JP2020126803A - 双極型二次電池用の樹脂集電体 - Google Patents

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健 秋月
赤間 弘
Hiroshi Akama
弘 赤間
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Manabu Watanabe
学 渡邉
堀江 英明
Hideaki Horie
英明 堀江
亮介 草野
Ryosuke Kusano
亮介 草野
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Abstract

【課題】導電性樹脂層と、その表面に設けられた金属層とを有する樹脂集電体において、前記金属層の電子伝導性の低下(貫通抵抗の増加)を抑制できる、双極型二次電池用樹脂集電体を提供する。【解決手段】導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層が有する2つの主面のうち、少なくとも一方の主面に設けられた金属層と、を備え、前記金属層に含まれる酸素量が30at.%以下である、双極型二次電池用の樹脂集電体により達成できる。【選択図】なし

Description

本発明は、双極型二次電池用の樹脂集電体に関する。
近年、電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車、さらには家庭用電源設備の電源装置としては、リチウムイオン二次電池等の二次電池及び電気二重層キャパシタ等が利用される。特に、リチウムイオン二次電池は、そのエネルギー密度の高さや繰り返し充放電に対する耐久性の高さから、電動車両に好適と考えられ、各種の開発が鋭意進められている。
特許文献1には、二次電池の重量当たりの出力密度を向上させるための手段として、高分子材料と導電性材料を含む導電性樹脂層からなる集電体(以下、「樹脂集電体」とも称する)が開示されている。そして、特許文献1には、樹脂集電体として、導電性樹脂層に隣接した抵抗低減層を設けることが開示されている。
特許文献1に記載の抵抗低減層として金属層を設けると、導電性樹脂層の表面に電気抵抗値の低い金属層部分を均一に設けることができる。そのため、樹脂集電体の表面全体にわたって、樹脂集電体と隣接する活物質層との接触抵抗を低くすることができ、サイクル特性が向上する効果が得られるというものである。
国際公開第2016/031688号
特許文献1の抵抗低減層として金属層を設けると、標準環境下(大気中、常温常圧下)で金属層中に金属酸化物が生じることは知られているが、表面から極浅い一部分に限られるから、厚さ方向の電子伝導性への影響は無視できる程度に軽微と考えられていた。しかしながら、本発明者らは、金属層中の金属酸化物(絶縁物)の割合が、ある閾値を超えると急激に厚さ方向の電子伝導性が低下するという問題が発生することを見出した。すなわち、金属層中の金属酸化物の割合が、ある閾値を超えると貫通抵抗(厚さ方向の電気抵抗)が急激に増加するという問題が発生することを見出したものである。すなわち、特許文献1の集電体において、金属層中の酸素量は、比較的多いことが判明している。こうした集電体を双極型二次電池に使用した場合、集電体の厚さ方向に電流が流れ難くなり、出力密度、充放電性能が低下するほか、電流ロス分が発熱に使われることで電池温度の上昇につながる恐れがあることもわかった。
本発明の目的は、導電性樹脂層と、その表面に設けられた金属層とを有する双極型二次電池用の樹脂集電体において、前記金属層の電子伝導性の低下(貫通抵抗の増加)を抑制しうる手段を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層が有する2つの主面のうち少なくとも一方の主面に設けられた金属層とを備え、前記金属層に含まれる酸素量が30at.%以下である双極型二次電池用の樹脂集電体に関する。
本発明の双極型二次電池用の樹脂集電体は、導電性樹脂層上に設けられた金属層の電子伝導性の低下(貫通抵抗の増加)を格段に抑制することができる。
樹脂集電体の貫通抵抗が低減するイメージ図面である。即ち、図1(a)は、従来の導電性樹脂層上に抵抗低減層として金属層を設けてなる樹脂集電体の貫通抵抗(厚さ方向に電気抵抗)が増加し、集電体の厚さ方向に電流(電子e)が流れにくい様子を模式的に表した断面概略図である。一方、図1(b)は、本発明の導電性樹脂層上に金属層を設けてなる樹脂集電体の貫通抵抗が低減し、集電体の厚さ方向に電流(電子e)が流れ易い様子を模式的に表した断面概略図である。図1(c)は、図1(a)の金属層中の酸素量と貫通抵抗(比較例1:表の上段)と、図1(b)の金属層中の酸素量と貫通抵抗(実施例2:表の中段、及び、実施例5:表の下段)をまとめたグラフ図面である。 導電性樹脂層上に金属層を設けてなる樹脂集電体の貫通抵抗(集電体の厚さ方向の電気抵抗)と金属層に含まれる酸素量との関係を表した図面である。横軸は、樹脂集電体の金属層に含まれる酸素量(at.%)を表し、縦軸は、樹脂集電体の貫通抵抗(Ωcm)を表している。
本発明の一形態に係る双極型二次電池用の樹脂集電体は、導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層が有する2つの主面のうち、少なくとも一方の主面に設けられた金属層とを備え、前記金属層に含まれる酸素量が30at.%(アトミックパーセント、原子パーセント、atomic%とも称されている)以下であることを特徴とする。なお、「金属層に含まれる酸素量」とは、金属層を構成する原子の合計個数に対する酸素原子の個数の比率(百分率)を意味する。
本形態の樹脂集電体では、導電性樹脂層の主面上に金属層が設けられている。当該金属層に含まれる酸素量を30at.%以下に制限することで、樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)が閾値を超えて急激に増加するのを防止することができる。こうした集電体を双極型(好ましくは、更に積層型)二次電池に使用した場合、樹脂集電体の厚さ方向に電流が流れ易くなるため、出力密度、充放電性能が低下するのを抑制し、電流ロス分による発熱量も低減でき電池温度の上昇も効果的に防止することができる。本発明の樹脂集電体が上記構成をとることによって、上記した発明の効果を奏する作用機序は不明であるが、以下のように推測される。
従来の真空蒸着法(スパッタ法を含む)で形成した抵抗低減層である金属層中の金属酸化物(絶縁物)の割合が、ある閾値を超えると、急激に厚さ方向の電子伝導性が低下するという問題が発生する原因は、以下のように考えられる。まず、金属層中の金属酸化物(絶縁物)の割合は、金属層の緻密性による差異が大きいと考えられる。すなわち、緻密性が低いほど、酸素が金属層に拡散できるため、形成される酸化物量が多くなる。加えて、樹脂集電体の製造・保管は、大気(酸素)雰囲気下において行っている。その後も、少なくとも電極スラリーを樹脂集電体の金属層表面(主面)に塗工する時点で大気雰囲気下にさられるため、酸素存在下にあるといえる。そのため、電池の製造までに酸素と接触する時間が長くなるほど、酸化物量がより多くなる。こうした要因が重なることにより、電池製造時までに、金属層中の金属酸化物(絶縁物)の割合が、ある閾値を超えることで、厚さ方向の電子伝導性が急激に低下する。このとから、従来の真空蒸着法(スパッタ法を含む)による金属層(抵抗低減層)の形成では、金属層の高緻密化が十分でなく、酸素が金属層に拡散し、酸化物(絶縁物)の割合が閾値を超えることで、厚さ方向の電子伝導性が急激に低下する問題が生じたものと考えられる。
そこで、本発明者らは、緻密性が高いほど、酸化は金属層の表面側で止まると考え、緻密性を制御することにより、閾値を超えることなく、厚さ方向の電子伝導性の低下を大幅に抑制できることを見出したものである。更に鋭意検討した結果、緻密性が変化する要因は、金属層を形成する際のスパッタ(真空蒸着)中の真空度と考えられる。すなわち、酸化の割合が大きく影響を受けるのは、金属層を形成する際のスパッタ(真空蒸着)中の真空度、電池の製造までに酸素と接触する時間となる。このうち、電池の製造までに酸素と接触する時間については、制約を設ける必要がないといえる。まず、金属層を形成するプロセスにおいて、常圧の大気に暴露されることは通常ないといえる。一方、樹脂集電体の製造・保管は、大気(酸素)雰囲気下において行っている。また、実際の量産工程においても、セル毎に不活性ガス雰囲気下で封止することは無い。そのため、大気暴露されても酸化が進まない緻密性の高いスパッタ(真空蒸着)による金属層を製造することが必要になる。言い換えれば大気(酸素)雰囲気下での保持(暴露)時間によらず、酸化されない又は非常に酸化され難い(抵抗増加が起こらない)ように金属層の緻密度を制御すればよく、製造や保管方法による電池製造までに酸素と接触する時間の制約は設ける必要がない。本発明では、緻密性の定量化が出来ないため、金属層に含まれる酸素量(酸素濃度)で規定したものである。すなわち、本発明の樹脂集電体においては、大気(酸素)雰囲気下での保持(暴露)時間によらず、金属層に含まれる酸素量が30at.%以下(抵抗増加が起こらない)となる様に金属層の緻密度を制御している。本発明のポイントは、金属層により抵抗値を下げるためには、金属層に含まれる酸素濃度を30at.%以下に抑える必要があることを見出したものである。また、本発明では、意図的に金属層に含まれる酸化量を増やし、抵抗の感度を把握することもできる。金属層を設けた樹脂集電体では、貫通方向の抵抗値の低減を図る上で、使用する段階(セルに組み立てる前段階)で、金属層に含まれる酸化量(酸素濃度:30at.%以下)を管理値として設ける(この段階で最終チェックする)こともできる。なお、本発明の樹脂集電体において、金属層の緻密度の制御方法は、スパッタ(真空蒸着)中の操作条件(特に真空度)を調節することにより行うことができる。例えば、真空度が小さい(より真空に近い)ほど、酸素量を少なくすることができ、具体的には10−2〜10−5Paの範囲で真空度を調節すると、酸素濃度を好ましい範囲に制御しやすい。但し、真空度以外の操作方法(操作条件)であっても、金属層の緻密度の制御し得るものであれば、適宜適用可能である。
上記した発明の効果を奏する作用機序は、以上のように推測されるが、本発明はこれらに何ら拘束されるものではない。
なお、本発明の双極型二次電池用の樹脂集電体では、貫通抵抗(厚さ方向の電気抵抗)値は、閾値を超えて急激に高くならない。そのため樹脂集電体とその上に設ける活物質層との間の接触抵抗が低減されるという金属層の効果への影響が小さく、活物質層から集電体表面に電流を取り出すことが容易となる。さらに、厚さ方向に集電体内部を流れた電流を、集電体のもう一方の表面から反対側の活物質層に送り出すことも容易である。
本発明の樹脂集電体を構成する導電性樹脂層は、シート状の導電性樹脂組成物から構成されることが好ましい。前記導電性樹脂組成物は、導電材料及び高分子化合物からなることが好ましい。
導電材料の材質としては、金属、導電性カーボン、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。前記金属としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。前記導電性カーボンとしては、例えば、グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電材料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物が用いられてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはニッケル、アルミニウム、ステンレス、導電性カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物である。さらに好ましくはニッケル、銀、アルミニウム、ステンレス及び導電性カーボンであり、特に好ましくはニッケル及び導電性カーボンである。またこれらの導電材料は、粒子系(粒子状)セラミック材料や粒子系(粒子状)樹脂材料の周りに導電材料(上記した導電材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
本発明の樹脂集電体が負極に使用される場合、導電材料の材質としては、金属及び導電性カーボンが好ましい。前記金属としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。前記導電性カーボンとしては、グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。本発明の樹脂集電体が正極に使用される場合、導電材料の材質としては、導電性カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]が好ましい。なかでも、本発明の樹脂集電体が負極に使用される場合にその金属層を下記の電解めっきにより作製する場合には、導電材料の材質として導電性カーボンを好ましく用いることができる。
高分子化合物としては、ポリオレフィン[ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、及びポリシクロオレフィン(PCO)等]、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。電気的安定性の観点から、ポリオレフィンが好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。これらの高分子化合物は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。
導電性樹脂層の厚さは、40〜200μmであることが好ましく、45〜90μmであることがより好ましく、80〜90μmがさらに好ましい。導電性樹脂層の厚さが40μm以上、好ましくは45μm以上であると、導電性樹脂層の強度が充分となるため好ましい。また、導電性樹脂層の厚さが200μm以下、好ましくは90μm以下であると、厚さ方向の電気抵抗値(貫通抵抗)が低くなるため好ましい。
前記導電性樹脂層及び前記金属層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]で樹脂集電体の断面を観察して求めることができる。
導電性樹脂層中の導電材料の含有量は、厚さ方向の導電性の観点から、導電性樹脂層100重量部中5〜90重量部であることが好ましく、より好ましくは15〜80重量部である。
導電性樹脂層中の高分子化合物の含有量は、導電性樹脂層の強度の観点から、導電性樹脂層100重量部中10〜95重量部であることが好ましく、より好ましくは20〜85重量部である。
導電性樹脂層には、導電材料及び高分子化合物の他に、さらに必要に応じ、その他の成分[導電材料用分散剤(変性ポリオレフィン及び界面活性剤等)、架橋促進剤(アルデヒド・アンモニア−アミン骨格含有化合物、チオウレア骨格含有化合物、グアニジン骨格含有化合物、チアゾール骨格含有化合物、スルフェンアミド骨格含有化合物、チウラム骨格含有化合物、ジチオカルバミン酸塩骨格含有化合物、キサントゲン酸塩骨格含有化合物及びジチオリン酸塩骨格含有化合物等)、架橋剤(イオウ等)、着色剤、紫外線吸収剤、汎用の可塑剤(フタル酸骨格含有化合物、トリメリット酸骨格含有化合物、リン酸基含有化合物及びエポキシ骨格含有化合物等)]等を適宜含有することができる。その他の成分の合計含有量は、電気的安定性の観点から、導電性樹脂層100重量部中0.001〜5重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.001〜3重量部である。
導電性樹脂層を構成するシート状の導電性樹脂組成物は、特開2012−150905号公報及び再公表WO2015/005116号公報等に記載された樹脂集電体と同様の方法で得ることができる。
導電性樹脂層には、導電性樹脂層が有する2つの主面のうち、少なくとも一方の主面に金属層が設けられている。
金属層は、導電性樹脂層が有する2つの主面のうち、導電性樹脂層の一方の主面のみに設けられていてもよく、導電性樹脂層の両方の主面にそれぞれ設けられていてもよい。一方の主面にのみ金属層を形成する場合、樹脂集電体が有する主面のうち、活物質層と接触する面に金属層を設けることが好ましい。
金属層が導電性樹脂層の一方の主面に設けられている場合、その金属層の厚さは、樹脂集電体と隣接する活物質層との接触抵抗を低くすることができ、サイクル特性が向上する効果が得られるものであればよい。かかる観点から、当該金属層の厚さは、好ましくは5〜1500nm、より好ましくは10〜1000nm、さらにより好ましくは15〜700nm、より好ましくは20〜500nm、さらに好ましくは25〜400nm、特に好ましくは30〜300nm、なかでも好ましくは40〜200nmである。上記範囲とすることにより、上記効果を奏することができると共に、不要な厚みの増加を防ぐことができる。
また、金属層が導電性樹脂層の両方の主面にそれぞれ設けられている場合、少なくとも一方の金属層の厚さが、樹脂集電体と隣接する活物質層との接触抵抗を低くすることができ、サイクル特性が向上する効果が得られるものであればよい。かかる観点から、少なくとも一方の金属層の厚さは、好ましくは5〜1500nm、より好ましくは10〜1000nm、さらにより好ましくは15〜700nm、より好ましくは20〜500nm、さらに好ましくは25〜400nm、特に好ましくは30〜300nm、なかでも好ましくは、40〜200nmである。上記範囲とすることにより、上記効果を奏することができると共に、不要な厚みの増加を防ぐことができる。
また、両面にそれぞれ設けられた金属層は、樹脂集電体と隣接する活物質層との接触抵抗を低くすることができ、サイクル特性が向上する効果が得られるのが好ましい。かかる観点から、両面のそれぞれの金属層の厚さは、好ましくは5〜1500nm、より好ましくは10〜1000nm、さらにより好ましくは15〜700nm、より好ましくは20〜500nm、さらに好ましくは25〜400nm、特に好ましくは30〜300nm、なかでも好ましくは40〜200nmである。
更に両面に設けた金属層の合計厚さも、脂集電体と隣接する活物質層との接触抵抗を低くすることができ、サイクル特性が向上する効果が得られるのが好ましい。かかる観点から、金属層の合計厚さは、好ましくは1500nm以下、より好ましくは1000nm以下、さらにより好ましくは700nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは400nm以下、特に好ましくは300nm以下、なかでも好ましくは280nm以下である。上記範囲とすることにより、上記効果を奏することができると共に、不要な厚みの増加を防ぐことができる。
また、導電性樹脂層の上に設けられた金属層の厚さが薄いと、軽量化が図れると共に、金属部分の体積が減少し、更に導電性樹脂層上に不均一な金属層が形成されやすくなり不連続部分が生じる影響で面方向の電気抵抗値が高くなる。その結果、双極型リチウムイオン二次電池の内部に一時的な欠陥が発生した場合でも、欠陥部に向けて表面を流れる電流量が減少する。そのため、欠陥部に流れる電流によって電池性能が劣化することが起こりにくくなる。かかる観点からは、金属層の厚さは、200nm以下が好ましい。
本発明の双極型リチウムイオン二次電池に用いられる樹脂集電体は、金属層の酸素量をコントロールしているので、金属層の厚さが上記範囲であれば上記効果を奏することができ、厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)値が閾値を超えて急激に高くなるのも抑制できる。そのため樹脂集電体とその上に設ける活物質層との間の接触抵抗が低減されるという金属層の効果への影響は小さく、活物質層から集電体表面に電流を取り出すことは容易である。さらに、厚さ方向に集電体内部を流れた電流を、集電体のもう一方の表面から反対側の活物質層に送り出すことも容易である。
金属層の厚さが5nm以上であると導電性樹脂層表面にある金属層の面積が減少することはなく、厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)値が閾値を超えて急激に高くなるのも抑制でき、活物質層から集電体表面に電流を取り出すことが出来る。さらに、厚さ方向に集電体内部を流れた電流を、集電体のもう一方の表面から反対側の活物質層に送り出すこともできる。また、樹脂集電体と隣接する活物質層との接触抵抗を低くすることができ、サイクル特性が向上する効果が得られる。一方、金属層の厚さが1500nm以下であれば、十分な導電性を発揮することができると共に、不要な厚みの増加を防ぐことができ、軽量化にも寄与し得る。
本発明の樹脂集電体では、導電性樹脂層の主面上に設けられる金属層に含まれる酸素量が30at.%以下であることを特徴とする。当該酸素量を30at.%以下にコントロールすることで、樹脂集電体の電気抵抗(貫通抵抗)値を下げることができ、電気抵抗(貫通抵抗)値が閾値を超えて急激に増加するのを防止することができる。こうした集電体を双極型リチウムイオン二次電池に使用した場合、双極型の樹脂集電体の厚さ方向に電流が流れ易くなるため、出力密度、充放電性能が低下するのを抑制し、電流ロス分による発熱量も低減でき電池温度の上昇も効果的に防止することができる。かかる観点から、金属層に含まれる酸素量は、好ましくは6〜30at.%、より好ましくは6〜22at.%、さらに好ましくは6〜20at.%、特に好ましくは6〜18at.%、特に好ましくは6〜15at.%の範囲である。金属層に含まれる酸素量は、低ければ低いほど電気抵抗(貫通抵抗)を低減できることから好ましいが、酸素量を長期間安定して6at.%よりも低く保つには、超高真空度により超高緻密化する必要があるため、真空装置及び製造コスト等がかかる。このことから、金属層に含まれる酸素量の好ましい範囲の下限を6at.%としたものである。したがって、金属層に含まれる酸素量が6at.%よりも低い場合であっても、性能上全く問題なく利用し得るものである。また、当該酸素量の好適な範囲の上限値を22at.%としたのは、樹脂集電体の電気抵抗(貫通抵抗)値を10Ωcm以下に下げることができる点で優れているためである。
酸素量の測定方法
PHI製X線電子分光分析装置(Quantum−2000)を用い、X線源Monocromated−Al−Kα線、光電子取り出し角度45°、加速電圧4kVのアルゴンイオンスパッタにて、測定エリア100μmφにおいて、樹脂集電体の金属層の深さ方向の金属原子、酸素原子の元素比を計測する。得られた元素比を積算することで、金属と酸素の原子比率を算出する。
本発明の樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)値は、耐久性、樹脂集電体と隣接する活物質層との接触抵抗の低減効果、サイクル特性向上効果等の観点から、15Ωcm以下であることが好ましい。より好ましくは0.01〜13Ωcm、さらに好ましくは0.1〜11Ωcm、さらに好ましくは0.1〜6Ωcm、特に好ましくは0.1〜2Ωcm、なかでも好ましくは0.1〜1Ωcmである。樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)値が小さいことは隣接する活物質層との界面抵抗が小さくなることを意味し、電池の内部抵抗が小さくなるため好ましい。
樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)値は以下の方法で測定することができる。
<樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)値の測定>
樹脂集電体を直径11mmに打ち抜き、測定用サンプルとする。金属、半導体用電気抵抗測定装置(アドバンス理工株式会社製、TER−2000SS)を用い、樹脂集電体測定用サンプルの0.8MPa条件下の電気抵抗(貫通抵抗)値を測定する。なお、本発明は、上記したように金属層に含まれる酸素量を、大気雰囲気中での暴露時間による影響を受けないように金属層を高緻密化することにより調節(制御)してなる樹脂集電体である。そのため、上記試験片の抵抗測定は、大気雰囲気中で行うものとする。なお、後述する実施例・比較例では、金属層の緻密性を意図的に低くし、得られた樹脂集電体の酸素雰囲気での保持時間で酸素量を制御した樹脂集電体を用いて抵抗測定した。
本発明の樹脂集電体を構成する金属層は、金属元素から構成された金属層であり、金属酸化物及び金属窒化物等の金属化合物からなる金属層とは区別される。金属層を構成する金属元素として好ましいものとしては、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、鉄、銀、金、コバルト、及びマンガン等が挙げられる。金属層の材質としては、これらの金属元素から選ばれる単一の金属元素からなる純金属、純金属の混合物、及びこれら金属元素からなる合金等を好ましく用いることができる。金属層の材質(金属種)としては、金属層中に含まれる酸化物量(絶縁部)が減少し、かつ正負極それぞれに耐電位性を示し、更に電解液に対する耐久性等の観点から、アルミニウム、銅、ニッケルおよびチタンが好ましい。なかでも導電性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、銅等が特に好ましい。特に導電性樹脂層の正極側の主面に設ける場合には、正極(電位)に対する耐電位性を示す、アルミニウム(Al)等が特に好ましく、導電性樹脂層の負極側の主面に設ける場合には、負極(電位)に対する耐電位性を示す銅(Cu)等が特に好ましい。
金属層を構成する金属の種類(金属種)により、より好ましい金属層の厚さが異なる。
本発明の樹脂集電体を構成する金属層の厚さは、上記した通り、好ましくは5〜1500nmである。より好ましくは10〜1000nm、さらにより好ましくは15〜700nm、より好ましくは20〜500nm、さらに好ましくは25〜400nm、特に好ましくは30〜300nm、なかでも好ましくは40〜200nmである。とりわけ、金属層が銅(Cu)からなる場合には、金属層の厚さは5〜120nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。金属層がアルミニウム(Al)からなる場合には、金属層の厚さは50〜300nmが好ましく、80〜250nmが好ましいい。
金属層は複数の金属を含む合金膜であってもよく、金属層が導電性樹脂層の両方の主面に設けられた場合にそれぞれの主面に設けられた金属層の種類が異なっていてもよい。
金属層の形成方法は特に限定されるものではなく、公知の金属薄膜成膜方法で形成することができる。本発明の樹脂集電体を構成する金属層は、公知の薄膜成膜方法のなかでも物理蒸着(真空蒸着、イオンプレーティング及びスパッタリング等)、化学蒸着、及びめっき(電解めっき及び無電解めっき等)等の成膜法によって形成された金属薄膜からなる金属層であることが好ましい。金属層の密度及び剥がれ難さの観点からは、電解めっきにより形成された金属層がより好ましい。また、酸素量を制御する観点からは、物理蒸着(真空蒸着、イオンプレーディング及びスパッタリング等)により形成された金属層がより好ましい。
本発明の樹脂集電体の厚さは、40〜200μmであることが好ましく、45〜90μmであることがより好ましく、80〜90μmがさらに好ましい。導電性樹脂層の厚さが40μm以上、好ましくは45μm以上であると、導電性樹脂層の強度が充分となるため好ましい。また、導電性樹脂層の厚さが200μm以下、好ましくは90μm以下であると、厚さ方向の電気抵抗値(貫通抵抗)が低くなるため好ましい。樹脂集電体の厚さが上記範囲内であれば、電解液遮蔽性、工程上の強度及び導電性を確保した上で、軽量化による電池の出力密度を高めることができる点で優れている。樹脂集電体の厚さが40nm以上であれば、電解液遮蔽性、工程上の強度及び導電性を十分に確保することができる点で好ましく、200μm以下であれば、軽量化による電池の出力密度を高めることができる点で好ましい。
前記樹脂集電体の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]で樹脂集電体の断面を観察して求めることができる。
本発明の樹脂集電体は、リチウムイオン二次電池用集電体として使用することができる。特に、積層型のリチウムイオン二次電池の集電体として使用することができる。とりわけ、樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)が閾値を超えて急激に増加するのを防止することができることから、積層型の双極型リチウムイオン二次電池の集電体として使用するのが好ましい。
積層型(好ましくは、更に双極型)リチウムイオン二次電池では、正極側(好ましくは双極型)集電体、正極、セパレータ、負極及び負極側(好ましくは双極型)集電体を単セルとして、単セルが積層された構成を有している。
積層型(好ましくは、更に双極型)リチウムイオン二次電池では、通常は集電体としてアルミニウム箔や銅箔等の金属箔が用いられるが、本発明の集電体は、導電材料と高分子化合物を含んでなる導電性樹脂層上に酸素量を制御した金属層が設けられた構成である。
積層型(好ましくは、更に双極型)リチウムイオン二次電池における正極活物質、負極活物質、セパレータ等の材料としては公知の材料を使用することができる。正極活物質及び負極活物質は、アクリル系樹脂等の樹脂で被覆された被覆活物質であってもよい。
本発明の樹脂集電体における導電性樹脂層は、特開2012−150905号公報及び再公表WO2015/005116号公報等に記載された樹脂集電体と同様の方法で得ることができ、例えば以下の方法で製造することができる。
まず、導電材料と高分子化合物、及び、必要に応じてその他の成分を混合する。混合の方法としては、公知のマスターバッチの製造方法、及び熱可塑性樹脂組成物(分散剤、フィラー及び熱可塑性樹脂からなる組成物、又はマスターバッチと熱可塑性樹脂からなる組成物)の製造方法等において公知の混合方法が用いられる。詳しくは、ペレット状又は粉体状の成分を適切な混合機、例えば、ニーダー、インターナルミキサー、バンバリーミキサー、及びロール等を用いて加熱溶融混合して混合することができる。混合時の各成分の添加順序には特に限定はない。
上記混合によって得られた混合物を、Tダイ法、インフレーション法及びカレンダー法等の公知のフィルム成形法によりフィルム形状に成形することにより、導電性樹脂層を形成する。
この導電性樹脂層の少なくとも一方の主面に対し、物理蒸着(真空蒸着、イオンプレーディング及びスパッタリング等)、化学蒸着、めっき(電気めっき及び無電解めっき等)等の成膜法によって、酸素量30at.%以下に制御して所望の厚さの金属層を形成する。さらに、金属層に含まれる酸素量が30at.%以下の状態を保持するように不活性ガス(例えば、Nガス)雰囲気が封入された容器や貯蔵庫などに保管する。好ましくは、その後、電極から電池作製(電池外装材で密封して、外気(空気雰囲気)と遮断された状態となる)までの各工程は、不活性ガス(例えば、Nガス)雰囲気中で行うのが、樹脂集電体の金属層に含まれる酸素量の増加を防止する観点から好ましい。
金属層を導電性樹脂層の両方の主面に設ける場合は、両面に設けられたそれぞれの金属層に含まれる酸素量が30at.%以下である。また、金属層として、アルミニウム、銅、ニッケルおよびチタンよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種からなる金属薄膜(好ましくは厚さ5〜1500nmの薄膜)を形成することが好ましい。
本発明の樹脂集電体の製造方法のうち、上記した物理蒸着(真空蒸着、イオンプレーディング及びスパッタリング等)により金属層を形成する工程を有する方法を用いるのが好ましい。導電性樹脂層の少なくとも一方の主面に対し、金属を物理蒸着(真空蒸着、イオンプレーディング及びスパッタリング等)することで、導電性樹脂層上に金属層が密に、剥がれ難く形成でき、更に金属層に含まれる酸素量を30at.%以下に制御し易い点で優れる。そのため、物理蒸着法で金属層を形成した樹脂集電体を使用した場合、他の方法(電解めっき法等)で金属層を形成した樹脂集電体を使用した場合よりも、樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)が閾値を超えて急激に増加するのを防止することができる。こうした集電体を二次電池、特に双極型(好ましくは、更に積層型)電池に使用した場合、樹脂集電体の厚さ方向に電流が流れ易くなるため、出力密度、充放電性能が低下するのを抑制し、電流ロス分による発熱量も低減でき電池温度の上昇も効果的に防止することができる。
導電性樹脂層に金属を物理蒸着する工程としては、公知の物理蒸着法を用いることができるが、好ましい物理蒸着の条件の一例としては以下の方法がある。
物理蒸着法では、導電性樹脂層上に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の乾式製膜法を用いて直接金属層を形成する。
スパッタ法(スパッタリング法)としては、特に制限されないが、2極DCグロー放電スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法などが挙げられる。
真空蒸着法としては、特に制限されないが、抵抗加熱法、電子ビーム法、高周波誘導法、レーザー法などが挙げられる。
イオンプレーティング法としては、特に制限されないが、RFイオンプレーティング法、抵抗加熱イオンプレーティング法、電子ビームイオンプレーティング法などが挙げられる。
これらの中でも、導電性樹脂層中に含まれうる導電材料(導電性フィラー)と金属層とがより接触しやすくなり、接触抵抗がより低減するという点で、スパッタリング法、真空蒸着法を用いると好ましい。
上記方法における金属層の形成条件としては、上記したような金属層が導電性樹脂層上に形成できるような条件であれば特に制限されず、公知の条件が使用され、使用される金属層の材料の種類によって適宜選択すればよい。
上記物理蒸着する工程以外にも、例えば、金属をめっきする工程等を用いることができる。めっきする工程に用いるめっき法としては、特に制限されないが、電解めっき法、無電解めっき法、無電解めっき後電解めっきする方法などが挙げられる。
例えば、導電性樹脂層に金属を電解めっきする工程を用いる場合、公知の電解めっき法を用いることができるが、好ましい電解めっきの条件の一例としては以下の方法がある。
シート状の導電性樹脂組成物が有する2つの主面のうち、金属層を設ける主面を水洗した後、硫酸銅五水和物200g/L、硫酸50g/L、塩素イオン50mg/Lを混合した銅のめっき浴を用いて50℃で陰極電流密度3A/dmの条件で電解めっき処理を行う。これにより、金属層(Cu層)を得ることができる。得られた金属層は、素早く取出し不活性ガス雰囲気中におき、この中で洗浄(速洗)、乾燥(速乾)を行い、必要に応じて保管することで、酸素量を30at.%以下に制御することができる。
本発明の樹脂集電体は、厚さ方向(貫通方向)の導電性(低抵抗性)に優れることから、双極型の樹脂集電体として好適に使用することができる。また、本発明の樹脂集電体は、導電性樹脂層が導電性カーボンとポリオレフィンとを含む、樹脂集電体として使用することができる。双極型の樹脂集電体とは、双極型二次電池用の樹脂集電体を指し、樹脂集電体の片面に正極活物質層、他方の面に負極活物質層を設けた構成の双極型電極に適用される集電体をいう。
樹脂集電体の導電材料として導電性カーボンを使用すると、カーボン材料の種類(具体的にはアセチレンブラック)によっては、双極型の樹脂集電体への電解液の浸み込みが生じ、充放電を繰り返すことにより電池容量の低下を促進するおそれがあった。このため、従来は双極型の樹脂集電体の導電材料として導電性カーボン(具体的にはアセチレンブラック)を避けることが多かった。本発明の双極型の樹脂集電体は、上記した製造方法により密(緻密)で剥がれ難い金属層(電解液遮断層としても機能する)を有する。そのため、導電材料として導電性カーボン(具体的にはアセチレンブラック)を用いても、集電体への電解液の浸み込みが生じることなく、電池容量を維持することができる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明の技術的範囲は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は質量部、%は重量%を意味する。
<測定方法>
1.BET比表面積の測定方法
導電材料のBET比表面積の測定方法は、「JIS Z 8830:2013 ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準じて、BET比表面積として測定した。
2.酸素量の測定方法
PHI製X線電子分光分析装置を用い、各実施例及び比較例の樹脂集電体の金属層の深さ方向の金属原子、酸素原子の元素比を計測した。得られた元素比を積算することで、金属と酸素の原子比率を算出した。
3.電気抵抗(体積抵抗)の測定方法
各実施例及び比較例の樹脂集電体を直径11mmに打ち抜き、測定用試験片とする。金属、半導体用電気抵抗測定装置(アドバンス理工株式会社製、TER−2000SS)を用い、各樹脂集電体の0.8MPa条件下の電気抵抗(貫通抵抗)値を測定した。
(実施例1〜7及び比較例1)
(導電性樹脂層の作製)
2軸押出機にて、高分子化合物であるポリオレフィン75部、導電材料である導電性カーボンであるアセチレンブラック20部、及び導電材料用分散剤5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂混合物を得た。
ここで、上記ポリオレフィンには、ポリプロピレン[商品名「サンアロマー(登録商標)PC684S」、サンアロマー株式会社製]を用いた。上記導電性カーボンには、アセチレンブラック[商品名「デンカブラック(登録商標)HS−100」、デンカ株式会社製]を用いた。この導電性カーボンであるアセチレンブラックのBET比表面積は、上記1の方法により測定した結果、69m/gであった。また、上記導電材料用分散剤には、[商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業株式会社製]を用いた。
得られた樹脂混合物を、Tダイ押出しフィルム成形機に通して得られたフィルムを、さらに50℃に調温した冷却ロールで圧延成形することで、膜厚85μmの導電性樹脂層を得た。
(金属層の作製)
この導電性樹脂層の一方の主面に、真空蒸着法により、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)の金属層を厚さ50、100、200nmでそれぞれ形成して、金属層を片面に設けた樹脂集電体をそれぞれ得た。その後、得られた樹脂集電体を酸素ガスが封入された容器内に入れ、酸素雰囲気中の保持時間(1日間〜7日間)により、各実施例及び比較例の樹脂集電体の金属層に含まれる酸素量をそれぞれ制御した。
樹脂集電体を形成後、酸素雰囲気中に保持したのは、以下の理由によるものである。すなわち、通常、樹脂集電体の製造・保管は、大気(酸素)雰囲気下において行っている。本発明の樹脂集電体においては、酸素雰囲気下の保持時間によらず金属層に含まれる酸素量が30at.%以下(抵抗増加が起こらない)となる様に金属層の緻密度を制御している。本実施例・比較例では、30at.%以下の閾値を決めるための実験として、緻密性が低く、酸化されやすい金属層を作製している。本発明のポイントは、金属層により抵抗値を下げるためには、金属層に含まれる酸素濃度を30at.%以下に抑える必要があることを見出したものである。そのためには、酸素雰囲気下の保持時間によらず酸化されないか、または非常に酸化されにくいように金属層の緻密度を制御すればよく(高緻密化すればよく)、製造や保管方法による制約は設ける必要がない。なお、本発明の樹脂集電体において、金属層の緻密度の制御方法は、真空蒸着法等の操作条件を調節することにより行うことができる。
(金属層に含まれる酸素量の測定)
各実施例及び比較例の樹脂集電体の金属層に含まれる酸素量(at.%)を、上記2の方法によりそれぞれ測定した。得られた結果を下記表1に示す。
(樹脂集電体の電気抵抗の測定)
各実施例及び比較例の樹脂集電体の電気抵抗(貫通抵抗)を、上記3の方法によりそれぞれ測定した。得られた結果を下記表1に示す。
表1及び図1、2から、各実施例の集電体では、導電性樹脂層の片面に設けた金属層の酸素量を30at.%以下に制限したことで、集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)が閾値を超えて急激に増加するのを防止できることが確認できた。このことから、こうした集電体を双極型(更に積層型)二次電池に使用した場合、集電体の厚さ方向に電流が流れ易くなるため、出力密度、充放電性能が低下するのを抑制し、電流ロス分による発熱量も低減でき電池温度の上昇も効果的に防止できることがわかる。
一方、金属層の酸素量が30at.%を超えた比較例1の集電体では、集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)が閾値を超えて急激に増加する(60Ωcmに達する)ことが確認できた。このことから、比較例1の集電体を双極型二次電池に使用した場合、集電体の厚さ方向に電流がとても流れ難くなり、出力密度、充放電性能が低下し、電流ロス分による発熱による電池温度の上昇を招いてしまうことがわかる。
また、実施例1〜5と実施例6〜7とを対比した場合、金属の材質(金属種)がアルミニウム(Al)よりも銅(Cu)の方が、薄くでき(片面50nm厚)、なおかつ酸素量を10at.%以下にまで大幅に低減することができる。そのため、樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)も閾値を遥かに下回る0.4Ωcm以下にまで低減できることが確認できた。
また、金属の材質(金属種;Al)が同じ実施例1〜5で対比した場合、片面100〜200nm厚において、酸素量を概ね10〜30at.%(具体的には15〜27at.%)の範囲で任意にコントロールできることがわかった。これにより、樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)も閾値を遥かに下回る概ね0.5〜15Ωcm(具体的には0.6〜11Ωcm)の範囲で任意にコントロールできることが確認できた。
また、金属の材質(金属種;Cu)が同じ実施例6〜7で対比した場合、片面50〜100nm厚において、酸素量を概ね3〜15at.%(具体的には6〜10at.%)の範囲で任意にコントロールできることがわかった。これにより、樹脂集電体の厚さ方向の電気抵抗(貫通抵抗)も閾値を遥かに下回る概ね0.1〜0.6Ωcm(具体的には0.2〜0.4Ωcm)の範囲で任意にコントロールできることが確認できた。
本発明により得られる樹脂集電体は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター及びハイブリッド自動車、電気自動車用に用いられる双極型(更に積層型)二次電池、特に双極型の積層型リチウムイオン二次電池用等の集電体として有用である。

Claims (5)

  1. 導電性樹脂層と、
    前記導電性樹脂層が有する2つの主面のうち、少なくとも一方の主面に設けられた金属層と、を備え、
    前記金属層に含まれる酸素量が30at.%以下である、双極型二次電池用の樹脂集電体。
  2. 前記金属層の材質が、アルミニウム、銅、ニッケルおよびチタンよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種である、請求項1に記載の樹脂集電体。
  3. 前記金属層に含まれる酸素量が、6at.%以上である、請求項1または2に記載の樹脂集電体。
  4. 前記金属層に含まれる酸素量が、6〜22at.%の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂集電体。
  5. 前記集電体の厚さが、40〜200μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂集電体。
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