JP2011144330A - 木質バイオマスのガス化システム及びその方法 - Google Patents

木質バイオマスのガス化システム及びその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートキャリアの加熱効率を維持し、もって生成ガスの品質の安定化を図る。
【解決手段】上記課題は、予熱器2で加熱したヒートキャリアを、熱風炉1、改質器3、熱分解器4を通して循環させつつ、熱分解器4に木質バイオマス原料を供給し、且つ改質器3に水蒸気を供給することにより、所定温度での熱分解及び水蒸気改質を行うとともに、熱分解器4で発生するチャー及びヒートキャリアの混合物を熱風炉1で燃焼し、その熱風を予熱器2に供給するとすることにより解決できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、木質バイオマスのガス化システム及びその方法に関するものである。
近年、化石燃料の代替及び地球温暖化防止を目的とした新エネルギー供給システムとして、間伐材等の木質バイオマスをガス化し、このガスを燃料として熱や電気エネルギーを生成する技術が提案され、利用されている。
このようなガス化システムとしては、種々のものが提案されているが、中でも特許文献1記載のものは水素濃度の高いガスを生成できる点で優れたものの一つである。このガス化システムは、上から順に、予熱器、改質器、熱分解器、及び分離機を備えており、熱を運ぶための多数のヒートキャリア(熱担持媒体)が、予熱器で加熱されてから改質器、熱分解器及び分離機の順に通された後、バケットコンベア等の移送装置により再び予熱器に戻されるように構成されている。
木質バイオマス原料は、スクリューコンベア等の適宜の定量供給装置により、例えば改質器と熱分解器とを繋ぐ供給管路を介して、熱分解器の上部供給口へ連続的に定量供給される。熱分解器内に供給された木質バイオマスは、予熱器から改質器を経て供給された、加熱されたヒートキャリアと接触することにより、チャー(固体の炭素含有残留物)と熱分解ガス(揮発性相)とに分離される。固形分であるチャーは、ヒートキャリアとともに分離機へ供給され、気体である熱分解ガスはヒートキャリアに対して向流接触しながら改質器へ上昇供給される。
改質器には反応媒体としての水蒸気が供給されており、熱分解ガスがヒートキャリアにより加熱される条件下でこの水蒸気と混合接触することにより、水素含有濃度が高く、従って発熱量の高いガスが発生する。
一方、分離機では、熱分解器から供給される混合物がチャーとヒートキャリアとに分離される。分離されたチャーは熱風炉に供給され、ヒートキャリアは移送装置により予熱器に戻される。
熱風炉では、チャーの燃焼により熱風(高温排ガス)が生成される。この熱風は予熱器に供給され、予熱器内を堆積状態で通過するヒートキャリア間に通され、ヒートキャリアと直接接触することによりヒートキャリアが加熱される。また、熱風炉ではチャーの燃焼により灰が生成される。この灰は、大部分は熱風炉1内で回収・除去されるが、一部は予熱器に供給され、予熱器の排気経路に設けられたサイクロン等の分離手段で取り除かれる。
上述のガス化システムにおいては、予熱器におけるヒートキャリアの加熱効率は非常に重要である。すなわち、原料投入量に対して予熱器におけるヒートキャリアの加熱効率が低いと、改質器及び熱分解器の温度が次第に低下し、改質器における改質不足により、水素高含有ガスが得られるところが特徴のシステムであるにもかかわらず、生成ガスにおける水素ガス濃度が低下してしまう。さらに、熱分解温度が大幅に下がると生成ガスにタールが混じるようになり、熱分解器と改質器との間の経路等にタールが付着し、閉塞する等の問題を生じる。つまり、上述のガス化システムにおける安定稼働時の処理能力は予熱器におけるヒートキャリアの加熱効率により左右されるのである。なお、システム内の温度を維持するだけであれば、原料投入量の減少により補うことはできるが、システム全体としての処理能力が低下することに変わりはない。
上述のガス化システムにおける予熱器の一例を図9〜図11に示した。この予熱器200は、上下方向に沿う円筒状の上側ヒートキャリア通路220と、この上側ヒートキャリア通路220の下方に連続する漏斗状(逆さ裁頭円錐台状)の下側ヒートキャリア通路221とを有し、上側ヒートキャリア通路220上面の中央部に供給口220i、下側ヒートキャリア通路221下端に排出口221x、上側ヒートキャリア通路220の側面に排気口220x及び下側ヒートキャリア通路221の側面に熱風吹き出し口222nをそれぞれ有しているものである。特徴的には、熱風吹き出し口222nが下側ヒートキャリア通路221の周方向に間隔をあけて複数設けられるとともに、これら熱風吹き出し口222nの全てに連通する環状の分配供給路223が下側ヒートキャリア通路221の周囲を取り囲むように設けられており、熱風炉からの熱風は、熱風供給口224から分配供給路を介して各熱風吹き出し口222nに供給されるようになっている。
運転時には、ヒートキャリアは供給口220iから落下供給され、ある程度の(例えば下側部分全体にわたる)堆積状態を維持しながら自重で下降し、上側ヒートキャリア通路220及び下側ヒートキャリア通路221を通過する過程で各熱風吹き出し口222nから、つまり周方向の複数個所から吹き出される熱風と接触して加熱された後、そのまま次段の改質器に定量供給される。このように、下側ヒートキャリア通路221を通るヒートキャリア群に対して、周方向の複数個所から熱風が供給されると、ヒートキャリアの通過数が下側ヒートキャリア通路221の径の減少に伴って減少することも相まって、熱風炉からの新鮮な熱風がより多くのヒートキャリアに対して直接又はそれに近い状態で接触されるため、ヒートキャリアの加熱効率に優れるようになる。
特許4264525号公報
しかしながら、このような加熱効率に優れる構造の予熱器を使用した場合であっても、ある程度運転を継続していると、予熱器におけるヒートキャリアの加熱効率が低下することがあった。前述のとおり、予熱器における加熱効率の低下は、生成ガスにおける水素濃度の低下をもたらすものであり、生成ガスの品質を安定化するためには防止する必要がある。
そこで、本発明の主たる課題は、ヒートキャリアの加熱効率を維持し、もって生成ガスの品質の安定化を図ることにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ヒートキャリアの加熱効率の低下は、予熱器における熱風吹き出し口及びこれに連通する分配供給路が灰やヒートキャリアで閉塞し(特に、分配供給路の底面が図2に示すように水平である場合にこの問題が顕著となる)、ヒートキャリアに対する熱風の供給が滞ることが原因であるとの知見を得た。
そこで、更に予熱器内の灰堆積について研究したところ、分離機におけるチャーの分離性能が影響していることが判明した。すなわち、木質バイオマス原料の寸法をある程度まで小さくすれば、原理的には、熱分解後のチャーの寸法はヒートキャリアより十分に小さくすることができ、分離機として、ヒートキャリアより小さいチャーのみを通すスクリーンを用いることにより、ヒートキャリアとチャーとを確実に分離できる。しかし、現実には、木質バイオマス原料の粒径を破砕等により揃えるとしても限界があり、ヒートキャリアより大きなチャーの発生を避けえず、この大きな塊状のチャーがヒートキャリアとともに予熱器に送られ、予熱器内で燃焼して灰が発生していたのである。しかも、このようにして発生した灰は、予熱器の排気に伴い排出されるよりも、予熱器内、改質器内等、ヒートキャリアの循環経路内に堆積し易い。
この問題点を解決する手法として、分離機の分離性能向上等により予熱器へのチャーの供給を防止することも考えられたが、チャーのような不定形なものが分離対象では分離性能の向上にも自ずと限界があること、分離機のコストが嵩むこと等の問題もある。以下に述べる本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
<請求項1記載の発明>
熱を運ぶための多数のヒートキャリアと、このヒートキャリアを加熱するための予熱器と、熱分解ガスの水蒸気改質を行うための改質器と、木質バイオマス原料を熱分解するための熱分解器と、チャーを燃焼して熱風を生成する熱風炉と、前記ヒートキャリアの通過経路から灰・ダストを抜き出すための灰・ダスト抜出手段とを備え、
前記ヒートキャリアを、前記予熱器、熱風炉、改質器、及び熱分解器の順に通した後、移送装置により再び予熱器に戻して循環させるとともに、前記熱分解器内に木質バイオマス原料を供給し、前記改質器内に対して直接又は間接的に水蒸気を供給し、
前記熱分解器内では、前記木質バイオマス原料を、加熱されたヒートキャリアと接触させることによりチャーと熱分解ガスとに熱分解し、この熱分解により得られたチャーとヒートキャリアとの混合物は混合状態のまま前記移送装置により前記予熱器へ供給し、熱分解ガスはヒートキャリアに対して向流接触しながら改質器へ供給し、
前記改質器では、前記熱分解ガスを前記ヒートキャリアにより加熱しつつ前記水蒸気と接触させることにより水素含有濃度を向上させたガスを生成し、
前記予熱器では、前記移送装置から供給される前記混合物を堆積状態で通過させて前記熱風炉に供給するとともに、その通過過程で前記混合物内に前記熱風炉から供給される熱風を通して、前記混合物中のヒートキャリアとの直接接触によりヒートキャリアを加熱し、
前記熱風炉では、前記予熱器から供給される前記混合物中のチャーを燃焼させ、この燃焼により生成する熱風を前記予熱器に供給する、
ように構成した、ことを特徴とする木質バイオマスのガス化システム。
(作用効果)
本発明は、分離機による分離を一切行わずに、チャーとヒートキャリアとの混合物を混合状態のまま予熱器に戻し、予熱器を通過させつつ加熱した後、熱風炉に供給し、この熱風炉で混合物中のチャーを燃焼させ、その熱風を予熱器へ供給して予熱器の熱源とするところに特徴を有するものである。分離機を用いないため、分離性能は問題とならず、またシステムの簡素化及びローコスト化を図ることができる上、ヒートキャリアをチャーとの混合状態で熱風炉内に通してチャーを燃焼させるため、ヒートキャリアの加熱効率に優れるようになる。よって、本発明によれば、ヒートキャリアの加熱効率の経時的低下を防止でき、生成ガスの水素濃度が低下するといった事態を防止できるようになる。
<請求項2記載の発明>
予熱器が上部となり熱風炉が下部となるように、予熱器と熱風炉とが一体化されており、
前記予熱器内から前記熱風炉内まで上下方向に沿って延在するヒートキャリア通路を有しており、
前記熱風炉内のヒートキャリア通路に臨むようにバーナーが設けられており、
前記熱風炉で生成する熱風が、前記熱風炉内から前記ヒートキャリア通路を介して前記予熱器に供給されるように構成されている、
請求項1記載の木質バイオマスのガス化システム。
(作用効果)
このように、予熱器と熱風炉とを一体化し、ヒートキャリア通路をヒートキャリアの通路としてだけ利用するのではなく、熱風炉から予熱器への熱風供給路としても用いることにより、熱風を新鮮なまま(つまり放熱少なく)ヒートキャリアに対して向流的に接触させることができ、極めて加熱効率に優れるようになる。
<請求項3記載の発明>
前記予熱器、熱風炉及び改質器の少なくとも一つは、
上下方向に沿って延在するヒートキャリア通路と、
このヒートキャリア通路の内周面に周方向に間隔をあけて複数設けられた、灰・ダストは通過するがヒートキャリアは通過しない灰・ダスト取り込み口と、
前記ヒートキャリア通路の周囲を取り囲むように設けられた、前記灰・ダスト取り込み口に連通する環状の灰・ダスト落としスペースと、
この灰・ダスト落としスペースから外部に連通する、灰・ダストの抜出口と、
を有するものである、
請求項2記載の木質バイオマスのガス化システム。
(作用効果)
灰はヒートキャリアに伴って予熱器、熱風炉、改質器、熱分解器の順に移動する過程で、予熱器内や、改質器内、改質器と熱分解器との間の経路(例えば、バルブ等)にも蓄積し、ヒートキャリアの循環阻害や、改質器と熱分解器との間の経路の閉塞による熱分解器内圧の異常上昇等の問題を発生させる。また、このような灰・ダストの堆積が進行すると、ヒートキャリア間に保持されることによりヒートキャリアに伴って移動する灰・ダストが増加し、ヒートキャリアの加熱効率が低下する。よって、上述のとおり予熱器、熱風炉及び改質器の少なくとも一つにおいて灰の除去を行うのは好ましい。これにより、改質器内や改質器と熱分解器との間の経路における灰の蓄積を効果的に防止できる。
<請求項4記載の発明>
前記灰・ダスト落としスペースと連通する圧縮空気吹き込み口を設けた、請求項3記載の木質バイオマスのガス化システム。
(作用効果)
抜出口からの灰・ダストの取り出しは、灰掻き等の機械的手段により行ってもよいが、灰・ダスト落としスペースと連通する圧縮空気吹き込み口を設け、ここから圧縮空気吹き込み、灰・ダストを圧縮空気に乗せて抜出口から排出するように構成すると、炉内温度に関係なく灰・ダストの抜出を実行でき、また自動的に定期実行することもできるため好ましい。
<請求項5記載の発明>
熱を運ぶための多数のヒートキャリアと、このヒートキャリアを加熱するための予熱器と、熱分解ガスの水蒸気改質を行うための改質器と、木質バイオマス原料を熱分解するための熱分解器と、チャーを燃焼して熱風を生成する熱風炉と、前記ヒートキャリアの通過経路から灰・ダストを抜き出すための灰・ダスト抜出手段とを備え、
前記ヒートキャリアを、熱風炉、前記予熱器、改質器、及び熱分解器の順に通した後、移送装置により再び熱風炉に戻して循環させるとともに、前記熱分解器内に木質バイオマス原料を供給し、前記改質器内に対して直接又は間接的に水蒸気を供給し、
前記熱分解器内では、前記木質バイオマス原料を、加熱されたヒートキャリアと接触させることによりチャーと熱分解ガスとに熱分解し、この熱分解により得られたチャーとヒートキャリアとの混合物は混合状態のまま前記移送装置により前記熱風炉へ供給し、熱分解ガスはヒートキャリアに対して向流接触しながら改質器へ供給し、
前記改質器では、前記熱分解ガスを前記ヒートキャリアにより加熱しつつ前記水蒸気と接触させることにより水素含有濃度を向上させたガスを生成し、
前記熱風炉では、前記移送装置から供給される前記混合物中のチャーを燃焼させ、この燃焼により生成する熱風を前記予熱器に供給するとともに、前記混合物中のヒートキャリアを前記予熱器に供給し、
前記予熱器では、前記熱風炉から供給される前記ヒートキャリアを堆積状態で通過させるとともに、その通過過程で前記ヒートキャリア間に前記熱風炉から供給される熱風を通して、前記ヒートキャリアとの直接接触によりヒートキャリアを加熱する、
ように構成した、ことを特徴とする木質バイオマスのガス化システム。
(作用効果)
熱風炉を予熱器の下流側ではなく上流側に設け、移送装置から供給されるチャートヒートキャリアとの混合物を、熱風炉に供給してチャーを燃焼させ、残りのヒートキャリアを予熱器に供給するように構成することも可能であり、この場合においても、請求項1記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。
<請求項6記載の発明>
熱を運ぶための多数のヒートキャリアを、ヒートキャリアを加熱するための予熱器、チャーを燃焼して熱風を生成する熱風炉、熱分解ガスの水蒸気改質を行うための改質器、及び木質バイオマス原料を熱分解するための熱分解器の順に通した後、移送装置により再び予熱器に戻して循環させるとともに、
前記熱分解器内に木質バイオマス原料を供給し、且つ前記改質器内に対して直接又は間接的に水蒸気を供給し、
前記熱分解器内では、前記木質バイオマス原料を、加熱されたヒートキャリアと接触させることによりチャーと熱分解ガスとに熱分解し、この熱分解により得られたチャーとヒートキャリアとの混合物は混合状態のまま前記移送装置により前記予熱器へ供給し、熱分解ガスはヒートキャリアに対して向流接触しながら改質器へ供給し、
前記改質器では、前記熱分解ガスを前記ヒートキャリアにより加熱しつつ前記水蒸気と接触させることにより水素含有濃度を向上させたガスを生成し、
前記予熱器では、前記移送装置から供給される前記混合物を堆積状態で通過させて前記熱風炉に供給するとともに、その通過過程で前記混合物内に前記熱風炉から供給される熱風を通して、前記混合物中のヒートキャリアとの直接接触によりヒートキャリアを加熱し、
前記熱風炉では、前記予熱器から供給される前記混合物中のチャーを燃焼させ、この燃焼により生成する熱風を前記予熱器に供給する、
ことを特徴とする木質バイオマスのガス化方法。
(作用効果)
請求項1記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。
以上のとおり、本発明によれば、ヒートキャリアの加熱効率を維持でき、もって生成ガスの品質が安定するようになる、等の利点がもたらされる。
ガス化システムのフロー図である。 予熱器の縦断面図である。 図1のA−A断面図及びB−B断面図である。 改質器の縦断面図である。 図4のC−C断面図及びD−D断面図である。 熱分解器の縦断面図である。 図6のE−E断面図である。 傘状スクリーンの概略図である。 予熱器の縦断面図である。 図9のF−F断面図である。 予熱器の破断斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
本発明に係るガス化システムは、例えば図1に示される機器構成で実施することができる。すなわち、図1に示されるガス化システムは、上から順に、予熱器2、熱風炉1、改質器3、熱分解器4、を直列に備えており、熱を運ぶための多数のヒートキャリア(熱担持媒体)が、予熱器2及び熱風炉1で加熱されてから改質器3、熱分解器4の順に通された後、バケットコンベア等の移送装置6により再び予熱器2に戻されるように構成されているものである。
ヒートキャリアとしては、粒径5〜20mm程度、好ましくは粒径8〜12mm程度の粒状物を用いることができ、特に球状のものが好適である。また、ヒートキャリアの素材としては、アルミナ等のように硬質で熱容量の大きなものが好適である。なお、粒径とは、JIS Z 8801−1「試験用ふるい−第 1 部:金属製網ふるい」に規定されるふるいを用い、JIS A 1102 「骨材のふるい分け試験方法」に準じて測定される、ふるい分け法による粒径(ふるいの目開き)を意味する(以下同じ)。
木質バイオマス原料は原料ホッパ17に貯留されており、スクリューコンベア14やロータリーフィーダ等の適宜の定量供給装置により切り出され、例えば改質器3と熱分解器4とを繋ぐ供給管路3xを介して、熱分解器4の上部供給口へ連続的に定量供給される。この供給管路3xにはバルブ3bが設けられており、ヒートキャリア等の固形分の通過を停止させる等の制御が可能になっている。
木質バイオマス原料としては、特に限定されないが、間伐材や剪定枝を、φ1〜50mm程度、L=1〜150mm程度、特にヒートキャリアの粒径の1.6倍以下程度の粒径に破砕、切削、ペレット化したものを好適に用いることができる。
熱分解器4内に供給された木質バイオマスは、予熱器2、熱風炉1及び改質器3を経て供給された、加熱されたヒートキャリアと混合状態で接触することにより、吸熱反応を起こし、チャー(固体の炭素含有残留物)と熱分解ガス(揮発性相)とに分離される。熱分解器4内の温度は適宜定めることができるが、550〜650℃程度にするのが好ましい。熱分解生成物のうち、固形分であるチャーは、ヒートキャリアとともに供給管路4xを介して移送装置6へ供給され、気体である熱分解ガスはヒートキャリアに対して向流接触しながら改質器3へ上昇供給される。この供給管路4xにはバルブ4b及びダンパ4dが設けられており、前者によりヒートキャリア等の固形分の通過を停止させる等の制御が可能になっており、後者により気体分の通過を停止させる等の制御が可能になっている。
改質器3に対しては反応媒体としての水蒸気が供給されており、熱分解ガスがヒートキャリアにより加熱されつつ水蒸気と混合接触することにより、次式の改質反応が起こり、水素含有濃度が高く、従って発熱量の高いガスが発生する。改質器3内の温度は適宜定めることができるが、改質を十分かつ確実に行うために950℃以上とするのが好ましい。
nm + nH2O → nCO + (m/2+n)H2 …(1)
水蒸気は適宜の方法で供給することができるが、図示例では、貯水タンク19の水を給水ポンプ19pにより汲みだし、廃熱ボイラ(間接接触式熱交換器)7において、改質器3から別途供給される生成ガスの熱を利用して蒸気とした後、熱分解器4の下部から、改質器3における改質反応に利用する水蒸気を供給するようにしている。また、熱分解器4への水蒸気供給とともに又はこれに代えて、図示するように改質器3に対して直接的に供給することもできる。
一方、熱分解器4から排出されるチャーとヒートキャリアとの混合物は、混合状態のまま移送装置6により予熱器2に戻される。移送装置6から予熱器2への供給管路6xにはバルブ6b及びダンパ6dが設けられており、前者によりヒートキャリア等の固形分の通過を停止させる等の制御が可能になっており、後者により気体分の通過を停止させる等の制御が可能になっている。
予熱器2に供給されたヒートキャリアとチャーとの混合物は、予熱器2内を堆積状態で下降通過した後に熱風炉1に供給されるとともに、予熱器2内を通過する過程で混合物内に、熱風炉1から供給される熱風が通され、ヒートキャリアとの直接接触によりヒートキャリアが加熱される。またこの際、混合物中のチャーの燃焼も開始され、より効果的にヒートキャリアの加熱がなされる。
熱風炉1はバーナーを備えており、このバーナーを介して炉内に空気が供給されることにより混合物中のチャーが燃焼し、熱風(高温排ガス)が生成される。熱風炉1で生成された熱風は、予熱器2に供給されてヒートキャリアの加熱に利用されるだけでなく、熱風炉1内においてもヒートキャリアの加熱作用を発揮する。よって、より効果的にヒートキャリアの加熱がなされる。特に、熱風炉1で生成された熱風は、予熱器2から熱風炉1へのヒートキャリア供給路を介してヒートキャリアに対して向流的に予熱器2へ供給すると、加熱効率が顕著に向上する。しかし、熱風炉1で生成された熱風を、予熱器2から熱風炉1へのヒートキャリア供給路を介さずに熱風炉1から外部に取り出して予熱器2に供給しても良い。
予熱器2及び熱風炉1で加熱されたヒートキャリアは、供給管路1xを介して改質器3に供給される。この供給管路1xにはバルブ1b及びダンパ1dが設けられており、前者によりヒートキャリア等の固形分の通過を停止させる等の制御が可能になっており、後者により気体分の通過を停止させる等の制御が可能になっている。
熱風炉の運転においては、LPG等の気体補助燃料やBDF等の液体燃料を、連続的に又は運転開始時等の必要時にバーナーに供給し、燃焼させることができる。また、予熱器2及び熱風炉1でチャーの燃焼により生成される灰のうち、ヒートキャリアに混じって移動するもの及びヒートキャリアの通過経路(図1に示す例では、予熱器2、熱風炉1、改質器3、熱分解器4、移送装置6、及びこれらをつなぐ管路の少なくとも一つ)に堆積するものは、適宜の灰・ダスト抜出手段により、ヒートキャリアの通過経路の少なくとも一箇所(図1に示す例では予熱器2、熱風炉1、及び改質器3)から排出される。
予熱器2でヒートキャリアの加熱利用された熱風は、誘引送風機15により予熱器2から排気され、サイクロン等の分離手段8を介して排気に混入する灰・ダストを取り除かれた後、好適には空気加熱器((間接接触式熱交換器))9において熱風炉1へ供給する空気の加熱に利用した後、大気に放出される。なお、空気加熱器9における予熱に先立って、予熱器(間接接触式の熱交換器)9iを利用して水蒸気(前述の方法により製造し、供給できる)と熱交換し、予熱しておくとより好ましい。
改質器3で生成された水素高含有の生成ガスは、図示例では、誘引送風機11により改質器3からガス処理・利用設備に送出され、廃熱ボイラ7で250℃程度まで冷却され、続いて湿式スクラバー10に供給されてダストが除去されるとともに40℃程度まで冷却された後、ガスホルダ12に貯留されるようになっている。なお、図示例の湿式スクラバー10は、上部から散水した洗浄水を下部から排出し、冷却器(間接接触式の熱交換器)10cで冷却した後、再度上部から散水するものであり、符号10pは洗浄水循環ポンプを示しており、符号10dは冷却器に対する冷却水の循環を行う冷却水循環ポンプを示しており、符号10tは冷却水を水により冷却する冷却塔を示しており、符号18は洗浄水を排水処理する排水処理装置を示している。
生成されるガスの利用形態は特に限定されるものではないが、図示するように、ガスエンジン発電機13を用いて電力に変換するのも一つの好ましい形態である。この場合、供給ガスがガスエンジンのミキサー(燃料供給装置)で冷却することにより、ナフタレンの析出や結露を生じ、燃料供給系の閉塞等の不具合を発生させるおそれがある。よって、湿式スクラバー10からガスホルダ12の間等、適宜のガス供給経路に間接接触式熱交換器12xを設け、クーラ12cにより循環供給される冷媒との熱交換によりガスを気温より低く、例えば気温より10℃程度低い温度まで冷却し、生成ガス中のナフタレン及び水分を析出又は結露させ、除去するのが好ましい。また、生成ガスの一部を、熱風炉1の補助燃料として使用するのも好ましい形態である。
(予熱器及び熱風炉)
図2及び図3は、予熱器2及び熱風炉1の好適な例を示している。予熱器2及び熱風炉1は別体として両者を管路で接続しても良いが、管路での放熱により加熱効率が低下するという欠点がある。よって、図2及び図3に示されるように、予熱器2が上部となり熱風炉1が下部となるように予熱器2と熱風炉1とを一体化するとともに、予熱器2内から熱風炉1内まで上下方向に沿って延在するヒートキャリア通路を設け、熱風炉1内のヒートキャリア通路に臨むようにバーナーを設け、熱風炉2で生成する熱風を、熱風炉1内からヒートキャリア通路を介して予熱器2に供給するのは好ましい形態である。
より詳細には、予熱器2は、上下方向に沿う円筒状の上側ヒートキャリア通路20と、この上側ヒートキャリア通路20の下方に連続する漏斗状(逆さ裁頭円錐台状。下側に向かうにつれて径が小さくなる形状であればよい。)の下側ヒートキャリア通路21とを有し、上側ヒートキャリア通路20上面の中央部に供給口20i、下側ヒートキャリア通路21下端に熱風供給兼ヒートキャリア排出口21x、上側ヒートキャリア通路20の側面に燃焼用空気供給口20a、及び下側ヒートキャリア通路21の側方に排気口21gをそれぞれ有しているものである。
図示例の予熱器2では、下側ヒートキャリア通路21は、パンチングメタル等のように多数の透過孔21nが全面に形成された漏斗状部材22により形成されており、この漏斗状部材22の外側を取り囲むように環状スペース23が形成され、この環状スペース23の側面に外部への排気口21g及び灰・ダストの抜出口25が連通されている。漏斗状部材22の透過孔22nが灰・ダスト取り込み口となり、環状スペース23が灰・ダスト取り込み口22nの全てに連通する灰・ダスト落としスペースとなる。
また、熱風炉1は、予熱器2の排出口21xから下方に連続する逆さ漏斗状(裁頭円錐台状。下側に向かうにつれて径が大きくなる形状であればよい。)の上側ヒートキャリア通路60と、この上側ヒートキャリア通路60の下方に連続する漏斗状(逆さ裁頭円錐台状。下側に向かうにつれて径が小さくなる形状であればよい。)の下側ヒートキャリア通路61とを有し、下側ヒートキャリア通路21下端に排出口61x、下側ヒートキャリア通路61の側方にバーナーをそれぞれ有しているものである。
図示例の熱風炉1では、予熱器2と同様に、下側ヒートキャリア通路61はパンチングメタル等のように多数の透過孔61nが全面に形成された漏斗状部材62により形成されており、この漏斗状部材62の外側を取り囲むように環状スペース63が形成され、この環状スペース63の側面にバーナー64及び灰・ダストの抜出口65が連通されている。漏斗状部材62の透過孔62nは灰・ダスト取り込み口となり、環状スペース63は灰・ダスト取り込み口62nの全てに連通する灰・ダスト落としスペースとなる。
予熱器2及び熱風炉1における漏斗状部材22,62はニッケル合金等の耐熱金属又はアルミナセラミックス等の耐熱セラミックスにより、また、上側ヒートキャリア通路20,60及び環状スペース23,63の周壁はアルミナセラミックス等の耐熱セラミクス材により形成することができ、予熱器2及び熱風炉1の外面は鉄皮により形成することができる。
予熱器2及び熱風炉1における漏斗状部材22,62の透過孔22n,62nの寸法は、灰・ダストは通過するが、少なくともヒートキャリア(好ましくはヒートキャリア及びチャーの両方)は通過しないように設定されるとともに、灰・ダスト落としスペース23,63から外部に連通する灰・ダストの抜出口25,65が形成されている。漏斗状部材22,62の透過孔22n,62nの形状は、図示例のような円状の他、楕円状、三角形状等、適宜の形状とすることができる。透過孔22n,62nの寸法は、ヒートキャリア又はチャーの寸法に応じて適宜定めることができ、例えば、透過孔22n,62nの直径(円孔の場合は直径を意味し、その他の形状(楕円孔等)の場合は短径(直径のうち最も短いものを意味する)が、ヒートキャリア又はチャーの粒径未満、特に70%以下とすることができる。また、灰・ダストの抜出口25,65の下端は灰・ダスト落としスペース23,63の下端に合わせるのが好ましい。さらに、抜出口25は灰・ダスト落としスペース23,63の側面から水平方向に沿って延在しているのが好ましい。
予熱器2及び熱風炉1では、ヒートキャリア通路20,21,60,61において、ヒートキャリア及びチャーの混合物がある程度の堆積状態を維持しながら下降する過程で下側に向かうほどチャーの燃焼が活発で温度が高くなるとともに、その燃焼で発生する熱風が、混合物内を通じて混合物の下降流に対して向流的に移動しつつ、混合物を直接接触熱交換により加熱する。このように、ヒートキャリア群の内部から熱風が供給され、熱風炉1からの新鮮な熱風がより多くのヒートキャリアに対して直接又はそれに近い状態で接触されるため、ヒートキャリアの加熱効率に優れるようになる。また、図示例の場合、熱風が加熱対象の温度勾配に対して向流的に接触されるため、より一層、加熱効率に優れるようになる。
一方、経時的に予熱器2及び熱風炉1内における灰・ダスト落としスペース23,63には灰・ダストが堆積するが、このような灰・ダストは抜出口25,65を介して除去することができる。抜出口25,65からの灰・ダストの取り出しは、灰掻き等の機械的手段により行ってもよいが、作業が煩雑となるため、図示例のように、灰・ダスト落としスペース23,63に連通する圧縮空気吹き込み口26,66を設け、ここから圧縮空気吹き込み、灰・ダストを圧縮空気に乗せて抜出口25,65から排出するように構成すると、炉内温度に関係なく灰・ダストの抜出を実行でき、また自動的に定期実行することもできるため好ましい。吹き込み口26,66の数、位置及び吹き込み方向は適宜定めることができるが、図示例のように、環状の灰・ダスト落としスペース23,63における抜出口25に対して反対側の位置の側面に設けるのが好ましい。特に、吹き込み口26を周方向に複数(図示例では2つ)並設し、図中に矢印で示すように、一方の吹き込み口26,66からの圧縮空気を環状の灰・ダスト落としスペース23,63の一方側から、また、他方の吹き込み口26,66からの圧縮空気を環状の灰・ダスト落としスペース23,63の他方側から、それぞれ抜出口25,65に向けて回りこませるようにすると、灰・ダスト落としスペース23,63内の灰・ダストを円滑に抜出口25,65へ送り出すことができるため好ましい。予熱器2及び熱風炉1における圧縮空気による灰の排出はガス化運転を行っていないときに実施する他、ガス化運転中にも実施できる。圧縮空気による灰の排出を行う場合は、予熱器2及び熱風炉1内温度を低下させないために、供給する圧縮空気を、例えば熱風炉1への供給空気と同様の廃熱との熱交換等、適宜の加熱手段により予め改質器3内温度又は近傍まで加熱してから供給することができる。
(改質器)
チャーの燃焼により発生する灰はヒートキャリアに伴って予熱器2、改質器3、熱分解器4の順に移動する過程で、改質器3内や改質器3と熱分解器4との間の経路(例えば、バルブ等)にも蓄積し、ヒートキャリアの循環阻害や、改質器3と熱分解器4との間の経路の閉塞による熱分解器4内圧の異常上昇等の問題を発生させる。この問題は、前述の予熱器2及び熱風炉1における灰の除去によって軽減されるが、さらに改質器3においても灰除去手段を設けると、より好ましい。
図4及び図5は、予熱器2と同様の灰除去手段を有する改質器3の一例を示している。すなわち、この改質器3は、上下方向に沿う円筒状の上側ヒートキャリア通路30と、この上側ヒートキャリア通路30の下方に連続する漏斗状(逆さ裁頭円錐台状。下側に向かうにつれて径が小さくなる形状であればよい。)の下側ヒートキャリア通路31とを有し、上側ヒートキャリア通路30上面の中央部に供給口30i、下側ヒートキャリア通路31下端にガス導入兼ヒートキャリア排出口31x、上側ヒートキャリア通路30の側面に改質ガス排出口30x、及び下側ヒートキャリア通路31下端部に連通する水蒸気注入口37をそれぞれ有しているものである。
改質器3では、予熱器2で十分に加熱されたヒートキャリアが上部供給口30iから供給され、ある程度の堆積状態を維持しながら上側及び下側ヒートキャリア通路30,31を下降しつつ、改質器3内を改質反応温度に維持する。この温度条件下で、改質器3内に導入される熱分解ガス及び水蒸気が前述の改質反応を起こし、水素高含有の改質ガスが生成し、改質ガス排出口30xを介してガス処理・利用設備へ供給される。
特徴的には、図示例の改質器3では、下側ヒートキャリア通路31は、パンチングメタル等のように多数の透過孔32nが全面に形成された漏斗状部材32により形成されている。漏斗状部材32の透過孔32nの寸法は、灰・ダストは通過するが、少なくともヒートキャリアは通過しないように設定されるとともに、漏斗状部材32の外側を取り囲むように環状スペース33が形成され、この環状スペース33の側面から外部に連通する灰・ダストの抜出口35が形成されている。漏斗状部材32の透過孔32nは灰・ダスト取り込み口となり、環状スペース33が灰・ダスト取り込み口32nの全てに連通する灰・ダスト落としスペースとなる。このような灰・ダスト取り込み口32n、灰・ダスト落としスペース33、及び抜出口35を有することにより、予熱器2で除去仕切れない灰を、改質器3で除去することができ、改質器3内や改質器3と熱分解器4との間の経路における灰の蓄積を効果的に防止できる。
漏斗状部材32はニッケル合金等の耐熱金属又はアルミナセラミックス等の耐熱セラミックスにより、また、上側ヒートキャリア通路30及び環状スペース33の周壁はアルミナセラミックス等の耐熱セラミクス材により形成することができ、改質器3の外面は鉄皮により形成することができる。
漏斗状部材32の透過孔32nの形状や寸法等、灰・ダストの抜出口35の位置や向き等は、予熱器2及び熱風炉1の場合と同様の改変が可能である。また、予熱器2及び熱風炉1の場合と同様に、抜出口35からの灰・ダストの取り出しを容易にするために、灰・ダスト落としスペース33に連通する圧縮空気吹き込み口36を設け、灰・ダスト落としスペース33に圧縮空気を吹き込んで抜出口35から排出するように構成することもできる。改質器3における圧縮空気による灰の排出はガス化運転を行っていないときに実施する。灰の排出を行う場合に、改質器3内温度を低下させないために、供給する圧縮空気を、例えば熱風炉1への供給空気と同様の廃熱との熱交換等、適宜の加熱手段により予め改質器3内温度又は近傍まで加熱してから供給することができる。圧縮空気吹き込み口36の位置や向き等は、予熱器2及び熱風炉1の場合と同様の改変が可能である。図示例では、予熱器2及び熱風炉1と同様の吹き込み口配置に対してさらに両側の吹き込み口36間の中央に吹き込み口36を追加している。
(熱分解器)
熱分解後のチャーの寸法がヒートキャリアより十分に小さければ、チャーはヒートキャリアに伴って円滑に移送することができる。しかし、現実には、木質バイオマス原料の粒径を破砕等により揃えるとしても限界があり、ヒートキャリアより大きなチャーの発生を避けえず、この大きな塊状のチャーが、ヒートキャリアの通過経路における狭い個所、例えばバルブ4b,6bやダンパ4d,6d等に詰まり、システムを停止しなければならない事態が発生することがある。
そこで、図6及び図7に示すように、熱分解器4におけるヒートキャリアの排出口41xは、ヒートキャリアと等しい粒径を有する第1固形物、並びに第1固形物より粒径が小さい第2固形物は通すが、第1固形物より粒径が大きい第3固形物は通さないスクリーン42で覆うのも好ましい形態である。より詳細には、図示例の熱分解器4は、上下方向に沿う円筒状の上側通路40と、この上側通路40の下方に連続する漏斗状(逆さ裁頭円錐台状。下側に向かうにつれて径が小さくなる形状であればよい。)の下側通路41とを有し、上側通路40上面の中央部に供給口40i、下側通路41下端に、スクリーン42で覆われた排出口41x、下側通路41の側面に水蒸気吹き込み口44をそれぞれ有しているものである。
このような排出口スクリーン42を設けることにより、ヒートキャリアより大きなチャーをスクリーン42で止めて熱分解器4から排出させず、ヒートキャリア及びヒートキャリアより小さなチャーのみ、スクリーン42を通過させることができるため、ヒートキャリアの通過経路における狭い個所、例えばバルブ4b,6bやダンパ4d,6d等における詰まりを防止できる。しかも、スクリーン42で止められたヒートキャリアより大きなチャーは、熱及びヒートキャリアの移動による外力を受けて砕けていくため、最終的にはヒートキャリア以下の寸法となってスクリーン42を通過するため、熱分解器4の排出口が閉塞することもない。
排出口スクリーン42の形状等は適宜定めることができ、平坦なパンチングメタルであっても良いが、図8(a)に示すように、排出口41x側に向かうにつれて直径が拡大する傘状(図示例では円錐状となっているが角錐状、ドーム状等にすることもできる)体の側面に、排出口41x側に向かうにつれて開口幅が拡大する通過孔42n(図示例では二等辺三角形状となっているが滴状等の適宜の形状とすることもできる)を周方向に所定の間隔で設けたものが好適である。このような傘状スクリーン42においては、熱分解器4内を下降する固形物がスクリーン42の側面の通過孔42nにスムーズに移動することができる。また、このスクリーン42の側面の通過孔42nは、排出口側に向かうにつれて開口幅が拡大する形状となっているため、スクリーン42側面に沿って接触しながら下降する固形物は、通過孔42nに引っ掛かり難く、円滑な分離が可能となる。
この他にも、例えば図8(b)に示すように、通過孔を有しない上面と、上下方向に沿って所定幅で延在する通過孔42nが周方向に間隔を空けて形成された周面と、排出口41xに連通する開口底面とを備えた円筒状のスクリーン42を用いることもできる。
<その他>
上記例では、予熱器2と改質器3との間に熱風炉1を介在させているが、これに代えて、図示しないが、予熱器と熱分解器との間、特に予熱器と移送装置との間に熱風炉を介在させることもできる。この場合、熱風炉では、移送装置から供給される混合物中のチャーを燃焼させ、この燃焼により生成する熱風を予熱器に供給するとともに、混合物中のヒートキャリアを加熱しつつ予熱器に供給する。また、予熱器では、熱風炉から供給されるヒートキャリアを堆積状態で通過させるとともに、その通過過程でヒートキャリア間に熱風炉から供給される熱風を通して、前記ヒートキャリアとの直接接触によりヒートキャリアを加熱する。
本発明は、木質バイオマスのガス化に利用できるものである。
1…熱風炉、2…予熱器、3…改質器、4…熱分解器、6…移送装置。

Claims (6)

  1. 熱を運ぶための多数のヒートキャリアと、このヒートキャリアを加熱するための予熱器と、熱分解ガスの水蒸気改質を行うための改質器と、木質バイオマス原料を熱分解するための熱分解器と、チャーを燃焼して熱風を生成する熱風炉と、前記ヒートキャリアの通過経路から灰・ダストを抜き出すための灰・ダスト抜出手段とを備え、
    前記ヒートキャリアを、前記予熱器、熱風炉、改質器、及び熱分解器の順に通した後、移送装置により再び予熱器に戻して循環させるとともに、前記熱分解器内に木質バイオマス原料を供給し、前記改質器内に対して直接又は間接的に水蒸気を供給し、
    前記熱分解器内では、前記木質バイオマス原料を、加熱されたヒートキャリアと接触させることによりチャーと熱分解ガスとに熱分解し、この熱分解により得られたチャーとヒートキャリアとの混合物は混合状態のまま前記移送装置により前記予熱器へ供給し、熱分解ガスはヒートキャリアに対して向流接触しながら改質器へ供給し、
    前記改質器では、前記熱分解ガスを前記ヒートキャリアにより加熱しつつ前記水蒸気と接触させることにより水素含有濃度を向上させたガスを生成し、
    前記予熱器では、前記移送装置から供給される前記混合物を堆積状態で通過させて前記熱風炉に供給するとともに、その通過過程で前記混合物内に前記熱風炉から供給される熱風を通して、前記混合物中のヒートキャリアとの直接接触によりヒートキャリアを加熱し、
    前記熱風炉では、前記予熱器から供給される前記混合物中のチャーを燃焼させ、この燃焼により生成する熱風を前記予熱器に供給する、
    ように構成した、ことを特徴とする木質バイオマスのガス化システム。
  2. 予熱器が上部となり熱風炉が下部となるように、予熱器と熱風炉とが一体化されており、
    前記予熱器内から前記熱風炉内まで上下方向に沿って延在するヒートキャリア通路を有しており、
    前記熱風炉内のヒートキャリア通路に臨むようにバーナーが設けられており、
    前記熱風炉で生成する熱風が、前記熱風炉内から前記ヒートキャリア通路を介して前記予熱器に供給されるように構成されている、
    請求項1記載の木質バイオマスのガス化システム。
  3. 前記予熱器、熱風炉及び改質器の少なくとも一つは、
    上下方向に沿って延在するヒートキャリア通路と、
    このヒートキャリア通路の内周面に周方向に間隔をあけて複数設けられた、灰・ダストは通過するがヒートキャリアは通過しない灰・ダスト取り込み口と、
    前記ヒートキャリア通路の周囲を取り囲むように設けられた、前記灰・ダスト取り込み口に連通する環状の灰・ダスト落としスペースと、
    この灰・ダスト落としスペースから外部に連通する、灰・ダストの抜出口と、
    を有するものである、
    請求項2記載の木質バイオマスのガス化システム。
  4. 前記灰・ダスト落としスペースと連通する圧縮空気吹き込み口を設けた、請求項3記載の木質バイオマスのガス化システム。
  5. 熱を運ぶための多数のヒートキャリアと、このヒートキャリアを加熱するための予熱器と、熱分解ガスの水蒸気改質を行うための改質器と、木質バイオマス原料を熱分解するための熱分解器と、チャーを燃焼して熱風を生成する熱風炉と、前記ヒートキャリアの通過経路から灰・ダストを抜き出すための灰・ダスト抜出手段とを備え、
    前記ヒートキャリアを、熱風炉、前記予熱器、改質器、及び熱分解器の順に通した後、移送装置により再び熱風炉に戻して循環させるとともに、前記熱分解器内に木質バイオマス原料を供給し、前記改質器内に対して直接又は間接的に水蒸気を供給し、
    前記熱分解器内では、前記木質バイオマス原料を、加熱されたヒートキャリアと接触させることによりチャーと熱分解ガスとに熱分解し、この熱分解により得られたチャーとヒートキャリアとの混合物は混合状態のまま前記移送装置により前記熱風炉へ供給し、熱分解ガスはヒートキャリアに対して向流接触しながら改質器へ供給し、
    前記改質器では、前記熱分解ガスを前記ヒートキャリアにより加熱しつつ前記水蒸気と接触させることにより水素含有濃度を向上させたガスを生成し、
    前記熱風炉では、前記移送装置から供給される前記混合物中のチャーを燃焼させ、この燃焼により生成する熱風を前記予熱器に供給するとともに、前記混合物中のヒートキャリアを前記予熱器に供給し、
    前記予熱器では、前記熱風炉から供給される前記ヒートキャリアを堆積状態で通過させるとともに、その通過過程で前記ヒートキャリア間に前記熱風炉から供給される熱風を通して、前記ヒートキャリアとの直接接触によりヒートキャリアを加熱する、
    ように構成した、ことを特徴とする木質バイオマスのガス化システム。
  6. 熱を運ぶための多数のヒートキャリアを、ヒートキャリアを加熱するための予熱器、チャーを燃焼して熱風を生成する熱風炉、熱分解ガスの水蒸気改質を行うための改質器、及び木質バイオマス原料を熱分解するための熱分解器の順に通した後、移送装置により再び予熱器に戻して循環させるとともに、
    前記熱分解器内に木質バイオマス原料を供給し、且つ前記改質器内に対して直接又は間接的に水蒸気を供給し、
    前記熱分解器内では、前記木質バイオマス原料を、加熱されたヒートキャリアと接触させることによりチャーと熱分解ガスとに熱分解し、この熱分解により得られたチャーとヒートキャリアとの混合物は混合状態のまま前記移送装置により前記予熱器へ供給し、熱分解ガスはヒートキャリアに対して向流接触しながら改質器へ供給し、
    前記改質器では、前記熱分解ガスを前記ヒートキャリアにより加熱しつつ前記水蒸気と接触させることにより水素含有濃度を向上させたガスを生成し、
    前記予熱器では、前記移送装置から供給される前記混合物を堆積状態で通過させて前記熱風炉に供給するとともに、その通過過程で前記混合物内に前記熱風炉から供給される熱風を通して、前記混合物中のヒートキャリアとの直接接触によりヒートキャリアを加熱し、
    前記熱風炉では、前記予熱器から供給される前記混合物中のチャーを燃焼させ、この燃焼により生成する熱風を前記予熱器に供給する、
    ことを特徴とする木質バイオマスのガス化方法。
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