JP2020128325A - 水素製造方法および水素製造装置 - Google Patents

水素製造方法および水素製造装置 Download PDF

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諭 奥村
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慧 上原
圭祐 澤田
Keisuke Sawada
圭祐 澤田
淳一 森
Junichi Mori
淳一 森
覚俊 館野
Kakutoshi Tateno
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Abstract

【課題】補助燃料の使用量を削減することができる水素製造方法および水素製造装置を提供する。【解決手段】水素製造装置は、脱水装置(1)と、乾燥装置(2)と、乾燥装置(2)で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、乾燥装置(2)を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整して得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解装置(3)と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、下水処理場で発生する下水汚泥、し尿処理場で発生するし尿汚泥、肉骨粉、畜糞等のリン含有バイオマスから水素を製造する、水素製造方法および水素製造装置に関する。
バイオマス原料から液体燃料を製造する方法として、従来、補助燃料を用いる方法が知られている。
例えば、特許文献1には、バイオマス原料から液体燃料を製造するために、補助燃料として石炭をガス化塔に供給する三塔式循環流動層によるガス化方法およびガス化装置が記載されている。
特開2014−240472号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、補助燃料として石炭をガス化塔に供給しているため、コストが掛かるという問題がある。
本発明の一態様は、補助燃料の使用量を削減することができる水素製造方法および水素製造装置を提供することを、主たる目的とする。
本発明者らは、リン含有バイオマスを脱水して得られた脱水汚泥の一部を乾燥させた乾燥汚泥と、乾燥工程を経ていない残りの脱水汚泥とを合わせて熱分解することにより、補助燃料の使用量を削減することができることに想到し、本発明を完成させた。
本発明の一態様に係る水素製造方法は、リン含有バイオマスから水素を製造する水素製造方法であって、前記リン含有バイオマスを脱水する脱水工程と、前記脱水工程で得られた脱水汚泥の一部を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、前記乾燥工程を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整する水分調整工程と、前記水分調整工程で得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解工程と、を含む。
本発明の一態様に係る水素製造装置は、リン含有バイオマスから水素を製造する水素製造装置であって、前記リン含有バイオマスを脱水する脱水装置と、前記脱水装置で得られた脱水汚泥の一部を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、前記乾燥装置を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整して得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解装置と、を含む。
本発明の一態様によれば、補助燃料の使用量を削減することができる。
本発明の一実施形態に係る水素製造装置の概略の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。以下の各項目で記載した内容は、他の項目においても適宜援用できる。本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。したがって、異なる実施形態にそれぞれ開示されている技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。本明細書中に記載された学術文献および特許文献のすべてが、本明細書中において参考文献として援用される。
〔水素製造装置〕
本発明の一実施の形態における水素製造装置は、リン含有バイオマスから水素を製造する水素製造装置であって、前記リン含有バイオマスを脱水する脱水装置と、前記脱水装置で得られた脱水汚泥の一部を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、前記乾燥装置を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整して得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解装置と、を少なくとも含む構成である。
前記水素製造装置に供給されるリン含有バイオマスとしては、例えば、下水処理場で発生する下水汚泥、し尿処理場で発生するし尿汚泥、肉骨粉、畜糞等のリン含有バイオマスが挙げられる。リン含有バイオマスに含まれるリンの形態としては、例えば、生体由来の有機性リン、リン酸態リン等が挙げられる。但し、リン含有バイオマスは、前記例示のリン含有バイオマスに限定されない。尚、以下の説明においては、リン含有バイオマスとして、下水汚泥やし尿汚泥である汚泥スラリーを例に挙げることとする。
本発明の一実施の形態における水素製造装置は、図1に示すように、脱水装置1、乾燥装置2、熱分解装置3、改質装置4、燃焼装置5、灰分分離装置6を少なくとも備えている。各装置は、水素の製造を連続的に行うことができるように、搬送機能を具備した装置(図示しない)で互いに連結されている。つまり、前記水素製造装置は、水素の製造を連続的に行うことができるように、複数の流動層装置から構成されている。但し、本発明の水素製造装置は、流動床式の製造装置に限定されない。
以下、本発明の一実施の形態における水素製造装置を構成する各装置に関して、図1を参照しながら説明する。
<脱水装置1>
脱水装置1は、汚泥スラリー供給路12を通じて供給される汚泥スラリー(リン含有バイオマス)から水分を含む分離液を除去して脱水汚泥とした後、得られた脱水汚泥の一部を、脱水汚泥供給路13を通じて乾燥装置2に供給する。残りの脱水汚泥は、乾燥装置バイパス14を通じて熱分解装置3に供給される。また、脱水装置1は、水分を含む分離液を、分離液排出路(図示しない)を通じて外部に排出する。
脱水装置1は、汚泥スラリーから水分を含む分離液を除去することができる装置であればよく、例えば、ベルトプレス等の加圧式脱水機、または遠心脱水機等の機械的脱水機が挙げられる。
さらに、脱水装置1は、汚泥スラリーに、無機カルシウム化合物供給路(図示しない)から供給される無機カルシウム化合物を混合する混合装置としての機能を兼ね備えているのが好ましい。その場合、乾燥装置2に供給される脱水汚泥は、汚泥スラリーと無機カルシウム化合物との混合物である。
汚泥スラリーに無機カルシウム化合物を混合する時期は、汚泥スラリーから分離液を除去する前であってもよく、除去する途中の段階であってもよく、除去した後であってもよく、さらに、これら時期を複数組み合わせてもよい。但し、以下に示すように、無機カルシウム化合物は脱水助剤として作用することから、分離液を除去する前に、汚泥スラリーに無機カルシウム化合物を混合することがより好ましい。
下水処理場で発生する下水汚泥、し尿処理場で発生するし尿汚泥等のリン含有バイオマス(汚泥スラリー)の脱水によって得られる脱水汚泥の含水率は、70重量%〜80重量%程度の範囲である。無機カルシウム化合物等を脱水助剤として使用する場合は、脱水汚泥の含水率を、70重量%〜75重量%の範囲に調整することができる。脱水汚泥の含水率は、下記式(1)によって算出することができる。
(脱水汚泥の含水率(重量%))=(脱水汚泥中の水分量(t/d))/(脱水汚泥(W.B.(ウェットベース))の量(t/d))×100 …(1)
脱水汚泥中の水分量の測定方法は、実施例に詳細に説明する。
脱水装置1で得られた脱水汚泥量に対して、乾燥装置2に供給される脱水汚泥量は、下限値として、55重量%以上であることが好ましく、57重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましく、65重量%以上であることが最も好ましい。乾燥装置2に供給される脱水汚泥量の上限値としては、94重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましく、85重量%以下であることがより好ましく、76重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましく、65重量%以下であることが最も好ましい。前述した上限値および下限値は適宜組み合わせることができる。これにより、脱水汚泥の全量を乾燥する方法に比べて、補助燃料の使用量を削減することができる。そのため、乾燥装置2を小型化することができる。
(無機カルシウム化合物)
無機カルシウム化合物は、リン酸三カルシウム「Ca(PO」のカルシウム源になると共に、汚泥スラリーの脱水を促進する脱水助剤としても作用する。従って、汚泥スラリーに無機カルシウム化合物を添加することにより、通常の脱水方法よりも脱水性を向上させることができる。
無機カルシウム化合物は、炭酸カルシウム「CaCO」、消石灰「Ca(OH)」、生石灰「CaO」、およびドロマイト「Ca・Mg(CO」から選択される少なくとも一つであることが好ましい。無機カルシウム化合物の粒径は、200μm〜500μmであることが好ましい。
無機カルシウム化合物は、脱水助剤として作用する他に、流動媒体、二酸化炭素吸収媒体、ガス化プロセスの熱源(顕熱媒体および二酸化炭素吸収反応熱)およびリン溶融防止剤等の複数の役割を果たす。さらに、無機カルシウム化合物は、高濃度の水素の製造にも寄与するという二次的な機能も併せ持つ。
前記無機カルシウム化合物は、水素製造装置に供給される全量が脱水装置1に供給されてもよく、その一部が、後述するように、熱分解装置3、改質装置4、燃焼装置5の何れに供給されてもよい。
汚泥スラリーに混合する無機カルシウム化合物の添加量W(モル/kg−乾燥重量(DS))は、量論的には下記式(2)の通りである。つまり、当該添加量Wは、汚泥スラリー中のリンおよび硫黄分を、リン酸三カルシウム「Ca(PO」および石膏「CaSO」として回収することができる量以上であればよい。
W(モル/kg−DS) ≧ (3/2)×P(モル/kg−DS) + S(モル/kg−DS) …(2)
従って、汚泥スラリーに混合する無機カルシウム化合物の添加量は、式(2)を満足する量であればよく、特に限定されない。具体的には、汚泥スラリー(リン含有バイオマス)乾燥重量1kg当たり、0.06kg〜0.8kg、より好ましくは0.1kg〜0.5kgの無機カルシウム化合物を混合すればよい。特に、汚泥スラリーに対して無機カルシウム化合物を過剰に混合することによって、リン化合物の溶融による焼却炉への付着およびそれに伴う焼却炉の閉塞をより効果的に防止することができる。
<乾燥装置2>
乾燥装置2は、脱水装置1から供給された脱水汚泥の一部を加熱し、水分を蒸発させて乾燥汚泥とする。
乾燥装置2は、脱水汚泥を加熱して乾燥させて乾燥汚泥を得ることができる装置であればよく、間接加熱型乾燥機であることが好ましい。間接加熱型乾燥機の場合、水蒸気(熱媒)が水蒸気供給路21を通じて乾燥装置2に供給され、脱水汚泥を間接的に加熱する。乾燥装置2を出た水蒸気(熱媒)は、復水用水蒸気供給路22を通じて復水器7に供給される。復水器7に供給された水蒸気は冷却されて凝縮水となる。凝縮水は循環用熱媒供給路23を通じて熱交換器10に供給され、燃焼ガス排出路20の燃焼ガスによって加熱されて再び水蒸気(熱媒)となる。これにより、燃焼装置5で生じた熱を、脱水汚泥の乾燥に有効活用することができる。尚、排熱の回収方法は、上述した方法に特に限定されない。
また、乾燥装置2には、脱水汚泥から蒸発した水分を運び出すためのキャリア用空気が、キャリア空気供給路24を通じて供給される。キャリア空気供給路24の途中には熱交換器11が設けられ、水蒸気(熱媒)との熱交換によって暖められたキャリア用空気が乾燥装置2に供給される。脱水汚泥から蒸発した水分は、キャリア用空気と共にコンデンサ用水蒸気供給路25を通じてコンデンサ8に供給される。コンデンサ8により冷却されて凝縮した水分は、除去水として、除去水排出路32を通じて排出される。コンデンサ8で凝縮しなかったキャリア用空気を含んだガスは、燃焼用水蒸気供給路26を通じて燃焼装置5に供給される。
乾燥汚泥の含水率は、3重量%〜30重量%であることが好ましく、5重量%〜20重量%であることがより好ましく、10重量%〜15重量%であることがさらに好ましい。これにより、乾燥装置2を経ていない脱水汚泥と合わせて熱分解に適した含水率にすることができる。尚、乾燥汚泥の含水率の測定は、脱水汚泥の含水率の測定と同様の方法により行うことができる。
乾燥装置2で得られた乾燥汚泥は、乾燥汚泥供給路15を通じて搬送され、乾燥装置バイパス14を通じて搬送される脱水汚泥と合わせて熱分解装置3に供給される。また、必要に応じて、乾燥汚泥の一部を、熱源用乾燥汚泥供給路16を通じて燃焼装置5に供給するのが好ましい。燃焼装置5に供給された乾燥汚泥は、熱源の一部として利用される。
熱源用乾燥汚泥供給路16を通じて、燃焼装置5に供給される乾燥汚泥中の固形分量は、汚泥スラリー供給路12から供給される汚泥スラリーに含有される固形分量に対して、5重量%〜50重量%であることが好ましく、10重量%〜40重量%であることがより好ましく、15重量%〜35重量%であることがさらに好ましい。これにより、熱分解と燃焼とを効率的に行うことができる。
<熱分解装置3>
熱分解装置3は、乾燥装置2から供給された乾燥汚泥のうち燃焼装置5に供給されなかった乾燥汚泥と、脱水汚泥とを合わせて水蒸気の存在下で熱分解する。
乾燥汚泥および脱水汚泥の含水率は、実施例において後述するように、バッチ法で測定する。熱分解装置3に供給される乾燥汚泥と脱水汚泥との重量比は、測定された乾燥汚泥の含水率および脱水汚泥の含水率に基づき、熱分解に適した含水率の値となるように、適宜算出される。尚、乾燥汚泥の含水率および脱水汚泥の含水率は随時モニタリングしてフィードバックをかけて、熱分解装置3の入口におけるトータルの含水率が所望の値となるように、乾燥汚泥と脱水汚泥との重量比を制御してもよい。尚、以下の説明では、熱分解装置3に供給される乾燥汚泥と脱水汚泥とを合わせて、便宜上、「水分調整物」と称するが、必ずしも均一な含水率になるように混合・調整されている必要はなく、供給路の途中で合わされるものであっても、別々の供給路で供給されて熱分解装置3の内部で合わされるものであってもよい。
水分調整物の含水率は、下限値として、20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることがさらに好ましく、45重量%以上であることが最も好ましい。水分調整物の含水率の上限値としては、65重量%以下であることが好ましく、60重量%以下であることがより好ましい。前述した上限値および下限値は適宜組み合わせることができる。これにより、水分調整物に含まれる水分を効率的に水蒸気ガス化することができる。尚、水分調整物の含水率の測定は、脱水汚泥の含水率の測定と同様の方法により行うことができる。
熱分解装置への乾燥汚泥と脱水汚泥との合計の供給量に対して、乾燥装置2から供給される乾燥汚泥の重量割合は、下限値として、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、17重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上であることが最も好ましい。熱分解装置への乾燥汚泥と脱水汚泥との合計の供給量に対する乾燥装置2から供給される乾燥汚泥の重量割合の上限値としては、80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることがより好ましく、35重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、25重量%以下であることが最も好ましい。前述した上限値および下限値は適宜組み合わせることができる。これにより、水分調整物の含水率を上述の範囲にすることができる。
熱分解装置3は、水分調整物を、水蒸気の存在下、400℃〜900℃、より好ましくは600℃〜800℃、さらに好ましくは700℃程度で加熱しながら、0.1時間〜2時間、より好ましくは0.5時間〜1時間、滞留させることにより、熱分解する。熱分解装置3は、熱分解して得た熱分解生成物のうち、熱分解固体生成物を、熱分解固体生成物供給路27を通じて燃焼装置5に供給する。そして、熱分解装置3は、熱分解して得た熱分解生成物のうち、熱分解ガスである可燃性ガスを、可燃性ガス供給路33を通じて改質装置4に供給する。また、熱分解装置3には、改質装置4から、供給路30を通じて酸化カルシウム「CaO」が供給(循環)されると共に、必要に応じて、新たな無機カルシウム化合物の一部が供給される。
熱分解装置3は、前記混合物を熱分解することができる装置であればよく、その構成は特に限定されない。
前記熱分解装置3においては、下記反応により熱分解が行われ、可燃性ガスが生成する。即ち、混合物は、下記式(3)に示す反応によって、水蒸気の存在下で熱分解され、熱分解ガスと、熱分解固体生成物とに転換される。熱分解ガスは、水素「H」、一酸化炭素「CO」、二酸化炭素「CO」、硫化水素「HS」およびアンモニア「NH」、並びに、メタン「CH」、炭化水素系ガスおよびタール成分を含有する炭化水素系ガス「C」を主成分として含む。熱分解固体生成物は、炭(charcoal)および灰分を含む。
混合物(C,H,O,N,S) + HO → 熱分解ガス(H,CO,CO,C,HS,NH) + C(charcoal) + 灰分 …(3)
ここで、灰分は、P,Si,Al,Fe,Mg,Ca,NaおよびK等を含有する化合物である。
また、炭(charcoal)の一部は、水蒸気と反応し、下記式(4)に示すように、二酸化炭素および水素に転換される。
C(charcoal) + 2HO → CO + 2H …(4)
さらに、熱分解ガスに含まれる一酸化炭素は、水蒸気と反応し、下記式(5)に示すように、二酸化炭素に転換される。
CO + HO → CO+ H …(5)
前記熱分解ガスに含まれる硫化水素の大部分は、混合物に添加されている無機カルシウム化合物である、主に加熱によって生じた酸化カルシウムと反応し、下記式(6)に示すように、硫化カルシウムとなり、固定化される。このように熱分解ガスに含まれる硫化水素の大部分が硫化カルシウムとなって固定化されることにより、結果的に熱分解ガス中の水素濃度が高まる。
CaO + HS → CaS + HO …(6)
そして、前記式(3)〜(5)に示す反応によって発生した二酸化炭素は、酸化カルシウムと反応し、下記式(7)に示すように、炭酸カルシウム「CaCO」となり、固定化される。式(7)に示す反応によって熱分解ガスから、二酸化炭素のみが酸化カルシウムに吸収されて引き抜かれるため、式(3)〜(5)に示す反応において右向きの平衡移動が起こり、結果的に高濃度の水素を含む可燃性ガスが生成される。
CaO + CO→ CaCO …(7)
一方、熱分解固体生成物の灰分に含まれるリンは、熱分解装置3内で、無機カルシウム化合物と反応してリン酸三カルシウム「Ca(PO」となる。本実施の形態においては、汚泥スラリーに混合する無機カルシウム化合物の添加量が極めて多く、熱分解装置3内(反応場)により多くのカルシウムが存在する。それゆえ、リンを、融点が1390℃の高融点リン化合物であるリン酸三カルシウムまで転換することができる。
従って、熱分解装置3における熱分解によって、前記混合物から、リン酸三カルシウム、硫化カルシウム、炭(charcoal)、炭酸カルシウム、未反応の無機カルシウム化合物、および灰分等を含む固体成分である熱分解固体生成物が得られる。
前記リン酸三カルシウムは、リン鉱石資源の主成分であるため、鉱石資源として再利用することができる。また、リン酸三カルシウムの融点は1390℃と高いため、熱分解装置3および燃焼装置5における、リン化合物の溶融による焼却炉への付着およびそれに伴う焼却炉の閉塞を防止することができる。それゆえ、水素製造装置をより安定して連続運転することが可能となる。
<改質装置4>
改質装置4は、熱分解装置3から供給された可燃性ガスから、酸化カルシウムを用いた水蒸気改質を行うことによって、当該可燃性ガスよりも水素濃度を高めた第二の可燃性ガスを製造し、当該第二の可燃性ガスを、可燃性ガス排出路17を通じて排出する。排出された第二の可燃性ガスは、熱交換器9によって冷却され、高濃度の水素を含むガスとして回収される。熱交換器9によって回収された熱は、燃焼用空気供給路18を介して燃焼装置5に供給される。これにより、熱を有効活用することができる。
改質装置4は、熱分解装置3から供給された可燃性ガスを、800℃〜1100℃、より好ましくは850℃〜1000℃、さらに好ましくは950℃程度で加熱しながら、0.5s〜3s、より好ましくは1s〜2.5s、滞留させることにより、水蒸気改質を行う。
また、改質装置4には、灰分分離装置6から、循環酸化カルシウム供給路29を通じて酸化カルシウム「CaO」が供給(循環)されると共に、必要に応じて、新たな無機カルシウム化合物の一部が供給される。さらに、改質装置4は、供給路30を通じて熱分解装置3に、酸化カルシウムを供給(循環)する。
改質装置4は、前記可燃性ガスを水蒸気改質することができる装置であればよく、その構成は特に限定されない。
前記改質装置4においては、下記反応により可燃性ガスの水蒸気改質が行われ、高濃度の水素が生成する。即ち、可燃性ガスは、水素および一酸化炭素、並びに、メタン「CH」、炭化水素系ガスおよびタール成分を含有する炭化水素系ガス「C」を含んでいる。可燃性ガスに含まれる炭化水素系ガスは、前記式(5)および下記式(8)に示すように、酸化カルシウムを触媒として、水蒸気改質によって水素および二酸化炭素に改質される。
+ HO → H+ CO …(8)
生成した二酸化炭素は、前記式(7)に示すように、酸化カルシウムに吸収される。これにより、可燃性ガスから、水素の濃度がさらに高められた第二の可燃性ガス、即ち、高濃度の水素を含むガスが得られる。第二の可燃性ガスは、高濃度の水素、CO、および前記式(8)において未反応のまま残留したCで構成される。尚、第二の可燃性ガスは、その一部をそのまま燃焼用ガスとして用いてもよいし、PSA等のガス分離装置を用いて高濃度水素のみを分離した後のCOおよびCを主成分とするオフガスを燃焼用ガスとして用いてもよい。これにより、外部から供給される燃焼用ガスの量を削減することができる。
<燃焼装置5>
燃焼装置5は、熱分解装置3から供給された熱分解固体生成物を燃焼する。燃焼装置5は、燃焼して得た燃焼生成物のうち、燃焼固体生成物を、燃焼固体生成物供給路28を通じて灰分分離装置6に供給する。燃焼装置5には、燃焼用空気供給路18、および熱交換器9を通じて、空気または酸素含有ガスが外部から供給される。また、燃焼装置5には、燃焼用ガス供給路19を通じて、熱源となる燃焼用ガスを外部から供給してもよいし、前期第二の可燃性ガスの一部または前記オフガスを供給してよい。また、熱分解装置3には、必要に応じて、新たな無機カルシウム化合物の一部が供給される。
燃焼装置5は、熱分解装置3から供給された熱分解固体生成物を、850℃〜1200℃、より好ましくは900℃〜1150℃、さらに好ましくは1100℃程度で加熱しながら、0.1時間〜2時間、より好ましくは0.5時間〜1時間、滞留させることにより、燃焼する。
さらに、燃焼装置5には、必要に応じて、乾燥装置2から熱源用乾燥汚泥供給路16を通じて乾燥汚泥が供給される。当該乾燥汚泥は、燃焼装置5において前記燃焼用ガスの燃焼による熱量だけで熱分解固体生成物の燃焼を行うことが困難である場合に、熱源として燃焼される。乾燥汚泥を燃焼させることにより、外部から供給される燃焼用ガスの量を削減することができるので、エネルギーの使用量を削減することができる。
燃焼装置5は、前記熱分解固体生成物を燃焼させることができる装置であればよく、その構成は特に限定されない。
前記燃焼装置5においては、下記反応により燃焼固体生成物および燃焼ガスが生成する。即ち、下記式(9)に示すように、空気または酸素含有ガスによって、熱分解固体生成物に含まれる炭(charcoal)は燃焼して二酸化炭素になる。また、下記式(10)に示すように、熱分解固体生成物に含まれる炭酸カルシウムは酸化カルシウムになることにより再生される。また、下記式(11)に示すように、空気または酸素含有ガスによって、熱分解固体生成物に含まれる硫化カルシウムは石膏(硫酸カルシウム)「CaSO」となる。
C(charcoal) + O → CO …(9)
CaCO → CaO + CO …(10)
CaS + 2O→ CaSO …(11)
前記式(9)および式(11)に示す反応は発熱反応であり、当該反応で生じた反応熱は、循環される酸化カルシウムの顕熱となって、熱分解装置3、改質装置4および燃焼装置5の熱源として利用される。
燃焼装置5においては、前記式(9)〜(11)に示す反応、および、必要に応じて乾燥装置2から供給された乾燥汚泥の燃焼によって、酸化カルシウム、リン酸三カルシウム、石膏および灰分等を含む固体成分である燃焼固体生成物が得られる。また、当該燃焼固体生成物と共に、高濃度の二酸化炭素が含まれた燃焼ガスが得られる。燃焼装置5は、燃焼して得た燃焼生成物のうち、燃焼ガスを、燃焼ガス排出路20を通じて排出する。
<灰分分離装置6>
灰分分離装置6は、燃焼装置5から供給された燃焼固体生成物から、酸化カルシウムを主成分として含む粒子と、リン酸三カルシウム、石膏および灰分等を含む固体成分であるリン含有灰(酸化カルシウム以外の燃焼固体生成物)とを分離する。そして、灰分分離装置6は、前記リン含有灰を、リン含有灰排出路31を通じて排出する。前記リン含有灰には、リン酸カルシウム化合物として、リン酸三カルシウム「Ca(PO」の他に、P,CaPO,Ca(PO,Ca,CaHPO等が含まれている。尚、リン含有灰は、酸化カルシウムを主成分として含む粒子よりも粒度が小さい。
一方、灰分分離装置6は、酸化カルシウムを主成分として含む粒子を、循環酸化カルシウム供給路29を通じて改質装置4に供給する。これにより、酸化カルシウムは、改質装置4、熱分解装置3、燃焼装置5および灰分分離装置6を循環し、繰り返し利用され、上述した複数の役割を果たす。
灰分分離装置6は、燃焼固体生成物を、酸化カルシウムを主成分として含む粒子と、それ以外の燃焼固体生成物とに分離することができる装置であればよく、例えばサイクロンが挙げられるものの、その構成は特に限定されない。
本実施の形態に係る水素製造装置は、リン酸三カルシウムを含むリン含有灰を回収してもよい。そのため、本実施の形態に係る水素製造装置は、リン含有灰排出路31から供給された、リン酸三カルシウムを含むリン含有灰に酸を添加して、リン酸三カルシウムと反応させ、リン酸およびリン酸二水素カルシウム等の溶解性リン酸化合物を製造するリン酸製造装置(図示しない)をさらに備えていてもよい。
〔水素製造方法〕
本発明の一実施の形態における水素製造方法は、リン含有バイオマスから水素を製造する水素製造方法であって、前記リン含有バイオマスを脱水する脱水工程と、前記脱水工程で得られた脱水汚泥の一部を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、前記乾燥工程を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整する水分調整工程と、前記水分調整工程で得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解工程と、を含む方法である。
より具体的には、本発明の一実施の形態における水素製造方法は、主に、混合工程、脱水工程、乾燥工程、熱分解工程、改質工程、燃焼工程、および灰分分離工程を含んでいる。また、前記水素製造方法は、水素の製造を連続的に行うことができるように、各工程の間に、搬送工程を含んでいる。
以下、本発明の一実施の形態における水素製造方法を構成する各工程に関して説明する。但し、上述した水素製造装置において説明した内容と重複する内容に関しては、その説明を簡略化または省略することとする。
<混合工程および脱水工程>
混合工程では、汚泥スラリー(リン含有バイオマス)に、上述した無機カルシウム化合物を混合する。混合工程と脱水工程とを行う順序は、特に限定されないものの、脱水工程の前に混合工程を行うことにより、通常の脱水方法よりも脱水性を向上させることができる。汚泥スラリーに混合する無機カルシウム化合物の添加量は、上述した通りである。尚、混合工程および脱水工程は、乾燥工程よりも前に行われる。
脱水工程では、前記混合工程で得られた汚泥スラリーと無機カルシウム化合物との混合物を脱水する。即ち、汚泥スラリーから水分を含む分離液を除去する。分離液を除去した混合物は、次の乾燥工程に供される。
尚、汚泥スラリーと無機カルシウム化合物とを混合する具体的な混合方法、並びに、汚泥スラリーと無機カルシウム化合物との混合物を脱水する具体的な脱水方法は、特に限定されない。
脱水工程では、汚泥スラリーを脱水して、脱水汚泥の含水率を70重量%〜80重量%とすることが好ましく、70重量〜75重量%とすることがより好ましい。無機カルシウム化合物等を脱水助剤として使用する場合は、脱水汚泥の含水率を、70重量〜75重量%の範囲に調整することができる。
<乾燥工程>
乾燥工程では、脱水工程を経て得た前記脱水汚泥の一部を加熱し、水分を蒸発させて乾燥汚泥とする。
尚、脱水汚泥を乾燥させる具体的な乾燥方法は、特に限定されないものの、間接加熱法であることが好ましい。間接加熱法を用いることにより、水蒸気(熱媒)の加熱に、燃焼工程で生じた高温の燃焼ガスを熱源として利用することができるため、熱効率を高めることができる。
乾燥工程では、乾燥汚泥の含水率を3重量%〜30重量%とすることが好ましく、5重量%〜20重量%とすることがより好ましく、10重量%〜15重量%とすることがさらに好ましい。これにより、乾燥工程を経ていない脱水汚泥と合わせて熱分解に適した含水率にすることができる。
<水分調整工程>
水分調整工程では、乾燥工程を経て得た前記乾燥汚泥の少なくとも一部と、乾燥工程を経ていない脱水汚泥とを合わせて水分を調整する。
水分調整工程では、水分調整物の含水率の下限値として、20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることがさらに好ましく、45重量%以上であることが最も好ましい。水分調整物の含水率の上限値としては、65重量%以下であることが好ましく、60重量%以下であることがより好ましい。前述した上限値および下限値は適宜組み合わせることができる。これにより、水分調整物に含まれる水分を効率的に水蒸気ガス化することができる。
水分調整工程では、乾燥汚泥と、乾燥工程を経ていない脱水汚泥との合計重量に対して、乾燥汚泥の重量割合が、下限値として、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、17重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上であることが最も好ましい。乾燥汚泥と、乾燥工程を経ていない脱水汚泥との合計重量に対する乾燥汚泥の重量割合の上限値としては、80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることがより好ましく、35重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることがさらに好ましく、25重量%以下であることが最も好ましい。前述した上限値および下限値は適宜組み合わせることができる。これにより、水分調整物の含水率を上述の範囲にすることができる。
<熱分解工程>
熱分解工程では、水分調整工程を経て得た前記水分調整物を、水蒸気の存在下、400℃〜900℃、より好ましくは600℃〜800℃、さらに好ましくは700℃程度で加熱しながら、0.1時間〜2時間、より好ましくは0.5時間〜1時間、滞留させることにより、熱分解する。即ち、熱分解工程での水分調整物の加熱温度は400℃〜900℃、より好ましくは600℃〜800℃、さらに好ましくは700℃程度であり、滞留時間は0.1時間〜2時間、より好ましくは0.5時間〜1時間である。
熱分解工程においては、上述した反応により熱分解を行い、熱分解固体生成物および熱分解ガスである可燃性ガスを生成する。熱分解して得た熱分解固体生成物は、燃焼工程に供される。そして、熱分解して得た可燃性ガスは、次の改質工程に供される。また、熱分解工程においては、改質工程で用いられた酸化カルシウム「CaO」が供給(循環)されると共に、必要に応じて、新たな無機カルシウム化合物の一部が供給される。
尚、水分調整物を熱分解させる具体的な熱分解方法は、特に限定されない。
熱分解固体生成物に含まれるリン酸三カルシウムの融点は1390℃と高いため、熱分解工程および下記燃焼工程における、リン化合物の溶融による焼却炉への付着およびそれに伴う焼却炉の閉塞を防止することができる。それゆえ、水素製造方法をより安定して連続運転することが可能となる。
<改質工程>
改質工程では、熱分解工程で得られた可燃性ガスから、酸化カルシウムを用いた水蒸気改質を行うことによって上述した反応を行い、当該可燃性ガスよりも水素濃度を高めた第二の可燃性ガスを製造する。第二の可燃性ガスは、その一部をそのまま燃焼用ガスとして用いてもよいし、PSA等のガス分離装置を用いて高濃度水素のみを分離した後のCOおよびCを主成分とするオフガスを燃焼用ガスとして用いてもよい。これにより、外部から供給される燃焼用ガスの量を削減することができる。製造した第二の可燃性ガスは、冷却され、高濃度の水素を含むガスとして回収される。第二の可燃性ガスから回収された熱は、燃焼工程に供給される。
改質工程では、熱分解工程を経て得た可燃性ガスを、800℃〜1100℃、より好ましくは850℃〜1000℃、さらに好ましくは950℃程度で加熱しながら、0.5s〜3s、より好ましくは1s〜2.5s、滞留させることにより、水蒸気改質を行う。即ち、改質工程での可燃性ガスの加熱温度は800℃〜1100℃、より好ましくは850℃〜1000℃、さらに好ましくは950℃程度であり、滞留時間は0.5s〜3s、より好ましくは1s〜2.5sである。
また、改質工程においては、灰分分離工程にて分離された酸化カルシウム「CaO」が供給(循環)されると共に、必要に応じて、新たな無機カルシウム化合物の一部が供給される。さらに、改質工程で用いられた酸化カルシウムは、熱分解工程に供給(循環)される。
尚、前記可燃性ガスを水蒸気改質する具体的な改質方法は、特に限定されない。
<燃焼工程>
燃焼工程では、熱分解工程で得られた熱分解固体生成物を燃焼させることによって上述した反応を行い、燃焼生成物として、燃焼固体生成物および燃焼ガスを得る。燃焼固体生成物および燃焼ガスは、次の灰分分離工程に供給する。燃焼ガスには、高濃度の二酸化炭素が含まれる。燃焼工程においては、空気または酸素含有ガスと共に、熱源となる燃焼用ガスを外部から供給してもよいし、前記第二の可燃性ガスの一部または前記オフガスを供給してもよい。また、燃焼工程においては、必要に応じて、新たな無機カルシウム化合物の一部が供給される。
燃焼工程では、熱分解工程を経て得た熱分解固体生成物を、850℃〜1200℃、より好ましくは900℃〜1150℃、さらに好ましくは1100℃程度で加熱しながら、0.1時間〜2時間、より好ましくは0.5時間〜1時間、滞留させることにより、燃焼する。即ち、燃焼工程での熱分解固体生成物の加熱温度は850℃〜1200℃、より好ましくは900℃〜1150℃、さらに好ましくは1100℃程度であり、滞留時間は0.1時間〜2時間、より好ましくは0.5時間〜1時間である。
さらに、燃焼工程においては、必要に応じて、乾燥工程から上述した乾燥汚泥が供給される。当該乾燥汚泥は、燃焼工程において前記燃焼用ガスの燃焼による熱量だけで熱分解固体生成物の燃焼を行うことが困難である場合に、熱源として燃焼される。乾燥汚泥を燃焼させることにより、外部から供給される燃焼用ガスの量を削減することができるので、エネルギーの使用量を削減することができる。
尚、前記熱分解固体生成物を燃焼させる具体的な燃焼方法は、特に限定されない。
<灰分分離工程>
灰分分離工程では、燃焼工程で得られた燃焼固体生成物から、酸化カルシウムを主成分として含む粒子と、リン酸三カルシウム、石膏および灰分等を含む固体成分であるリン含有灰(酸化カルシウム以外の燃焼固体生成物)とを分離する。
一方、酸化カルシウムを主成分として含む粒子は、改質工程に供給される。これにより、酸化カルシウムは、改質工程、熱分解工程、燃焼工程および灰分分離工程を循環し、繰り返し利用され、上述した複数の役割を果たす。
尚、燃焼固体生成物を、酸化カルシウムを主成分として含む粒子と、それ以外の燃焼固体生成物とに分離する具体的な分離方法は、特に限定されないものの、例えばサイクロンを用いた分離方法が好ましい。
本実施の形態に係る水素製造方法は、リン酸三カルシウムを含むリン含有灰を回収してもよい。そのため、本実施の形態に係る水素製造方法は、灰分分離工程で得られたリン酸三カルシウムを含むリン含有灰に酸を添加して、リン酸三カルシウムと反応させ、リン酸および酸およびリン酸二水素カルシウム等の溶解性リン酸化合物を製造するリン酸製造工程をさらに含んでいてもよい。
〔実施例〕
以下、上述した水素製造装置および水素製造方法を用いた実施例に関して説明する。
<実施条件>
表1に、脱水装置出口における脱水汚泥、乾燥装置入口における脱水汚泥、乾燥装置出口における乾燥汚泥、乾燥装置バイパスにおける脱水汚泥、燃焼装置入口における乾燥汚泥、および熱分解装置入口における水分調整物の量(W.B.)を示す。また、表1に、各装置の入口または出口における脱水汚泥、乾燥汚泥、または水分調整物中の乾燥固体量、水分量、および含水率を示す。乾燥固体量および水分量は、脱水汚泥、乾燥汚泥、または水分調整物1kgを105℃に設定した乾燥機内で一昼夜乾燥し、乾燥前後の重量差から算出した。
スラリー濃度2.5重量%の汚泥スラリー200t/d(乾燥固体量5.00t/d、水分量195t/d)を脱水装置で脱水して含水率70.4重量%の脱水汚泥16.9t/d(乾燥固体量5.00t/d、水分量11.9t/d)を得た。含水率70.4重量%の脱水汚泥16.9t/dのうち、10.58t/d(乾燥固体量3.13t/d、水分量7.45t/d)を乾燥装置で乾燥して含水率10.1重量%の乾燥汚泥3.48t/d(乾燥固体量3.13t/d、水分量0.35t/d)を得た。含水率10.1重量%の乾燥汚泥3.48t/dのうち、1.89t/d(乾燥固体量1.70t/d、水分量)を燃焼装置に供給した。燃焼装置に供給した含水率10.1重量%の乾燥汚泥1.89t/dを1100℃で加熱して燃焼した。燃焼装置に供給されなかった含水率10.1重量%の乾燥汚泥1.59t/dと、乾燥装置を経ていない残りの含水率70.4重量%の脱水汚泥6.32t/dとを合わせて含水率58.3重量%の水分調整物7.91t/d(乾燥固体量3.30t/d、水分量4.61t/d)とし、熱分解装置に供給した。熱分解装置に供給した含水率58.3重量%の水分調整物7.91t/dを700℃で加熱して熱分解した。表2に、脱水汚泥を全量乾燥装置に供給する従来法の場合の脱水汚泥の供給量、および本実施例における脱水汚泥の供給量を示す。
Figure 2020128325
Figure 2020128325
表2に示すように、本実施例は、脱水汚泥を全量乾燥装置に供給する従来法と比較して、乾燥装置への脱水汚泥の供給量を37%削減することができた。すなわち、本実施例は、従来法よりも、乾燥装置への脱水汚泥の供給量を削減することにより、補助燃料の使用量を削減することができた。
〔まとめ〕
本発明には、以下の構成が包含されている。
<1>
リン含有バイオマスから水素を製造する水素製造方法であって、
前記リン含有バイオマスを脱水する脱水工程と、
前記脱水工程で得られた脱水汚泥の一部を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、前記乾燥工程を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整する水分調整工程と、
前記水分調整工程で得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解工程と、を含む水素製造方法。
<2>
前記乾燥工程では、前記乾燥汚泥の含水率を3重量%〜30重量%とする、<1>に記載の水素製造方法。
<3>
脱水工程では、前記脱水汚泥の含水率を70重量%〜80重量%とする脱水工程をさらに含む、<1>または<2>に記載の水素製造方法。
<4>
前記水分調整工程では、前記水分調整物の含水率を20重量%〜65重量%とする、<1>〜<3>の何れか一つに記載の水素製造方法。
<5>
前記リン含有バイオマスに無機カルシウム化合物を混合する混合工程をさらに含む、<1>〜<4>の何れか一つに記載の水素製造方法。
<6>
前記熱分解工程で得られた熱分解固体生成物を燃焼する燃焼工程をさらに含む、<1>〜<5>の何れか一つに記載の水素製造方法。
<7>
前記燃焼工程で得られた燃焼生成物からリン含有灰を分離する灰分分離工程をさらに含む、<6>に記載の水素製造方法。
<8>
前記熱分解工程で得られた可燃性ガスから、酸化カルシウムを用いた水蒸気改質によって、前記可燃性ガスよりも水素濃度を高めた可燃性ガスを製造する改質工程をさらに含む、<1>〜<7>の何れか一つに記載の水素製造方法。
<9>
リン含有バイオマスから水素を製造する水素製造装置であって、
前記リン含有バイオマスを脱水する脱水装置と、
前記脱水装置で得られた脱水汚泥の一部を乾燥させる乾燥装置と、
前記乾燥装置で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、前記乾燥装置を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整して得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解装置と、
を含む水素製造装置。
本発明の一実施の形態に係る水素製造方法および水素製造装置は、例えば、下水処理場で発生する下水汚泥、し尿処理場で発生するし尿汚泥、肉骨粉、畜糞等のリン含有バイオマスを原料とする水素の製造において好適に用いられる。
1 脱水装置(混合装置)
2 乾燥装置
3 熱分解装置
4 改質装置
5 燃焼装置
6 灰分分離装置

Claims (9)

  1. リン含有バイオマスから水素を製造する水素製造方法であって、
    前記リン含有バイオマスを脱水する脱水工程と、
    前記脱水工程で得られた脱水汚泥の一部を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、前記乾燥工程を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整する水分調整工程と、
    前記水分調整工程で得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解工程と、を含む水素製造方法。
  2. 前記乾燥工程では、前記乾燥汚泥の含水率を3重量%〜30重量%とする、請求項1に記載の水素製造方法。
  3. 前記脱水工程では、前記脱水汚泥の含水率を70重量%〜80重量%とする脱水工程をさらに含む、請求項1または2に記載の水素製造方法。
  4. 前記水分調整工程では、前記水分調整物の含水率を20重量%〜65重量%とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の水素製造方法。
  5. 前記リン含有バイオマスに無機カルシウム化合物を混合する混合工程をさらに含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の水素製造方法。
  6. 前記熱分解工程で得られた熱分解固体生成物を燃焼する燃焼工程をさらに含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の水素製造方法。
  7. 前記燃焼工程で得られた燃焼生成物からリン含有灰を分離する灰分分離工程をさらに含む、請求項6に記載の水素製造方法。
  8. 前記熱分解工程で得られた可燃性ガスから、酸化カルシウムを用いた水蒸気改質によって、前記可燃性ガスよりも水素濃度を高めた可燃性ガスを製造する改質工程をさらに含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の水素製造方法。
  9. リン含有バイオマスから水素を製造する水素製造装置であって、
    前記リン含有バイオマスを脱水する脱水装置と、
    前記脱水装置で得られた脱水汚泥の一部を乾燥させる乾燥装置と、
    前記乾燥装置で得られた乾燥汚泥の少なくとも一部と、前記乾燥装置を経ていない脱水汚泥とを合わせて、水分を調整して得られた水分調整物を水蒸気の存在下で熱分解する熱分解装置と、
    を含む水素製造装置。
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