい。かかる場合、各撮像装置DCで取得された各画像データの照合結果から得られる値の平均値を採用してもよいし、各撮像装置DCで取得された画像データの平均画像を用いて照合処理を行ってもよい。
400 制御装置
410 制御部
420 記憶部
430 導出部
440 取得部
500 ロボットハンド付きロボットアーム制御システム
Dt4 厚みデータ(特性値情報,厚みに関する情報)
Dt5 状態指標値データ(特性値情報,状態指標値の情報)
RA ロボットアーム
DC 撮像装置
本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームは、図2〜図4に示されるように、主に、ロボットハンド100およびロボットアームRAから構成されている。
以下、これらの構成要素について詳述する。
本発明の実施の形態に係るロボットハンド100は、図2に示されるように、二指型のロボットハンドであって、ロボットアームRAの先端に固着されている。そして、このロボットハンド100は、図2に示されるように、主に、可動指110、固定指120、可動指往復動機構130、押当部140、押当部往復動機構150、スライド受け部160、スライド受け部付勢部材170および連結部180から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
可動指110は、図2に示されているように、基部111および爪部112から形成される。基部111は、略台形状の厚板部位である。爪部112は、細長い矩形の厚板部位であって、基部111の短辺側の側面から前方に向かって延びている。そして、この可動指110は、可動指往復動機構130の基部111の長辺側で昇降板132(後述)に固定されている。
固定指120は、図2に示されているように、基部121および爪部122から形成されている。基部121は、矩形の厚板部位である。爪部122は、細長い矩形の厚板部位であって、基部121の前方中央の側面から前方に向かって延びている。すなわち、この固定指120は、平面視において凸状を呈する厚板部材である。そして、この固定指120は、可動指往復動機構130の支持板131(後述)に固定されている。そして、この固定指120は、図2に示されるように、可動指110の往復動方向において可動指110と対向している。
可動指往復動機構130は、図2〜図4に示されるように、主に、支持板131、昇降板132、エアシリンダ機構133および昇降テーブル134から構成されている。支持板131は、エアシリンダ機構133を支持している。エアシリンダ機構133は、複動式のものであって、昇降テーブル134を昇降させる際の駆動源である。そして、このエアシリンダ機構133は、上述の通り支持板131に取り付けられている。そして、この昇降テーブル134には、昇降板132が取り付けられている。すなわち、エアシリンダ機構133は、昇降テーブル134を昇降させることによって昇降板132を昇降させている。また、このエアシリンダ機構133には、図3および図4に示されるようにエア給排気口135,136が設けられている。なお、このエア給排気口135,136には、エア給排気管(図示せず)が接続されている。
押当部140は、図2〜図4に示されるように、略凹状の板状部材であって、両側の起立部RUが可動指側に向かって延びるように、押当部往復動機構150のピストン152(後述)の連結片152b(後述)に取り付けられている。そして、この押当部140は、押当部往復動機構150によって前後方向に沿って往復動することができる。
押当部往復動機構150は、押当部140を前後方向に沿って往復動させるための複動式のエアシリンダ機構であって、図2〜図4に示されるように、主に、シリンダブロック151、ピストン152、エア給排気口153およびつまみ154から構成されている。シリンダブロック151は略直方体状の部材であって、図2に示されるように固定指120の可動指対向側の反対側に接合されている。そして、シリンダブロック151の内部には、長手方向に沿って二列のシリンダ孔(図示せず)が形成されている。ピストン152は、一対のピストン152aおよび連結片152bから形成されている。一対のピストン152aは、連結片152bの一面から同方向に向かって平行に延びている。そして、この一対のピストン152aは、それぞれ上記二列のシリンダ孔に挿入されている。連結片152bのピストン延在側と反対側には、上述の押当部140が接合されている。エア給排気口153は、左右に1つずつ設けられている。そして、これらのエア給排気口153にはそれぞれエア給排気管(図示せず)が接続される。つまみ154は、各エア給排気口153に取り付けられている。このつまみ154は、エアの給気量または排気量を調整するための部材であって、昇降テーブル134の昇降速度すなわち昇降板132の昇降速度を調整することができる。なお、このつまみ154は、速度調整のしやすさ(速度ムラの発生しにくさ)の観点から排気量を調整するものであることが好ましい。
スライド受け部160は、図2に示されるように固定指120の爪部122の両脇に配設される一対の長細い矩形の厚板部材であって、後述するスライド受け部付勢部材170によって前方に向かって付勢されている。また、このスライド受け部160の先端部の上面は、固定指120の爪部122の先端部の上面(可動指110に対向する側の面)を含む面上に存在する。なお、ここで、スライド受け部160の先端部の上面は、固定指120の爪部122の先端部の上面よりも僅かに下側に位置していても差し支えない。
スライド受け部付勢部材170は、引張りコイルばねであって、図2に示されるように固定指120の爪部122の両脇であって、スライド受け部160の後側に配設されており、スライド受け部160を前方に向かって付勢している。すなわち、スライド受け部160を後方に向かって押した後、スライド受け部160を解放すれば、スライド受け部付勢部材170によりスライド受け部160は初期位置まで押し戻されることになる。
連結部180は、ロボットハンド100をロボットアームRAに連結させる部位であって、例えば、フランジ等である。
ロボットアームRAは、例えば、既存の多軸ロボットアームである。
撮像装置DCは、例えば、CCDカメラ等のデジタル式カメラであって、図2〜図4に示されるようにロボットハンド100の可動指往復動機構130の支持板131から延びる支持アームSAにより可動指往復動機構130の右脇に固定されている。なお、この撮像装置DCは、間欠的に撮像を行いながら撮影した画像の電子データを制御装置400に送信する。
制御装置400は、図1に示されるように、主に、制御部410、導出部430、記憶部420および取得部440から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
制御部410は、例えば、コンピュータの中央処理演算装置の制御装置等であって、図1に示されるようにロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに通信接続されており、種々の制御信号をロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに送信することによってロボットアームRAおよびロボットハンド100の動作や、撮像装置DCの撮像処理を制御する。なお、図1に示されるように、制御部410は、記憶部420に格納される制御プログラムに記述される命令に従って、ロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに制御信号を送信したり、記憶部420および導出部430の少なくとも一方から制御信号の生成に必要なデータを読み出し、そのデータから制御信号を生成してロボットアームRA、ロボットハンド100および撮像装置DCに送信したりする。
導出部430は、例えば、コンピュータの中央処理演算装置の演算装置等であって、図1に示されるように、記憶部420に格納されるデータ、および、取得部440から送信されてくるデータから、制御信号の生成に必要なデータを生成してそのデータを制御部410に供給する役目を担っている。例えば、この導出部430は、取得部440を介して撮像装置DCから送られてくる画像データを受信し、その画像データを制御テーブル(後述)To0中の画像データDt2と照合して、その画像データDt2と最も一致する画像データDt2に対応する厚みデータDt4および状態指標値データDt5を導出し、それらのデータDt4,Dt5を制御部410に送信する。なお、状態指標値データDt5を導出する際、深層学習に代表される機械学習等を利用して画像データDt2から状態指標値を導出してもよい。
記憶部420には、制御プログラム、制御パラメータ、制御テーブル等が格納されている。制御テーブルには、図5に示される制御テーブルTo0が含まれている。なお、この制御テーブルTo0は、例えば、後述する紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1によって作成される。なお、ここで、紙葉類束とは、例えば、紙幣束(札束)等である。この制御テーブルTo0には、図5に示されるように、主に、IDフィールドFo1、画像フィールドFo2、厚みフィールドFo3および状態指標値フィールドFo4が設けられている。IDフィールドFo1には、1レコード毎に付される固有の数値データ(以下、IDデータという。)Dt1が格納されている。画像フィールドFo2には、種々の厚みや状態を有する紙葉類束を収容する紙葉類束収容箱(後述)200の正面画像データ(以下、画像データという。)Dt2が複数格納されている。なお、この画像では、紙葉類束収容箱200の前扉(後述)220が開けられた状態になっており、種々の厚みや状態を有する紙葉類束の一面が視認可能となっている。また、紙葉類束収容箱200の正面画像には、紙葉類束の他、紙葉類束収容箱200の筐体(後述)210の正面枠や、上側支持板(後述)230および下側支持板(後述)240等が含まれている。厚みフィールドFo3には、画像データDt2に対応する紙葉類束の厚みのデータ(以下、厚みデータという。)Dt4が格納されている。状態指標値フィールドFo4には、画像データDt2に対応する紙葉類束の状態指標値のデータ(以下、状態指標値データという。)Dt5が格納されている。なお、この状態指標値は、紙葉類束のシワや傷み等の損傷を表す0から1の指標値であって、損傷具合が少ないものほど、また、紙葉類間に隙間がないものほど1に近くなる。そして、上述の各フィールドFo1〜Fo4に入力されているデータDt1,Dt2,Dt4,Dt5は、1レコード毎(図5のメインテーブルTo0の行毎)に関連付けられており、データセットを構成している。
取得部440は、例えば、コンピュータの通信インターフェイス等であって、図1に示されるように、撮像装置DCによって得られた画像データを導出部430に送る役目を担っている。
ここでは、一例として、本実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームが紙葉類束収容箱から紙幣束を抜き出して、その紙幣束を紙幣整理機の載置トレイに移動させる例を説明する。なお、ここで、紙葉類束収容箱の一例として、図6に示される紙葉類束収容箱200を採用し、紙幣整理機の載置トレイの一例として、図7に示される紙幣整理機300の載置トレイ320を採用する。なお、この例は、本発明を限定するものでないことに留意すべきである。
制御テーブルTo0は、例えば、以下に説明する紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置によって生成される。
紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1は、いわゆる電子計算機(コンピュータ)であって、図10に示されるように、主に、本体10、入力装置31、及びディスプレイ32を備える。以下、これらの構成要素について詳述した後に紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の動作についても説明する。
(1)本体
本体10は、図10に示されるように、主に、中央処理部11、メインメモリ13、ストレージ14、接続部12、STRインターフェイス15、入力インターフェイス16およびDSPインターフェイス17から構成されている。そして、図10に示されるように、この本体10では、中央処理部11が第1バス線21を介して、メインメモリ13が第2バス線22を介して、各種インターフェイス15〜17が第3バス線23を介して接続部12に接続されている。以下、これらの構成要素について説明する。
中央処理部11は、例えば、マイクロプロセッサと呼ばれる半導体チップ等であって、主に、制御部11Aおよび演算部11Bから構成される(なお、この中央処理部11には、他に1次キャッシュメモリや2次キャッシュメモリ等が含まれてもよい)。
メインメモリ13は、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)等の揮発性高速メモリである。
接続部12は、チップセット等の半導体チップである。
ストレージ14は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。そして、このストレージ14には、図11に示されるように、オペレーティングシステム14a、デバイスドライバ14bおよび紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14c等のプログラム等が格納されている。なお、このストレージ14は、内蔵タイプに限られず、外付けタイプであってもかまわない。
STRインターフェイス15は、IDE(Integrated Drive Electronics)やSerial ATA等の補助記憶装置用インターフェイスであって、ストレージ14を接続部12に接続する。入力インターフェイス16は、例えば、PS/2、USB、IEEE1284、RS232あるいはIrDA(Infrared Data Association)等のインターフェイスであって、メインメモリ13にデータを入力するためのキーボード、マウス、スキャナ、あるいはOCR(Optical Character Reader)等といった入力装置31を接続する。DSPインターフェイス17は、例えば、AGP(Accelerated Graphics Port)、PCI(Peripheral Component Interconnect)あるいはRS232等のインターフェイス等であって、メインメモリ13から送信されてきたデータを文字や画像として表示するためのCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイ等といったディスプレイ32を接続する。
次に、図12を用いて紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の動作について説明する。
入力装置30は、例えば、キーボード、マウス、スキャナ、あるいはOCR(Optical Character Reader)等の入力装置である。
ディスプレイ32は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイ等の情報表示装置である。
上述の通り、本発明の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cは、深層学習に代表される機械学習用のビッグデータを人工的に生み出すプログラムである。この紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cは、データベース14jに保存されるメインテーブルTo1のデータセットに対してデータ加工を施した後に、加工済みのデータセットを新規のデータセットとしてメインテーブルTo1に保存することによってデータセットを増殖させるものである。以下、このデータセット増殖処理について詳述する。
先ず、この紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cを用いてメインテーブルTo1のデータセットを増殖させようとする者(以下「利用者」という。)は、厚みを測定すると共に第1状態指標値を付与した紙葉類束を、前扉を開けた状態の紙葉類束収容箱200の規定位置に収納した後、その状態でその紙葉類束収容箱200を正面側から定点デジタルカメラ(図示せず)で撮像し、紙葉類束を含む紙葉類束収容箱200の正面の実画像データ(以下「実画像データ」と略する。)を入手する。なお、ここで、第1状態指標値を付与する際、例えば、多人数による主観評価の平均値などが用いられることが好ましい。次に、利用者は、画像編集アプリケーション等を用いてその実画像中の紙葉類束以外の箇所をトリミングして紙葉類束の領域画像データ(以下、これを「領域データ」という。)を作成する。そして、その利用者は、紙葉類束の厚みや状態を変える度に、その紙葉類束の厚みを測定すると共にその紙葉類束に対して第1状態指標値を付与し、さらにその基本実画像データDt12を入手した後に領域データDt13を作成する。すなわち、基本実画像データDt12、領域データDt13、厚みデータDt14、第1状態指標値データDt15から成る複数種類のデータセットを用意する。なお、ここで、上述の紙葉類束の厚み測定、紙葉類束への第1状態指標値付与、紙葉類束を含む紙葉類束収容箱200の正面画像データ入手は、順不同で行われてもかまわない。
上述の準備が完了し、紙葉類束の特性判定用画像データ形成アプリケーション14cにおいて自動データセット増殖処理が開始されると、以下の通りにして自動的に新たなデータセットが増殖される。なお、ここでは、基本モジュール14f、画像加工モジュール14g、厚み導出モジュール14hおよび第1状態指標値導出モジュール14iがその主な役割を担う。基本モジュール14fは、データベース14jのメインテーブルTo1からデータセットを読み出したり、画像加工用データテーブルTo2からデータセットを読み出したりした後、さらにメインテーブルTo1のデータセット中の基本実画像データDt12を読み出して、画像加工モジュール14gにその基本実画像データDt12を加工させる。画像加工モジュール14gは、その基本実画像データDt12を加工して厚みデータDt14’の導出用の加工画像データDt12’を作成するか、第1状態指標値データDt15’の導出用の加工画像データDt12’を作成する。なお、データセットを読み出す順序やデータ導出用の画像データの作成順序は、規則的であってもよいし、不規則的であってもよい。なお、この画像加工モジュール14gは、画像加工モジュール14gによって加工された加工画像データDt12’をさらに加工して厚みデータDt14’の導出用の加工画像データDt12’を作成するか、第1状態指標値データDt15’の導出用の加工画像データDt12’を作成してもよい。そして、厚み導出モジュール14hは厚みデータDt14’の導出用の画像作成時にその厚みデータDt14’を導出し、第1状態指標値導出モジュール14iは第1状態指標値データDt15’の導出用の画像作成時にその第1状態指標値データDt15’を導出する。このため、以下では、厚みデータDt14’の導出と第1状態指標値データDt15’の導出とを分けて自動データセット増殖処理の詳細について説明する。
以下、図15を用いて厚みデータ導出用画像データ作成および厚みデータ導出について説明する。なお、図15において(a)および(b)は共に紙葉類束収容箱CBを前から見た図であるが、(a)には元の実画像データDt12が示されており、(b)には加工画像データDt12’が示されている。すなわち、図15では、データセット中の領域データDt13を上下方向に沿って規定の倍率で引き伸ばす加工が行われている。図中の符号「OL」は元の実画像データにおける領域データDt13に対応する紙葉類束の厚みを示し、符号「ML」は加工画像データにおける領域データDt13’に対応する紙葉類束の厚みを示し、符号「MD」は加工前後における押え具部分PDの移動距離を示している。なお、押え具部分PDは、例えば、図6における実施の紙葉類束収容箱210では、上側支持板230とその上側に配設される付勢部材(コイルスプリング等)によって構成される。
先ず、画像加工モジュール14gが、図16に示されるように、データセット中の領域データDt13の一部または全部を、データベース14jの画像加工用データテーブルTo2から読み出した1または複数の置換画像データDt22で置換し、加工領域データDt13’を作成する。なお、この際、領域データDt13の置換位置、および、用いられる置換画像データDt22の種類は、規則的に決められてもよいし、不規則的に決められてもよい。次に、画像加工モジュール14gが、基本実画像データDt12中の領域データDt13を加工領域データDt13’で置き換えて加工画像データDt12’を作成する。そして、その領域データDt13に関連付けられている第1状態指標値データDt15、および、置換画像データDt22に関連付けられている第2状態指標値データDt23の少なくとも第2状態指標値データDt23の線形和を面積比率で算出して新たな第1状態指標値データDt15’を導出する。すなわち、図16における加工領域データDt13’において、置換画像データDt22bに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.90」であり、置換画像データDt22cに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.80」であり、置換画像データDt22eに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.60」であり、置換画像データDt22fに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.50」であり、置換画像データDt22hに関連付けられる第2状態指標値データDt23が「0.30」である場合、新たな第1状態指標値データDt15’は0.61(=0.9×(2/8)+0.8×(1/8)+0.6×(2/8)+0.50×(1/8)+0.30×(2/8))となる。このようにして、元データセット(基本実画像データDt12,領域データDt13,厚みデータDt14,第1状態指標値データDt15)中3つのデータが新たにされた新データセット(加工画像データDt12’,加工領域データDt13’,厚みデータDt14,第1状態指標値データDt15’)が作成され、この新データセットが、固有の数値データDt11と共にデータベース14jのメインテーブルTo1に新たに登録される。
メインテーブルTo1の基本実画像データDt12および加工画像データDt12’が制御テーブルTo0の画像データDt2に対応し、メインテーブルTo1の厚みデータDt14,Dt14’が制御テーブルTo0の厚みデータDt4に対応し、メインテーブルTo1の第1状態指標値データDt15,Dt15’が制御テーブルTo0の状態指標値データDt5に対応する。
本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400が、ロボットハンド100およびロボットアームRAに対して、紙幣束MTの厚みや状態を加味した動作を行わせることができる。したがって、このロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400がロボットハンド付きロボットアームに対して紙葉類束収容箱200から紙幣束MTを抜き出させる際に、紙幣束MTの一部がロボットハンド100から脱落したりするおそれを低減させることができる。
(A)
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、ロボットハンド100に撮像装置DCが取り付けられていたが、撮像装置DCは、定点配置されてもかまわない。かかる場合、撮像装置DCは複数個配置されてもよい。
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ロボットハンド付きロボットアーム制御システム500の制御装置400に、紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1の機能を全て持たせるようにしてもよい。
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、制御装置400により、可動指110を下方に移動して固定指120と共に紙幣束MTを把持した後に、ロボットハンド100を後退させて紙葉類束収容箱200から紙幣束MTを抜き取るように制御されたが、ロボットハンド100が可動指110と固定指120により紙幣束MTを把持した後に、ロボットハンド100が一定距離だけ後退して紙幣束MTを一定長さだけ手前に引き出してから紙幣束MTを手放し、その引き出した紙幣束MTの部分をロボットハンド100が再び把持するように制御されてもよい。このようにすれば、ロボットハンド100の紙幣束MTの把持長さを長くとることができ、その把持状態をさらに安定化させることができる。なお、かかる段階において、制御装置400が厚みデータDt4や状態指標値データDt5を利用して紙幣束MTに対するロボットハンド100の引き出し代および再把持時の把持代(掴み代)の少なくとも一方を制御するようにしてもよい。具体的な制御内容としては、例えば、紙幣束MTの厚みが厚くなる程、紙幣束MTの状態指標値が小さくなる程、または、紙幣束MTの厚みが厚くなると共に紙幣束MTの状態指標値が小さくなる程、引き出し代および再把持時の把持代(掴み代)の少なくとも一方を長くすることが挙げられる。かかる場合、紙幣束MTの厚み、状態指標値を段階的に分けて、各段階でロボットハンド100による引き出し代、再把持時の把持代(掴み代)を規定してもよい。
先の実施の形態では紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置として図10に示されるようなスタンドアローン型の電子計算機が利用されたが、通信ネットワークで相互接続されたグリッドコンピュータ等が利用されてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では、データベース14jのメインテーブルTo1に領域フィールドFo13が設けられ、その領域フィールドFo13に予め領域データDt13が格納されていたが、(i)エッジ抽出プログラム等により基本実画像データDt12から領域データDt13が自動的に抽出され、その領域データDt13が領域フィールドFo13に自動的に格納されるようにしてもよいし、(ii)領域フィールドFo13を設けず、エッジ抽出プログラム等により基本実画像データDt12から領域データDt13が自動的に抽出された後に、それを用いて加工画像データDt12’を作成するようにしてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では特に言及しなかったが、紙葉類束が複数国の紙幣等である場合、メインテーブルTo1に国識別フィールドが追加されてもよい。
先の実施の形態に係る紙葉類束の特性判定用画像データ形成装置1では、メインテーブルTo1に厚みデータとして厚みの実寸データが登録されたが、この実寸データに代えて相対データを登録してもよい。この相対データとしては、例えば、紙葉類束収容箱200の最大収容時厚みに対する紙葉類束の厚みの比率データ等が挙げられる。
先の実施の形態に係るロボットハンド100では固定指120が固定され、可動指110のみが可動したが、固定指120も可動指110と同様に可動化されてもよい。
先の実施の形態に係るロボットハンド100では可動指往復動機構130としてエアシリンダ機構が採用されたが、可動指往復動機構130として公知の往復動機構、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構、ボールネジ機構、エアシリンダ機構、モータシリンダ機構、電動スライダ機構、ベルトスライダ機構およびリニアスライダ機構などの機構が採用されてもかまわない。また、かかる場合、駆動源として電動機を採用してもかまわない。
先の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアーム制御システム500では、ロボットハンド100に撮像装置DCが1つ取り付けられていたが、ロボットハンド100に複数の撮像装置DCが取り付けられてもよい。かかる場合、各撮像装置DCで取得された各画像データの照合結果から得られる値の平均値を採用してもよいし、各撮像装置DCで取得された画像データの平均画像を用いて照合処理を行ってもよい。
400 制御装置
410 制御部
420 記憶部
430 導出部
440 取得部
500 ロボットハンド付きロボットアーム制御システム
Dt4 厚みデータ(特性値情報,厚みに関する情報)
Dt5 状態指標値データ(特性値情報,状態指標値の情報)
RA ロボットアーム
DC 撮像装置
Claims (5)
- ロボットハンド付きロボットアームと、
撮像装置と、
紙葉類束の画像情報を特性値情報に関連付けて記憶する記憶部と、前記撮像装置から前記紙葉類束の画像情報を取得する取得部と、前記取得部において取得された前記紙葉類束の画像情報を、前記記憶部に記憶される前記紙葉類束の画像情報と照合して前記紙葉類束の特性値情報を導出する導出部と、導出部により導出された前記紙葉類束の特性値情報に基づいて前記ロボットハンド付きロボットアームの動作を制御する制御部とを有する制御装置と
を備える、ロボットハンド付きロボットアーム制御システム。 - 前記特性値情報は、前記紙葉類束の厚みに関する情報である
請求項1に記載のロボットハンド付きロボットアーム制御システム。 - 前記特性値情報は、前記紙葉類束の状態を示す状態指標値の情報である
請求項1に記載のロボットハンド付きロボットアーム制御システム。 - 紙葉類束の画像情報を特性値情報に関連付けて記憶する記憶部と、
前記紙葉類束の画像情報を取得する取得部と、
前記取得部において取得された前記紙葉類束の画像情報を、前記記憶部に記憶される前記紙葉類束の画像情報と照合して前記紙葉類束の特性値情報を導出する導出部と、
前記導出部により導出された前記紙葉類束の特性値情報に基づいてロボットハンド付きロボットアームの動作を制御する制御部と
を備える、ロボットハンド付きロボットアーム制御装置。 - 紙葉類束の特性値情報に基づいてロボットハンド付きロボットアームの動作を制御する、ロボットハンド付きロボットアーム制御方法。
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