JP2016187332A - 有価物生成方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナフタレン等の相転移性不純物質を含む原料ガスからエタノール等の有価物を生成する際に、相転移性不純物質による種々の不具合又は悪影響を回避又は軽減する。
【解決手段】原料ガス生成部2からの原料ガスgを相転移性不純物質除去部10に通して、原料ガスg中のナフタレン等の相転移性不純物質を除去する。その後、原料ガスgを固液捕捉部30に通して、原料ガスg中の固形又は液状の不純物質を除去する。その後、原料ガスgを有価物生成反応部6へ導入して、エタノール等の有価物の生成反応を起こさせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、合成ガス等の原料ガスからエタノール等の有価物を生成する方法及び装置に関し、特に廃棄物由来の合成ガスから有価物を生成するのに適した方法及び装置に関する。
例えば、特許文献1では、合成ガスを培養槽に導入して、微生物発酵によってエタノール等の有価物を生成している。合成ガスには、酸素、粒子状物質、タール、HS、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)等が少量含まれており、これらは微生物に有害である可能性があるために、前処理部で除去することが記載されている。
特許文献2においては、廃棄物を熱分解して生成したガス中の湿分をガス減湿装置で低減している。ガス減湿装置に化学物質が付着して圧損が生じたときは、高温ガスをガス減湿装置に送り込むことで、化学物質を蒸発または昇華させて排出している。
特開2014−050406号公報([0102]) 特許第4551774号公報
発明者等の研究によれば、廃棄物等に由来する合成ガス(原料ガス)には、ナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール等の昇華性物質をはじめとする、気相と固相の間で相転移可能な相転移性不純物質が含まれているとの知見を得た。この種の相転移性不純物質は、廃棄物処理施設(原料ガス生成部)で生成された当初は気相であっても、培養槽(有価物生成反応部)までの供給路内の温度条件等によっては固相化してフィルタ等に付着する。通常、廃棄物等由来の合成ガスには、多量の水分が含まれているために、冷却して水分を落とそうとすると、相転移性不純物質がますます固相化しやすくなる。固相の相転移性不純物質をススやタール等の固形又は液状の不純物質と一緒にフィルタで捕捉すると、フィルタが詰まりやすくなる。このため、頻繁にフィルタ交換しなければならず、メンテナンスが煩雑化し、運転コストが増大する。一方、特許文献2のように、固相化した相転移性不純物質を熱風等で再度気化させた場合には、気相の相転移性不純物質を含むガスが有価物生成反応部に導入されることで、有価物生成反応に悪影響を及ぼすことが考えられる。
本発明は、かかる知見及び考察に基づいてなされたものであり、合成ガス等の原料ガスの生成部から有価物生成反応部までの供給路上で相転移可能な相転移性不純物質を含む合成ガスから有価物を生成する際に、相転移性不純物質による種々の不具合又は悪影響を回避又は軽減することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明方法は、原料ガスから有価物を生成する方法であって、
原料ガス生成部からの原料ガスを相転移性不純物質除去部に通して、気相と固相の間で相転移可能な相転移性不純物質を前記原料ガスから除去する相転移性不純物質除去工程と、
前記相転移性不純物質除去工程後の原料ガスを固液捕捉部に通して、前記原料ガス中の固形又は液状の不純物質を捕捉する固液捕捉工程と、
前記固液捕捉工程後の原料ガスを有価物生成反応部へ導入して前記有価物の生成反応を起こさせる反応工程と
を備えたことを特徴とする。
この有価物生成方法によれば、原料ガスを固液捕捉部ひいては有価物生成反応部に導入する前に、原料ガス中のナフタレン等の相転移性不純物質を除去することができる。これによって、固液捕捉部の詰まりを抑制したり、有価物生成反応部への相転移性不純物質の混入を防止したりできる等、相転移性不純物質による種々の不具合又は悪影響を回避又は軽減することができる。
なお、「不純物質の除去」とは、原料ガスから当該不純物質の少なくとも一部を除去することを意味し、原料ガスから当該不純物質を完全に除去することに限定されない。
前記相転移性不純物質除去工程が、
前記原料ガスを第1ガス冷却部に通して冷却する第1冷却工程と、
前記冷却後の原料ガスを、相転移性不純物質の固化物を捕捉する相転移性不純物質捕捉部に通す相転移性不純物質捕捉工程と
を含むことが好ましい。
冷却によってナフタレン等の相転移性不純物質を固相化させることができる。その後、前記相転移性不純物質の固化物を相転移性不純物質捕捉部によって捕捉して除去できる。
前記相転移性不純物質捕捉工程の後、かつ前記固液捕捉工程の前に、前記原料ガスを第2ガス冷却部に通して前記第1冷却工程よりも低温にする第2冷却工程を実行することが好ましい。
第2冷却工程によって、原料ガスに含まれる水分を十分に凝縮させ除去したうえで固液捕捉部に導入できる。これによって、固液捕捉部が水分で詰まるのを抑制できる。予め相転移性不純物質を除去しておくことで固液捕捉部の詰まりを一層抑制できる。
前記反応工程では、液状の培地中でガス資化性微生物を培養するとともに、前記原料ガスを前記培地に供給して、前記ガス資化性微生物の発酵によって前記有価物を生成することが好ましい。
前記相転移性不純物質除去工程で相転移性不純物質を十分に除去した原料ガスを培地に供給することで、ガス資化性微生物を安定的に培養することができる。
また、本発明装置は、原料ガス生成部において生成された原料ガスから有価物を生成する装置であって、
気相と固相の間で相転移可能な相転移性不純物質を前記原料ガスから除去する相転移性不純物質除去部と、
前記原料ガス中の固形又は液状の不純物質を捕捉する固液捕捉部と、
前記原料ガスから前記有価物の生成反応を起こさせる有価物生成反応部と、
を備え、前記原料ガスの供給路に沿って上流側から、前記相転移性不純物質除去部、前記固液捕捉部、前記有価物生成反応部の順に配置されていることを特徴とする。
この有価物生成装置によれば、前記相転移性不純物質除去部によって前記原料ガス中の相転移性不純物質を除去する。次に、前記固液捕捉部によって、前記原料ガス中の固形又は液状の不純物質を捕捉する。次に、前記有価物生成反応部によって、前記原料ガスから前記有価物の生成反応を起こさせる。これによって、固液捕捉部の詰まりを抑制したり、有価物生成反応部への相転移性不純物質の混入を防止したりできる等、相転移性不純物質による種々の不具合又は悪影響を回避又は軽減することができる。
前記相転移性不純物質除去部が、
前記原料ガスを冷却する第1冷却部と、
前記相転移性不純物質の固化物を捕捉する相転移性不純物質捕捉部と、
を含み、前記供給路に沿って上流側から、前記第1冷却部、前記相転移性不純物質捕捉部の順に配置されていることが好ましい。
前記第1冷却部によって前記原料ガスを冷却することによって、ナフタレン等の相転移性不純物質を固相化させることができる。その後、前記相転移性不純物質捕捉部によって相転移性不純物質の固化物を捕捉することができる。
前記相転移性不純物質捕捉部のフィルタが、前記固液捕捉部のフィルタよりも目が粗いことが好ましい。
前記相転移性不純物質捕捉部のフィルタの目を粗くすることで、該フィルタが相転移性不純物質の固化物や、場合によっては凝縮水等によって詰まるのを抑制できる。
前記固液捕捉部のフィルタの目を細かくすることで、ススやタール等の固形又は液状の不純物質を確実に捕捉して除去できる。また、前記相転移性不純物質の大部分を相転移性不純物質捕捉部で予め除去しておくことで、固液捕捉部のフィルタの詰まりを抑制できる。前記相転移性不純物質捕捉部を透過した相転移性不純物質の固化物については、固液捕捉部において確実に捕捉して除去することができる。
前記供給路に沿って前記相転移性不純物質捕捉部と前記固液捕捉部との間には、前記原料ガスを前記第1冷却部よりも低温にする第2冷却部が設けられていることが好ましい。これによって、前記原料ガスに含まれる水分を十分に凝縮させ除去したうえで固液捕捉部に導入でき、固液捕捉部が水分で詰まるのを抑制できる。
前記第1冷却部が、前記原料ガスを通しながら冷却する第1冷却路を含み、
前記第2冷却部が、前記原料ガスを通しながら冷却する第2冷却路を含み、
前記第1冷却路のコンダクタンスが、前記第2冷却路のコンダクタンスよりも大きいことが好ましい。
前記第1冷却路のコンダクタンスを大きくすることで、前記第1冷却路が前記相転移性不純物質の固化物で詰まるのを抑制できる。一方、前記第2冷却路のコンダクタンスを小さくし、ひいては、前記第2冷却路を構成する冷却管を小径にすることで、第2冷却路における原料ガスの冷却効率を高めることができ、原料ガスに含まれる水分を確実に凝縮させて除去できる。さらには、固液捕捉部が水分で詰まるのを確実に抑制できる。
前記有価物生成反応部が、液状の培地中でガス資化性微生物を培養する培養槽を含み、前記原料ガスが前記培地に供給され、前記ガス資化性微生物の発酵によって前記有価物が生成されることが好ましい。
前記相転移性不純物質除去部で相転移性不純物質を十分に除去した原料ガスを培地に供給することで、ガス資化性微生物を安定的に培養することができる。
本発明によれば、原料ガスからエタノール等の有価物を生成する際に、原料ガス中の相転移性不純物質による種々の不具合又は悪影響を回避又は軽減することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る有価物生成システムの概略を示す構成図である。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1に示すように、有価物生成システム1は、合成ガス生成部2(原料ガス生成部)と、有価物生成装置3とを備えている。合成ガス生成部2において合成ガスg(原料ガス)が生成される。有価物生成装置3において合成ガスgから有価物が生成される。生成目的の有価物は、例えばエタノール(COH)である。
この実施形態における合成ガス生成部2は、廃棄物処理施設である。廃棄物としては、都市ゴミ、タイヤ、バイオマス、木質チップ、プラスチックごみ等が挙げられる。廃棄物処理施設2には溶融炉が設けられている。溶融炉において、廃棄物が高濃度の酸素ガスによって燃焼されて低分子レベルまで分解される。最終的に、合成ガスgが生成される。生成時ないしは合成ガス生成部2からの供出時における合成ガスgの温度は、常温より高温であり、例えば30℃〜数百℃程度である。
廃棄物由来の合成ガスgは、主要成分としてCO、H、COを含む。また、合成ガスgは多量の水分(HO)を含む。通常、この種の合成ガスg中の水分は、ほぼ飽和状態になっている。さらに、合成ガスgは、有価物生成に有害ないしは不適な不純物として、HS、O、BTEX等のガス状不純物質のほか、ススやタール等の固形又は液状の不純物質や、相転移性の不純物質を含む。ここで、相転移性不純物質とは、合成ガス生成部2からの供出時は大部分が気相であるが、後記有価物生成反応部6までの輸送過程で相転移して一部又は全部が固相となり得る不純物質(水を除く)を言い、例えばナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール等の昇華性物質が挙げられる。
有価物生成装置3は、浄化処理部5と、有価物生成反応部6を備えている。合成ガス生成部2から供給路4が有価物生成反応部6へ延びている。供給路4上に浄化処理部5が介在されている。
浄化処理部5は、相転移性不純物質除去部10と、第2冷却部20と、固液捕捉部30と、ガス状不純物質除去部40を含む。相転移性不純物質除去部10は、第1冷却部11と、相転移性不純物質捕捉部12を含む。供給路4に沿って上流側(合成ガス生成部2の側、図1において左側)から、第1冷却部11、相転移性不純物質捕捉部12、第2冷却部20、固液捕捉部30、ガス状不純物質除去部40、有価物生成反応部6の順に配置されている。つまり、相転移性不純物質除去部10、固液捕捉部30、有価物生成反応部6の順に配置されている。
第1冷却部11は、例えば熱交換器(チラー)にて構成されている。好ましくは、第1冷却部11は、複数の冷却管13を含む多管式の熱交換器にて構成されている。冷却管13は、洗浄容易性等の観点からは、直管であることが好ましい。冷却管13は、それぞれ管軸を上下へ向けて、互いに平行に並べられている。
冷却管13の内部が、第1冷却路14となっている。この第1冷却路14が供給路4に介在されている。合成ガスgが第1冷却路14に通される。
第1冷却部11の底部からドレイン路15が延び出ている。
第1冷却部11における冷却管13の外部空間又は冷却管13,13どうし間の空間は、冷媒路16となっている。冷媒路16には、エチレングリコール等の冷媒r1が流される。第1冷却路14における合成ガスgの流れと、冷媒路16における冷媒r1の流れは、互いに対向流になっているが、並行流であってもよい。
第1冷却部11の冷却目標温度は、前記相転移(例えばナフタレンの昇華固化)が十分に起き得る範囲で設定されている。好ましくは、第1冷却部11の冷却目標温度は、例えば常温付近であり、具体的には10℃〜30℃程度であり、より好ましくは20℃程度である。
供給路4に沿って第1冷却部11の下流側(図1において右側)には、相転移性不純物質捕捉部12が設けられている。相転移性不純物質捕捉部12は、相転移性不純物質捕捉フィルタ17を含む。フィルタ17の材質は、金属でもよく、樹脂でもよく、繊維でもよく、セラミックでもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。フィルタ17が、多層メッシュにて構成されていてもよい。
供給路4に沿って相転移性不純物質捕捉部12の下流側(図1において右側)には、第2冷却部20が設けられている。第2冷却部20は、例えば熱交換器(チラー)にて構成されている。好ましくは、複数の冷却管23を含む多管式の熱交換器にて構成されている。冷却管23は、洗浄容易性等の観点からは、直管であることが好ましい。冷却管23は、それぞれ管軸を鉛直に向けて、互いに平行に並べられている。
冷却管23の内部が、第2冷却路22となっている。この第2冷却路22が供給路4に介在されている。合成ガスgが第2冷却路22に通される。
第2冷却部20の底部からドレイン路25が延び出ている。
第2冷却部20における冷却管23の外部空間又は冷却管23,23どうし間の空間は、冷媒路24となっている。冷媒路24には、エチレングリコール等の冷媒r2が流される。第2冷却路22における合成ガスgの流れと、冷媒路24における冷媒r2の流れは、互いに対向流になっているが、並行流であってもよい。
第2冷却部20の冷却目標温度は、合成ガスg中の水分を十分に凝縮(液化)でき、かつ氷結しない範囲で設定されている。好ましくは、第2冷却部20の冷却目標温度は、0℃以上常温以下であり、具体的には0℃〜10℃程度であり、より好ましくは2℃程度である。
第1冷却部11と第2冷却部20を対比すると、第1冷却部11のほうが第2冷却部20よりも冷却目標温度が高い。また、第1冷却部11の冷却管13のほうが第2冷却部20の冷却管23よりも大径である。したがって、第1冷却路14のコンダクタンスが、第2冷却路22のコンダクタンスよりも大きい。
供給路4に沿って第2冷却部20の下流側には、固液捕捉部30が設けられている。固液捕捉部30は、固液捕捉フィルタ32を含む。フィルタ32の材質は、金属でもよく、樹脂でもよく、繊維でもよく、セラミックでもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。フィルタ32が、多層メッシュにて構成されていてもよい。
相転移性不純物質捕捉部12と固液捕捉部30を対比すると、相転移性不純物質捕捉部12のフィルタ17のほうが固液捕捉部30のフィルタ32よりも目が粗い。したがって、フィルタ17のほうがフィルタ32よりも粒子が透過しやすい。フィルタ17とフィルタ32が共に多層メッシュで構成されている場合、フィルタ17のメッシュの層数は、フィルタ32のメッシュの層数の好ましくは3分の1〜20分の1であり、より好ましくは10分の1以下である。
供給路4に沿って固液捕捉部30の下流側には、ガス状不純物質除去部40が設けられている。ガス状不純物質除去部40は、PSA装置(pressure-swing adsorption)、金属触媒などを含む。PSA装置の吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭等が挙げられる。金属触媒としては、Cu、Pd等が挙げられる。
供給路4の下流端が有価物生成反応部6に接続されている。詳細な図示は省略するが、有価物生成反応部6は、培養槽を含む。培養槽内の液状の培地中で嫌気性のガス資化性微生物が培養されている。ガス資化性微生物としては、例えば上掲特許文献1や、国際公開第2011/087380号、米国特許US2013/0065282等に開示された嫌気性細菌を用いることができる。
図示は省略するが、有価物生成反応部6の後段には、蒸留塔を含む精製部が設けられている。
有価物生成システム1によって、エタノール(有価物)を生成する方法を説明する。
<合成ガス生成工程>
合成ガス生成部2において廃棄物を燃焼することによって合成ガスgを生成する。この合成ガスgを供給路4へ導出する。上述したように、導出時の合成ガスgの温度は、常温より高温である。
<相転移性不純物質除去工程>
上記合成ガスgを相転移性不純物質除去部10に通して、合成ガスg中のナフタレン、1−ナフトール、その他の相転移性不純物質(以下、適宜「ナフタレン等」と称す。)を除去する。
<第1冷却工程>
詳述すると、先ず、合成ガスgを第1冷却部11によって冷却する。すなわち、合成ガスgを第1冷却路14に通すとともに、冷媒路16に冷媒r1を通すことで熱交換させる。これによって、合成ガスgが、例えば常温程度まで冷却される。冷却によって、合成ガスg中のナフタレン等が、ガスから固体に昇華(固相化)される。
冷却管13を比較的大径とし、第1冷却路14のコンダクタンスを比較的大きくすることによって、第1冷却路14がナフタレン等の固化物によって詰まるのを抑制できる。
冷却によって合成ガスg中の水分の一部が凝縮する。凝縮水は、ドレイン路15から排出される。
<相転移性不純物質捕捉工程>
冷却後の合成ガスgを第1冷却部11から相転移性不純物質捕捉部12へ送り、フィルタ17に通す。これによって、合成ガスg中のナフタレン等の固化物をフィルタ17にて捕捉でき、合成ガスgからナフタレン等を除去できる。フィルタ17の目を比較的粗くすることで、フィルタ17がナフタレン等の固化物や凝縮水によって詰まるのを抑制でき、フィルタ17の交換頻度を少なくすることができる。
<第2冷却工程>
その後、合成ガスgを第2冷却部20に導入して更に冷却する。すなわち、合成ガスgを第2冷却路22に通すとともに、冷媒路24に冷媒r2を通すことで熱交換させる。これによって、合成ガスgを第1冷却工程よりも低温にし、好ましくは零度近くにする。冷却管23を小径にすることで、合成ガスgの冷却効率を高めることができる。これによって、合成ガスg中の水分を十分に凝縮させることができ、合成ガスgの水分含有量をほとんど零にできる。
予め、相転移性不純物質除去部10でナフタレン等を除去したうえで、第2冷却部20による第2冷却工程を行うことによって、第2冷却路22の詰まりを抑制することができる。
第2冷却部20で凝縮した水は、ドレイン路25から排出される。
<固液捕捉工程>
その後、合成ガスgを固液捕捉部30へ送り、フィルタ32に通す。このフィルタ32によって合成ガスg中のススやタール等の固形又は液状の不純物質を捕捉して除去できる。
第2冷却部20で予め合成ガスg中の水分を除去したうえで、固液捕捉部30による固液捕捉工程を行うことによって、フィルタ32の詰まりを抑制することができる。
さらには、相転移性不純物質除去部10で予めナフタレン等を除去したうえで、固液捕捉部30による固液捕捉工程を行うことによって、フィルタ32の詰まりを一層確実に抑制することができる。
なお、相転移性不純物質除去部10を通過したナフタレン等の固化物は、固液捕捉部30によって捕捉することができる。
<他の不純物除去工程>
その後、合成ガスgをガス状不純物質除去部40に導入する。ガス状不純物質除去部40においてHS,O,BTEX等のガス状の不純物質を除去する。
この結果、合成ガスgをクリーンな状態にすることができる。
<反応工程>
その後、合成ガスgを有価物生成反応部6の培養液に導入する。有価物生成反応部6においては、培養液中のガス資化性微生物が、合成ガスgのCO及びH等を摂取して、エタノール等を発酵生成する。つまり、合成ガスgを原料にしてエタノール(有価物)の生成反応を起こすことができる。
予め合成ガスg中の、O、BTEX、HS等のガス状の不純物質や、スス、タール等の固形又は液状の不純物質を除去しておくことで、ガス資化性微生物を安定的に培養できる。
更には、予め合成ガスg中のナフタレン等の相転移性不純物をも除去しておくことで、ガス資化性微生物を一層安定的に培養できる。
<精製工程>
上記培養液の一部を蒸留塔(図示せず)へ導入して蒸留する。これによって、エタノールを抽出することができる。
以上のように、有価物生成装置3によれば、合成ガスgからナフタレン等の相転移性不純物質を除去することによって、相転移性不純物質による詰まり等の不具合や、有価物の生成反応への悪影響を回避したり軽減したりすることができる。
2段(複数段)の冷却部11,20によって合成ガスgを段階的に冷却しながら、段階ごとにフィルタ17,32の目を細かくすることで、各種の不純物を効率的に除去することができる。
第1冷却路14が詰まって来たときは、逆流洗浄等によって洗浄するとよい。冷却管13が直管にて構成されているために、洗浄作業を容易化できる。第2冷却路22についても同様である。
フィルタ17が詰まって来たら交換する。フィルタ32も同様である。上述したように、有価物生成装置3によれば、フィルタ17,23の詰まりを抑制できるから、交換頻度を少なくできる。したがって、メンテナンスを簡易化でき、運転コストを低減できる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、相転移性不純物質除去部10が、オイルスクラバを含んでいてもよい。オイルスクラバを用いて、ナフタレン等の相転移性不純物質を除去してもよい。
相転移性不純物質は、気相から液相を経ずに固相になるナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール等の昇華性物質に限られず、気相から液相を経て固相になるものであってもよい。
生成目的の有価物は、エタノールに限られず、酢酸やメタノール等であってもよい。
有価物生成反応部6が、合成ガスgを金属触媒に接触させることでエタノール等の有価物を生成するものであってもよい。
原料ガス生成部2は、廃棄物処理施設に限られず、製鉄所や石炭発電所等であってもよい。原料ガスは、製鉄所の副生ガス(転炉、高炉ガス等)であってもよい。
本発明は、例えば産業廃棄物の焼却処理で生じるシンガスからエタノールを合成するエタノール生成システムに適用できる。
1 有価物生成システム
2 合成ガス生成部(原料ガス生成部)
3 有価物生成装置
4 供給路
5 浄化処理部
6 有価物生成反応部
10 相転移性不純物質除去部
11 第1冷却部
12 相転移性不純物質捕捉部
13 冷却管
14 第1冷却路
15 ドレイン路
16 冷媒路
17 相転移性不純物質捕捉フィルタ
20 第2冷却部
23 冷却管
22 第2冷却路
24 冷媒路
25 ドレイン路
30 固液捕捉部
32 固液捕捉フィルタ
40 ガス状不純物質除去部
g 合成ガス(原料ガス)
r1 冷媒
r2 冷媒

Claims (10)

  1. 原料ガスから有価物を生成する方法であって、
    原料ガス生成部からの原料ガスを相転移性不純物質除去部に通して、気相と固相の間で相転移可能な相転移性不純物質を前記原料ガスから除去する相転移性不純物質除去工程と、
    前記相転移性不純物質除去工程後の原料ガスを固液捕捉部に通して、前記原料ガス中の固形又は液状の不純物質を捕捉する固液捕捉工程と、
    前記固液捕捉工程後の原料ガスを有価物生成反応部へ導入して前記有価物の生成反応を起こさせる反応工程と
    を備えたことを特徴とする有価物生成方法。
  2. 前記相転移性不純物質除去工程が、
    前記原料ガスを第1ガス冷却部に通して冷却する第1冷却工程と、
    前記冷却後の原料ガスを、相転移性不純物質の固化物を捕捉する相転移性不純物質捕捉部に通す相転移性不純物質捕捉工程と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の有価物生成方法。
  3. 前記相転移性不純物質捕捉工程の後、かつ前記固液捕捉工程の前に、前記原料ガスを第2ガス冷却部に通して前記第1冷却工程よりも低温にする第2冷却工程を実行することを特徴とする請求項2に記載の有価物生成方法。
  4. 前記反応工程では、液状の培地中でガス資化性微生物を培養するとともに、前記原料ガスを前記培地に供給して、前記ガス資化性微生物の発酵によって前記有価物を生成することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有価物生成方法。
  5. 原料ガス生成部において生成された原料ガスから有価物を生成する装置であって、
    気相と固相の間で相転移可能な相転移性不純物質を前記原料ガスから除去する相転移性不純物質除去部と、
    前記原料ガス中の固形又は液状の不純物質を捕捉する固液捕捉部と、
    前記原料ガスから前記有価物の生成反応を起こさせる有価物生成反応部と、
    を備え、前記原料ガスの供給路に沿って上流側から、前記相転移性不純物質除去部、前記固液捕捉部、前記有価物生成反応部の順に配置されていることを特徴とする有価物生成装置。
  6. 前記相転移性不純物質除去部が、
    前記原料ガスを冷却する第1冷却部と、
    前記相転移性不純物質の固化物を捕捉する相転移性不純物質捕捉部と、
    を含み、前記供給路に沿って上流側から、前記第1冷却部、前記相転移性不純物質捕捉部の順に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の有価物生成装置。
  7. 前記相転移性不純物質捕捉部のフィルタが、前記固液捕捉部のフィルタよりも目が粗いことを特徴とする請求項6に記載の有価物生成装置。
  8. 前記供給路に沿って前記相転移性不純物質捕捉部と前記固液捕捉部との間には、前記原料ガスを前記第1冷却部よりも低温にする第2冷却部が設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の有価物生成装置。
  9. 前記第1冷却部が、前記原料ガスを通しながら冷却する第1冷却路を含み、
    前記第2冷却部が、前記原料ガスを通しながら冷却する第2冷却路を含み、
    前記第1冷却路のコンダクタンスが、前記第2冷却路のコンダクタンスよりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の有価物生成装置。
  10. 前記有価物生成反応部が、液状の培地中でガス資化性微生物を培養する培養槽を含み、前記原料ガスが前記培地に供給され、前記ガス資化性微生物の発酵によって前記有価物が生成されることを特徴とする請求項5〜9の何れか1項に記載の有価物生成装置。
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