JP7140341B2 - バイオマスを原料とする水素製造方法 - Google Patents

バイオマスを原料とする水素製造方法 Download PDF

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    • C10K3/00Modifying the chemical composition of combustible gases containing carbon monoxide to produce an improved fuel, e.g. one of different calorific value, which may be free from carbon monoxide

Description

本発明は、バイオマスを原料とする水素製造方法に関する。
水素は、燃料として使用された場合、二酸化炭素を排出せず、環境に優しい材料として重要視されており、例えば、燃料電池に供給されて、燃料電池車としての利用や燃料電池発電所を実現して発電効率の飛躍的な向上が見込めるため、今後、ますますその需要が増加すると予想される。
一方、水素の原料として石油、天然ガス等の化石燃料でなく、バイオマスからの製造について提案がなされている。
例えば、特許文献1には、
有機物質および物質混合物から高い発熱量を有する生成物ガスを製造する方法であり、
循環する熱担持媒体が、加熱帯域、反応帯域、熱分解帯域および分離工程を通過し、引き続き加熱帯域に戻り、その際、
有機物質または物質混合物を熱分解帯域中で加熱した熱担持媒体と接触することにより固体の炭素含有残留物および揮発性相として熱分解ガスに分離し、
熱分解帯域を通過後、固体の炭素含有残留物を分離工程で熱担持媒体から分離し、
熱分解ガスを反応媒体としての水蒸気と混合し、反応帯域中で加熱した熱担持媒体に含まれる熱の一部を交換することにより高い発熱量を有する生成物ガスが生じるように更に加熱する、有機物質および物質混合物から高い発熱量を有する生成物ガスを製造する方法において、
水蒸気を熱分解帯域で熱分解ガスと混合し、
全部の固体の炭素含有残留物を別の燃焼装置に供給し、ここで燃焼し、
この燃焼装置の熱い排ガスを、加熱帯域に存在する熱担持媒体の堆積を通過させ、その際大部分の顕熱を熱担持媒体に与えることを特徴とする、有機物質および物質混合物から高い発熱量を有する生成物ガスを製造する方法が、記載されている。
また、例えば、特許文献2には、
有機廃棄物を熱担持媒体を用いて、非酸化性雰囲気下において500~600℃で加熱し、発生した熱分解ガスを900~1000℃でスチームと混合せしめ、次いで、得た改質ガスを精製して水素を回収する方法が記載されている。
特許第4264525号公報 特許第4246456号公報
上記各特許文献に記載された方法では、水素ガスを得ることを目的としているものの、熱分解反応によりタールが発生しタールによる管路の閉塞が生じるため、長期にわたって安定的に水素ガスを得ることが難しいという課題を有している。
本発明は、この課題を解決するものであって、次のとおりのものである。
本発明の一態様に係るバイオマスを原料とする水素製造方法は、熱担持媒体を供給してバイオマス原料から熱分解ガスを得る熱分解工程、及び、該熱分解ガスを昇温させて水素に富む改質ガスを得る改質工程、を有し、前記熱分解工程における前記熱担持媒体は680~740℃に加熱されており、前記熱分解工程では、さらに、水蒸気と酸素ガスを同時供給して熱分解反応温度を640~740℃とし、前記改質工程では、水蒸気と酸素ガスを同時供給し、前記熱担持媒体は前記改質工程には供給されないこと、を特徴とする。
上記によれば、熱分解反応により発生したタールの完全な分解がなされ、長期にわたって安定的に水素ガスを製造することができる。
本発明の一態様を実施するための装置(設備)の一例の概略図である。
<本発明の実施形態の説明>
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において数値範囲を「~」で表現するとき、その範囲は上限及び下限の数値を含んでいる。また、「/」は、除算を表す。
(1)本発明の一態様に係るバイオマスを原料とする水素製造方法は、熱担持媒体を供給してバイオマス原料から熱分解ガスを得る熱分解工程、及び、該熱分解ガスを昇温させて水素に富む改質ガスを得る改質工程、を有し、前記熱分解工程における前記熱担持媒体は680~740℃に加熱されており、前記熱分解工程では、さらに、水蒸気と酸素ガスを同時供給して熱分解反応温度を640~740℃とし、前記改質工程では、水蒸気と酸素ガスを同時供給し、前記熱担持媒体は前記改質工程には供給されない。この水素製造方法は、発生したタールを完全に分解し、長期にわたって安定的に水素ガスを得ることができる。また、バイオマス原料に五酸化二リン(P)が含まれることがあるが、熱分解の温度を640~720℃とすることによりP蒸発が抑制できる。
(2)前記水素製造法の前記熱分解工程において、同時供給する水蒸気と酸素ガスの水蒸気のモル/酸素ガスのモルが1~4である。これにより、熱分解反応温度を640~740℃とすることが容易にできる。
(3)前記各水素製造法の前記熱分解工程の熱分解温度が660~700℃である。これにより、より一層、タールの発生が抑えられ、長期にわたって安定的に水素ガスを得ることができる。
<本発明の実施形態の詳細>
本発明を実施するための一態様について、以下に詳述するが、まず、該態様を導出した知見及び着想について述べる。
本発明者は、前述の特許文献1および2に記載された水素製造方法について検討したところ、タールが分解しない原因について、熱分解器における温度として、後述する640℃以上の温度を確保できないためであることを発見した。
そこで、熱分解器における温度を上昇させるために、前述の特許文献1および2に記載された水素製造方法において、予熱される熱担持媒体の温度を上昇させることを検討したところ、これら水素製造方法では、予熱された熱担持媒体が改質器を経由して熱分解器に投入されており、熱担持媒体が保有する熱が改質器の熱源としてまず利用されてしまうため、熱分解器におけるタール分解のための熱分解温度を上昇させるためには、予熱器において、さらなる熱担持媒体の予熱温度の上昇、すなわち、1050℃を超える予熱が必要になるものの、この予熱温度のさらなる上昇は工業的にみると現実的でなく、しかも、熱担持媒体による改質器の温度を1000℃に昇温は困難であることがわかった。
なお、前記特許文献1でいう「加熱帯域」、「反応帯域」、「熱分解帯域」は、それぞれ、本発明でいう「予熱器」、「改質器」、「熱分解器」として前記議論をしている。
そこで、本発明者は、さらに検討を行ったところ、
(1)タールの発生を水素の製造に当たって支障がない程度に抑制するためには、熱分解反応温度を640℃以上にすることが必要であり、改質器において1000℃への昇温が困難な理由は熱担持媒体と改質ガス間の伝熱係数が小さいためであるとの知見を得て、この知見のもとに、
(2)熱分解器の熱源を熱担持媒体のみにはせず、熱担持媒体のみからもたらされる熱量不足する熱量を他の熱源で補うことを着想し、
(3)予熱した熱担持媒体の投入は改質器には行わず熱分解器のみとして、熱分解器の熱分解温度までの昇温と水分の蒸発のための熱として利用させれば、熱担持媒体の予熱温度を低くすることができること、
(4)熱分解器の熱分解反応のための他の熱源として酸素ガスを吹き込むことによって発生する部分酸化反応熱を利用すれば、容易に所定の熱分解反応温度まで昇温でき、かつ、この際、水蒸気を同時に吹き込むことによって、酸素の過少による反応温度の敏感性を緩和して温度制御が容易になること、
(5)改質器では、熱担持媒体の供給に替えて酸素ガスを供給すれば、部分酸化反応熱により、容易に1000℃の改質反応温度まで昇温でき、かつ、この際、水蒸気を同時に吹き込むことによって、酸素の過少による反応温度の敏感性を緩和して温度制御が容易になること、
の新規な知見と着想を得たのである。
次に、この知見と着想に係る事項を踏まえて、本発明を実施するための形態を説明する。まず、各工程について説明する。
熱担持媒体
(1)熱担持媒体の形状・材質
熱担持媒体の形状は球が好ましく、材質としては、アルミナ等のセラミック、鋼が望ましい。すなわち、アルミナボール、セラミックボール、鋼球が使用でき、その径は、10~30mmが好適である。
(2)予熱温度
熱担持媒体は予熱器で予熱され、予熱温度範囲は、680~740℃とする。この予熱温度範囲は、特許文献1、2で示された1050℃よりも遙かに低く、予熱に必要とするエネルギーを節約することができ熱効率がよくなる上、予熱器に高価な耐火材を使用しなくてもすむという利点をもたらす。
熱担持媒体24は、予熱器3で昇温され熱分解器4で熱分解の熱担持媒体として熱分解に反応に熱を供し、チャー分離装置6でチャーと熱媒体を分離後、熱担持媒体循環装置27にて循環使用される。
熱分解器における熱分解反応工程:
熱分解器における熱分解反応について詳述する。
(1)バイオマス原料:
本発明の一態様において用いられる原料はバイオマスであり、下水汚泥、間伐材、流木材、木質ペレット、ストローペレット、製紙スラッジ、生ごみコンポストスラッジ、食品廃棄物、汚泥等、生物体由来の炭素、水素および酸素を含むものであれば種類を問わないが、入手のしやすさから下水汚泥が好適である。また、原料は、複数種類のバイオマスの混合物であってもよい。
バイオマスの大きさは、粗粉砕処理を経た程度の大きさであればよい。例えば長さが15mm以下の大きさの板状などの個体形状、粒状が好ましい。含有する水分量は、その形状によって異なるが、30~20質量%に熱分解器に供給する前に予備乾燥されていることが好ましい。
(2)熱分解ガスを得る熱分解:
熱分解ガスを得る熱分解の温度は、640~740℃とする。この温度範囲とした理由は、640℃未満であると熱分解によって発生したタールを完全に分解することが難しく、740℃を超えると同タール完全に分解するために必要以上の熱源が必要になるためである。熱分解温度は660~700℃がより好ましい。
また、有機原料として下水汚泥等を用いると、有機原料中に五酸化二リン(P)が含まれるが、熱分解の温度を640~740℃とすることによりP蒸発が抑制でき、熱分解ガスに閉塞トラブルを起こす恐れのあるPの揮散蒸気が存在しないため、Pを含む下水汚泥を有機原料とすることが可能となる利点を有する。
熱分解の熱源は熱担持媒体がもたらすが、それだけでは十分でなく、酸素ガスを吹込み供給することによって、前記温度範囲とする。
水蒸気と酸素ガスを同時吹込み供給することによる熱源の確保により、水蒸気と酸素ガスの供給による熱伝達が、固相である熱担持媒体の熱伝達に比して遙かに効率がよい上に、供給される水蒸気によって、ヒートスポットの生成を抑制し、温度の急激な変化が緩和でき、しかも、有機原料供給量などの変化等の短時間で変化する外乱に応じて熱分解反応の制御が容易である利点を有している。
ここで、水蒸気と酸素ガスのそれぞれの供給比は、水蒸気/酸素ガスのモル比(水蒸気のモル/酸素ガスのモル)で1~4が好ましい。この範囲とする理由は、1未満であると温度変動が大きくなることがあり、4を超えると、水蒸気が600℃以上で酸化性となり、CO濃度が大きくなって水素回収には好ましくなくなってしまうためである。
そして、水蒸気は、温度に制約はないものの、一例として、140℃の温度のものを挙げることができ、酸素ガスは、特に制約はなく、例えば、工業用の酸素ガス発生器で製造した、40℃程度のものを用いることができる。そして、水蒸気/酸素ガスで表されるモル比が高くなると、酸素流量のわずかな変動によりもたらされる外乱に対して熱分解反応の制御がより容易となる。
ここで、熱分解ガスは、CH、CO、CO、Hが主成分のガスである。そして、前記のように水蒸気を吹込むことにより、Hを得ることができるが、Hの含有割合は10体積%と少ないため、Hの含有割合を上昇させるべく、次工程で改質を行う。
改質器における改質工程:
改質器は熱分解器の下流に設け、熱源として熱担持媒体を用いず水蒸気と酸素ガスを同時供給して1000℃以上に昇温して熱分解ガスに対して行い、水素に富んだ粗改質ガスを得る。そして、熱担持媒体の供給に替え、水蒸気と酸素ガスを同時供給することにより1000℃へ容易に昇温することができる。
ここで、水蒸気は、一例として、100~150℃のものを挙げることができ、酸素ガスは、例えば、工業用の酸素ガス発生器で製造した40℃のものを用いることができる。
改質により、水蒸気改質反応が進行して、CHガス等の炭化水素ガスが水素ガスに転化し、水素ガスの含有割合が増大する。ここで、代表的な水蒸気改質反応として、
CH + HO → CO + 3H
を挙げることができる。
また、次のシフト反応も進行して、水素ガスの含有割合が増大する。
CO + HO → CO + H
このようにして得た粗改質ガスは、Hガスの含有割合が50~54体積%(ドライベース)となっている。
なお、水蒸気の供給は、前記水蒸気改質反応を進行させるためだけになされるのではなく、温度の過敏性(急激な変化)の緩和のためにもなされる。
改質器に供給される水蒸気と酸素ガスは、一例として、水蒸気/酸素ガスのモル比(水蒸気のモル/酸素ガスのモル)で1~4となるように同時供給されることが好ましい。
ガスの精製工程:
改質工程を経たガス(粗改質ガス)は、冷却され除塵されて、HCl、CN、NH等の微量の有害成分を除去する。ここで除去は、従来公知の手段を適宜組み合わせて行うことができる。その後、Hガスの精製を行う。Hガスの精製は、公知の手段を適宜使用すればよく、例えば、PSA手段、膜分離手段が使用できる。
次に、実施例について説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
図1に示す装置(設備)を用いて、以下に記載する各実施例および各比較例を実施した。以下、図1に示されている本発明を実施するための装置の一例である概略図を参照して前記各工程を説明する。
熱担持媒体24は、680~740℃に予熱器3で加熱(予熱)されて、加熱後、弁25を経由して熱分解器4に投入される。ここで、予熱器3で熱担持媒体を予熱する熱源は、後述するように、チャーの一部18や熱分解ガス11の一部を燃焼炉23で燃焼させた約800℃の燃焼排ガス19であり、予熱器3からは燃焼排ガス20が排出される。
熱分解工程は、熱分解器4によってなされ、バイオマス原料1は、スクリューコンベア等のバイオマス原料搬送装置2により熱分解器4へ供給される。このバイオマス原料1は、投入された熱担持媒体24からの熱および熱分解器4の下部から同時に吹込み供給される水蒸気8と酸素ガス7とにより昇温され、640~720℃の温度で熱分解され熱分解ガス11が発生する。
改質工程は、改質器5でなされる。熱分解反応によって得られた熱分解ガス11は、その大部分が改質器5へ送られる。改質器5では、その下部から水蒸気10と酸素ガス9が同時に吹込み供給され、熱分解ガス11を1000℃まで昇温し、前述の水蒸気改質反応を進行させて、粗改質ガス13を得る。
ガスの精製工程は、粗改質ガス冷却・精製装置21でなされ、改質器5を経た粗改質ガス13は、粗改質ガス冷却・精製装置21へ導入されて、各手段の図示はされていないが、冷却、除塵、微量の有害成分の除去がそれぞれなされ、精製改質ガス14となり、水素分離装置22へ導入され、純水素ガス15を得る。なお、水素分離装置22からはオフガス16が排出される。
また、熱分解器4の底からは、640℃程度となった熱担持媒体24とバイオマス原料1のチャーが排出され、これらはチャー分離装置6へ弁26を経由して導入される。チャー分離装置6では、チャー17と熱担持媒体24とが分離され、熱担持媒体24は熱担持媒体循環装置27へ送られて、該装置によって予熱器3へ戻され循環使用される。また、チャー17は、そのチャーの一部18を除き、セメント製造施設や石炭火力発電所での代替燃料などに使用される。なお、チャー分離装置6は、例えば、篩によって熱担持媒体24とチャー17を分離できるものなど、公知のものが使用できる。
ここで、前述のとおり、熱分解ガスの一部12とチャーの一部18は、燃焼炉23に導入されて燃焼し、約800℃の燃焼排ガス19のための熱源となり、該燃焼排ガス19は予熱器で熱担持媒体24を予熱する熱源となる。熱分解ガスの一部12とチャーの一部18のみでは、この予熱のための熱源として不足するときは、LNG、LPG等の外部燃料を使用して熱源を補う。なお、燃焼炉23は、特別なものを使用する必要はない。
なお、図示はしていないが、本装置(設備)において、予熱器の燃焼排ガス20の廃熱を利用して水蒸気を作製し、これを熱分解器に供給する水蒸気8、改質器に供給する水蒸気10とすることも可能である。
各実施例および各比較例に共通して使用した有機原料は下水汚泥であって、以下のとおりのものである。
供給量 27.2kg/h
水分含有量 20質量%
灰分、揮発分および固定炭素の割合、ならびに、元素分析の結果を、それぞれ、表1、表2に示す。
Figure 0007140341000001
Figure 0007140341000002
各実施例および各比較例に共通して、熱担持媒体として、表3に示すアルミナボールを使用した。
Figure 0007140341000003
<実施例1>
熱担持媒体の予熱温度を700℃とし、熱分解器の温度(熱分解反応温度)を690℃として、140℃の水蒸気と40℃の酸素ガスを吹込んだ。このとき、熱分解器への酸素ガス流量、水蒸気流量は、それぞれ、1.71Nm3/h、 2.75kg/hで、水蒸気/酸素ガスのモル比は2.0(=(2.75×10/18)/(1.71×10/22.4))、改質器へ酸素ガス流量、水蒸気流量は、それぞれ、2.3Nm3/h、3.7kg/hであった。
また、熱分解ガス組成、タール量、および、改質器を出たガス組成を測定した。その結果を表4に示す。
なお、熱分解ガス組成の表示において、CHにより全ての炭化水素ガスを表現した。以下、同様の表記をしている。
<比較例1>
熱担持媒体の予熱温度を700℃とし、熱分解器の温度を600℃としてして、140℃の水蒸気と40℃酸素ガスを吹込んだ。このとき、熱分解器への酸素ガス流量、蒸気流量は、それぞれ、0.76Nm3/h、1.21kg/hで、水蒸気/酸素ガスのモル比は2.0、改質器へ酸素ガス流量、水蒸気流量は、それぞれ、2.3Nm3/h、3.7kg/hであった。熱分解ガス組成とタール量を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0007140341000004
実施例1は、熱分解器の温度が690℃で、650~740℃の温度範囲にあり、また、水蒸気/酸素ガスのモル比が2.0で1.0~4.0のモル比範囲にあるため、熱分解ガスに含まれるCHガスの含有割合が低く、タールの発生を完全に抑えることができた。また、改質器の温度を1000℃にすることができた。
これに対して、比較例1は、熱分解温度が600℃で、前記温度範囲にないため、熱分解ガスに含まれるCHガスの含有割合が高く、タールの発生が生じ、改質器の温度は937℃であった。
次に、下水汚泥に含まれるPの蒸発が抑制されること確認するために、実施例2と比較例2において、図1の粗改質ガス冷却・精製装置22に堆積したPの量を計測した。
<実施例2>
熱担持媒体の予熱温度を700℃とし、熱分解器の温度を690℃として、140℃の水蒸気と40℃の酸素ガスを吹込んだ。このとき、熱分解器への酸素ガス流量、水蒸気流量は、それぞれ、1.71Nm3/h、2.75kg/hで水蒸気/酸素ガスのモル比は2.0であり、5時間の運転し、図1の粗改質ガス冷却・精製装置22に堆積したPの量を計測した。結果を表5に示す。
<比較例2>
熱担持媒体の予熱温度を800℃とし、熱分解器の温度を780℃として、140℃の水蒸気と40℃酸素ガスを吹込んだ。このとき、熱分解器への酸素ガス流量、蒸気流量は、それぞれ、3.14Nm3/h、5.0kg/hで水蒸気/酸素ガスのモル比は2.0であり、5時間の運転し、図1の粗改質ガス冷却・精製装置22に堆積したPの量を計測した。結果を表5に示す。
Figure 0007140341000005
推定P蒸気濃度は、粗改質ガス冷却・精製装置22を閉塞した閉塞物の量とその分析結果によって推定した。
実施例2は、熱分解器の温度が690℃で、650~740℃の温度範囲にあり、また、水蒸気/酸素ガスのモル比が2.0で1.0~4.0のモル比範囲にあるため、粗改質ガス冷却・精製装置に堆積したPの量が0.02kgと少なく、下水汚泥に含まれているPの蒸発をほぼ完全に抑えているといえる。
これに対して、比較例2は、熱分解温度が780℃で、前記温度範囲よりも高く、Pの蒸発は抑えられていない。
次に、水蒸気/酸素ガスのモル比が、Hの収量や温度変動の安定性に与える影響を確認するために、実施例3と実施例2と比較する。
<実施例2>
実施例2は、前記のとおり行ったものであるが、熱分解ガス量は、16.64Nm3/hであり、酸素ガス吹込み量が±0.30Nm3/hの変動に対して、熱分解器の温度の変動は±60℃であった。得られた粗改質ガスの組成を表6に示す。
<実施例3>
熱担持媒体の予熱温度を700℃とし、熱分解器の温度を690℃として、140℃の水蒸気と40℃酸素ガスを吹込んだ。このとき、熱分解器への酸素ガス、蒸気流量は、それぞれ、1.71Nm3/h、5.49kg/hであり、水蒸気/酸素ガスのモル比は、4.0であった。得られた熱分解ガスの組成を表6に示す。
Figure 0007140341000006
実施例2と実施例3とを比較すると、水蒸気/酸素ガスのモル比が高い方が、酸素ガス流量の変動に対して熱分解反応温度の変動を抑えることができ、酸素ガス流量の変動に起因する温度変化の過敏性が改善されるといえる。
今回開示された実施の形態はあらゆる点で例示であって、制限的なものではないと考えるべきである。本発明の範囲は前記した実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲に記載された事項の均等の範囲の全ての変更が含まれる。
1 バイオマス原料
2 バイオマス原料搬送装置
3 予熱器
4 熱分解器
5 改質器
6 チャー分離装置
7 酸素ガス
8 水蒸気
9 酸素ガス
10 水蒸気
11 熱分解ガス
12 熱分解ガスの一部
13 粗改質ガス
14 精製改質ガス
15 製品純水素ガス
16 オフガス
17 チャー
18 チャーの一部
19 燃焼排ガス
20 燃焼排ガス
21 粗改質ガス冷却・精製装置
22 水素分離装置
23 燃焼炉
24 熱担持媒体
25 弁
26 弁
27 熱担持媒体循環装置

Claims (3)

  1. 熱担持媒体を供給してバイオマス原料から熱分解ガスを得る熱分解工程、及び、
    該熱分解ガスを昇温させて水素に富む改質ガスを得る改質工程、
    を有し、
    前記熱分解工程における前記熱担持媒体は680~740℃に加熱されており、
    前記熱分解工程では、さらに、水蒸気と酸素ガスを同時供給して熱分解反応温度を640~740℃とし、
    前記改質工程では、水蒸気と酸素ガスを同時供給し、
    前記熱担持媒体は前記改質工程には供給されないこと、
    を特徴とするバイオマスを原料とする水素製造方法。
  2. 前記熱分解工程において、同時供給する水蒸気と酸素ガスの水蒸気のモル/酸素ガスのモルが1~4であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマスを原料とする水素製造方法。
  3. 前記熱分解工程の熱分解反応温度が660~700℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバイオマスを原料とする水素製造方法。
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