JP2020129984A - 酵素活性の測定方法 - Google Patents

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隆聡 礒田
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Abstract

【課題】マイクロプレートリーダーのない環境下でも、発色検査法によって、簡便にかつ目視よりも精度よく酵素活性を測定する方法、及び当該方法に用いるチップ等の提供。【解決手段】酵素活性を、発色反応を利用して測定する方法であって、底部が光透過性部材からなる平底のウェルを備えるマイクロウェルチップのウェル内で、発色性基質を担持した光透過性部材からなる多孔質膜と被検試料とを接触させ、又は、被検試料を担持した光透過性部材からなる多孔質膜と発色性基質とを接触させ、所定時間反応させた後、前記ウェルをその天面又は底面から撮影し、撮像された画像中の前記ウェル領域の色強度に基づいて、前記被検試料の酵素活性を測定する、酵素活性の測定方法。【選択図】なし

Description

本発明は、発色性基質を用いた発色検査法により微生物が産生する酵素の活性を測定する方法、及び当該方法に用いるチップ等に関する。
飲食品の安全のため、飲食品を製造する工場や製造された飲食品、水道設備等において、人体に対して有害な微生物の有無を検出する検査が行われている。特に、大腸菌(E.coli)は、糞便に多く存在しているため、食品衛生における糞便又は腸管系病原菌の汚染指標菌となっている。飲食品中から大腸菌が検出された場合には、当該飲食品の製造工程又は市場での流通工程において、非衛生的な取り扱いや腸管系病原菌による汚染の可能性が推測される。
微生物を検出する方法としては、例えば、培養してコロニー数を計数する培養法、微生物ゲノム中の特定のDNA配列からなる領域を定量的に検出するリアルタイムPCR法、微生物の表面抗原に対する抗原抗体反応を利用したELISA法やイムノクロマト法等がある。しかし、培養法は培養に長時間を要するため検査に時間がかかる。リアルタイムPCR法では、目的の微生物を特異的かつ高感度に検出できるものの、試薬コストが高く、リアルタイムPCRのための大型の装置が必要である。ELISA法は洗浄処理等の操作が煩雑であり、イムノクロマト法は比較的簡便であるが、感度と定量性に欠けるという問題がある。
そこで、現在の大腸菌等の微生物汚染検査には、測定に要する時間が短く、かつ操作が簡便であることから、酵素基質培地を用いた発色検査法が主流である(特許文献1)。発色検査法は、微生物が産生する酵素により発色物質を産生する発色性基質を含有する培地で被検試料を培養し、培養物中の発色物質の量を比色定量する方法である。例えば大腸菌検査の場合、β−グルクロニダーゼによって加水分解されると発色物質を産生する発色性基質を含有する培地で被検試料を培養する。当該被検試料中に大腸菌が含まれている場合には、大腸菌が産生したβ−グルクロニダーゼによって発色物質が産生される。したがって、培養物中の発色物質の量を比色定量することにより、当該被検試料中に大腸菌が含まれていたかどうかを検査することができる。酵素反応は特異的であり、発色性基質を含有する培地で培養することにより、飲食品中の大腸菌の有無を、迅速かつ容易に知ることができる。
また、自然界には、糞便由来の大腸菌以外にも多くの菌種が存在している。なかでも、大腸菌と同様に、グラム陰性の無芽胞桿菌であり、乳糖を分解して酸とガスを産生する好気性又は通性嫌気性の細菌の一群は、大腸菌群として一括されている。大腸菌群は共通してβ−ガラクトシダーゼを産生する。一方で、β−グルクロニダーゼは、腸内細菌の中で一部のサルモネラ、赤痢菌、エルシニアに認められるものの、原則として大腸菌のみが産生する。そこで、培地中にβ−グルクロニダーゼの発色性基質とβ−ガラクトシダーゼの発色性基質を含有させておくことにより、大腸菌群の有無と大腸菌の有無の両方を同時に検出することができる(特許文献2)。β−グルクロニダーゼの発色性基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3―インドリル−β−D−グルクロニドへキシル(X−Gluc)が汎用されている。β−ガラクトシダーゼの発色性基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3―インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)が汎用されており、用途に合わせて様々な合成基質や添加物が工夫されている(特許文献3)。
特許第5639791号公報 特許第4331582号公報 特許第4409068号公報
発色検査法では一般的に、マイクロプレートリーダーを利用して反応液の発色強度を測定している。マイクロプレートリーダーにより各反応液の発色強度を精度よく定量的に測定できるものの、マイクロプレートリーダーの多くは持ち運びが難しい大きさである。このため、マイクロプレートリーダーが設置されていない環境では、目視による評価となり、精度に問題がある。
本発明は、マイクロプレートリーダーのない環境下でも、発色検査法によって、簡便にかつ目視よりも精度よく酵素活性を測定する方法、及び当該方法に用いるチップ等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、マイクロウェルチップの各ウェルで発色反応を行った後、各ウェルの発色物質による発色の強度を、当該チップを撮影した画像の各ウェルの色強度に基づいて解析すること、これにより、マイクロプレートリーダーがなくとも発色検査法を実施できること、を見出した。さらに、当該マイクロウェルチップのウェル内に、発色用基質と被検試料のいずれか一方を多孔質膜に担持させておくことにより、より信頼性の高い検査結果が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の方法等を提供するものである。
[1] 酵素活性を、発色反応を利用して測定する方法であって、
底部が光透過性部材からなる平底のウェルを備えるマイクロウェルチップのウェル内で、発色性基質を担持した光透過性部材からなる多孔質膜と被検試料とを接触させ、又は、被検試料を担持した光透過性部材からなる多孔質膜と発色性基質とを接触させ、所定時間反応させた後、
前記ウェルをその天面又は底面から撮影し、撮像された画像中の前記ウェル領域の色強度に基づいて、前記被検試料の酵素活性を測定する、
酵素活性の測定方法。
[2] 前記多孔質膜がセルロース膜である、前記[1]の酵素活性の測定方法。
[3] 前記画像がRGB画像であり、前記画像中の前記ウェル領域の色強度が、R成分、G成分、及びB成分のいずれかの色成分の強度値である、前記[1]又は[2]の酵素活性の測定方法。
[4] 前記画像は、接写可能な撮像装置で撮影される、前記[1]〜[3]のいずれかの酵素活性の測定方法。
[5] 前記画像は、面発光型光源からの光を前記マイクロウェルチップの底面から照射した状態で、前記面発光型光源から放出される光以外の光が遮断された環境下で、前記マイクロウェルチップの天面側から、接写可能な撮像装置により撮像される、前記[4]の酵素活性の測定方法。
[6] 被検試料中の微生物が産生する酵素の活性を、前記[1]〜[5]のいずれかの酵素活性の測定方法により測定し、測定結果に基づいて、前記被検試料中の前記微生物を検出する、微生物の検出方法。
[7] 前記微生物が、大腸菌又は大腸菌群である、前記[6]の微生物の検出方法。
[8] 底部が光透過性部材からなる平底のウェルを備えるマイクロウェルチップと、
光透過性部材からなる多孔質膜と、
発色性基質と、
を備える、の酵素活性測定用キット。
[9] さらに、撮影補助具を備え、
前記撮影補助具は、前記マイクロウェルチップをウェルの深さ方向に光透過可能な状態に設置するチップ設置部を備える、前記[8]の酵素活性測定用キット。
[10] 前記撮影補助具が、光透過不能な箱体を備え、
前記箱体内に、前記チップ設置部と面発光型光源とが配置されており、
前記面発光型光源は、前記チップ設置部に設置されたマイクロウェルチップの深さ方向の一方側に、当該マイクロウェルチップに光照射可能な状態で配置されており、
前記箱体のうち、前記面発光型光源に前記深さ方向で対向する壁部には、前記箱体の内外を貫通する貫通孔が形成され、
前記壁部の外面は、撮像装置のレンズが、前記貫通孔を通して前記チップ設置部に設置されたマイクロウェルチップを撮像可能な状態に、前記撮像装置が設置される撮像装置設置部を構成している、
前記[9]の酵素活性測定用キット。
[11] 前記貫通孔に、拡大レンズが設置されている、前記[10]の酵素活性測定用キット。
[12] 前記撮像装置設置部は、前記撮像装置設置部は、前記箱体の前記面発光型光源に対向する壁部に、前記撮像装置が嵌め込み可能に構成されている、前記[10]又は[11]の酵素活性測定用キット。
[13] 前記撮影補助具が、光透過不能な箱体を備え、
前記箱体の天面の壁部に、前記箱体の内外を貫通し、前記マイクロウェルチップを嵌め込むチップ設置部が配置されており、
前記箱体内に、前記チップ設置部に設置されたマイクロウェルチップを撮像可能な状態で撮像装置が設置される撮像装置設置部が配置されている、
前記[9]の酵素活性測定用キット。
[14] 前記チップ設置部が、前記マイクロウェルチップを嵌め込む保持枠と、前記保持枠を下方から支持する脚部と、を備え、
前記脚部には、撮像装置をチップの下方まで進入させる開口部が形成されている、前記[9]の酵素活性測定用キット。
本発明に係る酵素活性の測定方法及びこれに用いるキットにより、マイクロプレートリーダーがなくとも、発色検査法によって酵素活性を簡便かつ精度よく測定することができる。また、当該方法等を利用することにより、大腸菌等の微生物を簡便かつ精度よく検出することができる。
本発明の第1の実施形態に係る撮影補助具1Aの、単体の断面図(A)及び使用時の断面図(B)である。 本発明の第1の実施形態の変形例である撮影補助具1Bの断面図である。 本発明の第1の実施形態の変形例である撮影補助具1Cの変形例の斜視図(A)及び断面図(B)である。 本発明の第2の実施形態に係る撮影補助具10Aの使用時の斜視図である。 製造例1で用いたマイクロウェルチップの斜視図である。 製造例1で用いたマイクロウェルチップのウェル部分の断面図である。 実施例1において、ウェル内の反応液のβ−ガラクトシダーゼ濃度とマイクロウェルチップ画像中の当該ウェルのR値の関係を示した図である。 実施例3において、ウェル内の反応液のβ−グルクロニダーゼ濃度とマイクロウェルチップ画像中の当該ウェルの補正後のR値の関係を示した図である。 実施例4において、マイクロウェルチップを有機ELパネルを備えた撮影補助具を用いてAutoモードで撮影した場合の、ウェル内の反応液のβ−グルクロニダーゼ濃度とマイクロウェルチップ画像中の当該ウェルの補正後のR値の関係を示した図である。 実施例4において、マイクロウェルチップを有機ELパネルを備えた撮影補助具を用いて曇りモードで撮影した場合の、ウェル内の反応液のβ−グルクロニダーゼ濃度とマイクロウェルチップ画像中の当該ウェルの補正後のR値の関係を示した図である。 実施例4において、マイクロウェルチップを白色LEDパネルを備えた撮影補助具を用いてAutoモードで撮影した場合の、ウェル内の反応液のβ−グルクロニダーゼ濃度とマイクロウェルチップ画像中の当該ウェルの補正後のR値の関係を示した図である。 実施例4において、マイクロウェルチップを白色LEDパネルを備えた撮影補助具を用いて曇りモードで撮影した場合の、ウェル内の反応液のβ−グルクロニダーゼ濃度とマイクロウェルチップ画像中の当該ウェルの補正後のR値の関係を示した図である。 実施例5において、マイクロウェルチップを有機ELパネル又は白色LEDパネルを備えた撮影補助具を用いて、Autoモード又は曇りモードで撮影した場合の、マイクロウェルチップ画像中の大腸菌試料を入れたウェル及びブランクウェルの補正後のR値の経時的変化を示した図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<酵素活性の測定方法>
本実施形態の酵素活性の測定方法は、測定対象の酵素に対する発色性基質を使用し、反応液の発色強度に基づいて当該酵素の活性を測定する方法であって、マイクロウェルチップのウェル内で発色反応を行った後、反応液の発色強度を、当該マイクロウェルチップを撮像した画像の画像解析により求めることを特徴とする。当該方法は、汎用されている小型の撮像装置と画像解析装置を利用できる点が大きな利点である。
例えば従来は、被検試料の酵素活性を測定する場合には、マイクロプレートリーダーのような専用機器のある施設に送られ、当該施設内で発色検査が行われていた。これに対して、本実施形態の酵素活性の測定方法では、サンプリングした被検試料は直ちにその場で発色反応を行い、撮像装置で画像を取得することができる。取得された画像の解析は、発色反応を行った場に画像解析アプリケーションが格納されたパーソナルコンピュータ、又は外部の画像解析装置にネットワークを介して接続可能なパーソナルコンピュータがあれば、その場で画像解析を行い、検査結果を得ることもできる。
本実施形態の酵素活性の測定方法において活性を測定する酵素は、特に限定されるものではないが、特定の種類の微生物に特有の酵素であって、当該微生物の検出に利用されるものが好ましい。本実施形態の酵素活性の測定方法は、従来の発色検査と同様に、微生物検出に有用である。なかでも、飲食品を製造する工場や製造された飲食品、水道設備等において、人体への安全性確保の点から検査が必要とされている微生物の検出に利用できる酵素であることが好ましい。当該微生物としては、例えば、大腸菌を含む大腸菌群、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ等が挙げられる。なかでも、従来の発色検査法が汎用されている大腸菌又は大腸菌群であることが好ましい。
大腸菌の検出を目的とする場合、本実施形態の酵素活性の測定方法において活性を測定する酵素としては、例えば、β−グルクロニダーゼが挙げられる。大腸菌群の検出を目的とする場合、本実施形態の酵素活性の測定方法において活性を測定する酵素としては、例えば、β−ガラクトシダーゼが挙げられる。
発色性基質としては、測定対象の酵素の基質に発色物質を結合したものであれば、特に限定されるものではなく、従来の発色検査法で使用されている発色性基質又はその改変体から適宜選択して用いることができる。例えば、β−グルクロニダーゼの酵素活性を測定する場合には、当該酵素による加水分解によって発色するX−Gluc、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、5−ブロモ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、3−インドリル−β−D−グルクロニド、p−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド、又はこれらの塩が挙げられる。また、大腸菌群を検出する場合には、β−ガラクトシダーゼによる加水分解によって発色するX−Gal、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)、又はこれらの塩が挙げられる。
本実施形態の酵素活性の測定方法に供される被検試料は、活性を測定する目的の酵素を含む可能性のある試料であれば特に限定されるものではなく、液状であってもよく、固体であってもよい。本実施形態の酵素活性の測定方法としては、被検試料は、生物汚染が疑われる試料であることが好ましい。微生物汚染が疑われる被検試料としては、例えば、飲食品自体、飲食品等の製造工場や上水道設備の配管等のスメアや洗浄液などが挙げられる。
被検試料は、発色反応に供される前に、反応用溶媒で希釈しておくことが好ましい。反応用溶媒としては、発色反応や発色性基質から産生される発色物質の発色に影響しない水系溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等のリン酸バッファーや、トリス緩衝生理食塩水(TBS)等のトリスバッファーなどが挙げられる。
本実施形態の酵素活性の測定方法において、マイクロウェルチップ中の個々のウェルが、発色反応の反応容器となる。当該ウェルの形状や大きさは特に限定されるものではなく、例えば、内径が5〜15mm、深さ5〜20mmの円柱形とすることができる。また、マイクロウェルチップ1個当たり、複数のウェルを備えることが好ましく、チップ1個当たりのウェルの数は、4個以上が好ましく、4〜25個がより好ましい。例えば、40mm四方の大きさのマイクロウェルチップに、内径5mmのウェルでは4〜25個程度、60mm四方の大きさのマイクロウェルチップに、内径15mmのウェルでは4〜9個程度、設けることができる。
本実施形態の酵素活性の測定方法においては、発色性基質と被検試料のいずれか一方を、予め多孔質膜に担持させておく。発色性基質又は被検試料を担持させた多孔質膜は、マイクロウェルチップのウェル内のうち、平底に平行に置かれることが好ましく、ウェルの内底面に接するように置かれることが好ましい。これにより、発色性基質と被検試料を反応用溶媒に添加した反応溶液中で発色反応を行った場合よりも、再現性が高く信頼性の高い測定結果が得られる。この理由は明らかではないが、多孔質膜に照射された光は膜内部で乱反射し、均一な強度となって透過するため、複数のウェルの光強度を一定にする効果があるためと推察される。そのため、面発光型光源の光強度のムラに起因する測定値のばらつきを低減できる。
多孔質膜への発色性基質の担持は、例えば、発色性基質を溶解させた溶液を多孔質膜に吸収させた後、溶媒を除去することにより行うことができる。溶媒の除去は、例えば、加熱乾燥処理により行うことができる。加熱乾燥処理における加熱温度は、発色性基質を損なわず、かつ溶媒を蒸発させることが可能な温度で行う。
被検試料を担持させる多孔質膜としては、その膜細孔の孔径が、被検試料中に含まれている酵素や微生物を捕捉可能な程度の大きさのものを用いる。具体的には、細孔の孔径が0.1〜10μm程度のいわゆるミクロフィルター(MF)膜を用いることが好ましい。当該多孔質膜としては、具体的には、セルロース膜、ニトロセルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリエーテルスルホン酸膜、ポリアクリロニトリル膜、ポリプロピレン膜、ポリスルホン膜、ポリエチレン膜等のMF膜を用いることができる。
多孔質膜への被検試料の担持は、例えば、PBS等の溶媒で希釈した被検試料を、多孔質膜で濾過するメンブレンフィルター法により行うことができる。濾過処理により、被検試料中の液性成分と希釈に用いた溶媒は多孔質膜を透過し、酵素や微生物は多孔質膜の細孔に捕捉される。濾過処理は、自然濾過であってもよく、加圧濾過であってもよく、減圧濾過であってもよい。
本実施形態の酵素活性の測定方法においては、発色反応後のウェルを撮像するため、底部が光透過性部材からなる平底のウェルを備えるマイクロウェルチップのウェル内で発色反応を行う。ウェルの底部を構成する光透過性部材は、当該マイクロウェルチップを撮像した画像において、ウェル領域の輝度が、当該ウェル内の反応液の着色変化が解析できる程度であればよく、使用する撮像装置、光源の照度、ウェルの底部におく多孔質膜の種類等を考慮して適宜選択される。すなわち、底部の部材は、遮光性部材でなければよく、当該ウェルの底部に何も担持していない多孔質膜を置いた状態で撮像装置により撮像した場合に、撮像された画像中のウェル部分の輝度値が60〜200となるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、無色透明なガラス板や樹脂板であってもよく、半透明や白色不透明な樹脂薄膜であってもよい。底部が半透明又は不透明なウェルの場合には、底部が無色透明なウェルの場合よりも、光源からの照度を強くすることにより、画像解析に十分な輝度を確保することができる。
同様に、発色性基質又は被検試料を担持させる多孔質膜も、光透過性部材からなる。当該多孔質膜を構成する光透過性部材は、ウェルの底部に何も担持していない多孔質膜を置いた状態で当該マイクロウェルチップを撮像した画像において、ウェル領域の輝度が、当該ウェル内の反応液の着色変化が解析できる程度、具体的には輝度値が60〜200となるものであればよく、使用する撮像装置、光源の照度、ウェルの底部の光透過度等を考慮して適宜選択される。充分な光透過性があり、かつ発色性基質又は被検試料中の微生物の保持性も良好であることから、本実施形態の酵素活性の測定方法において用いられる多孔質膜としては、セルロース膜が好ましく、白色濾紙がより好ましい。
発色反応は、マイクロウェルチップのウェル内で、発色性基質を担持した多孔質膜と被検試料とを接触させ、又は、被検試料を担持した多孔質膜と発色性基質とを接触させ、所定時間反応させることにより行う。具体的には、発色性基質を担持した多孔質膜が内底部に置かれたウェルに、反応用溶媒で希釈した被検試料を注入する、又は、被検試料を担持した多孔質膜が内底部に置かれたウェルに、発色性基質を反応用溶媒に溶解させた溶液を注入することにより行う。発色反応は、発色性基質を担持した多孔質膜と被検試料を担持した多孔質膜を重ねて内底部に置かれたウェルに、反応用溶媒を注入してもよい。ウェルに注入する溶液は、内底部の多孔質膜を完全に浸漬させるために必要十分な量であることが好ましい。
発色反応の反応時間は、5分間〜36時間が好ましく、10分間〜24時間がより好ましい。また、発色反応は、恒温装置内で行ってもよく、温度制御をしていない環境下(例えば、室温)で行ってもよい。恒温装置内で行う場合、反応温度は、20〜42℃が好ましく、28〜37℃がより好ましい。
発色反応の終了後、反応溶液の発色強度を、マイクロウェルチップのウェルをその天面又は底面から撮影し、撮像された画像を画像解析することにより測定する。発色反応により産生された発色物質の量依存的に、撮像された画像中のウェル領域の色強度は強くなる。つまり、撮像された画像中の発色反応を行ったウェル領域の色強度に基づいて、当該被検試料の酵素活性を測定することができ、ひいては当該被検試料に含まれている微生物を検出することができる。
マイクロウェルチップのウェルの撮影は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備えたカメラのような汎用されている撮像装置によって行うことができる。ウェルの画像解析の再現安定性の点から、各ウェルは、撮影倍率が比較的高い方が好ましい。このため、ウェルの撮影は、接写可能な撮像装置で行われることが好ましく、接写可能な撮像装置のカメラにさらに拡大レンズを設置してもよい。拡大レンズを設置することにより、より近接でも撮影が可能となる。また、光強度に合わせて、撮影モードを適宜調節することができる。
マイクロウェルチップのウェルは、チップの深さ方向のうち、天面側から撮影してもよく、底面側から撮影してもよい。自然光を利用して撮影する場合、マイクロウェルチップの天面から自然光が入射する状態で、当該マイクロウェルチップの底面側から撮像される。ここで、自然光には、太陽光等の自然に由来する光のみならず、室内光のような撮影のために設けた光源以外の人工光源の光も含まれる。また、マイクロウェルチップのウェルは、チップの深さ方向のうちの一方側に光源を設置し、他方側から撮像することもできる。当該光源としては、チップ中のそれぞれのウェルに等量の光が照射されるように、面発光型光源であることが好ましい。面発光型光源としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等が挙げられる。
撮像された画像中のウェル領域の色強度は、撮像時の光照射条件によって影響を受ける。このため、方法の再現安定性の点から、各ウェルへの光照射条件は一定であることが好ましい。例えば、ウェルの天面側又は底面側から入射する光の照射条件を一定とし、かつウェルの天面側及び底面側以外の方向から入射する光を遮断することにより、各ウェルへの光照射条件を揃えることができる。中でも、面発光型光源からの光をマイクロウェルチップの底面から照射した状態で、当該面発光型光源から放出される光以外の光が遮断された環境下で、当該マイクロウェルチップの天面側から、接写可能な撮像装置により撮像することが好ましい。マイクロウェルチップは、面発光型光源に直接載せ置くか、近接して置くことが好ましい。
ウェル領域の色強度は、撮像された画像がRGB画像の場合には、当該画像中のウェル領域の色強度が、R成分、G成分、及びB成分のいずれかの色成分の強度値として測定できる。いずれの色成分とするかは、発色反応により産生される発色物質の色に基づいて決定してもよい。例えば、発色物質が黄色のo−ニトロフェノールの場合には、R成分の強度値に基づいて、ウェル領域の色強度を決定することができる。また、発色物質が青色のブロモクロロインジゴの場合には、ウェル領域の色強度の決定を、B成分の強度値に基づいて行ってもよく、画像の色相を増大させた後に階調を反転させた補正画像のR成分の強度値に基づいて行ってもよい。画像中のウェル領域の色強度の解析は、イメージセンシング2019(アーズ社製)、Adobe(登録商標) Photoshop(Adobe Systems社製)、ImageJ (Image Processing and Analysis in Java)などの汎用されている画像解析ソフトウェアを用いて常法により行うことができる。
ウェル領域の色強度は、当該ウェル内で行われた発色反応により産生された発色物質の量に依存し、反応溶液内の酵素量に依存する。そして、反応に供した被検試料に含まれている微生物の量が多いほど、反応溶液内の酵素量が多くなり、ウェル領域の色強度が強くなる。このため、反応溶液内の酵素量(unit/mL)とウェル領域の色強度との関係を示す検量線に基づいて、当該ウェル領域の色強度値から被検試料に含まれている酵素活性の強度を測定することができ、ひいては被検試料に含まれている微生物の量を定量することができる。当該検量線は、予め作成されていたものを用いてもよく、検量線作成のための発色反応を、被検試料を添加した発色反応を行うウェルと同じチップ中の別のウェルにて同時に行ってもよい。検量線は、濃度既知の精製酵素を用いて、発色反応やその後の撮像及び画像解析を被検試料と同じ条件で行い、作製することができる。
被検試料に所定の量の目的の微生物が存在しているか否かを検出する場合には、当該所定量の目的の微生物を含む反応溶液の色強度値を予め設定し、この設定された色強度値を閾値として設定する。被検試料を添加したウェルの色強度値が、当該閾値以上の場合には、当該被検試料には当該所定の量の目的の微生物が存在していると判定し、当該閾値未満の場合には、当該被検試料には所定の量の目的の微生物は存在していない、と判定する。
また、被検試料間のばらつきや、チップにおけるウェルの位置によるばらつきを解消するために、被検試料の測定は、サンプル数(n)を2以上で行うことが好ましい。被検試料のウェル領域の色強度値は、全てのサンプルの平均値とすることができる。
撮像されたマイクロウェルチップの画像の画像解析は、画像解析部及び結果表示部を備える情報処理装置を用いて行うことができる。当該情報処理装置としては、例えば、画像解析ソフトウェアが搭載された表示部を備えるパーソナルコンピュータが挙げられる。
画像解析部は、画像解析ソフトウェアを使用して撮像された画像データを解析する装置である。当該画像解析部において、撮像された画像中のウェル領域のR成分、G成分、及びB成分のいずれかの色成分の強度値を測定する。画像解析部においては、さらに、得られた色成分の強度値に基づいて、被検試料の酵素活性の強さを測定することができ、目的の微生物が検出されたか否かを決定することもできる。
結果表示部は、画像解析部において得られた結果を表示する表示装置である。当該表示装置としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の汎用されている表示装置を使用することができる。
マイクロウェルチップを撮影する撮像装置は、画像解析部及び結果表示部を備えていてもよい。マイクロウェルチップの撮影を、画像解析部及び結果表示部を備える撮像装置を用いて行うことにより、撮影後に速やかに画像解析を行い、被検試料に含まれている測定対象の酵素の活性を評価することができる。画像解析部及び結果表示部を備える撮像装置としては、例えば、カメラ機能と画像解析ソフトウェアが搭載された表示部を備えるパーソナルコンピュータが挙げられる。
また、マイクロウェルチップを撮影する撮像装置は、通信部及び結果表示部を備えるものであってもよい。通信部及び結果表示部を備える撮像装置としては、例えば、カメラ機能が搭載されたスマートフォンやタブレットコンピュータ等が挙げられる。
当該撮像装置により撮像された画像は、通信インタフェースからなる通信部からネットワークを介して外部の画像解析装置へ送信される。この外部の画像解析装置において、マイクロウェルチップの画像中のウェル領域のR成分、G成分、及びB成分のいずれかの色成分の強度値を測定し、得られた色成分の強度値に基づいて、被検試料の酵素活性を測定することができ、さらに当該被検試料から目的の微生物が検出されたか否かも決定できる。得られた結果は、当該画像解析装置から撮像装置の通信部へ送信され、送信された結果が、結果表示部に表示される。
<撮影補助具>
前記酵素活性の測定方法において、前記マイクロウェルチップを接写可能な撮像装置で撮影する際には、マイクロウェルチップをウェルの深さ方向に光透過可能な状態に設置するチップ設置部を備える撮影補助具を用いることができる。このような撮影補助具を用いることにより、撮像条件を一定にし、測定間誤差を小さくすることができる。
図1(A)に、第1の実施形態に係る撮影補助具1Aを図示する。図1(B)は、撮影補助具1Aにマイクロウェルチップ3と撮像装置2を設置した、撮影時の態様の断面図である。図1に示す撮影補助具1Aは、光透過不能な箱体5aの内部に、マイクロウェルチップ3と面発光型光源6aを配置し、当該面発光型光源の光のみを利用して撮像装置2で撮像する。外部からの光を排除した箱体5a内で撮影するため、撮影時のマイクロウェルチップへの光照射条件が制御でき、より測定間のばらつきが小さく、信頼性の高い検出結果が得られる。
面発光型光源6aは、チップ設置部4に設置されたマイクロウェルチップ3の深さ方向の一方側に、当該マイクロウェルチップに光照射可能な状態で配置される。図1に示すように、面発光型光源6aは、マイクロウェルチップ3の底面側に配置することが好ましく、面発光型光源6aの発光面とマイクロウェルチップ3の底面とが接するように配置することがより好ましい。発光型光源6aの発光面にマイクロウェルチップ3を載せ置いた場合、面発光型光源6aの発光面がチップ設置部4として機能する。面発光型光源6aの発光面の特定の位置にマイクロウェルチップ3を設置するように、当該発光面上に別途、マイクロウェルチップを嵌め込む枠や固定爪からなるチップ設置部4を設けてもよい。
箱体5のうち、マイクロウェルチップ3の深さ方向に対して面発光型光源6に対向する壁部には、箱体5の内外を貫通する貫通孔7が形成されている。撮像装置2のレンズは、貫通孔7を通して箱体5の内部を望む。つまり、貫通孔7とチップ設置部4は、撮像装置2のレンズが、貫通孔7を通してチップ設置部4に設置されたマイクロウェルチップ3を撮像可能な状態となる位置に設けられる。また、貫通孔7には、拡大レンズ9を設けてもよい。箱体5の貫通孔7が形成された壁部の外面は、撮像装置2のレンズが貫通孔7を通して箱体5の内部を撮像可能なように撮像装置2が設置される撮像装置設置部8aを構成している。
第1の実施形態に係る撮影補助具1においては、マイクロウェルチップ3に照射される光が面発光型光源6からの光のみであればよく、面発光型光源6はその一部が箱体5の内部にあればよく、必ずしも全体が箱体5の内部に存在していなくてもよい。例えば、図2に示す撮影補助具1Bのように、面発光型光源6bに、底面のない箱体5bを被せてもよい。
撮像装置設置部8は、撮像装置2を設置した状態で、外部の光が貫通孔7を透過して箱体5の内部に照射されないように、撮像装置2が貫通孔7を塞ぐように設置できる形状であれば特に限定されるものではない。一例として、撮影補助具1Cの斜視図を図3(A)に、断面図を図3(B)に示す。撮影補助具1Cにおいては、撮像装置設置部8cは、箱体5cの面発光型光源6cに対向する壁部に、撮像装置2が嵌め込み可能に凹部として構成されている。
図4に、第2の実施形態に係る撮影補助具10Aを図示する。撮影補助具10Aは、チップ設置部11が、マイクロウェルチップ3を嵌め込む保持枠11aと、保持枠11aを下方から支持する脚部11bと、を備える。脚部11bには、撮像装置2のレンズが保持枠11aに嵌め込まれたマイクロウェルチップ3を撮像可能なように、撮像装置2をマイクロウェルチップ3の下方まで進入させる開口部が形成されている。脚部11bは、保持枠11aに保持されたマイクロウェルチップ3が、撮像装置2のカメラレンズに対して平行になるように支えることができる部材であればよい。図4に示す4本の柱状部材以外にも、3本の柱状部材であってもよく、板状部材であってもよい。
マイクロウェルチップ3を保持枠11aに嵌め込まれた撮影補助具10Aを、撮像装置2のレンズに被せた状態で、マイクロウェルチップ3の天面から入射する自然光を利用してマイクロウェルチップ3のウェルを撮影する。マイクロウェルチップ3の天面からの入射光は、天面側に設置した人工光源から照射される光であってもよい。
撮影補助具1の箱体5の高さ、及び撮影補助具10の脚部11bの高さは、撮像装置2がマイクロウェルチップ3を撮影する撮影距離を決定する。撮像装置2が接写可能な撮像装置の場合、箱体5及び脚部11bの高さは、3〜10cmが好ましく、3〜6cmがより好ましい。
<キット>
本実施形態の酵素活性の測定方法は、これに使用する被検試料以外の部材や試薬をキット化することにより、当該方法をより簡便に実施することができる。例えば、底部が光透過性部材からなる平底のウェルを備えるマイクロウェルチップと、光透過性部材からなる多孔質膜と、発色性基質とを、酵素活性測定用キットとしてキット化することができる。当該キットには、前記の撮影補助具を備えてもよい。その他、さらに、反応用溶媒や、被検試料を多孔質膜に担持させる際の濾過処理に使用される加圧濾過装置や吸引濾過装置等を備えていてもよい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以降の実験において、使用したマイクロウェルチップの各ウェルは、行番号と列番号で特定した。具体的には、左からX行目の上からY番目のウェルをウェルXY(XとYは自然数)と表記した。
[製造例1]
マイクロウェルチップを作製し、ウェルの底部及び多孔質膜の光透過性を調べた。
まず、50mm四方の厚み3mmのアクリル板を加工して、直径13mmの貫通孔を2mm間隔で3列×3行の合計9個形成した基板を作製した。この基板の底面に、貫通孔を塞ぐようにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープ(製品名:チューコーフローテープ、中興化成工業社製、厚み:80μm)をはって固定した。この基板をマイクロウェルチップとし、一方の開口部をPTFEテープで塞いだ貫通孔がウェルとし、PTFEテープがウェルの底部とした。作製されたマイクロウェルチップの上面図を図5に示す。
作製したマイクロウェルチップの底部及びウェル内に入れる多孔質膜の光透過性を調べた。多孔質膜としては、セルロースシート(製品名:定量濾紙No.5A、ADVANTEC社製、厚み220μm/細孔7μm)と、メンブランフィルター(ADVANTEC社製、厚み35μm/細孔1μm)を用いた。これらの多孔質膜を、ウェル(貫通孔)と同じ大きさに打ち抜き、ウェル内の底面に設置した。多孔質膜を内底面に敷いたウェルの断面図を図6に示す。
マイクロウェルチップのウェルのうち、1つは底部となるPTFEテープを外し、1つは多孔質膜なしとし、1つは1枚のセルロースシートを底部に敷き、1つは1枚のセルロースシートと1枚のメンブランフィルターを重ねて底部に敷いた。次いで、このマイクロウェルチップを、図1に示す撮影補助具(ただし、箱体の高さ:7cm、面発光型光源:有機ELパネル、拡大レンズなし)の有機ELパネルに載せ置き、カメラ搭載の市販のスマートフォン(幅約7cm、長さ約13cm)を用いて撮影した。スマートフォンのカメラレンズとマイクロウェルチップの間の撮影距離は約5cmであった。
撮像した画像中のウェル領域の輝度を、市販の画像解析ソフトウェア(製品名: Photoshop、Adobe Systems社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2020129984
画像の輝度は一般的に、0(暗)〜256(明)の範囲内で相対値として表示される。即ち、測定環境が同じ条件下であれば、ウェルが光透過性の低い材料で充填される程、撮像した画像中のウェル領域の輝度は0へ減少する。一方、光透過性の高い材料で充填される程、輝度は256へ増加していく。ウェルの底部及び多孔質膜の光透過性は、ウェル領域の輝度値で相対的に評価した。ウェル領域の輝度値が小さ過ぎる画像や白過ぎる画像では、ウェル領域の着色変化の解析が困難となる。PTFEテープを底部とし、多孔質膜としてセルロースシートとメンブランフィルターを使用したウェルは、撮像した画像の輝度値が60〜200であり、発色反応を行った場合に反応液の着色変化を画像解析で検出できることが確認された。
[実施例1]
50mm四方のアクリル板に代えて40mm四方のアクリル板を用い、ウェルとする貫通孔の内径を13mmから10mmとし、PTFEテープで形成したウェルの内底部にウェルの内径と同じ大きさのセルロースシートを1枚置いた以外は製造例1と同様にして、3行×3列のウェルが形成されたマイクロウェルチップを作製した。このマイクロウェルチップを用いて、β−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定した。β−ガラクトシダーゼは、pH7.3、37℃で1分間に1μmolのo−ニトロフェノールを生成する酵素量を1unitとする精製酵素を用いた。
1.0×10−2MのONPG溶液(ONPGを1.0×10−2Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり50μLずつウェル内のセルロースシートに滴下し、70℃で加熱して水分を蒸散させて、ONPGを当該セルロースシートに担持させた。次いで、β−ガラクトシダーゼ溶液(所定の濃度となるようにβ−ガラクトシダーゼをPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつ注入した。ウェル11及びウェル12には1unit/mLのβ−ガラクトシダーゼ溶液を、ウェル13及びウェル21には0.5unit/mLのβ−ガラクトシダーゼ溶液を、ウェル22及びウェル23には0.1unit/mLのβ−ガラクトシダーゼ溶液を、ウェル31及びウェル32には0.01unit/mLのβ−ガラクトシダーゼ溶液を、ウェル33にはブランクとして等量のPBSを、それぞれ注入した。β−ガラクトシダーゼ溶液注入後、室温で10分間反応させた。反応終了後、当該マイクロウェルチップを、製造例1で使用した撮影補助具を用いて製造例1と同じ撮影条件で撮影した。
撮像した画像を、画像解析ソフトウェア(製品名:イメージングセンシング2019、アーズ社製)を用いて解析し、それぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2020129984
表2の測定結果について、β−ガラクトシダーゼ濃度とR値の関係を図7に示す。図7(A)は表2中のセットAのサンプルの結果を、図7(B)は表2中のセットBのサンプルの結果を、図7(C)は表2中のセットAとセットBのサンプルの平均の結果を、それぞれ示す。図7に示すように、セットAとセットB(いずれもn=1)のβ−ガラクトシダーゼ濃度とR値は、寄与率rが0.95以上と高い相関があった。当該結果から、本実験で撮像した画像中のウェル領域のR値は、n=1であっても、ウェル中のβ−ガラクトシダーゼ濃度と高い相関があり、R値に基づいてβ−ガラクトシダーゼ濃度を測定できることが確認された。また、セットAとセットBにおいて、β−ガラクトシダーゼ濃度が同じウェル同士はR値も同程度であり、ウェルのチップ中の位置の影響もあまりないことも確認された。さらに、セットAとセットBの平均値(n=2)は、rがほぼ1であり、n=1のセットA及びセットBよりも寄与率が大きかったことから、n数が大きいほど相関も高くなることが確認された。
[比較例1]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップを用いて、実施例1で使用したβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定した。具体的には、ウェルにセルロースシートをひかず、ONPGをウェルの内底面に直接滴下し、水分を蒸散させてONPGを内底面に直接固定した以外は、実施例1と同様にして発色反応を行い、反応終了後、当該マイクロウェルチップを、実施例1で使用した撮影補助具を用いて実施例1と同じ撮影条件で撮影した。撮像した画像を実施例1と同様にして解析し、それぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2020129984
表3の測定結果について、β−ガラクトシダーゼ濃度(y)とR値(x)の関係を調べたところ、回帰直線と寄与率は表4に示す通りとなった。このように、多孔質膜を使用せず、ウェル底面に直接発光性基質を固定した条件では、画像解析により得られるR値と発光反応の反応液中の酵素活性との相関性が低く、当該方法では酵素活性を精度よく測定することは困難であった。
Figure 2020129984
[比較例2]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップを用いて、実施例1で使用したβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定した。具体的には、ウェルにセルロースシートをひかず、ONPGをウェルの内底面に直接滴下し、加熱蒸散させずにβ−ガラクトシダーゼ溶液を注入した以外は、実施例1と同様にして発色反応を行い、反応終了後、当該マイクロウェルチップを、実施例1で使用した撮影補助具を用いて実施例1と同じ撮影条件で撮影した。撮像した画像を実施例1と同様にして解析し、それぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表5に示す。
Figure 2020129984
表5の測定結果について、β−ガラクトシダーゼ濃度(y)とR値(x)の関係を調べたところ、回帰直線と寄与率は表6に示す通りとなった。このように、多孔質膜を使用せず、発光性基質を固定せず、溶液中で発光性基質と酵素を接触させた条件では、画像解析により得られるR値と発光反応の反応液中の酵素活性との相関性が低く、当該方法では酵素活性を精度よく測定することは困難であった。
Figure 2020129984
[実施例2]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップを用いて、実施例1で使用したβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定した。具体的には、マイクロウェルチップの撮像時に、図4に示す撮影補助具(ただし、脚部の高さ:4cm、光源:チップ上方からの自然光)を用い、かつスマートフォンのカメラレンズに拡大レンズを装着した以外は実施例1と同様にして、発色反応を行い、反応終了後、当該マイクロウェルチップを実施例1と同じ撮影条件で撮影した。拡大レンズとマイクロウェルチップの間の撮影距離は約2cmであった。撮像した画像を実施例1と同様にして解析し、それぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表7に示す。
Figure 2020129984
表7の測定結果について、β−ガラクトシダーゼ濃度(y)とR値(x)の関係を調べたところ、回帰直線と寄与率は表8に示す通りとなった。セットAはrが0.8未満であったが、セットBは0.9弱であり、かつセットAとセットBの平均値(n=2)もrが0.9弱と高く、ウェル中のβ−ガラクトシダーゼ濃度と高い相関があった。これらの結果から、マイクロウェルチップの上面からの自然光の照射環境下で撮像された画像に基づいても、R値に基づいてβ−ガラクトシダーゼ濃度を測定できることが確認された。
Figure 2020129984
[実施例3]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップを用いて、β−グルクロニダーゼの酵素活性を測定した。β−グルクロニダーゼは、pH5.0、37℃で60分間に1μgのフェノールフタレインを生成する酵素量を1unitとする精製酵素を用いた。
1.0×10−4MのX−Gluc溶液(X−Glucを1.0×10−4Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつウェル内のセルロースシートに滴下し、70℃で加熱して水分を蒸散させて、X−Glucを当該セルロースシートに担持させた。次いで、β−グルクロニダーゼ溶液(所定の濃度となるようにβ−グルクロニダーゼをPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつ注入した。ウェル11及びウェル22には1000unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、ウェル12及びウェル31には750unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、ウェル13及びウェル23には500unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、ウェル21及びウェル32には100unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、ウェル33にはブランクとして等量のPBSを、それぞれ注入した。β−グルクロニダーゼ溶液注入後、37℃で60分間反応させた。反応開始から15分後、30分後、及び60分後に、当該マイクロウェルチップを、製造例1で使用した撮影補助具を用いて製造例1と同じ撮影条件で撮影した。
撮像した画像を、画像解析ソフトウェア(製品名:イメージングセンシング2019、アーズ社製)を用いて、色相を増大させた後に階調反転を行い、画像を補正した。補正後の画像を解析してそれぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表9に示す。
Figure 2020129984
表9の測定結果について、β−グルクロニダーゼ濃度と補正後の画像のR値の関係を図8に示す。図8(A)は反応開始から15分後のサンプルの結果を、図8(B)は30分後のサンプルの結果を、図8(C)は60分後のサンプルの平均の結果を、それぞれ示す。図8に示すように、反応開始から15〜60分後のいずれにおいても、撮像した画像中のウェル領域のR値は、ウェル中のβ−グルクロニダーゼ濃度と高い相関があり、R値に基づいてβ−グルクロニダーゼ濃度を測定できることが確認された。
[実施例4]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップ8枚を用いて、実施例3で使用したβ−グルクロニダーゼの酵素活性を測定した。撮影補助具としては、実施例1で用いた撮影補助具(箱体の高さ:7cm、面発光型光源:有機ELパネル、拡大レンズなし)、又は図2に記載の撮影補助具(ただし、箱体の高さ:7cm、面発光型光源:白色LEDパネル、拡大レンズなし)を用いた。いずれも、スマートフォンのカメラレンズとマイクロウェルチップの間の撮影距離は約5cmであった。
1.0×10−4MのX−Gluc溶液(X−Glucを1.0×10−4Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつウェル内のセルロースシートに滴下し、70℃で加熱して水分を蒸散させて、X−Glucを当該セルロースシートに担持させた。次いで、ウェル11、ウェル13、ウェル31、及びウェル33にはβ−グルクロニダーゼ溶液(所定の濃度となるようにβ−グルクロニダーゼをPBSに溶解させた溶液)を、ウェル12、ウェル21、ウェル23、及びウェル32にはPBSを、それぞれ1ウェル当たり200μLずつ注入した(n=4)。マイクロウェルチップ8枚のうち、2枚には1000unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、2枚には750unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、2枚には500unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、残る2枚には100unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、それぞれ注入した。β−グルクロニダーゼ溶液注入後、37℃で60分間反応させた。反応開始から15分後、30分後、及び60分後に、当該マイクロウェルチップを、製造例1で使用した撮影補助具又は図2に記載の撮影補助具を用いて、Auto(自動補正)モード又は曇りモードで撮影した。
撮像した画像を実施例3と同様にして補正し、補正後の画像を解析してそれぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。マイクロウェルチップごとに、β−グルクロニダーゼを含む反応液を注入した4ウェルのR値の平均値と、ブランクの4ウェルのR値の平均値とを求め、ブランクのR値を1とした相対R値を求めた。図9には、有機ELパネルを備えた撮影補助具を用いてAutoモードで撮影した補正後の画像の相対R値を、図10には、有機ELパネルを備えた撮影補助具を用いて曇りモードで撮影した補正後の画像の相対R値を、図11には、白色LEDパネルを備えた撮影補助具を用いてAutoモードで撮影した補正後の画像の相対R値を、図12には、白色LEDパネルを備えた撮影補助具を用いて曇りモードで撮影した補正後の画像の相対R値を、それぞれ示す。図9〜12中、(A)は反応開始から15分後のサンプルの結果を、(B)は30分後のサンプルの結果を、(C)は60分後のサンプルの平均の結果を、それぞれ示す。図9〜12に示すように、いずれの撮影条件であっても、反応開始から15〜60分後のいずれにおいても、反応開始から15〜60分後のいずれにおいても、撮像した画像中のウェル領域の相対R値は、ウェル中のβ−グルクロニダーゼ濃度と高い相関があり(rが0.8以上)、R値に基づいてβ−グルクロニダーゼ濃度を測定できることが確認された。
[実施例5]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップ2枚を用い、実施例4で使用した2種類の撮影補助具を用いて、大腸菌を含む試料の酵素活性を測定した。
マスタープレートから帯状に生育した大腸菌をスパーテルで採取し、5mL容チューブ(2mLのPBS入り)に入れて撹拌したものを、大腸菌試料原液とした。
表10に示すように、1質量%塩化バリウム水溶液と1質量%硫酸水溶液とを適宜混合してマクファーランド濁度標準液(No 0.5、1、2、3)を調製した。各濁度標準液の濁度を分光光度計で測定し、検量線を作成した。この検量線に基づいて、大腸菌試料原液をPBSで適宜希釈して、推定生菌数9.0×10CFU/mLの大腸菌試料を作製した。
Figure 2020129984
1.0×10−4MのX−Gluc溶液(X−Glucを1.0×10−4Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつウェル内のセルロースシートに滴下し、70℃で加熱して水分を蒸散させて、X−Glucを当該セルロースシートに担持させた。次いで、ウェル11、ウェル13、ウェル31、及びウェル33には大腸菌試料を、ウェル12、ウェル21、ウェル23、及びウェル32にはPBSを、それぞれ1ウェル当たり350μLずつ注入した(n=4)。β−グルクロニダーゼ溶液注入後、37℃で8時間反応させた。反応開始から0.5時間後、2時間後、4時間後、6時間後、及び8時間後に、当該マイクロウェルチップを、実施例4で使用した2種類の撮影補助具を用いて、Auto(自動補正)モード又は曇りモードで撮影した。
有機ELパネルを用いた撮影補助具を用いた測定では、発色反応開始2時間では僅かに目視で確認できる程度の着色であったが、反応開始4時間以降では鮮明に青色の呈色が確認できた。白色LEDパネルを用いた撮影補助具を用いた測定では、発色反応開始2時間でも目視で青色の呈色が確認できた。すなわち、目視による定性的な検査であれば、白色LEDパネルを用いた撮影補助具のほうがより短時間で大腸菌を検出できた。
撮像した画像を実施例3と同様にして補正し、補正後の画像を解析してそれぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。マイクロウェルチップごとに、β−グルクロニダーゼを含む反応液を注入した4ウェルのR値の平均値と、ブランクの4ウェルのR値の平均値とを求めた。図13に各反応液のR値の経時的変化を示す。この結果、有機ELパネルを用いた撮影補助具を用いた測定は、白色LEDパネルを用いた撮影補助具を用いた測定よりも、ブランクとのR値の差が大きく、色相変化の検出感度が高かった。特に、有機ELパネルを用いた撮影補助具を用いた測定では、発色反応開始0.5時間では、目視では大腸菌試料とブランクのウェル間の発色の差が区別できなかったが、画像解析により得られたR値では差が明確に検出できた。
また、発色反応開始4時間後には、いずれの測定条件であっても、大腸菌試料とブランクのR値は充分な差があり、大腸菌試料中の酵素活性が測定できた。すなわち、これらの測定方法により、9.0×10CFU/mLの大腸菌を検出できることが確認された。この菌濃度は、飲食品工場や給食設備における一般生菌検査で検出が要求されている濃度とほぼ同じオーダーである。つまり、本実施例の測定方法は、飲食品工場等で実用に足る測定感度であることが確認できた。
なお、X−Glucを担持させたセルロースシートに代えて、大腸菌を捕捉させたセルロースシートをウェルの内底面にしき、1.0×10−4MのX−Gluc溶液(X−Glucを1.0×10−4Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつ注入した後、37℃で発色反応を開始させることもできる。また、X−Glucを担持させたセルロースシートに、大腸菌を捕捉させたセルロースシートを重ねて置き、PBSを1ウェル当たり200μLずつ注入した後、37℃で発色反応を開始させることもできる。なお、セルロースシートを濾過膜として、9.0×10CFU/mLの大腸菌試料350μLを加圧濾過することにより、当該セルロースシートに大腸菌を捕捉させることができる。
本実施形態のマイクロウェルチップ、キット、及びこれらを用いた方法により、大腸菌等の微生物を検出するための発色検査を、マイクロプレートリーダーのない環境下でも実施することができる。したがって、当該チップ等は、飲食品自体やその製造工場、水道設備などにおける微生物汚染の検査に特に有用である。
1A、1B、1C…撮影補助具、2…撮像装置、3…マイクロウェルチップ、4…チップ設置部、5a、5b、5c…箱体、6a、6b、6c…面発光型光源、7…貫通孔、8a、8c…撮像装置設置部、9…拡大レンズ、10A…撮影補助具、11…チップ設置部、11a…保持枠、11b…脚部、12…アクリル板、13…PTFEテープ、14…多孔質膜。

Claims (14)

  1. 酵素活性を、発色反応を利用して測定する方法であって、
    底部が光透過性部材からなる平底のウェルを備えるマイクロウェルチップのウェル内で、発色性基質を担持した光透過性部材からなる多孔質膜と被検試料とを接触させ、又は、被検試料を担持した光透過性部材からなる多孔質膜と発色性基質とを接触させ、所定時間反応させた後、
    前記ウェルをその天面又は底面から撮影し、撮像された画像中の前記ウェル領域の色強度に基づいて、前記被検試料の酵素活性を測定する、
    酵素活性の測定方法。
  2. 前記多孔質膜がセルロース膜である、請求項1に記載の酵素活性の測定方法。
  3. 前記画像がRGB画像であり、前記画像中の前記ウェル領域の色強度が、R成分、G成分、及びB成分のいずれかの色成分の強度値である、請求項1又は2に記載の酵素活性の測定方法。
  4. 前記画像は、接写可能な撮像装置で撮影される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵素活性の測定方法。
  5. 前記画像は、面発光型光源からの光を前記マイクロウェルチップの底面から照射した状態で、前記面発光型光源から放出される光以外の光が遮断された環境下で、前記マイクロウェルチップの天面側から、接写可能な撮像装置により撮像される、請求項4に記載の酵素活性の測定方法。
  6. 被検試料中の微生物が産生する酵素の活性を、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酵素活性の測定方法により測定し、測定結果に基づいて、前記被検試料中の前記微生物を検出する、微生物の検出方法。
  7. 前記微生物が、大腸菌又は大腸菌群である、請求項6に記載の微生物の検出方法。
  8. 底部が光透過性部材からなる平底のウェルを備えるマイクロウェルチップと、
    光透過性部材からなる多孔質膜と、
    発色性基質と、
    を備える、の酵素活性測定用キット。
  9. さらに、撮影補助具を備え、
    前記撮影補助具は、前記マイクロウェルチップをウェルの深さ方向に光透過可能な状態に設置するチップ設置部を備える、請求項8に記載の酵素活性測定用キット。
  10. 前記撮影補助具が、光透過不能な箱体を備え、
    前記箱体内に、前記チップ設置部と面発光型光源とが配置されており、
    前記面発光型光源は、前記チップ設置部に設置されたマイクロウェルチップの深さ方向の一方側に、当該マイクロウェルチップに光照射可能な状態で配置されており、
    前記箱体のうち、前記面発光型光源に前記深さ方向で対向する壁部には、前記箱体の内外を貫通する貫通孔が形成され、
    前記壁部の外面は、撮像装置のレンズが、前記貫通孔を通して前記チップ設置部に設置されたマイクロウェルチップを撮像可能な状態で、前記撮像装置が設置される撮像装置設置部を構成している、
    請求項9に記載の酵素活性測定用キット。
  11. 前記貫通孔に、拡大レンズが設置されている、請求項10に記載の酵素活性測定用キット。
  12. 前記撮像装置設置部は、前記箱体の前記面発光型光源に対向する壁部に、前記撮像装置が嵌め込み可能に構成されている、請求項10又は11に記載の酵素活性測定用キット。
  13. 前記撮影補助具が、光透過不能な箱体を備え、
    前記箱体の天面の壁部に、前記箱体の内外を貫通し、前記マイクロウェルチップを嵌め込むチップ設置部が配置されており、
    前記箱体内に、前記チップ設置部に設置されたマイクロウェルチップを撮像可能な状態で撮像装置が設置される撮像装置設置部が配置されている、
    請求項9に記載の酵素活性測定用キット。
  14. 前記チップ設置部が、前記マイクロウェルチップを嵌め込む保持枠と、前記保持枠を下方から支持する脚部と、を備え、
    前記脚部には、撮像装置をチップの下方まで進入させる開口部が形成されている、
    請求項9に記載の酵素活性測定用キット。
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