JP2020128509A - イオン交換樹脂組成物、イオン交換樹脂処理用高分子、イオン交換樹脂組成物の製造方法及び混床イオン交換樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]イオン交換樹脂及び架橋構造を有する高分子を含む、イオン交換樹脂組成物。
[2]架橋構造が、ジビニルベンゼン類の単量体単位を含む、[1]に記載のイオン交換樹脂組成物。
[3]架橋構造を有する高分子が、水溶性である、[1]又は[2]に記載のイオン交換樹脂組成物。
[4]架橋構造を有する高分子の対イオンが、水素イオンである、[1]〜[3]のいずれかに記載のイオン交換樹脂処理用高分子。
[5]イオン交換樹脂が、アニオン交換樹脂である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のイオン交換樹脂組成物。
[6]架橋構造を有する、イオン交換樹脂処理用高分子。
[7]架橋構造が、ジビニルベンゼン単量体単位を含む、[6]に記載のイオン交換樹脂処理用高分子。
[8]イオン交換樹脂処理用高分子が、水溶性である、[6]又は[7]に記載のイオン交換樹脂処理用高分子。
[9]対イオンが、水素イオンである、[6]〜[8]のいずれかに記載のイオン交換樹脂処理用高分子。
[10]イオン交換樹脂と水とを含むスラリーと、架橋構造を有する高分子と、を混合する、イオン交換樹脂組成物の製造方法。
[11]アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂及び架橋構造を有する高分子を含む、混床イオン交換樹脂組成物。
また、本発明の混床イオン交換樹脂組成物は、高いからみ防止性能を長期に亘って保持することができ、純水製造設備での処理後の純水の水質の低下を抑制することができる。
本発明のイオン交換樹脂処理用高分子は、架橋構造を有する。
架橋構造を有することで、イオン交換樹脂処理用高分子がイオン交換樹脂内部に拡散することを防止でき、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との高い分離性、即ち、高いからみ防止性能を長期に亘って保持することができる。
本明細書において、処理とは、イオン交換樹脂にイオン交換樹脂処理用高分子を付着させることをいう。例えば、イオン交換樹脂とイオン交換樹脂処理用高分子とがイオン結合している状態をいう。
本明細書において、イオン交換樹脂処理用高分子が水溶性であるとは、25℃の温度で、水80質量%とイオン交換樹脂処理用高分子20質量%とを混合し、イオン交換樹脂処理用高分子が水に溶解することをいう。
本明細書において、イオン交換樹脂処理用高分子の質量平均分子量は、適切な分子量標準品で校正し、中性りん酸塩pH標準液とアセトニトリルとの混合液を移動相とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値とする。
本明細書において、イオン交換樹脂処理用高分子の粘度は、水95質量%とイオン交換樹脂処理用高分子5質量%とを混合した溶液を、25℃で、B型回転粘度計を用いて測定した値とする。
本発明のイオン交換樹脂組成物は、イオン交換樹脂及び架橋構造を有する高分子を含む。
架橋構造を有する高分子は、前述したイオン交換樹脂処理用高分子を用いればよい。
イオン交換樹脂と架橋構造を有する高分子とは、混床イオン交換樹脂組成物の高いからみ防止性能を長期に亘って保持することができ、純水製造設備での処理後の純水の水質の低下を抑制することができることから、架橋構造を有する高分子がイオン交換樹脂に付着している状態であることが好ましく、架橋構造を有する高分子がイオン交換樹脂の表面に付着している状態であることがより好ましい。
スラリー中のイオン交換樹脂と架橋構造を有する高分子との合計の含有率は、スラリー100体積%中、25体積%〜70体積%が好ましく、30体積%〜60体積%が好ましい。スラリー中のイオン交換樹脂と架橋構造を有する高分子との合計の含有率が25体積%以上であると、イオン交換能力に優れる。また、スラリー中のイオン交換樹脂と架橋構造を有する高分子との合計の含有率が70体積%以下であると、撹拌効率に優れる。
イオン交換樹脂をビーズ状にするためには、単量体を懸濁重合すればよい。
本発明のイオン交換樹脂組成物の製造方法は、イオン交換樹脂と水とを含むスラリーと、架橋構造を有する高分子と、を混合する工程を含む。
イオン交換樹脂と水を含むスラリーと架橋構造を有する高分子とを混合する方法は、調製しやすいことから、イオン交換樹脂と水とを含むスラリーを調製し、そこに前述したイオン交換樹脂処理用高分子を添加する方法が好ましい。
本発明の混床イオン交換樹脂組成物は、アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂及び架橋構造を有する高分子を含む。
架橋構造を有する高分子は、前述したイオン交換樹脂処理用高分子を用いればよい。
実施例・比較例で得られたイオン交換樹脂処理用高分子を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの条件は、以下の通りである。
装置:HLC−8320GPC(機種名、東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel GMPWxl(商品名、東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:中性りん酸塩pH標準液(富士フィルム和光純薬株式会社製、pH6.86)80体積%とアセトニトリル20体積%との混合液
流速:1.0mL/分
サンプル濃度:0.1質量%(上記移動相と同一のものを溶媒として溶解)
注入量:100μL
分子量標準品:単分散PEG/PEO
実施例で得られたイオン交換樹脂処理用高分子を、水95質量%とイオン交換樹脂処理用高分子5質量%とを混合した溶液を、25℃で、B型回転粘度計を用いて測定した。
比較例で得られたイオン交換樹脂処理用高分子を、水80質量%とイオン交換樹脂処理用高分子20質量%とを混合した溶液を、25℃で、B型回転粘度計を用いて測定した。
実施例・比較例で得られたイオン交換樹脂組成物150mLと、超純水によりカラム内で50BV洗浄した強酸性カチオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオン UBK10BH」、三菱ケミカル株式会社製)150mLとを、ビーカー中で超純水を加えて緩やかに混合し、アクリル樹脂製のカラム(直径30mm、長さ1,000mm)に供給した。カラムの下方より超純水を流速10m/時間で15分間通水し、5分間静置させた後のカチオン交換樹脂層の高さH1を測定した。
カチオン交換樹脂のみで同様の操作を行い、カチオン交換樹脂層の高さH0を測定した。
測定した高さH0とH1とから、下記数式(1)を用いて、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との分離性を評価した。
アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との分離性=H1/H0 (1)
アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とでからみが発生しない場合、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂と分離性が1となる。
冷却管、窒素導入管、撹拌羽根を取り付けた4つ口フラスコに、脱塩水272.8g、88質量%パラスチレンスルホン酸ナトリウム16.7g及び5質量%ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液6.0gを添加し、攪拌した。そこに、5質量%2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド水溶液4.5gを添加した。100mL/分で窒素通気を10分行った後、60℃まで昇温させ、10時間60℃で保持することで、架橋性単量体単位の含有率が2質量%のポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩を得た。得られたポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩を、強酸性カチオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオン SKT10L」、三菱ケミカル株式会社製)に通液し、対イオンが水素イオンであるイオン交換樹脂処理用高分子を得た。得られたイオン交換樹脂処理用高分子の質量平均分子量は5,300,000、粘度は1,860mPa・sであった。
強塩基性アニオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオン UBA1200H」、三菱ケミカル株式会社製)1Lを超純水中で攪拌し、得られたイオン交換樹脂処理用高分子1.2mmolを添加し、25℃で30分攪拌した。攪拌終了後、超純水洗浄を実施し、遠心分離器を用いて付着水分を除去し、アニオン交換樹脂とイオン交換樹脂処理用高分子とを含むイオン交換樹脂組成物を得た。
得られたイオン交換樹脂組成物の評価結果を、表1に示す。
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量を変更し、架橋性単量体単位の含有率を0.6質量%とした以外は、実施例1と同様に操作を行い、イオン交換樹脂処理用高分子及びイオン交換樹脂組成物を得た。得られたイオン交換樹脂処理用高分子の質量平均分子量は4,450,000、粘度は1,160mPa・sであった。
得られたイオン交換樹脂組成物の評価結果を、表1に示す。
非架橋のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(商品名「PS−5」、東ソー・ファインケム株式会社製)水溶液を、強酸性カチオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオン SKT10L」、三菱ケミカル株式会社製)に通液し、対イオンが水素イオンであるイオン交換樹脂処理用高分子を得た。得られたイオン交換樹脂処理用高分子の質量平均分子量は80,000、粘度は34mPa・sであった。
強塩基性アニオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオン UBA1200H」、三菱ケミカル株式会社製)1Lを超純水中で攪拌し、イオン交換樹脂処理用高分子0.8mmolを添加し、25℃で30分攪拌した。攪拌終了後、超純水洗浄を実施し、遠心分離器を用いて付着水分を除去し、アニオン交換樹脂とイオン交換樹脂処理用高分子とを含むイオン交換樹脂組成物を得た。
得られたイオン交換樹脂組成物の評価結果を、表1に示す。
イオン交換樹脂処理用高分子3.0mmolを添加した以外は、比較例1と同様に操作を行い、イオン交換樹脂組成物を得た。
得られたイオン交換樹脂組成物の評価結果を、表1に示す。
一方、表1からも分かるように、架橋構造を有しないイオン交換樹脂処理用高分子を用いた比較例1〜2で得られたイオン交換樹脂組成物は、混床イオン交換樹脂組成物の高いからみ防止性能を長期に亘って保持することができなかった。イオン交換樹脂処理用高分子量が多い比較例2で得られたイオン交換樹脂組成物は、イオン交換樹脂処理用高分子量が少ない比較例1で得られたイオン交換樹脂組成物と比較して、混床イオン交換樹脂組成物の高いからみ防止性能は改善されるものの、実施例1〜2で得られたイオン交換樹脂組成物を比較して、その効果が十分でないことが確認できた。
Claims (11)
- イオン交換樹脂及び架橋構造を有する高分子を含む、イオン交換樹脂組成物。
- 架橋構造が、ジビニルベンゼン類の単量体単位を含む、請求項1に記載のイオン交換樹脂組成物。
- 架橋構造を有する高分子が、水溶性である、請求項1又は2に記載のイオン交換樹脂組成物。
- 架橋構造を有する高分子の対イオンが、水素イオンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン交換樹脂処理用高分子。
- イオン交換樹脂が、アニオン交換樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン交換樹脂組成物。
- 架橋構造を有する、イオン交換樹脂処理用高分子。
- 架橋構造が、ジビニルベンゼン類の単量体単位を含む、請求項6に記載のイオン交換樹脂処理用高分子。
- イオン交換樹脂処理用高分子が、水溶性である、請求項6又は7に記載のイオン交換樹脂処理用高分子。
- 対イオンが、水素イオンである、請求項6〜8のいずれか1項に記載のイオン交換樹脂処理用高分子。
- イオン交換樹脂と水とを含むスラリーと、架橋構造を有する高分子と、を混合する、イオン交換樹脂組成物の製造方法。
- アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂及び架橋構造を有する高分子を含む、混床イオン交換樹脂組成物。
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